説明

キャスター台車又はキャスター固定台車等の台車用のホイール

【課題】ホイールが製造技術上好適に形成されること、及び、このようなホイールが構造上好ましく形成されること、のうちのいずれか又はその両方である。
【解決手段】本発明は、ハブ(9)、特にポリアミドからなるハブと、タイヤ外皮(11’)とを備え、ハブがプラスチック射出成型工程で形成される、キャスター台車又はキャスター固定台車等の台車用のホイールに関する。同様のハブ(9)を生産技術上および導入上好ましく発達させるために、タイヤ外皮(11’)がタイヤ部(11)の所に形成され、タイヤ部(11)がプラスチック及びゴムのうちの1つ以上の材料が充填されたフィラーを有するように、構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大よそ、ハブ、特にポリアミドからなるハブと、タイヤ外皮とを備え、ハブがプラスチック射出成型工程で形成される、キャスター台車又はキャスター固定台車等の台車用のホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、キャスター台車又はキャスター固定台車等の台車用のホイールは、長く知られている。そして、例えば、金属からなると共に同時にプラスチックからなるタイヤが嵌められるハブを有する、ホイールが利用される。また、プラスチック材料からなると共に同時にプラスチックタイヤが嵌められるホイールのハブも、知られている。特許文献1にそのような台車用のホイールが記載されている。
【特許文献1】欧州公開第0577954A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、上記のように、ホイールが製造技術上好適に形成されること、及び、このようなホイールが構造上好ましく形成されること、のうちのいずれか又はその両方である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、略、実質的に、請求項1の特徴を有する台車のホイールによって解決され、そこでは、タイヤ外皮がタイヤ部に形成され、そして、タイヤ部がプラスチック及びゴムのうちの1つ以上の材料からなるフィラーを有する。その結果、このような構成は、特殊な応用においても構造的に簡易に適合することが可能なキャスター台車又はキャスター固定台車等用のホイールが製造される。
【0005】
そして、タイヤ部の材料は、耐摩耗性、静電気の帯電性、美的仕様、及び製造仕様のうちの1つ以上に関して、選択されることが可能であり、その一方、フィラーは、走行快適性、低価格仕様、及び急走行特性等のうちの1つ以上の観点で優先的に探し出されることが可能である。好ましくは、フィラーは相対的に軟らかいプラスチック材料からなり、タイヤ材料はこれに対して帯磨耗性を有しそのため原則硬いプラスチックからなる。
【0006】
好ましくタイヤ材料内に完全に取り囲まれるフィラーは、ローラのタイヤ外皮とハブとの間に適切に配置され、台車の移動操作中に生じうる衝撃又は圧力を吸収する。台車は、例えば、病院用ベッド等に使用される。上記の加重の吸収又はいずれにしても減衰は、タイヤ部が、相対的硬い構造材料から構成されるにもかかわらず、略自由に広がった形状(フィラーによってハブ側が支持されるが)のため、タイヤ外皮が形成する部分内に、弾性的に補償するように変形可能に構成されること等、を前提とする。
【0007】
更なる請求項の発明は、請求項1の発明に関連して以下に示されるが、しかしながら、従属の形態で重要点が記載される。まずは、断面において、タイヤ部がハブに部分的に囲まれていることが利点であることが示される。これによって、タイヤ部の側面がハブによって、ホイールの回転軸に一致する方向に、実質的にカバーされる。ハブは、タイヤ部を、ハブからのタイヤ部の離脱という観点から(防止すること)、径方向外側をロック構造をなすように囲む。
【0008】
径方向におけるロック構造が重要である。好ましくは、タイヤ部は、(相対的に硬い)ポリウレタンの構造材料によって構成される。ここで、「相対的に硬い」とは、構造材料がフィラーよりも硬いことを意味するが、必ずしもハブの構造材料よりも硬い必要は無いこと、又は、原則ハブの構造材料よりも軟らかいことを意味する。高い耐磨耗性よりも全体的により軟らかい構造が大切な場合等の特定の応用に対しては、しかしながら、タイヤ外皮、即ちタイヤ部が柔らかいプラスチックからなる構成でもよい。
【0009】
ここで、特徴的なタイヤ部は、タイヤボディーの所定の構造を特徴付けるためにのみ、選択されている。チューブ状の外皮が重要である。特に、これの選択された特徴がタイヤ部の構造に関して限定しないことを、理解するべきである。
【0010】
これに対して、ハブは、硬質プラスチックからなることが好ましく、さらに、ここにおいて、ハブがタイヤ部に比べて上記のように原則より硬く構成されるように、ポリアミド構造材料からなるのが好ましい。タイヤ部を軟らかいプラスチックで充填することは、衝撃を吸収する柔軟コアを形成する。また、タイヤ部が機能部材を有するのでもよい。これは、例えば、強化部材でもよい。これは、ホイールの圧力上の積載量限界を高め、好ましい。
【0011】
更なる利点は、例えば、このようなホイールを装備する発明が安全工学的な観点の利点を付与するために、機能部材が、場合によっては発生する静電気をアースすることに役立つことである。特に、機能部材は、強化線又は強化細管の形態でタイヤ部の構造部材の中に一体化して形成される。これは、例えば金属線である。ここで、金属線は、場合によっては発生する静電気をアースすることを支援するため、好ましい。機能部材は、この形状で、好ましくは均一に分布するようにタイヤ部内に配置される。ここで、さらに、これらは、並べて配列されるのではなく、むしろランダムに配列されるのが好ましい。
【0012】
さらに、ハブが、幅がタイヤ外皮の幅に適合しそれに対して広げられた取付ウェッブ内に、適合するようにタイヤ外皮に嵌る、ハブウェッブを有するのは、好ましい。これによって、ハブよりも柔らかく構成されたタイヤ部が、ハブの硬く形成され広がった部分内に支持される。ここで、保持部の幅が、タイヤ外皮の幅及びタイヤ部全体の幅のうちのいずれかに一致することは好ましい。タイヤ部の断面積が保持部の断面積と同じ大きさである。
【0013】
ここで、タイヤ部の断面積が保持部の最大の断面積(ホイールの回転軸に平行な方向に見て)より大きい実施例は、好ましい。しかしながら、また、タイヤ部の上記の断面積が保持部の断面積(同様に、ホイールの回転軸に平行な方向に見て)より小さいのでもよい。断面積間の比率の低減又は増加は、また、ホイールの回転特性と相互に影響する。
【0014】
また、好適な吸収材料コアを構成するタイヤ部のフィラー、この限りではそれゆえ柔軟コアに関しては、このフィラーがプラスチック射出成型工程でタイヤ部内に導入されるように構成される。
【0015】
本発明は、さらに、ハブを備え、ハブがプラスチック射出成型工程を含む所定の工程で形成されると共に、タイヤ外皮がハブに割り当てられる、キャスター台車又はキャスター固定台車等の台車用のホイールの製造方法に関連する。ハブを生産技術上好ましく形成する上記の方法を発達させるために、タイヤ外皮はプラスチック射出成型工程で注入されたタイヤ部(11)の所に形成され、そして、同様に、このタイヤ部はプラスチック射出成型工程でプラスチック及びゴムのうちの1つ以上の材料が充填されるように、構成される。
【0016】
これによって、異なる仕様に効率的に対応することが可能な、ホイールの製造方法が提供される。例えば、タイヤ部に対し、タイヤ外皮部分に関して、特定の適切な構造材が選択されるのでもよい。また、これは、ハブとの材料ロック的な接続に関しても、好ましく構成されるように選択される。さらに、フィラーとして、タイヤ外皮の適正及びハブとの接続性等の上記の観点について考慮することなしに、種々のプラスチックが、また混合物で、導入されるのでもよい。
【0017】
フィラーを有するタイヤ部は、まず、予め閉じた円形状に形成され、次に、ハブに嵌め込まれる。この方法によって、好ましい適用において衝撃又は振動を吸収するフィラーを有し、これによって、振動を抑えた走行を製造上効率的に保証することが可能な、キャスター台車又はキャスター固定台車等の台車用のホイールが製造可能である。このような台車は、例えば病院等に導入される。
【0018】
フィラーは、タイヤ部用の構造材料もが注入される、同一の注入ノズル(又は同じ複数の注入ノズル)用いて、注入されるのでもよい。
【0019】
更なる構成において、本発明は、まず、充填されたタイヤ部が形成され、ハブがタイヤ部を部分的に握持するように嵌まり込まれるように構成される。構造材料が適切に選択されていれば、ハブの嵌め込みによって、タイヤ部とハブとの間の材料ロック的な接続が達成されることになる。ハブがタイヤ部を部分的に握持するように嵌め込まれることによって、また、構造ロック的な接続が達成されることになる。さらに、既に上に記載された構造材料が用いられことは、好ましい。
【0020】
ハブは、原理的には、金属部品として構成されるのでもよい。その限りでは、2つの部品からなるハブの構成もまた好ましい。以下、本発明の実施例が、図面を参照して例示される。
【0021】
まず、図1に、例えば、キャスター台車又はキャスター固定台車として形成可能な台車1を図示する。
【0022】
台車1は、公知の方法で、そこからシリンダ状に形成された接続ロッド3が垂直に突き出す移動ローラブランチ2を有する。移動ローラブランチ2は、その合同で対向して配置された側脚4を介して、コの字開口5内に配置されたホイール6に両側から取り付けられている。ホイール6を配置するために、中心を貫通すると共に公知の方法で側脚4に固定される、移動ローラ軸7が公知の方法で設けられる。この固定は、ナット8を用いてなされている。
【0023】
このようなローラ又はキャスター台車は、例えば、病院用ベッド、搬送機械、又は同様の機械に適用され、これらのローラは通常の方法で取り付けられる。
【0024】
ホイール6は、これを貫通する移動ローラ軸7用に中心に配置されたボーア10を有する、中央のハブ9を保有する。好ましくは、このハブ9は、プラスチック射出成型工程で形成された、ポリアミド構造材料等の硬質プラスチックからなる。
【0025】
ホイール6のタイヤ外皮11’は、ハブ9が嵌められるタイヤ部11によって形成される。タイヤ部11は、ハブ9によって、ロック構造をなすように囲まれている。
【0026】
タイヤ部11の材料組成は、例えばポリウレタン構造材料等の硬質プラスチックから構成される。ここで、しかしながら、タイヤ部の構造材料の硬度は、ハブ部の構造材料の硬度よりも低い。タイヤ部に関しては、35〜40Dの範囲内、好ましくは42D±5の範囲内の硬度に構成される一方、フィラーに関しては、50〜80A、好ましくは60A±10の範囲内の硬度に構成される。
【0027】
図2及び図3から分かるように、タイヤ部11のタイヤ表皮12は、軟らかいプラスチック及びゴムのうちの1つ以上によって構成され、プラスチック射出成型工程でタイヤ部11の内部に注入されたフィラー13を取り囲む。この軟らかいフィラー13は、ホイール又はローラ1の回転時に、衝撃又は同様のものを吸収する。
【0028】
タイヤ部11を取り付けるための基礎として、ハブ9は、外縁部分に、幅広の周方向にわたる保持部14を有する。これは、タイヤ部11のタイヤ外皮11’の幅bに応じた幅Bを有する。また、径方向外側に保持部14とタイヤ部11の間でロック構造を形成するため、保持部14は、ローラ1の軸方向に関して対向して見えるフランク15であって、対向する接触領域内にタイヤ部11を締め付けると共に、ここから接触領域の上側に、接触領域に関連して広げられたタイヤ底11”を保持部14内に形成するフランク15を有する。さらに、フランク15は、それぞれ、ハブ9の周縁部に、断面において凸形状で外側に突き出し外側に形成され対向するように配置された壁間に幅bを持たせる、開放端が形成されたタイヤ外皮11’用に、周縁保持部が形成されている。
【0029】
タイヤ部11の材質の強化の為に、タイヤ部11内に金属線16の形状の強化機能部材が設けられる。これは、図中に模式的にのみ表されている。これによって、具体的な実施例において、構造材の強化が達成されるのみならず、同時に静電気のアースに関しても改良される。また、ハブ9は、このような静電気を放電又はアースするための金属部材を有するのでもよい。
【0030】
ローラ1のホイール6を製造方法は、まず、タイヤ部がポリウレタンプラスチック(PU)のプラスチック射出成型工程で形成されるように構成される。その作業工程において、タイヤ部11は、プラスチック及びゴムのうちの1つ以上の形態のフィラー13が、プラスチック射出成型工程で注入される。次に、ハブ9は、タイヤ部に部分的に囲むように嵌り、ロールの回転軸の方向にロック構造を形成する。これによって、ハブ9は、その外周壁に、圧力負荷によって引っ込む、充填されたタイヤ部の形態の柔らかい走行部分を有する。
【0031】
開示された全ての特徴は、(それ自身が)本発明の要部をなす。もって、出願書類の開示において、付随又は同封の優先権の基礎書面(先の出願のコピー)の開示内容もまた十分に内容的に取り込まれ、本願の書面の目的及び特徴も先の出願の特許請求の範囲内に取り込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明を適用したキャスター台車又はキャスター固定台車の斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線による部分断面図である。
【図3】図2における符号IIIによる部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 台車
2 移動ローラブランチ
3 接続ロッド
4 側脚
5 コの字開口
6 ホイール
7 移動ローラ軸
8 ナット
9 ハブ
10 ボーア
11 タイヤ部
11’ タイヤ外皮
11” タイヤ底
12 タイヤ表皮
13 フィラー
14 保持部
15 フランク
16 金属線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブ(9)、特にポリアミドからなるハブと、タイヤ外皮(11’)とを備え、前記ハブ(9)がプラスチック射出成型工程で形成される、キャスター台車又はキャスター固定台車等の台車(1)用のホイール(6)であって、前記タイヤ外皮(11’)が同様に前記プラスチック射出成型工程で形成され、タイヤ部(11)がプラスチック及びゴムのうちの1つ以上の材料からなるフィラー(13)を有することを特徴とする台車用ホイール。
【請求項2】
前記タイヤ部(11)が、断面において、前記ハブ(9)によって部分的に囲まれることを特徴とする請求項1に記載の台車用ホイール。
【請求項3】
前記ハブ(9)が、ロック構造をなすように前記タイヤ部(11)を囲むことを特徴とする請求項2に記載の台車用ホイール。
【請求項4】
前記タイヤ部(11)が、硬質プラスチックからなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の台車用ホイール。
【請求項5】
前記タイヤ部(11)が、ポリウレタンからなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の台車用ホイール。
【請求項6】
前記タイヤ部(11)が、軟質プラスチックで充填されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の台車用ホイール。
【請求項7】
前記タイヤ部(11)が、機能部材を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の台車用ホイール。
【請求項8】
前記機能部材が、強化部材であることを特徴とする請求項7に記載の台車用ホイール。
【請求項9】
前記機能部材が、静電気をアースするために使用されることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の台車用ホイール。
【請求項10】
前記機能部材が、強化用の繊維又は強化用の細管として形成されることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の台車用ホイール。
【請求項11】
前記機能部材が、金属線(16)として形成されることを特徴とする請求項10に記載の台車用ホイール。
【請求項12】
前記ハブ(9)が、前記タイヤ外皮(11’)が割り当てられ、これに対して広げられると共に幅(B)が前記タイヤ外皮(11’)の幅(b)に適合する保持部(14)に移っていく、ハブウェッブを有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の台車用ホイール。
【請求項13】
前記タイヤ部(11)の断面領域が、前記保持部(14)の断面領域と一致することを特徴とする請求項12に記載の台車用ホイール。
【請求項14】
前記タイヤ部(11)の断面領域が、前記保持部(14)の断面領域よりも広いことを特徴とする請求項12に記載の台車用ホイール。
【請求項15】
前記フィラー(13)が、前記プラスチック射出成型工程で注入されることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の台車用ホイール。
【請求項16】
ハブ(9)を備え、前記ハブ(9)がプラスチック射出成型工程を含む所定の工程で形成されると共に、タイヤ外皮(11’)が前記ハブ(9)に割り当てられる、キャスター台車又はキャスター固定台車等の台車(1)用のホイール(6)の製造方法であって、前記タイヤ外皮を形成するために前記プラスチック射出成型工程でタイヤ部(11)が形成され、前記タイヤ部(11)が前記プラスチック射出成型工程でプラスチック及びゴムのうちの1つ以上の材料からなるフィラー(13)で充填されることを特徴とする台車用ホイールの製造方法。
【請求項17】
最初に充填された前記タイヤ部(11)が形成され、次に前記ハブ(9)が前記タイヤ部(11)に嵌められることを特徴とする請求項16に記載の台車用ホイールの製造方法。
【請求項18】
前記ハブ(9)が、前記タイヤ部(11)に部分的に握持するように嵌められることを特徴とする請求項17に記載の台車用ホイールの製造方法。
【請求項19】
前記ハブ(9)及び前記タイヤ部(11)のいずれか1つ以上が、ポリアミドを含む硬質プラスチックからなることを特徴とする請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載の台車用ホイールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−534541(P2007−534541A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508892(P2007−508892)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051474
【国際公開番号】WO2005/102739
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(501147495)テンテ・ゲーエムベーハー・ウント・ツェーオー・カーゲー (6)
【Fターム(参考)】