説明

キャップ取り外し機及びそのキャップ取外用プレート、並びにキャップの取り外し方法

【課題】被加工品のボス部に取り付けられたキャップを、自動的に、且つボス部が散開して配置されていても複数同時に取り外し可能なキャップ取り外し機の提供。
【解決手段】基台用プレート5の下支用ピンにキャップ取外用プレート3の挿通孔12を外挿させると共にキャップ取外用プレート3の貫通孔11の第1の孔部11Aに被加工品6のキャップ9が取り付けられたボス部8を挿入させた状態にし、ボス部8がキャップ取外用プレート3の貫通孔11の第2の孔部11B内に位置するように被加工品6をスライドさせ、被加工品6の基体7とキャップ9との隙間にキャップ取外用プレート3を差し込み、自動操作で押圧用プレート2をキャップ取外用プレート3側に下げ、押圧部材26でキャップ取外用プレート3を押し下げ、キャップ取外用プレート3の貫通孔11の第2の孔部11Bの周縁部位で被加工品6のボス部8からキャップ9のみを押圧して取り外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被加工品のうちの表面処理加工を回避したいボス部に取り付けられるキャップを取り外すための機器、キャップ取り外し機に用いられるキャップ取外用プレート、並びにこのキャップ取り外し機によるキャップの取り外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車外装用及び自動車内装用のエンブレム、その他の自動車用部品等の被加工品は、例えば特許文献1の段落番号「0079」に示されるように、メッキ等の表面処理加工が施されている。もっとも、この被加工品のうち自動車の本体等の他の部材に溶接する際の係合手段として被加工品から突出したボス部は、溶接が困難になるのを防止する必要から、表面処理加工されるのを回避するために、当該表面処理前にキャップが装着され、表面処理後に当該キャップが取り外されるようになっている。そして、このキャップの被加工品のボス部からの取り外しは従来においては手作業で行われており、キャップの取り外し作業ひいては被加工品の表面処理加工作業の煩雑化・長時間化を招いていた。
【0003】
このため、被加工品のボス部からのキャップの取り外し作業の自動化が要請されるところ、キャップを所定の機器や部材から取り外すためのキャップ取り外し機としては、例えば特許文献2に示されるキャップ取り外し装置等が既に公知となっている。
【0004】
この特許文献2に係るキャップ取り外し装置について概説すると、チューブの開口部に取り付けられた複数のキャップのうち横一列分を同じく横一列に並んだ複数の係合具により同時に係合して取り外すものとなっている。このキャップ取り外し装置についてより具体的に述べると、先端が細径の係合具をキャップの上面の凹部に係合された状態で、この係合具を垂直な姿勢から傾斜させることにより、キャップについてその開口部の一方側の縁部を支点として傾斜させて、キャップを当該開口部の他方側の縁部にてチューブから離隔させることで、キャップをチューブから取り外すものとなっている。
【特許文献1】特開2003−155574号公報
【特許文献2】特開2005−3425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、被加工品から突出した係合用のボス部の頂部から側方までの外面を覆うキャップは、特許文献2に示されるキャップのように係合具が係合可能な凹部を上面に有しないことから、かかる特許文献2に示されるキャップ取り外し装置をそのまま用いたのでは、本件の被加工品から突出したボス部を覆うキャップを取り外すことができない。
【0006】
しかも、この特許文献2に示されるキャップ取り外し装置では、キャップを複数同時に取り外すことができとしても、当該キャップが横一列に整然と並んでいる場合に限られ、キャップがある一定の範囲において散開するように配置されている場合にはキャップを複数同時に取り外すことができないという不具合を有する。
【0007】
そこで、本発明は、被加工品から突出したボス部の外面を覆うように取り付けられたキャップに対し、自動により且つある程度散開して配置されていても複数同時に取り外すことが可能なキャップ取り外し機及びそのキャップ取外用プレート、並びにキャップの取り外し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るキャップ取り外し機は、基体とこの基体から突出形成されたボス部とを有する被加工品の前記ボス部に取り付けられるキャップを取り外すキャップ取り外し機であって、前記ボス部に前記キャップが取り付けられた状態の前記被加工品を取り付けることができる貫通孔を有すると共に、前記貫通孔の近傍に配置された挿通孔を有するキャップ取外用プレートと、前記キャップ取外用プレートの上方に位置して前記キャップ取外用プレートを下方に押し下げるための押圧部材を有し、前記キャップ取外用プレートに対し遠近する方向に可動する押圧用プレートと、前記キャップ取外用プレートの下方に不動の状態で位置して、台座と、この台座の上面から延出して前記キャップ取外用プレートについて所定の上下動を許容しつつ支持する弾性支持機構と、前記台座の上面から延出して前記キャップ取外用プレートの前記挿通孔に挿通する下支用ピンとを有する基台用プレートとから構成され、前記キャップ取外用プレートの貫通孔は、前記被加工品キャップの最大外径寸法よりも大きな内径寸法を有する第1の孔部と、この第1の孔部から当該第1の孔部の径方向に沿って延出し、その延出方向と交差する方向における寸法が前記キャップの最大外径寸法よりも小さく且つ前記ボス部の外径寸法よりも大きな内径寸法を有する第2の孔部とから成り、前記キャップ取外用プレートと前記被加工品との位置関係は、前記キャップ取外用プレートの貫通孔の第1の孔部から第2の孔部が延出する方向に沿って一方が他方に対して相対的に変位可能であると共に、前記基台用プレートの下支用ピンは、前記被加工品の基体の下方に当接してこの被加工品を前記キャップ取外用プレートの上下動に関係なく前記基台用プレートから一定の距離を保持しつつ支えるように、軸方向に沿った寸法が固定されていることを特徴としている(請求項1)。この下支用ピンによる支えで、キャップ取外用プレートが下がっても、被加工品がこれと一緒に下がるのを回避している。また、下支用ピンをボス部の近傍に配置することにより被加工品を外す際にその負荷で当該被加工品が変形しないようにしている。押圧用プレートは、この押圧用プレートをキャップ取外用プレートに対し遠近するように上下動するための動力を得るために、その動力源としてエアプレス機のヘッド等と連結されている。更に、例えば、被加工品について、キャップ取外用プレートの貫通孔の第1の孔部から第2の孔部の延出方向に沿った方向にキャップ取外用プレートの表面上を滑らせる等してスライドさせることで、被加工品のボス部をキャップ取外用プレートの貫通孔の第2の孔部まで変位させる。ここで、被加工品は、例えば自動車の外装用及び内装用として取り付けられるエンブレム部材である。また、キャップ取外用プレートは、例えば板厚が0.5mmのSUSばね用鋼板で形成されたものとなっている。キャップ取外用プレートの貫通孔は第1の孔部と第2の孔部とで例えばダルマ形状をなしている。これにより、被加工品を貫通孔の第1の孔部から第2の孔部側にスライドさせることで、キャップと被加工品のボス部との間にキャップ取外用プレートの貫通孔の第2の孔部の周縁部位が入り込む。
【0009】
そして、前記基台用プレートは、前記キャップ取外用プレートの挿通孔に挿通可能な取外用ピンを有しており、この取外用ピンは、前記被加工品の基体に当接可能な当接部と、前記当接部と前記基台用プレートの台座との間に介在される弾性部とから成り、この弾性部が圧縮されていない状態では、前記当接部の頂部が前記キャップ取外用プレート及び前記下支用ピンの頂部よりも上方に突出したものとなっている(請求項2)。これにより、被加工品の基体は取外用ピンによりキャップ取外用プレートの上面から浮いた状態となり、被加工品は取り易くなる。
【0010】
また、この発明に係るキャップ取り外し機は、前記キャップ取外用プレートの前記基体の下面と当接可能な上面を備え、この上面に前記キャップ取外用プレートを固定することができると共に、このキャップ取外用プレートが固定された際に前記キャップ取外用プレートの貫通孔及び挿通孔と連通する貫通孔及び挿通孔が形成された固定用プレートを更に有し、この固定用プレートは、前記キャップ取外用プレートと一体的に前記被加工品との位置関係が変位すると共に、その貫通孔は、その全範囲において前記キャップの最大外径寸法よりも大きな内径寸法である(請求項3)。この固定用プレートは、キャップ取外用プレートの剛性が相対的に低い場合には、このキャップ取外用プレートの剛性を補助する役割と共に取外用ピンをガイドする役割も果たす。更に、前記押圧用プレートは、前記キャップ取外用プレート側に前記被加工品の飛び上がりを防止するための抑え部材が設けられたものとなっている(請求項4)。これにより、被加工品のボス部からキャップが外れた際に、取外用ピンの弾性部が保持していた復元力(バネ力)が解放されても、取外用ピンの急激な押圧で被加工品が飛び上がるのが抑えられる。
【0011】
この発明に係るキャップの取り外し方法は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のキャップ取り外し機を用いたキャップの取り外し方法であって、前記基台用プレートの下支用ピンに前記キャップ取外用プレートの挿通孔を合わせて、前記下支用ピンを挿通孔に挿通させ、前記キャップ取外用プレートの貫通孔の第1の孔部に前記被加工品のキャップが取り付けられた状態のボス部を挿入させる過程と、前記被加工品のボス部が前記キャップ取外用プレートの貫通孔の第2の孔部に位置するように、前記被加工品と前記キャップ取外用プレートとの位置関係を記キャップ取外用プレートの貫通孔の第1の孔部から第2の孔部が延出する方向に沿って一方が他方に対して相対的に変位するように動かして、前記被加工品の基体とキャップとの隙間に前記キャップ取外用プレートの貫通孔のうち前記第2の孔部の周縁部位を入り込ませる過程と、前記押圧用プレートを前記キャップ取外用プレートに向けて下方に移動させて、前記押圧用プレートの押圧部材で前記キャップ取外用プレートを押圧し、これを受けてキャップ取外用プレートの貫通孔のうち第2の孔部の周縁部位が前記被加工品のボス部に取り付けられたキャップを押圧して前記ボス部から取り外す過程とを含むこととなる(請求項5)。そして、この発明に係るキャップの取り外し方では、前記基台用プレートの取外用ピンが前記キャップ取外用プレートの挿通孔から当該キャップ取外用プレートの上面よりも上方に突出した状態にある場合に、この取外用ピンの当接部の頂部に前記被加工品を載せる過程と、前記被加工品をその前記被加工品の下面が前記下支用ピンに当接するまで押圧して前記取外用ピンの弾性部を圧縮させる過程と、前記キャップが前記被加工品のボス部から外れることで、前記取外用ピンの弾性部が圧縮された状態から復元させる過程とを更に含む(請求項6)。
【0012】
そして、この発明に係るキャップ取り外し機の主な構成部品であるキャップ取外用プレートに着目すると、基体とこの基体から突出形成されたボス部とを有する被加工品の前記ボス部に取り付けられるキャップを取り外すために用いられるキャップ取外用プレートであって、前記基体と前記キャップの前記被加工品側の端部との隙間と略同じ厚みを有する平坦な形状を成すと共に前記被加工品から突出したボス部と対応した位置に複数の貫通孔を有し、前記貫通孔は、前記キャップの最大外径寸法よりも大きな内径寸法を有する第1の孔部と、この第1の孔部から当該第1の孔部の径方向に沿って延出し、その延出方向と交差する方向における寸法が前記キャップの最大外径寸法よりも小さく且つ前記ボス部の外径寸法よりも大きな内径寸法を有する第2の孔部とから成り、前記貫通孔の近傍に前記被加工物を下方から支持する下支用ピンが挿通可能な挿通孔を更に有するものとなっている(請求項7)。そして、キャップ取外用プレートは、前記貫通孔の近傍に前記被加工物の取り外しを容易にするための取外用ピンが挿通可能な挿通孔を更に有するものとなっている(請求項8)。
【0013】
これらにより、被加工品のボス部に取り付けられたキャップを人の手に依らずに自動的に取り外すことが可能となる。また、被加工品のボス部の配置が散開した状態でも、キャップ取外用プレート等に貫通孔を形成する位置をこのボス部の配置に合わせるだけで、対応することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、請求項1から請求項8に記載の発明によれば、被加工品のボス部に取り付けられたキャップは、キャップと被加工品の基体との間にキャップ取外用プレートの貫通孔の第2の孔部の周縁部位を入り込ませ、被加工品の位置は不変としたままキャップ取外用プレートを下げる動作を自動的に行うことで、キャップがキャップ取外用プレートの貫通孔の第2の孔部の周縁部位で押されて、被加工品のボス部からキャップが外れ、しかも、複数のキャップが一度に外れるので、被加工品のボス部から複数のキャップの取り外す作業を手作業で行う場合に比し、作業の簡便化、短時間化を図ることができる。
【0015】
しかも、請求項1から請求項8に記載の発明によれば、キャップ取外用プレートの貫通孔の第2の孔部の周縁部位でキャップを引っ掛けて垂直方向に沿って落とすため、被加工品の基材側に大きな力がかかることがないので、基材にキズを作らずにキャップを取り外すことができる。このため、被加工品の基材に対しメッキがされている場合には、このメッキされている表面を非常に注意深く扱う必要があるが、本発明は、上記のような優れた効果があるので、このようなメッキがされた被加工品からのキャップの取り外しに好適である。
【0016】
また、請求項1から請求項8に記載の発明によれば、被加工品に形成されるボス部の配置が例えば横一列等の整然としたものでなくある程度散開した場合であっても、少なくともキャップ取外用プレートの貫通孔の位置、或いは更に固定用プレートを用いる場合にはその貫通孔の位置も、被加工品に形成されるボス部の配置に形成することで、かかるボス部に取り付けられたキャップの取り外しに対応することができる。
【0017】
さらに、請求項1から請求項8に記載の発明によれば、下支用ピンをボス部の近傍に配置することにより被加工品を外す際にその負荷で当該被加工品が変形しないようにしている。
【0018】
特に請求項2に記載の発明によれば、取外用ピンは、弾性部の復元力(バネ力)で当接部の頂部が元のキャップ取外用プレートよりも突出した位置まで戻るため、ボス部からキャップが取り外された被加工品の基体は、この取外用ピンによりキャップ取外用プレートの上面から浮いた状態となるので、被加工品をキャップ取外用プレートから取り易くすることが可能となることから、作業の簡便化、短時間化をより図ることができる。
【0019】
特に請求項3に記載の発明によれば、固定用プレートをキャップ取外用プレートと固定させるので、キャップ取外用プレートの厚みが相対的に薄いためにその剛性が低い場合には、このキャップ取外用プレートの剛性を固定用プレートで補助することが可能となる。また、請求項3に記載の発明によれば、固定用プレートに形成された挿通孔がキャップ取外用プレートの挿通孔に、基台用プレートの下支用ピン及び取外用ピンを挿通させる際にガイドとしての役割を果たすことができる。
【0020】
特に請求項4に記載の発明によれば、抑え部材が被加工品の基体の上面に接するかたちで配置されているので、被加工品のボス部からキャップが外れた際に、取外用ピンの弾性部が保持していた復元力(バネ力)が解放されても、取外用ピンの急激な押圧で被加工品が飛び上がるのを抑止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1から図5において、この発明に係るキャップ取り外し機1及びこのキャップ取り外し機1を構成する押圧用プレート2、キャップ取外用プレート3、固定用プレート4、基台用プレート5についての一例が示されている。このキャップ取り外し機1は、自動車の外装用又は自動車の内装用のエンブレム、その他の自動車用装飾部品等の被加工品6のボス部8に取り付けられたキャップ9を取り外すためのものである。
【0023】
被加工品6は、この実施例では、図2に示されるように所定の形状の基体7と、この基体7の裏面からこの基体7の裏面に対し直交する方向に沿って延びた、例えば4本の円柱形状のボス部8とから成るもので、これらのボス部8は、図2に示されるように、基体7の中心に対し上下左右に1つずつと、散開するかたちで配置されている。
【0024】
キャップ取り外し機1のうちキャップ取外用プレート3は、図1に示されるように押圧用プレート2と基台用プレート5との間に配置されるもので、例えばSUSばね用鋼板で形成されており、その形状は、図2に示されるように、平坦で厚みが相対的に薄い四角形の板形状をなしている。このキャップ取外用プレート3の厚みの寸法値L1は、図6(a)に示される被加工品6の基体7とキャップ9との隙間の寸法値L2と同じか、それよりも小さくなっているもので、例えば0.5mm程度の寸法値となっている。
【0025】
また、キャップ取外用プレート3は、図2にあっては、2つの被加工品6について同時にボス部8からキャップ9を取り外し可能とするために、2つの被加工品6の上記したボス部8の配置及び本数に対応して、当該キャップ取外用プレートの厚み方向に沿って穿たれた14の貫通孔11が形成されている。各貫通孔11は、図2に示されるように、キャップ9の最大外径寸法よりも大きな最大内径寸法値L3を有する略円形状の第1の孔部11Aと、この第1の孔部11Aから当該第1の孔部11Aの径方向に沿って延出した略長方形状若しくは略長円形状の第2の孔部11Bとから構成されている。第2の孔部11Bのうち第1の孔部11Aからの延出方向と直交する方向における内径寸法値L4は、キャップ9の最大外径寸法よりも小さく、ボス部8の外径寸法よりも大きいものである。これに伴い、貫通孔11はその軸方向から見た形状が略だるま形状となっている。
【0026】
更に、キャップ取外用プレート3は、これらの貫通孔11の近傍(周囲)で且つ被加工品6を後述する下支用ピン29(図5で示す。)で安定的に支えることができる位置に、複数、この実施例では8個の挿通孔12が形成されている。更にまた、キャップ取外用プレート3は、被加工品6の外縁よりも内側において、被加工品6を後述する取外用ピン30(図5で示す。)で安定的に支えることができる位置に、複数、この実施例では2個の挿通孔13が形成されている。そして、キャップ取外用プレート3の四隅に形成された合計4つの通孔14は、このキャップ取外用プレート3及び固定用プレート4を下方から弾性的に支持するための弾性支持機構33のストッパ付き棒状部34(図5で示す。)を挿通させるためのものである。
【0027】
キャップ取り外し機1のうち固定用プレート4は、キャップ取外用プレート3を固定するためのもので、図3に示されるように、キャップ取外用プレート3を載置可能なように平坦な上面4Aを有し、この上面4Aと対峙する側から見た外形状はキャップ取外用プレート3の外形状と同じとなっている一方で、その厚みの寸法値L5はキャップ取外用プレート3の厚みの寸法値L1よりも相対的に大きくなっている。これにより、固定用プレート4は、キャップ取外用プレート3の剛性を補助する役割も果たしている。
【0028】
また、固定用プレート4は、図3に示されるように、キャップ取外用プレート3の貫通孔11、挿通孔12、挿通孔13及び通孔14と同じ配置及び数で、貫通孔16、挿通孔17、挿通孔18及び通孔19を有している。
【0029】
そして、固定用プレート4の挿通孔17、挿通孔18及び通孔19の配置と形状とは、キャップ取外用プレート3の挿通孔12、挿通孔13及び通孔14の形状と同じである。これにより、固定用プレート4の上面4Aにキャップ取外用プレート3を、両プレート3、4の外縁を一致させるように載置した場合には、挿通孔12、挿通孔13及び通孔14と挿通孔17、挿通孔18及び通孔19とは周縁同士も一致するかたちで連通する。従って、固定用プレート4の挿通孔17及び挿通孔18に下支用ピン29及び取外用ピン30を固定用プレート4の下方から挿通させることで、下支用ピン29及び取外用ピン30の頂部をキャップ取外用プレート3の挿通孔12及び挿通孔13に的確に導くことができるので、固定用プレート4の挿通孔17及び挿通孔18は、下支用ピン29及び取外用ピン30のガイド孔としての役割も果たしている。
【0030】
これに対し、固定用プレート4の貫通孔16は、全体的に略長方形状若しくは長円形状のもので、その長手方向と直交する方向に沿った内径寸法値L6は、キャップ9の最大外径寸法よりも大きくなっており、例えばキャップ取外用プレート3の貫通孔11の第1の孔部11Aの内径寸法値L3と同じ寸法値になっている。これにより、固定用プレート4の上面4Aにキャップ取外用プレート3を、両プレート3、4の外縁を一致させるように載置した場合には、貫通孔11の第1の孔部11Aと貫通孔16とはその周縁部位が一致するかたちで連通するが、貫通孔11の第2の孔部11Bと貫通孔16とはその周縁部位が一致せず、貫通孔16の周縁が第2の孔部11Bの周縁の外側に位置するかたちで連通する。従って、固定用プレート4とキャップ取外用プレート3とを固定して、被加工品6のボス部8の位置をキャップ取外用プレート3の貫通孔11のうち第1の孔部11Aの位置から第2の孔部11Bの位置に変位させた場合でも、被加工品6のボス部8に取り付けられたキャップ9は、固定用プレート4の貫通孔16の孔の周縁内に存することができ、また、第2の孔部11Bの周縁部位で係止させることができる。
【0031】
そして、キャップ取外用プレート3及び固定用プレート4は、後述する弾性支持機構33のバネ36により上方に向けて付勢された状態にあると共に後述する弾性支持機構33のストッパ付き棒状部34のストッパが上死点となってある程度以上は上方にいかないように制限されている。
【0032】
キャップ取り外し機1のうち押圧用プレート2は、キャップ取外用プレート3を固定用プレート4と共に基台用プレート5側に押し下げるためのもので、図1及び図4に示されるように上方にジョイント部21を有し、このジョイント部21を介して例えばエアプレス機のヘッド22と連結されて、エアプレス機からの動力の供給を受けるようになっている。また、押圧用プレート2は、図4に示されるように、上下方向に沿って延びる通孔23を、プレート本体2Aのうち図上の左右方向の両側に1つずつ有しており、この通孔23に、一方端がエアプレス機のヘッド22に連結され、他方端が基台用プレート5の孔24に差し込まれる円柱状の軸棒体25が挿通される。そして、この軸棒体25の外周には、図1に示されるように、コイル状のバネ35が巻回されて、押圧用プレート2を上方に向けて付勢している。これにより、押圧用プレート2は、軸棒体25の軸方向に沿ってキャップ取外用プレート3と固定用プレート4とに対し、近接及び遠隔するように上下動することが可能である。
【0033】
そして、押圧用プレート2は、キャップ取外用プレート3側となる下方側に向けて、プレート本体2Aの下面から2つの押圧部材26が延出している。押圧部材26は、キャップ取外用プレート3を直接的に押圧するもので、これに伴い、押圧部材26は、キャップ取外用プレート3の面に当接しつつ、このキャップ取外用プレート3に形成された貫通孔11、挿通孔12、挿通孔13及び通孔14を回避する位置に形成されている。更に、押圧用プレート2は、2つの押圧部材26間において抑え部材27が設けられている。この抑え部材27は、被加工品がキズ付くのを防止するためにスポンジ等の相対的に柔らかい素材が用いられている。そして、抑え部材27のプレート本体2Aから下端までの寸法は、図1に示されるように、押圧部材26がキャップ取外用プレート3に当接した際に、下支用ピン29で支えされた被加工品6の上面に接するか、わずかな隙間が形成されるように、押圧部材26のプレート本体2Aから下端までの寸法よりも短くなっている。
【0034】
キャップ取り外し機1のうち基台用プレート5は、図5に示されるように、台座37とこの台座37の下方に配置された脚部38とから基本的に構成されており、脚部38と脚部38とは、図1に示されるキャップ回収箱39を台座37の下方に配置することができるように所定の間隔を開けて配置されている。
【0035】
そして、基台用プレート5は、キャップ取外用プレート3及び固定用プレート4を台座37に対し後述する弾性支持機構33のストッパ付き棒状部34を介して連結されるように載置された際に、キャップ取外用プレート3の貫通孔11及び固定用プレート4の貫通孔16に対応する位置に貫通孔28が形成されている。
【0036】
この貫通孔28は、固定用プレート4の貫通孔16と同様に、全体的に略長方形状若しくは長円形状のもので、その長手方向と直交する方向に沿った内径寸法値L7は、キャップ9の最大外径寸法よりも大きくなっており、例えば固定用プレート4の貫通孔16の内径寸法値L6及びキャップ取外用プレート3の貫通孔11の第1の孔部11Aの内径寸法値L3と同じ寸法値になっている。これにより、キャップ取外用プレート3と固定用プレート4とを基台用プレート5の台座37の上面に適宜に載置した場合には、貫通孔28と貫通孔16とはその周縁部位が一致するかたちで連通するが、貫通孔28と貫通孔11の第2の孔部11Bとはその周縁部位が一致せず、貫通孔28の周縁が第2の孔部11Bの周縁の外側に位置するかたちで連通する。従って、キャップ取外用プレート3と固定用プレート4とを基台用プレート5の台座37の上面に載置し、被加工品6のボス部8の位置をキャップ取外用プレート3の貫通孔11のうち第1の孔部11Aの位置から第2の孔部11Bの位置に変位させた状態でも、被加工品6のボス部8に取り付けられたキャップ9は、基台用プレート5の貫通孔28の軸方向から見た場合に当該貫通孔28の孔の周縁内にあるように見えるものとなる。
【0037】
尚、キャップ回収箱39に、図示しないが、この貫通孔28の下側開口と連結したチューブを設けるようにしても良く、これによりキャップ9を上下に整然と積み重ねるかたちでキャップ回収箱39内に収納することができる。
【0038】
また、基台用プレート5は、キャップ取外用プレート3及び固定用プレート4を台座37に対し弾性支持機構33のストッパ付き棒状部34を介して連結されるように載置された際に、キャップ取外用プレート3の挿通孔12、挿通孔13及び固定用プレート4の挿通孔17、18に挿通可能な位置に複数、この実施例では16本の下支用ピン29と、複数、この実施例では4本の取外用ピン30とを有している。
【0039】
このうち、下支用ピン29は、キャップ取外用プレート3が押圧用プレート2の押圧部材26で押されても被加工品6がこれに従動して下がるのを回避するためのものである。この下支用ピン29は、例えば円柱形状をなし、その上端から下端までの寸法は固定されたものとなっており、貫通孔28の近傍にこの貫通孔28を略挟むかたちで且つ被加工品6を複数、この実施例では8本の数で下方から支えることができる位置に適宜散開した状態にて配置されている。下支用ピン29の長手方向に沿った寸法は、キャップ取外用プレート3が押圧部材26で押圧された際に、キャップ取外用プレート3が最も基台用プレート側に下がった場合に、その頂部がキャップ取外用プレート3の上面よりも上方に突出可能な値となっている。
【0040】
これに対し、取外用ピン30は、キャップ9の外れた被加工品6をキャップ取外用プレート3から浮いた状態にして被加工品6を取り易くするためのもので、被加工品6に当接する頂部を有する当接部31とこの当接部31と台座37との間にあって、当接部31を上方に向けて付勢する弾性部32とを有して構成されており、被加工品6を下方から安定的に支持することができる位置に複数、この実施例では2つ配置されている。そして、この取外用ピン30は、図5に示されるように、弾性部32に対し押圧力が加わっていない状態では、当接部31の頂部が下支用ピン29よりも上方に位置している。尚、当接部31は、ジュラコン、ゴム系材料等の所定の樹脂で形成されており、これにより、取外用ピン30が被加工品6を押し上げる際に、被加工品6に加わる衝撃力を抑えることができると共に被加工品6が当接部31によって傷つくのを防止することができる。
【0041】
さらに、基台用プレート5は、弾性支持機構33として、4つのストッパ付き棒状部34を有しているもので、ストッパ付き棒状部34は図5(a)に示されるように、台座37に形成された孔40に差し込まれて台座37と連結される。このストッパ付き棒状部34の外周に図1に示されるようにコイル状のバネ35が巻回されたものとなっており、これにより、弾性支持機構33は、キャップ取外用プレート3及び固定用プレート4を安定性良く下方から支持すると同時にバネ35でキャップ取外用プレート3及び固定用プレート4に対し付勢力を与えている。尚、台座37には、孔40の周縁部位についてバネ35の位置決め等のためにバネ35の下方部位が収納される窪み41を有することが好ましい。
【0042】
次に、キャップ取り外し機1の組付け工程の概略についてその一例を説明する。バネ35の下方部位を基台用プレート5の台座37の窪み41に収納させた状態等とすることで、バネ35を台座37上に置き、キャップ取外用プレート3及び固定用プレート4を、貫通孔11と貫通孔16、挿通孔12と挿通孔17及び挿通孔13と挿通孔18とが連通した状態に重ねて、基台用プレート5の下支用ピン29に挿通孔12と挿通孔17が外挿され、取外用ピン30に挿通孔13、挿通孔18が外挿されるように、キャップ取外用プレート3及び固定用プレート4を降ろす。これにより、キャップ取外用プレート3の通孔14、固定用プレート4の通孔19及び基台用プレート5の孔40も連通した状態にあるので、ストッパ付き棒状部34を上方からこれら通孔14、通孔19、孔40の順で挿通させ、且つバネ35の巻回内にも挿通させる。また、バネ36を外挿させた軸棒体25を基台用プレート5の台座37の孔24に挿入し、押圧用プレート2の通孔23を台座37上に立設した状態の軸棒体25に外挿し、更に、エアプレス機のヘッド22に設けた図示しない孔を軸棒体25に外挿する。そして、押圧用プレート2のジョイント部21を介して押圧用プレート2とエアプレス機のヘッド22とを連結する。これにより、バネ36は押圧用プレート2と基台用プレート5の台座37との間にあり、バネ36から押圧用プレート2に対し上方に向けての付勢力が供給されると共に、エアプレス機からの下方に向けての押圧力がそのヘッド22を通じて押圧用プレート2に伝達され、押圧用プレート2の押圧部材26がキャップ取外用プレート3を押す押圧力として働くものとなる。
【0043】
そして、このキャップ取り外し機1を用いた被加工品6のボス部8からのキャップ9の取り外し過程について図6を用いて説明する。
【0044】
まず、被加工品6のボス部8にキャップ9を基体7との隙間が寸法値L2となるように取り付けて被加工品6に対しメッキ等の表面処理加工を行った後、図6(a)に示されるように、この被加工品6のキャップ9が取り付けられた状態のボス部8をキャップ取外用プレート3の貫通孔11のうち第1の孔部11A内に挿入させる。この場合、取外用ピン30の弾性部32は上方から押圧されていないので、被加工品6は、専ら取外用ピン30の当接部31で下方から支持された状態になる。
【0045】
次に、被加工品6を基体7の下面がキャップ取外用プレート3に当接するまで下方に押しつつ貫通孔11の第1の孔部11Aから第2の孔部11B側にキャップ取外用プレート3の表面を滑らせるようにしてスライドさせる。これにより、図6(b)に示されるように、キャップ取外用プレート3の貫通孔11の第2の孔部11Bの周縁部位が被加工品6の基体7とキャップ9との間に入り込む。この場合に、被加工品6の基体7と下支用ピン29の頂部とは当接した状態になると共に、取外用ピン30の当接部31の頂部は被加工品6の基体7で上から押された状態となり、取外用ピン30の弾性部32が収縮されて弾性部32に復元力(バネ力)が貯められる。この段階では、キャップ取外用プレート3及び固定用プレート4と基台用プレート5との間隔L8は、図6(a)の初期の段階と変化していない。
【0046】
以上の被加工品6の取り付けが完了した後に、エアプレス機のショットボタンをONにすることにより、エアプレス機のヘッド22を介して押圧用プレート2がキャップ取外用プレート3側に下がり、押圧用プレート2の押圧部材26がキャップ取外用プレート3を押圧するので、図6(c)に示されるように、矢印方向への押圧力がキャップ取外用プレート3に加わり、キャップ取外用プレート3及び固定用プレート4は基台用プレート5側に押し下げられ、キャップ取外用プレート3及び固定用プレート4と基台用プレート5との間隔L9は、図6(a)の初期の段階の間隔L8よりも狭くなる。その一方で、被加工品6は、下支用ピン29で下方から支持されているので、キャップ取外用プレート3に従動して下方に下がることがない。これにより、被加工品6のボス部8に取り付けられたキャップ9のみがキャップ取外用プレート3の貫通孔11の第2の孔部11Bの周縁部位で押し下げられるので、キャップ9がボス部8から外れる。そして、このキャップ9が外れた際に、被加工品6の上面は、押圧プレート2の抑え部材27で軽く抑えられ、又は抑え部材27の下面が直近の状態であるので、取外用ピン30の当接部31の急激な押圧により被加工品6が飛び上がるのを抑止することができる。尚、エアプレス機のヘッド22は、タイマー設定時間経過後に上方に戻るものとなっている。
【0047】
そして、エアプレス機のヘッド22が戻ることにより、バネ35の付勢力でキャップ取外用プレート3及び固定用プレート4はストッパ付き棒状部34のストッパでの上死点まで押し上げられるので、キャップ取外用プレート3及び固定用プレート4は、図6(d)でキャップ取外用プレート3及び固定用プレート4と基台用プレート5との間隔がL8と示されるように、元の位置に戻る。そして、キャップ9が被加工品6のボス部8から外れることで、取外用ピン30の弾性部32に貯められていた復元力(バネ力)も解放されるので、取外用ピン30の当接部31の頂部もキャップ取外用プレート3よりも上方となる元の位置まで戻り、被加工品6は、取外用ピン30の当接部31のみで下方から支持され、キャップ取外用プレート3からは浮いた状態となる。これにより、被加工品6を取り外し易くすることができる。
【0048】
尚、被加工品6のキャップ9が取り付けられたボス部8をキャップ取外用プレート3の貫通孔11の第1の孔部11Aから第2の孔部11B側に変位させるにあたり、被加工品6をスライドさせると説明したが、必ずしもこれに限定されず、キャップ取外用プレート3側をスライドさせることで、結果的に被加工品6のキャップ9が取り付けられたボス部8がキャップ取外用プレート3の貫通孔11の第1の孔部11Aから第2の孔部11B側に移った状態となるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、この発明に係るキャップ取り外し機のうち動力源を除く全体構成を示した説明図である。
【図2】図2は、同上のキャップ取り外し機に用いられるキャップ取外用プレート及びこのキャップ取外用プレートの貫通孔に装着される被加工品の構成を説明するための図1での寸法よりも拡大した拡大図である。
【図3】図3は、同上のキャップ取り外し機に用いられる固定用プレートの構成を説明するための図1での寸法よりも拡大した拡大図である。
【図4】図4は、同上のキャップ取り外し機に用いられる押圧用プレートの構成を説明するための図1での寸法に対応した大きさの説明図である。
【図5】図5は、同上のキャップ取り外し機に用いられる基台用プレートの構成を説明するための図1での寸法に対応した大きさの説明図である。
【図6】図6は、キャップ取外用プレートに被加工品を装着し、この被加工品のボス部からキャップが外れ、更に、キャップが外れた状態の被加工品を取り易くする過程が説明された説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 キャップ取り外し機
2 押圧用プレート
3 キャップ取外用プレート
4 固定用プレート
5 基台用プレート
6 被加工品
7 基体
8 ボス部
9 キャップ
11 貫通孔
11A 第1の孔部
11B 第2の孔部
12 挿通孔
13 挿通孔
16 貫通孔
17 挿通孔
18 挿通孔
22 エアプレス機のヘッド
26 押圧部材
27 抑え部材
28 貫通孔
29 下支用ピン
30 取外用ピン
31 当接部
32 弾性部
33 弾性支持機構
34 ストッパ付き棒状部
35 バネ
36 バネ
37 台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体とこの基体から突出形成されたボス部とを有する被加工品の前記ボス部に取り付けられるキャップを取り外すキャップ取り外し機であって、
前記ボス部に前記キャップが取り付けられた状態の前記被加工品を取り付けることができる貫通孔を有すると共に、前記貫通孔の近傍に配置された挿通孔を有するキャップ取外用プレートと、
前記キャップ取外用プレートの上方に位置して前記キャップ取外用プレートを下方に押し下げるための押圧部材を有し、前記キャップ取外用プレートに対し遠近する方向に可動する押圧用プレートと、
前記キャップ取外用プレートの下方に不動の状態で位置して、台座と、この台座の上面から延出して前記キャップ取外用プレートについて所定の上下動を許容しつつ支持する弾性支持機構と、前記台座の上面から延出して前記キャップ取外用プレートの前記挿通孔に挿通する下支用ピンとを有する基台用プレートとから構成され、
前記キャップ取外用プレートの貫通孔は、前記被加工品キャップの最大外径寸法よりも大きな内径寸法を有する第1の孔部と、この第1の孔部から当該第1の孔部の径方向に沿って延出し、その延出方向と交差する方向における寸法が前記キャップの最大外径寸法よりも小さく且つ前記ボス部の外径寸法よりも大きな内径寸法を有する第2の孔部とから成り、
前記キャップ取外用プレートと前記被加工品との位置関係は、前記キャップ取外用プレートの貫通孔の第1の孔部から第2の孔部が延出する方向に沿って一方が他方に対して相対的に変位可能であると共に、
前記基台用プレートの下支用ピンは、前記被加工品の基体の下方に当接してこの被加工品を前記キャップ取外用プレートの上下動に関係なく前記基台用プレートから一定の距離を保持しつつ支えるように、軸方向に沿った寸法が固定されていることを特徴とするキャップ取り外し機。
【請求項2】
前記基台用プレートは、前記キャップ取外用プレートの挿通孔に挿通可能な取外用ピンを有しており、この取外用ピンは、前記被加工品の基体に当接可能な当接部と、前記当接部と前記基台用プレートの台座との間に介在される弾性部とから成り、この弾性部が圧縮されていない状態では、前記当接部の頂部が前記キャップ取外用プレート及び前記下支用ピンの頂部よりも上方に突出していることを特徴とする請求項2に記載のキャップ取り外し機。
【請求項3】
前記キャップ取外用プレートの前記基体の下面と当接可能な上面を備え、この上面に前記キャップ取外用プレートを固定することができると共に、このキャップ取外用プレートが固定された際に前記キャップ取外用プレートの貫通孔及び挿通孔と連通する貫通孔及び挿通孔が形成された固定用プレートを更に有し、
この固定用プレートは、前記キャップ取外用プレートと一体的に前記被加工品との位置関係が変位すると共に、その貫通孔は、その全範囲において前記キャップの最大外径寸法よりも大きな内径寸法であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキャップ取り外し機。
【請求項4】
前記押圧用プレートは、前記キャップ取外用プレート側に前記被加工品の飛び上がりを防止するための抑え部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のキャップ取り外し機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のキャップ取り外し機を用いたキャップの取り外し方法であって、
前記基台用プレートの下支用ピンに前記キャップ取外用プレートの挿通孔を合わせて、前記下支用ピンを挿通孔に挿通させ、前記キャップ取外用プレートの貫通孔の第1の孔部に前記被加工品のキャップが取り付けられた状態のボス部を挿入させる過程と、
前記被加工品のボス部が前記キャップ取外用プレートの貫通孔の第2の孔部に位置するように、前記被加工品と前記キャップ取外用プレートとの位置関係を記キャップ取外用プレートの貫通孔の第1の孔部から第2の孔部が延出する方向に沿って一方が他方に対して相対的に変位するように動かして、前記被加工品の基体とキャップとの隙間に前記キャップ取外用プレートの貫通孔のうち前記第2の孔部の周縁部位を入り込ませる過程と、
前記押圧用プレートを前記キャップ取外用プレートに向けて下方に移動させて、前記押圧用プレートの押圧部材で前記キャップ取外用プレートを押圧し、これを受けてキャップ取外用プレートの貫通孔のうち第2の孔部の周縁部位が前記被加工品のボス部に装着されたキャップを押圧して前記ボス部から取り外す過程とを含むことを特徴とするキャップの取り外し方法。
【請求項6】
前記基台用プレートの取外用ピンが前記キャップ取外用プレートの挿通孔から当該キャップ取外用プレートの上面よりも上方に突出した状態にある場合に、この取外用ピンの当接部の頂部に前記被加工品を載せる過程と、
前記被加工品をその前記被加工品の下面が前記下支用ピンに当接するまで押圧して前記取外用ピンの弾性部を圧縮させる過程と、
前記キャップが前記被加工品のボス部から外れることで、前記取外用ピンの弾性部が圧縮された状態から復元させる過程とを更に含むことを特徴とする請求項5に記載のキャップの取り外し方法。
【請求項7】
基体とこの基体から突出形成されたボス部とを有する被加工品の前記ボス部に取り付けられるキャップを取り外すために用いられるキャップ取外用プレートであって、
前記基体と前記キャップの前記被加工品側の端部との隙間と略同じ厚みを有する平坦な形状を成すと共に前記被加工品から突出したボス部と対応した位置に複数の貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記キャップの最大外径寸法よりも大きな内径寸法を有する第1の孔部と、この第1の孔部から当該第1の孔部の径方向に沿って延出し、その延出方向と交差する方向における寸法が前記キャップの最大外径寸法よりも小さく且つ前記ボス部の外径寸法よりも大きな内径寸法を有する第2の孔部とから成り、
前記貫通孔の近傍に前記被加工物を下方から支持する下支用ピンが挿通可能な挿通孔を更に有することを特徴とするキャップ取外用プレート。
【請求項8】
前記貫通孔の近傍に前記被加工物の取り外しを容易にするための取外用ピンが挿通可能な挿通孔を更に有することを特徴とする請求項7に記載のキャップ取外用プレート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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