説明

キャビネットの点検口構造

【課題】 キャビネット本体の背板に設けた点検口カバーを、壁面方向へ移動させることにより、キャビネット内部の引き出しレールなどと干渉せずに開口させることを可能とする。
【解決手段】 本発明では、床に設置されたキャビネット本体と、前記キャビネット本体の背板に設けられた点検口と、前記点検口を覆う点検口カバーを備え、前記点検口カバーは前記点検口の前記キャビネット本体に係止されており、前記点検口カバーを取り外した後、前記点検口カバーを前記キャビネット本体から遠ざかる方向へ移動させることで、前記点検口を開口することを特徴とするキャビネットの点検口構造が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットの点検口に係り、特に床に対して固定され、移動が困難なキャビネットに好適なキャビネットの点検口に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチンや洗面化粧台などのキャビネットにおいて、配管などを点検するために内部背面に点検口を設けることが知られている。そして、このような点検口を塞ぐための点検口カバーは内側から施蓋してなる構成を有する。(例えば、特許文献1参照)
このような場合、点検口カバーは取り出しやすいように引き出しレールなどをよけるため、キャビネット内寸より小さくなっており、点検口が小さいと作業性が悪くなるといった課題が存在した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−256849号公報
【特許文献2】特開2009−72354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、レール等があっても点検口を広くすることで作業性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、床に設置されたキャビネット本体と、前記キャビネット本体の背板に設けられた点検口と、前記点検口を覆う点検口カバーを備え、前記点検口カバーは前記点検口の前記キャビネット本体に係止されており、前記点検口カバーを取り外した後、前記点検口カバーを前記キャビネット本体から遠ざかる方向へ移動させることで、前記点検口を開口することを特徴とするキャビネットの点検口構造が提供される。
これにより点検口カバーをキャビネットの奥に移動させることでキャビネット内部に存在するレールや扉の蝶番などと点検口カバーが干渉せずに点検口を開口させることを可能となる。
【0006】
また、請求項2記載の発明によれば、前記点検口が、前記キャビネット本体の前記背板部分全体であり、前記点検口カバーが前記背板として機能することを特徴とする請求項1に記載のキャビネットの点検口構造が提供される。
これにより、キャビネットの背板全体を点検口カバーとすることによって、点検口を最大限に開口させることが可能となり、作業者作業性が向上するという効果が得られる。
【0007】
また、請求項3記載の発明によれば前記点検口カバーに把手を設けたことを特徴とする請求項1に記載のキャビネットの点検口構造が提供される。
これにより、点検口カバーを着脱する際に、把手を使用することが可能となり、作業者の作業性が向上するという効果が得られる。
【0008】
また、請求項4記載の発明によれば前記把手は、前記点検口カバーの一部を切り欠いた形状であることを特徴とする請求項3に記載のキャビネットの点検口構造が提供される。
これにより、取っ手が点検口カバーより突出することがなく、キャビネット内部のスペースを有効利用することが可能となるという効果が得られる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、点検口カバーをキャビネットの奥方向に移動させることでレール等と点検口カバーが干渉せず、作業性が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例におけるキャビネット1の上面図である。
【図2】本発明の実施例におけるキャビネット1の斜視図である。
【図3】本発明の実施例における中間キャビネット11の正面図である。
【図4】本発明の実施例における点検口カバー3を取り外す様子を示した模式図である。
【図5】本発明の別の実施例におけるキャビネット1の斜視図である。
【図6】本発明の別の実施例におけるキャビネット1のA−A断面図である。
【図7】本発明の別の実施例における点検口カバー3を取り外す様子を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0011】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1に本発明の実施例におけるキャビネット1の上面図を示す。なお、説明のためにキャビネット1の天板を図示していない。
キャビネット1は略L字型形状を為しており、それぞれ略直行する方向に延在した隣接キャビネット12a、12bを有し、両者の中間位置に、中間キャビネット11を有する構成となっている。
【0012】
隣接キャビネット12a、12bと、中間キャビネット11はそれぞれ角度補正部材13a、13bによって接続されており、各キャビネットの位置関係が大きくずれることを防止している。また、中間キャビネット11と建物の壁面2の間にはスペース21が存在している。
中間キャビネット11は、その背面に点検口カバー3を有している。
【0013】
図2は本発明の実施例におけるキャビネット1の斜視図を示す。
キャビネット1の上部には、中間キャビネット11、隣接キャビネット12a、12bや角度補正部材13a、13b、スペース2を覆うようにして天板4が設けられている。
天板4のうち、隣接キャビネット12aの上部にはシンク41が、隣接キャビネット12bの上部にはコンロ42が設置されている。
【0014】
図3に本発明の実施例における中間キャビネット11の正面図を示す。先述のように、背板前面が点検口カバー3となっており、連結具31にて中間キャビネット11に支持取付されている。
連結具31はキャビネット側板に取り付けたピン形状のものに、ドライバーで回転させるとツメがかかり、固定される。この連結具31の動作は一例であり、連結具31は点検口カバー3を中間キャビネット11に支持取付できる構造であれば、どのような機構のものであってもよい。
【0015】
また、点検口カバー3はその中央付近に穴が形成されており、穴の前面に塞板32が取り付けられている。この塞板32はその中央部分がくりぬかれた構造となっており、くりぬき取っ手33として機能するように構成されている。
【0016】
図4に点検口カバー3を取り外す様子を模式的に示す。
図4(a)に示すように、通常時、点検口カバー3は連結具31によって中間キャビネット11の内側方向に固定されており、背板として機能している。
図4(b)に示すように、この連結具31のロックを解除し、奥方向へ押し込むことによって、点検口カバー3は中間キャビネット11から離れて、スペース21内へ移動することになる。
これによって、中間キャビネット11内部に引き出しレールなどの突起が存在していても、点検口カバー3はそれらと干渉することなく、点検口を開放することが出来る。さらに、手前側へ移動させる場合と比較して、作業者の体と点検口カバー3が干渉することがなく、作業者は体をねじって点検口カバー3をよけるなどの必要がなくなる。
【0017】
そのまま、スペース21内を移動し、図4(c)に示すように壁面2に点検口カバー3を立てかけることによって、両手を点検口カバー3から開放することが出来る。これによって、作業者は両手をつかってメンテナンス作業を行うことができるようになり、作業性は向上する。
作業終了後は、逆の手順で点検口カバー3と中間キャビネット11を連結具31によって連結固定することによって、点検口を塞ぐことが可能となる。
【0018】
以下に本発明の別の実施例を示す。
図5は別の実施例におけるキャビネット1の斜視図である。キャビネット1の上部には洗面ボウル5が載置されている。
【0019】
図6に別の実施例における通常時のキャビネット1のA−A断面図を示す。なお、説明のため、上部に載置される洗面ボウル5や、接続される配管類などは省略している。
キャビネット1はその背面下半分に背板34を有しており、上半分が点検口カバー3によって覆われている。このとき、点検口カバー3は背板34に設けられた固定具35aによってその下部を支持・固定され、固定具35bと横桟14によってその上部を保持されている。
【0020】
図7は別の実施例における点検口を開口する様子を示した模式図である。
図7(a)に示したように、点検口カバー3は一旦、上に引き上げることで固定具35aと離間する。
次に、図7(b)に示したように、この点検口カバー3の下部を奥に押し込むことで、点検口カバー3の下端が、固定具35aを超えてスペース21内へ移動する。
図7(d)に示すように、その状態で点検口カバー3を下に引き抜くことで、点検口カバー3の上端は横桟14と固定具35bの間から抜けて、点検口カバー3全体をスペース21内へ移動させることが出来る。
図7(d)に示すように点検口カバー3を壁面2に立てかけることで、作業者は両手でメンテナンス作業を行える。
作業終了後は、取り外す場合と逆の動作を行うことで、点検口カバー3を取り付けることが可能である。
【0021】
なお、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において設計変更することが可能である。
例えば、点検口カバー3を固定する方法は、連結具31や固定具35による方法に限られず、ねじを用いた固定や、磁力による固定など様々な方法が考えられる。
【符号の説明】
【0022】
1…キャビネット
11…中間キャビネット
12a、12b…隣接キャビネット
13…角度補正部材
14…横桟
2…壁面
21…スペース
3…点検口カバー
31…連結具
32…塞板
33…くりぬき取っ手
34…背板
35a、35b…固定具
4…天板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に設置されたキャビネット本体と、
前記キャビネット本体の背板に設けられた点検口と、
前記点検口を覆う点検口カバーを備え、
前記点検口カバーは前記点検口の前記キャビネット本体に係止されており、
前記点検口カバーを取り外した後、前記点検口カバーを前記キャビネット本体から遠ざかる方向へ移動させることで、前記点検口を開口することを特徴とするキャビネットの点検口構造。
【請求項2】
前記点検口が、前記キャビネット本体の前記背板部分全体であり、
前記点検口カバーが前記背板として機能することを特徴とする請求項1に記載のキャビネットの点検口構造
【請求項3】
前記点検口カバーに把手を設けたことを特徴とする請求項1に記載のキャビネットの点検口構造
【請求項4】
前記把手は、前記点検口カバーの一部を切り欠いた形状であることを特徴とする請求項3に記載のキャビネットの点検口構造

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−24666(P2011−24666A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171076(P2009−171076)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】