キャビネット
【課題】エネルギー蓄積手段に蓄積された移動エネルギーを解放させることにより、副引出しが閉鎖方向に移動されるキャビネットにおいて、主引出しと副引出しとを引き出す際に、主引出しと副引出しとが閉鎖方向に移動する虞がなく、かつ副引出し内の収納物を取り出し易いキャビネットを提供すること。
【解決手段】主引出し3と、この主引出し3と連動して引き出される副引出し4と、この副引出し4を閉鎖方向に移動させる移動エネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段16と、を備えるキャビネットであって、エネルギー蓄積手段16は、主引出し3が閉鎖方向に移動するときに移動エネルギーを蓄積する。
【解決手段】主引出し3と、この主引出し3と連動して引き出される副引出し4と、この副引出し4を閉鎖方向に移動させる移動エネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段16と、を備えるキャビネットであって、エネルギー蓄積手段16は、主引出し3が閉鎖方向に移動するときに移動エネルギーを蓄積する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主引出しと連動して引き出される副引出しを備え、エネルギー蓄積手段に蓄積された移動エネルギーを解放させることで、副引出しを閉鎖方向に移動させるキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャビネットに設けられる引出し装置には、引出し(主引出し)と、引出しの上方に設けられた内引出し(副引出し)とを備え、この引出しの扉裏面には、永久磁石が設けられるとともに、内引出しの前面部にも永久磁石が設けられており、引出しをキャビネット内から引き出す際に、永久磁石同士が磁着されることにより、引出しの移動に連動して内引出しが引き出されるようになっている。この内引出しの後端下部には、バネ(エネルギー蓄積手段)が取り付けられており、内引出しが引出しとともに引き出される際に、バネがキャビネット本体の前面板の裏面に当接して圧縮され、両引出しが開放方向に移動する移動エネルギーをバネに蓄積し、内引出しの引き出し限界よりも引出しを引き出された際に、前記永久磁石同士が分離して、バネが伸張する弾性力(作用)を利用して内引出しが閉鎖方向に移動するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−141796号公報(第5頁、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の引出し装置にあっては、内引出し(副引出し)が自動的に閉鎖方向に移動されるため、使用者は内引出しを操作しなくてもよく、使い勝手がよくなっているが、両引出しが連動されながら開放方向に移動する際に、その移動エネルギーをバネ(エネルギー蓄積手段)に蓄積するようになっているため、両引出しを引き出す際には、バネの弾性力(作用)に抗する力で引き出さなければならず、引き出し操作がスムーズに行えないばかりか、引出しと内引出しが分離する前に、使用者が把手から手を放してしまうと、バネに蓄積されたエネルギーが解放されてしまい、引出しと内引出しとが閉鎖方向に移動してしまう虞があり、内引出し内の収納物を取り出す際には、常に使用者が引出しの把手を把持していなければならず、使用者の片手が塞がってしまうので内引出しの収納物が取り出し難くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、エネルギー蓄積手段に蓄積された移動エネルギーを解放させることにより、副引出しが閉鎖方向に移動されるキャビネットにおいて、主引出しと副引出しとを引き出す際に、主引出しと副引出しとが閉鎖方向に移動する虞がなく、かつ副引出し内の収納物を取り出し易いキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のキャビネットは、
主引出しと、該主引出しと連動して引き出される副引出しと、該副引出しを閉鎖方向に移動させる移動エネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段と、を備えるキャビネットであって、
前記エネルギー蓄積手段は、前記主引出しが閉鎖方向に移動するときに前記移動エネルギーを蓄積することを特徴としている。
この特徴によれば、主引出しと副引出しとを引き出すときには、エネルギー蓄積手段は両引出しに対していかなる作用も生じさせないため、主引出しと副引出しとを引き出し易くなる。そのため主引出しと副引出しとが連動している状態であっても、使用者が主引出しから手を放すことができ、使用者は両手を用いて副引出し内の収納物を容易に取り出すことができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載のキャビネットは、請求項1に記載のキャビネットであって、
前記エネルギー蓄積手段は、前記主引出しと前記副引出しとが連動するときに、前記移動エネルギーを保持することを特徴としている。
この特徴によれば、主引出しと副引出しとが連動している状態では、両引出しを開放方向に移動させても、閉鎖方向に移動させても、エネルギー蓄積手段に蓄積された移動エネルギーが両引出しに対していかなる作用も生じさせず、蓄積されている移動エネルギーを解放する虞もないため、両引出しの引き出し操作を行い易くなる。
【0008】
本発明の請求項3に記載のキャビネットは、請求項1または2に記載のキャビネットであって、
前記主引出しが、前記副引出しが引き出される引出限界位置よりもさらに引き出されて前記主引出しと前記副引出しとの連動が解除された後に、前記エネルギー蓄積手段は、前記移動エネルギーを解放することを特徴としている。
この特徴によれば、主引出しと副引出しとが連動している状態では、使用者は、副引出しが閉鎖方向に移動することがないことを認識しながら、両引出しの引き出し操作を行うことができ、かつ使用者が、副引出しを閉鎖方向に移動させたい場合には、主引出しを副引出しの引出限界位置よりもさらに引き出すようにすればよく、主引出し及び副引出しの使い勝手がよくなる。
尚、主引出しと副引出しとの連動が解除されてから、主引出しが所定距離引き出された後に、エネルギー蓄積手段の移動エネルギーが解放されるように設定すれば、両引出しの連動が解除されたことを使用者が認識することで、使用者は、副引出しが引出限界位置にあることを容易に認識することができ、使用者は、両引出しの連結が解除された直後に、主引出しを引き出す操作をやめれば、副引出しを最も大きく開口した状態で使用することができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載のキャビネットは、請求項1ないし3のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記エネルギー蓄積手段は、弾性体を変形させることで前記移動エネルギーを蓄積することを特徴としている。
この特徴によれば、変形して移動エネルギーを蓄積できる弾性体を用いてエネルギー蓄積手段を容易に構成することができる。
【0010】
本発明の請求項5に記載のキャビネットは、請求項1ないし4のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記エネルギー蓄積手段は、回動自在に設けられた回動部材と、該回動部材を、前記移動エネルギーを解放する解放回動方向、または前記移動エネルギーを蓄積する蓄積回動方向のいずれか一方向に回動付勢する付勢部材と、を有し、前記両回動方向を切り換える切換手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、切換手段が付勢部材による回動部材の回動付勢方向を切り換えることで、移動エネルギーがエネルギー蓄積手段に蓄積されたり、解放されたりするようになり、回動部材と付勢部材という簡素な構成でエネルギー蓄積手段を製作できる。
【0011】
本発明の請求項6に記載のキャビネットは、請求項1ないし5のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記主引出しと前記副引出しとは、互いに設けられた磁性体同士の吸引力によって連動されることを特徴としている。
この特徴によれば、磁性体を主引出しと副引出しとに設けるだけで、磁性体同士の吸引力を利用して、主引出しと副引出しとの連動及び解除を容易に行うことができる。
【0012】
本発明の請求項7に記載のキャビネットは、請求項6に記載のキャビネットであって、
前記副引出しの奥行き長さは、前記主引出しの奥行き長さよりも短く構成され、前記主引出しと前記副引出しとは、互いの後部同士が前記磁性体により連結されることを特徴としている。
この特徴によれば、主引出しの前部側には、副引出しに干渉されない収納空間が形成されるようになり、副引出しを閉鎖方向に移動させなくても主引出しの前部側に収納された収納物を取り出すことができ、かつ主引出しの前部側に背の高い収納物を収納させることもできる。
【0013】
本発明の請求項8に記載のキャビネットは、請求項1ないし7のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記エネルギー蓄積手段が前記移動エネルギーを蓄積した後に、前記主引出しが閉鎖方向に移動する移動速度を減速させる減速手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、主引出しが閉鎖方向に移動する移動エネルギーが、減速手段により低減されていない状態で、移動エネルギーをエネルギー蓄積手段に蓄積できるため、大きな移動エネルギーを蓄積し易くなっており、かつ減速手段により主引出しの閉鎖完了時にスムーズに主引出しの移動を停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るキャビネットを実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例1におけるキャビネットの全体像を示す斜視図であり、図2は、キャビネット本体内に主引出し及び副引出しが収納された状態を示す拡大縦断側面図であり、図3は、副引出しが引出限界位置まで引き出された状態を示す拡大縦断側面図であり、図4は、主引出しのトリガーピンがバネ機構に係合する状態を示す拡大縦断側面図であり、図5は、バネ機構が動作して副引出しが後退した状態を示す拡大縦断側面図であり、図6は、主引出しを後方に向かって移動させる際にトリガーピンがバネ機構に係合する状態を示す拡大縦断側面図であり、図7は、バネ機構にエネルギーが蓄積されてソフトクローザーが働く状態を示す拡大縦断側面図であり、図8(a)は、主引出しの引出し時にトリガーピンがバネ機構のカムに係合する状態を示す横断平面図であり、図8(b)は、バネ機構が動作して後方に付勢される状態を示す横断平面図であり、図8(c)は、バネ機構が後退する状態を示す横断平面図であり、図9(a)は、主引出しの閉鎖時にトリガーピンがバネ機構のカムに係合する状態を示す横断平面図であり、図9(b)は、バネ機構にエネルギーが蓄積される状態を示す横断平面図であり、図9(c)は、バネ機構にエネルギーが蓄積完了した状態を示す横断平面図である。以下、図2、図3、図4、図5、図6、図7の紙面左方側をキャビネットの正面側(前方側)とし、図8、図9の紙面下方側をキャビネットの正面側(前方側)として説明する。
【0016】
図1の符号1は、本発明の適用されたキャビネットである。このキャビネット1は書類や食器、日用雑貨等、多岐に亘って収納可能となっている。このキャビネット1は、正面側に開口する開口部を有するキャビネット本体2を有し、このキャビネット本体2の開口部には、複数(2つ)の主引出し3が設けられている。尚、この主引出し3内には、副引出し4が設けられている。
【0017】
図2に示すように、主引出し3は、キャビネット本体2内に収納される収納箱体5と、使用者が把持する把手7を有する前板6と、から構成されている。収納箱体5は、上方に開口した収納部5aを有する略箱体状に形成されている(図1参照)。
【0018】
また、主引出し3は、キャビネット本体2内に収納(閉鎖)されて主引出し3の収納位置と、主引出し3が正面側に限界まで引き出される主引出しの引出限界位置S1との間で、前後方向に移動できるようになっている(図5参照)。尚、主引出し3の前板6は、主引出し3がキャビネット本体2内に収納された状態で、副引出し4を正面から隠蔽する大きさに形成されている。
【0019】
主引出し3の収納部5a上方には、上方に開口する収納部8aを備えた略箱状の収納箱体8を有する副引出し4が設けられている(図1参照)。尚、副引出し4の重量は、主引出し3の重量よりも軽く形成されるとともに、副引出し4の奥行き長さは、主引出し3の奥行き長さよりも短く形成されている。
【0020】
また、副引出し4は、主引出し3と同じく、キャビネット本体2内の副引出し4の収納位置と、副引出し4が正面側に限界まで引き出される副引出しの引出限界位置S2との間で前後方向に移動できるようになっている(図3参照)。
【0021】
尚、主引出し3の前板6の背面側と、副引出し4の収納箱体8正面側との間には、所定の前後幅を有する空間部9(収納空間)が設けられている。この空間部9が設けられることにより、主引出し3の前部側に背の高い収納物を収納させることができる。
【0022】
本実施例では、キャビネット1の右側とは、使用者がキャビネット1の正面に立って右側のことであり、キャビネット1の左側とは、使用者がキャビネット1の正面に立って左側のこととして以下に説明する。
【0023】
図1に示すように、主引出し3の左右側部5bとキャビネット本体2の側板2a間には、主引出し3を前後方向に摺動させるスライドレール10が設けられている。このスライドレール10によって、主引出し3は、主引出し3の収納位置と主引出しの引出限界位置S1との間で、開放方向(前方向)及び閉鎖方向(後方向)に自在に移動できるようになっている(図5参照)。
【0024】
また、図2に示すように、スライドレール10の後端部には、主引出し3がキャビネット本体2内に収納されるときに、主引出し3の移動速度を減速させるための本実施例における減速手段としてのソフトクローザー11(緩衝装置)が設けられている。
【0025】
更に、図2に示すように、主引出し3の収納箱体5の背板5cの背面側には、後述する副引出し4の金属片12(磁性体)に吸引される永久磁石13(磁性体)が設けられている。更に、背板5cの上端部には、本実施例における切換手段としてのトリガーピン14が副引出し4に向けて立設されている(図8(a)参照)。
【0026】
図1に示すように、副引出し4の左右側部8bとキャビネット本体2の側板2a間には、主引出し3と同じくスライドレール15が設けられている。このスライドレール15によって、副引出し4は、副引出し4の収納位置と副引出しの引出限界位置S2との間で、前後方向に移動できるようになっている。
【0027】
また、スライドレール15の後端部には、スライドレール10と同じくソフトクローザー11が設けられている。尚、図3及び図5に示すように、キャビネット本体2の正面側から主引出しの引出限界位置S1までの距離は、キャビネット本体2の正面側から副引出しの引出限界位置S2までの距離よりも長くなっている。
【0028】
図2に示すように、副引出し4の後端部には、本実施例における磁性体としての金属片12が下方に向かって延設されており、この金属片12は、前述した主引出し3の永久磁石13に吸着されるようになっている。これら永久磁石13と金属片12とが、互いに吸引して接合されることによって、主引出し3と副引出し4とが連結されるようになっており、主引出し3がキャビネット本体2内から引き出されると、副引出し4が主引出し3に連動してキャビネット本体2内から引き出されるようになる。
【0029】
また、図1及び図2に示すように、副引出し4の下面における右方側には、本実施例におけるエネルギー蓄積手段としてのバネ機構16が設けられている。図8(a)に示すように、バネ機構16は、左方側に外部と連通する開口部17bが形成された薄型箱体形状をなすケース体17を有し、このケース体17内には、本実施例における回動部材としてのカム18が配置され、ケース体17には、カム18の軸18aを軸支する軸孔17aが形成されている。
【0030】
また、カム18は、平面視で略半円形状に形成され、この半円の中心に軸18aが設けられている。更に、カム18の一部は、ケース体17の開口部17bから外部に突出されるようになっている。更に、カム18を回動付勢する本実施例における弾性体及び付勢部材としてのバネ19(コイルバネ)が設けられている。また、ケース体17の内壁下面には、上方に向かって平面視で円形状をなすストッパー20が立設されている。
【0031】
また、カム18の円弧を形成している端縁部から径方向にかけて、主引出し3のトリガーピン14が係合する係合溝18bが形成されている。尚、この係合溝18bは、後述するように、主引出し3に固定されたトリガーピン14が係合状態を維持できるように、径方向にむかって所定の長さを有している。
【0032】
更に、カム18には、ストッパー20が挿通される平面視で略円弧状をなす規制溝18cが形成されている。この規制溝18c内にストッパー20が配置されることによって、カム18の回動範囲が規制されている。尚、カム18の回動範囲が規制されることによって、係合溝18bは、常にカム18の開口部17bからケース体17の外部に突出されるようになっている。
【0033】
図8(c)に示すように、カム18の上面側(紙面手前側)において、軸18aと規制溝18c間には、バネ19を係止する係止部18dが設けられているとともに、ケース体17の右後端部には、同じくバネ19を係止する係止部17cが設けられている。これら係止部17c,18d間にバネ19が掛け渡されている。尚、バネ19は、伸張して弾性変形することで、その弾性力を蓄積するようになっているとともに、圧縮して弾性復元することで、その弾性力を解放するようになっている。
【0034】
尚、図8(a)に示すように、バネ19が伸張された状態から図8(c)に示すように、バネ19が圧縮された状態になる回動方向、すなわちカム18が平面視で反時計回りに回動する回動方向を解放回動方向と称する。更に尚、図9(a)に示すように、バネ19が圧縮された状態から図9(c)に示すように、バネ19が伸張された状態になる回動方向、すなわちカム18が平面視で時計回りに回動する回動方向を蓄積回動方向と称する。
【0035】
図9(a)から図9(c)に示すように、バネ機構16のカム18の係合溝18bにトリガーピン14が係合することによって、カム18が蓄積回動方向に回動されると、カム18の上面に設けられている係止部18dも蓄積回動方向に回動するので、バネ19は係止部17cを固定端としてカム18を蓄積回動方向に回動付勢する。それに伴ってバネ19は伸張して弾性エネルギーが蓄積される。
【0036】
図9(c)に示すように、ストッパー20が規制溝18cを係止することで、カム18の蓄積回動方向の回動が停止される。このとき、バネ19には、伸張されたことにより元の長さに圧縮しようとする復元力が働き、係止部18dが係止部17cと軸18aを結ぶ仮想線V1を越えた位置でカム18の回動が停止されているため、バネ19の復元力はカム18を蓄積回動方向に付勢するようになり、バネ19は伸張された状態、すなわち弾性エネルギーを蓄積した状態で保持される。
【0037】
図8(a)から図8(c)に示すように、バネ機構16のカム18の係合溝18bにトリガーピン14が係合することによって、カム18が解放回動方向に回動されると、カム18の上面に設けられている係止部18dも解放回動方向に回動するので、バネ19は係止部17cを固定端としてカム18を解放回動方向に回動付勢する。それに伴ってバネ19は圧縮して弾性エネルギーが解放される。
【0038】
このとき、係止部18dが係止部17cと軸18aを結ぶ仮想線V1を越えると、カム18の蓄積回動方向に働いていたバネ19の復元力の向きがカム18の解放回動方向に切り換えられるので、バネ19は復元力によりカム18を解放回動方向に回動させながら図8(c)に示すように、元の圧縮された長さに戻る。
【0039】
尚、後述するように、バネ機構16と金属片12との間には、所定の間隔が形成されている。副引出し4のスライドレール15が限界まで引き出されることによって、副引出しが引出限界位置S2まで引き出され、主引出し3と副引出し4の連結が解除されると、主引出し3に設けられたトリガーピン14は、バネ機構16と金属片12との間を所定距離移動した後に、バネ機構16のカム18の係合溝18bに係合するようになっている。
【0040】
図2に示すように、キャビネット1内の収納位置に収納されている状態の主引出し3を、使用者が把手7を把持して正面側に引き出すと、図3に示すように、主引出し3と副引出し4とは、それぞれの後部に設けられた永久磁石13と金属片12によって連結された状態で引き出されるようになっている。
【0041】
また、このときのバネ機構16内のバネ19は、図8(a)に示すように、既にエネルギーが蓄積された状態となっているが、主引出し3と副引出し4が連動している状態であるので、トリガーピン14が係合されることがなく、バネ19はエネルギーを蓄積さした状態で保持されている。
【0042】
図3に示すように、使用者が主引出し3を正面側にさらに引き出し続けると、主引出し3に連動されて引き出されている副引出し4が、副引出しの引出限界位置S2に到達する。このとき、使用者が主引出し3を正面側に引き出す力が、永久磁石13と金属片12の磁着状態を解除する方向に働くので、使用者は永久磁石13と金属片12の磁着する吸引力を抵抗として感知し、副引出し4が副引出しの引出限界位置S2に到達したことを認識することができる。尚、使用者が副引出し4を使用する場合には、この副引出し4が副引出しの引出限界位置S2に到達したときが最も収納部8aを大きく開放して使用することができるので、収納物の取り出しや収納を容易に行うことができる。
【0043】
また、使用者が主引出し3を使用する場合には、図3に示す状態から主引出し3を正面側にさらに引き出すことで、永久磁石13と金属片12の磁着を解除し、主引出し3と副引出し4の連動を解除する。そして、図4に示すように、主引出し3と副引出し4の連動を解除した状態から、使用者が主引出し3を正面側に引き出すことで、主引出し3に設けられたトリガーピン14が、副引出し4の下面に設けられたバネ機構16の係合溝18bに係合する。尚、使用者はトリガーピン14が係合溝18bに係合する前であれば永久磁石13と金属片12の磁着が解除されていても副引出し4を使用することができる。
【0044】
そして、図4及び図8(a)に示すように、使用者が主引出し3を正面側にさらに引き出すことによって、主引出し3に設けられたトリガーピン14が、係合溝18bに係合することで、トリガーピン14がカム18を解放回動方向に回動させる。
【0045】
図8(b)に示すように、係止部17cの位置が軸18aと係止部18dを結ぶ仮想線V1を越える位置まで、トリガーピン14がカム18を解放回動方向に回動させると、バネ19が圧縮されるようになり、バネ19に蓄積されていた弾性エネルギーが解放され、バネ19がカム18を強制的に回動させるようになる。
【0046】
更に、図8(b)から図8(c)に示すように、バネ19によりカム18が強制的に解放回動方向に回動することで、カム18の回動力が、トリガーピン14を正面側に押圧するように働くようになる。このとき副引出し4の重量は主引出し3の重量よりも軽く、さらに主引出し3は、使用者によって把手7を把持されているので、カム18がトリガーピン14を正面側に押圧することで、その反力により、副引出し4が閉鎖方向(後方向)に移動されるようになる。
【0047】
図5に示すように、バネ機構16が設けられている副引出し4は、バネ19の付勢力により移動エネルギーが付与され、キャビネット本体2内の収納位置まで移動する。尚、副引出し4は、収納位置の近傍で、スライドレール15の後端部に設けられたソフトクローザー11によって減速されて、閉鎖完了時にスムーズに副引出し4の移動が停止される。
【0048】
そして、副引出し4がキャビネット本体2内の収納位置まで移動した後に、主引出し3が主引出しの引出限界位置S1まで引き出され、収納部5aが上方に最も大きく開口した状態となり、使用者は主引出し3内の収納物を容易に出し入れすることができる。
【0049】
主引出しの引出限界位置S1から主引出し3をキャビネット本体2内の収納位置に移動させる際には、先ず、図5に示す状態から使用者が把手7を掴んで主引出し3を閉鎖方向(後方向)に向かって移動させる。
【0050】
図6及び図9(a)に示すように、主引出し3を閉鎖方向に向かって移動させていくと、トリガーピン14がバネ機構16のカム18の係合溝18bに係合する。そして、図9(b)に示すように、トリガーピン14が係合溝18bに係合した状態で主引出し3をさらに閉鎖方向(後方向)に移動させることで、カム18がトリガーピン14により蓄積回動方向に回動される。このように、主引出し3の閉鎖方向に移動するときの移動エネルギーが、カム18の回動によりバネ19が伸張して弾性変形される弾性エネルギーとして変換されて蓄積される。
【0051】
そして、図7及び図9(c)に示すように、さらに主引出し3を閉鎖方向(後方向)に移動させることで、カム18の係止部18dが仮想線V1を越えるまで蓄積回動方向に回動させ、バネ19が移動エネルギーを蓄積する。
【0052】
更に、図7に示すように、バネ機構16に移動エネルギーを蓄積した後に、スライドレール10の後端部に設けられたソフトクローザー11によって主引出し3が減速されて、閉鎖完了時にスムーズに主引出し3の移動が停止される。尚、主引出し3がキャビネット本体2内の収納位置に停止するとともに、主引出し3の永久磁石13が副引出し4の金属片12に磁着され、主引出し3と副引出し4が連結される。
【0053】
以上、本実施例におけるキッチンキャビネット1では、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16が、主引出し3が閉鎖方向に移動するときに移動エネルギーを蓄積することで、主引出し3と副引出し4とを引き出すときには、バネ機構16が両引出し3,4に対していかなる反発力も生じさせないため、主引出し3と副引出し4とを引き出し易くなる。そのため主引出し3と副引出し4とが連動している状態であっても、使用者が主引出し3から手を放すことができ、副引出し4内の収納物を容易に取り出すことができる。
【0054】
また、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16が、主引出し3と副引出し4とが連動するときに、移動エネルギーを保持することで、主引出し3と副引出し4とが連動している状態では、両引出し3,4を開放方向に移動させても、閉鎖方向に移動させても、バネ機構16に蓄積された移動エネルギーが両引出し3,4に対していかなる反発力も生じさせず、蓄積されている移動エネルギーを解放する虞もないため、両引出し3,4の引き出し操作を行い易くなる。
【0055】
また、主引出し3が、副引出し4が引き出される引出限界位置S2よりもさらに引き出されて主引出し3と副引出し4との連動が解除された後に、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16が、移動エネルギーを解放することで、主引出し3と副引出し4とが連動している状態では、使用者は、副引出し4が閉鎖方向に移動することがないことを認識しながら、両引出し3,4の引き出し操作を行うことができ、かつ使用者が、副引出し4を閉鎖方向に移動させたい場合には、主引出し3を副引出し4の引出限界位置S2よりもさらに引き出すようにすればよく、主引出し3及び副引出し4の使い勝手がよくなる。
【0056】
尚、主引出し3と副引出し4との連動が解除されてから、主引出し3が所定距離引き出された後に、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16の移動エネルギーが解放されるように設定すれば、両引出し3,4の連動が解除されたことを使用者が認識することで、使用者は、副引出し4が引出限界位置S2にあることを容易に認識することができ、使用者は、両引出し3,4の連結が解除された直後に、主引出し3を引き出す操作をやめれば、副引出し4を最も大きく開口した状態で使用することができる。
【0057】
また、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16は、弾性体としてのバネ19を変形させることで移動エネルギーを蓄積することで、エネルギー蓄積手段を容易に構成することができる。
【0058】
また、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16は、回動自在に設けられた回動部材としてのカム18と、このカム18を、移動エネルギーを解放する解放回動方向、または移動エネルギーを蓄積する蓄積回動方向のいずれか一方向に回動付勢する付勢部材としてのバネ19と、を有し、主引出し3は、前記両回動方向を切り換える切換手段としてのトリガーピン14を備えることで、トリガーピン14がバネ19によるカム18の回動付勢方向を切り換えることで、移動エネルギーがバネ機構16に蓄積されたり、解放されたりするようになり、カム18とバネ19という簡素な構成でバネ機構16を製作できる。
【0059】
また、主引出し3と副引出し4とは、互いに設けられた磁性体としての金属片12及び永久磁石13の吸引力によって連動されることで、金属片12及び永久磁石13の吸引力を利用して、主引出し3と副引出し4との連動及び解除を容易に行うことができる。
【0060】
また、副引出し4の奥行き長さは、主引出し3の奥行き長さよりも短く構成され、主引出し3と副引出し4とは、互いの後部同士が磁性体としての金属片12及び永久磁石13により連結されることで、主引出し3の前部側には、副引出し4に干渉されない収納空間としての空間部9が形成されるようになり、副引出し4を閉鎖方向に移動させなくても主引出し3の前部側に収納された収納物を取り出すことができ、かつ主引出し3の前部側に背の高い収納物を収納させることもできる。
【0061】
また、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16が移動エネルギーを蓄積した後に、主引出し3が閉鎖方向に移動する移動速度を減速させる減速手段としてのソフトクローザー11を備えることで、主引出し3が閉鎖方向に移動する移動エネルギーが、ソフトクローザー11により低減されていない状態で、移動エネルギーをバネ機構16に蓄積できるため、大きな移動エネルギーを蓄積し易くなっており、かつソフトクローザー11により主引出し3の閉鎖完了時にスムーズに主引出し3の移動を停止させることができる。
【実施例2】
【0062】
次に、実施例2に係るキャビネットにつき、図10及び図11を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。図10は、実施例2における主引出しの引出し時にトリガーピンが錘機構のカムに係合する状態を示す拡大縦断側面図であり、図11は、錘機構が動作して後方に付勢される状態を示す拡大縦断側面図である。以下、図10、図11の紙面左方側をキャビネットの正面側(前方側)として説明する。
【0063】
図10に示すように、実施例2におけるエネルギー蓄積手段としての錘機構21は、副引出し4の左右側部8bのスライドレール15下方に設けられている。また、実施例2における錘機構21は、実施例1のバネ機構16のバネ19と異なり、移動エネルギーを蓄積する手段として錘23を用いている。尚、この錘23が実施例2における付勢部材となっている。
【0064】
より詳述すると、エネルギー蓄積手段としての錘機構21は、下部(紙面下方)に開口部25bを有するケース体25内で、端部に錘23を一体的に設けた本実施例における回動部材としてのカム22が軸支されている。実施例2では、副引出し4を閉鎖方向に移動させる移動エネルギーを錘機構21の錘23の位置エネルギーとして蓄積するようになっている。
【0065】
尚、図10に示すように、錘機構21のカム22は、錘23がカム22の軸22bを通って垂直に延びる仮想垂直線V2よりも前方側にあるときには、錘23はカム22を蓄積回動方向(側面視で反時計回り)に回動付勢する。そして、カム22の回動はストッパー20により規制され、カム22は錘23の位置エネルギーを蓄積できる。また、図11に示すように、錘23が仮想垂直線V2よりも後方側にあるときには、錘23はカム22を解放回動方向(側面視で時計回り)に回動付勢するようになっている。
【0066】
また、主引出し3の後端部に設けられている本実施例における切換手段としてのトリガーピン24は、主引出し3の後端部から立設されて水平に屈曲されており、正面視でL字形状をなしている。トリガーピン24の端部は、錘機構21のカム22に形成された係合溝22aに係合可能となっている。
【0067】
図10に示すように、錘機構21が仮想垂直線V2よりも前方側に位置しているとき、すなわち錘機構21に位置エネルギーが蓄積されている状態から、位置エネルギーを解放する際には、先ず、主引出し3を引き出すことによって、主引出し3に設けられたトリガーピン24をカム22の係合溝22aに係合させる。そして、主引出し3を使用者が引き出すことでカム22が解放回動方向に回動を開始する。
【0068】
図11に示すように、カム22がトリガーピン24により解放回動方向に回動され、この回動によって錘23が仮想垂直線V2よりも後方になると、錘23がカム22を強制的に解放回動方向に回動させようとする。そして、錘23の位置エネルギーがカム22を解放回動方向に強制的に回動させることで、カム22の回動力が、トリガーピン24を正面側に押圧するように働くようになる。カム22がトリガーピン24を正面側に押圧することで、副引出し4が閉鎖方向(後方向)に移動されるようになる。
【0069】
尚、錘機構21に再び位置エネルギーを蓄積するには、引き出された主引出し3をキャビネット本体2内の収納位置に移動させる際に、トリガーピン24を図11に示すように、係合溝22aに係合させることで、カム22が蓄積回動方向に回動され、錘23を仮想垂直線V2よりも正面側に移動され、主引出し3の閉鎖方向への移動エネルギーが錘機構21の錘23の位置エネルギーとして蓄積される。
【0070】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0071】
例えば、前記実施例1,2では、主引出し3と副引出し4とを磁性体としての永久磁石13と金属片12を磁着させることによって連結させるようにしているが、主引出し3と副引出し4とを連結(連動)させるためには、必ずしも磁性体を用いる必要はなく、主引出し3と副引出し4に雄具と雌具からなるジョイント部材を設け、雄具と雌具とを連結させつつ、所要の外力が加わった際に分離できるようにしてもよい。
【0072】
また、前記実施例1,2では、主引出し3の後端上部に永久磁石13を設け、副引出し4の後端下部に金属片12を設けているが、例えば、主引出し3の側部5bの途中上部に永久磁石13を設けるとともに、副引出し4の前端下部に金属片12を設けてもよいし、また、副引出し4の奥行き長さを主引出し3の奥行き長さと略同一に形成して、主引出し3の前端上部に永久磁石13を設けるとともに、副引出し4の前端下部に金属片12を設けるようにしてもよく、主引出し3及び副引出し4において永久磁石13や金属片12を設ける位置は、特に限定されるものではない。
【0073】
また、前記実施例1,2では、主引出し3に永久磁石13を設け、副引出し4に金属片12を設けているが、主引出し3と副引出し4とに、それぞれ極性の異なる永久磁石を設けるようにしてもよいし、主引出し3に金属片を設け、副引出し4に永久磁石を設けるようにしてもよい。
【0074】
また、前記実施例1では、移動エネルギーを蓄積する弾性体としてバネ19を用いているが、弾性体はバネ19に限らず、例えば、エアダンパー内の空気などの弾性を有する流体であってもよい。
【0075】
また、前記実施例1では、バネ機構16がバネ19を伸張させることにより弾性エネルギーを蓄積する構成となっているが、バネ機構16がバネ19を圧縮させて弾性エネルギーを蓄積する構成としてもよい。
【0076】
また、前記実施例1,2では、主引出し3と副引出し4の連動が解除された後に、主引出し3が所定距離引き出された後に、バネ機構16に蓄積された移動エネルギーを解放されているが、主引出し3と副引出し4の連動が解除されると同時に移動エネルギーが解放されてもよい。
【0077】
また、前記実施例1,2では、主引出し3に切換手段としてのトリガーピン14(24)が設けられ、主引出し3と副引出し4の連動が解除された後に、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16(錘機構21)に蓄積された移動エネルギーを解放されているが、切換手段としてのトリガーピンをキャビネット本体2の側板2aに設けたり、切換手段をトリガーピンではなく使用者が押圧するスイッチ等により構成することで、主引出し3と副引出し4の連動が解除される前に、エネルギー蓄積手段の移動エネルギーが解放されるようにしてもよい。
【0078】
また、前記実施例1では、副引出し4の奥行き長さを主引出し3の奥行き長さよりも短く形成し、主引出し3の前板6背面と副引出し4の前端部正面間に形成された空間部9に、背の高い収納物を収納可能としているが、主引出し3及び副引出し4の奥行き長さを略同一寸法に形成し、主引出し3と副引出し4とが連動している状態では、副引出し4によって主引出し3の収納部5aが隠蔽されるようにしてもよい。
【0079】
また、前記実施例1では、トリガーピン14をカム18の係合溝18bに係合させてカム18を回動させているが、主引出し3にラックギアを設け、カム18の端縁に歯形を形成し、ラックギアとカム18に形成した歯形を噛合させることで、カム18を回動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施例1におけるキャビネットの全体像を示す斜視図である。
【図2】キャビネット本体内に主引出し及び副引出しが収納された状態を示す拡大縦断側面図である。
【図3】副引出しが引出限界位置まで引き出された状態を示す拡大縦断側面図である。
【図4】主引出しのトリガーピンがバネ機構に係合する状態を示す拡大縦断側面図である。
【図5】バネ機構が動作して副引出しが後退した状態を示す拡大縦断側面図である。
【図6】主引出しを後方に向かって移動させる際にトリガーピンがバネ機構に係合する状態を示す拡大縦断側面図である。
【図7】バネ機構にエネルギーが蓄積されてソフトクローザーが働く状態を示す拡大縦断側面図である。
【図8】(a)は、主引出しの引出し時にトリガーピンがバネ機構のカムに係合する状態を示す横断平面図であり、(b)は、バネ機構が動作して後方に付勢される状態を示す横断平面図であり、(c)は、バネ機構が後退する状態を示す横断平面図である。
【図9】(a)は、主引出しの閉鎖時にトリガーピンがバネ機構のカムに係合する状態を示す横断平面図であり、(b)は、バネ機構にエネルギーが蓄積される状態を示す横断平面図であり、(c)は、バネ機構にエネルギーが蓄積完了した状態を示す横断平面図である。
【図10】実施例2における主引出しの引出し時にトリガーピンが錘機構のカムに係合する状態を示す拡大縦断側面図である。
【図11】錘機構が動作して後方に付勢される状態を示す拡大縦断側面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 キャビネット
2 キャビネット本体
3 主引出し
4 副引出し
9 空間部(収納空間)
11 ソフトクローザー(減速手段)
12 金属片(磁性体)
13 永久磁石(磁性体)
14 トリガーピン(切換手段)
16 バネ機構(エネルギー蓄積手段)
18 カム(回動部材)
19 バネ(弾性体,付勢部材)
21 錘機構(エネルギー蓄積手段)
22 カム(回動部材)
23 錘(付勢部材)
24 トリガーピン(切換手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、主引出しと連動して引き出される副引出しを備え、エネルギー蓄積手段に蓄積された移動エネルギーを解放させることで、副引出しを閉鎖方向に移動させるキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャビネットに設けられる引出し装置には、引出し(主引出し)と、引出しの上方に設けられた内引出し(副引出し)とを備え、この引出しの扉裏面には、永久磁石が設けられるとともに、内引出しの前面部にも永久磁石が設けられており、引出しをキャビネット内から引き出す際に、永久磁石同士が磁着されることにより、引出しの移動に連動して内引出しが引き出されるようになっている。この内引出しの後端下部には、バネ(エネルギー蓄積手段)が取り付けられており、内引出しが引出しとともに引き出される際に、バネがキャビネット本体の前面板の裏面に当接して圧縮され、両引出しが開放方向に移動する移動エネルギーをバネに蓄積し、内引出しの引き出し限界よりも引出しを引き出された際に、前記永久磁石同士が分離して、バネが伸張する弾性力(作用)を利用して内引出しが閉鎖方向に移動するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−141796号公報(第5頁、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の引出し装置にあっては、内引出し(副引出し)が自動的に閉鎖方向に移動されるため、使用者は内引出しを操作しなくてもよく、使い勝手がよくなっているが、両引出しが連動されながら開放方向に移動する際に、その移動エネルギーをバネ(エネルギー蓄積手段)に蓄積するようになっているため、両引出しを引き出す際には、バネの弾性力(作用)に抗する力で引き出さなければならず、引き出し操作がスムーズに行えないばかりか、引出しと内引出しが分離する前に、使用者が把手から手を放してしまうと、バネに蓄積されたエネルギーが解放されてしまい、引出しと内引出しとが閉鎖方向に移動してしまう虞があり、内引出し内の収納物を取り出す際には、常に使用者が引出しの把手を把持していなければならず、使用者の片手が塞がってしまうので内引出しの収納物が取り出し難くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、エネルギー蓄積手段に蓄積された移動エネルギーを解放させることにより、副引出しが閉鎖方向に移動されるキャビネットにおいて、主引出しと副引出しとを引き出す際に、主引出しと副引出しとが閉鎖方向に移動する虞がなく、かつ副引出し内の収納物を取り出し易いキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のキャビネットは、
主引出しと、該主引出しと連動して引き出される副引出しと、該副引出しを閉鎖方向に移動させる移動エネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段と、を備えるキャビネットであって、
前記エネルギー蓄積手段は、前記主引出しが閉鎖方向に移動するときに前記移動エネルギーを蓄積することを特徴としている。
この特徴によれば、主引出しと副引出しとを引き出すときには、エネルギー蓄積手段は両引出しに対していかなる作用も生じさせないため、主引出しと副引出しとを引き出し易くなる。そのため主引出しと副引出しとが連動している状態であっても、使用者が主引出しから手を放すことができ、使用者は両手を用いて副引出し内の収納物を容易に取り出すことができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載のキャビネットは、請求項1に記載のキャビネットであって、
前記エネルギー蓄積手段は、前記主引出しと前記副引出しとが連動するときに、前記移動エネルギーを保持することを特徴としている。
この特徴によれば、主引出しと副引出しとが連動している状態では、両引出しを開放方向に移動させても、閉鎖方向に移動させても、エネルギー蓄積手段に蓄積された移動エネルギーが両引出しに対していかなる作用も生じさせず、蓄積されている移動エネルギーを解放する虞もないため、両引出しの引き出し操作を行い易くなる。
【0008】
本発明の請求項3に記載のキャビネットは、請求項1または2に記載のキャビネットであって、
前記主引出しが、前記副引出しが引き出される引出限界位置よりもさらに引き出されて前記主引出しと前記副引出しとの連動が解除された後に、前記エネルギー蓄積手段は、前記移動エネルギーを解放することを特徴としている。
この特徴によれば、主引出しと副引出しとが連動している状態では、使用者は、副引出しが閉鎖方向に移動することがないことを認識しながら、両引出しの引き出し操作を行うことができ、かつ使用者が、副引出しを閉鎖方向に移動させたい場合には、主引出しを副引出しの引出限界位置よりもさらに引き出すようにすればよく、主引出し及び副引出しの使い勝手がよくなる。
尚、主引出しと副引出しとの連動が解除されてから、主引出しが所定距離引き出された後に、エネルギー蓄積手段の移動エネルギーが解放されるように設定すれば、両引出しの連動が解除されたことを使用者が認識することで、使用者は、副引出しが引出限界位置にあることを容易に認識することができ、使用者は、両引出しの連結が解除された直後に、主引出しを引き出す操作をやめれば、副引出しを最も大きく開口した状態で使用することができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載のキャビネットは、請求項1ないし3のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記エネルギー蓄積手段は、弾性体を変形させることで前記移動エネルギーを蓄積することを特徴としている。
この特徴によれば、変形して移動エネルギーを蓄積できる弾性体を用いてエネルギー蓄積手段を容易に構成することができる。
【0010】
本発明の請求項5に記載のキャビネットは、請求項1ないし4のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記エネルギー蓄積手段は、回動自在に設けられた回動部材と、該回動部材を、前記移動エネルギーを解放する解放回動方向、または前記移動エネルギーを蓄積する蓄積回動方向のいずれか一方向に回動付勢する付勢部材と、を有し、前記両回動方向を切り換える切換手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、切換手段が付勢部材による回動部材の回動付勢方向を切り換えることで、移動エネルギーがエネルギー蓄積手段に蓄積されたり、解放されたりするようになり、回動部材と付勢部材という簡素な構成でエネルギー蓄積手段を製作できる。
【0011】
本発明の請求項6に記載のキャビネットは、請求項1ないし5のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記主引出しと前記副引出しとは、互いに設けられた磁性体同士の吸引力によって連動されることを特徴としている。
この特徴によれば、磁性体を主引出しと副引出しとに設けるだけで、磁性体同士の吸引力を利用して、主引出しと副引出しとの連動及び解除を容易に行うことができる。
【0012】
本発明の請求項7に記載のキャビネットは、請求項6に記載のキャビネットであって、
前記副引出しの奥行き長さは、前記主引出しの奥行き長さよりも短く構成され、前記主引出しと前記副引出しとは、互いの後部同士が前記磁性体により連結されることを特徴としている。
この特徴によれば、主引出しの前部側には、副引出しに干渉されない収納空間が形成されるようになり、副引出しを閉鎖方向に移動させなくても主引出しの前部側に収納された収納物を取り出すことができ、かつ主引出しの前部側に背の高い収納物を収納させることもできる。
【0013】
本発明の請求項8に記載のキャビネットは、請求項1ないし7のいずれかに記載のキャビネットであって、
前記エネルギー蓄積手段が前記移動エネルギーを蓄積した後に、前記主引出しが閉鎖方向に移動する移動速度を減速させる減速手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、主引出しが閉鎖方向に移動する移動エネルギーが、減速手段により低減されていない状態で、移動エネルギーをエネルギー蓄積手段に蓄積できるため、大きな移動エネルギーを蓄積し易くなっており、かつ減速手段により主引出しの閉鎖完了時にスムーズに主引出しの移動を停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るキャビネットを実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例1におけるキャビネットの全体像を示す斜視図であり、図2は、キャビネット本体内に主引出し及び副引出しが収納された状態を示す拡大縦断側面図であり、図3は、副引出しが引出限界位置まで引き出された状態を示す拡大縦断側面図であり、図4は、主引出しのトリガーピンがバネ機構に係合する状態を示す拡大縦断側面図であり、図5は、バネ機構が動作して副引出しが後退した状態を示す拡大縦断側面図であり、図6は、主引出しを後方に向かって移動させる際にトリガーピンがバネ機構に係合する状態を示す拡大縦断側面図であり、図7は、バネ機構にエネルギーが蓄積されてソフトクローザーが働く状態を示す拡大縦断側面図であり、図8(a)は、主引出しの引出し時にトリガーピンがバネ機構のカムに係合する状態を示す横断平面図であり、図8(b)は、バネ機構が動作して後方に付勢される状態を示す横断平面図であり、図8(c)は、バネ機構が後退する状態を示す横断平面図であり、図9(a)は、主引出しの閉鎖時にトリガーピンがバネ機構のカムに係合する状態を示す横断平面図であり、図9(b)は、バネ機構にエネルギーが蓄積される状態を示す横断平面図であり、図9(c)は、バネ機構にエネルギーが蓄積完了した状態を示す横断平面図である。以下、図2、図3、図4、図5、図6、図7の紙面左方側をキャビネットの正面側(前方側)とし、図8、図9の紙面下方側をキャビネットの正面側(前方側)として説明する。
【0016】
図1の符号1は、本発明の適用されたキャビネットである。このキャビネット1は書類や食器、日用雑貨等、多岐に亘って収納可能となっている。このキャビネット1は、正面側に開口する開口部を有するキャビネット本体2を有し、このキャビネット本体2の開口部には、複数(2つ)の主引出し3が設けられている。尚、この主引出し3内には、副引出し4が設けられている。
【0017】
図2に示すように、主引出し3は、キャビネット本体2内に収納される収納箱体5と、使用者が把持する把手7を有する前板6と、から構成されている。収納箱体5は、上方に開口した収納部5aを有する略箱体状に形成されている(図1参照)。
【0018】
また、主引出し3は、キャビネット本体2内に収納(閉鎖)されて主引出し3の収納位置と、主引出し3が正面側に限界まで引き出される主引出しの引出限界位置S1との間で、前後方向に移動できるようになっている(図5参照)。尚、主引出し3の前板6は、主引出し3がキャビネット本体2内に収納された状態で、副引出し4を正面から隠蔽する大きさに形成されている。
【0019】
主引出し3の収納部5a上方には、上方に開口する収納部8aを備えた略箱状の収納箱体8を有する副引出し4が設けられている(図1参照)。尚、副引出し4の重量は、主引出し3の重量よりも軽く形成されるとともに、副引出し4の奥行き長さは、主引出し3の奥行き長さよりも短く形成されている。
【0020】
また、副引出し4は、主引出し3と同じく、キャビネット本体2内の副引出し4の収納位置と、副引出し4が正面側に限界まで引き出される副引出しの引出限界位置S2との間で前後方向に移動できるようになっている(図3参照)。
【0021】
尚、主引出し3の前板6の背面側と、副引出し4の収納箱体8正面側との間には、所定の前後幅を有する空間部9(収納空間)が設けられている。この空間部9が設けられることにより、主引出し3の前部側に背の高い収納物を収納させることができる。
【0022】
本実施例では、キャビネット1の右側とは、使用者がキャビネット1の正面に立って右側のことであり、キャビネット1の左側とは、使用者がキャビネット1の正面に立って左側のこととして以下に説明する。
【0023】
図1に示すように、主引出し3の左右側部5bとキャビネット本体2の側板2a間には、主引出し3を前後方向に摺動させるスライドレール10が設けられている。このスライドレール10によって、主引出し3は、主引出し3の収納位置と主引出しの引出限界位置S1との間で、開放方向(前方向)及び閉鎖方向(後方向)に自在に移動できるようになっている(図5参照)。
【0024】
また、図2に示すように、スライドレール10の後端部には、主引出し3がキャビネット本体2内に収納されるときに、主引出し3の移動速度を減速させるための本実施例における減速手段としてのソフトクローザー11(緩衝装置)が設けられている。
【0025】
更に、図2に示すように、主引出し3の収納箱体5の背板5cの背面側には、後述する副引出し4の金属片12(磁性体)に吸引される永久磁石13(磁性体)が設けられている。更に、背板5cの上端部には、本実施例における切換手段としてのトリガーピン14が副引出し4に向けて立設されている(図8(a)参照)。
【0026】
図1に示すように、副引出し4の左右側部8bとキャビネット本体2の側板2a間には、主引出し3と同じくスライドレール15が設けられている。このスライドレール15によって、副引出し4は、副引出し4の収納位置と副引出しの引出限界位置S2との間で、前後方向に移動できるようになっている。
【0027】
また、スライドレール15の後端部には、スライドレール10と同じくソフトクローザー11が設けられている。尚、図3及び図5に示すように、キャビネット本体2の正面側から主引出しの引出限界位置S1までの距離は、キャビネット本体2の正面側から副引出しの引出限界位置S2までの距離よりも長くなっている。
【0028】
図2に示すように、副引出し4の後端部には、本実施例における磁性体としての金属片12が下方に向かって延設されており、この金属片12は、前述した主引出し3の永久磁石13に吸着されるようになっている。これら永久磁石13と金属片12とが、互いに吸引して接合されることによって、主引出し3と副引出し4とが連結されるようになっており、主引出し3がキャビネット本体2内から引き出されると、副引出し4が主引出し3に連動してキャビネット本体2内から引き出されるようになる。
【0029】
また、図1及び図2に示すように、副引出し4の下面における右方側には、本実施例におけるエネルギー蓄積手段としてのバネ機構16が設けられている。図8(a)に示すように、バネ機構16は、左方側に外部と連通する開口部17bが形成された薄型箱体形状をなすケース体17を有し、このケース体17内には、本実施例における回動部材としてのカム18が配置され、ケース体17には、カム18の軸18aを軸支する軸孔17aが形成されている。
【0030】
また、カム18は、平面視で略半円形状に形成され、この半円の中心に軸18aが設けられている。更に、カム18の一部は、ケース体17の開口部17bから外部に突出されるようになっている。更に、カム18を回動付勢する本実施例における弾性体及び付勢部材としてのバネ19(コイルバネ)が設けられている。また、ケース体17の内壁下面には、上方に向かって平面視で円形状をなすストッパー20が立設されている。
【0031】
また、カム18の円弧を形成している端縁部から径方向にかけて、主引出し3のトリガーピン14が係合する係合溝18bが形成されている。尚、この係合溝18bは、後述するように、主引出し3に固定されたトリガーピン14が係合状態を維持できるように、径方向にむかって所定の長さを有している。
【0032】
更に、カム18には、ストッパー20が挿通される平面視で略円弧状をなす規制溝18cが形成されている。この規制溝18c内にストッパー20が配置されることによって、カム18の回動範囲が規制されている。尚、カム18の回動範囲が規制されることによって、係合溝18bは、常にカム18の開口部17bからケース体17の外部に突出されるようになっている。
【0033】
図8(c)に示すように、カム18の上面側(紙面手前側)において、軸18aと規制溝18c間には、バネ19を係止する係止部18dが設けられているとともに、ケース体17の右後端部には、同じくバネ19を係止する係止部17cが設けられている。これら係止部17c,18d間にバネ19が掛け渡されている。尚、バネ19は、伸張して弾性変形することで、その弾性力を蓄積するようになっているとともに、圧縮して弾性復元することで、その弾性力を解放するようになっている。
【0034】
尚、図8(a)に示すように、バネ19が伸張された状態から図8(c)に示すように、バネ19が圧縮された状態になる回動方向、すなわちカム18が平面視で反時計回りに回動する回動方向を解放回動方向と称する。更に尚、図9(a)に示すように、バネ19が圧縮された状態から図9(c)に示すように、バネ19が伸張された状態になる回動方向、すなわちカム18が平面視で時計回りに回動する回動方向を蓄積回動方向と称する。
【0035】
図9(a)から図9(c)に示すように、バネ機構16のカム18の係合溝18bにトリガーピン14が係合することによって、カム18が蓄積回動方向に回動されると、カム18の上面に設けられている係止部18dも蓄積回動方向に回動するので、バネ19は係止部17cを固定端としてカム18を蓄積回動方向に回動付勢する。それに伴ってバネ19は伸張して弾性エネルギーが蓄積される。
【0036】
図9(c)に示すように、ストッパー20が規制溝18cを係止することで、カム18の蓄積回動方向の回動が停止される。このとき、バネ19には、伸張されたことにより元の長さに圧縮しようとする復元力が働き、係止部18dが係止部17cと軸18aを結ぶ仮想線V1を越えた位置でカム18の回動が停止されているため、バネ19の復元力はカム18を蓄積回動方向に付勢するようになり、バネ19は伸張された状態、すなわち弾性エネルギーを蓄積した状態で保持される。
【0037】
図8(a)から図8(c)に示すように、バネ機構16のカム18の係合溝18bにトリガーピン14が係合することによって、カム18が解放回動方向に回動されると、カム18の上面に設けられている係止部18dも解放回動方向に回動するので、バネ19は係止部17cを固定端としてカム18を解放回動方向に回動付勢する。それに伴ってバネ19は圧縮して弾性エネルギーが解放される。
【0038】
このとき、係止部18dが係止部17cと軸18aを結ぶ仮想線V1を越えると、カム18の蓄積回動方向に働いていたバネ19の復元力の向きがカム18の解放回動方向に切り換えられるので、バネ19は復元力によりカム18を解放回動方向に回動させながら図8(c)に示すように、元の圧縮された長さに戻る。
【0039】
尚、後述するように、バネ機構16と金属片12との間には、所定の間隔が形成されている。副引出し4のスライドレール15が限界まで引き出されることによって、副引出しが引出限界位置S2まで引き出され、主引出し3と副引出し4の連結が解除されると、主引出し3に設けられたトリガーピン14は、バネ機構16と金属片12との間を所定距離移動した後に、バネ機構16のカム18の係合溝18bに係合するようになっている。
【0040】
図2に示すように、キャビネット1内の収納位置に収納されている状態の主引出し3を、使用者が把手7を把持して正面側に引き出すと、図3に示すように、主引出し3と副引出し4とは、それぞれの後部に設けられた永久磁石13と金属片12によって連結された状態で引き出されるようになっている。
【0041】
また、このときのバネ機構16内のバネ19は、図8(a)に示すように、既にエネルギーが蓄積された状態となっているが、主引出し3と副引出し4が連動している状態であるので、トリガーピン14が係合されることがなく、バネ19はエネルギーを蓄積さした状態で保持されている。
【0042】
図3に示すように、使用者が主引出し3を正面側にさらに引き出し続けると、主引出し3に連動されて引き出されている副引出し4が、副引出しの引出限界位置S2に到達する。このとき、使用者が主引出し3を正面側に引き出す力が、永久磁石13と金属片12の磁着状態を解除する方向に働くので、使用者は永久磁石13と金属片12の磁着する吸引力を抵抗として感知し、副引出し4が副引出しの引出限界位置S2に到達したことを認識することができる。尚、使用者が副引出し4を使用する場合には、この副引出し4が副引出しの引出限界位置S2に到達したときが最も収納部8aを大きく開放して使用することができるので、収納物の取り出しや収納を容易に行うことができる。
【0043】
また、使用者が主引出し3を使用する場合には、図3に示す状態から主引出し3を正面側にさらに引き出すことで、永久磁石13と金属片12の磁着を解除し、主引出し3と副引出し4の連動を解除する。そして、図4に示すように、主引出し3と副引出し4の連動を解除した状態から、使用者が主引出し3を正面側に引き出すことで、主引出し3に設けられたトリガーピン14が、副引出し4の下面に設けられたバネ機構16の係合溝18bに係合する。尚、使用者はトリガーピン14が係合溝18bに係合する前であれば永久磁石13と金属片12の磁着が解除されていても副引出し4を使用することができる。
【0044】
そして、図4及び図8(a)に示すように、使用者が主引出し3を正面側にさらに引き出すことによって、主引出し3に設けられたトリガーピン14が、係合溝18bに係合することで、トリガーピン14がカム18を解放回動方向に回動させる。
【0045】
図8(b)に示すように、係止部17cの位置が軸18aと係止部18dを結ぶ仮想線V1を越える位置まで、トリガーピン14がカム18を解放回動方向に回動させると、バネ19が圧縮されるようになり、バネ19に蓄積されていた弾性エネルギーが解放され、バネ19がカム18を強制的に回動させるようになる。
【0046】
更に、図8(b)から図8(c)に示すように、バネ19によりカム18が強制的に解放回動方向に回動することで、カム18の回動力が、トリガーピン14を正面側に押圧するように働くようになる。このとき副引出し4の重量は主引出し3の重量よりも軽く、さらに主引出し3は、使用者によって把手7を把持されているので、カム18がトリガーピン14を正面側に押圧することで、その反力により、副引出し4が閉鎖方向(後方向)に移動されるようになる。
【0047】
図5に示すように、バネ機構16が設けられている副引出し4は、バネ19の付勢力により移動エネルギーが付与され、キャビネット本体2内の収納位置まで移動する。尚、副引出し4は、収納位置の近傍で、スライドレール15の後端部に設けられたソフトクローザー11によって減速されて、閉鎖完了時にスムーズに副引出し4の移動が停止される。
【0048】
そして、副引出し4がキャビネット本体2内の収納位置まで移動した後に、主引出し3が主引出しの引出限界位置S1まで引き出され、収納部5aが上方に最も大きく開口した状態となり、使用者は主引出し3内の収納物を容易に出し入れすることができる。
【0049】
主引出しの引出限界位置S1から主引出し3をキャビネット本体2内の収納位置に移動させる際には、先ず、図5に示す状態から使用者が把手7を掴んで主引出し3を閉鎖方向(後方向)に向かって移動させる。
【0050】
図6及び図9(a)に示すように、主引出し3を閉鎖方向に向かって移動させていくと、トリガーピン14がバネ機構16のカム18の係合溝18bに係合する。そして、図9(b)に示すように、トリガーピン14が係合溝18bに係合した状態で主引出し3をさらに閉鎖方向(後方向)に移動させることで、カム18がトリガーピン14により蓄積回動方向に回動される。このように、主引出し3の閉鎖方向に移動するときの移動エネルギーが、カム18の回動によりバネ19が伸張して弾性変形される弾性エネルギーとして変換されて蓄積される。
【0051】
そして、図7及び図9(c)に示すように、さらに主引出し3を閉鎖方向(後方向)に移動させることで、カム18の係止部18dが仮想線V1を越えるまで蓄積回動方向に回動させ、バネ19が移動エネルギーを蓄積する。
【0052】
更に、図7に示すように、バネ機構16に移動エネルギーを蓄積した後に、スライドレール10の後端部に設けられたソフトクローザー11によって主引出し3が減速されて、閉鎖完了時にスムーズに主引出し3の移動が停止される。尚、主引出し3がキャビネット本体2内の収納位置に停止するとともに、主引出し3の永久磁石13が副引出し4の金属片12に磁着され、主引出し3と副引出し4が連結される。
【0053】
以上、本実施例におけるキッチンキャビネット1では、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16が、主引出し3が閉鎖方向に移動するときに移動エネルギーを蓄積することで、主引出し3と副引出し4とを引き出すときには、バネ機構16が両引出し3,4に対していかなる反発力も生じさせないため、主引出し3と副引出し4とを引き出し易くなる。そのため主引出し3と副引出し4とが連動している状態であっても、使用者が主引出し3から手を放すことができ、副引出し4内の収納物を容易に取り出すことができる。
【0054】
また、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16が、主引出し3と副引出し4とが連動するときに、移動エネルギーを保持することで、主引出し3と副引出し4とが連動している状態では、両引出し3,4を開放方向に移動させても、閉鎖方向に移動させても、バネ機構16に蓄積された移動エネルギーが両引出し3,4に対していかなる反発力も生じさせず、蓄積されている移動エネルギーを解放する虞もないため、両引出し3,4の引き出し操作を行い易くなる。
【0055】
また、主引出し3が、副引出し4が引き出される引出限界位置S2よりもさらに引き出されて主引出し3と副引出し4との連動が解除された後に、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16が、移動エネルギーを解放することで、主引出し3と副引出し4とが連動している状態では、使用者は、副引出し4が閉鎖方向に移動することがないことを認識しながら、両引出し3,4の引き出し操作を行うことができ、かつ使用者が、副引出し4を閉鎖方向に移動させたい場合には、主引出し3を副引出し4の引出限界位置S2よりもさらに引き出すようにすればよく、主引出し3及び副引出し4の使い勝手がよくなる。
【0056】
尚、主引出し3と副引出し4との連動が解除されてから、主引出し3が所定距離引き出された後に、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16の移動エネルギーが解放されるように設定すれば、両引出し3,4の連動が解除されたことを使用者が認識することで、使用者は、副引出し4が引出限界位置S2にあることを容易に認識することができ、使用者は、両引出し3,4の連結が解除された直後に、主引出し3を引き出す操作をやめれば、副引出し4を最も大きく開口した状態で使用することができる。
【0057】
また、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16は、弾性体としてのバネ19を変形させることで移動エネルギーを蓄積することで、エネルギー蓄積手段を容易に構成することができる。
【0058】
また、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16は、回動自在に設けられた回動部材としてのカム18と、このカム18を、移動エネルギーを解放する解放回動方向、または移動エネルギーを蓄積する蓄積回動方向のいずれか一方向に回動付勢する付勢部材としてのバネ19と、を有し、主引出し3は、前記両回動方向を切り換える切換手段としてのトリガーピン14を備えることで、トリガーピン14がバネ19によるカム18の回動付勢方向を切り換えることで、移動エネルギーがバネ機構16に蓄積されたり、解放されたりするようになり、カム18とバネ19という簡素な構成でバネ機構16を製作できる。
【0059】
また、主引出し3と副引出し4とは、互いに設けられた磁性体としての金属片12及び永久磁石13の吸引力によって連動されることで、金属片12及び永久磁石13の吸引力を利用して、主引出し3と副引出し4との連動及び解除を容易に行うことができる。
【0060】
また、副引出し4の奥行き長さは、主引出し3の奥行き長さよりも短く構成され、主引出し3と副引出し4とは、互いの後部同士が磁性体としての金属片12及び永久磁石13により連結されることで、主引出し3の前部側には、副引出し4に干渉されない収納空間としての空間部9が形成されるようになり、副引出し4を閉鎖方向に移動させなくても主引出し3の前部側に収納された収納物を取り出すことができ、かつ主引出し3の前部側に背の高い収納物を収納させることもできる。
【0061】
また、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16が移動エネルギーを蓄積した後に、主引出し3が閉鎖方向に移動する移動速度を減速させる減速手段としてのソフトクローザー11を備えることで、主引出し3が閉鎖方向に移動する移動エネルギーが、ソフトクローザー11により低減されていない状態で、移動エネルギーをバネ機構16に蓄積できるため、大きな移動エネルギーを蓄積し易くなっており、かつソフトクローザー11により主引出し3の閉鎖完了時にスムーズに主引出し3の移動を停止させることができる。
【実施例2】
【0062】
次に、実施例2に係るキャビネットにつき、図10及び図11を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。図10は、実施例2における主引出しの引出し時にトリガーピンが錘機構のカムに係合する状態を示す拡大縦断側面図であり、図11は、錘機構が動作して後方に付勢される状態を示す拡大縦断側面図である。以下、図10、図11の紙面左方側をキャビネットの正面側(前方側)として説明する。
【0063】
図10に示すように、実施例2におけるエネルギー蓄積手段としての錘機構21は、副引出し4の左右側部8bのスライドレール15下方に設けられている。また、実施例2における錘機構21は、実施例1のバネ機構16のバネ19と異なり、移動エネルギーを蓄積する手段として錘23を用いている。尚、この錘23が実施例2における付勢部材となっている。
【0064】
より詳述すると、エネルギー蓄積手段としての錘機構21は、下部(紙面下方)に開口部25bを有するケース体25内で、端部に錘23を一体的に設けた本実施例における回動部材としてのカム22が軸支されている。実施例2では、副引出し4を閉鎖方向に移動させる移動エネルギーを錘機構21の錘23の位置エネルギーとして蓄積するようになっている。
【0065】
尚、図10に示すように、錘機構21のカム22は、錘23がカム22の軸22bを通って垂直に延びる仮想垂直線V2よりも前方側にあるときには、錘23はカム22を蓄積回動方向(側面視で反時計回り)に回動付勢する。そして、カム22の回動はストッパー20により規制され、カム22は錘23の位置エネルギーを蓄積できる。また、図11に示すように、錘23が仮想垂直線V2よりも後方側にあるときには、錘23はカム22を解放回動方向(側面視で時計回り)に回動付勢するようになっている。
【0066】
また、主引出し3の後端部に設けられている本実施例における切換手段としてのトリガーピン24は、主引出し3の後端部から立設されて水平に屈曲されており、正面視でL字形状をなしている。トリガーピン24の端部は、錘機構21のカム22に形成された係合溝22aに係合可能となっている。
【0067】
図10に示すように、錘機構21が仮想垂直線V2よりも前方側に位置しているとき、すなわち錘機構21に位置エネルギーが蓄積されている状態から、位置エネルギーを解放する際には、先ず、主引出し3を引き出すことによって、主引出し3に設けられたトリガーピン24をカム22の係合溝22aに係合させる。そして、主引出し3を使用者が引き出すことでカム22が解放回動方向に回動を開始する。
【0068】
図11に示すように、カム22がトリガーピン24により解放回動方向に回動され、この回動によって錘23が仮想垂直線V2よりも後方になると、錘23がカム22を強制的に解放回動方向に回動させようとする。そして、錘23の位置エネルギーがカム22を解放回動方向に強制的に回動させることで、カム22の回動力が、トリガーピン24を正面側に押圧するように働くようになる。カム22がトリガーピン24を正面側に押圧することで、副引出し4が閉鎖方向(後方向)に移動されるようになる。
【0069】
尚、錘機構21に再び位置エネルギーを蓄積するには、引き出された主引出し3をキャビネット本体2内の収納位置に移動させる際に、トリガーピン24を図11に示すように、係合溝22aに係合させることで、カム22が蓄積回動方向に回動され、錘23を仮想垂直線V2よりも正面側に移動され、主引出し3の閉鎖方向への移動エネルギーが錘機構21の錘23の位置エネルギーとして蓄積される。
【0070】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0071】
例えば、前記実施例1,2では、主引出し3と副引出し4とを磁性体としての永久磁石13と金属片12を磁着させることによって連結させるようにしているが、主引出し3と副引出し4とを連結(連動)させるためには、必ずしも磁性体を用いる必要はなく、主引出し3と副引出し4に雄具と雌具からなるジョイント部材を設け、雄具と雌具とを連結させつつ、所要の外力が加わった際に分離できるようにしてもよい。
【0072】
また、前記実施例1,2では、主引出し3の後端上部に永久磁石13を設け、副引出し4の後端下部に金属片12を設けているが、例えば、主引出し3の側部5bの途中上部に永久磁石13を設けるとともに、副引出し4の前端下部に金属片12を設けてもよいし、また、副引出し4の奥行き長さを主引出し3の奥行き長さと略同一に形成して、主引出し3の前端上部に永久磁石13を設けるとともに、副引出し4の前端下部に金属片12を設けるようにしてもよく、主引出し3及び副引出し4において永久磁石13や金属片12を設ける位置は、特に限定されるものではない。
【0073】
また、前記実施例1,2では、主引出し3に永久磁石13を設け、副引出し4に金属片12を設けているが、主引出し3と副引出し4とに、それぞれ極性の異なる永久磁石を設けるようにしてもよいし、主引出し3に金属片を設け、副引出し4に永久磁石を設けるようにしてもよい。
【0074】
また、前記実施例1では、移動エネルギーを蓄積する弾性体としてバネ19を用いているが、弾性体はバネ19に限らず、例えば、エアダンパー内の空気などの弾性を有する流体であってもよい。
【0075】
また、前記実施例1では、バネ機構16がバネ19を伸張させることにより弾性エネルギーを蓄積する構成となっているが、バネ機構16がバネ19を圧縮させて弾性エネルギーを蓄積する構成としてもよい。
【0076】
また、前記実施例1,2では、主引出し3と副引出し4の連動が解除された後に、主引出し3が所定距離引き出された後に、バネ機構16に蓄積された移動エネルギーを解放されているが、主引出し3と副引出し4の連動が解除されると同時に移動エネルギーが解放されてもよい。
【0077】
また、前記実施例1,2では、主引出し3に切換手段としてのトリガーピン14(24)が設けられ、主引出し3と副引出し4の連動が解除された後に、エネルギー蓄積手段としてのバネ機構16(錘機構21)に蓄積された移動エネルギーを解放されているが、切換手段としてのトリガーピンをキャビネット本体2の側板2aに設けたり、切換手段をトリガーピンではなく使用者が押圧するスイッチ等により構成することで、主引出し3と副引出し4の連動が解除される前に、エネルギー蓄積手段の移動エネルギーが解放されるようにしてもよい。
【0078】
また、前記実施例1では、副引出し4の奥行き長さを主引出し3の奥行き長さよりも短く形成し、主引出し3の前板6背面と副引出し4の前端部正面間に形成された空間部9に、背の高い収納物を収納可能としているが、主引出し3及び副引出し4の奥行き長さを略同一寸法に形成し、主引出し3と副引出し4とが連動している状態では、副引出し4によって主引出し3の収納部5aが隠蔽されるようにしてもよい。
【0079】
また、前記実施例1では、トリガーピン14をカム18の係合溝18bに係合させてカム18を回動させているが、主引出し3にラックギアを設け、カム18の端縁に歯形を形成し、ラックギアとカム18に形成した歯形を噛合させることで、カム18を回動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施例1におけるキャビネットの全体像を示す斜視図である。
【図2】キャビネット本体内に主引出し及び副引出しが収納された状態を示す拡大縦断側面図である。
【図3】副引出しが引出限界位置まで引き出された状態を示す拡大縦断側面図である。
【図4】主引出しのトリガーピンがバネ機構に係合する状態を示す拡大縦断側面図である。
【図5】バネ機構が動作して副引出しが後退した状態を示す拡大縦断側面図である。
【図6】主引出しを後方に向かって移動させる際にトリガーピンがバネ機構に係合する状態を示す拡大縦断側面図である。
【図7】バネ機構にエネルギーが蓄積されてソフトクローザーが働く状態を示す拡大縦断側面図である。
【図8】(a)は、主引出しの引出し時にトリガーピンがバネ機構のカムに係合する状態を示す横断平面図であり、(b)は、バネ機構が動作して後方に付勢される状態を示す横断平面図であり、(c)は、バネ機構が後退する状態を示す横断平面図である。
【図9】(a)は、主引出しの閉鎖時にトリガーピンがバネ機構のカムに係合する状態を示す横断平面図であり、(b)は、バネ機構にエネルギーが蓄積される状態を示す横断平面図であり、(c)は、バネ機構にエネルギーが蓄積完了した状態を示す横断平面図である。
【図10】実施例2における主引出しの引出し時にトリガーピンが錘機構のカムに係合する状態を示す拡大縦断側面図である。
【図11】錘機構が動作して後方に付勢される状態を示す拡大縦断側面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 キャビネット
2 キャビネット本体
3 主引出し
4 副引出し
9 空間部(収納空間)
11 ソフトクローザー(減速手段)
12 金属片(磁性体)
13 永久磁石(磁性体)
14 トリガーピン(切換手段)
16 バネ機構(エネルギー蓄積手段)
18 カム(回動部材)
19 バネ(弾性体,付勢部材)
21 錘機構(エネルギー蓄積手段)
22 カム(回動部材)
23 錘(付勢部材)
24 トリガーピン(切換手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主引出しと、該主引出しと連動して引き出される副引出しと、該副引出しを閉鎖方向に移動させる移動エネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段と、を備えるキャビネットであって、
前記エネルギー蓄積手段は、前記主引出しが閉鎖方向に移動するときに前記移動エネルギーを蓄積することを特徴とするキャビネット。
【請求項2】
前記エネルギー蓄積手段は、前記主引出しと前記副引出しとが連動するときに、前記移動エネルギーを保持することを特徴とする請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
前記主引出しが、前記副引出しが引き出される引出限界位置よりもさらに引き出されて前記主引出しと前記副引出しとの連動が解除された後に、前記エネルギー蓄積手段は、前記移動エネルギーを解放することを特徴とする請求項1または2に記載のキャビネット。
【請求項4】
前記エネルギー蓄積手段は、弾性体を変形させることで前記移動エネルギーを蓄積することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項5】
前記エネルギー蓄積手段は、回動自在に設けられた回動部材と、該回動部材を、前記移動エネルギーを解放する解放回動方向、または前記移動エネルギーを蓄積する蓄積回動方向のいずれか一方向に回動付勢する付勢部材と、を有し、前記両回動方向を切り換える切換手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項6】
前記主引出しと前記副引出しとは、互いに設けられた磁性体同士の吸引力によって連動されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項7】
前記副引出しの奥行き長さは、前記主引出しの奥行き長さよりも短く構成され、前記主引出しと前記副引出しとは、互いの後部同士が前記磁性体により連結されることを特徴とする請求項6に記載のキャビネット。
【請求項8】
前記エネルギー蓄積手段が前記移動エネルギーを蓄積した後に、前記主引出しが閉鎖方向に移動する移動速度を減速させる減速手段を備えることを特徴とする請求項1ないし7に記載のキャビネット。
【請求項1】
主引出しと、該主引出しと連動して引き出される副引出しと、該副引出しを閉鎖方向に移動させる移動エネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段と、を備えるキャビネットであって、
前記エネルギー蓄積手段は、前記主引出しが閉鎖方向に移動するときに前記移動エネルギーを蓄積することを特徴とするキャビネット。
【請求項2】
前記エネルギー蓄積手段は、前記主引出しと前記副引出しとが連動するときに、前記移動エネルギーを保持することを特徴とする請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
前記主引出しが、前記副引出しが引き出される引出限界位置よりもさらに引き出されて前記主引出しと前記副引出しとの連動が解除された後に、前記エネルギー蓄積手段は、前記移動エネルギーを解放することを特徴とする請求項1または2に記載のキャビネット。
【請求項4】
前記エネルギー蓄積手段は、弾性体を変形させることで前記移動エネルギーを蓄積することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項5】
前記エネルギー蓄積手段は、回動自在に設けられた回動部材と、該回動部材を、前記移動エネルギーを解放する解放回動方向、または前記移動エネルギーを蓄積する蓄積回動方向のいずれか一方向に回動付勢する付勢部材と、を有し、前記両回動方向を切り換える切換手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項6】
前記主引出しと前記副引出しとは、互いに設けられた磁性体同士の吸引力によって連動されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項7】
前記副引出しの奥行き長さは、前記主引出しの奥行き長さよりも短く構成され、前記主引出しと前記副引出しとは、互いの後部同士が前記磁性体により連結されることを特徴とする請求項6に記載のキャビネット。
【請求項8】
前記エネルギー蓄積手段が前記移動エネルギーを蓄積した後に、前記主引出しが閉鎖方向に移動する移動速度を減速させる減速手段を備えることを特徴とする請求項1ないし7に記載のキャビネット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−61120(P2009−61120A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231835(P2007−231835)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]