説明

キャップ型帽子

【課題】 頂部に設けた通気孔の通気を妨げることなく、該通気孔からの雨滴侵入を防止できる快適な着用感を有するキャップ型帽子を提供する。
【解決手段】 頂部に天ボタンを装着するための円形孔と該円形孔の近傍に穿設された複数の通気孔とが形成された帽子本体と、前記帽子本体の頂部に前記複数の通気孔の上部を覆うように載置され、かつ前記通気孔の通気を妨げることなく前記通気孔からの雨滴の侵入を防止する構造を持つ天ボタンと、前記帽子本体の内側から該帽子本体の頂部に形成された円形孔を介して前記天ボタンを帽子本体に載置・固着するための有頭ピンとを備え、前記天ボタンが、その下面中心に備えた前記有頭ピンのピン部を嵌挿する嵌入孔に、前記帽子本体頂部の円形孔を介して帽子本体内側から嵌挿される有頭ピンとで前記帽子本体頂部の布地に強固に挟着することによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、キャップ型帽子頂部の換気の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
キャップ型帽子の多くは、帽子本体の側面に複数の通気孔が円周上に一定間隔で配置されており、この通気孔を介して帽子内の空気の換気を行い帽子内の温度や湿気が必要以上に高まるのを防止している。しかし、暖まった空気や湿気は帽子内の頂部に溜まりやすく、側面の通気孔では十分な効果を発揮し得ないという問題があった。
そこで、実用新案登録第3102039号公報には、ドーム状の帽子本体の頂部に通気孔を形成し、この通気孔を介して前記帽子内部と外部とを連通させた帽子と、前記ドーム状の帽子本体の頂部に通気孔を、帽子本体の斜面部に補助通気孔を形成し、前記通気孔及び前記補助通気孔を介して前記帽子内部と外部を連通させるとともに、前記通気孔を前記補助通気孔より大径にしてなる帽子とでこの問題を解決する考案が開示されている。
また、実用新案登録第3102039号公報には、帽子の中にスペーサーを設け、帽子と頭部の間に空隙を作るとともに帽子の天井部に天井窓、後部に空気窓を設け、着用中の帽子内頭部の通風を可能にした帽子によって解決する考案が開示されている。
【特許文献1】実用新案登録第3102039号公報
【特許文献2】実用新案登録第3031764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記2つの考案は、いずれも帽子の上部に通気孔、あるいは天井窓を設けて帽子内の頂部に溜まりやすい暖まった空気や湿気を換気している。しかし、上記2つの考案の通気孔あるいは天井窓はいずれも開放されたままであり、雨天時にその通気孔あるいは天井窓から帽子内に雨滴が侵入するおそれがある。
本願発明の課題は、キャップ型帽子の頂部に設けた通気孔の通気を妨げることなく、該通気孔からの雨滴侵入を防止できる快適な着用感を有するキャップ型帽子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明者は、上記課題を下記の手段により解決した。
(1)キャップ型帽子において、
その頂部に天ボタンを装着するための円形孔と該円形孔の近傍に穿設された複数の通気孔とが形成されてなる帽子本体と、
前記帽子本体の頂部に前記複数の通気孔の上部を覆うように載置され、かつ前記通気孔の通気を妨げることなく前記通気孔からの雨滴の侵入を防止する構造を備えた円板状または扁平な半球状の天ボタンと、
前記帽子本体の内側から、該帽子本体の頂部に形成された円形孔を介して前記天ボタンを帽子本体に載置・固着するための有頭ピンと
により構成されてなることを特徴とするキャップ型帽子。
(2)前記天ボタンが、その下面中心に前記有頭ピンのピン先を嵌挿する嵌入孔を備えてなり、前記帽子本体頂部の円形孔を介して帽子本体内側から前記嵌入孔に嵌挿される有頭ピンとによって、前記帽子本体頂部の布地に強固に挟着されてなることを特徴とする前項(1)に記載のキャップ型帽子。
(3)前記帽子本体の側面に、該帽子本体の頂部に形成された前記複数の通気孔の通気効果を高めるための複数の補助通気孔を備えてなることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載のキャップ型帽子。
【発明の効果】
【0005】
本願発明により下記のような作用効果が発揮できる。
(ア)キャップ型帽子頂部に天ボタンを装着するための円形孔近傍に穿設された複数の通気孔と、前記複数の通気孔の上部に通気を妨げないように覆った天ボタンとによって、帽子内頂部の換気が維持されるとともに、通気口からの雨滴の侵入も防止でき、快適な着用感を有するキャップ型帽子が提供できる。
(イ)天ボタンが、その下面中心に前記有頭ピンのピン部を嵌挿する嵌入孔を備えてなり、前記帽子本体頂部の円形孔を介して帽子本体内側から前記嵌入孔に嵌挿される有頭ピンとによって、容易に前記帽子本体頂部の布地に挟着でき、かつ帽子本体頂部の布地縫い合わせ部を前記笠部と有頭ピンとで強固に挟持するので、布地の縫い合わせ部がほつれる心配もなくなる。
(ウ)また帽子の側面に設けた補助通気孔によって帽子内の暖まった空気が帽子頂部の通気孔から排出されるとともに外部の空気が前記補助通気孔から帽子内に供給されるので、帽子内の換気が効果的に促進される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本願発明の実施の形態を実施例の図に基づいて説明する。
図1は本願発明のキャップ型帽子実施例の斜視図、図2は本願発明実施例の構成を説明する斜視図であり、図3は帽子頂部の組み立て構造図[(a)天ボタンの横断面図、(b)天ボタンの下面図、(c)帽子頂部の横断面図、(d)有頭ピンの横断面図]、図4は他の実施例の帽子頂部の組み立て構造図[(a)天ボタンの横断面図、(b)天ボタンの下面図、(c)帽子頂部の横断面図、(d)有頭ピンの横断面図]である。
図において1は帽子本体、1aは通気孔、1bは円形孔、1cは補助通気孔、2は天ボタン、2aは笠部、2bは脚部、2cは嵌入孔、2dは馬蹄形切り欠き部、3は有頭ピン、3aはピン部である。
【0007】
本願発明のキャップ型帽子は、図1及び図2に示すように、その頂部に天ボタン2を装着するための円形孔1bと該円形孔1bの近傍に穿設された複数の通気孔1aとが形成されてなる帽子本体1と、
前記帽子本体1の頂部に前記複数の通気孔1aの上部を覆うように載置され、かつ前記通気孔1aの通気を妨げることなく前記通気孔1aからの雨滴の侵入を防止する構造を備えた円板状または扁平な半球状の天ボタン2と、
前記帽子本体1の内側から、該帽子本体1の頂部に形成された円形孔1bを介して前記天ボタン2を帽子本体に載置・固着するための有頭ピン3とを備えている。
そして、前記天ボタン2が、その下面中心に前記有頭ピン3のピン先を嵌挿する嵌入孔2cを備え、前記帽子本体1頂部の円形孔1bを介して帽子本体1内側から前記嵌入孔2cに嵌挿される有頭ピン3とによって、前記帽子本体1頂部の布地に強固に挟着されている。
また、帽子本体1の頂部に形成された複数の通気孔1aの通気効果を高めるために、帽子本体1の側面に複数の補助通気孔1cを備えてるのも好ましい。
【0008】
前記天ボタン2が前記通気孔1aの通気を妨げず、かつ前記通気孔1aからの雨滴の侵入を防止できる構造の実施例としては、次のようなものがある。
【実施例1】
【0009】
天ボタン3の第1の実施例は、図3(a)の横断面図、及び図3(b)の下面図に見られるように、通気孔1aの上部を覆う円板状又は扁平な半球状の笠部2aと、その下面中央に垂設され、その中央に前記嵌入孔2cを備えた円筒状の脚部2bとで構成されたものである。
そして、図3(c)に示すように、帽子本体1の頂部に形成された円形孔1bに、帽子本体1の内側から図3(d)に示す有頭ピン3のピン部3aを挿通し、帽子本体1の外部に突出した前記有頭ピン3のピン部3aに、前記天ボタン2の脚部2bを被嵌し、前記天ボタン2の脚部2bの端面と前記有頭ピン3の頭部裏面とで帽子本体1を挟むことによって天ボタン2を帽子本体1に固着している。
天ボタン2の外径は帽子本体1に形成された複数の通気孔1aの上部を覆う大きさ以上であればよく、また脚部2bの外径は前記円形孔1bよりは大きく、通気孔に内接する円の径よりも小さいものであればよい。
【実施例2】
【0010】
天ボタン2の第2の実施例は、図4(a)の横断面図、及び図4(b)の下面図に見られるように、通気孔1aの上部を覆う円板状又は扁平な半球状の笠部2aの下面が前記通気孔1aを塞ぐ部分に馬蹄形の切り欠き部2dを、また下面中央に図4(d)に見られる有頭ピン3を嵌挿する嵌入孔2cを備えたものである。
そして、図4(c)に示すように、帽子本体1の頂部に形成された円形孔1bに、帽子本体1の内側から図4(d)に示す有頭ピン3のピン部3aを挿通し、帽子本体1の外部に突出した前記有頭ピン3のピン部3aに、前記天ボタン2を被嵌し、前記天ボタン2の下面と前記有頭ピン3の頭部裏面とで帽子本体1を挟むことによって天ボタン2を帽子本体1に固着している。なおこの際、本実施例の天ボタン2は、前記通気孔1aの通気を妨げることのないよう天ボタン2の笠部2a下面に備えた馬蹄形の切り欠き部2dが帽子本体1の通気孔1aの上部に必ず位置するように載置される。
また前記馬蹄形の切り欠き部2dの幅、高さ、奥行きは、通気孔の大きさ、位置等によって任意に選択されてよい。
【0011】
前記天ボタン2及び有頭ピン3は、樹脂製であることが好ましく、また、樹脂製天ボタン2の笠部2aには帽子本体1の共布を被覆または貼着したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本願発明の帽子は、帽子の内部に滞留する暖まった空気や湿気が帽子本体頂部の通気孔から換気し、かつ雨天時に前記通気孔からの雨滴の侵入も防止し、着用者に快適感をもたらすので、特にスポーツ用キャップ、例えばゴルフキャップや野球帽などとして使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願発明のキャップ型帽子実施例の斜視図
【図2】本願発明実施例の構成を説明する斜視図
【図3】帽子頂部の組み立て構造図(a)天ボタンの横断面図(b)天ボタンの下面図(c)帽子頂部の横断面図(d)有頭ピンの横断面図
【図4】他の実施例の帽子頂部の組み立て構造図(a)天ボタンの横断面図(b)天ボタンの下面図(c)帽子頂部の横断面図(d)有頭ピンの横断面図
【符号の説明】
【0014】
1:帽子本体
1a:通気孔
1b:円形孔
1c:補助通気孔
2:天ボタン
2a:笠部
2b:脚部
2c:嵌入孔孔
2d:馬蹄形切り欠き部
3:有頭ピン
3a:ピン部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ型帽子において、
その頂部に天ボタン2を装着するための円形孔1bと該円形孔1bの近傍に穿設された複数の通気孔1aとが形成されてなる帽子本体1と、
前記帽子本体1の頂部に前記複数の通気孔1aの上部を覆うように載置され、かつ前記通気孔1aの通気を妨げることなく前記通気孔1aからの雨滴の侵入を防止する構造を備えた円板状または扁平な半球状の天ボタン2と、
前記帽子本体1の内側から、該帽子本体1の頂部に形成された円形孔1bを介して前記天ボタン2を帽子本体に載置・固着するための有頭ピン3と
により構成されてなることを特徴とするキャップ型帽子。
【請求項2】
前記天ボタン2が、その下面中心に前記有頭ピン3のピン部3aを嵌挿する嵌入孔2cを備えてなり、前記帽子本体1頂部の円形孔1bを介して帽子本体1内側から前記嵌入孔2cに嵌挿される有頭ピン3とによって、前記帽子本体1頂部の布地に強固に挟着されてなることを特徴とする請求項1に記載のキャップ型帽子。
【請求項3】
前記帽子本体1の側面に、該帽子本体1の頂部に形成された前記複数の通気孔1aの通気効果を高めるための複数の補助通気孔1cを備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャップ型帽子。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−249584(P2006−249584A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63532(P2005−63532)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(599115169)株式会社リーベン (6)