説明

キャパシティブデータ保存方法及び該方法を用いた各種システム及び各種商品

印刷技術によりヒューズ回路部を予め生成し、かつ、このヒューズ回路部に印刷されるカード番号等の固定情報は、各カード等の商品1個毎に異ならしめることで、当該商品の識別を確実に行うことができ、しかも、この固定情報の偽造・変造は実質的に不可能であるため、セキュリティが高く、さらには、上記ヒューズ回路部の固定情報と磁気記憶部やIC記憶部に記憶されている情報或はバーコードに記録されている情報とをリンクさせることで、銀行カードやクレジットカード、プリペイドカードやテレフォンカード、ゲームカード、ギフトカード、CDやDVD、バンキングシステム、ON−LINE用認証カード、各種免許証等の身分証明証、キィーカード、OFF−LINEでも利用可能な商品券、図書カード等の偽造防止手段が特に必要な各種商品のセキュリティ性能をより向上させることができるキャパシティブデータ保存方法及び該方法を用いた各種システム及び各種商品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、CDやDVD或はカード等の商品にヒューズ回路を内蔵し、このヒューズの形成状態によって利用金額や当該カードIDを記録保存することができるキャパシティブデータ保存方法及び当該キャパシティブデータ保存方法を用いたバンキングシステム、ON−LINE用認証カード、ゲームカード、CD、DVD、各種免許証等の身分証明証、キィーカード、並びにOFF−LINEでも利用可能な商品券、図書カードの各種商品に関する。
技術的背景
従来、低価格で省エネルギなデータカードとして、コンデンサを有する回路の一部をなすキャパシティブカードが知られている。このキャパシティブタイプのカードシステムとしては、例えば、米国パテントNo.4280119や国際出願WO95/14285の明細書に記載されたカードシステムには、キャパシティブカードの回路内にヒューズを内蔵し、そのヒューズが完全な状態の場合には電流が流れる状態にあり、ヒューズが飛んだ場合には抵抗が実質上増加するため、ヒューズの抵抗の状態によってデータのビットを表すようにしたシステムが示されている。
このキャパシティブカードは、特に図示はしないが、カード部が読み取り装置側に形成させたセンサー部と一体になって始めてコンデンサを有する回路を形成させることができるものである。
そして、このカード部は、抵抗と、この抵抗の各端に結線接続させるコンデンサの一部を形成する電極部を有し、また、センサー部には、電源の各端子に結線接続されるコンデンサの一部を形成する電極部を有して、カード部がセンサー部にセットされたときに、各電極部間に空気を挟んだ空気コンデンサを有する回路が形成される。
このようにして形成させた回路では、抵抗に高い電圧で電流を流すことにより焼き切ると、使用済みとなり、焼き切っていない状態が未使用のビットとなり、1つの閉回路で1ビットの信号が与えられる。このため、任意個数の閉回路を形成させることにより必要な桁数を有する信号を記憶することができるデータカードが形成できるようになる。
しかしながら、上記従来のキャパシティブカードにあっては、上記任意個数の閉回路を、レーザービームを照射して逐一形成しなければならないため、1枚のデータカードの製造が非常に煩雑で、かつ、複雑な工程で処理しなければならず、しかも、このデータカードのセキュリティを上げるためには、1枚1枚のデータカードの閉回路を異ならしめなければならないため、上記データカードの製造、即ち、レーザービームの照射制御が困難を極め、大量生産には不向きであることから、各種商品への汎用性がない、という課題を有していた。
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであり、その目的とするところは、レーザービームを用いなくても、非常に簡単にデーターカード等の商品を廉価に製造することができ、以って、偽造・変造がしにくく、汎用性に富むキャパシティブデータ保存方法及びこの方法を用いた各種商品を提供しようとするものである。
【発明の開示】
上記目的を達成させるため、請求の範囲1に記載されたキャパシティブデータ保存方法は、任意個数の閉回路及び開回路を、非導電材料で形成された基板上に、導電金属回路皮膜を形成する各種技術によって導電材料を薄膜状に形成し、かつ、上記閉回路及び開回路は、各基板毎に異ならしめることで、各基板IDや暗証番号或は各種情報を保存可能としたことを特徴とするものである。
この発明において、上記基板は、プラスチック製の銀行カードやクレジットカードの他、プリペイドカードやテレフォンカードのような薄板上のもの、商品券やギフトカード或は図書券のような紙製のもの、さらには、CDやDVD等の円板状の形態のものも含まれる。
また、この発明において用いられる導電金属回路皮膜を形成する各種技術としては、請求の範囲2に記載したように、例えば、スクリーン印刷法、ホットスタンピング法、エッチング法、熱転写法或はレーザーマーキング法等を用いることができる。
スクリーン印刷法は、従来から公知である印刷集積回路形成技術やMS−メタルスクリーンスパッタリング技術或はシルクスクリーン印刷技術を応用することができる。
ホットスタンピング法やエッチング法は、従来の公知技術を応用することができる。
熱転写法も、公知の熱転写法、例えば、ナノインプリンティング技術やMLC、導電シート技術を応用した技術を適用することができる。
さらに、レーザーマーキング技術では、本発明品のように基板毎に異なる回路を形成しなければならないため、コンピュータで自動的にコントロールすることができるスキャン式が好適である。特にこの技術では、製品そのものに刻み込めることができる印刷技術であるため、高い耐磨耗性が要求される用途に好適である。また、量産性が求められる場合には、マスク式レーザーマーキング技術を用いるのが望ましい。
そして、請求の範囲3に記載したように、上記基板上に形成された閉回路及び開回路は、ポリエチレンフィルム等の非導電材料でオーバーコーティングされており、外部から視認できないように構成したことを特徴とするものである。この場合、回路の厚さもオーバーコート層の厚さも数μmに形成することができるので、リーダで回路情報を読み取る場合であっても、読み取りに支障はない。
さらに、この発明に用いられる基板には、請求の範囲4に記載したように、例えば、ポイントや各種情報或は金額情報等をリアルタイムで書き換えができるように、磁気記憶部を併設することで、さらに、汎用性を向上させることができる。
請求の範囲1乃至請求の範囲4に記載されたキャパシティブデータ保存方法が適用可能な具体的な商品としては、例えば、銀行カードやクレジットカードの他、プリペイドカードやテレフォンカード、商品券、ギフトカード或は図書券に適用することができる他、CDやDVD等の偽造防止手段として用いることができる。
本発明は、偽造・変造を防止し、安価で量産に好適な技術を提供することである。従来の磁気カードやICカードの場合、スキミングで磁気データや磁気ICデータを偽造生カードにコピーするのが容易であるのに対して、本発明品の場合には、一枚一枚が異なる所謂ヒューズ回路であるため、生カードにコピーすることが不可能である。
また、従来の磁気カードの偽造対策は、オンラインでファイル照合する他はなく、スキミングでコピー可能であり、ICカードの場合には、オフラインで4桁の暗証番号入力で対応を採っているが、これもスキミングでコピーされ易いのに対して、本発明品の場合には、オンラインでもオフラインでもコピー不可能であり、しかも、4桁の暗証番号の入力等でブロックする必要も全くない。
また、従来のクレジットカードのような磁気カードで決済使用限度額を設定する場合にはセンターファイル内で設定し、ICカードの場合にはICチップ内で設定可能であるためコピー可能であるが、本発明品の場合には、例えば、磁気記録部とヒューズコードとで照合させるように構成することができるので、オンラインでもオフラインでも使用可能であり、偽造・変造される心配は全くない。
さらに、本発明品の場合、ヒューズ回路を印刷技術によって生成するため、従来の磁気カードと同じ価格で製造可能であり、ICチップを埋め込むICカードに比べて半値程度にコストを抑えることができる。
また、従来の磁気カードは、偽造・変造される可能性が非常に高いためカード所有者本人のみしか使用することができず。ICカードの場合も暗証番号入力が必要なため所有者本人のみの使用となるが、本発明品の場合には、偽造・変造される心配がなく暗証番号の入力も不要なため、ギフトカード等のような第三者が使用することも可能となる。
さらに、従来の磁気カードでは、偽造防止のためにホログラフ技術を併用する等の対策が必要であるが、本発明品の場合、ICカードと同様に、ホログラフ技術は不要となるので、ホログラフ技術が適用された磁気カードよりも廉価に提供することが可能となり、トータルコスト的には、本発明品が最も安価に提供可能であり、汎用性を向上させることができる。
このように、本発明品は、大きな投資を必要とすることなくカードやCD等の不正使用を確実に防止することができる唯一の技術であり、偽造・変造に伴う保険費用も大幅に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、この発明の実施の一形態例に係るキャパシティブカードの表面側図である。
図2は、同キャパシティブカードの裏面側を示す図である。
図3は、同キャパシティブカードのヒューズ回路領域の回路構成ブロック図である。
図4は、同キャパシティブカードとカードリーダの関係を示す説明図である。
図5は、本形態例に係るヒューズ回路領域におけるビット配合例を示す説明図である。
図6は、本発明の使用例を示す説明図である。
図7は、本発明の供給タイプ別のカード構成を示しており、(A)は例えばプリペイドカード等に用いられるカード構成例を、(B)は例えば銀行カードやクレジットカード或はギフトカード等に用いられるストライプタイプのカード構成例を、(C)は例えば、リライタブル可能なプリペイドカード等に用いられるカード構成例をそれぞれ示している。
図8は、本発明の他例に係るヒューズ回路とバーコードとを組合せたギフトカード例を示し、(A)は販売時の読取状態を、(B)は使用時の読取状態を示す説明図である。
図9は、この発明を銀行カードに適用した例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、添付図面に示す実施の一形態例に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、この発明の実施の一形態例に係るキャパシティブカードCの表面側を示しており、図2は、同カードCの裏面側を示している。
この形態例に係るカードCは、非導電材料である合成樹脂で矩形基板状に形成されており、該カードCには、128ビットのヒューズ回路部12及び磁気記憶部10が印刷により形成されている。
これらの各カードCのヒューズ回路部(キャパシティブ記憶部ともいう。)12は、図3に示すように、一面側に後述する入出力部6の電極配置に一致するように一列に配設した複数個の第1電極31を表面に配置させると共に、この第1電極31の列と平行に配置させた細長く形成した第2電極32を表面に配置した状態で印刷されている。
そして、上記各第1電極31は第2電極32にヒューズ33で接続された状態で印刷されている。このヒューズ33が繋がっている部分では、第1電極31と第2電極32の間を自由に電流が流れ、非常に抵抗の小さい状態にあり、ヒューズ33が切断されている部分では、電流の流れを減少させるに充分な抵抗増加を生じる。
このように構成されてなるヒューズ回路部12には、例えば、当該カードの識別番号を記憶保存対価の残量の概算を示す概算残記憶部を設けることができる。
通常「プリペイドカード」に記録されるカード情報としては、書換えが行われない固定情報と、カード使用等に際して情報の書換えが行われる可変情報と、がある。
上記固定情報としては、「カード発行者番号」、「カード発行年月日」、「カードの額面金額」、「カードの有効期限」、「カード番号」等があり、この形態例では、この固定情報がヒューズ回路部12に記録保存される。勿論、この固定情報の一部は磁気記憶部10にも記録され、対応関係が照合できるように構成されている。即ち、例えば、上記固定情報の「カード番号」をキャパシティブデータとして記録し、かつ、このカード番号と同じ番号が磁気記憶部10に記憶し、かつ、同じカード番号2がカード面に刻設されて、照合できるように構成されている。
一方、磁気記憶部10に記憶される可変情報としては、上記「カード番号」の他、「カード前残高(決済前の残高)」、「カード新残高(決済後の残高)」、「使用機器番号(決済した機器番号)」、「使用店舗(決済した店舗番号)」等がある。カード残高は、カードの使用目的に応じて、金額の場合、例えば、テレフォンカード等のような度数の場合がある。
上記磁気記憶領域10には、カードCの読み書き方向に磁気トラックが設けられている。このトラックの本数は、カードCの使用目的により記憶量に応じた本数が設けられる。
また、上記トラックへの記憶は、情報キャラクタ順に行われ、記録する有効データには読み取り検査のための巡回冗長検査符号(CRC符号)が設けられる。磁気記憶領域10における磁気的特性及び情報記録様式は、例えば、日本工業規格(JIS)に基づくものとしてもよい。
また、磁気記憶領域10には、上記固定情報および可変情報以外に、使用目的に応じた種々の情報、例えば、交通機関の乗車区間や高速道路の利用区間等の情報を記録することができる。
このように配置される上記ヒューズ回路部12は、この形態例では、レーザーマーキング印刷法のスキャン方式を用いて形成した。このレーザーマーキング法によれば、カードCの一枚毎に異なるヒューズ回路形態を必要とする本発明品を、コンピュータで自動的にコントロールして簡単に製造することができる。勿論、量産する場合には、マスク式レーザーマスキング方式のほか、公知のスクリーン印刷法、ホットスタンピング法、エッチング法、熱転写法等を用いて、数μm単位の複雑なヒューズ回路を容易に生成することができる。
また、この形態例では、上記ヒューズ回路に併設して磁気記憶部10を形成しているが、この磁気記憶部10も、公知のスクリーン印刷法等を用いて形成されている。
尚、本形態例では、カード状の基板の上に形成されたヒューズ回路を、ポリエチレンフィルム等の非導電材料でオーバーコーティングして保護層を形成しており、念のため外部からヒューズ回路が視認できないように構成されている。
次に、上記カードCの読取装置Rについて簡単に説明する。このカードCの読取装置Rの入出力部は、図4に示すように、カードCのヒューズ回路部12の情報を読み取るキャパシティブデータ読取部21と、磁気記憶領域10の情報を読み取る磁気データ読取部22と、を有して構成されている。勿論、読取装置をキャパシティブデータ読取専用装置と磁気データ読取専用装置とを別体で形成し、一方の読取専用装置でデータを読み取った後、もう一方の読取専用装置でデータを読み取り、照合するように構成してもよい。尚、上記データ読取部の構成は、公知であるので、その詳細な説明をここでは省略する。
図5は、上記ヒューズ回路部12のビット(この形態例では128ビット)の情報配分例を示しており、カード番号「1234 5678 0912 3456」の16桁に32〜64ビットを配分し、パスワード「5656」の4桁に16ビット、利用限度額情報「$8000」に16ビットを配分し、さらに、偽造防止のための予備ビットとして64ビットを配分して構成されている。
図6は、このように構成されてなるカードCをオンライン或はオフラインで使用する場合のフロー図である。この形態例に係るカードCは、暗証番号等を入力する必要がないので、いずれの使用も可能である。
図7は、本発明の供給タイプ別のカード構成例を示しており、(A)は、例えば、プリペイドカード等に用いられるカード構成例を示しており、基板上(図示せず)の裏面側に、ヒューズ回路部(キャパシティブ領域)12と磁気記憶部10及び印刷面3を順に積層印刷した例を示している。図7(B)は、例えば銀行カードやクレジットカード或はギフトカード等に用いられるストライプタイプのカード構成例を示しており、基板(図示せず)の印刷面3に、ストライプ状の磁気記憶部10とヒューズ回路部(ヒューズ領域)12を印刷形成した例を示している。図7(C)は、例えば、リライタブル可能なプリペイドカード等に用いられるカード構成例を示しており、一方の印刷面3にストライプ状のヒューズ回路部(ヒューズ領域)10を、他方の印刷面3にリライタブル面4を形成し、この他方の印刷面3の裏面側に磁気記憶部10を形成した例を示している。
次に、図8は、上記磁気記憶領域10に代えて、商品情報、この例ではギフトカードGに当該ギフトカードGのカード番号等のバーコード13を印刷したものにヒューズ回路12を併用した例を示しており、この例では、カード販売時(図8A参照)に、ギフトカードGに印刷されたバーコード13Aの情報をバーコードリーダー15のバーコード読み取り部15Aで読み取り、かつ、上記ヒューズ回路12の情報は、バーコードリーダー15のバーコード読み取り部15Aと併設されているヒューズ回路情報読み取り部15Bで読み取り、これらで読み取られた各情報は、センターファイルへと送られる。勿論、当該ギフトカードGを使用する場合には、図8(B)に示すように、使用可能店舗等に設置されているバーコードリーダー15のバーコード読み取り部15AでギフトカードGに印刷されたバーコード13Aの情報を読み取り、かつ、上記ヒューズ回路12の情報はヒューズ回路情報読み取り部15Bで読み取り、これらで読み取られた各情報は、センターファイルへと送られ、真偽が判定されるように構成されている。
図9は、この発明を銀行カードに適用した例を示しており、この例では、1口座に対して2枚のカードC1,C2を供与し、カードC1には、当該口座からキャッシングを開始するキィーカードとしての機能のみ、即ち、このカードC1単独ではキャッシングできないように構成すると共に、カードC2にはキャッシング可能な機能(現在流通している銀行キャッシュカードと同様の機能)を与えると共に、該カードC2単独ではキャッシングできないように構成し、ATM機にカードC1を挿入してカード所有者が設定した第1パスワードを入力することでカードC2が使用可能状態となり、第1パスワードが正規のものであると判定された後、カードC2を挿入し、これもカード所有者が設定した第2パスワードを入力し、この第2パスワードも正規のものであると判定された後、初めて金額を入力することで、キャッシングその他のサービスを受けることができるように構成されている。
このようなダブルブロック方式は、従来のように、銀行カードとパスワード(この例では第2パスワード)が盗まれた時に、口座から簡単に現金が引き出されてしまう、という問題を解決することができ、また、銀行カードの偽造を有効に防止することができる。
以上説明したように、この形態例によれば、カードCにヒューズ回路領域12に加えて磁気記憶領域10及び/又はバーコード部13を設けたことから、この磁気記憶領域10に対しては、必要なデータの書換が自由に行えて利用価値が高く、また、所定のデータについては、これをバーコード部13及び/又はヒューズ回路領域12に記憶させるようにしておけば、データ再生が容易に行えないため、データの改竄等が防止され、カードの信頼性が高められる。
このように構成されてなるカードCの適用可能な具体的な商品としては、偽造・変造防止が絶対的条件である、例えば、銀行カードやクレジットカード、プリペイドカード、テレフォンカード、商品券、ギフトカード或は図書券に適用することができる他、CDやDVD等のコピー防止手段として用いることができる。
また、この発明に係るキャパシティブデータ保存方法を用いれば、インターネットの認証カードにも簡単に応用することができ、偽造も非常に困難であるため、電子決済等の安全性を非常に高いセキュリティで保護することが可能となる、という効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
以上説明したように、請求の範囲1に記載されたキャパシティブデータ保存方法にあっては、印刷技術によりヒューズ回路部を予め生成し、かつ、このヒューズ回路部に印刷されるカード番号等の固定情報は、各カード等の商品1個毎に異ならしめることで、当該商品の識別を確実に行うことができ、しかも、この固定情報の偽造・変造は実質的に不可能であるため、セキュリティが高く、さらには、上記ヒューズ回路部の固定情報と磁気記憶部に記憶されている情報とをリンクさせることで、そのセキュリティ性能はさらに増加する、という効果がある。
また、請求の範囲2に記載された発明にあっては、導電金属回路皮膜を形成する各種技術として、高密度集積回路等の印刷製造に用いられているスクリーン印刷法、ホットスタンピング法、エッチング法、熱転写法或はレーザーマーキング法のいずれかを用いて生成するように構成したので、必要とするビット数の回路を、簡易、かつ、廉価に生成することができ、汎用性を大幅に向上させることができる。
さらに、請求の範囲3に記載された発明にあっては、前記基板上に形成された閉回路及び開回路を、ポリエチレンフィルム等の非導電材料でオーバーコーティングして保護するように構成したので、ヒューズ回路が外部から視認できないため、セキュリティ性能が高く、しかも、この保護層は、厚さ数μm単位であるため、ヒューズ回路の読み取りに支障はない、という効果がある。
また、請求の範囲4に記載の発明にあっては、前記基板に、ポイントや各種情報或は金額情報等をリアルタイムで書き換えが可能な磁気記憶部或は大容量の情報が保存可能なICカードで形成されたICカード部を併設したので、汎用性をさらに向上させることができると共に、上記ヒューズ回路部の固定情報と磁気記憶部に記憶されている情報とをリンクさせることで、そのセキュリティ性能はさらに増加する、という効果がある。
さらに、請求の範囲5に記載された発明によれば、前記ヒューズ回路と併用させて、各基板IDや暗証番号或は利用可能限度額等の各種情報をバーコードで印刷表示したので、上記ヒューズ回路部の固定情報とバーコードで表示されている情報とをリンクさせることで、そのセキュリティ性能はさらに増加する、という効果がある。
請求の範囲6に記載された発明によれば、従来の構成からなる銀行カードとパスワード(本発明では第2パスワードに相当する)が盗まれても、口座から簡単に現金が引き出されてしまう、という問題を解決することができ、また、銀行カードの偽造を有効に防止することができる。
請求の範囲7に記載された発明は、この発明に係るキャパシティブデータ保存方法を電子決済カードに適用して電子決済システムとしたので、電子決済等の安全性を非常に高いセキュリティで保護することが可能となる、という効果が得られる。
詰求の範囲8に記載された発明は、この発明に係るキャパシティブデータ保存方法を身分証明カードに適用し、該身分証明カードでドアのキィを開閉制御する入退室システムとしたので、不正入室を確実に防止することができ、居住或は財産に対するセキュリティを飛躍的に向上させることができる。
請求の範囲9に記載された発明は、この発明に係るキャパシティブデータ保存方法が適用可能な具体的な商品を列挙したものであり、銀行カードやクレジットカード、プリペイドカードやテレフォンカード、ゲームカード、ギフトカード、CDやDVD、バンキングシステム、ON−LINE用認証カード、各種免許証等の身分証明証、キィーカード、OFF−LINEでも利用可能な商品券、図書カード等の偽造防止手段が特に必要な各種商品に絶大な効果をもたらす、という優れた効果が得られる。
【図1】

【図2】



【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意個数の閉回路及び開回路を、非導電材料で形成された基板上に、導電金属回路皮膜を形成する各種技術によって導電材料を薄膜状に形成し、かつ、上記閉回路及び開回路は、各基板毎に異ならしめることで、各基板IDや暗証番号或は各種情報を保存可能としたことを特徴とするキャパシティブデータ保存方法。
【請求項2】
前記導電金属回路皮膜を形成する各種技術は、スクリーン印刷法、ホットスタンピング法、エッチング法、熱転写法或はレーザーマーキング法であることを特徴とする請求の範囲1に記載のキャパシティブデータ保存方法。
【請求項3】
前記基板上に形成された閉回路及び開回路は、ポリエチレンフィルム等の非導電材料でオーバーコーティングしたことを特徴とする請求の範囲1又は2に記載のキャパシティブデータ保存方法。
【請求項4】
前記基板は、ポイントや各種情報或は金額情報等をリアルタイムで書き換えが可能な磁気記憶部やICカード部を併設したことを特徴とする請求の範囲1又は2に記載のキャパシティブデータ保存方法。
【請求項5】
前記基板には、各基板IDや暗証番号或は利用可能限度額等の各種情報がバーコードで印刷表示されていることを特徴とする請求の範囲1乃至請求の範囲3のいずれかに記載のキャパシティブデータ保存方法。
【請求項6】
銀行カードによる不正利用を防止するシステムであって、ヒューズ回路部を有する2枚のカードを用意し、1枚目のカードには、当該口座からキャッシングを開始するキィーカードとしての情報のみ、即ち、この1枚目カード単独ではキャッシングできないように構成すると共に、2枚目のカードにはキャッシング可能な情報を記憶させる共に、該カード単独ではキャッシングできないように構成し、ATM機に1枚目のカードを挿入してカード所有者が設定した第1パスワードを入力することで2枚目のカードが使用可能状態となり、第1パスワードが正規のものであると判定された後、2枚目のカードを挿入し、これもカード所有者が設定した第2パスワードを入力し、この第2パスワードも正規のものであると判定された後、初めて金額を入力することで、キャッシングその他のサービスを受けることができるように構成したことを特徴とする請求の範囲1乃至請求の範囲5に記載されたいずれかのキャパシティブデータ保存方法を用いたバンキングシステム。
【請求項7】
請求の範囲1乃至請求の範囲5のいずれかに記載されたキャパシティブデータ保存方法を電子決済カードに適用したことを特徴とする電子決済システム。
【請求項8】
請求の範囲1乃至請求の範囲5のいずれかに記載されたキャパシティブデータ保存方法を身分証明カードに適用し、該身分証明カードでドアのキィを開閉制御することを特徴とする入退室システム。
【請求項9】
請求の範囲1乃至請求の範囲5のいずれかに記載されたキャパシティブデータ保存方法は、銀行カード、クレジットカード、プリペイドカード、テレフォンカード、ゲームカード、ギフトカード、CDやDVD、バンキングシステム、ON−LINE用認証カード、各種免許証等の身分証明証、キィーカード、OFF−LINEでも利用可能な商品券、図書カードの偽造防止手段として用いられることを特徴とする各種商品。

【国際公開番号】WO2004/079641
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【発行日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569108(P2004−569108)
【国際出願番号】PCT/JP2003/002717
【国際出願日】平成15年3月7日(2003.3.7)
【出願人】(505338453)セキュアカードインターナショナル (1)
【Fターム(参考)】