説明

キャップ供給装置

【課題】キャップシュート6の先端のキャップ供給位置Aでキャップ8を吸引して保持する吸引保持手段16が、比較的弱い吸引力でキャップ8を保持できるようにする。また、タブ付きのキャップであっても、その向きを問わず、容器4にキャップ8を供給できるようにする。
【解決手段】傾斜して配置されたキャップシュート6の先端のキャップ供給位置にキャップ8の位置合わせを行う位置合わせ手段12aを設けるとともに、上方からキャップ8の天面8aを吸引してキャップ8を保持する吸引保持手段18を設ける。さらに、キャップ供給位置の下方に、上方へ向けてエアを噴射するエア噴射手段22を設け、シュート6内を上方から送られてきたキャップ8をこのエアによって浮き上がらせて、吸引保持手段18によって確実に保持できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャップ供給装置に係り、特に、キャップシュートによって一列で送られたキャップのうち先頭のキャップを、移動する容器等の物品で引っ掛けて取り出すようにしたキャップ供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器の搬送経路の上方に、キャップを単列で収容したシュートを配置し、その先端(下端)にキャップの一部を突出させた状態で保持し、下方の搬送経路を移行する容器の口部にキャップを引っ掛けて取り出し、自動的に容器に被せるようにしたキャップ供給装置がすでに知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載された発明では、ベルトコンベヤ等の容器を単列で移送する経路上を一定間隔で容器を移送し、この容器移送経路の上方にキャッピングシュートを配置して、下端部を容器の移送経路に向けて斜めに臨ませており、かつ、このキャッピングシュートの先端の下端面を容器移送経路と平行になるように水平に形成し、さらに、キャッピングシュートの先端部両側壁間の間隔がキャップの外径よりもやや小さく設定して、シュート内を落下してくる最先端のキャップを、下面の開口から一部を突出させた状態に保持するようになっている。
【0004】
前記のように移動する容器の口部によってシュートの先端に保持されているキャップを引っ掛けて取り出すことにより確実に容器に供給するためには、キャップを容器の口部の移動線上に正確に位置させて、常に正しい姿勢に保持しなければならない。そこで、特許文献1の発明では、シュートの下端部上壁にキャップ吸着部材を設け、このキャップ吸着部材の内部に形成した負圧室を、エアホースを介して真空源に接続するとともに、負圧室の下壁すなわちシュートの上壁に多数の空気吸引孔を設け、シュート内を落下してくるキャップを吸引して保持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭52−25467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載された発明では、シュートの先端まで送られてきたキャップを確実に保持するために、真空源に接続された負圧室の底面に多数の吸引孔を設けているが、このような構成では、容器の口部でキャップを引っ掛けて取り出す際に、負圧によるキャップの吸引力が強く、キャップを保持している時間も長くなるため、取り出しの途中でキャップの側壁が変形してしまい、うまく取り出せないおそれがあった。また、タブの付いたキャップの場合には、タブの向きによって吸引孔で保持する位置がずれるおそれがあるのに加え、引っ掛けて取り出す際に、タブが下壁と接触して変形するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、キャップシュートの先端部に水平面に対して傾斜した状態で保持されたキャップの内面に、移動する物品を引っ掛けてこのキャップを取り出すキャップ供給装置において、前記キャップシュートの先端のキャップ取り出し位置に、キャップの天面を吸引して保持するキャップ保持手段を設けるとともに、前記キャップ取り出し位置の下方に、下方から上方へ向けてエアを噴射するエア噴射手段を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記キャップ取り出し位置に、キャップ保持手段によって吸引保持されるキャップの位置合わせを行う位置合わせ手段を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
さらに、第3の発明は、前記第1の発明または第2の発明において、前記エア噴射手段によるエア噴射によって、キャップを取り出し位置まで搬送することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のキャップ供給装置は、シュートのキャップ供給位置に、キャップの天面を吸引保持するキャップ保持手段に加えて、下方から上方へ向けてエアを噴射するエア噴射手段を設けたので、キャップをシュート先端部の所定の位置に正確に位置決めして保持するとともに、容器等の物品を引っ掛けてキャップを取り出す際に、容易にシュートから引き離すことができるという利点がある。また、タブの付いたキャップであっても、位置ずれが起きたりタブが変形することはなく、容器にキャップを供給することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1はキャップ供給装置の側面図である。(実施例1)
【図2】図2はキャップシュートの要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
キャップシュートが水平面に対して傾斜した状態で配置され、このキャップシュートによってキャップが傾斜した状態で送られており、キャップシュートの下端部には、キャップの位置合わせをして一時的に停止させる位置合わせ手段が設けられている。このキャップが停止するキャップ供給位置に、上方からキャップの天面を吸引して保持する吸引保持手段に加えて、下方から上方へ向けてエアを噴射してキャップを上昇させるエア噴射手段を設けたので、キャップ吸引保持手段の吸引力を弱くしても確実にキャップを吸着することができ、しかも、物品によってキャップの先端を引っ掛けて取り出す際に、大きな力を必要とせず、キャップの変形を防止することができるという目的を達成する。
【実施例1】
【0013】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この実施例に係るキャップ供給装置は、容器搬送コンベヤ2によって搬送されている容器4に、キャップシュート6によって上方から送られてきたキャップ8を供給する装置であり、シュート6内を落下してその先端に保持されているキャップ8(図1および図2中に符号8Aで示すキャップ参照)を、搬送コンベヤ2によってシュート6の下方を搬送されている容器4の口部4aに引っ掛けてシュート6から取り出すことにより、容器4にキャップ8を供給する。
【0014】
容器4を搬送する搬送コンベヤ2は、水平に配置され、一定の間隔で容器4を連続的に搬送する。この実施例では、キャップ8が供給される容器4は、大径の胴部4bの上端に大きい開口の口部4aを有している。この容器4の口部4aに被せられるキャップ8は、成形機でアルミシートから成形されたアルミキャップであり、成形された後エア搬送でこのキャップシュート6に送られる。キャップ8は、容器4の口部4aよりもやや大径の天面8aと、この天面8aの下方に設けられた長さの短い筒状部8bを有している。この短い筒状部8bは下方に向けて次第に径が大きくなる形状をしている。
【0015】
キャップシュート6は、水平面に対して傾斜して配置されており、キャップ8はこのキャップシュート6内を傾斜した状態で送られてくる。キャップシュート6内でのキャップ8の搬送は、上方のエア搬送に加えて、キャップ8の自重により行われる。なお、キャップ8の搬送は、エア搬送である必要はなく、ベルト搬送等であってもよい。
【0016】
キャップシュート6は、下方側に配置された底部支持板10と、両サイドに配置されたサイドガイド部材12とを備えている。この実施例では、円筒部8bの下端にタブ(図示せず)が付いたキャップであってもタブの向きを問わずに搬送できるように、サイドガイド部材12は両側部全体を覆うものではなく、上方の一部だけをガイドするようになっており、下部側14は開放しているので、キャップ8のタブとサイドガイド部材12とが接触して変形することはない。但し、この開放している部分14の高さは、キャップ8の筒状部8bの高さよりも低いことはいうまでもない。また、キャップシュート6の少なくとも下流端部には、上方ガイド16が設けられている。
【0017】
両サイドガイド部材12の先端には、図2に示すように、内側に向かって突出した位置合わせ部12aが設けられている。これら両位置合わせ部12a間の距離は、キャップ8の天面部8aの直径よりも僅かに小さくなっており、シュート6内を送られてきたキャップ8が、この位置合わせ部12aに係合して、前方側の一部8cが両サイドガイド部材12の先端面12bから前方側へ飛び出した状態で停止するようになっている。この位置Aが請求項1および請求項3に記載したキャップ供給位置である。このキャップ供給位置Aに停止したキャップ8の円筒部8bの内面側に、容器4の口部4aを引っ掛けて容器4を前進させることにより、キャップ8を両位置合わせ部12aから強制的に取り出せるようになっている。さらに、両サイドガイド部材12の位置合わせ部12aの近くの内面12c(キャップ8をガイドする面)は、キャップ8がスムーズに移動できるように円弧状に形成されている。なお、シュート6の先端に設けられた位置合わせ部12aは、図示の構成に限定されるものではなく、サイドガイド部材12と別体に設けてもよく、また、異なる形状であっても取り出されるキャップ8が位置合わせされるものであればよい。
【0018】
底部支持板10は、シュート6先端部の前記位置合わせ部12aによって先頭のキャップ8を停止させる位置(キャップ供給位置Aとそのやや上流側の部分)の下方が切り取られており、シュート6の下方が開放している。この先頭のキャップ8が停止する位置の上方に、キャップ8を吸引して保持する吸引保持手段18が設けられている。この実施例では、上方ガイド16を貫通する2本の吸引孔16aが形成されている。これら吸引孔16aは、上方ガイド16の上面に形成された吸引凹部16bに連通しており、この吸引凹部16bが、吸引通路20を介して図示しない真空源に接続されている。シュート6を落下してきた先頭のキャップ8(8A)は、これら2本の吸引孔16aによって吸引されて保持される。これら吸引孔16aは、シュート6内の先頭のキャップ8(8A)の、前方寄りの部分の2箇所を吸引するようになっている(図2参照)。
【0019】
両サイドガイド部材12の下方に、シュート6内を送られてきた先頭のキャップ8に下方からエアを吹き付けて浮き上がらせるエア噴射手段22が設けられている。各エア噴射手段22は、それぞれ各サイドガイド部材12の下方に配置されており、圧縮エアが送られるエア通路24を備えている。このエア通路24は、後端部(図2の右端)が図示しないエア供給源に接続されるとともに、その先端部に、複数のエア噴出口24aが設けられており、これらエア噴出口24aからエアを噴射するようになっている。この実施例では、各エア通路24は、シュート6内のキャップ移送通路(両側のサイドガイド部材12の間)の外側に位置している。従って、エア噴出口24aは、キャップ移送通路側を向けて斜め上方を向いておりキャップ8の下面側にエアを吹き付けてこのキャップ8を上方へ浮き上がらせることができる。また、エア噴出口24aは、シュート6の上流から送られてきたキャップ8が停止することなくシュート6の先端のキャップ供給位置Aまで送られるように、やや斜め前方側を向けてエアを噴射するようになっている。
【0020】
シュート6内を送られて下流端に到達したキャップ8(8A)は、前記のような位置合わせ部12aによって位置合わせされ、上方の吸引孔16aによって吸引されてそのキャップ供給位置Aに保持される。このときには、キャップ8(8A)の前方側の一部8c(図2参照)が、両サイドガイド部材12の先端面12bよりも前方に突出している。しかも、シュート6の先端部に傾斜した状態で保持されているキャップ8(8A)の前方側の一部8cは、下方を搬送されている容器4の口部4aの上端面が通過していく水平面よりも下方に突出している(図1参照)。従って、キャップ吸引保持手段18によってキャップ供給位置Aに保持されているキャップ8に対し、下方を搬送されていく容器4の口部4aが、筒状部4bの内面に係合するようになっている。
【0021】
以上の構成に係るキャップ供給装置の作動について説明する。上方のキャップ成形機(図示せず)で成形されたアルミキャップ8(なお、キャップの材質はアルミに限るものではない)は、エア搬送でシュート6の上端に運ばれてシュート6内に投入される。シュート6内では、前記エア搬送による搬送力とキャップ8の自重によって下流側に落下してくる。底部支持板10上を落下してくるキャップ8は、両側のサイドガイド部材12が、キャップ8の上部だけをガイドするようになっており、下部側は空間になっているので、下端部にタブが付いているキャップ等でも、タブの向きが何れであってもサイドガイド部材12との接触によって傷付いてしまうおそれがない。
【0022】
キャップ8が、シュート6の先端部側の底部支持板10が無い部分に来ると、エア噴射手段22のエア噴射口24aから噴射されたエアによってキャップ8が浮き上がった状態になり、しかも、キャップ8は、前方へ向けられたこの噴射エアによって前進される。キャップ8が両側のサイドガイド部材12の先端の位置合わせ部12aに到達すると、前面側をこの位置合わせ部12aで位置合わせされるとともに、上方の吸引保持手段18の吸引孔16aから吸引されてシュート8の上方ガイド16に吸着され、キャップ供給位置Aに保持される。
【0023】
前記シュート6の下方では、搬送コンベヤ2によって容器4が所定の間隔をあけて一列で搬送されている。シュート6の先端部のキャップ供給位置Aに停止しているキャップ8(8A)の前端部側8cが、この搬送されている容器4の口部4aの上面よりも下方へ突出しているので、前記キャップ8の位置に容器4が到達すると、容器4の口部4aがキャップ8の筒状部8bの内面に係合し、容器4の前進とともにキャップ8がシュート6の位置合わせ部12aから取り出され、そのまま口部4a上に被せられる。この実施例では、キャップ吸引保持手段18の吸引孔16aの数が少ないため吸引力が弱く、しかも、係合した容器4の作用点からの距離も近いので、容器4によって作用する外力が小さくとも、キャップ8が吸引孔16aから容易に外れるようになっている。また、搬送されるキャップ8がタブ付きのキャップであっても、キャップ供給位置Aの下方には、底部支持板10が無いので、容器4によってキャップ8が引っ掛けられた際にキャップ8のタブと底部支持板10が接触して変形することもない。なお、前記実施例では、搬送コンベヤ2によって搬送されている容器4によって直接キャップ8を引っ掛けて取り出すようにしていたが、この構成に限るものではなく、例えば、ピッカ等の取り出し手段によってシュート6からキャップ8を取りだした後、容器に供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
A キャップ供給位置
4 物品(容器)
6 キャップシュート
8 キャップ
8a キャップの天面
18 キャップ保持手段
22 エア噴射手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップシュートの先端部に水平面に対して傾斜した状態で保持されたキャップの内面に、移動する物品を引っ掛けてこのキャップを取り出すキャップ供給装置において、
前記キャップシュートの先端のキャップ供給位置に、キャップの天面を吸引して保持するキャップ保持手段を設けるとともに、前記キャップ供給位置の下方に、下方から上方へ向けてエアを噴射するエア噴射手段を設けたことを特徴とするキャップ供給装置。
【請求項2】
前記キャップ供給位置に、キャップ保持手段によって吸引保持されるキャップの位置合わせを行う位置合わせ手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のキャップ供給装置。
【請求項3】
前記エア噴射手段によるエア噴射によって、キャップをキャップ供給位置まで搬送することを特徴とする請求庫1または請求項2に記載のキャップ供給装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−188152(P2012−188152A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54666(P2011−54666)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】