説明

キャディバッグ

【課題】 ゴルフカートに搭載した場合であっても、ボール等の小物の出し入れを行い易いキャディバッグを提供する。
【解決手段】 キャディバッグ1は、筒状に形成されており上部にポケット収容部11を備えたバッグ本体2と、ポケット収容部11に一端部の少なくとも一部が固定された状態で収容されており、使用時に引き出されて、取っ手4の外側を覆うように配置された状態で、バッグ本体に固定されるポケット部21を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブを収容するキャディバッグに関する。特に、ボール等の小物類を収納するポケットを本体上部に備えたキャディバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャディバッグには、ゴルフクラブを収容するバッグ本体の周りに、ボールや手袋や財布などの小物を収納するための収納部が設けられている。例えば、バッグ本体の前面下部に比較的大きな収納部が設けられ、バッグ本体背面や両側面に厚みの薄い収納部が設けられたキャディバッグが、広く流通している。
【0003】
収納部を有する複数のキャディバッグがゴルフカート101に積み込まれている状態を、図9に模式的に示す。キャディバッグはゴルフカート101の荷台に隙間なく並べられて、本体前面が斜め上を向いた状態で搭載されている。キャディバッグを荷台に固定するには、ゴルフカート101に設けられているバンドが、キャディバッグの中央部を横断するように架け渡される。
【0004】
ゴルフカート101の荷台の中央部に搭載されて両側を他のキャディバッグに挟まれたキャディバッグは、バッグ本体背面及び側面に設けられた収納部から小物を取り出すことが非常に困難になる。又、このようなキャディバッグのバッグ本体の前面下部に設けられた収納部は、ゴルファーの手元よりも低い所に位置するため、この収納部からゴルフボール等の必要な小物類を出し入れする際は腰を屈めてしかもほとんど手探りの姿勢を取る必要があり、必要な小物の取り出しや収納に手間がかかることが指摘されていた。
【0005】
これらの問題を解消するために、特許文献1のゴルフ用小物ポーチが考案されている。この小物ポーチはホックを備えており、キャディバッグやゴルファーのベルトに着脱が可能である。このようなポーチをキャディバッグに取り付けておくことにより、プレー中の小物の出し入れを必要に応じて容易に行うことができる。同様に、着脱可能なゴルフ用小物入れが、特許文献2に開示されている。しかしながら、このように着脱可能な小物入れは万一の紛失の恐れがあり、一層の対策が求められていた。
【0006】
特許文献3及び特許文献4には、キャディバッグ本体の前面上部に固定された小物入れを設けて、ゴルフカートに搭載した場合でも小物の出し入れを行い易くする技術が開示されている。しかしながら、近年ではバッグ本体の前面上部に取っ手を設けていることが多いため、キャディバッグの運搬時等には、この取っ手と小物入れが干渉して、キャディバッグの運搬が行いにくくなる恐れがあった。
【特許文献1】実用新案登録第3061132号公報
【特許文献2】特開2003−10369号公報
【特許文献3】実開昭51−18662号公報
【特許文献4】特開2007−135618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、ゴルフカートに搭載した場合であっても、ボール等の小物の出し入れを行い易いキャディバッグを提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、キャディバッグに関する。本発明のキャディバッグは、 筒状に形成されており、上部にポケット収容部を備えたバッグ本体と、ポケット収容部に一端部の少なくとも一部が固定された状態で収容されており、使用時に引き出されて、他端部の上部に設けられた固定手段がバッグ本体に固定されるポケット部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明のキャディバッグのポケット部は、使用時以外はポケット収容部に収容されているために、運搬中や保管時に引っ掛かったり邪魔になったりする恐れがない。又、このポケット部は、少なくとも一部が本体に固定されているために、ポケット部自体が紛失する恐れがない。更に、使用時には引き出されて他端部がバッグ本体に固定されることにより、ゴルフカートに搭載された状態であっても、小物類の出し入れを非常に行い易く構成されている。
【0010】
請求項2の発明に係るキャディバッグは、バッグ本体の前面上部に取り付けられている取っ手を備えており、ポケット収容部から取り出されたポケット部が、取っ手の外側を覆うように配置された状態で、バッグ本体に固定されることを特徴とする。
【0011】
本発明のキャディバッグのポケット部は、前面上部の取っ手を覆うように配置されることで、ポケット部がキャディバッグの最も外側に位置することとなる。この結果、キャディバッグがゴルフカートに搭載された状態であっても、中に収容されている小物類を非常に容易に取り出すことが可能となる。
【0012】
請求項3の発明に係るキャディバッグは、ポケット部の一端部が、ポケット収容部内部のバッグ本体側の開口部の近傍に縫いつけられて固定されていることを特徴とする。
【0013】
ポケット部が強度の高いバッグ本体側に縫いつけられることで、ポケット部は強固にキャディバッグに固定される。又、開口部の近傍に一端部が縫いつけられているポケット部は、この固定部を支点にしてポケット収容部から出し入れすることができる。この結果、少ない移動量でポケット部をスムーズ且つ容易にポケット収納部から出し入れすることができる。
【0014】
請求項4の発明に係るキャディバッグは、ポケット部の一端部が、ポケット収容部に固定されている自動巻取手段のテープと連結されており自動巻取手段によって、ポケット部がポケット収容部に自動的に収容できることを特徴とする。
【0015】
本発明により、ポケット収納部に収納する時のポケット部は、自動巻取手段によって引き戻され、スムーズにポケット収納部の中に戻ることができる。
【0016】
請求項5の発明に係るキャディバッグは、ポケット部の少なくとも一部が、内部を視認可能なメッシュ素材で形成されていることを特徴とする。
【0017】
メッシュ素材を用いることにより、内容物の確認ができて、目的とする小物類を素早く取り出すことができる。又、濡れているボール等を収納した場合にも、これらを迅速に乾かすことができる。更に、通常の布等でポケット部を形成した場合と比較すると、砂等の汚れが貯まることがなく、又カビ等が発生しにくく清潔な状態が保たれる。
【0018】
請求項6の発明に係るキャディバッグは、ポケット部がバッグ本体に接する裏面部と、当該裏面部に対向する表面部を備えており、開口部が前記表面部の中央若しくは中央よりも上部に形成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明のキャディバッグのポケット部は、キャディバッグの本体前面が斜め上を向いた状態でゴルフカートに搭載されている場合に、特に好適に使用される。ゴルフカートにキャディバッグが搭載された状態でポケット部を使用する場合には、本発明の表面側に設けられた開口部は、その開閉が非常に行いやすいという利点がある。又、キャディバッグがゴルフカートに斜めに搭載されている場合、本発明のポケット部は、表面側を上にし、裏面側を下にした状態でキャディバッグの本体部の上に位置することになり、たとえ開口部が表面部の中央に形成されていた場合であっても、その内容物が落下する恐れがない。
【0020】
請求項7の発明に係るキャディバッグは、ポケット収容部の開口部が、バッグ本体の側面に沿うように上下方向に延設されている。この開口部の両側の縁部は、伸縮性に富んだ素材によって形成されており、この両側の縁部によって、開口部が通常閉じられていることを特徴とする。
【0021】
本発明のポケット収容部の開口部は、バッグ本体の側面に沿うように上下方向に延設されているために、ゴルフカート上で複数のキャディバッグに挟まれるように搭載されている場合であっても、小物類の出し入れが可能である。又、開口部の縁部は、閉じ蓋(フラップ)として機能することができ、縁部によって、ポケット収容部へのゴミや埃の進入が防止されると同時に、ポケット収容部の内部は縁部によって中が見えないようになっており、すっきりと整った外観が保たれている。更に、ポケット収容部の縁部が伸縮性のある素材で形成されているために、ポケット部の中にゴルフボール等の多くの小物が入った状態のままであっても、ポケット部を出し入れすることが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、たとえゴルフカート上で複数のキャディバッグに挟まれるように搭載された場合であっても、ゴルファーが腰を屈める必要がなく、立ったままの楽な姿勢から、収容物を視認できる状態で小物類の出し入れを容易に行うことのできるポケット部が設けられたキャディバッグが提供される。
【0023】
本発明により、ゴルフカート上で降雨を避けるためのカバーを掛けられた場合であっても、ゴルファーが腰を屈める必要がなく、立ったままの楽な姿勢から、収容物を視認できる状態で小物類の出し入れを容易に行うことのできるポケット部が設けられたキャディバッグが提供される。
【0024】
本発明により、使用しない場合には運搬や保管等の際に引っかかったり邪魔にならないように収容することができ、且つ使用時には迅速に取り出して使用しやすい状態で本体部に容易に取り付けることができるポケット部を備えたキャディバッグが提供される。
【0025】
本発明により、内部にゴルフボール等の小物類を収納したままの状態でポケット収容部に収容したり、取り出したりすることが容易にできるポケット部を備えたキャディバッグが提供される。
【0026】
本発明により、濡れた小物類を収納した場合であっても、これらをすぐに乾燥することができ、全体としてカビ等の発生が減じられたポケット部を備えたキャディバッグが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に発明を実施するための最良の形態を列記する。ここで記載された形態は例示であり、特許請求の範囲に記載の技術には、以下の形態を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0028】
キャディバッグのポケット部は、柔軟な素材で構成される。その素材には、一般にナイロン(登録商標)と称されるポリアミド生地、ポリエステル生地、PU(ポリウレタン)生地、PVC(塩化ビニル樹脂)生地、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)生地等が使用される。これらの生地はいずれも、軽量で、耐久性と防水性に富んでおり、しかも充分な柔軟性があってポケット収容部からの出し入れを行いやすいという特徴があり、ポケット部に適した素材である。
【0029】
ポケット部は略四角形であって、その一方の側辺が、ポケット収容部内部のバッグ本体側の開口部の縁部に縫いつけられている。ポケット部の他方の先端側の側辺上端部には、固定手段が設けられている。バッグ本体側の開口部の縁部にポケット部の一方の側辺が縫いつけられていることにより、少ない移動量で効率よくポケット部の出し入れを行うことができる。又同時に、固定された部分の耐久性が充分に確保されている。
【0030】
ポケット部に設けられる固定手段として最も好適なものは、ナスカン、カラビナ、スナップフック等の連結具である。これらの連結部は、バッグ本体の口枠下部に取り付けられている環状部に連結される。これらの連結具は、着脱が非常に容易である一方で、一旦固定すると取り外しの操作をしない限り非常に外れにくいという特徴がある。
【0031】
ポケット部の上端部がバッグ本体の口枠下部に固定されることにより、ポケット部は口枠とほぼ平行な状態で固定される。又、開口部がほぼ拡がった状態で固定されることになり、ボール等の小物類の出し入れが非常に行いやすくなる。
【0032】
ポケット部の開口部には、スライドファスナー、スナップボタン、マグネットのうちのいずれか1つが取り付けられており、開閉操作を行うことができる。これらの開閉手段は、開閉が容易であり、且つ、プレー中だけでなくポケット収容部に収容した際にも誤って開口して中の小物類がこぼれ落ちる恐れがないという特徴がある。
【0033】
ポケット収容部の内部と、バッグ本体側面に設けられた収納部の内部は一体化しており、一つの同じ空間を形成している。
【0034】
ポケット収容部の開口部の両側の縁部は、ネオプレン(登録商標)と称される柔軟で伸縮性に富んだクロロプレンゴムで形成されている。ポケット収容部の開口部の縁部が柔軟性に富んでいるために、ポケット部が多くの小物類を収納して膨らんだ状態であっても、そのまま開口部を通過させて出し入れすることができる。
【0035】
ポケット部の一方の側辺は、バッグ本体にポケット収容部の開口を設ける為、縁部を形成する素材を縫いつける際に、同時に縫いつけられている。
【0036】
ポケット部の一方の側辺の下端部が、ポケット収容部の中に固定されている自動巻取手段のテープと連結されている。自動巻取手段は、駆動バネにより付勢される巻取ドラムを備えており、ポケット部に連結されているテープは、通常はこの巻取ドラムに巻き付けられている。ポケット部をポケット収容部から取り出す時には、巻取ドラムに巻かれているテープが引き出され、その際に駆動バネが蓄勢される。ポケット部の固定具がバッグ本体に固定されている時は、巻取ドラムに巻取ドラムの駆動バネにストッパーが掛けられている。ポケット部をポケット収容部に収容するときには、ストッパーが外されて、巻取ドラムの駆動バネはその蓄勢力によって引き出したテープを自動的に巻き取る。テープが巻き取られることによって、ポケット部がポケット収容部に自動的に引き込まれる。
【実施例】
【0037】
(第1実施例)以下、本発明の第1実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本実施例のキャディバッグ1の正面図である。キャディバッグ1は、バッグ本体2と、図示されないフードとから構成されている。バッグ本体2の正面に、取っ手4が取り付けられている。バッグ本体2は、硬質の樹脂で形成された筒状の枠体に、ポリアミド樹脂、ポリエステル等の柔軟な合成繊維、又はPU、PVC等の柔軟な合成皮革が、表皮として張り合わされている。
【0038】
バッグ本体2の前面下部には、バッグ本体部2の表皮と同じ材質の合成皮革を縫いつけることによって、前面に突出した収納部6が設けられている。バッグ本体2の両側面に、同様の材質の合成皮革を適用した厚みの少ない収納部が設けられている。以後の記載に於いては、バッグ本体2の向かって左側面に設けられている収納部を収納部8とし、向かって右側面に設けられている収納部を収納部10とする。バッグ本体2の表皮は、収納部6,8,10が重ね合わされる部分については、PVC合成皮革の代わりに、より薄い柔らかな布地が用いられており、軽量化とコストダウンが図られている。
【0039】
バッグ本体2の外側の、収納部8に設けられているスライドファスナー9とほぼ平行する位置に、ポケット収容部11の開口部12が、上下に延設されている。ポケット収容部11の内部と、収納部8の内部は一体化しており、一つの同じ空間を共有している。開口部12の両側の縁部14は、柔軟で伸縮性に富んだクロロプレンゴムで形成されている。両側の縁部14によって、開口部12は通常閉じられており、縁部14が閉じ蓋として機能している。
【0040】
ポケット部21は、使用されない場合にはポケット収容部11の内部に収容されており、使用される都度、ポケット収容部11から引き出されて、取っ手4の外側を覆うように広げられて配置された状態で、バッグ本体2に固定される。ポケット部21がポケット収容部11に収容されているとき、ポケット収容部11の内部は縁部14によって中が見えないようになっており、すっきりと整った外観が保たれている。
【0041】
ポケット部21が、ポケット収容部11から引き出されて固定された状態のキャディバッグ1の正面図を図2に示す。ポケット部21は上辺22,下辺23,及び2つの側辺を有する略四角形に形成されており、バッグ本体2に接する裏面部と、裏面部に対向する表面部27を備えている。ポケット部21の一方の側辺の端部は、バッグ本体2の表皮と、ポケット収容部11の縁部14の布との間に挟み込まれた状態で、ポケット収容部11の内部のバッグ本体2側に固定されている。バッグ本体2の表皮と縁部14とを縫い合わせるとき、この側辺の端部を同一の工程によって同時にバッグ本体2に縫い付けることで、ポケット部21はバッグ本体2側に強固に固定されている。
【0042】
ポケット部21の表面部27と裏面部は、ポリアミド樹脂、ポリエステル、PU、PVC、EVA等から成る柔軟なメッシュ素材で形成されている。表面部27の上辺22の下に、スライドファスナーが縫いつけられて、開口部28を形成している。ポケット部21の先端側の側辺25の上端部には、ナスカン29が連結されて固定されている。
【0043】
ポケット収容部11から取り出されたポケット部21は、取っ手4の外側を覆うように配置される。そして、ナスカン29が、バッグ本体2の口枠16の下部に固定されている環状部18に連結される。ポケット部21は、バッグ本体2側に縫いつけられている側辺部に加えて、先端側の側辺25の上端部のナスカン29がバッグ本体2に連結されることにより、バッグ本体2に着脱可能に連結固定される。
【0044】
ポケット部21に複数のゴルフボール31を収容した状態を模式的に示す部分拡大図を図3に示す。ポケット部21が柔軟なメッシュ素材で形成されているために、ポケット部21は取っ手4の外側の形状に沿うように、且つゴルフボール31の外形形状に合うように変形した状態で、キャディバッグ1の最も外側に位置している。このとき、ポケット部21の先端側の側辺25の下端部は、バッグ本体2に固定されておらず、変形や移動が可能であるため、より多くのゴルフボール31を収納しようとした場合でも、ポケット部21全体が膨らんだ状態となってそれらのボール31を収めることができる。又、ポケット部21の両側辺がバッグ本体に固定されることで、ポケット部21の開口部28は、口枠16とほぼ平行に拡がった状態で配置されることになり、ゴルフボール31の出し入れが非常に容易である。
【0045】
ポケット部21は、表面部27と裏面部が枠部を除いてメッシュ素材で形成されているために、中に収納した小物類を外側から見て容易に識別することができ、必要なものだけを取り出すことができる。更に、濡れているボール等を収納した場合であっても、これらを迅速に乾かすことができ、同時に、ポケット部21自体も迅速に乾燥するため、カビ等が発生しにくく清潔な状態が保たれる。
【0046】
図4に、両側を他のキャディバッグに挟まれてゴルフカートに積み込まれたキャディバッグ1の状態を模式的に示す。キャディバッグ1は、本体部2の前面が斜め上を向いた状態で、他の3個のキャディバッグ33と共に、ゴルフカートの荷台に隙間なく並べられる。図4から明らかなように、キャディバッグ1の本体背面に設けられた収納部から小物を出し入れことは困難である。又、収納部6は、ゴルファーの手元よりも一層低い所に位置するため、ゴルフボール等の必要な小物類を出し入れする際には腰を屈めて尚かつほとんど手探りの状態で必要な小物を探す必要があり、ゴルフボール等の必要な小物の取り出しや収納に手間がかかる。
【0047】
これに対して、図4のキャディバッグ1のポケット部21は、バックの前面上部の取っ手4よりも外側に位置することになるため、キャディバッグ1の本体部2の口枠16側又は側方から手を伸ばすことにより、腰を屈めることなくしかもその内部を視認できる状態で、容易に収容した小物類を取り出すことができる。又、降雨時にキャディバッグ1,33全体にカバーを取り付けた場合には、収納部6から小物類を取り出すことが一層困難となるが、ポケット部21は僅かにカバーをずらすだけで、必要なものを取り出すことができる。
【0048】
本実施例のポケット部21は、キャディバッグ1がゴルフカートに搭載された状態の時に引き出されて使用されるため、その表面部27が斜め上を向いた状態となる。このため、開口部28が開いた状態で、中にゴルフボール31を収容したまま移動を続けた場合であっても、ゴルフボール31が落下する恐れがない。
【0049】
プレーが終了して、ポケット部21とその中の小物類を用いなくなったときには、ナスカン29を環状部18から外して、小物類を収容した状態のまま、ポケット収容部11に収容することができる。ポケット収容部11の縁部14が伸縮性のある素材で形成されているために、中にゴルフボール31等が入った状態のまま、ポケット部21は開口部12を通過して収容される。ポケット部21を収容すると、キャディバッグ1は、図1に示したように取っ手4が現れた状態となって、運搬を容易に行うことが可能となる。
【0050】
本実施例におけるキャディバッグ1は、前面上部に、メッシュ素材で形成されたポケット部21が設けられている。ポケット部21は、ゴルフカートにキャディバッグ1が搭載された時には、ポケット収容部11から取り出して取っ手4の上に配置することができ、多くのゴルフボール31などを出し入れしやすく収容することが可能である。ポケット部21の側辺部はポケット収容部11の内側に強固に固定されており、使用しない時はポケット収容部11に容易に収容することができる。
【0051】
(第2実施例) 本実施例のキャディバッグ41のポケット部42の構成を、図5に示す。ポケット部42には、メッシュ素材で形成された表面部44の上部を覆う蓋部46を備えている。本実施例のキャディバッグ41の構成のうち、第1実施例と同一のものについては、同一符号を付与して、重複説明を割愛する。
【0052】
蓋部46の中央には、マグネットボタン48の雌部が取り付けられており、表面部44に取り付けられているマグネットボタン48の雄部と係合することで、蓋部46が閉じられる。
【0053】
本実施例のポケット部42にはマグネットボタン48によって開閉を片手で行うことが可能であり、開閉動作をより簡易に行うことが可能である。尚、本実施例における蓋部46の開閉手段として、マグネットボタン48の代わりに面ファスナーを用いることが可能である。
【0054】
(第3実施例) 本実施例のキャディバッグ51のポケット部52の構成を、図6に示す。本実施例のキャディバッグ51の構成のうち、第1実施例と同一のものについては、同一符号を付与して、重複説明を割愛する。キャディバッグ51のポケット部52には表面部53と裏面部との間にマチ54が形成されており、より多くの小物類を収納することができる。ポケット部52の上辺端部には鳩目56が設けられており、カラビナ57が連結されている。カラビナ57がバッグ本体部58に設けられている環状部18に連結されて、ポケット部52の上辺端部が環状部18に着脱可能に固定される。
【0055】
ポケット収容部59の底部には、図示されない自動巻取手段が固定されている。自動巻取手段は、駆動バネにより付勢される巻取ドラムと、巻取ドラムのストッパーと、巻取ドラムに通常巻取られているテープを備えている。ポケット部52の一方の側辺の下部が、自動巻取手段のテープに連結されている。ポケット部52をポケット収容部59から取り出す際には、巻取ドラムに巻かれているテープが同時に引き出され、その際に駆動バネが蓄勢される。ポケット部52がカラビナ57を介してバッグ本体部58に連結固定されている時は、巻取ドラムの駆動バネにストッパーが掛けられている。ポケット部52がポケット収容部59に収容されるときは、ストッパーが外されて、巻取ドラムの駆動バネはその蓄勢力によって引き出したテープを自動的に巻き取ることができる。テープが巻き取られることによって、ポケット部52が迅速且つスムーズにポケット収納部59に収容される。
【0056】
(第4実施例) 本実施例のキャディバッグ61のポケット部62の構成を、図7に示す。ポケット部62の先端側の側辺64には、鏡66が取り付けられている。本実施例のポケット部62には、鏡66の他に、ティホルダーを設けたり、ボール拭きを収納できる小物入れを設けることができる。ポケット収容部11の内部と、収納部8の内部は一体化しており、一つの同じ空間を共有しているので、より大型のポケット部62を収容することが可能である。但し、ゴルフカートに搭載する場合に隣合うキャディバッグの上に拡がらないようにするため、ポケット部62の幅は、キャディバッグ61の本体部の幅を超えないことが望ましい。本実施例のキャディバッグ61の他の構成については、第1実施例と同一であり、同一符号を付与して重複説明を割愛する。
【0057】
(第5実施例) 本実施例のキャディバッグ71のポケット部72の構成を、図8に示す。ポケット部72は、透明ビニールで構成されている。ポケット部72の先端側の側辺73の上端部には、貫通穴74が設けられている。一方、バッグ本体2の口枠の下部に固定されている環状部76には、ナスカン77が連結されて固定されている。ナスカン77が貫通穴74に連結されることにより、ポケット部72の側辺73側の上端が、バッグ本体2に着脱可能に固定される。
【0058】
ポケット部72の上辺から約1/4の高さの位置(中央部と上辺の中間の位置)に、スライドファスナーが縫い合わされて、開口部78が形成されている。このように本実施例の開口部78は、他の実施例と比較すると、よりポケット部72の中央部寄りの位置に形成されている。しかし、本実施例のポケット部72は、キャディバッグ71がゴルフカートに搭載された状態で使用されるため、ゴルフカート上で斜めに固定されているバッグ本体2の向きに倣って、その開口部78は上方を向いた状態となる。この状態で開口部78を行った場合、ポケット部72から内容物が落下する恐れがない。
【0059】
以上、実施例において本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。たとえば、実施例においては、ポケット部をバッグ本体に連結する手段として、ナスカン、カラビナ等の連結具を示したが、ポケット部に設けられる固定手段として、スナップボタンの雌スナップを適用することができる。この雌スナップは、バッグ本体の口枠下部に取り付けられている雄スナップと係合することができる。又、ポケット部の先端側の上端部を連結固定するバッグ本体側の環状部を、取っ手に対してポケット収容部と同じ側に設けることも可能である。この場合、ポケット部の容量は若干少なくなる可能性があるが、取っ手がポケット部に覆われないために、ポケット部を収容することなく外に出したまま、取っ手を持ってキャディバッグを短時間移動させることが可能となる。
【0060】
更に、バッグ側面に設ける収容部の大きさと配置は、ポケット部の大きさとその配置に応じて、開口する角度や大きさを適宜変更することが可能である。例えば、実施例に於いては、バッグ側面の向かって左側にポケット収容部を設けて、そこからポケット部を右側に引き出す構成を開示したが、ポケット収容部をバッグ側面の右側に設けて、ポケット部を左側に引き出す構成を取ることも可能である。ポケット収容部の開口部に、スライドファスナーや面ファスナーの開閉手段を設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1実施例のポケット部21を収容した状態のキャディバッグ1の正面図である。
【図2】第1実施例のポケット部21を引き出した状態のキャディバッグ1の正面図である。
【図3】第1実施例のキャディバッグ1のポケット部21にゴルフボール31を収容した状態を模式的に示す部分拡大図である。
【図4】第1実施例のキャディバッグ1を他のキャディバッグ33と共にゴルフカートに搭載した状態を模式的に示す図である。
【図5】第2実施例のポケット部42を引き出した状態のキャディバッグ41の部分拡大図である。
【図6】第3実施例のポケット部52を引き出した状態のキャディバッグ51の部分拡大図である。
【図7】第4実施例のポケット部62を引き出した状態のキャディバッグ61の部分拡大図である。
【図8】第5実施例のポケット部72を引き出した状態のキャディバッグ71の部分拡大図である。
【図9】複数のキャディバッグがゴルフカート101に積み込まれている状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1,33,41,51,61,71 キャディバッグ
2,58 バッグ本体
4 取っ手
6,8,10 収容部
9 スライドファスナー
12 開口部
11,59 ポケット収容部
12 ポケット収容部の開口部
14 ポケット収容部の縁部
16 口枠
18 環状部
21,42,52,62,72 ポケット部
22 ポケット部の上辺
23 ポケット部の下辺
25,64 ポケット部の側辺
27 ポケット部の表面部
28,78 ポケット部の開口部
29,77 ナスカン
31 ゴルフボール
46 蓋部
48 マグネットボタン
54 マチ
56 鳩目
57 カラビナ
62 鏡
101 ゴルフカート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成されており、上部にポケット収容部を備えたバッグ本体と、
前記ポケット収容部に一端部の少なくとも一部が固定された状態で収容されており、使用時に引き出されて、他端部の上部に設けられた固定手段がバッグ本体に固定されるポケット部と、
を備えていることを特徴とするキャディバッグ。
【請求項2】
バッグ本体の前面上部に取り付けられている取っ手を備えており、
ポケット収容部から取り出されたポケット部が、取っ手の外側を覆うように配置された状態で、バッグ本体に固定されることを特徴とする請求項1に記載のキャディバッグ。
【請求項3】
ポケット部の一端部が、ポケット収容部内部のバッグ本体側の開口部の近傍に縫いつけられて固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャディバッグ。
【請求項4】
ポケット部の一端部が、ポケット収容部に固定されている自動巻取手段のテープと連結されており、
自動巻取手段によって、ポケット部がポケット収容部に自動的に収容できることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャディバッグ。
【請求項5】
ポケット部の少なくとも一部が、内部を視認可能なメッシュ素材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4に記載のキャディバッグ。
【請求項6】
ポケット部が、バッグ本体に接する裏面部と、当該裏面部に対向する表面部を備えており、開口部が、前記表面部の中央若しくは中央よりも上部に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5に記載のキャディバッグ。
【請求項7】
ポケット収容部の開口部が、バッグ本体の側面に沿うように上下方向に延設されており、
前記開口部の両側の縁部が、伸縮性に富んだ素材によって形成されており、
前記両側の縁部によって、前記開口部が通常閉じられていることを特徴とする請求項1乃至6に記載のキャディバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−118939(P2009−118939A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294146(P2007−294146)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(303011275)株式会社ジャパーナ (43)