キャップ外し装置
【課題】デキャップ機構によるデキャップ動作が不要な保持部列に対するデキャップ動作を省略することにより、デキャップ作業の効率を向上させ、かつ寿命を延ばすキャップ外し装置を提供する。
【解決手段】キャップ外し装置100の制御装置150は、デキャップ機構110によるデキャップ動作が行われるデキャップ位置で、各保持部列の保持部Hに保持されているチューブTのキャップCの有無を保持部列単位で検出するフォトセンサ154と、フォトセンサ154の検出結果に基づいてデキャップ位置での保持部列でチューブTのキャップCの有無を判定するキャップ有無判定手段とを有する。制御装置150は、キャップ有無判定手段によりキャップCが有ると判定されたときに、デキャップ機構110にデキャップ動作を行わせ、キャップ有無判定手段によりキャップCが無いと判定されたときに、デキャップ機構110にデキャップ動作を停止させる。
【解決手段】キャップ外し装置100の制御装置150は、デキャップ機構110によるデキャップ動作が行われるデキャップ位置で、各保持部列の保持部Hに保持されているチューブTのキャップCの有無を保持部列単位で検出するフォトセンサ154と、フォトセンサ154の検出結果に基づいてデキャップ位置での保持部列でチューブTのキャップCの有無を判定するキャップ有無判定手段とを有する。制御装置150は、キャップ有無判定手段によりキャップCが有ると判定されたときに、デキャップ機構110にデキャップ動作を行わせ、キャップ有無判定手段によりキャップCが無いと判定されたときに、デキャップ機構110にデキャップ動作を停止させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器から該キャップを取り外すデキャップ機構を備えるキャップ外し装置に関する。そして、前記容器は、例えば、創薬用試料を封入するために使用される創薬用のマイクロチューブである。
【背景技術】
【0002】
キャップ外し装置が、キャップが着脱可能に装着される創薬用のマイクロチューブ(容器に相当。以下、「チューブ」という。)を保持する複数の保持部から構成される保持部列を複数列有する保管ラック(保持体に相当)と、チューブからキャップを取り外すデキャップ機構と、移送経路に沿って保管ラックを移送する移送機構とを備え、デキャップ機構が、移送経路でのデキャップ位置を占めている保持部列の保持部に保持されているチューブに装着されているキャップを取り外すデキャップ動作を行うものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−96627号公報(段落0025−0030、図3、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のキャップ外し装置において、デキャップ機構は、移送方向に並んでいる複数の保持部列が保持部列単位で移送経路でのデキャップ位置を占める度に、保持部列の保持部に保持されているチューブに装着されたキャップを取り外すデキャップ動作を行う。
そして、このデキャップ動作は、複数の保持部列のうちで、保持部列に属するすべての保持部のそれぞれが、キャップが装着されていないチューブを保持している保持部またはチューブを保持していない保持部である保持部列(以下、「キャップ無し保持部列」という。)に対しても行われる。
【0005】
このように、本来であればキャップ無し保持部列に対するデキャップ動作は不要であるにも拘わらず、デキャップ機構が、各保持部列に属する保持部が保持しているチューブにおけるキャップの有無とは無関係に、保管ラックが有するすべての保持部列に対して一律にデキャップ動作を行うのでは、キャップ無し保持部列に対するデキャップ動作の分だけ無駄な時間が発生して、キャップ無し保持部列を含んでいる保管ラックのキャップ取外し作業(以下、「デキャップ作業」という。)に余分な時間がかかる。
このため、保管ラック毎にデキャップ作業が完了するまでに要する時間であるサイクルタイムが、キャップ無し保持部列を含んでいる保管ラックについては長くなり、多数の保管ラックに対してデキャップ作業を行うキャップ外し装置におけるデキャップ作業の効率が低下するという問題があった。
【0006】
また、デキャップ機構を構成している可動部品については、不要なデキャップ動作の分だけ摩耗が進行することになるので、キャップ外し装置の寿命が短くなるという問題があった。
【0007】
さらに、デキャップ動作によるキャップの取外しが失敗するデキャップミスが発生して、デキャップ動作が行われた保持部列の保持部に保持されているチューブのうちの一部のチューブにキャップが装着されたまま残っている場合には、その残っているキャップが、続いてデキャップ動作が行われる次の保持部列において、キャップが残っているチューブと横方向で同じ位置にあるチューブのキャップの取外しを阻害して、デキャップミスが連鎖して発生することがあり、キャップ外し装置の信頼性を低下させるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、このような従来の課題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、デキャップ機構によるデキャップ動作が不要な保持部列に対するデキャップ動作を省略することにより、デキャップ作業の効率を向上させ、かつ寿命を延ばすキャップ外し装置を提供することである。
そして、本発明の別の目的は、さらに、デキャップミスの連鎖の発生を防止することにより、信頼性を向上させるキャップ外し装置を提供することである。
また、本発明の別の目的は、さらに、単一のキャップ検出手段がデキャップ動作毎の前後のそれぞれにおけるキャップの有無を検出することにより、コスト削減が可能なキャップ外し装置を提供することである。
また、本発明の別の目的は、さらに、保持部列毎のキャップの有無の検出を容易化し、かつキャップ検出手段のコンパクトな配置が可能なキャップ外し装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
まず、請求項1に係る発明は、キャップが着脱可能に装着される容器を保持する保持部が複数である所定数ずつ横方向に並んで構成される保持部列が縦方向に複数列に並んでいる保持部群を有する保持体と、前記保持部列単位で前記保持部に保持されている前記容器から前記キャップを取り外すデキャップ機構と、前記保持体および前記デキャップ機構の少なくとも一方を移送経路に沿って前記縦方向に移送する移送機構と、前記デキャップ機構および前記移送機構を制御する制御部を有する制御装置とを備え、前記制御部が、前記移送経路でデキャップ位置を占めている前記保持部列であるデキャップ位置保持部列に保持されている前記容器に装着されている前記キャップを取り外すデキャップ動作を前記デキャップ機構に行わせるキャップ外し装置において、前記制御装置が、前記デキャップ位置に達するまでに前記各保持部列が前記移送経路で占める位置である検出位置で、前記各保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップの有無を、前記保持部列単位で検出するキャップ検出手段を有し、前記制御部が、前記キャップ検出手段の検出結果に基づいて前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器の前記キャップの有無を判定するキャップ有無判定手段を有し、前記キャップ有無判定手段により前記キャップが有ると判定されたときに、前記デキャップ機構に前記デキャップ動作を行わせ、前記キャップ有無判定手段により前記キャップが無いと判定されたときに、前記デキャップ機構に前記デキャップ動作を停止させることにより、前述した課題を解決したものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記検出位置が前記デキャップ位置であることにより、前述した課題を解決したものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記制御装置が、1回の前記デキャップ動作毎に前記デキャップ動作の完了を検出するデキャップ動作検出手段と、前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップを検出するデキャップミス用キャップ検出手段とを有し、前記制御部が、前記デキャップ動作検出手段および前記デキャップミス用キャップ検出手段の検出結果に基づいて前記デキャップ動作が行われた後の前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップの有無を判定するデキャップミス判定手段を有し、前記デキャップミス判定手段により前記キャップが有ると判定されたときに、前記移送機構の作動を停止することにより、前述した課題を解決したものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の構成に加えて、前記キャップ検出手段が、前記デキャップミス用キャップ検出手段を兼ねることにより、前述した課題を解決したものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記デキャップ機構が、前記保持部に保持されている前記容器から前記キャップを取り外すために前記キャップに着脱可能に嵌合するピッキング部材と、前記横方向に平行な傾倒中心線を中心に前記所定数の前記ピッキング部材とともに傾倒可能な傾倒部材とを有し、前記キャップ検出手段が、発光素子と、前記発光素子から発せられた光を受光する受光素子とから構成され、前記発光素子および前記受光素子が、前記横方向で前記傾倒部材と前記保持体との間に、かつ前記横方向で前記保持部列を挟んで対向して配置されていることにより、前述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0014】
そこで、本発明のキャップ外し装置によれば、キャップが着脱可能に装着される容器を保持する保持部が複数である所定数ずつ横方向に並んで構成される保持部列が縦方向に複数列に並んでいる保持部群を有する保持体と、保持部列単位で保持部に保持されている容器からキャップを取り外すデキャップ機構と、保持体およびデキャップ機構の少なくとも一方を移送経路に沿って縦方向に移送する移送機構と、デキャップ機構および移送機構を制御する制御部を有する制御装置とを備え、制御部が、移送経路でデキャップ位置を占めている保持部列であるデキャップ位置保持部列に保持されている容器に装着されているキャップを取り外すデキャップ動作をデキャップ機構に行わせることにより、移送経路での保持体およびデキャップ機構の相対移動により、保持部列がデキャップ位置に位置する(すなわち、該保持部列がデキャップ位置保持部列である)ときに、デキャップ機構が、デキャップ動作を行って、保持部に保持されている容器のキャップを取り外すので、保持部に保持された容器に装着されているデキャップ作業を自動化することができるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏する。
【0015】
すなわち、請求項1に係る本発明のキャップ外し装置によれば、制御装置が、デキャップ位置に達するまでに各保持部列が移送経路で占める位置である検出位置で、各保持部列の保持部に保持されている容器に装着されているキャップの有無を、保持部列単位で検出するキャップ検出手段を有し、制御部が、キャップ検出手段の検出結果に基づいてデキャップ位置保持部列の保持部に保持されている容器のキャップの有無を判定するキャップ有無判定手段を有し、キャップ有無判定手段によりキャップが有ると判定されたときに、デキャップ機構にデキャップ動作を行わせ、キャップ有無判定手段によりキャップが無いと判定されたときに、デキャップ機構にデキャップ動作を停止させることにより、キャップ検出手段によりデキャップ位置保持部列にキャップが無いことが検出されたときに、デキャップ機構がデキャップ動作を行わないので、デキャップ動作が省略された分、後続の保持部列をデキャップ位置に位置させるまでの時間が短縮され、ひいてはキャップが無い保持部列を含む保持体のデキャップ作業のサイクルタイムが短縮されるため、キャップ外し装置によるデキャップ作業の効率を向上させることができるうえ、デキャップ動作の回数が減少することにより、デキャップ動作に伴うデキャップ機構を構成している可動部分の摩耗の発生が低減するので、キャップ外し装置の寿命を延ばすことができる。
さらに、保持体におけるキャップ無し保持部列の位置がキャップ検出手段により自動的に検出されるので、デキャップ動作を省略する保持部列を特定するにあたり、操作者が制御盤を通じてキャップが無い保持部列を指定したり、予め特定の保持部列がキャップ無し保持部列となるようにセットしたりする場合に発生し得る人為的ミスの発生を防止することができ、この点でもデキャップ作業の効率を向上させることができる。
【0016】
請求項2に係る本発明のキャップ外し装置によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、次の効果が奏される。
検出位置がデキャップ位置であることにより、キャップ検出手段は、デキャップ位置保持部列の保持部に保持されている容器のキャップの有無を検出するので、検出位置がデキャップ位置よりも手前の位置であるために、保持部列が検出位置を一旦占めた後にデキャップ位置を占める場合に比べて、デキャップ位置以外の検出位置での検出に要する時間が不要になる分、保持体における1列目の保持部列をデキャップ位置に位置させるまでの時間を短縮できるため、デキャップ作業の効率を向上させることができる。
【0017】
請求項3に係る本発明のキャップ外し装置によれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、次の効果が奏される。
制御装置が、1回のデキャップ動作毎にデキャップ動作の完了を検出するデキャップ動作検出手段と、デキャップ位置保持部列の保持部に保持されている容器に装着されているキャップを検出するデキャップミス用キャップ検出手段とを有し、制御部が、デキャップ動作検出手段およびデキャップミス用キャップ検出手段の検出結果に基づいてデキャップ動作が行われた後のデキャップ位置保持部列の保持部に保持されている容器に装着されているキャップの有無を判定するデキャップミス判定手段を有し、デキャップミス判定手段によりキャップが有ると判定されたときに、移送機構の作動を停止することにより、デキャップ動作の後にも、キャップが残っているデキャップミスが発生した場合には、移送機構が停止するので、移送機構の作動が継続されて、後続の保持部列に対するデキャップ動作が行われる場合に発生する可能性があるデキャップミスの連鎖を防止することができて、デキャップ機構の信頼性、ひいては外し装置の信頼性を向上させることができる。
【0018】
請求項4に係る本発明のキャップ外し装置によれば、請求項3に係る発明が奏する効果に加えて、次の効果が奏される。
キャップ検出手段が、デキャップミス用キャップ検出手段を兼ねることにより、デキャップミス用キャップ検出手段がキャップ検出手段により構成されて、単一のキャップ検出手段がデキャップ動作毎の前後のそれぞれにおけるキャップの有無を検出するので、部品点数が削減され、またキャップ外し装置の構造が簡素化されるため、キャップ外し装置のコストを削減することができる。
【0019】
請求項5に係る本発明のキャップ外し装置によれば、請求項1から請求項4のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、次の効果が奏される。
デキャップ機構が、保持部に保持されている容器からキャップを取り外すためにキャップに着脱可能に嵌合するピッキング部材と、横方向に平行な傾倒中心線Lを中心に前記所定数のピッキング部材とともに傾倒可能な傾倒部材とを有し、キャップ検出手段が、発光素子と、発光素子から発せられた光を受光する受光素子とから構成され、発光素子および受光素子が、横方向で傾倒部材と保持体との間に、かつ横方向で保持部列を挟んで対向して配置されていることにより、横方向で保持部列を挟んで対向して配置されている発光素子と受光素子により保持部列単位でのキャップの有無の検出を容易化することができ、しかも、発光素子および受光素子を横方向で傾倒部材と保持体との間に形成されているスペースを利用して配置することで、発光素子および受光素子をコンパクトに配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例であるキャップ外し装置の斜視図。
【図2】図1のキャップ外し装置の、別の方向からの斜視図。
【図3】図1のキャップ外し装置のデキャップ作業の対象であるマイクロチューブが保持されている保管ラックの斜視図。
【図4】図3の保管ラックの斜視図。
【図5】図1のキャップ外し装置のキャップ回収部の斜視図。
【図6】図4のキャップ回収部の櫛歯金具の斜視図。
【図7】図1のキャップ外し装置の制御装置のブロック図。
【図8】図1のキャップ外し装置の要部斜視図。
【図9】図8の要部側面図。
【図10】図1のキャップ外し装置のデキャップ機構のデキャップ動作を説明する要部側面図であり、デキャップ機構のピッキング軸棒が、保持部列の保持部に保持されているチューブのキャップに嵌合したときの図。
【図11】図10と同様の側面図であり、デキャップ機構が傾倒して、ピッキング軸棒がチューブからキャップを外すときの図。
【図12】図10と同様の側面図であり、ピッキング棒が上昇するとともに、デキャップ機構がさらに傾倒したときの図。
【図13】図10と同様の側面図であり、デキャップ機構が傾倒した状態で、ピッキング軸棒が櫛歯金具に近づいたときの図。
【図14】図10と同様の側面図であり、ピッキング軸棒が櫛歯金具に進入し、キャップが分離されるときの図。
【図15】図8に相当する図であり、デキャップミスが発生したときの図。
【図16】図15の、図9に相当する図。
【図17】図8に相当する図であり、保持部列の保持部に保持されているチューブにキャップが無いときの図。
【図18】図17の、図9に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のキャップ外し装置は、キャップが着脱可能に装着される容器を保持する保持部が複数である所定数ずつ横方向に並んで構成される保持部列が縦方向に複数列に並んでいる保持部群を有する保持体と、前記保持部列単位で前記保持部に保持されている前記容器から前記キャップを取り外すデキャップ機構と、前記保持体および前記デキャップ機構の少なくとも一方を移送経路に沿って前記縦方向に移送する移送機構と、前記デキャップ機構および前記移送機構を制御する制御部を有する制御装置とを備え、前記制御部が、前記移送経路でデキャップ位置を占めている前記保持部列であるデキャップ位置保持部列に保持されている前記容器に装着されている前記キャップを取り外すデキャップ動作を前記デキャップ機構に行わせ、前記制御装置が、前記デキャップ位置に達するまでに前記各保持部列が前記移送経路で占める位置である検出位置で、前記各保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップの有無を、前記保持部列単位で検出するキャップ検出手段を有し、前記制御部が、前記キャップ検出手段の検出結果に基づいて前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器の前記キャップの有無を判定するキャップ有無判定手段を有し、前記キャップ有無判定手段により前記キャップが有ると判定されたときに、前記デキャップ機構に前記デキャップ動作を行わせ、前記キャップ有無判定手段により前記キャップが無いと判定されたときに、前記デキャップ機構に前記デキャップ動作を停止させることにより、デキャップ機構によるデキャップ動作が不要な保持部列に対するデキャップ動作を省略することにより、デキャップ作業の効率を向上させ、かつ寿命を延ばすものであれば、その具体的な態様は如何なるものであっても構わない。
【0022】
容器は、例えば創薬用のマイクロチューブであるが、創薬用以外のチューブであってもよいし、チューブ以外の容器であってもよい。
移送機構は、移送経路に沿って保持体を移送する機構を含めて、保持体およびデキャップ機構の少なくとも一方を、移送経路に沿って移送する機構であればよい。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例を、図1〜図18を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明の実施例であるキャップ外し装置100は、容器としての創薬用マイクロチューブT(図3も参照)に着脱可能に装着されたキャップC(図3も参照)を自動的に取り外す装置である。
併せて図2,図3を参照すると、キャップ外し装置100は、基台101と、チューブであるマイクロチューブT(以下、「チューブT」という。)をそれぞれが保持する複数の保持部H(図4参照)を有する保持体としての保管ラックRと、前記保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCを取り外す動作であるデキャップ動作を行うデキャップ機構110と、保管ラックRを移送経路に沿って移送方向に移送する移送機構120と、デキャップ機構110によりチューブTから取り外されたキャップCを回収するキャップ回収部130と、後述する報知装置170と、キャップ外し装置100の運転・停止スイッチを有するとともに操作者により操作される制御盤105と、デキャップ機構110、移送機構120および報知装置170を制御する制御部161(図7参照)を有する制御装置150とを備えている。
【0024】
デキャップ機構110、移送機構120およびキャップ回収部130は、基台101に設けられている。移送機構120は、保管ラックRおよびデキャップ機構110に、移送経路(または移送方向)での相対的な移動を生じさせる駆動機構である。
移送経路は、本実施例では、基準平面としての水平面に平行な一直線状の経路である。
移送方向は、送り方向と、該送り方向とは反対の戻り方向とからなり、本実施例では、水平面に平行である。
【0025】
図3を参照すると、チューブTは、創薬、すなわち、医学、生物工学および薬学などにおいて薬剤を発見したり開発したりするプロセスにおいて、創薬用試料を収容するために使用される筒状の容器である。
チューブTは、保持部H(図4参照)に収容される容器本体としてのほぼ四角筒状のチューブ本体T1と、チューブ本体T1の上部に連なるとともに開口T3を形成する円筒状の開口部T2とを有する。
キャップCは、開口部T2に挿入されることでチューブTに装着され、開口T3を密封状態で塞ぐ。
【0026】
キャップCは、円形状の凹部C1が形成された把持部C2と、開口部T2に挿入されて嵌合する嵌合部C3とを有する。把持部C2は、チューブTへのキャップCの装着状態で開口部T2から突出し、嵌合部C3の外径よりも大きな外径を有する。
キャップCの形成材料は、デキャップ機構110のピッキング軸棒111が、凹部C1が設けられた把持部C2が有する弾性力に抗して、凹部C1と嵌合する程度の弾性を有する弾性材料であるとともに、光を透過させない、または光の透過率が小さい材料であり、例えば合成樹脂(例えばポリエチレン)である。
ここで、透過率が小さいとは、キャップCを透過する光を、後述するフォトセンサ154によるキャップCの有無が検出可能になる程度に減少させる透過率を意味する。
【0027】
図4を併せて参照すると、保管ラックRは、SBS(Society for Biomolecular Screening)規格に準拠した保管ラックであり、矩形状のフレームR1および複数の互いに交差する隔壁R2,R3により、フレームR1の内側で格子状に区画されて形成された複数の保持部Hから構成されている保持部群Hgを有する。
各保持部Hは、フレームR1または各隔壁R2,R3の一部分により構成されてチューブ本体T1を収納して保持する周壁部h1と、フレームR1と各隔壁R2,R3との交差部および隔壁R2,R3同士の交差部に壁部h1から上方に延びていてチューブTの傾倒を防止する突条形状またはピン形状の支持部h2とを有する収納セルである。
なお、図4においては、図の繁雑化を回避するために、保持部群Hgの一部が簡略化されて示されている。
【0028】
保持部群Hgにおいては、保持部Hが複数である所定数ずつ横方向に並んで構成される保持部列Aが、横方向に直交する縦方向に複数列に並んでいる。図4に示されるように、一例として、前記所定数は16であり、保持部列Aの前記所定列数は24である。
図1に示されるように、保管ラックRが、キャップ外し装置100の後述するテーブル121に載置された状態で、横方向は水平面上で移送方向に直交する方向であり、縦方向は移送方向に平行な方向である。
【0029】
図3に示される保管ラックRにおいて、6列目の保持部列A6はキャップ無し保持部列であり、6列目以外の残りの保持部列Aはキャップ有り保持部列である。
ここで、キャップ有り保持部列とは、キャップCが装着されているチューブTを保持している保持部Hを含む保持部列Aであり、キャップ無し保持部列とは、キャップCが装着されているチューブTを保持している保持部Hが含まれていない保持部列A、換言すれば、保持部列Aに属するすべての保持部Hのそれぞれが、キャップCが装着されていないチューブTを保持している保持部HまたはチューブTを保持していない保持部Hである保持部列Aである。
なお、図3に示される例では、各キャップ有り保持部列のすべての保持部Hが、キャップCが装着されたチューブTを保持しているが、別の例として、1以上のキャップ有り保持部列の一部の保持部Hのみが、キャップCが装着されたチューブTを保持していてもよい。
【0030】
図3,図4を適宜参照しながら、図1,図2,図10を参照すると、保持部Hに保持されているチューブTからキャップCを保持部列A単位で取り外すデキャップ機構110は、チューブTからキャップCを取り外すために該キャップCを着脱可能に保持する複数のピッキング部材としてのピッキング軸棒111と、直線状のピッキング軸棒111を固定状態で保持するピッキング基体112と、ピッキング基体112をピッキング軸棒111とともにピッキング操作方向としての進退方向に駆動するピッキング用アクチュエータ114を有する駆動部113と、ピッキング軸棒111およびピッキング基体112を予め設定された傾倒範囲で傾倒可能とする傾倒機構115とを備えている。
アクチュエータ114および後述する2つのアクチュエータ118,123は、例えば電動モータである。
【0031】
各ピッキング軸棒111は、キャップCの凹部C1(図3参照)での弾性力に抗して、該凹部C1内に嵌合可能な外径を有する。
ピッキング基体112は、アクチュエータ114により駆動されるとともに駆動部113が有するスライダ部113aに取り付けられ、ピッキング軸棒111の軸方向に平行な方向である進退方向に平行に移動可能である。
【0032】
保持部列Aを構成する保持部Hと同数である前記所定数のピッキング軸棒111は、ピッキング基体112において、横方向に1列に、保持部列Aにおける保持部H同士の横方向でのピッチ(以下、「横ピッチ」という。)と等しいピッチに、かつ進退方向に平行に配置されている。
そして、各ピッキング軸棒111は、ピッキング基体112が進退方向に移動するときに、後述するデキャップ位置を占める保持部列Aを構成するすべての保持部Hが保持しているチューブTに装着されているキャップCの凹部C1にそれぞれ整合する位置に、横方向で位置決めされている。
【0033】
傾倒機構115は、基台101に設けられた傾倒支持部である傾倒支持軸117に傾倒可能に支持される傾倒部材116と、制御装置150により制御されるとともに傾倒支持軸117により規定される傾倒中心線L(図10参照)を中心に傾倒部材116を傾倒させる傾倒用アクチュエータ118とを有する。
傾倒部材116は、ピッキング用アクチュエータ114が取り付けられる取付壁116cと、横方向で取付壁116cの両端部にそれぞれ連なるとともに横方向で離隔している1対の側壁116a,116bとを有する。
1対の側壁116a,116bは、傾倒支持軸117を構成するとともに横方向に離隔している1対の支持部である支持軸117a、117bに傾倒可能に支持されている。
また、1対の側壁116a,116bは、横方向で、案内レール122(または、移送経路),保管ラックRおよびテーブル121を挟む位置に配置されている。
【0034】
傾倒部材116の前記傾倒範囲は、傾倒が始まるときの位置である傾倒開始位置(図10参照)と、最も傾倒したときの位置である傾倒終了位置(図13参照)とを限界位置として規定される範囲である。
図10に示されるように、傾倒開始位置は、ピッキング軸棒111が保持部Hに保持されているチューブTのキャップCを保持するためのピッキング位置であり、本実施例では、進退方向およびピッキング軸棒111が、上下方向に平行になる位置である。
【0035】
デキャップ機構110は、ピッキング用アクチュエータ114を介して傾倒部材116に取り付けられている。このため、ピッキング軸棒111およびピッキング基体112は、傾倒部材116とともに、横方向に平行な傾倒中心線L(図10参照)を中心に傾倒可能であり、かつ、保持部Hに保持されているチューブTに対して進退方向に移動可能である。
そして、1対の支持軸117a、117bは、傾倒中心線Lが、後述するデキャップ位置保持部列Ad(図9参照)の保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの把持部C2の近傍位置または把持部C2と交わる位置を占めるように配置されている(図10参照)。
【0036】
移送機構120は、保管ラックRが位置決め治具(図示されず)により所定位置に位置決めされて載置される載置部としてのテーブル121と、移送経路を規定するとともにテーブル121を移送方向に移動可能に案内する案内部としての案内レール122と、テーブル121を移送方向に移動させる移送用アクチュエータ123とを有する。
【0037】
アクチュエータ123は、制御装置150により制御されてテーブル121を移動させることにより、テーブル121に載置されている保管ラックRが、したがって各保持部列Aおよび該保持部列Aの保持部Hに保持されているチューブTが、保持部列A単位で、デキャップ位置を占めるように、保管ラックRを移送方向に移送する。
ここで、デキャップ位置とは、図10に示されるように、各保持部列Aが移送経路において占める特定の位置であり、ピッキング軸棒111によりチューブTに装着されているキャップCが取り外されるときの位置(図9も参照)である。
また、デキャップ位置を占めている保持部列Aは、デキャップ位置保持部列Ad(図9参照)である。
【0038】
なお、保管ラックRがテーブル121に位置決めされた状態においては、テーブル121が移送経路を移動するとき、移送経路において、テーブル121の位置と、保管ラックRの位置と、各保持部列Aの位置(保持部列Aの各保持部Hの位置でもある。)と、各保持部列Aの保持部Hに保持されているチューブTの位置と、該チューブTに装着されているキャップCの位置とは、互いに1対1の対応関係を有する。
このため、移送経路でのテーブル121の位置は、保管ラックRの位置、各保持部列Aの位置、チューブTの位置および該チューブTに装着されているキャップCの位置と等価である。
そこで、以下では、移送経路での位置および後述する送位置検出手段152による位置検出に関して、保持部列Aまたは保管ラックRの位置を中心に説明する。
【0039】
移送機構120のアクチュエータ123は、保管ラックRを、キャップ外し装置100の運転開始前に保管ラックRが位置決めされて載置されるときの移送経路での位置である初期位置(各保持部列Aの初期位置でもあり、図10に二点鎖線で示されている。)から、1列目の保持部列A1(図9参照)が移送経路での位置であるデキャップ位置に達するまで、1列目の保持部列A1が初期位置からデキャップ位置に達するまでのテーブル121の平均送り速度である所定送り速度で移送する。
【0040】
その後、移送用アクチュエータ123は、移送方向での保持部列A同士の縦方向でのピッチである縦ピッチに合わせて、保管ラックRに保持された保持部列A毎の各保持部Hが同時にデキャップ位置を占めるように、かつ、保管ラックRのすべての保持部列Aが、保持部列A単位で、順次、デキャップ位置を占めるように、テーブル121を縦ピッチ毎に間欠的に移動させ、したがって保管ラックRを縦ピッチ毎に間欠的に移送する。
ここで、前記所定送り速度は、縦ピッチ間でのテーブル121の平均送り速度であるピッチ間移送速度よりも高速である。
【0041】
図3,図4を適宜参照しながら、図1,図2,図5,図6,図10を参照すると、キャップ回収部130は、基台101において、傾倒部材116または傾倒中心線L(図10参照)に対して、送り方向側、または傾倒部材116の傾倒側に配置されている。
キャップ回収部130は、ピッキング軸棒111に嵌合により保持されているキャップCをピッキング軸棒111から分離する分離部材としての櫛歯金具131と、ピッキング軸棒111から分離されたキャップCを受容するキャップ受容部134と、キャップ受容部134を通ったキャップCを収容する回収ボックス145とを有する。
【0042】
板材で構成される櫛歯金具131は、その上端部に、下方に向かって屈曲した屈曲部132を有する。屈曲部132の端縁132aには、ピッキング軸棒111と同数の、かつ前記横ピッチと等しいピッチの分離溝133から構成される溝列が設けられている。各分離溝133は、ピッキング軸棒111の外径よりも大きく、かつキャップCの外径より小さい幅のU字状に形成されて、下方に向かって開放している。このため、各ピッキング軸棒111は、分離溝133に下方から進入可能である。
【0043】
キャップ受容部134は、移送経路を跨ぐように基台101に固定される門型の筒状の本体135と、本体135の上端開口141を覆うカバー136とを有する。
本体135は、横方向で移送経路を挟んで配置されるとともに基台101に固定される筒状の1対の脚部135aと、移送経路の上方で移送経路を横切って両脚部135aの上部に連結している筒状の横断部135cとを有する。
【0044】
横断部135cには、上端開口141の一部をそれぞれ覆う櫛歯金具131およびカバー136が取り付けられる。櫛歯金具131およびカバー136は、すべてのピッキング軸棒111が挿通可能なスリット状の挿通口142を形成するように、移送方向で離隔して上端開口141を覆っている。
【0045】
キャップ受容部134には、横断部135cとカバー136とにより形成されて、ピッキング軸棒111においてキャップCが嵌合して保持されるキャップ保持部としての先端部111a(図14参照)が挿入され得る空間である受容空間143と、本体135の1対の脚部135aによりそれぞれ形成される1対の誘導路144(図5には、一方の誘導路144が、脚部135aの一部が破断されて示されている。)とが設けられている。
各誘導路144は、上端部で受容空間143に開放し、下端部で回収ボックス145内に開放している。
カバー136は、櫛歯金具131によりピッキング軸棒111から分離されたキャップCが受容空間143から飛び出すことを防止する飛散防止カバーである。
そして、ピッキング軸棒111から分離されたキャップCは、受容空間143から各誘導路144に振り分けられて、図5に二点鎖線の矢印で示されるように、回収ボックス145内に落下する。
【0046】
図1を適宜参照しながら、図7を参照すると、制御装置150は検出部151および制御部161を有する。
検出部151は、移送経路でのテーブル121の位置を検出する移送位置検出手段152と、デキャップ機構110のデキャップ動作を検出するデキャップ動作検出手段153と、デキャップ用キャップ検出手段としてのフォトセンサ154とを有する。
制御部161は、中央演算処理装置、入出力装置および記憶装置を備えるコンピュータにより構成されている。
制御部161には、制御盤105から出力される操作信号と、各検出手段152,153およびフォトセンサ154から出力される検出信号とが入力される。前記操作信号には、キャップ外し装置100の運転・停止信号および移送用アクチュエータ123を作動させる移送開始スイッチ106による移送開始信号が含まれる。
【0047】
図1,図3,図4を適宜参照しながら、図7,図10を参照すると、移送位置検出手段152は、例えばエンコーダにより構成され、移送経路での保管ラックRの位置を検出し、したがってテーブル121が移送方向に移動することに伴って、各保持部列Aがデキャップ位置に位置していることを検出する。
【0048】
デキャップ動作検出手段153は、例えば位置検出手段(例えばエンコーダ)により構成され、傾倒部材116の傾倒位置を検出することにより、1回のデキャップ動作毎にデキャップ動作の開始およびその完了を検出する。
例えば、デキャップ動作検出手段153は、傾倒部材116の傾倒位置が、傾倒開始位置(図10参照)から傾倒方向に変化を開始することにより、デキャップ動作の開始を検出し、その後、傾倒終了位置(図13参照)に達した後に再び前記傾倒開始位置を占めたときにデキャップ動作の完了を検出する。
【0049】
図1,図3,図4を適宜参照しながら、図8〜図10を参照すると、フォトセンサ154は、各保持部列Aに対するデキャップ動作が開始されるよりも前に、デキャップ位置に達するまでに各保持部列Aが移送経路で占める位置である検出位置で、該検出位置の保持部列Aを構成する保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの有無を、保持部列A単位で、かつ移送方向での保管ラックRとデキャップ機構110との間での相対移動である縦ピッチの移動毎に、順次検出する。
前記検出位置は、本実施例ではデキャップ位置である。
【0050】
フォトセンサ154は、横方向に平行な仮想直線上で対向して配置されている1対の検出素子である発光素子154aおよび該発光素子154aから発せられた光を受光する受光素子154bから構成される。
ここで、前記仮想直線は、デキャップ位置保持部列Adのすべての保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCと交わる直線である。
【0051】
発光素子154aおよび受光素子154bは、横方向で、案内レール122、テーブル121および保管ラックRを挟んで配置されている1対の支持部材155にそれぞれ支持され、該1対の支持部材155を介して基台101に固定されて設けられている。
【0052】
このため、発光素子154aおよび受光素子154bは、横方向で、案内レール122、保管ラックR、保持部列A、および、各保持部列Aにおける容器列としてのチューブTの列を挟んで、かつ、横方向で傾倒部材116の1対の側壁116a,116b(図2も参照)の内側で、該1対の側壁116a,116bと保管ラックRとの間に形成されている1対のスペースS(図8参照)に配置されている。
【0053】
フォトセンサ154は、デキャップ位置保持部列Adがキャップ有り保持部列であるときに、発光素子154aから放射された光EがキャップCにより遮断またはその透過量が減少することで、キャップCが有ることを検出し、デキャップ位置保持部列Adがキャップ無し保持部列であるときに、発光素子154aから放射された光EがキャップCにより遮断されず、またはその透過量が所定値未満に減少しないことで、キャップCが無いことを検出する。
また、フォトセンサ154は、デキャップ位置を占める保持部列A(すなわちデキャップ位置保持部列Adであり、図9では、1列目の保持部列A1である。)の保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの有無を検出することから、デキャップミス用キャップ検出手段である。
【0054】
図7〜図9を参照すると、制御部161は、キャップ有無判定手段162と、デキャップミス判定手段163と、移送機構120の作動を制御する移送制御手段164と、デキャップ機構110の作動を制御するデキャップ制御手段165と、報知装置170(例えば、報知灯や報知音発生装置)を制御する報知制御手段166とを有する。
【0055】
キャップ有無判定手段162は、移送位置検出手段152およびフォトセンサ154の検出結果に基づいて、デキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの有無を判定する。
具体的には、キャップ有無判定手段162は、移送位置検出手段152により各保持部列Aがデキャップ位置を占めていることが検出され、かつフォトセンサ154により各保持部列Aの保持部Hに保持されているチューブTにキャップCが有ることが検出されたとき(図8,図9参照)に、デキャップ位置保持部列AdにキャップCが有ると判定する一方、移送位置検出手段152により各保持部列Aがデキャップ位置を占めていることが検出され、かつフォトセンサ154により保持部列Aの保持部Hに保持されているチューブTにキャップCが無いことが検出されたとき(図17,図18参照)に、デキャップ位置保持部列AdにキャップCが無いと判定する。
【0056】
デキャップミス判定手段163は、デキャップ動作検出手段153およびデキャップミス用キャップ検出手段としてのフォトセンサ154の各検出結果に基づいて1回のデキャップ動作が行われた直後のデキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTのキャップCの有無を判定する。
具体的には、デキャップ機構110のデキャップ動作によるチューブTからのキャップCの取外しが失敗して、デキャップミスが発生した場合には、デキャップ動作後のデキャップ位置保持部列Adの少なくとも1つのチューブTにキャップCが装着された状態で残っていて(図15参照)、その残っているキャップCがフォトセンサ154により検出される。
【0057】
そこで、デキャップミス判定手段163は、デキャップ動作検出手段153によりデキャップ動作の完了が検出され、かつフォトセンサ154によりデキャップ位置保持部列AdにキャップCが有ることが検出されたときに、デキャップミスがあると判定する一方、デキャップ動作検出手段153によりデキャップ動作の完了が検出され、かつフォトセンサ154によりデキャップ位置保持部列AdにキャップCが無いことが検出されたときに、デキャップミスがないと判定する。
【0058】
併せて図1を参照すると、移送制御手段164は、移送位置検出手段152により検出される各保持部列Aの位置、デキャップミス判定手段163により判定されるデキャップミスの判定結果、および、デキャップ動作検出手段153により検出されるデキャップ動作状態に基づいて、アクチュエータ123を制御する。
具体的には、移送制御手段164は、移送機構120の作動開始後に、各保持部列Aがデキャップ位置に達したときに、アクチュエータ123の作動を停止して、移送機構120に、送り方向への各保持部列A、すなわち保管ラックRの移送を停止させ、デキャップ動作検出手段153により1回毎のデキャップ動作の完了が検出されたときに、および、キャップ有無判定手段162によりキャップCが無いと判定されたときに、アクチュエータ123を作動させて、移送機構120に、各保持部列A、すなわち保管ラックRを1縦ピッチだけ送り方向に移送させる。
【0059】
また、移送制御手段164は、デキャップミス判定手段163によりキャップCが有ると判定されたときに、アクチュエータ123の作動を停止して、移送機構120に保管ラックRの移送を停止させる一方、デキャップミス判定手段163によりデキャップミスがないと判定されたときに、アクチュエータ123を作動させて、移送機構120に、1縦ピッチ分だけ、送り方向に保管ラックRを移送させる。
【0060】
デキャップ制御手段165は、キャップ有無判定手段162の判定結果に基づいてピッキング用アクチュエータ114および傾倒用アクチュエータ118を制御する。
具体的には、デキャップ制御手段165は、キャップ有無判定手段162によりキャップCが有ると判定されたときに、各アクチュエータ114,118を作動させて、デキャップ機構110に、デキャップ動作を行わせる一方、キャップ有無判定手段162によりキャップCが無いと判定されたときに、各アクチュエータ114,118の作動を停止して、デキャップ機構110にデキャップ動作を停止させる。
【0061】
報知制御手段166は、デキャップミス判定手段163による判定結果に基づいて、デキャップミス判定手段163によりデキャップミスがあると判定されたときに、報知装置170を作動させて、デキャップミスの発生を報知する。
【0062】
次に、図7を適宜参照しながら、図1,図8〜図18を参照して、キャップ外し装置100の動作を説明する。
図1に示されるように、保管ラックRがテーブル121に位置決めされ、保管ラックR(したがって、保持部列A)が初期位置にあり、傾倒部材116が傾動開始位置にある状態で、制御盤105の運転・停止スイッチが操作されてキャップ外し装置100の運転が開始される。
【0063】
次いで、移送開始スイッチ106が操作されると、移送用アクチュエータ123は、テーブル121を送り方向に移動させて、保管ラックRを、初期位置(図1参照)からデキャップ位置まで所定送り速度で移送し、図8〜10に示されるように、1列目の保持部列A1がデキャップ位置を占める。
【0064】
この状態で、デキャップ位置保持部列Ad(図9参照)である保持部列A1のキャップCの凹部C1(図3参照)が、進退方向でピッキング軸棒111に嵌合可能な位置を占め、また、移送用位置検出手段152により保持部列Aがデキャップ位置に位置することが検出され、フォトセンサ154によりデキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの有無が検出される。
【0065】
移送用位置検出手段152およびフォトセンサ154の検出結果に基づいて、キャップ有無判定手段162がデキャップ位置保持部列AdでのチューブTにキャップCが有る(すなわち、デキャップ位置保持部列Adはキャップ有り保持部列である)と判定すると、その判定結果に基づいてデキャップ制御手段165が各アクチュエータ114,118を作動させて、デキャップ機構110に、デキャップ位置保持部列Adに保持されているチューブTに装着されているキャップCを、保持部列A単位で取り外すデキャップ動作を行わせる。
【0066】
具体的には、このデキャップ動作において、まずピッキング用アクチュエータ114がピッキング基体112を進退方向でデキャップ位置保持部列Adに向かって降下させ、図10に示されるように、ピッキング軸棒111の先端部111a(図14参照)をキャップCの凹部C1(図3参照)に該凹部C1での弾性力に抗して嵌合させる。
次いで、図11に示されるように、傾倒用アクチュエータ118が傾倒部材116を傾倒させ、これによって、ピッキング軸棒111および該ピッキング軸棒11に保持されているキャップCを傾倒させて、ピッキング軸棒111がキャップCをチューブTから外す。
【0067】
そして、キャップCがチューブTから外れ、傾倒用アクチュエータ118が、傾倒部材116を、ピッキング軸棒111がキャップ回収部130に近接する位置まで傾倒させた後、図12に実線で示されるように、ピッキング用アクチュエータ114が、ピッキング基体112を介してピッキング軸棒111を進退方向で上昇させ、図12に二点鎖線で示されるように、ピッキング軸棒111に嵌合しているキャップCがキャップ回収部130の櫛歯金具131よりも上方に来る位置まで引き上げられる。
【0068】
そして、アクチュエータ118が傾倒部材116をさらに傾倒させて、図13に実線で示されるように、ピッキング軸棒111をキャップ回収部130の挿通口142に挿入可能な位置である傾倒終了位置まで傾倒させた後、図13に二点鎖線で示されるように、ピッキング用アクチュエータ114が、ピッキング軸棒111に保持されているキャップCが櫛歯金具131の分離溝133(図5参照)より下方に来る位置まで、ピッキング基体112を介してピッキング軸棒111を進退方向で下降させる。
【0069】
その後、図14に実線で示されるように、傾倒用アクチュエータ118が、傾倒部材116を、ピッキング軸棒111が櫛歯金具131に完全に収容される分離位置まで、傾倒開始位置(図10参照)に向けて起立させた後、ピッキング用アクチュエータ114がピッキング軸棒111を上昇させることで、図14に二点鎖線で示されるように、キャップCが櫛歯金具131によってピッキング軸棒111の先端部111aから分離し、キャップ回収130の受容空間143内に落下する。
落下したキャップCは、キャップ回収部130の誘導路144を落下して、下方に設置され回収ボックス145に収容される。
【0070】
一方、ピッキング軸棒111からキャップCを分離する分離動作を行った傾倒部材116は、傾倒用アクチュエータ118により駆動されて前記分離位置から起立して傾動開始位置(図10参照)に復帰する。そして、デキャップ動作検出手段153は、このときデキャップ動作の完了を検出する。
そして、デキャップミス判定手段163は、デキャップ動作の完了が検出された時点でのフォトセンサ154による1列目の保持部列A1の保持部Hに保持されているチューブTにおけるキャップCの有無を検出するフォトセンサ154の検出結果に基づいて、デキャップ動作後のデキャップ位置保持部列AdでのキャップCの有無を判定する。
【0071】
移送制御手段164は、デキャップミス判定手段163によりデキャップミスがないと判定されたときに、移送用アクチュエータ123を作動させて、移送機構120に保管ラックRを1縦ピッチだけ移送方向に移送させて、2列目の保持部列A2(図9参照)をデキャップ位置に位置させる。
そして、2列目の保持部列A2がデキャップ位置保持部列Adであるとき、直前の1列目の保持部列A1と同様に、フォトセンサ154およびデキャップ動作検出手段153による検出結果と、キャップ有無判定手段162およびデキャップミス判定手段163の判定結果とに基づいて、デキャップ機構および移送機構120の制御が行われる。
【0072】
次いで、移送機構120により、3列目の保持部列A3が、デキャップ位置まで移送されて、デキャップ位置保持部列Adとなったときに、該3列目の保持部列A3に対してデキャップ動作が行われる。
そして、図15,図16に示されるように、3列目の保持部列A3に対するデキャップ動作の完了後に、保持部列A3の一部の保持部Hに保持されているチューブTにキャップC(図15,図16では1つのキャップC)が残っていて、フォトセンサ154により、デキャップ保持部列AdにキャップCが有ることが検出されて、デキャップミス判定手段163がデキャップミスがあると判定すると、移送制御手段164は、アクチュエータ123の作動を停止して、移送機構120に移送方向への保管ラックRの移送を停止させ、同時に、報知制御手段166が報知装置170を作動させて、操作者にデキャップミスの発生を報知する。
このとき、デキャップミスのチューブTに残っているキャップCの取外しは、例えば以下のように行われる。
制御盤105の戻りスイッチ(図示されず)が操作者により操作されて、移送制御手段164が移送機構120に保管ラックRを初期位置(図1参照)まで一旦戻させた状態で、操作者が、残っているキャップCを取り外し、その後、制御盤105の移送再開スイッチ(図示されず)を操作することにより、移送制御手段164が移送機構120に送り方向への保管ラックRの移送を再スタートさせる。
そして、前記移送再開スイッチが操作されたとき、キャップ有無判定手段162は、移送位置検出手段152およびフォトセンサ154の各検出信号に基づいて、保管ラックRの1列目の保持部列A1からデキャップミスが生じた保持部列A3までのすべての保持部列Aに関して、デキャップ位置保持部列AdでのチューブTにキャップCが無いと判定し、デキャップミスが生じた保持部列A3に後続する保持部列A4にキャップCが有ると判定することにより、移送制御手段164は、保持部列A1から保持部列A3までのすべての保持部列Aがデキャップ位置を通過して、再スタート後に最初に保持部列A4がデキャップ位置で停止するように、移送機構120に保管ラックRの移送を行わせる。次いで、デキャップ機構110が、保持部列A4のチューブTに装着されているキャップCに対してデキャップ動作を行う。
このようにすることで、デキャップミス発生時に非常停止信号などによりキャップ外し装置100の電源がオフとされ、操作者がデキャップミスで残ったキャップCを取り外した後に、再度電源が投入されることにより、リセット状態になったキャップ外し装置100が、デキャップミスが発生した保管ラックRに対してデキャップ作業を最初からやり直す場合に比べて、デキャップミスが発生した保管ラックRに対するデキャップ作業の効率を向上させることができる。
【0073】
このように、デキャップ動作が行われた保持部列A毎に、デキャップミス判定手段163によるデキャップミスの有無の判定が行われ、デキャップミスが発生した場合には、デキャップ動作後もチューブに装着されたまま残っているキャップが取り外されるまで、次の保持部列Aがデキャップ位置に移送されることが一旦禁止される。
このため、デキャップミスが発生したときにも、継続して移送機構120による移送が行われた場合に発生し得るデキャップミスの連鎖、すなわち、新たなデキャップ保持部列Adである保持部列A(図16で、4列目の保持部列A4)に対して行われるデキャップ動作において、キャップCに嵌合した後のピッキング軸棒111が傾動機構115により駆動されて傾斜する際に、チューブTに装着されたまま残っているキャップC(図16で、保持部列A3の、右から2つ目のチューブTに装着されているキャップCである。)が、ピッキング軸棒111の傾斜を妨げることにより、キャップCが残っているチューブTと横方向で同じ位置にあるチューブTのキャップC(図16で、保持部列A4の、右から2つ目のチューブTに装着されているキャップCである。)の取外しを阻害して、デキャップミスが連鎖して発生することを、防止することができる。
【0074】
図17,図18を参照すると、デキャップ作業がさらに進行して、6列目の保持部列A6が、デキャップ位置を占めてデキャップ位置保持部列Adとなったとき、フォトセンサ154が保持部列AでのチューブTにキャップCが無いことを検出し、キャップ有無判定手段162がデキャップ位置保持部列AdにはキャップCが無い(すなわち、デキャップ位置保持部列Adはキャップ無し保持部列である)と判定する。
そして、このキャップ有無判定手段162の判定結果に基づいて、デキャップ制御手段165は、両アクチュエータ114,118の作動を停止して、デキャップ機構110に、このデキャップ位置保持部列Adに対するデキャップ動作を停止させると同時に、移送制御手段164は、次の保持部列Aである7列目の保持部列A7がデキャップ位置を占めるように、移送用アクチュエータ123を作動させて、移送機構120に保管ラックRを1縦ピッチ分、送り方向に移送させる。
【0075】
そして、7列目の保持部列A7(図18参照)以降の残りのすべての保持部列Aのそれぞれに対して、制御装置150により制御されたデキャップ動作が行われて、1つ保管ラックRに保管されている複数のチューブTに装着されていたすべてのキャップCが取り外される。
次いで、移送機構120によりテーブル121が戻り方向に移送されて、保管ラックRが初期位置(図1参照)まで戻ることにより、1つ保管ラックRに対するデキャップ作業が終了する。
【0076】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
キャップ外し装置100がデキャップ機構110および移送機構120を制御する制御部161を有する制御装置150を備え、制御部161が、保管ラックRにおいてデキャップ位置保持部列Adに保持されているチューブTに装着されているキャップCを取り外すデキャップ動作をデキャップ機構110に行わせることにより、デキャップ機構110に対する移送経路での保管ラックRの相対移動により、保管ラックRの保持部列Aがデキャップ位置に位置する(すなわち、該保持部列Aがデキャップ位置保持部列Adである)ときに、デキャップ機構110が、デキャップ動作を行って、保管ラックRの保持部Hに保持されているチューブTのキャップCを取り外すので、保持部Hに保持されたチューブTに装着されているデキャップ作業を自動化することができる。
【0077】
また、制御装置150が、デキャップ位置に達するまでに各保持部列Aが移送経路で占める位置である検出位置としてのデキャップ位置で、各保持部列Aの保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの有無を、保持部列A単位で検出するフォトセンサ154を有し、制御部161が、フォトセンサ154の検出結果に基づいてデキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTのキャップCの有無を判定するキャップ有無判定手段162を有し、キャップ有無判定手段162によりキャップCが有ると判定されたときに、デキャップ機構110にデキャップ動作を行わせ、キャップ有無判定手段162によりキャップCが無いと判定されたときに、デキャップ機構110にデキャップ動作を停止させる。
この構成により、フォトセンサ154によりデキャップ位置保持部列AdにキャップCが無いことが検出されたときに、デキャップ機構110がデキャップ動作を行わないので、デキャップ動作が省略された分、後続の保持部列Aをデキャップ位置に位置させるまでの時間が短縮され、ひいてはキャップCが無い保持部列Aを含む保管ラックRのデキャップ作業のサイクルタイムが短縮されるため、キャップ外し装置100によるデキャップ作業の効率を向上させることができるうえ、デキャップ動作の回数が減少することにより、デキャップ動作に伴うデキャップ機構110を構成している可動部分の摩耗の発生が低減するので、キャップ外し装置100の寿命を延ばすことができる。
【0078】
さらに、保管ラックRにおけるキャップ無し保持部列Aの位置がフォトセンサ154により自動的に検出されるので、デキャップ動作を省略する保持部列Aを特定するにあたり、操作者が制御盤105を通じてキャップCが無い保持部列Aを指定したり、予め特定の保持部列Aがキャップ無し保持部列となるようにセットしたりする場合に発生し得る人為的ミスの発生を防止することができ、この点でもデキャップ作業の効率を向上させることができる。
【0079】
移送経路において、フォトセンサ154が保持部列AでのキャップCの有無を検出する検出位置がデキャップ位置であることより、フォトセンサ154は、デキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTのキャップCの有無を検出するので、検出位置がデキャップ位置よりも手前の位置であるために、保持部列Aが検出位置を一旦占めた後に、移送機構120により移送されてデキャップ位置を占める場合に比べて、デキャップ位置以外の検出位置での検出に要する時間が不要になる分、保管ラックRにおける1列目の保持部列A1をデキャップ位置に位置させるまでの時間を短縮できるため、デキャップ作業の効率を向上させることができる。
【0080】
制御装置150が、1回のデキャップ動作毎にデキャップ動作の完了を検出するデキャップ動作検出手段153と、デキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCを検出するデキャップミス用キャップ検出手段であるフォトセンサ154とを有し、制御部161が、デキャップ動作検出手段153およびデキャップミス用キャップ検出手段の検出結果に基づいてデキャップ動作が行われた後のデキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの有無を判定するデキャップミス判定手段163を有し、デキャップミス判定手段163によりキャップCが有ると判定されたときに、移送機構120による保管ラックRの移送を停止する。
この構成により、デキャップ動作の後にも、キャップCが残っているデキャップミスが発生した場合には、移送機構120が停止するので、移送機構120の作動が継続されて、後続の保持部列Aに対するデキャップ動作が行われる場合に発生する可能性があるデキャップミスの連鎖を防止することができて、デキャップ機構110の信頼性、ひいては外し装置100の信頼性を向上させることができる。
【0081】
デキャップ用キャップ検出手段であるフォトセンサ154がデキャップミス用キャップ検出手段を兼ねることにより、デキャップミス用キャップ検出手段がキャップ検出手段により構成されて、単一のフォトセンサ154がデキャップ動作毎の前後のそれぞれにおけるキャップCの有無を検出するので、部品点数が削減され、またキャップ外し装置100の構造が簡素化されるため、キャップ外し装置100のコストを削減することができる。
【0082】
デキャップ機構110が、保持部Hに保持されているチューブTからキャップCを取り外すためにキャップCに着脱可能に嵌合するピッキング軸棒111と、横方向に平行な傾倒中心線Lを中心にピッキング軸棒111とともに傾倒可能な傾倒部材116とを有し、フォトセンサ154が発光素子154aと受光素子154bとから構成され、発光素子154aおよび受光素子154bが、横方向で傾倒部材116と保管ラックRとの間に、かつ横方向で保持部列Aを挟んで対向して配置されている。
この構成により、横方向で保持部列Aを挟んで対向して配置されている発光素子154aと受光素子154bにより保持部列A単位でのキャップCの有無の検出を容易化することができ、しかも、発光素子154aおよび受光素子154bを横方向で傾倒部材116と保管ラックRとの間に形成されているスペースSを利用して配置することで、発光素子154aおよび受光素子154bをコンパクトに配置することができる。
【0083】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
フォトセンサ154による検出位置は、移送経路においてデキャップ位置よりも手前の位置(例えば、図9において、2列目の保持部列A2が占めている位置)であってもよい。この場合、保管ラックRは、初期位置から、保管ラックRの1列目の保持部列A1が前記検出位置を占める位置まで一旦移送され、該検出位置でフォトセンサ154によりキャップCの有無が検出された後に、デキャップ位置まで移送され、その後、1縦ピッチずつ間欠的に送り方向に移送される。
キャップ検出手段とデキャップミス用キャップ検出手段とが、別個の検出手段であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
100・・・キャップ外し装置
110・・・デキャップ機構
111・・・ピッキング軸棒
115・・・傾倒機構
116・・・傾倒部材
120・・・移送機構
150・・・制御装置
152・・・移送位置検出手段
153・・・デキャップ動作検出手段
154・・・フォトセンサ
154a・・・発光素子
154b・・・受光素子
161・・・制御部
162・・・キャップ有無判定手段
163・・・デキャップミス判定手段
T ・・・マイクロチューブ
C ・・・キャップ
R ・・・保管ラック
H ・・・保持部
A ・・・保持部列
Ad・・・デキャップ位置保持部列
L ・・・傾倒中心線
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器から該キャップを取り外すデキャップ機構を備えるキャップ外し装置に関する。そして、前記容器は、例えば、創薬用試料を封入するために使用される創薬用のマイクロチューブである。
【背景技術】
【0002】
キャップ外し装置が、キャップが着脱可能に装着される創薬用のマイクロチューブ(容器に相当。以下、「チューブ」という。)を保持する複数の保持部から構成される保持部列を複数列有する保管ラック(保持体に相当)と、チューブからキャップを取り外すデキャップ機構と、移送経路に沿って保管ラックを移送する移送機構とを備え、デキャップ機構が、移送経路でのデキャップ位置を占めている保持部列の保持部に保持されているチューブに装着されているキャップを取り外すデキャップ動作を行うものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−96627号公報(段落0025−0030、図3、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のキャップ外し装置において、デキャップ機構は、移送方向に並んでいる複数の保持部列が保持部列単位で移送経路でのデキャップ位置を占める度に、保持部列の保持部に保持されているチューブに装着されたキャップを取り外すデキャップ動作を行う。
そして、このデキャップ動作は、複数の保持部列のうちで、保持部列に属するすべての保持部のそれぞれが、キャップが装着されていないチューブを保持している保持部またはチューブを保持していない保持部である保持部列(以下、「キャップ無し保持部列」という。)に対しても行われる。
【0005】
このように、本来であればキャップ無し保持部列に対するデキャップ動作は不要であるにも拘わらず、デキャップ機構が、各保持部列に属する保持部が保持しているチューブにおけるキャップの有無とは無関係に、保管ラックが有するすべての保持部列に対して一律にデキャップ動作を行うのでは、キャップ無し保持部列に対するデキャップ動作の分だけ無駄な時間が発生して、キャップ無し保持部列を含んでいる保管ラックのキャップ取外し作業(以下、「デキャップ作業」という。)に余分な時間がかかる。
このため、保管ラック毎にデキャップ作業が完了するまでに要する時間であるサイクルタイムが、キャップ無し保持部列を含んでいる保管ラックについては長くなり、多数の保管ラックに対してデキャップ作業を行うキャップ外し装置におけるデキャップ作業の効率が低下するという問題があった。
【0006】
また、デキャップ機構を構成している可動部品については、不要なデキャップ動作の分だけ摩耗が進行することになるので、キャップ外し装置の寿命が短くなるという問題があった。
【0007】
さらに、デキャップ動作によるキャップの取外しが失敗するデキャップミスが発生して、デキャップ動作が行われた保持部列の保持部に保持されているチューブのうちの一部のチューブにキャップが装着されたまま残っている場合には、その残っているキャップが、続いてデキャップ動作が行われる次の保持部列において、キャップが残っているチューブと横方向で同じ位置にあるチューブのキャップの取外しを阻害して、デキャップミスが連鎖して発生することがあり、キャップ外し装置の信頼性を低下させるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、このような従来の課題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、デキャップ機構によるデキャップ動作が不要な保持部列に対するデキャップ動作を省略することにより、デキャップ作業の効率を向上させ、かつ寿命を延ばすキャップ外し装置を提供することである。
そして、本発明の別の目的は、さらに、デキャップミスの連鎖の発生を防止することにより、信頼性を向上させるキャップ外し装置を提供することである。
また、本発明の別の目的は、さらに、単一のキャップ検出手段がデキャップ動作毎の前後のそれぞれにおけるキャップの有無を検出することにより、コスト削減が可能なキャップ外し装置を提供することである。
また、本発明の別の目的は、さらに、保持部列毎のキャップの有無の検出を容易化し、かつキャップ検出手段のコンパクトな配置が可能なキャップ外し装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
まず、請求項1に係る発明は、キャップが着脱可能に装着される容器を保持する保持部が複数である所定数ずつ横方向に並んで構成される保持部列が縦方向に複数列に並んでいる保持部群を有する保持体と、前記保持部列単位で前記保持部に保持されている前記容器から前記キャップを取り外すデキャップ機構と、前記保持体および前記デキャップ機構の少なくとも一方を移送経路に沿って前記縦方向に移送する移送機構と、前記デキャップ機構および前記移送機構を制御する制御部を有する制御装置とを備え、前記制御部が、前記移送経路でデキャップ位置を占めている前記保持部列であるデキャップ位置保持部列に保持されている前記容器に装着されている前記キャップを取り外すデキャップ動作を前記デキャップ機構に行わせるキャップ外し装置において、前記制御装置が、前記デキャップ位置に達するまでに前記各保持部列が前記移送経路で占める位置である検出位置で、前記各保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップの有無を、前記保持部列単位で検出するキャップ検出手段を有し、前記制御部が、前記キャップ検出手段の検出結果に基づいて前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器の前記キャップの有無を判定するキャップ有無判定手段を有し、前記キャップ有無判定手段により前記キャップが有ると判定されたときに、前記デキャップ機構に前記デキャップ動作を行わせ、前記キャップ有無判定手段により前記キャップが無いと判定されたときに、前記デキャップ機構に前記デキャップ動作を停止させることにより、前述した課題を解決したものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記検出位置が前記デキャップ位置であることにより、前述した課題を解決したものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記制御装置が、1回の前記デキャップ動作毎に前記デキャップ動作の完了を検出するデキャップ動作検出手段と、前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップを検出するデキャップミス用キャップ検出手段とを有し、前記制御部が、前記デキャップ動作検出手段および前記デキャップミス用キャップ検出手段の検出結果に基づいて前記デキャップ動作が行われた後の前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップの有無を判定するデキャップミス判定手段を有し、前記デキャップミス判定手段により前記キャップが有ると判定されたときに、前記移送機構の作動を停止することにより、前述した課題を解決したものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の構成に加えて、前記キャップ検出手段が、前記デキャップミス用キャップ検出手段を兼ねることにより、前述した課題を解決したものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記デキャップ機構が、前記保持部に保持されている前記容器から前記キャップを取り外すために前記キャップに着脱可能に嵌合するピッキング部材と、前記横方向に平行な傾倒中心線を中心に前記所定数の前記ピッキング部材とともに傾倒可能な傾倒部材とを有し、前記キャップ検出手段が、発光素子と、前記発光素子から発せられた光を受光する受光素子とから構成され、前記発光素子および前記受光素子が、前記横方向で前記傾倒部材と前記保持体との間に、かつ前記横方向で前記保持部列を挟んで対向して配置されていることにより、前述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0014】
そこで、本発明のキャップ外し装置によれば、キャップが着脱可能に装着される容器を保持する保持部が複数である所定数ずつ横方向に並んで構成される保持部列が縦方向に複数列に並んでいる保持部群を有する保持体と、保持部列単位で保持部に保持されている容器からキャップを取り外すデキャップ機構と、保持体およびデキャップ機構の少なくとも一方を移送経路に沿って縦方向に移送する移送機構と、デキャップ機構および移送機構を制御する制御部を有する制御装置とを備え、制御部が、移送経路でデキャップ位置を占めている保持部列であるデキャップ位置保持部列に保持されている容器に装着されているキャップを取り外すデキャップ動作をデキャップ機構に行わせることにより、移送経路での保持体およびデキャップ機構の相対移動により、保持部列がデキャップ位置に位置する(すなわち、該保持部列がデキャップ位置保持部列である)ときに、デキャップ機構が、デキャップ動作を行って、保持部に保持されている容器のキャップを取り外すので、保持部に保持された容器に装着されているデキャップ作業を自動化することができるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏する。
【0015】
すなわち、請求項1に係る本発明のキャップ外し装置によれば、制御装置が、デキャップ位置に達するまでに各保持部列が移送経路で占める位置である検出位置で、各保持部列の保持部に保持されている容器に装着されているキャップの有無を、保持部列単位で検出するキャップ検出手段を有し、制御部が、キャップ検出手段の検出結果に基づいてデキャップ位置保持部列の保持部に保持されている容器のキャップの有無を判定するキャップ有無判定手段を有し、キャップ有無判定手段によりキャップが有ると判定されたときに、デキャップ機構にデキャップ動作を行わせ、キャップ有無判定手段によりキャップが無いと判定されたときに、デキャップ機構にデキャップ動作を停止させることにより、キャップ検出手段によりデキャップ位置保持部列にキャップが無いことが検出されたときに、デキャップ機構がデキャップ動作を行わないので、デキャップ動作が省略された分、後続の保持部列をデキャップ位置に位置させるまでの時間が短縮され、ひいてはキャップが無い保持部列を含む保持体のデキャップ作業のサイクルタイムが短縮されるため、キャップ外し装置によるデキャップ作業の効率を向上させることができるうえ、デキャップ動作の回数が減少することにより、デキャップ動作に伴うデキャップ機構を構成している可動部分の摩耗の発生が低減するので、キャップ外し装置の寿命を延ばすことができる。
さらに、保持体におけるキャップ無し保持部列の位置がキャップ検出手段により自動的に検出されるので、デキャップ動作を省略する保持部列を特定するにあたり、操作者が制御盤を通じてキャップが無い保持部列を指定したり、予め特定の保持部列がキャップ無し保持部列となるようにセットしたりする場合に発生し得る人為的ミスの発生を防止することができ、この点でもデキャップ作業の効率を向上させることができる。
【0016】
請求項2に係る本発明のキャップ外し装置によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、次の効果が奏される。
検出位置がデキャップ位置であることにより、キャップ検出手段は、デキャップ位置保持部列の保持部に保持されている容器のキャップの有無を検出するので、検出位置がデキャップ位置よりも手前の位置であるために、保持部列が検出位置を一旦占めた後にデキャップ位置を占める場合に比べて、デキャップ位置以外の検出位置での検出に要する時間が不要になる分、保持体における1列目の保持部列をデキャップ位置に位置させるまでの時間を短縮できるため、デキャップ作業の効率を向上させることができる。
【0017】
請求項3に係る本発明のキャップ外し装置によれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、次の効果が奏される。
制御装置が、1回のデキャップ動作毎にデキャップ動作の完了を検出するデキャップ動作検出手段と、デキャップ位置保持部列の保持部に保持されている容器に装着されているキャップを検出するデキャップミス用キャップ検出手段とを有し、制御部が、デキャップ動作検出手段およびデキャップミス用キャップ検出手段の検出結果に基づいてデキャップ動作が行われた後のデキャップ位置保持部列の保持部に保持されている容器に装着されているキャップの有無を判定するデキャップミス判定手段を有し、デキャップミス判定手段によりキャップが有ると判定されたときに、移送機構の作動を停止することにより、デキャップ動作の後にも、キャップが残っているデキャップミスが発生した場合には、移送機構が停止するので、移送機構の作動が継続されて、後続の保持部列に対するデキャップ動作が行われる場合に発生する可能性があるデキャップミスの連鎖を防止することができて、デキャップ機構の信頼性、ひいては外し装置の信頼性を向上させることができる。
【0018】
請求項4に係る本発明のキャップ外し装置によれば、請求項3に係る発明が奏する効果に加えて、次の効果が奏される。
キャップ検出手段が、デキャップミス用キャップ検出手段を兼ねることにより、デキャップミス用キャップ検出手段がキャップ検出手段により構成されて、単一のキャップ検出手段がデキャップ動作毎の前後のそれぞれにおけるキャップの有無を検出するので、部品点数が削減され、またキャップ外し装置の構造が簡素化されるため、キャップ外し装置のコストを削減することができる。
【0019】
請求項5に係る本発明のキャップ外し装置によれば、請求項1から請求項4のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、次の効果が奏される。
デキャップ機構が、保持部に保持されている容器からキャップを取り外すためにキャップに着脱可能に嵌合するピッキング部材と、横方向に平行な傾倒中心線Lを中心に前記所定数のピッキング部材とともに傾倒可能な傾倒部材とを有し、キャップ検出手段が、発光素子と、発光素子から発せられた光を受光する受光素子とから構成され、発光素子および受光素子が、横方向で傾倒部材と保持体との間に、かつ横方向で保持部列を挟んで対向して配置されていることにより、横方向で保持部列を挟んで対向して配置されている発光素子と受光素子により保持部列単位でのキャップの有無の検出を容易化することができ、しかも、発光素子および受光素子を横方向で傾倒部材と保持体との間に形成されているスペースを利用して配置することで、発光素子および受光素子をコンパクトに配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例であるキャップ外し装置の斜視図。
【図2】図1のキャップ外し装置の、別の方向からの斜視図。
【図3】図1のキャップ外し装置のデキャップ作業の対象であるマイクロチューブが保持されている保管ラックの斜視図。
【図4】図3の保管ラックの斜視図。
【図5】図1のキャップ外し装置のキャップ回収部の斜視図。
【図6】図4のキャップ回収部の櫛歯金具の斜視図。
【図7】図1のキャップ外し装置の制御装置のブロック図。
【図8】図1のキャップ外し装置の要部斜視図。
【図9】図8の要部側面図。
【図10】図1のキャップ外し装置のデキャップ機構のデキャップ動作を説明する要部側面図であり、デキャップ機構のピッキング軸棒が、保持部列の保持部に保持されているチューブのキャップに嵌合したときの図。
【図11】図10と同様の側面図であり、デキャップ機構が傾倒して、ピッキング軸棒がチューブからキャップを外すときの図。
【図12】図10と同様の側面図であり、ピッキング棒が上昇するとともに、デキャップ機構がさらに傾倒したときの図。
【図13】図10と同様の側面図であり、デキャップ機構が傾倒した状態で、ピッキング軸棒が櫛歯金具に近づいたときの図。
【図14】図10と同様の側面図であり、ピッキング軸棒が櫛歯金具に進入し、キャップが分離されるときの図。
【図15】図8に相当する図であり、デキャップミスが発生したときの図。
【図16】図15の、図9に相当する図。
【図17】図8に相当する図であり、保持部列の保持部に保持されているチューブにキャップが無いときの図。
【図18】図17の、図9に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のキャップ外し装置は、キャップが着脱可能に装着される容器を保持する保持部が複数である所定数ずつ横方向に並んで構成される保持部列が縦方向に複数列に並んでいる保持部群を有する保持体と、前記保持部列単位で前記保持部に保持されている前記容器から前記キャップを取り外すデキャップ機構と、前記保持体および前記デキャップ機構の少なくとも一方を移送経路に沿って前記縦方向に移送する移送機構と、前記デキャップ機構および前記移送機構を制御する制御部を有する制御装置とを備え、前記制御部が、前記移送経路でデキャップ位置を占めている前記保持部列であるデキャップ位置保持部列に保持されている前記容器に装着されている前記キャップを取り外すデキャップ動作を前記デキャップ機構に行わせ、前記制御装置が、前記デキャップ位置に達するまでに前記各保持部列が前記移送経路で占める位置である検出位置で、前記各保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップの有無を、前記保持部列単位で検出するキャップ検出手段を有し、前記制御部が、前記キャップ検出手段の検出結果に基づいて前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器の前記キャップの有無を判定するキャップ有無判定手段を有し、前記キャップ有無判定手段により前記キャップが有ると判定されたときに、前記デキャップ機構に前記デキャップ動作を行わせ、前記キャップ有無判定手段により前記キャップが無いと判定されたときに、前記デキャップ機構に前記デキャップ動作を停止させることにより、デキャップ機構によるデキャップ動作が不要な保持部列に対するデキャップ動作を省略することにより、デキャップ作業の効率を向上させ、かつ寿命を延ばすものであれば、その具体的な態様は如何なるものであっても構わない。
【0022】
容器は、例えば創薬用のマイクロチューブであるが、創薬用以外のチューブであってもよいし、チューブ以外の容器であってもよい。
移送機構は、移送経路に沿って保持体を移送する機構を含めて、保持体およびデキャップ機構の少なくとも一方を、移送経路に沿って移送する機構であればよい。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例を、図1〜図18を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明の実施例であるキャップ外し装置100は、容器としての創薬用マイクロチューブT(図3も参照)に着脱可能に装着されたキャップC(図3も参照)を自動的に取り外す装置である。
併せて図2,図3を参照すると、キャップ外し装置100は、基台101と、チューブであるマイクロチューブT(以下、「チューブT」という。)をそれぞれが保持する複数の保持部H(図4参照)を有する保持体としての保管ラックRと、前記保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCを取り外す動作であるデキャップ動作を行うデキャップ機構110と、保管ラックRを移送経路に沿って移送方向に移送する移送機構120と、デキャップ機構110によりチューブTから取り外されたキャップCを回収するキャップ回収部130と、後述する報知装置170と、キャップ外し装置100の運転・停止スイッチを有するとともに操作者により操作される制御盤105と、デキャップ機構110、移送機構120および報知装置170を制御する制御部161(図7参照)を有する制御装置150とを備えている。
【0024】
デキャップ機構110、移送機構120およびキャップ回収部130は、基台101に設けられている。移送機構120は、保管ラックRおよびデキャップ機構110に、移送経路(または移送方向)での相対的な移動を生じさせる駆動機構である。
移送経路は、本実施例では、基準平面としての水平面に平行な一直線状の経路である。
移送方向は、送り方向と、該送り方向とは反対の戻り方向とからなり、本実施例では、水平面に平行である。
【0025】
図3を参照すると、チューブTは、創薬、すなわち、医学、生物工学および薬学などにおいて薬剤を発見したり開発したりするプロセスにおいて、創薬用試料を収容するために使用される筒状の容器である。
チューブTは、保持部H(図4参照)に収容される容器本体としてのほぼ四角筒状のチューブ本体T1と、チューブ本体T1の上部に連なるとともに開口T3を形成する円筒状の開口部T2とを有する。
キャップCは、開口部T2に挿入されることでチューブTに装着され、開口T3を密封状態で塞ぐ。
【0026】
キャップCは、円形状の凹部C1が形成された把持部C2と、開口部T2に挿入されて嵌合する嵌合部C3とを有する。把持部C2は、チューブTへのキャップCの装着状態で開口部T2から突出し、嵌合部C3の外径よりも大きな外径を有する。
キャップCの形成材料は、デキャップ機構110のピッキング軸棒111が、凹部C1が設けられた把持部C2が有する弾性力に抗して、凹部C1と嵌合する程度の弾性を有する弾性材料であるとともに、光を透過させない、または光の透過率が小さい材料であり、例えば合成樹脂(例えばポリエチレン)である。
ここで、透過率が小さいとは、キャップCを透過する光を、後述するフォトセンサ154によるキャップCの有無が検出可能になる程度に減少させる透過率を意味する。
【0027】
図4を併せて参照すると、保管ラックRは、SBS(Society for Biomolecular Screening)規格に準拠した保管ラックであり、矩形状のフレームR1および複数の互いに交差する隔壁R2,R3により、フレームR1の内側で格子状に区画されて形成された複数の保持部Hから構成されている保持部群Hgを有する。
各保持部Hは、フレームR1または各隔壁R2,R3の一部分により構成されてチューブ本体T1を収納して保持する周壁部h1と、フレームR1と各隔壁R2,R3との交差部および隔壁R2,R3同士の交差部に壁部h1から上方に延びていてチューブTの傾倒を防止する突条形状またはピン形状の支持部h2とを有する収納セルである。
なお、図4においては、図の繁雑化を回避するために、保持部群Hgの一部が簡略化されて示されている。
【0028】
保持部群Hgにおいては、保持部Hが複数である所定数ずつ横方向に並んで構成される保持部列Aが、横方向に直交する縦方向に複数列に並んでいる。図4に示されるように、一例として、前記所定数は16であり、保持部列Aの前記所定列数は24である。
図1に示されるように、保管ラックRが、キャップ外し装置100の後述するテーブル121に載置された状態で、横方向は水平面上で移送方向に直交する方向であり、縦方向は移送方向に平行な方向である。
【0029】
図3に示される保管ラックRにおいて、6列目の保持部列A6はキャップ無し保持部列であり、6列目以外の残りの保持部列Aはキャップ有り保持部列である。
ここで、キャップ有り保持部列とは、キャップCが装着されているチューブTを保持している保持部Hを含む保持部列Aであり、キャップ無し保持部列とは、キャップCが装着されているチューブTを保持している保持部Hが含まれていない保持部列A、換言すれば、保持部列Aに属するすべての保持部Hのそれぞれが、キャップCが装着されていないチューブTを保持している保持部HまたはチューブTを保持していない保持部Hである保持部列Aである。
なお、図3に示される例では、各キャップ有り保持部列のすべての保持部Hが、キャップCが装着されたチューブTを保持しているが、別の例として、1以上のキャップ有り保持部列の一部の保持部Hのみが、キャップCが装着されたチューブTを保持していてもよい。
【0030】
図3,図4を適宜参照しながら、図1,図2,図10を参照すると、保持部Hに保持されているチューブTからキャップCを保持部列A単位で取り外すデキャップ機構110は、チューブTからキャップCを取り外すために該キャップCを着脱可能に保持する複数のピッキング部材としてのピッキング軸棒111と、直線状のピッキング軸棒111を固定状態で保持するピッキング基体112と、ピッキング基体112をピッキング軸棒111とともにピッキング操作方向としての進退方向に駆動するピッキング用アクチュエータ114を有する駆動部113と、ピッキング軸棒111およびピッキング基体112を予め設定された傾倒範囲で傾倒可能とする傾倒機構115とを備えている。
アクチュエータ114および後述する2つのアクチュエータ118,123は、例えば電動モータである。
【0031】
各ピッキング軸棒111は、キャップCの凹部C1(図3参照)での弾性力に抗して、該凹部C1内に嵌合可能な外径を有する。
ピッキング基体112は、アクチュエータ114により駆動されるとともに駆動部113が有するスライダ部113aに取り付けられ、ピッキング軸棒111の軸方向に平行な方向である進退方向に平行に移動可能である。
【0032】
保持部列Aを構成する保持部Hと同数である前記所定数のピッキング軸棒111は、ピッキング基体112において、横方向に1列に、保持部列Aにおける保持部H同士の横方向でのピッチ(以下、「横ピッチ」という。)と等しいピッチに、かつ進退方向に平行に配置されている。
そして、各ピッキング軸棒111は、ピッキング基体112が進退方向に移動するときに、後述するデキャップ位置を占める保持部列Aを構成するすべての保持部Hが保持しているチューブTに装着されているキャップCの凹部C1にそれぞれ整合する位置に、横方向で位置決めされている。
【0033】
傾倒機構115は、基台101に設けられた傾倒支持部である傾倒支持軸117に傾倒可能に支持される傾倒部材116と、制御装置150により制御されるとともに傾倒支持軸117により規定される傾倒中心線L(図10参照)を中心に傾倒部材116を傾倒させる傾倒用アクチュエータ118とを有する。
傾倒部材116は、ピッキング用アクチュエータ114が取り付けられる取付壁116cと、横方向で取付壁116cの両端部にそれぞれ連なるとともに横方向で離隔している1対の側壁116a,116bとを有する。
1対の側壁116a,116bは、傾倒支持軸117を構成するとともに横方向に離隔している1対の支持部である支持軸117a、117bに傾倒可能に支持されている。
また、1対の側壁116a,116bは、横方向で、案内レール122(または、移送経路),保管ラックRおよびテーブル121を挟む位置に配置されている。
【0034】
傾倒部材116の前記傾倒範囲は、傾倒が始まるときの位置である傾倒開始位置(図10参照)と、最も傾倒したときの位置である傾倒終了位置(図13参照)とを限界位置として規定される範囲である。
図10に示されるように、傾倒開始位置は、ピッキング軸棒111が保持部Hに保持されているチューブTのキャップCを保持するためのピッキング位置であり、本実施例では、進退方向およびピッキング軸棒111が、上下方向に平行になる位置である。
【0035】
デキャップ機構110は、ピッキング用アクチュエータ114を介して傾倒部材116に取り付けられている。このため、ピッキング軸棒111およびピッキング基体112は、傾倒部材116とともに、横方向に平行な傾倒中心線L(図10参照)を中心に傾倒可能であり、かつ、保持部Hに保持されているチューブTに対して進退方向に移動可能である。
そして、1対の支持軸117a、117bは、傾倒中心線Lが、後述するデキャップ位置保持部列Ad(図9参照)の保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの把持部C2の近傍位置または把持部C2と交わる位置を占めるように配置されている(図10参照)。
【0036】
移送機構120は、保管ラックRが位置決め治具(図示されず)により所定位置に位置決めされて載置される載置部としてのテーブル121と、移送経路を規定するとともにテーブル121を移送方向に移動可能に案内する案内部としての案内レール122と、テーブル121を移送方向に移動させる移送用アクチュエータ123とを有する。
【0037】
アクチュエータ123は、制御装置150により制御されてテーブル121を移動させることにより、テーブル121に載置されている保管ラックRが、したがって各保持部列Aおよび該保持部列Aの保持部Hに保持されているチューブTが、保持部列A単位で、デキャップ位置を占めるように、保管ラックRを移送方向に移送する。
ここで、デキャップ位置とは、図10に示されるように、各保持部列Aが移送経路において占める特定の位置であり、ピッキング軸棒111によりチューブTに装着されているキャップCが取り外されるときの位置(図9も参照)である。
また、デキャップ位置を占めている保持部列Aは、デキャップ位置保持部列Ad(図9参照)である。
【0038】
なお、保管ラックRがテーブル121に位置決めされた状態においては、テーブル121が移送経路を移動するとき、移送経路において、テーブル121の位置と、保管ラックRの位置と、各保持部列Aの位置(保持部列Aの各保持部Hの位置でもある。)と、各保持部列Aの保持部Hに保持されているチューブTの位置と、該チューブTに装着されているキャップCの位置とは、互いに1対1の対応関係を有する。
このため、移送経路でのテーブル121の位置は、保管ラックRの位置、各保持部列Aの位置、チューブTの位置および該チューブTに装着されているキャップCの位置と等価である。
そこで、以下では、移送経路での位置および後述する送位置検出手段152による位置検出に関して、保持部列Aまたは保管ラックRの位置を中心に説明する。
【0039】
移送機構120のアクチュエータ123は、保管ラックRを、キャップ外し装置100の運転開始前に保管ラックRが位置決めされて載置されるときの移送経路での位置である初期位置(各保持部列Aの初期位置でもあり、図10に二点鎖線で示されている。)から、1列目の保持部列A1(図9参照)が移送経路での位置であるデキャップ位置に達するまで、1列目の保持部列A1が初期位置からデキャップ位置に達するまでのテーブル121の平均送り速度である所定送り速度で移送する。
【0040】
その後、移送用アクチュエータ123は、移送方向での保持部列A同士の縦方向でのピッチである縦ピッチに合わせて、保管ラックRに保持された保持部列A毎の各保持部Hが同時にデキャップ位置を占めるように、かつ、保管ラックRのすべての保持部列Aが、保持部列A単位で、順次、デキャップ位置を占めるように、テーブル121を縦ピッチ毎に間欠的に移動させ、したがって保管ラックRを縦ピッチ毎に間欠的に移送する。
ここで、前記所定送り速度は、縦ピッチ間でのテーブル121の平均送り速度であるピッチ間移送速度よりも高速である。
【0041】
図3,図4を適宜参照しながら、図1,図2,図5,図6,図10を参照すると、キャップ回収部130は、基台101において、傾倒部材116または傾倒中心線L(図10参照)に対して、送り方向側、または傾倒部材116の傾倒側に配置されている。
キャップ回収部130は、ピッキング軸棒111に嵌合により保持されているキャップCをピッキング軸棒111から分離する分離部材としての櫛歯金具131と、ピッキング軸棒111から分離されたキャップCを受容するキャップ受容部134と、キャップ受容部134を通ったキャップCを収容する回収ボックス145とを有する。
【0042】
板材で構成される櫛歯金具131は、その上端部に、下方に向かって屈曲した屈曲部132を有する。屈曲部132の端縁132aには、ピッキング軸棒111と同数の、かつ前記横ピッチと等しいピッチの分離溝133から構成される溝列が設けられている。各分離溝133は、ピッキング軸棒111の外径よりも大きく、かつキャップCの外径より小さい幅のU字状に形成されて、下方に向かって開放している。このため、各ピッキング軸棒111は、分離溝133に下方から進入可能である。
【0043】
キャップ受容部134は、移送経路を跨ぐように基台101に固定される門型の筒状の本体135と、本体135の上端開口141を覆うカバー136とを有する。
本体135は、横方向で移送経路を挟んで配置されるとともに基台101に固定される筒状の1対の脚部135aと、移送経路の上方で移送経路を横切って両脚部135aの上部に連結している筒状の横断部135cとを有する。
【0044】
横断部135cには、上端開口141の一部をそれぞれ覆う櫛歯金具131およびカバー136が取り付けられる。櫛歯金具131およびカバー136は、すべてのピッキング軸棒111が挿通可能なスリット状の挿通口142を形成するように、移送方向で離隔して上端開口141を覆っている。
【0045】
キャップ受容部134には、横断部135cとカバー136とにより形成されて、ピッキング軸棒111においてキャップCが嵌合して保持されるキャップ保持部としての先端部111a(図14参照)が挿入され得る空間である受容空間143と、本体135の1対の脚部135aによりそれぞれ形成される1対の誘導路144(図5には、一方の誘導路144が、脚部135aの一部が破断されて示されている。)とが設けられている。
各誘導路144は、上端部で受容空間143に開放し、下端部で回収ボックス145内に開放している。
カバー136は、櫛歯金具131によりピッキング軸棒111から分離されたキャップCが受容空間143から飛び出すことを防止する飛散防止カバーである。
そして、ピッキング軸棒111から分離されたキャップCは、受容空間143から各誘導路144に振り分けられて、図5に二点鎖線の矢印で示されるように、回収ボックス145内に落下する。
【0046】
図1を適宜参照しながら、図7を参照すると、制御装置150は検出部151および制御部161を有する。
検出部151は、移送経路でのテーブル121の位置を検出する移送位置検出手段152と、デキャップ機構110のデキャップ動作を検出するデキャップ動作検出手段153と、デキャップ用キャップ検出手段としてのフォトセンサ154とを有する。
制御部161は、中央演算処理装置、入出力装置および記憶装置を備えるコンピュータにより構成されている。
制御部161には、制御盤105から出力される操作信号と、各検出手段152,153およびフォトセンサ154から出力される検出信号とが入力される。前記操作信号には、キャップ外し装置100の運転・停止信号および移送用アクチュエータ123を作動させる移送開始スイッチ106による移送開始信号が含まれる。
【0047】
図1,図3,図4を適宜参照しながら、図7,図10を参照すると、移送位置検出手段152は、例えばエンコーダにより構成され、移送経路での保管ラックRの位置を検出し、したがってテーブル121が移送方向に移動することに伴って、各保持部列Aがデキャップ位置に位置していることを検出する。
【0048】
デキャップ動作検出手段153は、例えば位置検出手段(例えばエンコーダ)により構成され、傾倒部材116の傾倒位置を検出することにより、1回のデキャップ動作毎にデキャップ動作の開始およびその完了を検出する。
例えば、デキャップ動作検出手段153は、傾倒部材116の傾倒位置が、傾倒開始位置(図10参照)から傾倒方向に変化を開始することにより、デキャップ動作の開始を検出し、その後、傾倒終了位置(図13参照)に達した後に再び前記傾倒開始位置を占めたときにデキャップ動作の完了を検出する。
【0049】
図1,図3,図4を適宜参照しながら、図8〜図10を参照すると、フォトセンサ154は、各保持部列Aに対するデキャップ動作が開始されるよりも前に、デキャップ位置に達するまでに各保持部列Aが移送経路で占める位置である検出位置で、該検出位置の保持部列Aを構成する保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの有無を、保持部列A単位で、かつ移送方向での保管ラックRとデキャップ機構110との間での相対移動である縦ピッチの移動毎に、順次検出する。
前記検出位置は、本実施例ではデキャップ位置である。
【0050】
フォトセンサ154は、横方向に平行な仮想直線上で対向して配置されている1対の検出素子である発光素子154aおよび該発光素子154aから発せられた光を受光する受光素子154bから構成される。
ここで、前記仮想直線は、デキャップ位置保持部列Adのすべての保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCと交わる直線である。
【0051】
発光素子154aおよび受光素子154bは、横方向で、案内レール122、テーブル121および保管ラックRを挟んで配置されている1対の支持部材155にそれぞれ支持され、該1対の支持部材155を介して基台101に固定されて設けられている。
【0052】
このため、発光素子154aおよび受光素子154bは、横方向で、案内レール122、保管ラックR、保持部列A、および、各保持部列Aにおける容器列としてのチューブTの列を挟んで、かつ、横方向で傾倒部材116の1対の側壁116a,116b(図2も参照)の内側で、該1対の側壁116a,116bと保管ラックRとの間に形成されている1対のスペースS(図8参照)に配置されている。
【0053】
フォトセンサ154は、デキャップ位置保持部列Adがキャップ有り保持部列であるときに、発光素子154aから放射された光EがキャップCにより遮断またはその透過量が減少することで、キャップCが有ることを検出し、デキャップ位置保持部列Adがキャップ無し保持部列であるときに、発光素子154aから放射された光EがキャップCにより遮断されず、またはその透過量が所定値未満に減少しないことで、キャップCが無いことを検出する。
また、フォトセンサ154は、デキャップ位置を占める保持部列A(すなわちデキャップ位置保持部列Adであり、図9では、1列目の保持部列A1である。)の保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの有無を検出することから、デキャップミス用キャップ検出手段である。
【0054】
図7〜図9を参照すると、制御部161は、キャップ有無判定手段162と、デキャップミス判定手段163と、移送機構120の作動を制御する移送制御手段164と、デキャップ機構110の作動を制御するデキャップ制御手段165と、報知装置170(例えば、報知灯や報知音発生装置)を制御する報知制御手段166とを有する。
【0055】
キャップ有無判定手段162は、移送位置検出手段152およびフォトセンサ154の検出結果に基づいて、デキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの有無を判定する。
具体的には、キャップ有無判定手段162は、移送位置検出手段152により各保持部列Aがデキャップ位置を占めていることが検出され、かつフォトセンサ154により各保持部列Aの保持部Hに保持されているチューブTにキャップCが有ることが検出されたとき(図8,図9参照)に、デキャップ位置保持部列AdにキャップCが有ると判定する一方、移送位置検出手段152により各保持部列Aがデキャップ位置を占めていることが検出され、かつフォトセンサ154により保持部列Aの保持部Hに保持されているチューブTにキャップCが無いことが検出されたとき(図17,図18参照)に、デキャップ位置保持部列AdにキャップCが無いと判定する。
【0056】
デキャップミス判定手段163は、デキャップ動作検出手段153およびデキャップミス用キャップ検出手段としてのフォトセンサ154の各検出結果に基づいて1回のデキャップ動作が行われた直後のデキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTのキャップCの有無を判定する。
具体的には、デキャップ機構110のデキャップ動作によるチューブTからのキャップCの取外しが失敗して、デキャップミスが発生した場合には、デキャップ動作後のデキャップ位置保持部列Adの少なくとも1つのチューブTにキャップCが装着された状態で残っていて(図15参照)、その残っているキャップCがフォトセンサ154により検出される。
【0057】
そこで、デキャップミス判定手段163は、デキャップ動作検出手段153によりデキャップ動作の完了が検出され、かつフォトセンサ154によりデキャップ位置保持部列AdにキャップCが有ることが検出されたときに、デキャップミスがあると判定する一方、デキャップ動作検出手段153によりデキャップ動作の完了が検出され、かつフォトセンサ154によりデキャップ位置保持部列AdにキャップCが無いことが検出されたときに、デキャップミスがないと判定する。
【0058】
併せて図1を参照すると、移送制御手段164は、移送位置検出手段152により検出される各保持部列Aの位置、デキャップミス判定手段163により判定されるデキャップミスの判定結果、および、デキャップ動作検出手段153により検出されるデキャップ動作状態に基づいて、アクチュエータ123を制御する。
具体的には、移送制御手段164は、移送機構120の作動開始後に、各保持部列Aがデキャップ位置に達したときに、アクチュエータ123の作動を停止して、移送機構120に、送り方向への各保持部列A、すなわち保管ラックRの移送を停止させ、デキャップ動作検出手段153により1回毎のデキャップ動作の完了が検出されたときに、および、キャップ有無判定手段162によりキャップCが無いと判定されたときに、アクチュエータ123を作動させて、移送機構120に、各保持部列A、すなわち保管ラックRを1縦ピッチだけ送り方向に移送させる。
【0059】
また、移送制御手段164は、デキャップミス判定手段163によりキャップCが有ると判定されたときに、アクチュエータ123の作動を停止して、移送機構120に保管ラックRの移送を停止させる一方、デキャップミス判定手段163によりデキャップミスがないと判定されたときに、アクチュエータ123を作動させて、移送機構120に、1縦ピッチ分だけ、送り方向に保管ラックRを移送させる。
【0060】
デキャップ制御手段165は、キャップ有無判定手段162の判定結果に基づいてピッキング用アクチュエータ114および傾倒用アクチュエータ118を制御する。
具体的には、デキャップ制御手段165は、キャップ有無判定手段162によりキャップCが有ると判定されたときに、各アクチュエータ114,118を作動させて、デキャップ機構110に、デキャップ動作を行わせる一方、キャップ有無判定手段162によりキャップCが無いと判定されたときに、各アクチュエータ114,118の作動を停止して、デキャップ機構110にデキャップ動作を停止させる。
【0061】
報知制御手段166は、デキャップミス判定手段163による判定結果に基づいて、デキャップミス判定手段163によりデキャップミスがあると判定されたときに、報知装置170を作動させて、デキャップミスの発生を報知する。
【0062】
次に、図7を適宜参照しながら、図1,図8〜図18を参照して、キャップ外し装置100の動作を説明する。
図1に示されるように、保管ラックRがテーブル121に位置決めされ、保管ラックR(したがって、保持部列A)が初期位置にあり、傾倒部材116が傾動開始位置にある状態で、制御盤105の運転・停止スイッチが操作されてキャップ外し装置100の運転が開始される。
【0063】
次いで、移送開始スイッチ106が操作されると、移送用アクチュエータ123は、テーブル121を送り方向に移動させて、保管ラックRを、初期位置(図1参照)からデキャップ位置まで所定送り速度で移送し、図8〜10に示されるように、1列目の保持部列A1がデキャップ位置を占める。
【0064】
この状態で、デキャップ位置保持部列Ad(図9参照)である保持部列A1のキャップCの凹部C1(図3参照)が、進退方向でピッキング軸棒111に嵌合可能な位置を占め、また、移送用位置検出手段152により保持部列Aがデキャップ位置に位置することが検出され、フォトセンサ154によりデキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの有無が検出される。
【0065】
移送用位置検出手段152およびフォトセンサ154の検出結果に基づいて、キャップ有無判定手段162がデキャップ位置保持部列AdでのチューブTにキャップCが有る(すなわち、デキャップ位置保持部列Adはキャップ有り保持部列である)と判定すると、その判定結果に基づいてデキャップ制御手段165が各アクチュエータ114,118を作動させて、デキャップ機構110に、デキャップ位置保持部列Adに保持されているチューブTに装着されているキャップCを、保持部列A単位で取り外すデキャップ動作を行わせる。
【0066】
具体的には、このデキャップ動作において、まずピッキング用アクチュエータ114がピッキング基体112を進退方向でデキャップ位置保持部列Adに向かって降下させ、図10に示されるように、ピッキング軸棒111の先端部111a(図14参照)をキャップCの凹部C1(図3参照)に該凹部C1での弾性力に抗して嵌合させる。
次いで、図11に示されるように、傾倒用アクチュエータ118が傾倒部材116を傾倒させ、これによって、ピッキング軸棒111および該ピッキング軸棒11に保持されているキャップCを傾倒させて、ピッキング軸棒111がキャップCをチューブTから外す。
【0067】
そして、キャップCがチューブTから外れ、傾倒用アクチュエータ118が、傾倒部材116を、ピッキング軸棒111がキャップ回収部130に近接する位置まで傾倒させた後、図12に実線で示されるように、ピッキング用アクチュエータ114が、ピッキング基体112を介してピッキング軸棒111を進退方向で上昇させ、図12に二点鎖線で示されるように、ピッキング軸棒111に嵌合しているキャップCがキャップ回収部130の櫛歯金具131よりも上方に来る位置まで引き上げられる。
【0068】
そして、アクチュエータ118が傾倒部材116をさらに傾倒させて、図13に実線で示されるように、ピッキング軸棒111をキャップ回収部130の挿通口142に挿入可能な位置である傾倒終了位置まで傾倒させた後、図13に二点鎖線で示されるように、ピッキング用アクチュエータ114が、ピッキング軸棒111に保持されているキャップCが櫛歯金具131の分離溝133(図5参照)より下方に来る位置まで、ピッキング基体112を介してピッキング軸棒111を進退方向で下降させる。
【0069】
その後、図14に実線で示されるように、傾倒用アクチュエータ118が、傾倒部材116を、ピッキング軸棒111が櫛歯金具131に完全に収容される分離位置まで、傾倒開始位置(図10参照)に向けて起立させた後、ピッキング用アクチュエータ114がピッキング軸棒111を上昇させることで、図14に二点鎖線で示されるように、キャップCが櫛歯金具131によってピッキング軸棒111の先端部111aから分離し、キャップ回収130の受容空間143内に落下する。
落下したキャップCは、キャップ回収部130の誘導路144を落下して、下方に設置され回収ボックス145に収容される。
【0070】
一方、ピッキング軸棒111からキャップCを分離する分離動作を行った傾倒部材116は、傾倒用アクチュエータ118により駆動されて前記分離位置から起立して傾動開始位置(図10参照)に復帰する。そして、デキャップ動作検出手段153は、このときデキャップ動作の完了を検出する。
そして、デキャップミス判定手段163は、デキャップ動作の完了が検出された時点でのフォトセンサ154による1列目の保持部列A1の保持部Hに保持されているチューブTにおけるキャップCの有無を検出するフォトセンサ154の検出結果に基づいて、デキャップ動作後のデキャップ位置保持部列AdでのキャップCの有無を判定する。
【0071】
移送制御手段164は、デキャップミス判定手段163によりデキャップミスがないと判定されたときに、移送用アクチュエータ123を作動させて、移送機構120に保管ラックRを1縦ピッチだけ移送方向に移送させて、2列目の保持部列A2(図9参照)をデキャップ位置に位置させる。
そして、2列目の保持部列A2がデキャップ位置保持部列Adであるとき、直前の1列目の保持部列A1と同様に、フォトセンサ154およびデキャップ動作検出手段153による検出結果と、キャップ有無判定手段162およびデキャップミス判定手段163の判定結果とに基づいて、デキャップ機構および移送機構120の制御が行われる。
【0072】
次いで、移送機構120により、3列目の保持部列A3が、デキャップ位置まで移送されて、デキャップ位置保持部列Adとなったときに、該3列目の保持部列A3に対してデキャップ動作が行われる。
そして、図15,図16に示されるように、3列目の保持部列A3に対するデキャップ動作の完了後に、保持部列A3の一部の保持部Hに保持されているチューブTにキャップC(図15,図16では1つのキャップC)が残っていて、フォトセンサ154により、デキャップ保持部列AdにキャップCが有ることが検出されて、デキャップミス判定手段163がデキャップミスがあると判定すると、移送制御手段164は、アクチュエータ123の作動を停止して、移送機構120に移送方向への保管ラックRの移送を停止させ、同時に、報知制御手段166が報知装置170を作動させて、操作者にデキャップミスの発生を報知する。
このとき、デキャップミスのチューブTに残っているキャップCの取外しは、例えば以下のように行われる。
制御盤105の戻りスイッチ(図示されず)が操作者により操作されて、移送制御手段164が移送機構120に保管ラックRを初期位置(図1参照)まで一旦戻させた状態で、操作者が、残っているキャップCを取り外し、その後、制御盤105の移送再開スイッチ(図示されず)を操作することにより、移送制御手段164が移送機構120に送り方向への保管ラックRの移送を再スタートさせる。
そして、前記移送再開スイッチが操作されたとき、キャップ有無判定手段162は、移送位置検出手段152およびフォトセンサ154の各検出信号に基づいて、保管ラックRの1列目の保持部列A1からデキャップミスが生じた保持部列A3までのすべての保持部列Aに関して、デキャップ位置保持部列AdでのチューブTにキャップCが無いと判定し、デキャップミスが生じた保持部列A3に後続する保持部列A4にキャップCが有ると判定することにより、移送制御手段164は、保持部列A1から保持部列A3までのすべての保持部列Aがデキャップ位置を通過して、再スタート後に最初に保持部列A4がデキャップ位置で停止するように、移送機構120に保管ラックRの移送を行わせる。次いで、デキャップ機構110が、保持部列A4のチューブTに装着されているキャップCに対してデキャップ動作を行う。
このようにすることで、デキャップミス発生時に非常停止信号などによりキャップ外し装置100の電源がオフとされ、操作者がデキャップミスで残ったキャップCを取り外した後に、再度電源が投入されることにより、リセット状態になったキャップ外し装置100が、デキャップミスが発生した保管ラックRに対してデキャップ作業を最初からやり直す場合に比べて、デキャップミスが発生した保管ラックRに対するデキャップ作業の効率を向上させることができる。
【0073】
このように、デキャップ動作が行われた保持部列A毎に、デキャップミス判定手段163によるデキャップミスの有無の判定が行われ、デキャップミスが発生した場合には、デキャップ動作後もチューブに装着されたまま残っているキャップが取り外されるまで、次の保持部列Aがデキャップ位置に移送されることが一旦禁止される。
このため、デキャップミスが発生したときにも、継続して移送機構120による移送が行われた場合に発生し得るデキャップミスの連鎖、すなわち、新たなデキャップ保持部列Adである保持部列A(図16で、4列目の保持部列A4)に対して行われるデキャップ動作において、キャップCに嵌合した後のピッキング軸棒111が傾動機構115により駆動されて傾斜する際に、チューブTに装着されたまま残っているキャップC(図16で、保持部列A3の、右から2つ目のチューブTに装着されているキャップCである。)が、ピッキング軸棒111の傾斜を妨げることにより、キャップCが残っているチューブTと横方向で同じ位置にあるチューブTのキャップC(図16で、保持部列A4の、右から2つ目のチューブTに装着されているキャップCである。)の取外しを阻害して、デキャップミスが連鎖して発生することを、防止することができる。
【0074】
図17,図18を参照すると、デキャップ作業がさらに進行して、6列目の保持部列A6が、デキャップ位置を占めてデキャップ位置保持部列Adとなったとき、フォトセンサ154が保持部列AでのチューブTにキャップCが無いことを検出し、キャップ有無判定手段162がデキャップ位置保持部列AdにはキャップCが無い(すなわち、デキャップ位置保持部列Adはキャップ無し保持部列である)と判定する。
そして、このキャップ有無判定手段162の判定結果に基づいて、デキャップ制御手段165は、両アクチュエータ114,118の作動を停止して、デキャップ機構110に、このデキャップ位置保持部列Adに対するデキャップ動作を停止させると同時に、移送制御手段164は、次の保持部列Aである7列目の保持部列A7がデキャップ位置を占めるように、移送用アクチュエータ123を作動させて、移送機構120に保管ラックRを1縦ピッチ分、送り方向に移送させる。
【0075】
そして、7列目の保持部列A7(図18参照)以降の残りのすべての保持部列Aのそれぞれに対して、制御装置150により制御されたデキャップ動作が行われて、1つ保管ラックRに保管されている複数のチューブTに装着されていたすべてのキャップCが取り外される。
次いで、移送機構120によりテーブル121が戻り方向に移送されて、保管ラックRが初期位置(図1参照)まで戻ることにより、1つ保管ラックRに対するデキャップ作業が終了する。
【0076】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
キャップ外し装置100がデキャップ機構110および移送機構120を制御する制御部161を有する制御装置150を備え、制御部161が、保管ラックRにおいてデキャップ位置保持部列Adに保持されているチューブTに装着されているキャップCを取り外すデキャップ動作をデキャップ機構110に行わせることにより、デキャップ機構110に対する移送経路での保管ラックRの相対移動により、保管ラックRの保持部列Aがデキャップ位置に位置する(すなわち、該保持部列Aがデキャップ位置保持部列Adである)ときに、デキャップ機構110が、デキャップ動作を行って、保管ラックRの保持部Hに保持されているチューブTのキャップCを取り外すので、保持部Hに保持されたチューブTに装着されているデキャップ作業を自動化することができる。
【0077】
また、制御装置150が、デキャップ位置に達するまでに各保持部列Aが移送経路で占める位置である検出位置としてのデキャップ位置で、各保持部列Aの保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの有無を、保持部列A単位で検出するフォトセンサ154を有し、制御部161が、フォトセンサ154の検出結果に基づいてデキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTのキャップCの有無を判定するキャップ有無判定手段162を有し、キャップ有無判定手段162によりキャップCが有ると判定されたときに、デキャップ機構110にデキャップ動作を行わせ、キャップ有無判定手段162によりキャップCが無いと判定されたときに、デキャップ機構110にデキャップ動作を停止させる。
この構成により、フォトセンサ154によりデキャップ位置保持部列AdにキャップCが無いことが検出されたときに、デキャップ機構110がデキャップ動作を行わないので、デキャップ動作が省略された分、後続の保持部列Aをデキャップ位置に位置させるまでの時間が短縮され、ひいてはキャップCが無い保持部列Aを含む保管ラックRのデキャップ作業のサイクルタイムが短縮されるため、キャップ外し装置100によるデキャップ作業の効率を向上させることができるうえ、デキャップ動作の回数が減少することにより、デキャップ動作に伴うデキャップ機構110を構成している可動部分の摩耗の発生が低減するので、キャップ外し装置100の寿命を延ばすことができる。
【0078】
さらに、保管ラックRにおけるキャップ無し保持部列Aの位置がフォトセンサ154により自動的に検出されるので、デキャップ動作を省略する保持部列Aを特定するにあたり、操作者が制御盤105を通じてキャップCが無い保持部列Aを指定したり、予め特定の保持部列Aがキャップ無し保持部列となるようにセットしたりする場合に発生し得る人為的ミスの発生を防止することができ、この点でもデキャップ作業の効率を向上させることができる。
【0079】
移送経路において、フォトセンサ154が保持部列AでのキャップCの有無を検出する検出位置がデキャップ位置であることより、フォトセンサ154は、デキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTのキャップCの有無を検出するので、検出位置がデキャップ位置よりも手前の位置であるために、保持部列Aが検出位置を一旦占めた後に、移送機構120により移送されてデキャップ位置を占める場合に比べて、デキャップ位置以外の検出位置での検出に要する時間が不要になる分、保管ラックRにおける1列目の保持部列A1をデキャップ位置に位置させるまでの時間を短縮できるため、デキャップ作業の効率を向上させることができる。
【0080】
制御装置150が、1回のデキャップ動作毎にデキャップ動作の完了を検出するデキャップ動作検出手段153と、デキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCを検出するデキャップミス用キャップ検出手段であるフォトセンサ154とを有し、制御部161が、デキャップ動作検出手段153およびデキャップミス用キャップ検出手段の検出結果に基づいてデキャップ動作が行われた後のデキャップ位置保持部列Adの保持部Hに保持されているチューブTに装着されているキャップCの有無を判定するデキャップミス判定手段163を有し、デキャップミス判定手段163によりキャップCが有ると判定されたときに、移送機構120による保管ラックRの移送を停止する。
この構成により、デキャップ動作の後にも、キャップCが残っているデキャップミスが発生した場合には、移送機構120が停止するので、移送機構120の作動が継続されて、後続の保持部列Aに対するデキャップ動作が行われる場合に発生する可能性があるデキャップミスの連鎖を防止することができて、デキャップ機構110の信頼性、ひいては外し装置100の信頼性を向上させることができる。
【0081】
デキャップ用キャップ検出手段であるフォトセンサ154がデキャップミス用キャップ検出手段を兼ねることにより、デキャップミス用キャップ検出手段がキャップ検出手段により構成されて、単一のフォトセンサ154がデキャップ動作毎の前後のそれぞれにおけるキャップCの有無を検出するので、部品点数が削減され、またキャップ外し装置100の構造が簡素化されるため、キャップ外し装置100のコストを削減することができる。
【0082】
デキャップ機構110が、保持部Hに保持されているチューブTからキャップCを取り外すためにキャップCに着脱可能に嵌合するピッキング軸棒111と、横方向に平行な傾倒中心線Lを中心にピッキング軸棒111とともに傾倒可能な傾倒部材116とを有し、フォトセンサ154が発光素子154aと受光素子154bとから構成され、発光素子154aおよび受光素子154bが、横方向で傾倒部材116と保管ラックRとの間に、かつ横方向で保持部列Aを挟んで対向して配置されている。
この構成により、横方向で保持部列Aを挟んで対向して配置されている発光素子154aと受光素子154bにより保持部列A単位でのキャップCの有無の検出を容易化することができ、しかも、発光素子154aおよび受光素子154bを横方向で傾倒部材116と保管ラックRとの間に形成されているスペースSを利用して配置することで、発光素子154aおよび受光素子154bをコンパクトに配置することができる。
【0083】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
フォトセンサ154による検出位置は、移送経路においてデキャップ位置よりも手前の位置(例えば、図9において、2列目の保持部列A2が占めている位置)であってもよい。この場合、保管ラックRは、初期位置から、保管ラックRの1列目の保持部列A1が前記検出位置を占める位置まで一旦移送され、該検出位置でフォトセンサ154によりキャップCの有無が検出された後に、デキャップ位置まで移送され、その後、1縦ピッチずつ間欠的に送り方向に移送される。
キャップ検出手段とデキャップミス用キャップ検出手段とが、別個の検出手段であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
100・・・キャップ外し装置
110・・・デキャップ機構
111・・・ピッキング軸棒
115・・・傾倒機構
116・・・傾倒部材
120・・・移送機構
150・・・制御装置
152・・・移送位置検出手段
153・・・デキャップ動作検出手段
154・・・フォトセンサ
154a・・・発光素子
154b・・・受光素子
161・・・制御部
162・・・キャップ有無判定手段
163・・・デキャップミス判定手段
T ・・・マイクロチューブ
C ・・・キャップ
R ・・・保管ラック
H ・・・保持部
A ・・・保持部列
Ad・・・デキャップ位置保持部列
L ・・・傾倒中心線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップが着脱可能に装着される容器を保持する保持部が複数である所定数ずつ横方向に並んで構成される保持部列が縦方向に複数列に並んでいる保持部群を有する保持体と、前記保持部列単位で前記保持部に保持されている前記容器から前記キャップを取り外すデキャップ機構と、前記保持体および前記デキャップ機構の少なくとも一方を移送経路に沿って前記縦方向に移送する移送機構と、前記デキャップ機構および前記移送機構を制御する制御部を有する制御装置とを備え、前記制御部が、前記移送経路でデキャップ位置を占めている前記保持部列であるデキャップ位置保持部列に保持されている前記容器に装着されている前記キャップを取り外すデキャップ動作を前記デキャップ機構に行わせるキャップ外し装置において、
前記制御装置が、前記デキャップ位置に達するまでに前記各保持部列が前記移送経路で占める位置である検出位置で、前記各保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップの有無を、前記保持部列単位で検出するキャップ検出手段を有し、
前記制御部が、前記キャップ検出手段の検出結果に基づいて前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器の前記キャップの有無を判定するキャップ有無判定手段を有し、前記キャップ有無判定手段により前記キャップが有ると判定されたときに、前記デキャップ機構に前記デキャップ動作を行わせ、前記キャップ有無判定手段により前記キャップが無いと判定されたときに、前記デキャップ機構に前記デキャップ動作を停止させることを特徴とするキャップ外し装置。
【請求項2】
前記検出位置が前記デキャップ位置であることを特徴とする請求項1に記載のキャップ外し装置。
【請求項3】
前記制御装置が、1回の前記デキャップ動作毎に前記デキャップ動作の完了を検出するデキャップ動作検出手段と、前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップを検出するデキャップミス用キャップ検出手段とを有し、
前記制御部が、前記デキャップ動作検出手段および前記デキャップミス用キャップ検出手段の検出結果に基づいて前記デキャップ動作が行われた後の前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップの有無を判定するデキャップミス判定手段を有し、前記デキャップミス判定手段により前記キャップが有ると判定されたときに、前記移送機構の作動を停止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャップ外し装置。
【請求項4】
前記キャップ検出手段が、前記デキャップミス用キャップ検出手段を兼ねることを特徴とする請求項3に記載のキャップ外し装置。
【請求項5】
前記デキャップ機構が、前記保持部に保持されている前記容器から前記キャップを取り外すために前記キャップに着脱可能に嵌合するピッキング部材と、前記横方向に平行な傾倒中心線を中心に前記所定数の前記ピッキング部材とともに傾倒可能な傾倒部材とを有し、
前記キャップ検出手段が、発光素子と、前記発光素子から発せられた光を受光する受光素子とから構成され、
前記発光素子および前記受光素子が、前記横方向で前記傾倒部材と前記保持体との間に、かつ前記横方向で前記保持部列を挟んで対向して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のキャップ外し装置。
【請求項1】
キャップが着脱可能に装着される容器を保持する保持部が複数である所定数ずつ横方向に並んで構成される保持部列が縦方向に複数列に並んでいる保持部群を有する保持体と、前記保持部列単位で前記保持部に保持されている前記容器から前記キャップを取り外すデキャップ機構と、前記保持体および前記デキャップ機構の少なくとも一方を移送経路に沿って前記縦方向に移送する移送機構と、前記デキャップ機構および前記移送機構を制御する制御部を有する制御装置とを備え、前記制御部が、前記移送経路でデキャップ位置を占めている前記保持部列であるデキャップ位置保持部列に保持されている前記容器に装着されている前記キャップを取り外すデキャップ動作を前記デキャップ機構に行わせるキャップ外し装置において、
前記制御装置が、前記デキャップ位置に達するまでに前記各保持部列が前記移送経路で占める位置である検出位置で、前記各保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップの有無を、前記保持部列単位で検出するキャップ検出手段を有し、
前記制御部が、前記キャップ検出手段の検出結果に基づいて前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器の前記キャップの有無を判定するキャップ有無判定手段を有し、前記キャップ有無判定手段により前記キャップが有ると判定されたときに、前記デキャップ機構に前記デキャップ動作を行わせ、前記キャップ有無判定手段により前記キャップが無いと判定されたときに、前記デキャップ機構に前記デキャップ動作を停止させることを特徴とするキャップ外し装置。
【請求項2】
前記検出位置が前記デキャップ位置であることを特徴とする請求項1に記載のキャップ外し装置。
【請求項3】
前記制御装置が、1回の前記デキャップ動作毎に前記デキャップ動作の完了を検出するデキャップ動作検出手段と、前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップを検出するデキャップミス用キャップ検出手段とを有し、
前記制御部が、前記デキャップ動作検出手段および前記デキャップミス用キャップ検出手段の検出結果に基づいて前記デキャップ動作が行われた後の前記デキャップ位置保持部列の前記保持部に保持されている前記容器に装着されている前記キャップの有無を判定するデキャップミス判定手段を有し、前記デキャップミス判定手段により前記キャップが有ると判定されたときに、前記移送機構の作動を停止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャップ外し装置。
【請求項4】
前記キャップ検出手段が、前記デキャップミス用キャップ検出手段を兼ねることを特徴とする請求項3に記載のキャップ外し装置。
【請求項5】
前記デキャップ機構が、前記保持部に保持されている前記容器から前記キャップを取り外すために前記キャップに着脱可能に嵌合するピッキング部材と、前記横方向に平行な傾倒中心線を中心に前記所定数の前記ピッキング部材とともに傾倒可能な傾倒部材とを有し、
前記キャップ検出手段が、発光素子と、前記発光素子から発せられた光を受光する受光素子とから構成され、
前記発光素子および前記受光素子が、前記横方向で前記傾倒部材と前記保持体との間に、かつ前記横方向で前記保持部列を挟んで対向して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のキャップ外し装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
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【図12】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−225758(P2012−225758A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93340(P2011−93340)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】
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