説明

キャップ付きバレル、キャップ、及びプレフィルドシリンジ

【課題】 ノズル部が開封されたことを容易に認識することができるキャップ付きバレル、キャップ、及びプレフィルドシリンジを提供する。
【解決手段】 接続部23は、バレル本体部11の先端部に固定されると共に、キャップ本体部22を外周部又は内周部に装着し、キャップ本体部22は、接続部23の先端部から離脱されるべく、接続部23に対して軸線方向を先端側に向けて移動可能に構成され、キャップ本体部22及び接続部23のうち一方は、離脱されたキャップ本体部22が接続部23に再装着されることを防止すべく、他方を係止する再装着防止部225を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレル本体部のノズル部を封止する封止部を備えるキャップ付きバレル、キャップ、及びプレフィルドシリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャップ付きバレルとして、先端部にノズル部を有するバレル本体部と、ノズル部を封止する封止部と、封止部を内部に配置すると共に、封止部を固定する筒状のキャップ本体部と、バレル本体部の先端部に固定されると共に、キャップ本体部の基端側に配置される筒状の接続部とを備えるキャップ付きバレルが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
斯かる構成のキャップ付きバレルによれば、キャップ本体部の基端部と接続部の先端部とが連結片で連結されているため、連結片が破断されることで、キャップ本体部が接続部から分離され、ノズル部が開封される。その後、封止部が再びノズル部を封止する状態に戻した場合には、その形跡として連結片が破断されているため、ノズル部が開封されたこと(又は、その疑いがあること)を第三者に認識させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−108350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に係るキャップ付きバレルにおいては、ノズル部が開封されたこと(又は、その疑いがあること)を認識するには、連結片が破断されているか否かについて確認する必要がある。しかしながら、斯かる連結片が一般的に小さいものであるため、ノズル部が開封されたことを、さらに容易に認識したいという要望がある。
【0006】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、ノズル部が開封されたことを容易に認識することができるキャップ付きバレル、キャップ、及びプレフィルドシリンジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るキャップ付きバレルは、先端部にノズル部を有するバレル本体部と、ノズル部を封止する封止部と、封止部を内部に配置すると共に、封止部を固定する筒状のキャップ本体部と、バレル本体部の先端部に固定されると共に、キャップ本体部を外周部又は内周部に装着する筒状の接続部とを備え、キャップ本体部は、接続部の先端部から離脱されるべく、接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動可能に構成されるキャップ付きバレルであって、キャップ本体部及び接続部のうち一方は、離脱されたキャップ本体部が接続部に再装着されることを防止すべく、他方を係止する再装着防止部を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るキャップ付きバレルによれば、キャップ本体部が接続部の外周部又は内周部に装着されている。そして、キャップ本体部が接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動することで、キャップ本体部が接続部の先端部から離脱される。その後、キャップ本体部及び接続部のうち一方が他方を係止する再装着防止部を備えているため、離脱されたキャップ本体部が接続部に再装着されることを防止できる。
【0009】
また、本発明に係るキャップは、バレル本体部の先端部に設けられるノズル部を封止する封止部と、封止部を内部に配置すると共に、封止部を固定する筒状のキャップ本体部と、バレル本体部の先端部に固定されると共に、キャップ本体部を外周部又は内周部に装着する筒状の接続部とを備え、キャップ本体部は、接続部の先端部から離脱されるべく、接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動可能に構成されるキャップであって、キャップ本体部及び接続部のうち一方は、離脱されたキャップ本体部が接続部に再装着されることを防止すべく、他方を係止する再装着防止部を備えることを特徴とする。
【0010】
斯かる構成のキャップによれば、キャップ本体部が接続部の外周部又は内周部に装着されている。そして、キャップ本体部が接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動することで、キャップ本体部が接続部の先端部から離脱される。その後、キャップ本体部及び接続部のうち一方が他方を係止する再装着防止部を備えているため、離脱されたキャップ本体部が接続部に再装着されることを防止できる。
【0011】
また、本発明に係るキャップにおいては、キャップ本体部又は接続部は、キャップ本体部が接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動する際に、径方向で弾性変形する弾性部を備え、再装着防止部は、弾性部に連結されてもよい。
【0012】
斯かる構成のキャップによれば、キャップ本体部が接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動する際に、キャップ本体部又は接続部に設けられる弾性部が径方向で弾性変形する。これにより、キャップ本体部が接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動する際には、弾性部が弾性変形することで、弾性部に連結されている再装着防止部が径方向で移動できる一方、キャップ本体部が接続部から離脱された際には、弾性部が復元することで、再装着防止部がキャップ本体部又は接続部を係止できる。
【0013】
また、本発明に係るキャップにおいては、キャップ本体部は、接続部の内周部に装着されると共に、弾性部は、キャップ本体部に設けられ、接続部は、封止部がノズル部を封止する際に弾性部が弾性変形することを防止するように、内周部を形成していてもよい。
【0014】
斯かる構成のキャップによれば、キャップ本体部が接続部の内周部に装着されていると共に、弾性部がキャップ本体部に設けられている。そして、封止部がノズル部を封止する際に、接続部の内周部が弾性部を弾性変形することを防止している。したがって、封止部がノズル部を封止する状態で長い間維持されたとしても、弾性部の弾性力が低下すること(弾性部が塑性変形すること)を防止できる。
【0015】
また、本発明に係るキャップは、バレル本体部の先端部に設けられるノズル部を封止する封止部と、封止部を内部に配置すると共に、封止部を固定する筒状のキャップ本体部とを備え、キャップ本体部は、バレル本体部の先端部に設けられる筒状の接続部の外周部又は内周部に装着されると共に、接続部の先端部から離脱されるべく、接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動可能に構成されるキャップであって、キャップ本体部は、離脱された後に接続部に再装着されることを防止すべく、接続部を係止する再装着防止部を備えることを特徴とする。
【0016】
斯かる構成のキャップによれば、キャップ本体部が接続部の外周部又は内周部に装着されている。そして、キャップ本体部が接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動することで、キャップ本体部が接続部の先端部から離脱される。その後、キャップ本体部が接続部を係止する再装着防止部を備えるため、離脱されたキャップ本体部が接続部に再装着されることを防止できる。
【0017】
また、本発明に係るキャップにおいては、接続部は、キャップ本体部を内周部に装着し、キャップ本体部は、接続部に装着されるべく、接続部と係合する係合部材と、係合部材の外側に配置され、係合部材に対して軸線方向を基端側に向けて移動可能な筒状の移動部材とを備え、係合部材は、軸線方向に沿って配置され且つ基端側に向けて径方向外方に拡がるように配置される弾性片と、弾性片の基端側から径方向内方に突出し、移動部材が軸線方向を基端側に移動して弾性片が基端側を径方向内方に移動するように弾性変形することで、接続部と係合する係合部とを備え、係合部材及び移動部材のうち少なくとも何れか一方は、係合部が接続部と係合する状態を維持すべく、移動部材が係合部材に対して軸線方向を先端側に向けて移動することを規制する規制部を備えてもよい。
【0018】
斯かる構成のキャップによれば、係合部材に設けられる弾性片が、軸線方向に沿って配置されると共に、基端側に向けて径方向外方に拡がるように配置されている。そして、係合部材の外側に配置される筒状の移動部材が、係合部材に対して軸線方向を基端側に移動すると、弾性片が基端側を径方向内方に移動するように弾性変形することにより、弾性片の基端側から径方向内方に突出する係合部が、径方向内方に移動して接続部と係合する。
【0019】
これにより、係合部材が係合部を介して接続部と係合するため、キャップ本体部が接続部の内周部に装着される。さらに、係合部材及び移動部材のうち少なくとも何れか一方に設けられる規制部は、移動部材が係合部材に対して軸線方向を先端側に向けて移動することを規制する。したがって、係合部が接続部と係合する状態を維持できるため、キャップ本体部が接続部に装着される状態を維持できる。
【0020】
また、本発明に係るプレフィルドシリンジは、前記のキャップ付きバレルと、バレル本体部の内部に充填された充填物を封止すべくバレル本体部の内部に挿入される弾性のガスケットとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上の如く、本発明によれば、離脱されたキャップ本体部が接続部に再装着されることを防止できるため、ノズル部が開封されると、その後、封止部が再びノズル部を封止する状態に戻すことを防止できる。したがって、本発明によれば、ノズル部が開封されたことを容易に認識することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るプレフィルドシリンジの全体図であって、(a)は正面図、(b)はA−A線における断面図を示す。
【図2】同実施形態に係るキャップにおける封止状態の全体縦断面図を示す。
【図3】同実施形態に係るキャップの全体図であって、(a)は封止状態の斜視図、(b)は開封状態の斜視図を示す。
【図4】同実施形態に係るキャップの構成図であって、(a)は封止部の全体斜視図、(b)は同全体縦断面図、(c)はキャップ本体部の全体斜視図、(d)は同全体縦断面図、(e)は接続部の全体斜視図、(f)は同全体縦断面図を示す。
【図5】同実施形態に係るキャップによるノズル部の封止方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ縦断面図を示す。
【図6】同実施形態に係るキャップによるノズル部の封止方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ縦断面図を示す。
【図7】同実施形態に係るキャップによるノズル部の開封方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ縦断面図を示す。
【図8】本発明の他の実施形態に係るキャップの全体図であって、(a)は装着後の正面図、(b)は同縦断面図を示す。
【図9】同実施形態に係るキャップの全体図であって、装着前の縦断面図を示す。
【図10】同実施形態に係るキャップによるノズル部の封止方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ縦断面図を示す。
【図11】同実施形態に係るキャップによるノズル部の開封方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ縦断面図を示す。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係るキャップによるノズル部の封止方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ縦断面図を示す。
【図13】同実施形態に係るキャップによるノズル部の開封方法を説明する図であって、(a)及び(b)はそれぞれ縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るキャップ、キャップ付きバレル、及びプレフィルドシリンジにおける第1の実施形態について、図1〜図7を参酌して説明する。
【0024】
本実施形態に係るプレフィルドシリンジは、図1〜図4に示すように、先端部にノズル部111を有するバレル1と、バレル1の先端部に装着されるキャップ2と、バレル1の内部に充填された薬液等の充填物Xを封止するプランジャ3とを備える。なお、図1の「上方(側)」を「先端(側)」とし、図1の「下方(側)」を「基端(側)」として、以下説明する。
【0025】
バレル1は、ノズル部111を先端部に有する筒状のバレル本体部11と、バレル本体部11の基端部にフランジ状に配置され、指を掛けるための指掛部12とを備える。なお、バレル1は、例えば、プラスチック等の樹脂やガラスで形成されている。
【0026】
バレル本体部11は、先端部がノズル部111の基端部に連結されてなる円筒状のバレル基部112と、バレル基部112の先端部に配置され、ルアロック式(ねじ込み式)の注射針やアクセスポート(輸液ラインへの混注手段)を取り付けるための取付部113とを備える。また、バレル本体部111は、バレル基部112の先端部に配置され且つキャップ2を固定するためのバレル固定部114を備える。
【0027】
ノズル部111は、バレル基部112の内部に充填される充填物Xを外部に注出するための注出口111aを先端部に備えると共に、充填物Xが流通すべく、注出口111aとバレル基部112の内部とを連通させる流通部111bとを備える。そして、ノズル部11は、円筒状に形成されていると共に、基端部から先端部に向けて外径が小さくなるように、テーパ状に形成されている。
【0028】
バレル基部112は、円筒状に形成されている。そして、バレル基部112は、外径がノズル部11の外径よりも大きく且つ内径がノズル部11の内径よりも大きくなるように、形成されている。また、バレル基部112は、外径がキャップ2の外径よりも大きくなるように、形成されている。
【0029】
取付部113は、円筒状に形成される取付部本体113aと、注射針等と内周部で螺合するように、取付部本体113aの内周部に配置されるネジ部113bとを備える。即ち、ネジ部113bは、雌ネジである。また、取付部113は、ノズル部111を挿入するようにしてノズル部111の径方向外方に配置されている。なお、ノズル部111の先端部は、取付部113の先端部から突出している。
【0030】
バレル固定部114は、周方向に沿って環状に延設されていると共に、ノズル部111及び取付部113よりも径方向外方に配置されている。具体的には、バレル固定部114は、取付部113の基端部から径方向外方に突設されている。また、バレル固定部114は、キャップ2と嵌合するための凹状の嵌合部114aを外周部に備える。
【0031】
キャップ2は、バレル本体部11の先端部に設けられるノズル部111を封止する封止部21と、封止部21を内部に配置すると共に、封止部21を固定する筒状のキャップ本体部22とを備える。また、キャップ2は、バレル本体部11の先端部に設けられるバレル固定部114に固定され且つキャップ本体部22を内周部に装着する筒状の接続部23を備える。
【0032】
封止部21は、ノズル部111の先端部に装着される封止部本体211と、封止部本体211の先端側に配置され、キャップ本体22と一体的になるようにキャップ本体22に固定される封止固定部212とを備える。なお、封止部21は、例えば、ゴム等の樹脂で形成されている。
【0033】
封止部本体211は、先端側を閉塞する円筒状に形成されており、ノズル部111に装着された際に、注出口111aを閉塞し且つノズル部111の先端部を外側から嵌合する。また、封止固定部212は、円柱状に形成されていると共に、外径が封止部本体211よりも大きくなるように形成されている。
【0034】
キャップ本体部22は、円筒状に形成されるキャップ基部221と、先端部に配置され、封止部21を固定するキャップ固定部222とを備える。また、キャップ本体部22は、接続部23と螺合するキャップ螺合部223を備え、接続部23の先端部から離脱されるべく、接続部23に対して軸線方向を先端側に向けて移動可能に構成されている。
【0035】
そして、キャップ本体部22は、接続部23に対して軸線方向を先端側に向けて移動する際に、径方向で弾性変形する弾性部224と、接続部23から離脱された後に接続部23に再装着されることを防止すべく、弾性部224に連結される再装着防止部225とを備える。なお、キャップ本体部22は、例えば、プラスチック等の樹脂で形成されている。
【0036】
キャップ固定部222は、封止固定部212を軸線方向で挟持する挟持部222a,222bを備える。そして、一方の挟持部222aは、キャップ基部221の先端部から径方向内方に突設され、封止固定部212の先端側の面と当接していると共に、他方の挟持部222bは、キャップ基部221の中途部から径方向内方に突設され、封止固定部212の基端側の面と当接している。
【0037】
キャップ螺合部223は、キャップ本体部22の基端部に配置されている。具体的には、キャップ螺合部223は、キャップ基部221の基端部と、弾性部224とに配置されている。また、キャップ螺合部223は、キャップ本体部22の外周部に配置されている。即ち、キャップ螺合部223は、雄ネジである。
【0038】
弾性部224は、軸線方向に沿って配置される弾性の帯部材224a,…を複数備える。そして、複数の帯部材224a,…は、周方向に沿って並列されている。また、各帯部材224aは、先端部でキャップ基部221の基端部に連結されると共に、弾性変形していない状態において、基端側に向けて径方向外方に拡がるように形成される。
【0039】
再装着防止部225は、各帯部材224aの基端部から径方向外方に突出し且つ接続部23を係止する係止部225aを備える。そして、再装着防止部225は、弾性部224が復元した(弾性変形していない)際に、外径(各係止部225aの外接円の径、外幅寸法)が接続部23の先端部の内径(内幅寸法)よりも大きくなるように構成されている。
【0040】
接続部23は、円筒状に形成される接続部本体231と、バレル固定部114に固定される接続固定部232と、キャップ螺合部223と螺合する接続螺合部233と、封止部21がノズル部111を封止する際に弾性部224が弾性変形するのを防止する変形防止部234とを備える。なお、接続部23は、例えば、プラスチック等の樹脂で形成されている。
【0041】
接続固定部232は、接続部23の基端部に配置されている。そして、接続固定部232は、バレル固定部114を外側から嵌合するようにして、バレル固定部114に固定される。また、接続固定部232は、バレル固定部114の凹状の嵌合部114aと嵌合する凸状の嵌合部232aを備える。そして、接続固定部232の嵌合部232aは、径方向内方に向けて突出すると共に、周方向に沿って延設されている。
【0042】
接続螺合部233は、接続部23の先端部に配置されている。具体的には、接続螺合部233は、接続部本体231に配置されている。また、接続螺合部233は、接続部23の内周部に配置されている。即ち、接続螺合部233は、雌ネジである。そして、キャップ螺合部223と接続螺合部233とにより、キャップ本体部22が接続部23に装着される。
【0043】
変形防止部234は、円筒状に形成されていると共に、接続部23の軸線方向における中途部であって、接続部本体231と接続固定部232との間に配置されている。また、変形防止部234は、キャップ本体部22が接続部23に対して位置決めされるべく、再装着防止部225と軸線方向で当接する位置決め部234aを備える。
【0044】
そして、変形防止部234は、封止部21がノズル部111を封止する際に、内周部が弾性部224及び再装着防止部225と径方向で離間するように形成されている。具体的には、変形防止部234は、内径が弾性部224及び再装着防止部225の外径よりも大きくなるように形成されている。
【0045】
プランジャ3は、バレル本体部11の内部に充填された充填物Xを封止すべくバレル本体部11の内部に挿入される弾性のガスケット31と、先端部がガスケット31とネジ結合されるプランジャロッド32とを備える。なお、バレル1とキャップ2との組立体を、「キャップ付きバレル」いい、キャップ付きバレル(バレル1及びキャップ2)とプランジャ3との組立体とを、「シリンジ」という。
【0046】
本実施形態に係るキャップ2、キャップ付きバレル、及びプレフィルドシリンジの構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るキャップ2によるノズル部111の封止方法及び開封方法について、図5〜図7を参酌して説明する。
【0047】
はじめに、封止部21でノズル部111を封止する方法について説明する。まず、図5(a)に示すように、封止部21を内部に固定したキャップ本体部22の先端部を、接続部23の基端部から内部に挿入する。このとき、キャップ本体部22の先端部の外径が接続部23の基端部の内径より小さいため、キャップ本体部22の先端部を接続部23の内部に容易に挿入することができる。
【0048】
また、キャップ本体部22の先端部を接続部23の先端部から突出させた後、キャップ螺合部223と接続螺合部233とを螺合させ、キャップ本体部22を接続部23に対して先端側に向けて移動させる。そして、図5(b)に示すように、接続部23の位置決め部234aがキャップ本体部22の再装着防止部225を軸線方向で当接する位置で、キャップ螺合部223と接続螺合部233との螺合を停止すると、キャップ本体部22が接続部23の内周部に装着される。
【0049】
なお、斯かる位置がキャップ本体部22の初期位置(封止位置)であって、キャップ2がバレル1に装着された際に、封止部21がノズル部111を封止できる位置である。このとき、変形防止部234が弾性部224及び再装着防止部225と径方向で微小な隙間を有して離間しているため、弾性部224は、弾性変形していない(復元している)。
【0050】
そして、図6(a)に示すように、ノズル部111が封止部本体211の内部に挿入されるように、キャップ2をバレル1に押し込む。そして、キャップ2を基端側に向けてさらにバレル1に押し込むと、図6(b)に示すように、接続固定部232がバレル固定部114を外側から嵌合し、バレル固定部114が接続固定部232を固定する。これにより、キャップ2がバレル1に装着され、封止部21がノズル部111を封止する。
【0051】
次に、ノズル部111を開封する方法について説明する。まず、キャップ本体部22が初期位置に位置している際は、弾性部224が弾性変形していない。斯かる状態から、キャップ螺合部223と接続螺合部233とを螺合させると、初期位置に位置するキャップ本体部22が接続部23に対して先端側に向けて移動する。
【0052】
このとき、キャップ本体部22が移動するのに伴って、接続部23が再装着防止部225を径方向内方に向けて押圧する。これにより、弾性部224が基端部を径方向内方へ移動するように弾性変形するため、再装着防止部225が径方向内方へ移動する。具体的には、弾性部224が弾性変形することで、キャップ本体部22の基端部が縮径する。しかも、キャップ螺合223が弾性部224にも配置されているため、弾性部224がキャップ螺合部223と接続螺合部233との螺合に対応して弾性変形する。
【0053】
さらに、キャップ本体部22を接続部23に対して先端側に向けて移動させると、図7(a)に示すように、キャップ本体部22が接続部23の先端部から離脱し、キャップ本体部22が離脱位置に位置する。それに伴って、封止部21もノズル部111から離脱するため、ノズル部111が開封される。
【0054】
ところで、離脱したキャップ本体部22を接続部23に再装着することを試みた場合には、弾性部224が復元しているため、図7(b)に示すように、キャップ本体部22の基端部の再装着防止部225が接続部23の先端部を係止する。したがって、離脱したキャップ本体部22を接続部23に装着することはできない。
【0055】
以上より、本実施形態に係るキャップ2、キャップ付きバレル、及びプレフィルドシリンジによれば、キャップ本体部22が接続部23の内周部に装着されている。そして、キャップ本体部22が接続部23に対して軸線方向を先端側に向けて移動することで、キャップ本体部22が接続部23の先端部から離脱される。
【0056】
その後、キャップ本体部22が接続部23を係止する再装着防止部225を備えているため、離脱されたキャップ本体部22が接続部23に再装着されることを防止できる。したがって、ノズル部111が開封されると、その後、封止部21が再びノズル部111を封止する状態に戻すことを防止できるため、ノズル部111が開封されたことを容易に認識することができる。
【0057】
また、本実施形態に係るキャップ2、キャップ付きバレル、及びプレフィルドシリンジによれば、キャップ本体部22が接続部23に対して軸線方向を先端側に向けて移動する際に、弾性部224が径方向で弾性変形する。これにより、キャップ本体部22が接続部23に対して先端側に向けて移動する際には、弾性部224が弾性変形することで、再装着防止部225が径方向で移動できる。
【0058】
その一方、キャップ本体部22が接続部23から離脱された際には、弾性部224が復元することで、再装着防止部225が接続部23を係止できる。したがって、キャップ本体部22が接続部23に対して先端側に向けて移動する際には、キャップ本体部23を円滑に移動できると共に、キャップ本体部22が接続部23から離脱された際には、キャップ本体部22が接続部23に再装着されることを防止できる。
【0059】
また、本実施形態に係るキャップ2、キャップ付きバレル、及びプレフィルドシリンジによれば、接続部23(変形防止部234)の内周部が弾性部224及び再装着防止部225と径方向で離間しているため、封止部21がノズル部111を封止する際に、弾性部224が弾性変形するのを防止できる。したがって、封止部21がノズル部111を封止する状態で長い間維持(保管)されたとしても、弾性部224の弾性力が低下すること(弾性部224が塑性変形すること)を防止できる。
【0060】
次に、本発明に係るキャップ、キャップ付きバレルにおける第2の実施形態について、図8〜図11を参酌して説明する。なお、図8〜図11において、図1〜図7の符号と同一の符号を付した部分は、第1実施形態と同一の構成又は要素を表す。
【0061】
本実施形態に係るキャップ付きバレルは、図8及び図9に示すように、先端部にノズル部111を有するバレル10と、バレル10の先端部に装着されるキャップ4とを備える。なお、図8及び図9の「上方(側)」を「先端(側)」とし、図8及び図9の「下方(側)」を「基端(側)」として、以下説明する。
【0062】
バレル10は、ノズル部111を先端部に有する筒状のバレル本体部110を備える。また、バレル10は、バレル本体部110の先端部に設けられ、キャップ4を外周部に装着する筒状の接続部130を備える。
【0063】
バレル本体部110は、先端部がノズル部111の基端部に連結されてなる円筒状のバレル基部112を備える。また、バレル本体部110は、キャップ4をノズル部111から離脱させる際に、キャップ4を案内する案内部115を備える。
【0064】
案内部115は、ノズル部111及び接続部130よりも径方向外方に配置されている。具体的には、案内部115は、接続部130の基端部から径方向外方に突設されている。そして、案内部115は、周方向に沿って環状に延設されていると共に、周方向に沿って凹凸状に形成されている。
【0065】
接続部130は、円筒状に形成される接続部本体131と、ルアロック式の注射針やアクセスポート等と螺合するように、接続部本体131の内周部に配置されるネジ部132と、キャップ2を外周部に装着すべく、接続部本体131の外周部に配置される装着部133とを備える。また、接続部130は、ノズル部111を挿入するようにしてノズル部111の径方向外方に配置されている。なお、ノズル部111の先端部は、接続部130の先端部から突出している。
【0066】
装着部133は、周方向に沿って環状に延設されている。具体的には、装着部133は、接続部本体131の軸線方向における中途部から径方向外方に突設されている。また、装着部133の先端側の面は、径方向に沿って形成されていると共に、装着部133の基端側の面は、基端側へいくに従って径方向内方に向かうようなテーパ状に形成されている。
【0067】
キャップ4は、バレル本体部110の先端部に設けられるノズル部111を封止する封止部41と、封止部41を内部に配置すると共に、封止部41を固定する筒状のキャップ本体部42とを備える。そして、キャップ4は、装着されているキャップ本体部42が接続部130の先端部から離脱されるべく、接続部130に対して軸線方向を先端側に向けて移動可能に構成される。
【0068】
封止部41は、ノズル部111の先端部に装着される封止部本体411と、封止部本体411の先端側に配置され、キャップ本体42と一体的になるようにキャップ本体42に固定される封止固定部412とを備える。そして、封止部本体411は、先端側を閉塞する円筒状に形成されており、ノズル部111に装着されている際に、ノズル部111の先端部を外側から嵌合する。また、封止固定部412は、円柱状に形成されていると共に、外径が封止部本体411よりも大きくなるように形成されている。
【0069】
キャップ本体部42は、接続部130に装着されるべく、接続部130と係合する係合部材43を備えている。また、キャップ本体部42は、係合部材43の外側に配置され、係合部材43に対して軸線方向を基端側に向けて移動可能な筒状の移動部材44を備えている。
【0070】
係合部材43は、円筒状に形成される係合部本体431と、先端部に配置され、封止部41を固定する係合固定部432と、軸線方向に沿って配置される複数(本実施形態においては八つ)の弾性片433,…とを備える。また、係合部材43は、各弾性片433の基端側から径方向内方に突出し且つ周方向で延設されている突出部434,…を備える。
【0071】
そして、係合部材43は、キャップ4をバレル10に装着させる際に、移動部材44を仮止めする仮止部435と、移動部材44が所定位置から軸線方向を先端側に向けて移動することを規制する規制部(以下、「係合規制部」という)436とを備える。なお、係合部材43は、例えば、プラスチック等の樹脂で形成されている。
【0072】
係合固定部432は、封止固定部412を軸線方向で挟持する挟持部432a,432bを備える。そして、一方の挟持部432aは、係合部本体431の先端部から径方向内方に突設され、封止固定部412の先端側の面と当接していると共に、他方の挟持部432bは、係合部本体431の中途部から径方向内方に突設され、封止固定部412の基端側の面と当接している。
【0073】
複数の弾性片433,…は、周方向に沿って並列されている。そして、各弾性片433は、係合部本体431の基端部から基端側に向けて延設されている。また、各弾性片433は、弾性変形していない(復元する)状態において、基端側に向けて径方向外方に拡がるように配置され、軸線方向で移動部材44と重なっている。
【0074】
各突出部434は、キャップ本体部42が離脱された後に接続部130に再装着されることを防止すべく、装着部133の先端側を係止する再装着防止部434aを、基端側に備える。また、各突出部434は、移動部材44が軸線方向を基端側に移動し、各弾性片433が基端側を径方向内方に移動するように弾性変形することで、装着部133の基端側と係合する係合部434bを、先端側に備える。
【0075】
そして、複数の突出部434,…は、各弾性片433が基端側を径方向内方に移動するように弾性変形した状態において、内接円の径が接続部130の装着部133の外径よりも小さくなるように構成されている。なお、各突出部434の基端側の面は、径方向に沿って形成されていると共に、各突出部434の先端側の面は、先端側へいくに従って径方向外方に向かうようなテーパ状に形成されている。
【0076】
仮止部435は、係合部本体431の外周部から径方向外方に突出し且つ周方向に沿って延設されている。そして、仮止部435の基端側の面は、径方向に沿って形成されていると共に、仮止部435の先端側の面は、先端側へいくに従って径方向内方に向かうようなテーパ状に形成されている。
【0077】
係合規制部436は、各弾性片433の外周部から径方向外方に突出し且つ周方向に沿って延設されている。そして、係合規制部436は、突出部434の係合部434bが接続部130の装着部133と係合する状態を維持すべく、移動部材44が係合部材43に対して軸線方向を先端側に向けて移動することを規制する。また、係合規制部436の基端側の面は、径方向に沿って形成されていると共に、係合規制部436の先端側の面は、先端側へいくに従って径方向内方に向かうようなテーパ状に形成されている。
【0078】
移動部材44は、円筒状に形成される移動部本体441と、移動部材44が所定位置から軸線方向を先端側に向けて移動することを規制すべく、係合規制部436と係合する規制部(以下、「移動規制部」という)442とを備える。なお、移動部材44は、例えば、プラスチック等の樹脂で形成されている。
【0079】
移動部本体441は、係合部材43の先端部を露出するための開口部441aを先端部に備えると共に、凹凸状に形成されることで、操作される際の滑り止め機能を有する凹凸部441bを外周部に備える。また、移動部本体441は、基端部に、バレル10の案内部115に案内される被案内部441cを備える。
【0080】
被案内部441cは、案内部115と嵌合するように周方向に沿って凹凸状に形成されている。これにより、キャップ4(キャップ本体部42)が軸線方向を中心に回転されることに伴って、案内部115が被案内部441cを案内するため、キャップ4(キャップ本体部42)がバレル10(接続部130)に対して軸線方向を先端側に向けて移動する。
【0081】
移動規制部442は、移動部本体441の基端側から径方向内方に突出すると共に、周方向で延設されている。そして、移動規制部442の先端側の面は、径方向に沿って形成されていると共に、移動規制部442の基端側の面は、基端側へいくに従って径方向外方に向かうようなテーパ状に形成されている。なお、移動規制部442は、係合部材43が移動部材44を仮止めする際に、仮止部435と係合する。
【0082】
本実施形態に係るキャップ4、キャップ付きバレル、及びプレフィルドシリンジの構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るキャップ4によるノズル部111の封止方法及び開封方法について、図9〜図11を参酌して説明する。
【0083】
はじめに、封止部41でノズル部111を封止する方法について説明する。まず、図9に示すように、封止部41が係合部材43の内部に固定されていると共に、仮止部435が移動規制部442と係合することで、移動部材44が係合部材43に仮止めされている。
【0084】
そして、図10(a)に示すように、移動部材44が係合部材43に仮止めされた状態で、ノズル部111が封止部本体411の内部に挿入されるように、移動手段44の開口部441aを挿通する第1の押圧手段Yで係合部材43を基端側に向けて押圧する。その後、第1の押圧手段Yが係合部材43を押圧した状態で、さらに、図10(b)に示すように、第2の押圧手段Zで移動部材44を基端側に向けて押圧する。
【0085】
このとき、移動部材44が係合部材43に対して軸線方向を基端側に移動することに伴って、各弾性片433が基端側を径方向内方に移動するように弾性変形する。これにより、各突出部434の先端側に配置される係合部434bが径方向内方に移動するため、係合部434bが装着部133の基端側と係合する。
【0086】
併せて、係合規制部436と移動規制部442とが係合するため、移動部材44が軸線方向を先端側に向けて移動することを規制する。これにより、係合部434bが装着部133を係合する状態を維持できるため、キャップ4がバレル10に装着され、封止部41がノズル部111を封止する。
【0087】
次に、ノズル部111を開封する方法について説明する。まず、軸線方向を中心にキャップ4を回転させると、案内部115が被案内部441cを案内するため、キャップ本体部42が接続部130に対して軸線方向を先端側に向けて移動する。このとき、キャップ本体部42が移動するのに伴って、キャップ本体部42の一部が弾性変形する。これにより、係合部434bが装着部133に案内されるため径方向外方に移動し、係合部434bが装着部133と係合する状態が解除される。
【0088】
さらに、キャップ本体部42を接続部130に対して先端側に向けて移動させると、図11(a)に示すように、キャップ本体部42が接続部130の先端部から離脱し、キャップ4がバレル10から離脱する。それに伴って、封止部41もノズル部111から離脱するため、ノズル部111が開封される。
【0089】
ところで、離脱したキャップ本体部42を接続部130に再装着することを試みた場合には、図11(b)に示すように、キャップ本体部42の再装着防止部434aが接続部130の装着部133を係止する。したがって、離脱したキャップ本体部42を接続部130に装着することはできない。
【0090】
以上より、本実施形態係るキャップ4及びキャップ付きバレルによれば、キャップ本体部42が接続部130の外周部に装着されている。そして、キャップ本体部42が接続部130に対して軸線方向を先端側に向けて移動することで、キャップ本体部42が接続部130の先端部から離脱される。
【0091】
その後、キャップ本体部42が接続部130を係止する再装着防止部434aを備えるため、離脱されたキャップ本体部42が接続部130に再装着されることを防止できる。したがって、ノズル部111が開封されると、その後、封止部41が再びノズル部111を封止する状態に戻すことを防止できるため、ノズル部111が開封されたことを容易に認識することができる。
【0092】
また、本実施形態係るキャップ4及びキャップ付きバレルによれば、係合部材43の各弾性片433は、軸線方向に沿って配置されていると共に、基端側に向けて径方向外方に拡がるように配置されている。そして、係合部材43の外側に配置される筒状の移動部材44が、係合部材43に対して軸線方向を基端側に移動すると、各弾性片433が基端側を径方向内方に移動するように弾性変形するため、各弾性片433の基端側から径方向内方に突出する係合部434bが、径方向内方に移動して接続部130と係合する。
【0093】
これにより、係合部材43が各係合部434bを介して接続部130と係合するため、キャップ本体部42が接続部130の内周部に装着される。さらに、係合部材43及び移動部材44の各規制部436,442は、移動部材44が係合部材43に対して軸線方向を先端側に向けて移動することを規制する。したがって、係合部434bが接続部130と係合する状態を維持できるため、キャップ本体部42が接続部130に装着される状態を維持できる。
【0094】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上記した複数の実施形態の各構成や各方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る各構成や各方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0095】
例えば、上記実施形態に係るキャップ2,4においては、封止部21,41とキャップ本体部22,42とが別部材である構成を説明したが、斯かる構成に限られない。具体的には、図12及び図13に示すように、封止部611とキャップ本体部612とは、一体成形された一つの部材61である構成でもよい。
【0096】
また、上記第1実施形態に係るキャップ付きバレルにおいては、接続部23がキャップ2に設けられ且つバレル本体部11のバレル固定部114に装着される構成を説明し、上記第2実施形態に係るキャップ付きバレルにおいては、接続部130がバレル10に設けられ且つバレル本体部110に一体成形されて固定される構成を説明したが、斯かる構成に限られない。
【0097】
例えば、接続部は、バレル本体部のノズル部と一体成形されて固定される構成でもよく、また、図12及び図13に示すように、接続部62は、バレル本体部51のノズル部511に装着される構成でもよい。即ち、接続部は、バレルに設けられてもよく、キャップに設けられてもよく、要するに、バレル本体部に固定される構成であればよい。
【0098】
また、上記第1実施形態に係るキャップ2においては、接続部23の内周部が弾性部224及び再装着防止部225と離間していることで、封止部21がノズル部111を封止する際に、弾性部224が弾性変形するのを防止できる構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、図12及び図13に示すように、接続部62の内周部が弾性部612aと接する構成であって、接続部62が弾性部612aを直接的にも間接的にも押圧していないため、弾性部612aが弾性変形することを防止している構成でもよい。
【0099】
ここで、図12及び図13に示すキャップ6及びキャップ付きバレルについて、説明する。図12及び図13に係るキャップ付きバレルは、先端部にノズル部511を有するバレル5と、バレル5に装着されるキャップ6とを備える。
【0100】
キャップ6は、ノズル部511を封止するキャップ部61と、ノズル部511に固定されると共に、キャップ部61を内周部に装着する筒状の接続部62とを備える。なお、キャップ部61は、例えば、ゴム等の樹脂で形成されており、接続部62は、例えば、プラスチック等の樹脂で形成されている。
【0101】
キャップ部61は、ノズル部511を封止する封止部611と、封止部611を内部に配置すると共に、封止部611を固定する筒状のキャップ本体部612とを備える。なお、封止部611とキャップ本体部612とは、一体成形された一つの部材で構成されている。
【0102】
キャップ本体部612は、接続部62に対して軸線方向を先端側に向けて移動する際に、径方向で弾性変形する弾性部612aと、弾性部612aに連結され、離脱された後に接続部62に再装着されることを防止すべく、接続部62を係止する再装着防止部612bとを備える。そして、弾性部612aは、径方向に突設されていると共に、再装着防止部612bは、弾性部612aの基端側に配置されている。
【0103】
そして、図12(a)に示す状態から、キャップ6をバレル5に押し込むと、図12(b)に示すように、ノズル部511が接続部62を固定する。これにより、キャップ6がバレル5に装着されると共に、封止部611がノズル部511を封止する。このとき、キャップ部61の外周部と接続部62の内周部とが互いに対応するように形成されているため、封止部611がノズル部511を封止する際に、弾性部612aが弾性変形することを防止している。
【0104】
次に、キャップ部612の外周部と接続部62の内周部とを螺合させると、初期位置に位置するキャップ部61(キャップ本体部612)が接続部62に対して先端側に向けて移動する。このとき、キャップ部61(キャップ本体部612)が移動するのに伴って、弾性部612a及び再装着防止部612bが接続部62に径方向内方に押圧されるため、弾性部612aが弾性変形する。
【0105】
さらに、キャップ部61(キャップ本体部612)を接続部62に対して先端側に向けて移動させると、図13(a)に示すように、キャップ部61(キャップ本体部612)が接続部62の先端部から離脱する。それに伴って、封止部611もノズル部511から離脱するため、ノズル部511が開封される。なお、接続部62の内周部に配置されるネジ部は、ルアロック式の注射針やアクセスポート等と螺合できる。
【0106】
ところで、離脱したキャップ部61(キャップ本体部612)を接続部62に再装着することを試みた場合には、弾性部612aが復元しているため、図13(b)に示すように、再装着防止部612bが接続部62の先端部を係止する。したがって、離脱したキャップ部61(キャップ本体部612)を接続部62に装着することはできない。
【0107】
また、上記第1実施形態に係るキャップ2においては、弾性部224がキャップ本体部22に設けられる構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、弾性部は、接続部に設けられる構成でもよく、また、キャップ本体部及び接続部の双方にそれぞれ設けられる構成でもよい。
【0108】
また、上記第1実施形態に係るキャップにおいて、キャップ本体部の再装着防止部が接続部23の接続螺合部233と螺合する構成でもよい。
【0109】
また、上記第2実施形態に係るキャップ4においては、弾性片433,…が八つ設けられる構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、弾性片433は、一つ設けられる構成でもよく、また、二つ〜七つ設けられる構成でもよく、さらには、九つ以上設けられる構成でもよい。
【0110】
また、上記第2実施形態に係るキャップ4においては、規制部436,442が係合部材43と移動部材44との双方にそれぞれ設けられる構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、規制部は、係合部材のみに設けられる構成でもよく、また、移動部材のみに設けられる構成でもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…バレル、2…キャップ、3…プランジャ、4…キャップ、5…バレル、6…キャップ、10…バレル、11…バレル本体部、21…封止部、22…キャップ本体部、23…接続部、31…ガスケット、32…プランジャロッド、41…封止部、42…キャップ本体部、43…係合部材、44…移動部材、51…バレル本体部、61…キャップ部、62…接続部、110…バレル本体部、111…ノズル部、130…接続部、224…弾性部、225…再装着防止部、433…弾性片、434a…再装着防止部、434b…係合部、436…規制部、442…規制部、511…ノズル部、611…封止部、612…キャップ本体部、612a…弾性部、612b…再装着防止部、X…充填物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部にノズル部を有するバレル本体部と、ノズル部を封止する封止部と、封止部を内部に配置すると共に、封止部を固定する筒状のキャップ本体部と、バレル本体部の先端部に固定されると共に、キャップ本体部を外周部又は内周部に装着する筒状の接続部とを備え、
キャップ本体部は、接続部の先端部から離脱されるべく、接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動可能に構成されるキャップ付きバレルであって、
キャップ本体部及び接続部のうち一方は、離脱されたキャップ本体部が接続部に再装着されることを防止すべく、他方を係止する再装着防止部を備えることを特徴とするキャップ付きバレル。
【請求項2】
バレル本体部の先端部に設けられるノズル部を封止する封止部と、封止部を内部に配置すると共に、封止部を固定する筒状のキャップ本体部と、バレル本体部の先端部に固定されると共に、キャップ本体部を外周部又は内周部に装着する筒状の接続部とを備え、
キャップ本体部は、接続部の先端部から離脱されるべく、接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動可能に構成されるキャップであって、
キャップ本体部及び接続部のうち一方は、離脱されたキャップ本体部が接続部に再装着されることを防止すべく、他方を係止する再装着防止部を備えることを特徴とするキャップ。
【請求項3】
キャップ本体部又は接続部は、キャップ本体部が接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動する際に、径方向で弾性変形する弾性部を備え、
再装着防止部は、弾性部に連結される請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
キャップ本体部は、接続部の内周部に装着されると共に、弾性部は、キャップ本体部に設けられ、
接続部は、封止部がノズル部を封止する際に弾性部が弾性変形することを防止するように、内周部を形成している請求項3に記載のキャップ。
【請求項5】
バレル本体部の先端部に設けられるノズル部を封止する封止部と、封止部を内部に配置すると共に、封止部を固定する筒状のキャップ本体部とを備え、
キャップ本体部は、バレル本体部の先端部に設けられる筒状の接続部の外周部又は内周部に装着されると共に、接続部の先端部から離脱されるべく、接続部に対して軸線方向を先端側に向けて移動可能に構成されるキャップであって、
キャップ本体部は、離脱された後に接続部に再装着されることを防止すべく、接続部を係止する再装着防止部を備えることを特徴とするキャップ。
【請求項6】
接続部は、キャップ本体部を内周部に装着し、
キャップ本体部は、接続部に装着されるべく、接続部と係合する係合部材と、係合部材の外側に配置され、係合部材に対して軸線方向を基端側に向けて移動可能な筒状の移動部材とを備え、
係合部材は、軸線方向に沿って配置され且つ基端側に向けて径方向外方に拡がるように配置される弾性片と、弾性片の基端側から径方向内方に突出し、移動部材が軸線方向を基端側に移動して弾性片が基端側を径方向内方に移動するように弾性変形することで、接続部と係合する係合部とを備え、
係合部材及び移動部材のうち少なくとも何れか一方は、係合部が接続部と係合する状態を維持すべく、移動部材が係合部材に対して軸線方向を先端側に向けて移動することを規制する規制部を備える請求項5に記載のキャップ。
【請求項7】
請求項1に記載のキャップ付きバレルと、バレル本体部の内部に充填された充填物を封止すべくバレル本体部の内部に挿入される弾性のガスケットとを備えることを特徴とするプレフィルドシリンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−78443(P2013−78443A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219539(P2011−219539)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【Fターム(参考)】