説明

キャップ取外し装置およびキャップ取外し方法

【課題】複数の容器の開口部に装着されたキャップを容易に取り外すことができるキャップ取外し装置およびキャップ取外し方法を提供する。
【解決手段】キャップ取外し装置10の回転体11を軸回りに回転させながら該回転体11をX方向に移動させていくことによって、複数の容器2の開口部2aに装着されているキャップ3に、係合部12を次々に係合していくとともに、該係合部12の回転移動によってキャップ3を係合部12に係合した状態で容器2の開口部2aから次々に取り外していく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容する容器の開口部に装着されたキャップを取り外すキャップ取外し装置およびキャップ取外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物質の生化学的反応などの試験を系統的に行う際に用いられる装置として、分注装置が知られている。この分注装置では、試薬や検体などの液体収容用のウェルが規則配列で設けられたマイクロタイタープレートや、小型の試験管形状のチューブを対象として、液体の分注操作が行われる。チューブを用いる場合には、使用される分注装置の分注ティップの配列に対応して製作されたチューブラックに縦姿勢で保持させ、上面の開口部から液体の注入や取り出しが行われる。
【0003】
そしてチューブを対象として分注を行った後、液体を外部雰囲気と遮断するなどの目的でチューブ(容器)を閉塞する必要がある場合には、チューブの開口部にキャップを装着する。キャップとしては樹脂をチューブの開口部に嵌合する嵌合部を有する形状に成形したものが用いられる。
この装着されたキャップは新たな分注操作を行う際などに取り外されるが、このキャップの取外し作業は、キャップを指先で摘んで容器の開口部から抜き取ることによって行ったり、特許文献1に記載の装置を用いて行っている。この装置では、キャップを把持するなどの方法で保持して上方に引き上げることにより嵌合部を開口部から離脱させることにより行われる。
【特許文献1】特開2000−81441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、チューブラックに保持されているチューブ(容器)は、例えば8行×12列の行列状に配置されているので、かなりの数となる。したがって、これら多数の容器の開口部に装着されたキャップを取り外すのには、効率が悪く非常に手間のかかる作業となる。
また、キャップは容器を閉塞して密閉する目的で装着されることから、嵌合部と容器の開口部との嵌め合い部は接触面に面圧が作用するような嵌め合い状態に設定されている。したがって、キャップを上昇させて嵌合部を容器の開口部から離脱させる際には、容器がキャップに連れられて持ち上げられないよう、容器を外側からクランプするなどの方法で保持する必要があった。ところが、チューブラックに格子状配列で多数収納された状態の容器からキャップを取り外すような場合には、容器を簡便な方法で保持することが難しく、不具合なく確実にキャップを取り外すことが困難であった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、複数の容器の開口部に装着されたキャップを容易に取り外すことができるキャップ取外し装置およびキャップ取外し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のキャップ取外し装置は、X方向とこれに直交するY方向とにそれぞれ所定ピッチで配置されたうえでラックに保持された複数の容器の開口部にそれぞれ装着されたキャップを前記容器の開口部から取り外すキャップ取外し装置であって、
Y方向と平行な軸線回りに回転可能な回転体と、この回転体の外周部に周方向に所定間隔でかつY方向に所定間隔で放射状に突出して設けられて、前記複数の容器の開口部に装着されたキャップに係合可能な係合部とを備え、
前記回転体とラックとは、前記容器の開口部と前記回転体とが対向した状態でX方向に相対的に移動可能であることを特徴とする。
【0007】
ここで、回転体とラックとがX方向に相対的に移動可能とする場合、ラックを固定した状態で回転体をX方向に移動可能としてもよいし、回転体を固定した状態でラックをX方向に移動可能としてもよいし、回転体とラックとの双方をX方向に移動可能としてもよい。
【0008】
請求項2に記載のキャップ取外し方法は、請求項1に記載のキャップ取外し装置によって、複数の容器の開口部にそれぞれ装着されたキャップを取り外すキャップ取外し方法であって、
前記回転体を軸回りに回転させながら該回転体と前記ラックとを相対的にX方向に移動させていくことによって、前記複数の容器の開口部に装着されているキャップに、前記係合部を次々に係合していくとともに、該係合部の回転移動によって前記キャップを前記係合部に係合した状態で前記容器の開口部から次々に取り外していくことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のキャップ取外し方法は、請求項2に記載のキャップ取外し方法において、前記容器の開口部から取り外されて、前記回転体の複数の係合部にそれぞれ係合しているキャップを該係合部から取り外すに際し、
櫛歯が所定ピッチで複数形成された櫛部材を、前記回転体の外周部の近傍に、該回転体の軸線方向に沿って配置しておき、
前記回転体をその軸線回りに回転させながら、該軸線方向に沿って配置された前記係合部を前記櫛部材の櫛歯間に挿入していくとともに、該係合部に係合しているキャップを前記係合部の回転移動によって、前記隣り合う櫛歯で外れる方向に押圧して取り外していくことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載のキャップ取外し装置によれば、回転体を軸回りに回転させながら該回転体とラックとを相対的にX方向に移動させていくことによって、複数の容器の開口部に装着されているキャップに、回転体に設けられた係合部を次々に係合していくとともに、該係合部の回転移動によってキャップを係合部に係合した状態で前記容器の開口部から次々に取り外していくことによって複数の容器の開口部に装着されたキャップを容易に取り外すことができる。つまり、Y方向に配置されている複数の容器の開口部に装着されているキャップに、回転体の軸線方向に配置された複数の係合部を一列一斉に係合した状態で取り外すことができ、回転体を回転させながら該回転体とラックとを相対的にX方向に移動させることによって、次々に、その列の容器の開口部に装着されているキャップを一斉に係合した状態で取り外すことができる。したがって、複数の容器の開口部に装着されているキャップを容易に取り外すことができる。
また、キャップは係合部の回転移動によってキャップの一方側の縁部を支点として傾斜するようにして他方側の縁部から容器の開口部から外れていく。したがって、容器がキャップによって持ち上げられるのを防止して、キャップを不具合なく確実に取り外すことができる。
【0011】
請求項2に記載のキャップ取外し方法によれば、請求項1と同様に、複数の容器の開口部に装着されているキャップを容易に取り外すことができる。
【0012】
請求項3に記載のキャップ取外し方法によれば、回転体をその軸線回りに回転させながら、該軸線方向に沿って配置された係合部を櫛部材の櫛歯間に挿入していくとともに、該係合部に係合しているキャップを前記係合部の回転移動によって、隣り合う櫛歯で外れる方向に押圧して取り外していくので、回転体の複数の係合部にそれぞれ係合しているキャップを該係合部から容易に取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明に係るキャップ取外し装置を説明する前に、キャップとこのキャップが装着される容器、この容器を多数保持するラックについて説明する。
図1に示すように、ラック1にはチューブ状の容器2を縦横複数並べて保持するための凹部1aが格子状(行列状)の平面規則配列で設けられており、凹部1aには容器2が直立姿勢で挿入され保持される。なお、本実施の形態では、凹部1aはX方向に8個、Y方向に12個、合計96個形成されている。
【0014】
容器2は透明樹脂を上部が開口した試験管形状に成形した樹脂部品であり、開口部2aには必要に応じてキャップ3が装着される。キャップ3は上面中央に凹部3aが設けられ、上縁部に鍔部3bが張り出した形状の樹脂製の栓部材である。キャップ3の下部は鍔部3bよりも径寸法が小さい円柱状の嵌合部3cとなっている。
キャップ3の容器2の開口部2aへの装着に際しては、嵌合部3cを開口部2a内に設けられた段付部2bに圧入する。凹部3aには内径が中間部分よりも外側に拡がった底部3dが設けられており、後述するキャップ取外し動作において、係合部の先端部を凹部3a内に挿入して底部3dに嵌り込ませることにより、キャップ3を係合部に係合させることができるようになっている。すなわち、キャップ3に設けられた凹部3aは、キャップ3を係合部によって係合するための被係合部となっている。
【0015】
次に、本発明に係るキャップ取外し装置について説明する。
図2に示すように、キャップ取外し装置10は、回転体11とこの回転体11の外周部に所定間隔で設けられた複数本の係合部12とを備えている。
回転体11は円柱状に形成されており、その軸線方向は前記ラック1に保持された複数のキャップ3が12個配列されたY方向に向けられている。また、回転体11の軸線方向の長さはラック1のY方向における長さより若干長くなっている。回転体11の両端部はアーム13によって軸線回りに回転可能に支持されており、該回転体11の端面に軸線と同軸に設けられた入力軸11bには、図示しない駆動モータの出力軸が直接または適宜の減速機構を介して連結されている。そして、この駆動モータによって回転体11は軸線回りに回転するようになっている。
【0016】
また、前記アーム13は、X方向に延在する図示しないガイドレールによってX方向に移動可能となっており、該アーム13は図示しない移動機構によってX方向に移動するようになっている。移動機構としては例えば、ラック&ピニオンやボールねじ&ナット等が挙げられるが、これに限るものではない。ラック&ピニオンの場合は、ラックをガイドレールに沿って配置するとともに、このラックに噛合するピニオンを前記アームに回転可能に取り付ければよい。また、ボールねじ&ナットの場合は、ボールねじをガイドレールに沿って配置するとともに、このボールねじに螺合するナットを前記アームに取り付ければよい。また、前記アーム13は図示しない昇降機構によって昇降可能となっている。昇降機構としては例えばシリンダ装置が挙げられるがこれに限るものではない。
なお、前記回転体11は、その回転速度や回転位置が図示しない制御部によって制御され、アーム13はそのX方向への移動速度や移動位置が図示しない制御部によって制御され、さらに昇降速度や昇降位置が図示しない制御部によって制御されるようになっている。
【0017】
前記係合部12は回転体11の外周部に周方向に一定間隔でかつY方向に一定間隔で放射状に突出して設けられている。これら係合部12は複数(実施の形態では96個)の容器2の開口部2aに装着されたキャップ3に係合可能なものであり、その先端部には拡径部12aが形成されている。拡径部12aの直径は、前記キャップ3の底部3dとほぼ等しくなっており、これによって、拡径部12aは底部3dに嵌り込むことができるようになっている。また、回転体11の周方向に一定間隔で立設された複数の係合部12間のピッチはX方向に配置された複数の容器3の開口部3a間のピッチと等しくなっており、Y方向に一定間隔で立設された複数の係合部12間のピッチは、Y方向に配置された複数の容器3の開口部3a間のピッチと等しくなっている。
このように回転体11の外周部には、96個の係合部12が放射状に突出して設けられており、それぞれの係合部12よって、ラック1に保持されている96個の容器2の開口部2aに装着されているキャップ3に係合可能となっている。
【0018】
次に上記構成のキャップ取外し装置10によって、ラック1に保持された複数(96個)の容器2の開口部2aに装着されているキャップ3を取り外す方法について説明する。
まず、図2(a)に示すように、ラック1に複数の容器2が直立した状態で保持されており、全ての容器2の開口部2aにはキャップ3が装着されている。容器2は例えば96個あるが、これら容器2は96個の凹部1aを備えたラック1に保持される。ラック1にはX方向に8個の凹部1aが一定間隔で設けられており、Y方向(図2(a)において紙面と直交する方向)に12個の凹部1aが一定間隔で設けられている。このような凹部1aにそれぞれ容器2が挿入される。したがって、ラック1にはX方向に容器2が一定間隔で8個、Y方向に容器2が一定間隔で12個、合計96個保持されている。
そして、容器2を保持したラック1を、キャップ取外し装置10のテーブル10aに載置または固定した後、スタートスイッチを入れると、テーブル10aが装置内部に向かって移動し、これによってラック1が装置内に移動する。なお、手動により、テーブル10aを装置内部に向かって移動させて、ラック1を装置内に移動させるようにしてもよい。
【0019】
次に、図2(b)に示すように、アーム13が下降することによって、回転体11が下降する。この際、回転体11の最下端部に位置する係合部12の先端の拡径部12aがキャップ3の凹部3aの先端開口部に斜めから入り込んだ状態となる。この状態で回転体11をアーム13によって右方に移動(前進)させるとともに、回転体1を軸回りに回転させると、図3に示すように、係合部12の拡径部12aがキャップ3の凹部3aの底部3dに斜め上方から嵌っていき、回転体11の回転とともに係合部12が略鉛直となったところで、拡径部12aが底部3dに完全に嵌合し、これによって係合部12がキャップ3の凹部3aに係合する。さらに、回転体11を前進させるとともに回転させると、係合部12が斜め上方に回転移動していくので、これに伴ってキャップ3が一方(図3において右方)の縁部を支点として傾斜するようにして他方(図3において左方)の縁部から上昇して容器2の開口部2aから外れていく。これによって、一列目の12個の容器2に装着されている12個のキャップ3が容器2から外れていく。
【0020】
次に、図2(c)に示すように、回転体11を軸線回りに時計方向に回転させつつ、アーム13をX方向右方に移動させていくことによって、回転体11を右方に移動(前進)させて二列目以降の容器2の開口部2aに装着されているキャップ3に係合部12を次々に係合していくとともに、該係合部12の回転移動によってキャップ3を係合部12に係合した状態で容器2の開口部2aから次々に取り外していく。なお、回転体11の右方への移動速度は、回転体11の接線方向の回転速度と等しく設定する。
【0021】
上記のようにして、回転体11を回転させつつ右方に移動させて、図2(d)に示すように、8列目のキャップ3を容器2の開口部2aから外したら、前記アーム13を上昇させて回転体11を上昇させる。回転体11の全ての係合部12にはそれぞれキャップ3が係合された状態となっている。
その後アーム13を左方に移動(後退)させることによって、回転体11を後退させて、ラック1の後方(左方)にある廃棄ボックス14の直上に位置させる。
【0022】
次に図2(e)に示すように、回転体11の係合部12にそれぞれ係合しているキャップ3を該係合部3から櫛部材20を用いて取り外す。
前記櫛部材20は、図4および図5に示すように、9つの櫛歯21が一定間隔で配置された略L字状の板体で構成されている。隣り合う櫛歯21,21間の間隔は、キャップ3の外径より小さく、かつ、回転体11に設けられている係合部12の拡径部12aの直径より大きくなっている。したがって、櫛歯21,21間には、係合部12が挿入可能となっている。
【0023】
前記櫛部材20は、図2(e)および図4に示すように、廃棄ボックス14上において、櫛歯21を水平にして設けられている。また、櫛部材20はその長手方向を回転体11の軸方向に沿わせて、回転体11の外周部の近傍に設けられている。また、櫛部材20はその櫛歯21が回転体11の外周面と係合部12に係合されているキャップ3との間に位置するようにして配置されている。
【0024】
そして、図4に示す状態で、回転体11を時計回りに回転させながら、回転体11の外周部に設けられた複数の係合部12を櫛部材20の櫛歯21,21間に挿入していくとともに、該係合部20に係合しているキャップ3を係合部12の回転移動によって、隣り合う櫛歯21,21で外れる方向に押圧して取り外していく。外されたキャップ3は廃棄ボックス14に落下して廃棄される。
このキャップ3の廃棄後、または廃棄と同時にテーブル10aを装置外に移動し、これによって、ラック1を装置外に移動する。このラック1に保持されている全ての容器2の開口部2aからキャップ3が外されているかどうかを目視等によって確認した後、このラック1を取り出してキャップ取外し着作業を終了する。
【0025】
このように本実施の形態によれば、回転体11を軸回りに回転させながら該回転体11X方向右方に移動させていくことによって、96個の容器2の開口部2aに装着されているキャップ3に、回転体11に設けられた係合部12を次々に係合していくとともに、該係合部12の回転移動によってキャップ3を係合部12に係合した状態で容器2の開口部2aから次々に取り外していくことによって、96個の容器2の開口部2aに装着されたキャップ3を容易に取り外すことができる。つまり、Y方向に配置されている12個の容器2の開口部2aに装着されているキャップ3に、回転体11の軸線方向に配置された12個の係合部12を一列一斉に係合した状態で取り外すことができ、回転体11を回転させながら該回転体11を8列分前進させることによって、次々に、その列の容器2の開口2a部に装着されているキャップ3を一斉に係合した状態で取り外すことができる。したがって、96の容器2の開口部2aに装着されているキャップ3を容易に取り外すことができる。
【0026】
また、キャップ3は係合部12の回転移動によってキャップ3の一方側の縁部を支点として傾斜するようにして他方側の縁部から容器2の開口部2aから外れていくので、容器2がキャップ3によって持ち上げられるのを防止して、キャップ3を不具合なく確実に取り外すことができる。
【0027】
さらに、回転体11をその軸線回りに回転させながら、該軸線方向に沿って配置された係合部12を櫛部材20の櫛歯21,21間に挿入していくとともに、該係合部12に係合しているキャップ3を係合部11の回転移動によって、隣り合う櫛歯21,21で外れる方向に押圧して取り外していくので、回転体11の96個の係合部12にそれぞれ係合している96個のキャップ3を該係合部12から容易に取り外すことができる。
【0028】
なお、本実施の形態では、回転体11に設けられている係合部12の先端部に拡径部12aを形成し、この拡径部12aをキャップ3の凹部3aの底部3dに嵌め込むようにしたが、係合部12の先端部には、この拡径部12aに代えて、底部3dに係止される係止部を形成してもよい。この場合、係止部は、係合部の先端部に、少なくとも回転体11の回転方向に向けて突出するように形成すればよい。
また、前記拡径部12aは周方向に連続したものでもよいし、周方向に所定間隔で形成したものでもよい。
【0029】
また、本実施の形態では、図2(b)において、X方向左側から右側に向かって、回転体11を移動させて、X方向左側の容器2のキャップ3からX方向右側に向かって順次取り外して行き、その後回転体11を左側に移動させ、ラック1の後方(左方)に配置した櫛部材20で、回転体11の係合部12に係合しているキャップ3を取り外すようにしたが、これに代えて、図2(b)において、X方向右側から左側に向かって、回転体11を移動させて、X方向右側の容器2のキャップ3からX方向左側に向かって順次取り外して行くようにすれば(この場合、回転体11の軸回りの回転方向は図2(c)と反対になる。)、図2(d)のように回転体11を反対側の位置に戻すことなく、櫛部材20により回転体11の係合部12に係合しているキャップ3を取り外すことができる。また、図2の場合には、図2(d)のように回転体11を反対側の位置に戻す際に、キャップなしの容器2の上を容器2から取り外されたキャップ3が通過するので、キャップ3に液体等が付着していると、他の容器2にその液体等が落下する虞があるが、前述のようにすると、容器2から取り外されたキャップ3がキャップなしの容器2の上を通過することがないので、このような虞がない。
【0030】
さらに、本実施の形態では、回転体11をX方向に移動させるようにしたが、これに代えて、回転体11をY方向に移動させるようにしてもよい。この場合、回転体11をその軸線をX方向に向けて配置するとともに、係合部12を回転体11の外周部に周方向に一定間隔で12個かつY方向に一定間隔で8個放射状に突出して設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るキャップ取外し装置によってキャップが取り外される容器をラックとともに示すもので、(a)は容器およびラックの斜視図、(b)は容器を示す図である。
【図2】本発明に係るキャップの取外し方法の一例を示す工程図であり、(a)はラックに保持された容器にキャップを装着している状態を示す側面図、(b)はキャップ取外し装置によって、一列目のキャップに係合部を係合している状態を示す側面図、(c)はキャップ取外し装置によって容器からキャップを次々に取り外している状態を示す側面図、(d)はキャップを容器から取外し終えた状態を示す側面図、(e)は係合部に係合しているキャップを廃棄する状態を示す側面図である。
【図3】本発明に係るキャップ取外し方法を説明するためのもので、係合部がキャップに係合していく状態を示す要部の側断面図である。
【図4】本発明に係るキャップ取外し方法を説明するためのもので、係合部に係合しているキャップを廃棄する状態を示す側断面図である。
【図5】本発明に係るキャップ取外し方法で使用される櫛部材の下面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 ラック
2 容器
2a 開口部
3 キャップ
10 キャップ取外し装置
11 回転体
12 係合部
20 櫛部材
21 櫛歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向とこれに直交するY方向とにそれぞれ所定ピッチで配置されたうえでラックに保持された複数の容器の開口部にそれぞれ装着されたキャップを前記容器の開口部から取り外すキャップ取外し装置であって、
Y方向と平行な軸線回りに回転可能な回転体と、この回転体の外周部に周方向に所定間隔でかつY方向に所定間隔で放射状に突出して設けられて、前記複数の容器の開口部に装着されたキャップに係合可能な係合部とを備え、
前記回転体とラックとは、前記容器の開口部と前記回転体とが対向した状態でX方向に相対的に移動可能であることを特徴とするキャップ取外し装置。
【請求項2】
請求項1に記載のキャップ取外し装置によって、複数の容器の開口部にそれぞれ装着されたキャップを取り外すキャップ取外し方法であって、
前記回転体を軸回りに回転させながら該回転体と前記ラックとを相対的にX方向に移動させていくことによって、前記複数の容器の開口部に装着されているキャップに、前記係合部を次々に係合していくとともに、該係合部の回転移動によって前記キャップを前記係合部に係合した状態で前記容器の開口部から次々に取り外していくことを特徴とするキャップ取外し方法。
【請求項3】
前記容器の開口部から取り外されて、前記回転体の複数の係合部にそれぞれ係合しているキャップを該係合部から取り外すに際し、
櫛歯が所定ピッチで複数形成された櫛部材を、前記回転体の外周部の近傍に、該回転体の軸線方向に沿って配置しておき、
前記回転体をその軸線回りに回転させながら、該軸線方向に沿って配置された前記係合部を前記櫛部材の櫛歯間に挿入していくとともに、該係合部に係合しているキャップを前記係合部の回転移動によって、前記隣り合う櫛歯で外れる方向に押圧して取り外していくことを特徴とする請求項2に記載のキャップ取外し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−197055(P2007−197055A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18263(P2006−18263)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(300090846)株式会社ライフテック (13)
【Fターム(参考)】