説明

キャブ用補強部材、キャブおよび作業機械

【課題】側方荷重に対してキャブ本体を確実に補強できるキャブ用補強部材を提供する。
【解決手段】キャブ本体11にキャブ用補強部材12を取付けた状態で、後側補強部57が後側面部19の後窓44の周囲を覆うことで、後窓44の周囲の強度を向上できるとともに、板状の上側補強部58が、キャブ本体11の天井部20のルーフパネル47の後部を覆うことにより、キャブ本体11の天井部20の強度を向上でき、側方荷重に対してキャブ本体11を確実に補強できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材、これを有するキャブおよびこれを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば油圧ショベルなどの作業機械に搭載されるキャブは、箱形のキャブ本体を備え、このキャブ本体は、床面部の前部両側から立上がる左右のフロントピラーの下部間にフロントクロス部材が設けられているとともに上部間にフロントヘッダが設けられており、これらフロントピラー、フロントクロス部材およびフロントヘッダにより、前側面部に前窓が開口形成されている。
【0003】
また、各フロントピラーの上端部は、後方へと屈曲されて、床面部の後部両側から立上がる左右のリアピラーの上端部に連結され、各フロントピラーの後部にルーフパネルが一体に設けられて、フロントヘッダの後部とルーフパネルの前部との間にてキャブ本体の天井部前側に天窓が開口形成されている。
【0004】
さらに、リアピラーの下端部間には、リアクロス部材およびリアパネルが設けられているとともに上端部間にはリアヘッダが設けられて、リアパネルの上部とリアヘッダの下部との間にてキャブ本体の後側面部上側に後窓が開口形成されている。
【0005】
ところで、油圧ショベルなどは、やむを得ず不整地、傾斜地などで作業をすることがあり、このような場所での作業の際には、何らかのアクシデントにより油圧ショベルが転倒するおそれがある。
【0006】
このような転倒に対してオペレータを保護するために、油圧ショベルなどのキャブの強度が必要になる。
【0007】
しかしながら、油圧ショベルなどのキャブにおいては、オペレータの視界などを考慮すると、各窓の面積を可能な限り大きく取ることが望ましく、一方で、1枚板で形成されているキャブ本体のルーフパネルおよびリアパネルは、各窓を大きく取ると、強度がそれぞれ低下するおそれがある。
【0008】
そこで、キャブ本体にキャブ用補強部材を取付け、キャブ本体の強度を向上した構成が知られている。このようなキャブ用補強部材は、キャブ本体に取付けられた状態で後窓の周囲を枠状に囲む後側枠状部と、この後側枠状部の上部に延設され、キャブ本体に取付けられた状態でルーフパネルの天窓の周囲を枠状に囲む上側枠状部とを有し、キャブ本体に対して溶接、あるいはボルト締めにより固定されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−35316号公報(第4−6頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のキャブ用補強部材では、全体が各窓を避けて枠状に形成されているため、キャブ本体の補強が充分であるとはいえないという問題点を有している。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、側方荷重に対してキャブ本体を確実に補強できるキャブ用補強部材、これを有するキャブおよびこれを備えた作業機械を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、後側面部に窓部を有する箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材であって、キャブ本体に取付けられた状態で窓部の周囲を覆いこの窓部の周囲を補強する枠状の後側補強部と、この後側補強部の上部に延設され、キャブ本体に取付けられた状態でキャブ本体の天井部の少なくとも後部を覆う板状の上側補強部とを具備したものである。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のキャブ用補強部材において、上側補強部と後側補強部との側部に亘って連続したリブ部を備えているものである。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のキャブ用補強部材において、上側補強部が、キャブ本体に取付けられた状態で天井部の前部までを覆うように設けられているものである。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載のキャブ用補強部材において、上側補強部は、天井部の前部に開口した上側窓部を開閉可能なハッチを開いた際のハッチとの干渉を避ける切欠部が前部に設けられているものである。
【0015】
請求項5記載の発明は、後側面部に窓部を有する箱形のキャブ本体と、このキャブ本体に取付けられる請求項1乃至3のいずれか記載のキャブ用補強部材とを具備したキャブである。
【0016】
請求項6記載の発明は、後側面部に窓部を有するとともに天井部の前部に上側窓部を有し、この上側窓部を開閉可能なハッチを有する箱形のキャブ本体と、このキャブ本体に取付けられる請求項4記載のキャブ用補強部材とを具備したキャブである。
【0017】
請求項7記載の発明は、機械本体と、この機械本体に設けられた請求項5または6記載のキャブと、機械本体に作動可能に設けられた作業装置とを具備した作業機械である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、キャブ本体に取付けられた状態で、枠状の後側補強部がキャブ本体の後側面部の窓部の周囲を覆うことで、後側面部の窓部の周囲の強度を向上できるとともに、後側補強部の上部に延設された板状の上側補強部が、キャブ本体の天井部の少なくとも後部を覆うことにより、キャブ本体の天井部の強度を向上でき、側方荷重に対してキャブ本体を確実に補強できる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、上側補強部と後側補強部との側部に亘ってリブ部を連続させることで、キャブ本体の天井部に加わる側方荷重を、リブ部を介して後側補強部およびキャブ本体の後部などにも分散し、側方荷重に対するキャブ本体の強度をより向上できる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、上側補強部を、キャブ本体に取付けられた状態で天井部の前部までを覆うように設けることで、キャブ本体の天井部の強度をより向上できる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、上側補強部の前部に、天井部の前部に開口した上側窓部を開閉可能なハッチを開いた際にこのハッチとの干渉を避ける切欠部を設けることにより、上側窓部をハッチにより開閉するキャブに対応できる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、キャブ用補強部材によりキャブ本体を側方荷重に対して確実に補強できることで、信頼性を向上できる。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、ハッチにより上側窓部を開閉可能なキャブ本体を、キャブ用補強部材により側方荷重に対して確実に補強できることで、ハッチにより上側窓部を開閉してオペレータの視界を確保できるとともに、信頼性を向上できる。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、キャブ用補強部材によりキャブ本体を側方荷重に対して確実に補強したキャブを備えることで、作業可能な領域を拡げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図7を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図7に作業機械としての油圧ショベル1を示し、この油圧ショベル1は、下部走行体2の上部に旋回部3を介して上部旋回体4が旋回可能に設けられた機械本体5を有し、上部旋回体4の前側上部左側に、オペレータの運転空間を囲むキャブ6が搭載されているとともに、上部旋回体4の前部中央に、作業装置7が作動可能に突設されている。
【0027】
そして、キャブ6は、図1乃至図6に示されるように、箱形のキャブ本体11と、このキャブ本体11に着脱可能に取付けられるキャブ用補強部材12とを有している。
【0028】
キャブ本体11は、上部旋回体4(図7)の旋回フレーム上に、図示されないマウント部材を介して搭載される前後に長い略四角形状の床面部15と、この床面部15の左右両側部から上方に立上がる左側面部16および右側面部17と、床面部15の前後両端部から上方に立上がる前側面部18および後側面部19と、これら側面部16,17,18,19の上部に設けられた天井部20とを備えている。
【0029】
そして、このキャブ本体11は、床面部15の四隅にそれぞれ設けられた柱状体としての左フロントピラー22、右フロントピラー23、左リアピラー24および右リアピラー25を備えている。さらに、左フロントピラー22の上端部は、左リアピラー24の上端部へと屈曲されて左サイド部26を形成し、右フロントピラー23の上端部は、右リアピラー25の上端部へと屈曲されて右サイド部27を形成し、両フロントピラー22,23の上端部間は、フロントヘッダ28により連結され、両リアピラー24,25の上端部間は、リアヘッダ29により連結され、また、両フロントピラー22,23の下端部間は、フロントクロス部材30により連結され、両リアピラー24,25の下端部間は、リアクロス部材31により連結されている。
【0030】
床面部15上には、図示しないが、オペレータが座るシートおよびオペレータが操作するコンソールなどが適宜配設されている。また、この床面部15には、コンソールなどと接続される各種配線および配管などがキャブ本体11の外部下側へと導出される図示されない孔部などが設けられている。
【0031】
左側面部16は、図4に示されるように、左フロントピラー22と左サイド部26と左リアピラー24とにより区画され、これら左フロントピラー22と左リアピラー24との間に、上端部が左サイド部26に連結された柱状体としてのドア取付用ピラー32が配設され、このドア取付用ピラー32と左フロントピラー22との間に、オペレータがキャブ本体11内に対して乗降する際に開閉されるドア33が設けられているとともに、ドア取付用ピラー32と左リアピラー24との間に、左サイドパネル34が一体に設けられている。そして、左サイドパネル34の上部には、ドア33の後方に隣接する左窓35が開口形成されている。この左窓35は、図示されない透光性部材により閉塞されている。
【0032】
右側面部17には、図1および図2に示されるように、右フロントピラー23と右サイド部27と右リアピラー25とにより区画され、右フロントピラー23と右リアピラー25との下部間に右サイドパネル36が一体に設けられ、この右サイドパネル36の上部に、右窓37が開口形成されている。この右窓37は、図示されない透光性部材により閉塞されている。
【0033】
前側面部18は、両フロントピラー22,23とフロントヘッダ28とフロントクロス部材30とにより区画されて全体に前窓41が開口形成され、この前窓41は、図示されない透光性部材により閉塞されている。
【0034】
後側面部19は、図1、図3および図5に示されるように、両リアピラー24,25とリアヘッダ29とにより区画され、両リアピラー24,25の下部間かつリアクロス部材31の上部に、例えば1枚板で形成されたリアパネル43が一体に設けられ、このリアパネル43の上部に窓部としての後窓44が開口形成されている。この後窓44は、四角形状に形成され、透光性部材T(図6)により開閉可能となっている。また、この後側面部19の後窓44の下部および上部には、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けるためのボス45,46が、それぞれ複数、例えば3つずつ、左右方向に略等間隔に配設されている。
【0035】
ここで、フロントクロス部材30および各パネル34,36,43の下端部の内側には、取付部材としての鋼材であるハット部材Hが溶接され、これらハット部材Hが床面部15に図示されないボルトなどを介して固定されることで、各側面部16,17,18,19が床面部15と一体的となっている。
【0036】
天井部20は、図1乃至図3に示されるように、両ヘッダ28,29と両サイド部26,27とにより区画され、後側に、例えば1枚板で形成されたルーフパネル47が嵌合されているとともに、このルーフパネル47の前方に上側窓部としての天窓48が開口形成されている。この天窓48は、四角形状に形成され、図示されない扉体により開閉可能となっている。
【0037】
各フロントピラー22,23は、Aピラーとも呼ばれるものであり、ドア取付用ピラー32は、Bピラーとも呼ばれるものであり、また、各リアピラー24,25は、Cピラーとも呼ばれるものであり、これらピラー22,23,24,25,32は、それぞれ鋼板により形成された異型鋼管である。そして、各リアピラー24,25の上端部には、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けるためのボス51,52が突設されている。
【0038】
各サイド部26,27は、略水平状に形成され、各リアピラー24,25側である後側寄りの上部に、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けるためのボス53,54がそれぞれ突設されている。これらボス53,54は、それぞれボス51,52の前方に離間されて位置している。
【0039】
一方、キャブ用補強部材12は、図5に示されるように、キャブ6に側方荷重Fが加わった際に想像線Cに示されるようなキャブ本体11の変形を防止するもので、鋼鉄などの金属によりプレス成形され、図1および図3に示されるように、四角形枠状の後側補強部57と、この後側補強部57の上部から前方へと延設された四角形板状の上側補強部58と、これら補強部57,58の両側縁部に亘って連続したリブ部59とを備え、キャブ本体11の側面視の後部上側に対応して、側面視で逆L字状に屈曲形成されている。
【0040】
後側補強部57は、下端部に左右方向に設けられた下枠部61と、この下枠部61の両側部から上方に突設された左側枠部62および右側枠部63と、これら側枠部62,63の上端部間を連結する上枠部64とを備え、これら下枠部61、各側枠部62,63および上枠部64により、四角形状の開口部65の周囲が額縁状に囲まれている。そして、この後側補強部57は、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けた状態で開口部65が後窓44に連通し、下枠部61、各側枠部62,63および上枠部64が後窓44の周囲を覆うように構成されている。
【0041】
下枠部61には、挿通孔67がボス45に対応して複数、例えば3つ、左右方向に略等間隔に穿設され、これら挿通孔67には、図6に示されるように、キャブ用補強部材12の取付けの際にボルト68が挿入されてボス45に螺着される。
【0042】
図1および図3に戻って、各側枠部62,63は、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けた状態でそれぞれ後窓44の左右両側に沿って各リアピラー24,25の後方に配設される。
【0043】
上枠部64には、挿通孔69がボス46に対応して複数、例えば3つ、左右方向に略等間隔に穿設され、これら挿通孔69には、図6に示されるように、キャブ用補強部材12の取付けの際にボルト70が挿入されてボス46に螺着される。
【0044】
再度図1および図3に戻って、上側補強部58は、上枠部64の上端部から前方へと略水平に延設され、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けた状態で天窓48の後方のルーフパネル47の後部の上方を覆うように構成されている。また、この上側補強部58の両側部には、ボス51,52のそれぞれに対応する位置である後端部近傍に、孔部71,72が、ボス53,54のそれぞれに対応する位置である前端部近傍に、孔部73,74が、それぞれ上下方向に穿設され、これら孔部71,72,73,74には、キャブ用補強部材12の取付けの際にそれぞれボルト75が挿入されて各ボス51,52,53,54に螺着される。
【0045】
リブ部59は、キャブ用補強部材12を補強するものであり、後側補強部57の両側部から前側へ、上側補強部58の両側縁部から下側へ、すなわちこれら補強部57,58からキャブ本体11側へと略垂直に屈曲されて突出し、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けた状態で各サイド部26,27の両側および各リアピラー24,25の両側に沿って配設される。
【0046】
次に、上記第1の実施の形態の作用効果を説明する。
【0047】
油圧ショベル1(図7)にて、やむを得ず不整地、傾斜地などで作業をする場合には、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付ける。
【0048】
このとき、後側補強部57をキャブ本体11の後側面部19に対向させるとともに、上側補強部58をキャブ本体11の天井部20に対向させ、各挿通孔67,69にボルト68,70(図6)をそれぞれ挿入してボス45,46にそれぞれ螺着するとともに、各孔部71,72,73,74にボルト75,75,75,75をそれぞれ挿入してボス51,52,53,54に螺着することで、キャブ用補強部材12がキャブ本体11に固定される。
【0049】
すなわち、キャブ本体11の後側面部19は、リアパネル43が1枚板で形成されているとともに後窓44が開口形成されることにより、この後窓44の周囲、特に各リアピラー24,25の上側の強度を確保することが容易でなく、また、キャブ本体11の天井部20は、ルーフパネル47が1枚板で形成されているとともに天窓48が開口形成されることにより、各サイド部26,27の強度を確保することが容易でないので、上記のようにキャブ用補強部材12を構成してキャブ本体11に取付けると、キャブ用補強部材12の後側補強部57がキャブ本体11の後側面部19の後窓44の周囲を覆うことで、この後窓44の周囲の強度を向上できるとともに、板状の上側補強部58が、キャブ本体11の天井部20のルーフパネル47の後部を覆うことにより、キャブ本体11の天井部20の強度を向上できる。
【0050】
この結果、油圧ショベル1(図7)が例えばキャブ6側を下側として万一横転し、キャブ6の左側から図5に示される側方荷重Fが加わった場合などでも、キャブ本体11を確実に補強でき、オペレータを確実に保護できる。
【0051】
また、キャブ用補強部材12は、後側補強部57と上側補強部58との側縁部に亘ってリブ部59が連続して設けられているため、キャブ本体11の天井部20に加わる側方荷重Fを、リブ部59を介して後側補強部57およびキャブ本体11の各リアピラー24,25などにも分散し、側方荷重Fに対するキャブ本体11の強度をより向上できる。
【0052】
さらに、キャブ用補強部材12の後側補強部57は、後窓44を閉塞しないので、オペレータの後方視界をキャブ用補強部材12が遮ることがない。
【0053】
同様に、キャブ用補強部材12の上側補強部58は、天窓48の後方に位置してこの天窓48を閉塞しないので、オペレータの上方視界をキャブ用補強部材12が遮ることがない。
【0054】
また、このようにキャブ本体11を確実に補強できることで、このキャブ6の信頼性を向上でき、さらには、このキャブ6を油圧ショベル1(図7)に搭載することで、例えば何らかのアクシデントにより油圧ショベル1(図7)が転倒(横転)した場合でも、オペレータを確実に保護でき、作業可能な領域を広げることができる。
【0055】
そして、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に対して着脱可能とすることにより、必要なときにのみキャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けて使用でき、キャブ本体11の側方荷重Fに対する強度を選択できる。
【0056】
なお、上記第1の実施の形態において、図8に示されるように、天窓48の後縁部に設けられたヒンジ76,76により上下方向に回動可能となるハッチ77により天窓48を開閉可能にするキャブ6にキャブ用補強部材12を用いる場合には、上側補強部58の前端部に、凹状の切欠部78を設け、このハッチ77を開いた際(想像線に示す)にこのハッチ77との干渉を避けることで、天窓48をハッチ77により開閉可能なキャブ6に容易に対応でき、かつ、ハッチ77を開くことで、オペレータの視界を確保できるとともに、キャブ6の信頼性を向上できる。
【0057】
次に、図9乃至図14に基づき、第2の実施の形態を説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用効果については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0058】
この第2の実施の形態は、図9乃至図13に示されるように、上記第1の実施の形態のキャブ用補強部材12の上側補強部58が、天井部20の前部まで連続して設けられているものである。
【0059】
すなわち、上側補強部58は、天井部20のルーフパネル47および天窓48の全体を覆って形成されている。
【0060】
また、キャブ本体11の各サイド部26,27の前端部、すなわち各フロントピラー22,23の上端部近傍には、ボス81,82がそれぞれ突設され、キャブ用補強部材12の上側補強部58の前部の両側には、ボス81,82に対応して前部挿通孔83,84がそれぞれ穿設されている。これら前部挿通孔83,84には、図14に示されるように、キャブ用補強部材12の取付けの際にそれぞれボルト85が挿入されて各ボス81,82に螺着される。
【0061】
そして、上側補強部58を、キャブ用補強部材12をキャブ本体11に取付けた状態で天井部20の前部までを覆うように設けることで、キャブ本体11の天井部20の強度をより向上できる。
【0062】
特に、天井部20は、天窓48の周囲である各サイド部26,27の強度を確保することが容易でないので、天窓48を覆うように上側補強部58を設けることで、この上側補強部58の両側縁部に連続したリブ部59が天窓48の側方に位置した各サイド部26,27全体の両側を覆うため、天井部20を確実に補強できる。
【0063】
なお、上記第2の実施の形態において、図8に示される切欠部78を上側補強部58に設ける構成も可能である。この場合には、切欠部78を、天窓48の前部から連続して凹状に設けることで、同様の作用効果を奏することが可能になる。
【0064】
また、上記各実施の形態において、キャブ用補強部材12は、キャブ本体11に取外しできないように予め取付けておいてもよい。
【0065】
さらに、上記キャブ6は、油圧ショベル1以外の任意の作業機械に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係るキャブの第1の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】同上キャブを示す斜視図である。
【図3】同上キャブを後方から示す斜視図である。
【図4】同上キャブを示す側面図である。
【図5】同上キャブを示す背面図である。
【図6】同上キャブを示す図5のA−A断面図である。
【図7】同上キャブを備えた作業機械を示す側面図である。
【図8】本発明に係るキャブの他の実施の形態を示す斜視図である。
【図9】本発明に係るキャブの第2の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図10】同上キャブを示す斜視図である。
【図11】同上キャブを後方から示す斜視図である。
【図12】同上キャブを示す側面図である。
【図13】同上キャブを示す背面図である。
【図14】同上キャブを示す図13のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 作業機械としての油圧ショベル
5 機械本体
6 キャブ
7 作業装置
11 キャブ本体
12 キャブ用補強部材
19 後側面部
20 天井部
44 窓部としての後窓
48 上側窓部としての天窓
57 後側補強部
58 上側補強部
59 リブ部
77 ハッチ
78 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後側面部に窓部を有する箱形のキャブ本体に取付けられるキャブ用補強部材であって、
キャブ本体に取付けられた状態で窓部の周囲を覆いこの窓部の周囲を補強する枠状の後側補強部と、
この後側補強部の上部に延設され、キャブ本体に取付けられた状態でキャブ本体の天井部の少なくとも後部を覆う板状の上側補強部と
を具備したことを特徴とするキャブ用補強部材。
【請求項2】
上側補強部と後側補強部との側部に亘って連続したリブ部を備えている
ことを特徴とする請求項1記載のキャブ用補強部材。
【請求項3】
上側補強部は、キャブ本体に取付けられた状態で天井部の前部までを覆うように設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載のキャブ用補強部材。
【請求項4】
上側補強部は、天井部の前部に開口した上側窓部を開閉可能なハッチを開いた際のハッチとの干渉を避ける切欠部が前部に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のキャブ用補強部材。
【請求項5】
後側面部に窓部を有する箱形のキャブ本体と、
このキャブ本体に取付けられる請求項1乃至3のいずれか記載のキャブ用補強部材と
を具備したことを特徴とするキャブ。
【請求項6】
後側面部に窓部を有するとともに天井部の前部に上側窓部を有し、この上側窓部を開閉可能なハッチを有する箱形のキャブ本体と、
このキャブ本体に取付けられる請求項4記載のキャブ用補強部材と
を具備したことを特徴とするキャブ。
【請求項7】
機械本体と、
この機械本体に設けられた請求項5または6記載のキャブと、
機械本体に作動可能に設けられた作業装置と
を具備したことを特徴とする作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−56502(P2007−56502A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241410(P2005−241410)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【出願人】(390001579)プレス工業株式会社 (173)
【Fターム(参考)】