説明

キャップ付きペン

【課題】軸部の頭部にキャラクター等の装飾柄が表現されているペンにおいて、キャップの着脱を繰り返しても、その装飾柄がキャップの内側面によって擦られて損傷するおそれのない、キャップ付きペンを提供することを課題とする。
【解決手段】装飾柄表現部26を有するペン先部を備えた軸部1とペン先部に被装されるキャップ11とから成るペンであって、キャップ11は、外筒13と、その内側に形成された外筒13よりも短寸の内筒14とを有していて、外筒13はペン先部を非接触状態にてカバーし、内筒14はペン先部の芯保持部23を密に嵌合保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ付きペンに関するものであり、より詳細には、キャップ装着時に隠れることになる軸部にキャラクター等の装飾柄が表現されている水性ペン、油性ペン、蛍光ペン等のペンで、キャップ装着時及び取り外し時に、当該軸部の装飾柄がキャップに擦られて損傷するおそれのないキャップ付きペンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記水性ペン、油性ペン、あるいは、蛍光ペン等のペンには、ペン先部分を保護すると共に乾燥を防ぐために、その軸部にキャップが嵌め付けられる。このキャップは、特に芯部分の乾燥防止の観点から、軸部の頭部に、比較的緊密な状態に嵌め付けられる。そのため、キャップの着脱時において、キャップの内側面が、全体的に又は部分的に軸部の頭部に摺接することになる。
【0003】
上記ペンの中には、軸部の頭部にキャラクター等の装飾柄が表現されているものが存する。これは、キャップの着脱に伴って、その装飾柄が見え隠れする面白さを狙ったものである。この種ペンの場合、キャップを着脱する度に、装飾柄を表現した軸部の頭部がキャップの内側面によって擦られるため、その装飾柄が次第に擦れ落ちてしまうという問題がある。
【0004】
なお、内蓋と外蓋とを備えた二重構造の筆記具用キャップを開示するものとして、実開平6−16090号公報(特許文献1)、実開平5−41875号公報(特許文献2)、及び、実開平5−41874号公報(特許文献3)がある。これらはいずれも、キャップ誤飲による窒息事故を防ぐために、内蓋と外蓋との間に間隙を設け、当該間隙が外蓋の頭部から下部開口部まで連通するようにすることにより、通気路が確保されるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−16090号公報
【特許文献2】実開平5−41875号公報
【特許文献3】実開平5−41874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の水性ペン、油性ペン、あるいは、蛍光ペン等のペンで、軸部の頭部にキャラクター等の装飾柄が表現されているものにおいては、度重なるキャップの着脱に伴って軸部の頭部がキャップの内側面によって擦られ、その装飾柄が次第に擦れ落ちてしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明はそのような問題のない、即ち、軸部の頭部にキャラクター等の装飾柄が表現されているペンにおいて、キャップの着脱を繰り返しても、その装飾柄がキャップの内側面によって擦られて損傷するおそれのない、キャップ付きペンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、装飾柄表現部を有するペン先部を備えた軸部と、前記ペン先部に被装されるキャップとから成るペンであって、前記キャップは、外筒と、その内側に形成された前記外筒よりも短寸の内筒とを有していて、前記外筒は前記ペン先部を非接触状態にてカバーし、前記内筒は前記ペン先部の芯保持部を密に嵌合保持することを特徴とするキャップ付きペンである。
【0009】
好ましい実施形態においては、前記ペン先部における装飾柄表現部は、ペン先部本体のインク含浸体を内蔵するインク貯蔵部に被装される装飾カバーであり、また、前記装飾カバーは、前記軸部の頭部に形成されるオネジ筒にねじ付けられ、前記インク貯蔵部は、その下部が前記オネジ筒内に嵌合された状態で前記装飾カバー内に収められる。
【0010】
また、好ましい実施形態においては、前記ペン先部本体は、前記インク貯蔵部と共に、その上面に連設される前記インク貯蔵部よりも細径の芯保持部を有し、前記装飾カバーにはその上面に前記芯保持部を突出させるための円孔が形成され、前記円孔から突出する前記芯保持部が前記内筒内に嵌入する。
【0011】
更に好ましい実施形態においては、前記装飾カバーとして、その外周面に異なる装飾柄が表現された複数種のものが用意されて選択交換可能にされ、また、前記ペン先部本体も同種のもの、あるいは、芯の色又は芯の種類の異なるものが用意されて、交換可能にされる。そして更に、前記軸部に、前記ペン先部による筆記機能とは別の筆記機能を持たせることもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述したとおりであって、本発明に係るキャップ付きペンは、装飾柄表現部を有するペン先部を備えた軸部と前記ペン先部に被装されるキャップとから成っていて、そのキャップは、外筒とその内側に形成された外筒よりも短寸の内筒とを有し、外筒はペン先部の装飾柄表現部を非接触状態にてカバーし、内筒はペン先部の芯保持部を密に嵌合保持するものであるため、外筒が装飾柄表現部に接触することがないので、キャップの着脱を繰り返しても、その装飾柄表現部がキャップの内側面によって擦られて損傷するおそれがなく、また、芯保持部は内筒内に密に嵌入するため、芯が乾燥するおそれがない効果がある。
【0013】
また、キャップ装着時には装飾柄表現部が隠れ、使用時にキャップを外すことにより当該装飾柄表現部が現れるため、遊び心が刺激される等の興趣感を抱いての使用が可能であり、装飾柄表現部を交換可能にした場合は、その興趣感がより一層向上する効果があり、更に、ペン先部本体を同種又は別種のものと交換可能にし、あるいは、軸部に、ペン先部による筆記機能とは別の筆記機能を持たせた場合は、長期使用及び多用途使用が可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るキャップ付きペンの外観例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るキャップ付きペンの構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明に係るキャップ付きペンの内部構造を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。図1は本発明に係るキャップ付きペンの外観例を示す斜視図であり、図2はその分解斜視図であり、図3はその内部構造を示す要部断面図である。そこに示されているように、本発明に係るキャップ付きペンは、装飾柄表現部を有するペン先部を備えた軸部1と、ペン先部に被装されるキャップ11とから成る。
【0016】
軸部1は単なる筒体であってもよいが、ペン先部による筆記機能とは別の筆記機能を持たせることもある。即ち、1又は複数のボールペン芯やシャープ芯を内蔵させ、回転胴2を回すことにより、その芯が下端部から出没可能となるように構成することもできる。そのための構成は、一般的筆記具において周知であるので、詳細な説明は省略する。軸部1の上端部には、段部3を設けると共にオネジ筒4が形成される。
【0017】
キャップ11は、必要に応じてクリップ12を備え付けた外筒13と、外筒13の内側に、外筒13よりも短寸に形成された内筒14とを有して成る(図3参照)。後述するように、外筒13はペン先部を非接触状態にてカバーし、内筒14は、ペン先部の芯部分を密に嵌合保持する。
【0018】
図示した好ましい実施形態においては、ペン先部は、ペン先部本体21と、装飾柄表現部である装飾カバー26とで構成される。そして、ペン先部本体21は、インク含浸体を内蔵するインク貯蔵部22と、インク貯蔵部22の上面に連設されるインク貯蔵部22よりも細径の芯保持部23とから成り、インク貯蔵部22の上面に段部24が形成される。通例、芯保持部23の上面は先細にされ、その先端から芯25が出される。
【0019】
装飾カバー26はその内側面下部に、軸部1のオネジ筒4にねじ付けるためのメネジ部27が刻設され、また、その上面に、芯保持部23を突出させるための円孔28が形成される。装飾カバー26の外径は、外筒13の内径より僅かに小となるように設定され、また、通例、その外径は軸部1の外径と同一にされる。
【0020】
装飾カバー22の外周面には、適宜装飾柄29が表現されるが、異なる装飾柄29を表現した複数種のものを用意しておき、使用者が任意に選択して交換できるようにすることが好ましい。なお、装飾柄29は、装飾カバー26のみならず、軸部1に連続するように表現するようにしてもよい。
【0021】
また、ペン先部本体21は、同種又は別種のものと交換可能にすることが好ましい。そのために、インク貯蔵部22と芯保持部23の部分の形状とサイズが共通であって、芯25として同種で色の異なるものが用意され、あるいは、水性ペン、油性ペン、蛍光ペン、ボールペンのように種類の異なるものが用意される。
【0022】
上記構成において、ペン先部本体21は、そのインク貯蔵部22の下部がオネジ筒4内に嵌合されることにより、軸部1に装填される。そして、その状態で上方から装飾カバー26が被せられ、その芯保持部23が装飾カバー26の円孔28から出される。装飾カバー26は、その状態のまま、下端が軸部1の段部3に当たるまでオネジ筒4にねじ付けられて固定される。その際、ペン先部本体21は、その段部24が円孔28の内側縁部によって押さえ付けられることにより、ガタつくことなく確固と保持される。
【0023】
この状態でキャップ11を被せると、装飾カバー26の円孔28から突出している芯保持部23がキャップ11の内筒14内に密に嵌合して確固と保持されるため、芯25は乾燥することなく、安定した状態を保つ。
【0024】
また、その際、装飾カバー26は外筒13に覆われることになるが、外筒13の内径は装飾カバー26の外径よりも僅かに大であるため、外筒13の内周面と装飾カバー26の外周面との間には僅かな隙間ができる。そのため、ペン先部に対するキャップ11の着脱を繰り返しても、装飾カバー26の装飾柄29がキャップ11の内側面によって強く擦られて損傷するおそれはない。
【0025】
本発明は上記のとおりのものであり、キャップ11の装着時には装飾カバー26が隠れてその装飾柄29も隠れるが、使用時にキャップ11を外すことにより、その装飾柄29を楽しむことができ、十分な興趣感を抱いての使用が可能となる。そして、装飾カバー26を交換可能にした場合は、自ら、あるいは、友人と交換したりしてその変化を楽しむことができる。更に、ペン先部本体21を同種又は別種のものと交換可能にし、あるいは、軸部1に芯を内蔵して独自の筆記機能を持たせることにより、長期使用及び多用途使用が可能となるものである。
【0026】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0027】
1 軸部
2 回転胴
3 段部
4 オネジ筒
11 キャップ
12 クリップ
13 外筒
14 内筒
21 ペン先部本体
22 インク内蔵部
23 芯保持部
24 段部
25 芯
26 装飾カバー
27 メネジ部
28 円孔
29 装飾柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾柄表現部を有するペン先部を備えた軸部と、前記ペン先部に被装されるキャップとから成るペンであって、前記キャップは、外筒と、その内側に形成された前記外筒よりも短寸の内筒とを有していて、前記外筒は前記ペン先部を非接触状態にてカバーし、前記内筒は前記ペン先部の芯保持部を密に嵌合保持することを特徴とするキャップ付きペン。
【請求項2】
前記ペン先部における装飾柄表現部は、ペン先部本体のインク含浸体を内蔵するインク貯蔵部に被装される装飾カバーである、請求項1に記載のキャップ付きペン。
【請求項3】
前記装飾カバーは、前記軸部の頭部に形成されるオネジ筒にねじ付けられる、請求項2に記載のキャップ付きペン。
【請求項4】
前記インク貯蔵部は、その下部が前記オネジ筒内に嵌合された状態で前記装飾カバー内に収められる、請求項3に記載のキャップ付きペン。
【請求項5】
前記ペン先部本体は、前記インク貯蔵部と共に、その上面に連設される前記インク貯蔵部よりも細径の芯保持部を有し、前記装飾カバーにはその上面に前記芯保持部を突出させるための円孔が形成され、前記円孔から突出する前記芯保持部が前記内筒内に嵌入する、請求項2乃至4のいずれかに記載のキャップ付きペン。
【請求項6】
前記装飾カバーとして、その外周面に異なる装飾柄が表現された複数種のものが用意され、選択交換可能にされる、請求項2乃至5のいずれかに記載のキャップ付きペン。
【請求項7】
前記ペン先部本体は、同種のもの、あるいは、芯の色又は芯の種類の異なるものと交換可能にされる、請求項1乃至6のいずれかに記載のキャップ付きペン。
【請求項8】
前記軸部に、前記ペン先部による筆記機能とは別の筆記機能を持たせた、請求項1乃至7のいずれかに記載のキャップ付きペン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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