説明

キャニスタ

【課題】製造工数の増加によるコストアップを招くことなく、リサイクル性の悪化のほか活性炭の摩滅、あるいは特定物質の流出等の不具合発生を未然に防止して、キャニスタ本来の性能を長期にわたり安定して維持することが可能な耐久性に優れたキャニスタを提供する。
【解決手段】 蒸発燃料の導入側となるチャージポート14と大気導入によって離脱した燃料の導出側となるパージポート15および大気導入用の大気ポート16とを備えたポリアミド樹脂製のケーシング2内に、吸着材としてペレット状の活性炭4を充填するとともに、その活性炭4群のなかにケーシング2と同じ材質ペレット状の蓄熱材5を混在または混入してある。活性炭4群に対する蓄熱材5の配合量を10〜30vol%とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の燃料タンクから蒸発した燃料を吸着して、その燃料をエンジン稼働時に燃焼させる蒸発燃料処理装置として用いられるキャニスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ガソリンを燃料とする自動車では、燃料タンク内の蒸発燃料が大気に放出されることを抑制するために蒸発燃料処理装置としてキャニスタが用いられている。このキャニスタは、停車時等に燃料タンクから発生する蒸発燃料を吸着材である活性炭に吸着させ、エンジン稼働時にキャニスタを通して吸気を行うことにより、大気ポートから導入した大気によってキャニスタ内をパージし、吸着した蒸発燃料を離脱させてエンジン内で燃焼させる仕組みとなっている。このパージによる蒸発燃料の離脱によって活性炭の性能が復活して蒸発燃料を良好に且つ繰り返し吸着することが可能となる。
【0003】
上記のような活性炭を吸着材として用いたキャニスタにおいては、蒸発燃料の吸着はいわゆる発熱反応で行われるため、蒸発燃料の吸着に伴いキャニスタの温度が上昇して吸着性能が低下する傾向となる一方、逆に一旦吸着した燃料成分の離脱はいわゆる吸熱反応で行われるため、燃料成分の離脱に伴いキャニスタの温度が低下して燃料成分の離脱性能が低下する傾向となることが知られている。
【0004】
そこで、これらの対策として、特許文献1に記載のように、粒状の活性炭群のなかにポリマー等の高分子の粒状物質を混在させたもののほかに、特許文献2に記載のように、活性炭そのもののなかに当該活性炭よりも比熱の大きな固体蓄熱材を分散して混入せしめたもの、あるいは特許文献3,4に記載のように、活性炭の表面に当該活性炭よりも熱伝導率が大きく且つ熱容量の大きな蓄熱粒子を付着させたもの、さらには特許文献5に記載のように、温度変化に応じて潜熱の吸収および放出を生じる相変化物質をマイクロカプセル中に封入してなる微細な蓄熱剤を、バインダとともに成形して粒状の成形蓄熱材とし、この成形蓄熱材を粒状の吸着材とともに混合してケース内に充填したもの、等が提案されている。
【特許文献1】実開昭62−38468号公報
【特許文献2】特開昭64−36962号公報
【特許文献3】特開平10−339218号公報
【特許文献4】特開2006−207485号公報
【特許文献5】特開2005−233106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、金属製のケースのなかに粒状の活性炭とともにポリマー等の高分子の粒状物質を充填してあるため、キャニスタ自体が車載状態下で振動を受けることで活性炭や高分子粒状物質がケースとの摺接により徐々に摩滅し、その摩滅粉の発生によって通気抵抗が増大するようになるとともに、特に活性炭の摩滅によってキャニスタ本来の性能を長期にわたって維持できなくなるおそれがあるほか、ケースと活性炭および高分子粒状物質同士がそれぞれ異材質であるため、例えば廃車後の解体等に際してリサイクル性が悪いという問題がある。
【0006】
他方、特許文献2に記載のように、固体蓄熱材として鉄、ステンレス鋼、銅、鉛等の金属材料を用いた場合には、活性炭よりも固体蓄熱材の比重が大きいために、上記と同様にキャニスタが振動を受けることで活性炭が徐々に摩滅し、通気抵抗の増大とともに、本来の性能を長期にわたって維持できなくなるおそれがあるばかりでなく、特に金属製の固体蓄熱材の腐食による耐久性の低下が危惧される。
【0007】
また、特許文献3,4に記載のように、活性炭そのものに蓄熱材を混入または付着させたものでは、その製造工数の増加によるコストアップが余儀なくされる。
【0008】
さらに、特許文献5に記載のものでは、相変化物質をマイクロカプセルに封入した蓄熱材を用いているため、上記と同様に製造工数の増加によるコストアップが余儀なくされるだけでなく、マイクロカプセルに封入した相変化物質が吸着熱を吸収または発熱する作動温度(相変化温度)が著しく限定されてしまい、必要十分な性能を発揮できないおそれがあるほか、相変化物質の流出による耐久性の低下が危惧される。
【0009】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、とりわけ製造工数の増加によるコストアップを招くことなく、しかもリサイクル性の悪化のほか活性炭の摩滅、あるいは特定物質の流出等の不具合発生を未然に防止して、キャニスタ本来の性能を長期にわたり安定して維持することが可能な耐久性に優れたキャニスタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、蒸発燃料の導入側となるチャージポートと大気導入によって離脱した燃料の導出側となるパージポートおよび大気導入用の大気ポートとを備えたポリアミド樹脂製のケーシング内に、吸着材として粒状の活性炭を充填するとともに、その活性炭群のなかに比熱の大きな高分子材料としてケーシングと同じ材質の粒状の蓄熱材を混在させてあることを特徴とする。
【0011】
上記ケーシングおよび蓄熱材の材料である熱可塑性のポリアミド樹脂(PA)は、多くの樹脂材料のなかでも耐薬品性、特に耐ガソリン性および耐熱性に優れているほか、耐水性、吸水性の面でも良好であり、例えばPA6−6(登録商標:ナイロン6−6)、PA6(登録商標:ナイロン6)、PA6−10(登録商標:ナイロン6−10)、PA11(登録商標:ナイロン11)、PA12(登録商標:ナイロン12)等がある。ここでは、蓄熱材の機能からして可及的に比熱が大きいもの、例えば比熱が1.30〜1.70kJ/kg・K程度のPA6−6、PA6、PA12等を用いることが望ましい。
【0012】
ケーシングは、例えば射出成形用の汎用のポリアミド樹脂材料として一般に流通しているペレット状のものを可塑化した上で所定形状に成形することになるが、蓄熱材として使用する場合には上記のように射出成形用の汎用のポリアミド樹脂材料として一般に流通しているペレット状のものを可塑化することなくそのままのかたちで利用することができ、好都合である。
【0013】
ケーシング内での通気抵抗を極力抑制する上では、上記活性炭および蓄熱材は共にペレット状のものであることが望ましく、さらに上記ペレット状の活性炭および蓄熱材は共に長さ寸法が直径と同等またはそれよりも大きい形状のものであることがより望ましい。例えば活性炭の直径が2mm程度であれば、蓄熱材の直径は活性炭の直径と同等またはそれよりのわずかに小さい1.5mm程度のものとする。
【0014】
上記活性炭群に対する蓄熱材の配合量は、上記と同様の通気抵抗の抑制化や、キャニスタ本来の吸着性能のほか、例えば車両振動等を受けたとしてもその活性炭群に対して蓄熱材が偏在しないように配慮し、例えば活性炭群に対する蓄熱材の配合量は10〜30vol%程度とする。
【0015】
したがって、本発明では、キャニスタによる蒸発燃料の吸着はいわゆる発熱反応で行われるため、蒸発燃料の吸着に伴いキャニスタの温度が上昇して吸着性能が低下する傾向となる一方、逆に一旦吸着した燃料成分の離脱はいわゆる吸熱反応で行われるため、燃料成分の離脱に伴いキャニスタの温度が低下して燃料成分の離脱性能が低下する傾向となることは従来と同様である。
【0016】
この場合において、活性炭は蒸発燃料の吸着の際に発熱することになるが、その熱は活性炭群のなかに混在している比熱の高い蓄熱材に伝わることから、その蓄熱材の熱容量分だけ活性炭の発熱を抑制することが可能となる。この挙動は燃料成分の離脱の際にも同様であって、活性炭から燃料成分が離脱する際には吸熱作用のために活性炭は温度低下することになるが、比熱の高い蓄熱材に吸熱されていた熱が活性炭に伝わり、その活性炭の温度低下を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ケーシング内に充填した粒状の活性炭群のなかに、ケーシングと同じ材質であるポリアミド樹脂製の粒状の蓄熱材を混在させるだけで所期の目的を達成することができ、コスト的に著しく有利となるほか、ケーシングと蓄熱材が共に同じ材質であることで、リサイクル性に優れるとともに、蓄熱材や活性炭の摩滅を抑制して通気抵抗の増大を防ぎ、キャニスタ本体の性能を長期にわたって安定して維持できるようになり、耐久性が向上するほか、以下に列挙するような利点がある。
【0018】
(a)従来の構造のものと比べて蓄熱材の腐食や特定物質の流出等の不具合の発生がなく、一段と耐久性向上に寄与できる。
【0019】
(b)活性炭の吸脱着に伴う温度変化の範囲を緩和でき、いかなる雰囲気温度においても一定の効果が得られるようになる。
【0020】
(c)従来と同等の吸着材容量でありながらもその吸着性能が向上し、特に粒状の活性炭群のなかに単に蓄熱材を混在または混入させているだけであるから、バインダとしての機能する材料を必要としないため、同一容積での吸着量も向上することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明に係るキャニスタのより具体的な第1の実施の形態を示す図である。
【0022】
同図に示すように、キャニスタ1は、PA6−6、PA6、PA12等に代表されるようなポリアミド樹脂材料にて成形された密閉式のケーシング2の吸着室3内に吸着材として粒状の活性炭4(塗りつぶし○印で示す)を充填したものであって、その活性炭4群のなかに所定の割合で比熱の大きな蓄熱材、すなわちケーシング2と同じ材質の粒状の蓄熱材5(白抜き○印で示す)を混入または混在させてある点で従来のものと異なっている。
【0023】
ケーシング2内の一端には空隙部6を確保するべくエンボス部7を突出形成してあるとともに、このエンボス部7と活性炭4群との間にはウレタンまたは不織布等の通気性材料からなるスクリーン8をグリッド9とともに介装してある。また、ケーシング2内の他端においても空隙部10を確保するようにしてウレタンまたは不織布等の通気性材料からなるスクリーン11をグリッド12とともに介装してあり、スクリーン11およびグリッド12は空隙部10内に配置した圧縮コイルスプリング13によって付勢されている。
【0024】
これにより、ケーシング2内の蓄熱材5を含む活性炭4群は圧縮コイルスプリング13の力により弾性的に充填,保持されており、ケーシング2内での蓄熱材5を含む活性炭4群の無用な移動またはいわゆる踊り現象の発生が防止されている。
【0025】
なお、ケーシング2は先に述べたようにポリアミド樹脂製のものであり、例えば図示外のケーシング本体とカバーとが半割構造となったものを予め用意しておき、内部にスクリーン8,11やグリッド9,12および圧縮コイルスプリング13のほか、蓄熱材5を含む活性炭4群を充填した上で、ケーシング本体とカバーとを融着することで密閉構造とされる。
【0026】
そして、ケーシング2のうち空隙部6側の一端には、図示外の燃料タンクからの蒸発燃料を導入するためのチャージポート14と、後述する大気導入によって活性炭4群から離脱した燃料をエンジンの吸気系側に戻すためのパージポート15をそれぞれ一体に形成してあるとともに、空隙部10側の他端には大気を導入するための大気ポート16を一体に形成してある。
【0027】
粒状の活性炭4の大きさや同じく粒状の蓄熱材5の大きさ、さらには活性炭4群に対する蓄熱材5の配合量等は、キャニスタ1本来の吸着性能を確保しつつ、例えば車両振動等を受けたとしてもその活性炭4群に対して蓄熱材5が偏在しないように配慮するものとし、吸着材として機能する活性炭4はペレット状(中実円柱状)のもの、例えば直径が2mmで長さがその直径と同等またはそれよりも大きなものを使用する。他方、活性炭4群のなかに混在または混入している比熱の高い粒状の蓄熱材5は活性炭4と同程度の大きさのものとし、ここでは蓄熱材5は活性炭4と同じペレット状のもので、例えば直径が1.5mmで長さがその直径と同等またはそれよりも大きなものを使用する。また、活性炭4群に対する蓄熱材5の配合量は必要十分な比熱を確保するために例えば10〜30vol%程度としてある。
【0028】
上記ペレット状の蓄熱材5がケーシング2と同じ材質、すなわち熱可塑性樹脂の一つであるポリアミド樹脂製のものであることは先に述べた。ここでは、ケーシング2の材質を例えばPA−66としたならば、蓄熱材5の材質もPA−66製のものとする。ただし、ケーシング2は例えば射出成形用の汎用樹脂成形材料として一般に流通しているペレット状のものを可塑化して所定形状に成形することになるが、蓄熱材5として使用する場合には一般に流通しているペレット状の材料のかたちでそのまま利用することができ、成形作業が不要となることによってコスト的に著しく有利となる。
【0029】
なお、ケーシング2および蓄熱材5ともに材質がポリアミド樹脂であれば良く、PA−66に代えてPA6、PA12のほか、PA6−10、PA11等のポリアミド樹脂を用いることももちろん可能である。
【0030】
したがって、このように構成されたキャニスタ1によれば、車両の停車時においては燃料タンクから発生する蒸発燃料がチャージポート14からケーシング2内に導入されて、吸着材である活性炭4群に吸着される。
【0031】
その一方、エンジン稼働時には当該キャニスタ1を通して吸気を行うことにより大気ポート16から大気が導入され、その導入された大気はケーシング2内を通過してパージポート15からエンジン側に吸入される。この導入空気の流れにより活性炭4群がいわゆるパージされ、活性炭4群に吸着されている蒸発燃料が離脱して導入空気とともにエンジン内に吸気されて燃焼処理される。そして、このパージによる蒸発燃料の離脱によって活性炭4群の性能が復活することになる。なお、これらの蒸発燃料の吸着および離脱のメカニズムは従来のものと基本的に同様である。
【0032】
ここで、キャニスタ1での活性炭4群による蒸発燃料の吸着はいわゆる発熱反応で行われるため、蒸発燃料の吸着に伴いキャニスタ1内の活性炭4群の温度が上昇して吸着性能が低下する傾向となる一方、逆に一旦吸着した燃料成分の活性炭4群からの離脱はいわゆる吸熱反応で行われるため、燃料成分の離脱に伴いキャニスタ内の活性炭4群の温度が低下して燃料成分の離脱性能が低下する傾向となることは先に述べた。
【0033】
そして、本実施の形態では、活性炭4群は蒸発燃料の吸着の際に発熱することになるものの、その熱は活性炭4群のなかに混在している比熱の高い蓄熱材5に伝わることから、その蓄熱材5の熱容量分だけ蓄熱材5が熱を保有することになり、その分だけ活性炭4群自体の発熱を抑制するはたらきをすることになる。
【0034】
同様にして、活性炭4群から一旦吸着した燃料成分が離脱する際には、その離脱による吸熱作用のために活性炭4群は温度低下することになるものの、代わって比熱の高い蓄熱材5に吸熱されていた熱が活性炭4群に伝わり、その活性炭4群の温度低下を抑制するはたらきをすることになる。
【0035】
このように本実施の形態によれば、ペレット状の活性炭4群のなかにケーシング2と同じ材質のペレット状の蓄熱材5を混在または混入したことにより、活性炭4群が蒸発燃料を吸着する際の過剰な発熱を抑制しつつ、その活性炭4群から燃料成分が離脱する際の過剰な温度低下を抑制することが可能となり、活性炭4群本来の吸着,離脱性能を長期にわたって安定して維持することが可能となる。
【0036】
特に、ケーシング2および蓄熱材5が共にポリアミド樹脂製のものであるため、キャニスタ1に使用されている金属部品はわずかに圧縮コイルスプリング13だけとなり、廃車後の解体に際してのリサイクル性、ひいてはキャニスタ1のリサイクル性にも優れたものとなるほか、キャニスタ1の車載状態下で車両振動等を受けたとしても、ケーシング2や蓄熱材5が金属製のものである場合と比べてその蓄熱材5や活性炭4の摩滅を抑制する上で有利であり、キャニスタ1の通気抵抗の増大を抑制することが可能となる。
【0037】
特に、活性炭4の吸脱着に伴う温度変化の範囲を緩和できることは先に述べた通りであるから、いかなる雰囲気温度においても一定の効果が得られることはもちろんのこと、従来と同等の吸着材容量でありながらもその吸着性能が向上する。また、吸着材としてのペレット状の活性炭4群のなかに単に同じくペレット状の蓄熱材5を混在または混入させているだけであるから、従来のようにいわゆるバインダとしての機能する材料を必要としないため、同一容積での吸着量も向上することになる。
【0038】
また、蒸発燃料中に水分が混入している場合でも、蓄熱材5がポリアミド樹脂製のものであるために、水分の影響により蓄熱材5が腐食や変質等の物性的変化を受けることもない。
【0039】
ここで、上記実施の形態では蓄熱材5としてペレット状のものを使用しているが、例えばポリアミド樹脂成形品の射出成形の際に発生する端材を有効利用するべく、この端材を蓄熱材5と同程度の大きさに破砕した上でペレット状の蓄熱材5に混ぜて使用することももちろん可能である。
【0040】
図2は本発明に係るキャニスタのより具体的な第2の実施の形態を示す図であり、いわゆる2室Uターンフロー構造の一方のケーシング22Aと第3の吸着室23dとして機能することになる別のケーシング22Bとを併用するタイプのキャニスタ21の例を示している。なお、先の第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付してある。
【0041】
図2に示すように、キャニスタ21における一方のケーシング22A内は主室として機能する第1,第2の吸着室23a,23bに隔壁23cで仕切られていて、第1,第2の吸着室23a,23bには図1のものと同様にペレット状の蓄熱材5を混在または混入した吸着材としてのペレット状の活性炭4を充填してある。そして、双方の吸着室23a,23bが共有することになる空隙部30には、各吸着室23a,23bごとに独立した圧縮コイルスプリング33を介装してあるとともに、空隙部33自体は第1の吸着室23aと第2の吸着室23bとをいわゆるUターン通路のかたちで互いに連通している。なお、第1,第2の吸着室23a,23b共に、圧縮コイルスプリング33の力によりエンボス部27、スクリーン28,31およびグリッド29,32を介して蓄熱材5を含む活性炭4群が充填,保持されている点は図1のものと同様である。
【0042】
そして、ケーシング22Aのうち第1の吸着室23a側には図示外の燃料タンクからの蒸発燃料を導入するためのチャージポート34と、大気導入によって活性炭4群から離脱した燃料をエンジンの吸気系側に戻すためのパージポート35をそれぞれ一体に形成してあるとともに、第2の吸着室23b側には連通ポート37を形成してある。
【0043】
他方のケーシング22Bは副室として単一の第3の吸着室23dを有していて、第1,第2の吸着室23a,23bと同様に、第3の吸着室23dにはエンボス部27、グリッド29,32、スクリーン28,31、さらには圧縮コイルスプリング33にてペレット状の活性炭4を充填,保持させてある。なお、この第3の吸着室23dの活性炭4群には第1,第2の吸着室23a,23b側と異なりペレット状の蓄熱材5が混在または混入していない。
【0044】
そして、第3の吸着室23dの一端には第2の吸着室23b側の連通ポート37に接続される連通ポート47を一体に形成してあるとともに、空隙部40側の他端には大気を導入するための大気ポート41を一体に形成してあり、連通ポート37,47同士は例えば図示外のホース等を介して接続される。
【0045】
したがって、このように構成された第2の実施の形態のキャニスタ21によれば、車両の停車時においては燃料タンクから発生する蒸発燃料がチャージポート34からケーシング22A内の第1の吸着室23aに導入されるとともに、さらには第2,第3の吸着室23b,23d内へと順次導入されて、吸着剤である活性炭4群に吸着される。
【0046】
その一方、エンジン稼働時には当該キャニスタ21を通して吸気を行うことにより第3の吸着室23d側の大気ポート41から大気が導入され、その導入された大気は第3の吸着室23dのほか第2の吸着室23b内を流れた上で空隙部30を経て第1の吸着室23aに入り、さらにその第1の吸着室23内を逆方向に向かって流れた上でパージポート35からエンジン側に吸入される。この導入空気の流れにより活性炭4群がいわゆるパージされ、活性炭4群に吸着されている蒸発燃料が離脱して導入空気とともにエンジン内に吸気されて燃焼処理される。そして、このパージによる蒸発燃料の離脱によって活性炭4群の性能が復活することになる。
【0047】
なお、このような活性炭4群による蒸発燃料の吸着あるいは燃料成分の離脱の際に、活性炭4群のなかに混在または混入してあるペレット状の蓄熱材5が活性炭4群との間で熱の授受を行うことは先の第1の実施の形態の場合と全く同様である。
【0048】
この第2の実施の形態によれば、先の第1の実施の形態と同様の効果が得られることはもちろんのこと、特に第1,第2の吸着室23a,23bに加えて、蓄熱材5を含まない活性炭4のみの第3の吸着室23dがあることで、チャージ効率およびパージ効率が一段と向上することになる。
【0049】
ここで、図2に示したキャニスタ1は双方のケーシング22A,22B同士が互いに独立していて、両者の連通ポート37,47同士を図示外のホースにて接続して使用する場合を示したが、一方のケーシング22Aと他方のケーシング22Bとが実質的に一体化されているタイプのものもあり、この場合には連通ポート37,47同士が直接接続されるか、空隙部34同士が接続されて、第2の吸着室23bと第3の吸着室23dとの連通性が確保されることになる。
【0050】
また、図2に示したケーシング22Bを併用することなくケーシング22Aを単独で用いてキャニスタ21とすることも可能であり、この場合には連通ポート37が大気ポートとして機能することになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係るキャニスタの第1の実施の形態を示す断面説明図。
【図2】本発明に係るキャニスタの第2の実施の形態を示す断面説明図。
【符号の説明】
【0052】
1…キャニスタ
2…ケーシング
3…吸着室
4…吸着材としての活性炭
5…蓄熱材
14…チャージポート
15…パージポート
16…大気ポート
21…キャニスタ
22A…ケーシング
22B…ケーシング
23a…第1の吸着室
23b…第2の吸着室
23d…第3の吸着室
34…チャージポート
35…パージポート
37…連通ポート
41…大気ポート
47…連通ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発燃料の導入側となるチャージポートと大気導入によって離脱した燃料の導出側となるパージポートおよび大気導入用の大気ポートとを備えたポリアミド樹脂製のケーシング内に、吸着材として粒状の活性炭を充填するとともに、その活性炭群のなかにケーシングと同じ材質の粒状の蓄熱材を混在させてあることを特徴とするキャニスタ。
【請求項2】
上記活性炭および蓄熱材は共にペレット状のものであることを特徴とする請求項1に記載のキャニスタ。
【請求項3】
上記ペレット状の活性炭および蓄熱材は共に長さ寸法が直径と同等またはそれよりも大きい形状のものであることを特徴とする請求項2に記載のキャニスタ。
【請求項4】
活性炭に対する蓄熱材の配合量が10〜30vol%であることを特徴とする請求項3に記載のキャニスタ。

【図1】
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【図2】
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