説明

キャビティ内の調整可能なMEMS共振器

調節可能な共振周波数を有し、大きな信号を扱うことができる調整可能なMEMS共振器が説明される。1つの例示的設計では、調整可能なMEMS共振器は、(i)キャビティおよび支柱を有する第1の部分と、(ii)支柱の下に配置された可動プレートを含み、第1の部分と対になった第2の部分とを含む。各部分は、もう一方の部分と対向する表面上を金属層で覆われていてもよい。MEMS共振器の共振周波数を変化させるために、可動プレートを、直流電圧で機械的に動かすことができる。キャビティは、長方形または円形の形状を有してもよく、空であっても、誘電材料で満たされていてもよい。支柱は、キャビティの中央に位置してもよい。可動プレートは、第2の部分に、(i)1つのアンカーによって取り付けられて片持ち梁として働いてもよく、あるいは、(ii)2つのアンカーによって取り付けられてブリッジとして働いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電子部品に関し、より詳細には微小電気機械システム(MEMS)の共振器に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMSは、機械的可動部品を有する小型電気機械デバイスを形成するのに用いられる技術である。これらのデバイスは、共振器、スイッチ、可変コンデンサ(バラクタ)、インダクタなどの様々な無線周波数(RF)回路素子を実施するのに使用され得る。MEMSデバイスは、より高いQ、より小さな挿入損失、より優れた線形性など、他の方法で製作されたRF回路素子に勝るいくつかの利点を有する可能性がある。
【0003】
MEMS共振器は、共振周波数と称することができる特定の周波数で共振することができるMEMSデバイスである。MEMS共振器は、当技術分野で知られている様々な構造体を使用して実施され得る。MEMS共振器の所望の共振周波数を得るために、特定の構造および適切な寸法が選択されてもよい。
【0004】
MEMS共振器は、小さなRF信号を用いる低出力の用途向けに使用され得る。この場合、MEMS共振器の共振周波数は、RF信号による過度の影響を免れることができる。しかし、無線通信デバイスの送信器などの高出力用途については、RF信号が大きいことがある。大きなRF信号がMEMS共振器に与えられると、RF信号によってMEMS共振器の共振周波数が変化する可能性があり、このことは一般に望ましくない。大きなRF信号を扱うことができるMEMS共振器が望ましいことになる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】調整可能なMEMS共振器の断面図である。
【図2】調整可能なMEMS共振器の断面図である。
【図3】調整可能なMEMS共振器のキャビティ形状を示す図である。
【図4】調整可能なMEMS共振器のキャビティ形状を示す図である。
【図5】調整可能なMEMS共振器用の可動プレートの例示的設計を示す図である。
【図6】調整可能なMEMS共振器用の可動プレートの例示的設計を示す図である。
【図7】可動プレートの短絡を防止するためのスペーサの使用を示す図である。
【図8】可動プレートの短絡を防止するためのスペーサの使用を示す図である。
【図9】複数の可動プレートを有する調整可能なMEMS共振器を示す図である。
【図10】4つの調整可能なMEMS共振器の配列を示す図である。
【図11】無線通信デバイスのブロック図である。
【図12】調整可能なMEMS共振器で実施されたチューナブルフィルタを示す図である。
【図13】チューナブルフィルタの周波数応答を示す図である。
【図14】調整可能なMEMS共振器で実施された発振器を示す図である。
【図15】MEMS共振器を操作するプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
「例示的」という単語は、本明細書では「実例、例、または具体例として役立つ」ことを意味するのに用いられる。本明細書で「例示的」として説明されるいかなる設計も、必ずしも他の設計より好ましい、または有利であるものと解釈されるべきではない。
【0007】
調節可能な共振周波数を有し、大きなRF信号を扱うことができる調整可能なMEMS共振器のいくつかの例示的設計が、本明細書で説明される。調整可能なMEMS共振器は、直流(DC)電圧で機械的可動部を調節することによって変化させることができる共振周波数を有するMEMS共振器である。調整可能なMEMS共振器は、2つ以上の端子(すなわち電極)を含むことができる。第1の端子にRF信号が与えられてもよく、第2の端子に直流電圧が印加されてもよい。直流電圧は、MEMS共振器内のプレートを機械的に移動させることができ、次いで、このことにより、MEMS共振器の共振周波数を調節することができる。本明細書で説明される調整可能なMEMS共振器は、チューナブルフィルタ、発振器などの様々な回路に使用され得る。調整可能なMEMS共振器は、無線通信デバイスの送信器などの高出力用途にも使用することができる。調整可能なMEMS共振器は、大きなRF信号を扱うことができ、大きなRF信号による共振周波数の変化が小さなものであり得る。
【0008】
図1は、大きなRF信号を扱うことができる調整可能なMEMS共振器100の例示的設計の断面図を示す。調整可能なMEMS共振器100は、下部分110および上部分160を含む。図1は、下部分110から離脱している上部分160を示す。
【0009】
図2は、上部分160が下部分110と対合される調整可能なMEMS共振器100の断面図を示す。通常動作を通じてこの構成となる。
【0010】
図3は、矩形のキャビティ180aを有する、図1および図2の調整可能なMEMS共振器100の例示的設計の上面図を示す。図1および図2の断面図は、図3のX−X’ラインに沿って得られたものである。矩形のキャビティで、より高いレイアウト効率を実現することができ、また、より多くの矩形のキャビティを有するMEMS共振器を、所与の領域に製作することができる。矩形のキャビティ180aの丸い隅部および支柱172aの丸い隅部を有することにより、MEMS共振器100のQを改善することができる。
【0011】
図4は、円形のキャビティ180bを有する、図1および図2の調整可能なMEMS共振器100の別の例示的設計の上面図を示す。図1および図2の断面図は、図4のX−X’ラインに沿って得られたものである。円形のキャビティを有するMEMS共振器100については、より高いQを得ることができる。
【0012】
戻って図1を参照すると、下部分110は基板120を含み、基板120の上に、様々な構造体、層、および導体を形成することができる。基板120は、ガラス、シリコン、または他のいくつかの材料でよい。ガラスは、より優れた性能を有し、より低原価である。基板120の上部分に導体ライン122を形成することができ、RF信号を搬送するのに使用され得る。基板120の上部分に導体ライン124をも形成することができ、直流電圧を搬送するのに使用され得る。導体ライン124は、下部分110の中心部分の上で基板120の頂面上に形成され得る電極134に結合してもよい。電極134は、バイアス用電極、パッドなどとも称することができる。ライン122および124ならびに電極134は、金属または他の何らかの導電材料が形成されてもよい。誘電体層128が、基板120の頂面の全体または一部分を覆ってもよい。金属層130が、下部分110の中心部分を除く基板120の大部分の頂面の上で、誘電体層128の上部分上に形成されてもよい。
【0013】
電極134の上に可動プレート140が形成されてもよく、間隙136によって電極134から分離されてもよい。以下で説明されるように、プレート140はMEMSスイッチで実施されてもよく、金属または他の何らかの導電材料で形成されてもよい。プレート140は、機械的膜などとも称することができる。
【0014】
上部分160はキャビティ180を含み、キャビティ180は、支柱170のまわりに形成されてもよく、また、側壁172で囲まれてもよい。支柱170は、下部分110で可動プレート140と整列されてもよい。キャビティ180の寸法は、調整可能なMEMS共振器100の所望の共振周波数に基づいて選択されてもよい。上部分160の底面は、金属層190によって覆われてもよい。
【0015】
キャビティ180の一部分において導体ライン122の一端の上で、金属層130に開口142が形成されてもよい。キャビティ180からのRFエネルギーは、開口142を介してライン122に結合され得る。ライン122上のRF信号は、調整可能なMEMS共振器100が接続されている他の回路素子に供給され得る。
【0016】
調整可能なMEMS共振器100は、以下のように動作する。上部分160は、通常動作の期間中、図2に示されるように下部分110に対合されてもよい。キャビティ180は金属でコーティングされており、エネルギーはキャビティの内部に閉じ込められる。キャビティ180の損失が小さいので、エネルギーはゆっくりと減衰する。キャビティ180内の共振周波数は、キャビティの寸法によって決定され得る。
【0017】
支柱170の底部と可動プレート140の間に可変コンデンサ(バラクタ)192が形成され得る。調整可能なMEMS共振器100の共振周波数は、バラクタ192の静電容量を変化させることにより、調節または調整され得る。可動プレート140を、図1および図2に示されている通常の静止位置から下へ移動させるために、基板120上の電極134に直流電圧を印加してもよい。直流電圧をより大きくすると、プレート140が電極134に向かう下方への移動量がより大きくなり、次いで、バラクタ192の静電容量がより小さくなり、したがって、MEMS共振器100の共振周波数がより高くなり得る。反対に、直流電圧をより小さく(例えばゼロボルトに)すると、プレート140が静止位置に近づくことになり、次いで、バラクタ192の静電容量がより大きくなり、したがってMEMS共振器100の共振周波数が低下し得る。
【0018】
調整可能なMEMS共振器100の共振周波数は、様々なやり方で制御され得る。所望の共振周波数を得るように、キャビティ180の幅a、長さb、および高さhを選択することができる。Table 1(表1)は、調整可能なMEMS共振器100の2つの例示的設計を示しており、寸法はミリメートル(mm)で与えられ、共振周波数はメガヘルツ(MHz)で与えられている。キャビティ180向けの別の寸法で、別の共振周波数およびQを得ることができる。
【0019】
【表1】

【0020】
バラクタ192は、所望の公称共振周波数を得るように設計されてもよい。共振周波数を操作する(例えば低下させる)ために、キャビティ180は、誘電材料で満たされてもよい。所望の共振周波数を得るために、キャビティ180内に複数の支柱も形成されてもよい。各支柱には、その支柱向けのバラクタを形成する、関連する可動プレートがあってもなくてもよい。
【0021】
調整可能なMEMS共振器100の共振周波数は、プレート140を直流電圧で機械的に移動させ、次いで、これによってバラクタ192の静電容量を変化させることにより、変化させることができる。MEMS共振器100の調整範囲は、そのMEMS共振器向けに達成可能な共振周波数の範囲である。調整範囲は、バラクタ192の設計次第であり得る。
【0022】
図5は、図1から図4の調整可能なMEMS共振器100内の可動プレート140の例示的設計を示す。この例示的設計では、可動プレート140は、片持ち梁構造を有するMEMSスイッチで実施されている。下部分110の中心部分の1つの面に、誘電材料または導電材料でアンカー144が形成されてもよい。次いで、アンカー144の上に可動プレート140が形成されて、金属層に接続され得る。可動プレート140は、電極134に直流電圧を印加することにより電極134に向かって機械的に移動され得る片持ち梁として働くことができる。
【0023】
可動プレート140と誘電体層128の間の距離は、gで示され得る。可動プレート140と支柱170を覆う金属層190の間の距離は、dで示され得る。最大の静電容量Cmaxは、可動プレート140が、(図5に示されるように)金属層190からdの距離の静止位置にあるとき得られる。最小の静電容量Cminは、可動プレート140が、金属層190からd+gの距離に移動して誘電体層128に接しているとき得られる。最大の静電容量は次式で示され、
【0024】
【数1】

【0025】
また、最小の静電容量は次式で示すことができ、
【0026】
【数2】

【0027】
ここで、εは空気の比誘電率であり、εはプレート140と金属層190の間の誘電材料(図5には示されていない)の比誘電率であり、Aはプレート140の面積である。
【0028】
静電容量の調整範囲は、次式で示すことができる。
【0029】
【数3】

【0030】
プレート140と金属層190の間の空間が空気で満たされている(すなわち誘電材料がない)場合、ε=1であり、静電容量の調整範囲は距離dおよびg次第であり得る。(i)可動プレート140と誘電体層128の間の距離gをより大きくし、かつ/または(ii)可動プレート140と金属層190の間の距離dをより小さくすることによって、より大きな静電容量調整範囲を得ることができる。プレート140と金属層190の間の空間をε>1を有する誘電材料で満たすことによっても、より大きな静電容量調整範囲を得ることができる。
【0031】
図6は、図1から図4の調整可能なMEMS共振器100内の可動プレート140の別の例示的設計を示す。この例示的設計では、可動プレート140は、ブリッジ構造を有するMEMSスイッチで実施される。ブリッジ構造は、両持ち梁構造とも称することができる。2つのアンカー146および148は、下部分110の中心部分の両側に形成されてもよい。次いで、アンカー146および148の上に可動プレート140が形成されてもよく、電極134に直流電圧を印加することにより電極134に向かって機械的に移動され得るブリッジとして働くことができる。
【0032】
可動プレート140と誘電体層128の間の距離は、gで示され得る。可動プレート140と支柱170を覆う金属層190の間の距離は、dで示され得る。最大の静電容量Cmaxは、可動プレート140が、(図6に示されるように)静止位置にあるとき得られ、最小の静電容量Cminは、可動プレート140が移動して誘電体層128に接触したとき得られる。最大の静電容量は式(1)で示され、最小の静電容量は式(2)で示され得る。
【0033】
図5および図6は、可動プレート140の2つの例示的設計により、MEMS共振器100の調整が可能になることを示す。可動プレート140は、バラクタ192の静電容量を変化させるように機械的に移動することができる他のMEMSスイッチおよび/または他のMEMS構造体でも実施され得る。
【0034】
MEMS共振器100のより大きな可変周波数範囲を得るために、より大きな静電容量調整範囲が望ましいものであり得る。式(1)から(3)に示されるように、下部分110の可動プレート140と上部分160の金属層190の間の距離dをより小さくすると、より大きな静電容量調整範囲を実現することができる。図1および図2に示されるように、下部分110と上部分160を別個に製作して、一緒に対合させることができる。可動プレート140が金属層190と接触するのを防止する一方で可動プレート140と金属層190の間の距離dを小さくするのに、いくつかの方法を用いることができる。
【0035】
図7は、可動プレート140が金属層190と接触するのを防止するように誘電体スペーサを使用する例示的設計を示す。図7に示される例示的設計では、可動プレート140の両側で金属層190の上に誘電体スペーサ182および184が形成されてもよい。誘電体スペーサ182および184の高さzは、z≧d+g+tとなるように選択することができ、tは可動プレート140の厚さである。
【0036】
図7に示されるように、上部分160の金属層190の上に誘電体スペーサ182および184を形成してもよい。別の例示的設計では、下部分110の金属層130の上に誘電体スペーサを形成してもよい。図7に示されるように、可動プレート140の両側に誘電体スペーサを形成することができる。別の例示的設計では、可動プレート140の1つの面にのみ誘電体スペーサを形成してもよい。
【0037】
図8は、可動プレート140が金属層190と接触するのを防止するように誘電体スペーサを使用する別の例示的設計を示す。図8に示される例示的設計では、支柱170の下の金属層190の上に誘電体層186が形成されてもよい。誘電体スペーサ186の高さは、可動プレート140と金属層190の間の所望の距離dに等しく選択されてもよい。
【0038】
図7および図8は、短絡を防止する一方で可動プレート140と金属層190の間の小さな距離を実現するのに(1つまたは複数の)誘電体スペーサを使用する例示的設計を示している。プレート140と金属層190の間の短絡のない小さな距離は、他のやり方でも得ることができる。
【0039】
図1から図8は、支柱170の下に1つの可動プレート140が形成される例示的設計を示している。例示的設計の1つでは、可動プレート140は、電極134に直流電圧を印加して、CmaxとCminの間で連続的に調節され得る静電容量を有するバラクタとして動作することができる。バラクタの静電容量を調節することにより、MEMS共振器100の共振周波数を変化させることができる。別の例示的設計では、可動プレート140は、直流電圧を用いてデジタル式にCminとCmaxの間で切り換えられる静電容量を有するバラクタとして動作することができる。
【0040】
可動プレートを製作するのに用いられるMEMSプロセス技術次第で、実現可能な可動プレートのサイズに限界がある可能性がある。複数の可動プレートを使用することにより、静電容量のより大きな調整範囲および他の利点を得ることができる。
【0041】
図9は、支柱970の下に複数の可動プレート940が形成されている調整可能なMEMS共振器900の例示的設計の上面図を示す。一般に、支柱970の下に任意数の可動プレート940を形成することができる。実現可能な可動プレート940の数は、支柱970のサイズ/面積および各可動プレート940のサイズに左右され得る。各可動プレート940は、(i)可動プレートに対する直流電圧を変化させることにより連続的に移動されるか、または(ii)可動プレートに対する直流電圧を切り換えることによりデジタル式に移動されてもよい。可動プレート940がより多ければ、静電容量のより大きな調整範囲をもたらすことができ、その結果としてMEMS共振器900のより大きな調整範囲が可能になる。可動プレート940がより多ければ、より大きな静電容量をもたらすこともでき、これによってMEMS共振器900のより低い共振周波数が可能になり得る。
【0042】
図1から図4は、チューナブルフィルタなど様々な回路ブロックを実施するために使用され得る1つの調整可能なMEMS共振器100を示す。例えば帯域外信号のより大きな減衰といったより優れた性能を得るために、チューナブルフィルタは、複数の調整可能なMEMS共振器でも実施することができる。
【0043】
図10は、チューナブルフィルタに使用され得る、4つの調整可能なMEMS共振器1000a、1000b、1000cおよび1000dの配列の例示的設計の上面図を示す。この例示的設計では、それぞれの調整可能なMEMS共振器1000が、支柱1070のまわりに形成されて側壁1072によって囲まれているキャビティ1080を有する。図10には示されていないが、それぞれの調整可能なMEMS共振器1000は、支柱1070の上に形成されて共振周波数を調節するのに使用される1つまたは複数の可動プレートを有してもよい。それぞれの調整可能なMEMS共振器1000用のキャビティ1080の表面は、例えば図1から図4に示されるように、金属層で覆われていてもよい.これらのMEMS共振器間でRF信号を通すために、隣接したMEMS共振器の側壁を覆う金属層に開口1082が形成されてもよい。第1のRF導体ライン(図10には示されていない)からの入力RF信号を結合するために、MEMS共振器1000cの下部分を覆う金属層に開口1084が形成されてもよい。第2のRF導体ライン(図10には示されていない)からの出力RF信号を結合するために、MEMS共振器1000dの下部分を覆う金属層に開口1086が形成されてもよい。
【0044】
一般に、調整可能なMEMS共振器は、上部分および下部分を有して実施され得る。下部分は、可動プレート(例えばMEMSスイッチで実施される)およびバイアス回路を含むことができる。上部分は、キャビティおよび支柱を有してもよい。共振周波数を操作するために、キャビティが誘電材料で満たされてもよい。可動プレートを作動させることにより、キャビティ内部の電界が変化して、キャビティの共振周波数およびインピーダンスも変化することになる。
【0045】
調整可能なMEMS共振器は、RF信号経路から独立した可動プレートを作動させるのにバイアス回路を利用する。これによって、調整可能なMEMS共振器は、例えば2ワットを超える大電力を扱うことが可能になり得る。キャビティ内部の大きな共振電界は、バイアス回路および外部環境から絶縁されている。これによって、高いQの共振を実現することができる。可動プレートはキャビティの内部に配置されるが、バイアス回路はキャビティの外部に配置される。これによって、可動プレートの封止および実装上の問題の回避が可能になる。バイアス回路によるエネルギー損も低減される。圧電薄膜共振器(FBAR)ならびに表面弾性波(SAW)のフィルタおよび送受切換器の代わりに、調整可能なMEMS共振器を使用することができる。
【0046】
本明細書で説明された調整可能なMEMS共振器は、無線通信デバイス、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、手持ち型デバイス、無線通信モデム、ラップトップコンピュータ、コードレス電話、放送受信器、ブルートゥースデバイス、家電デバイスなどの様々な電子デバイスに使用され得る。理解しやすいように、携帯電話または他の何らかのデバイスであり得る無線通信デバイスにおける調整可能なMEMS共振器の使用が以下で説明される。
【0047】
図11は、無線通信デバイス1100の例示的設計のブロック図を示す。この例示的設計では、無線通信デバイス1100は、データプロセッサ1110およびトランシーバ1120を含んでいる。トランシーバ1120は、双方向無線通信に対応する送信器1130および受信器1150を含む。一般に、無線通信デバイス1100は、任意数の通信システムおよび任意数の周波数帯用に、任意数の送信器および任意数の受信器を含むことができる。
【0048】
送信経路では、データプロセッサ1110が、送信されるデータを処理して、送信器1130にアナログ出力信号を供給する。送信器1130の内部で、アナログ出力信号は、増幅器(Amp)1132によって増幅され、デジタルアナログ変換によってもたらされる像を除去するためにローパスフィルタ1134によってフィルタリングされ、可変利得増幅器(VGA)1136によって増幅され、ミクサ1138によってベースバンドからRFへアップコンバートされる。アップコンバートされた信号は、周波数アップコンバージョンによってもたらされた像を除去するためにフィルタ1140によってフィルタリングされ、電力増幅器(PA)1142によってさらに増幅され、送受切換器/スイッチ1144によってルーティングされて、アンテナ1146を介して送信される。フィルタ1140は、PA 1142の前段(図11に示されるように)またはPA 1142の後段に配置されてもよい。
【0049】
受信経路では、アンテナ1146が基地局から信号を受信し、この信号が、アンテナ1146から供給され、送受切換器/スイッチ1144によってルーティングされて受信器1150に供給される。受信器1150の内部で、受信された信号は、低雑音増幅器(LNA)1152によって増幅され、バンドパスフィルタ1154によってフィルタリングされ、ミクサ1156によってRFからベースバンドへダウンコンバートされる。ダウンコンバートされた信号は、VGA 1158によって増幅され、ローパスフィルタ1160によってフィルタリングされ、増幅器1162によって増幅されて、データプロセッサ1110に供給されるアナログ入力信号が得られる。
【0050】
図11は、直接変換構成を実施する送信器1130および受信器1150を示し、この構成は、1段で、RFとベースバンドの間で信号を周波数変換する。送信器1130および/または受信器1150は、スーパーヘテロダイン構成を実施することもでき、この構成は、複数段で、RFとベースバンドの間で信号を周波数変換する。
【0051】
送信局部発振器(TX LO)の発生器1170は、電圧制御発振器(VCO)1172から発振器信号を受け取り、ミクサ1138にTX LO信号を供給する。位相ロックループ(PLL)1174は、データプロセッサ1110から制御情報を受け取り、VCO 1172に制御信号を供給して、適切な周波数でTX LO信号を得る。受信LO(RX LO)の発生器1180は、VCO 1182から発振器信号を受け取り、ミクサ1156にRX LO信号を供給する。PLL 1184は、データプロセッサ1110から制御情報を受け取り、VCO 1182に制御信号を供給して、適切な周波数でRX LO信号を得る。
【0052】
図11は例示的トランシーバの設計を示す。一般に、送信器1130および受信器1150における信号の調節は、増幅器、フィルタ、ミクサ、などの1つまたは複数の段によって遂行されてもよい。これらの回路ブロックは、図11に示される構成とは異なって構成されてもよい。さらに、図11に示されていない他の回路ブロックも、送信器および受信器における信号調節に使用され得る。図11のいくつかの回路ブロックは、省略されてもよい。トランシーバ1120のすべてまたは一部分は、アナログ集積回路(IC)、RF IC(RFIC)、混合信号のICなどで実施され得る。
【0053】
データプロセッサ1110は、例えば送信データおよび受信データに対する処理といった、無線通信デバイス1100に関する様々な機能を遂行することができる。メモリ1112は、データプロセッサ1110向けのプログラムコードおよびデータを記憶することができる。データプロセッサ1110は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または他のICで実施され得る。
【0054】
図11に示されるように、送信器および受信器は様々なアナログ回路を含むことができる。各アナログ回路は、様々な方法で実施され、本明細書で説明された1つまたは複数の調整可能なMEMS共振器を含むことができる。例えば、調整可能なMEMS共振器は、フィルタ1140、フィルタ1154、送受切換器1144、VCO 1172、VCO 1182などに使用され得る。
【0055】
図12は、2つの調整可能なMEMS共振器1220aおよび1220bで実施されたチューナブルフィルタ1200の例示的設計の概略図を示す。チューナブルフィルタ1200は、無線通信デバイス1100において、フィルタ1140、送受切換器1144、フィルタ1154、および/または他のフィルタに使用されてもよい。チューナブルフィルタ1200の内部で、変圧器1210は、RF導体と調整可能なMEMS共振器1220aの間の結合をモデル化したものであり、例えば図1のRF開口142または図10のRF開口1084をモデル化したものである。変圧器1210は、1次巻線1212の一端で入力信号Vinを受け取り、ノードAに結合された2次巻線1214の一端を有する。巻線1212および1214の他端は、回路のアースに結合されている。ノードAと回路のアースの間に、調整可能なMEMS共振器1220aが結合される。インダクタ1228は、調整可能なMEMS共振器1220aと1220bの間の結合(例えば図10のRF開口1082)をモデル化したものであり、ノードAとノードBの間に結合される。ノードBと回路のアースの間に、調整可能なMEMS共振器1220bが結合される。変圧器1230は、調整可能なMEMS共振器1220bとRF導体の間の結合をモデル化したものである。変圧器1230は、1次巻線1232の一端がノードBに結合されており、2次巻線1234の一端が出力信号Voutを供給する。巻線1232および1234の他端は、回路のアースに結合されている。
【0056】
調整可能なMEMS共振器1220aおよび1220bは、それぞれが、例えば図1から図4に示されるように実施されてもよい。図12に示されるように、それぞれの調整可能なMEMS共振器1220は、インダクタ1224と並列結合されたバラクタ1222でモデル化され得る。以下で説明されるように、チューナブルフィルタ1200は、バンドパス周波数応答を有することができる。通過帯域の中心周波数は、それぞれの調整可能なMEMS共振器1220のバラクタ1222の静電容量を調節することにより変化させることができる。
【0057】
図13は、図12のチューナブルフィルタ1200の周波数応答のグラフを示す。グラフ1312は、各MEMS共振器1220のバラクタ1222に関してCmaxが選択されたチューナブルフィルタ1200の周波数応答を示す。グラフ1314は、各MEMS共振器1220のバラクタ1222に関してCminが選択されたチューナブルフィルタ1200の周波数応答を示す。図13に示されるように、チューナブルフィルタ1200に関して、約850MHz(セルラー帯域)から1900MHz(PCS帯域)までの広い調整範囲が実現され得る。さらに、850MHzに対して約150の高いQを得ることができ、1900MHzに対して約250の高いQを得ることができる。
【0058】
一般に、チューナブルフィルタは、任意数の調整可能なMEMS共振器で実施され得る。より鋭いロールオフ、より高いQ、より大きな帯域外除去などをもたらすように、より多くのMEMS共振器を使用することができる。
【0059】
図14は、2つの調整可能なMEMS共振器1420aおよび1420bで実施された発振器1400の例示的設計の概略図を示す。発振器1400は、図11の無線通信デバイス1100の発振器1172、発振器1182、および/または他の発振器に使用することができる。発振器1400は、VoscpおよびVoscnの信号を含む差動の発振器信号の信号増幅をもたらす増幅器1410を含む。増幅器1410は、ソースがノードZに結合されているNチャンネル金属酸化膜半導体(NMOS)トランジスタ1412および1414を含む。NMOSトランジスタ1412のドレインは、ノードXに結合されており、ゲートはノードYに結合されている。NMOSトランジスタ1414のドレインは、ノードYに結合されており、ゲートはノードXに結合されている。したがってNMOSトランジスタ1412と1414は交差結合されている。ノードZと回路のアースの間に電流源1408が結合され、NMOSトランジスタ1412および1414に対してバイアス電流Ibiasを供給する。信号VoscpはノードXを通って供給され、信号VoscnはノードYを通って供給される。
【0060】
ノードXと電源電圧Vddの間に、調整可能なMEMS共振器1420aが結合される。ノードYと電源電圧の間に、調整可能なMEMS共振器1420bが結合される。調整可能なMEMS共振器1420aおよび1420bは、それぞれが、例えば図1から図4に示されるように実施されてもよい。図14に示されるように、それぞれの調整可能なMEMS共振器1420は、インダクタ1424と並列結合されたバラクタ1422でモデル化され得る。発振器1400の発振周波数は、それぞれの調整可能なMEMS共振器1420のバラクタ1422の静電容量を調節することにより変化させることができる。
【0061】
一般に、MEMS共振器は第1の部分および第2の部分を備えることができる。第1の部分(例えば図1の上部分160)は、キャビティおよび支柱を備えてもよい。第2の部分(例えば図1の下部分110)は、第1の部分に対合され、支柱の下に位置する可動プレートを備えてもよい。MEMS共振器の共振周波数を変化させるために、可動プレートは、直流電圧によって機械的に移動され得る。第2の部分は、可動プレートの下に形成されて直流電圧を印加される電極を備えてもよい。
【0062】
例示的設計では、例えば図3に示されるように、キャビティは矩形の形状を有してもよく、第1の部分に形成された4つの側壁によって囲まれてもよい。4つの側壁は、例えば、やはり図3に示されるように、性能を改善するために丸い隅部を有してもよい。別の例示的設計では、例えば図4に示されるように、キャビティは円形の形状を有してもよく、第1の部分に形成された円形の側壁によって囲まれてもよい。さらに別の例示的設計では、キャビティは任意形状の輪郭を有してもよく、第1の部分に形成された任意形状の輪郭壁によって囲まれてもよい。すべての例示的設計に関して、キャビティは、空でよく、あるいは誘電材料で満たされてもよい。
【0063】
例えば図3および図4に示されるように、支柱は、キャビティの中央に位置してもよい。例示的設計では、例えば図3に示されるように、支柱は、丸い隅部を有する矩形の形状を有してもよい。別の例示的設計では、例えば図4に示されるように、支柱は円形の形状を有してもよい。さらに別の例示的設計では、支柱は任意の輪郭形状を有してもよい。第1の部分は、キャビティ内に形成された1つまたは複数の追加の支柱をさらに備えてもよい。
【0064】
例示的設計では、例えば図5に示されるように、可動プレートは、アンカーを介して第2の部分に取り付けられて片持ち梁として動作してもよい。別の例示的設計では、例えば図6に示されるように、可動プレートは、第1および第2のアンカーを介して第2の部分に取り付けられてブリッジとして動作してもよい。可動プレートは、MEMSスイッチまたは他の何らかのMEMS構造体を用いる他のやり方でも実施され得る。例示的設計では、例えば図9に示されるように、第2の部分は、支柱の下に配置された少なくとも1つの追加の可動プレートをさらに備えてもよい。MEMS共振器の共振周波数を変化させるために、それぞれの追加の可動プレートは、それぞれの直流電圧によって機械的に移動され得る。
【0065】
例示的設計では、例えば図1に示されるように、第2の部分は、基板、基板の上に形成された誘電体層、および誘電体層の上に形成された金属層を備えてもよい。第2の部分は、第1の部分と対向する表面上を金属層(例えば金属層130)で覆われてもよい。第1の部分も、第2の部分と対向する表面上を金属層(例えば金属層190)で覆われてもよい。
【0066】
例示的設計の1つでは、誘電体層(例えば図8の誘電体層186)は、支柱と可動プレートの間の第1の部分上の金属層の上に形成されてもよい。別の例示的設計では、少なくとも1つの誘電体スペーサ(例えば図7の誘電体スペーサ182および184)が、可動プレートの少なくとも1つの面に形成されてもよく、第1の部分の金属層に対する可動プレートの短絡を防止するのに使用されてもよい。さらに別の例示的設計では、第1の部分上で可動プレートと金属層の間には、誘電体層またはスペーサが形成されない。
【0067】
別の態様では、例えば図12に示されるように、装置は、入力信号を受け取って出力信号を供給するフィルタを備えてもよい。このフィルタは、少なくとも1つのMEMS共振器を備えることができる。各MEMS共振器は、MEMS共振器の共振周波数を調節するための可動プレートを有することができる。このフィルタは、例えば図13に示されるように、各MEMS共振器の共振周波数に基づいて決定され得る調整可能な周波数応答を有することができる。
【0068】
例示的設計では、このフィルタは、例えば図1から図4に示されるように、1つのMEMS共振器を備えてもよい。別の例示的設計では、例えば図10および図12に示されるように、このフィルタは、共振器間結合によって互いに結合された複数のMEMS共振器を備えてもよい。例示的設計の1つでは、各MEMS共振器が、第1の部分(例えば図1の上部分160)および第2の部分(例えば図1の下部分110)を備えてもよい。第1の部分は、キャビティおよび支柱を備えてもよい。第2の部分は、第1の部分に対合されてもよく、支柱の下に配置された可動プレートを備えてもよい。MEMS共振器の共振周波数を変化させるために、可動プレートは、直流電圧によって機械的に移動され得る。
【0069】
例示的設計の1つでは、例えば図11に示されるように、装置は無線通信デバイスであり得る。このフィルタは、所望の信号を通し、好ましくない信号およびノイズを減衰させるように、無線通信デバイスの送信器または受信器に使用することができる。このフィルタは、他の電子部品デバイスにも使用することができる。
【0070】
さらに別の態様では、装置は、発振器信号を発生する発振器を備えてもよい。この発振器は、例えば図14に示されるように、(i)発振器信号を増幅するための増幅器、および(ii)増幅器に結合された少なくとも1つのMEMS共振器を備えてもよい。各MEMS共振器は、MEMS共振器の共振周波数を調節するための可動プレートを有することができる。この発振器は、各MEMS共振器の共振周波数に基づいて決定され得る調整可能な発振周波数を有することができる。
【0071】
例示的設計では、この増幅器は、(i)発振器信号の非反転信号を増幅するための第1のトランジスタ(例えばNMOSトランジスタ1412)、および(ii)発振器信号の反転信号を増幅するための第2のトランジスタ(例えばNMOSトランジスタ1414)を備えてもよい。この少なくとも1つのMEMS共振器は、(i)第1のトランジスタに結合された第1のMEMS共振器(例えばMEMS共振器1420a)、および(ii)第2のトランジスタに結合された第2のMEMS共振器(例えばMEMS共振器1420b)を備えてもよい。各MEMS共振器は、前述のように実施することができる。
【0072】
例示的設計の1つでは、例えば図11に示されるように、装置は無線通信デバイスであり得る。発振器信号は、無線通信デバイスの送信器または受信器用のLO信号を発生するのに使用され得る。この発振器は、他の電子デバイスにも使用することができる。
【0073】
図15は、MEMS共振器を動作させるプロセス1500の例示的設計を示す。可動プレートおよびキャビティを備えるMEMS共振器の電極に直流電圧を印加してもよい(ブロック1512)。MEMS共振器の可動プレートを機械的に移動してMEMS共振器の共振周波数を変化させるために、直流電圧を変化させてもよい(ブロック1514)。例示的設計の1つでは、直流電圧は、(i)MEMS共振器の最大共振周波数を得る第1の値、または(ii)MEMS共振器の最小共振周波数を得る第2の値のいずれかに設定されてもよい。別の例示的設計では、直流電圧は、第1の値と第2の値の間の値に調節されてもよい。一般に、直流電圧は、2つ以上の個別のステップまたは連続的なやり方で変化させてもよい。RF信号は、MEMS共振器のキャビティから受け取られ得る(ブロック1516)。
【0074】
本明細書に説明された調整可能なMEMS共振器は、当技術分野で知られている様々なMEMS処理技術で製作することができる。これらの調整可能なMEMS共振器は、基板(例えばガラスまたはシリコン基板)上に製作することができ、適切なパッケージの中にカプセル化され得る。調整可能なMEMS共振器を有する基板も、半導体ICダイと一緒にパッケージ化され得る。これらの調整可能なMEMS共振器は、半導体プロセス技術を用いて、半導体IC(例えばCMOS IC)上に製作することができる。
【0075】
本明細書に説明された調整可能なMEMS共振器を実施する装置は、スタンドアローンのデバイスでよく、あるいはより大きなデバイスの一部分でもよい。デバイスは、(i)スタンドアローンのICパッケージ、(ii)データおよび/または命令を記憶するためのメモリICを含み得る1つまたは複数のICパッケージの組、(iii)RF受信器(RFR)またはRF送信器/受信器(RTR)などのRFIC、(iv)移動局モデム(MSM)などのASIC、(v)他のデバイスの中に埋め込まれ得るモジュール、(vi)受信器、携帯電話、無線通信デバイス、送受話器、または移動車、(vii)同様なものであり得る。
【0076】
1つまたは複数の例示的設計では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれの任意の組合せで実施することができる。ソフトウェアで実施される場合、これらの機能は、1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体に蓄積されるかまたは伝送され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータの記憶媒体とコンピュータプログラムをある場所から別の場所に転送するのを容易にする任意の媒体を含む通信媒体との両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の入手可能な媒体でよい。限定するものではない一例として、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、あるいは所望のプログラムコードを命令またはデータ構造の形で搬送するかまたは記憶するために用いることができ、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を備えることができる。また、いかなる接続も、適切にコンピュータ可読媒体と称される。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚り対線、デジタル加入者線(DSL)、あるいは赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術を用いて、ウェブサイト、サーバ、または他の遠方のソースから伝送される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚り対線、DSL、あるいは赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用される磁気ディスクおよび光ディスク(Disk and disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスクおよびブルーレイディスクを含み、磁気ディスクが、通常、データを磁気的に再現するのに対して、光ディスクはレーザを用いてデータを光学的に再現する。上記のものの組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0077】
本開示の以前の説明は、いかなる当業者も本開示を作製するかまたは用いることを可能にするために提供されている。本開示に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかになるはずであり、本明細書に定義された一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の変形形態に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書に説明された実例および設計に限定されるようには意図されておらず、本明細書に開示された原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を認められるべきである。
【符号の説明】
【0078】
100 MEMS共振器
110 下部分
120 基板
120 RF導体ライン
122 直流導体ライン
124 直流導体ライン
128 誘電体層
130 金属層
134 バイアス用電極
136 間隙
140 可動プレート
142 開口
144 アンカー
146 アンカー
148 アンカー
160 上部分
170 支柱
170a 支柱
170b 支柱
172 側壁
172a 側壁
172b 側壁
180 キャビティ
180a キャビティ
180b キャビティ
182 誘電体スペーサ
184 誘電体スペーサ
186 誘電体スペーサ
190 金属層
192 バラクタ
900 MEMS共振器
940 可動プレート
970 支柱
972 側壁
980 キャビティ
1000 MEMS共振器
1000a MEMS共振器
1000b MEMS共振器
1000c MEMS共振器
1000d MEMS共振器
1070 支柱
1072 側壁
1080 キャビティ
1082 開口
1084 開口
1086 開口
1100 無線通信デバイス
1110 データプロセッサ
1112 メモリ
1120 トランシーバ
1130 送信器
1132 増幅器
1134 ローパスフィルタ
1136 可変利得増幅器
1138 ミクサ
1140 フィルタ
1142 電力増幅器
1144 送受切換器/スイッチ
1146 アンテナ
1150 受信器
1152 低雑音増幅器
1154 バンドパスフィルタ
1156 ミクサ
1158 可変利得増幅器
1160 ローパスフィルタ
1162 増幅器
1170 TX LO発生器
1172 電圧制御発振器
1174 位相ロックループ
1180 RX LO発生器
1182 電圧制御発振器
1184 位相ロックループ
1200 チューナブルフィルタ
1210 変圧器
1212 1次巻線
1214 2次巻線
1220a 調整可能なMEMS共振器
1220b 調整可能なMEMS共振器
1222 バラクタ
1224 インダクタ
1228 インダクタ
1230 変圧器
1232 1次巻線
1234 2次巻線
1312 バラクタ1222の静電容量が最大のときのチューナブルフィルタ1200の周波数応答
1314 バラクタ1222の静電容量が最小のときのチューナブルフィルタ1200の周波数応答
1400 発振器
1408 電流源
1410 増幅器
1412 NMOSトランジスタ
1414 NMOSトランジスタ
1420a 調整可能なMEMS共振器
1420b 調整可能なMEMS共振器
1422 バラクタ
1424 インダクタ
1500 プロセス
1512 ブロック
1514 ブロック
1516 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電子機械システム(MEMS)共振器であって、
キャビティおよび支柱を備える第1の部分と、
前記第1の部分に対合され、前記支柱の下に配置された可動プレートを備えた第2の部分であって、前記可動プレートが、MEMS共振器の共振周波数を変化させるために直流電圧によって機械的に移動される第2の部分とを備えるMEMS共振器。
【請求項2】
前記第2の部分が、前記可動プレートの下に形成されて直流電圧を印加される電極をさらに備える請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項3】
前記キャビティが、矩形の形状を有し、前記第1の部分に形成された4つの側壁によって囲まれる請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項4】
前記4つの側壁が丸い隅部を有する請求項3に記載のMEMS共振器。
【請求項5】
前記キャビティが、円形の形状を有し、前記第1の部分に形成された円形の側壁によって囲まれる請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項6】
前記キャビティが、任意形状の輪郭を有し、前記第1の部分に形成された任意形状の輪郭壁によって囲まれる請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項7】
前記キャビティが誘電材料で満たされる請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項8】
前記支柱が前記キャビティの中央に位置する請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項9】
前記支柱が、丸い隅部を有する矩形の形状を有する請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項10】
前記支柱が円形の形状を有する請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項11】
前記支柱が任意の輪郭形状を有する請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項12】
前記第1の部分が、キャビティ内に形成された少なくとも1つの追加の支柱をさらに備える請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項13】
前記可動プレートが、アンカーによって前記第2の部分に取り付けられ、片持ち梁として動作する請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項14】
前記可動プレートが、第1および第2のアンカーによって前記第2の部分に取り付けられ、ブリッジとして動作する請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項15】
前記第2の部分が、前記支柱の下に配置された少なくとも1つの追加の可動プレートをさらに備え、それぞれの追加の可動プレートが、前記MEMS共振器の前記共振周波数を変化させるために、それぞれの直流電圧によって機械的に移動される請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項16】
前記第2の部分が、基板と、前記基板の全体または一部分の上に形成された誘電体層と、前記誘電体層の全体または一部分の上に形成された金属層とを備える請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項17】
前記第1の部分が、前記第2の部分と対向する表面上を第1の金属層で覆われ、前記第2の部分が、前記第1の部分と対向する表面上を第2の金属層で覆われる請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項18】
前記第1の部分が、前記支柱と前記可動プレートの間の前記第1の金属層の上に形成された誘電体層を備える請求項17に記載のMEMS共振器。
【請求項19】
前記第1の部分が、前記可動プレートの少なくとも1つの面上に形成されて前記可動プレートが前記第1の部分の前記第1の金属層と接触するのを防止するように使用される少なくとも1つの誘電体スペーサを備える請求項17に記載のMEMS共振器。
【請求項20】
入力信号を受け取って出力信号を供給するためのフィルタを備える装置であって、前記フィルタが、少なくとも1つの微小電子機械システム(MEMS)共振器を備え、各MEMS共振器が、前記MEMS共振器の共振周波数を調節するための可動プレートを有し、前記フィルタが、各MEMS共振器の前記共振周波数に基づいて決定される調整可能な周波数応答を有する装置。
【請求項21】
各MEMS共振器が、キャビティおよび支柱を備える第1の部分と、
前記支柱の下に配置された前記可動プレートを備え、前記第1の部分に対合された第2の部分であって、前記可動プレートが、前記MEMS共振器の前記共振周波数を変化させるために直流電圧によって機械的に移動される第2の部分とを備える請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記フィルタが、共振器間結合によって互いに結合された複数のMEMS共振器を備える請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記装置が無線通信デバイスであり、前記フィルタが、所望の信号を通し、好ましくない信号およびノイズを減衰させるように、前記無線通信デバイスの送信器または受信器に使用される請求項20に記載の装置。
【請求項24】
発振器信号を増幅するための増幅器と、
前記増幅器に結合された少なくとも1つの微小電子機械システム(MEMS)共振器であって、各MEMS共振器が、前記MEMS共振器の共振周波数を調節するための可動プレートを有するMEMS共振器とを備える発振器を備える装置であって、前記発振器が、各MEMS共振器の前記共振周波数に基づいて決定される調整可能な発振周波数を有する装置。
【請求項25】
前記増幅器が、前記発振器信号の非反転信号を増幅するための第1のトランジスタと、前記発振器信号の反転信号を増幅するための第2のトランジスタとを備え、前記少なくとも1つのMEMS共振器が、前記第1のトランジスタに結合された第1のMEMS共振器と、前記第2のトランジスタに結合された第2のMEMS共振器とを備える請求項24に記載の装置。
【請求項26】
各MEMS共振器が、
キャビティおよび支柱を備える第1の部分と、
前記第1の部分に対合され、前記支柱の下に配置された前記可動プレートを備えた第2の部分であって、前記可動プレートが、前記MEMS共振器の前記共振周波数を変化させるために、直流電圧によって機械的に移動される第2の部分とを備える請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記装置が無線通信デバイスであり、前記発振器信号が、前記無線通信デバイスの送信器または受信器用の局部発信器(LO)信号を発生するのに使用される請求項24に記載の装置。
【請求項28】
可動プレートおよびキャビティを備える微小電気機械システム(MEMS)共振器の電極に直流電圧を印加するステップと、
前記MEMS共振器の前記可動プレートを機械的に移動して前記MEMS共振器の共振周波数を変化させるために、前記直流電圧を変化させるステップと、
前記MEMS共振器のキャビティから無線周波数(RF)信号を受け取るステップとを含む方法。
【請求項29】
前記直流電圧を変化させる前記ステップが、
前記直流電圧を、前記MEMS共振器の最大共振周波数を得るための第1の値、または前記MEMS共振器の最小共振周波数を得るための第2の値に設定するステップを含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記直流電圧を変化させる前記ステップが、
前記直流電圧を、第1の値と第2の値の間の値に調節するステップであって、前記第1の値が前記MEMS共振器の最大共振周波数に対応し、前記第2の値が前記MEMS共振器の最小共振周波数に対応するステップを含む請求項28に記載の方法。

【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−531122(P2012−531122A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516373(P2012−516373)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/039374
【国際公開番号】WO2010/148405
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(507364838)クアルコム,インコーポレイテッド (446)
【Fターム(参考)】