キャリアテープ
【課題】電解コンデンサをキャリアテープに収納して輸送する時などに、底面電極や側面電極が汚染し、あるいは損傷することを抑制するとともに、収納凹部へのコンデンサの極性の向きを間違えて収納させることを回避する。
【解決手段】本発明は電解コンデンサ2を収納する収納凹部10が設けられたキャリアテープ1に関する。電解コンデンサ2は、底面電極40A,40Bおよび側面電極41A,41Bを含む外部電極4A,4Bと、外部電極4A,4Bにおける正負いずれか一方の極性を示す極性判別部35と、を有している。収納凹部10は、底面11よりも上方に位置するとともに電解コンデンサが載置される載置面50、側面電極41A,41Bに対応した位置に形成されているとともに外方に向けて突出した膨出部6、および極性判別部35に対応する部位に形成された極性指示部7を備えている。
【解決手段】本発明は電解コンデンサ2を収納する収納凹部10が設けられたキャリアテープ1に関する。電解コンデンサ2は、底面電極40A,40Bおよび側面電極41A,41Bを含む外部電極4A,4Bと、外部電極4A,4Bにおける正負いずれか一方の極性を示す極性判別部35と、を有している。収納凹部10は、底面11よりも上方に位置するとともに電解コンデンサが載置される載置面50、側面電極41A,41Bに対応した位置に形成されているとともに外方に向けて突出した膨出部6、および極性判別部35に対応する部位に形成された極性指示部7を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解コンデンサを収納するための複数の収納凹部が設けられたキャリアテープに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやコンデンサなどの電子部品は、キャリアテープに収納された状態で輸送されることがある。図16ないし図18に示したキャリアテープ8は、チップ型の電解コンデンサ9を収納するためのものであり、複数の収納凹部80が長手方向に連続して設けられている。収納凹部80は、電解コンデンサ9を収納するのに十分な大きさを有しており、図示した例ではコンデンサ本体90から延出するリード91を逃がすための逃げ部81を有している。
【0003】
一方、電解コンデンサ9としては、底面電極92および側面電極93が形成されたものがある。このような電解コンデンサ9では、収納凹部80の底面82が平面であると、コンデンサ9の底面電極92が底面82と接触する。また、側面電極93は、たとえ収納凹部80に逃げ部81を形成してあったとしても、その大きさがリードを逃がす程度のものであれば側面電極93が収納凹部80の側面83に接触する。そのため、キャリアテープ8では、底面電極92や側面電極93が形成されたコンデンサ9を収納して輸送する時などは、収納凹部80の電解コンデンサ9が外力の影響を受けやすく、底面電極92や側面電極93が汚染され、あるいは損傷することがある。
【0004】
また、キャリアテープ8では、収納凹部80は平面視形状において上下対称であるとともに左右対称である。そのため、コンデンサ9を収納凹部80に、極性を揃えて複数の電解コンデンサ9を収納するときに、電解コンデンサ9の極性を誤って収納してしまう可能性が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−26869号公報
【特許文献2】特開平6−156564号公報
【特許文献3】特開2000−327025号公報
【特許文献4】特開2003−26281号公報
【特許文献5】特開平5−65171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電解コンデンサをキャリアテープに収納して輸送する時などに、底面電極や側面電極が汚染あるいは損傷を抑制するとともに、収納凹部へのコンデンサの極性の向きを間違えて収納させることを回避することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るキャリアテープは、電解コンデンサを収納する複数の収納凹部が設けられたキャリアテープであって、前記電解コンデンサは、底面電極および側面電極を含む外部電極と、前記外部電極における正負いずれか一方の極性を示す極性判別部と、を有するものであり、前記収納凹部は、内周面および底面を有しており、かつ、前記底面よりも上方に位置するとともに前記電解コンデンサが載置される載置面と、前記側面電極に対応した位置に形成されているとともに外方に突出した膨出部と、前記極性判別部に対応する部位に形成された極性指示部と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
載置面は、たとえば収納凹部の底面より突出した突出部の上面、あるいは収納凹部の底面の周縁部に設けられた段差部の上面に位置している。
【0009】
極性指示部は、たとえば極性判別部としての正負いずれか一方の極性を示す切欠部の形状に対応させた面取部である。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、キャリアテープの収納凹部に電解コンデンサを収納した状態では、電解コンデンサが載置面に載置される。この載置面は、収納凹部の底面よりも上方に位置するため、収納凹部に収納された電解コンデンサは、収納凹部の底面に対して上方に位置することになる。このとき、電解コンデンサの底面電極もまた収納凹部の底面よりも上方に位置する。そのため、本発明では、電解コンデンサの底面電極が収納凹部の底面と接触するのを抑制することができるため、電解コンデンサをキャリアテープに収納して輸送する時などに、底面電極が汚染し、あるいは損傷することを抑制できる。
【0011】
本発明ではまた、キャリアテープの収納凹部に電解コンデンサを収納した状態では、電解コンデンサの側面電極が収納凹部の膨出部に対応した部位に位置する。すなわち、側面電極は、膨出部に位置することによって収納凹部の内周面と接触することが抑制されている。そのため、本発明では、電解コンデンサをキャリアテープに収納して輸送する時などに、側面電極が汚染し、あるいは損傷してしまうことを抑制できる。
【0012】
本発明ではさらに、キャリアテープの収納凹部にコンデンサを収納するときに、コンデンサの極性指示部を、キャリアテープの収納凹部の極性合せ部に合わせることにより、極性を誤ることなく、収納凹部に対してコンデンサを収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るキャリアテープを説明するための斜視図である。
【図2】図1に示したキャリアテープに収納される電解コンデンサの斜視図である。
【図3】図2に示した電解コンデンサの底面図である。
【図4】図2に示した電解コンデンサの分解斜視図である。
【図5】図1に示したキャリアテープにおける収納凹部の斜視図である。
【図6】図1に示したキャリアテープの要部を示す平面図である。
【図7】図6のX1−X1線に沿う断面図である。
【図8】図6のX2−X2線に沿う断面図である。
【図9】本発明に係るキャリアテープの他の例における収納凹部の斜視図である。
【図10】図9に示した収納凹部の平面図である。
【図11】本発明に係るキャリアテープの他の例における収納凹部の斜視図である。
【図12】図11に示した収納凹部の平面図である。
【図13】本発明に係るキャリアテープの他の例における収納凹部の斜視図である。
【図14】図13に示した収納凹部の平面図である。
【図15】図13に示した収納凹部の断面図である。
【図16】従来のキャリアテープを説明するための斜視図である。
【図17】図16に示したキャリアテープの要部を示す平面図である。
【図18】図16に示したキャリアテープの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1に示したキャリアテープ1は、搬送時などに電解コンデンサ2を収納するためのものである。キャリアテープ1は、図2ないし図4に示した構成の電解コンデンサ2の収納・搬送に適したものである。
【0016】
電解コンデンサ2は、面実装デバイスとして形成されたものであり、コンデンサ本体20、座板3および外部電極4A,4Bを備えている。
【0017】
コンデンサ本体20は、図面上は明確には現れていないが、コンデンサ素子をケース内に収容した構成を有している。コンデンサ素子は、誘電体としての酸化皮膜が形成された陽極用アルミニウム箔と、陰極用アルミニウム箔との間に電解紙を挟んだ状態で巻き取り、電解液を含浸させた構造を有している。コンデンサ本体20(コンデンサ素子)は、陽極リード21および陰極リード22を有している。これらのリード21,22は、それぞれ外部電極4A,4Bに導通するものであり、コンデンサ本体20の底面23に対して一定の隙間を介して設けられている。陽極リード21と陰極リード22とは互いに反対方向に延出しており、それぞれバネ性を有している。
【0018】
座板3は、コンデンサ本体20および外部電極4A,4Bを保持するためのものである。この座板3は、プレート30および一対の起立壁31,32を備えている。
【0019】
プレート30は、コンデンサ本体20を支持し、外部電極4A,4Bを保持するものであり、スリット33および凹部34を有している。スリット33は、座板3にコンデンサ本体20を固定するときに、コンデンサ本体20のリード21,22の移動を許容するものである。なお、スリット33の替わりに、リード21,22の挿通孔を設けてもよい。凹部34は、座板3にコンデンサ本体20を固定したときに、後述する外部電極4A,4Bの連結部40Aa,40Baを介した状態で、リード21,22が位置する部分である。コンデンサ本体20は、リード21,22のバネ性によって固定されるとともに、一対の起立壁31,32によって拘束されている。
【0020】
一対の起立壁31,32は、コンデンサ本体20の下部においてコンデンサ本体20の周面を保持するものである。各起立壁31,32には、弧状凹部31A,32Aが形成されている。弧状凹部31A,32Aは、コンデンサ本体20の周面形状に対応した形態を有しており、これらの弧状凹部31A,32Aにおいて、座板3に対してコンデンサ本体20を適切に拘束できるようになされている。
【0021】
一方の起立壁31はコンデンサ本体20の正極リード21の側に配置され、他方の起立壁32はコンデンサ本体20の負極リード22の側に配置されている。一方の起立壁31は、切欠部35を有している。切欠部35は、陽極リード21を負極リード22と区別するためのものであり、極性判別部として作用するものである。すなわち、切欠部35が設けられた側がコンデンサ本体20ひいては電解コンデンサ2において陽極側となっており、外観上の特性において、電解コンデンサ2の極性を容易に把握できるようになっている。
【0022】
外部電極4A,4Bは、コンデンサ本体20のリード21,22に導通するものであり、座板3に固定されている。外部電極4Aは陽極として作用するものであり、外部電極4Bは陰極として作用するものである。外部電極4A,4Bは、底面電極40A,40B,および側面電極41A,41Bを含んでおり、プレス成形などにより一体的に形成されている。
【0023】
底面電極40A,40Bは、プレート30の底面に沿って配置されたものであり、連結部40Aa,40Baを有している。連結部40Aa,40Baは、プレート30の凹部34の表面の形状に対応したクランク状に屈曲形成されており、凹部34の表面に沿って配置される。上述のように、凹部34には、コンデンサ本体20のリード21,22が配置される。すなわち、外部電極4A,4Bは、凹部34に嵌め込むことで、プレート30に固定されている。なお、外部電極4A,4Bは、座板3に対してインサート成形により固定し、あるいは公知の成膜手法により膜形成してもよい。
【0024】
側面電極41A,41Bは、プレート30における起立壁31,32の側面に沿って配置されたものである。側面電極41A,41Bは、底面電極40A,40Bから連続して底面電極40A,40Bに対して起立して形成されている。
【0025】
図1に示したように、キャリアテープ1は、複数の収納凹部10が長手方向に並んで設けられたものである。
【0026】
図1、図5ないし図8に示したように、収納凹部10は、電解コンデンサ2が収納される部分であり、一対の突出部5、膨出部6および面取部7を有している。
【0027】
突出部5は、収納凹部10の底面11から上方に突出したものであり、キャリアテープ1の幅方向に延びている。突出部5の上面50は、底面11と平行な平坦面とされており、収納凹部10に電解コンデンサ2を収納するときの載置面として作用する。突出部5の上面50、すなわち載置面50は、収納凹部10の底面11から離間し、底面11よりも上方に位置している。さらに、載置面50は、電解コンデンサ2の底面電極40A,40Bと接触しない位置に形成されている。
【0028】
キャリアテープ1では、収納凹部10に収納された電解コンデンサ2は、収納凹部10の底面11から離間して底面11に対して上方に位置することになる。このとき、電解コンデンサ2の底面電極40A,40Bもまた収納凹部10の底面11よりも上方に位置する。そのため、キャリアテープ1では、電解コンデンサ2の底面電極40A,40Bが収納凹部10の底面11と接触するのを抑制することができるため、電解コンデンサ2をキャリアテープ1に収納して輸送する時などに、底面電極40A,40Bが汚染し、あるいは損傷することを抑制できる。また、載置面50が底面電極40A,40Bに接触しないように形成されていることから、底面電極40A,40Bが載置面50に接触して底面電極40A,40Bが汚染され、あるいは損傷することもない。
【0029】
膨出部6は、電解コンデンサ2の側面電極41A,41Bに対応した位置において外方に向けて突出しているとともに、上下方向に一連に延びる内部開口部60を含んでいる。内部開口部60は、電解コンデンサ2において、側面電極41A,41Bが形成された領域全体の幅寸法よりも大きな幅寸法を有している。
【0030】
キャリアテープ1では、収納凹部10に電解コンデンサ2を収納した状態では、電解コンデンサ2の側面電極41A,41Bが収納凹部10の膨出部6に対応した部位、すなわち内部開口部60に位置する。そのため、側面電極41A,41Bは、内部開口部60に位置することによって、電解コンデンサ2が収納凹部10の内周面12と干渉するのは、座板3の起立壁31,32における側面電極41A,41Bが形成されていない領域となる。その結果、キャリアテープ1では、電解コンデンサ2の側面電極41A,41Bは収納凹部10の内周面12と接触することが抑制されるため電解コンデンサ2をキャリアテープ1に収納して輸送する時などに、側面電極41A,41Bが汚染し、あるいは損傷することを抑制できる。また、膨出部6(内部開口部60)は、上下方向に一連に延びて形成されているため、収納凹部10に電解コンデンサ2を収納するときには、膨出部6が電解コンデンサ2の側面電極41A,41Bのガイドとして機能するとともに、収納凹部10に電解コンデンサ2を収納する作業において、収納凹部10に内周面12に電解コンデンサ2の側面電極41A,41Bが接触することを抑制することができる(特に図6参照)。
【0031】
面取部7は、極性指示部として作用するものであり、テーパ状に形成されている。この面取部7は、収納凹部10における四隅のうちの隣接する2つの隅に形成されている。キャリアテープ1では、収納凹部10に電解コンデンサ2を収納するときに、コンデンサ2の切欠部35(極性指示部)を、キャリアテープ1の収納凹部10の面取部(極性合せ部)に合わせることにより、極性を誤ることなく、収納凹部10に対してコンデンサ36を収納することができる。また、キャリアテープ1では、面取部7がテーパ状に形成されていることから、電解コンデンサ2の切欠部35を面取部7に対応させて収納凹部10に電解コンデンサ2を収納するときには、面取部7がガイドとして機能するため、収納凹部10に対する電解コンデンサ2の収納作業を容易かつ確実に行うことができる(特に図6参照)。
【0032】
本発明は、以上に説明した実施の形態には限定されず、種々に変更可能である。たとえば、上述の例では、膨出部6は、収納凹部10の周面において、上下方向に一連延びる形態であったが、電解コンデンサ2の側面電極41A,41Bが収納凹部10の内周面12と接触することを抑制できる限りにおいては、その形態は問わない。
【0033】
また、電解コンデンサ2の極性指示部およびキャリアテープ1の極性指示部は、それぞれ切欠部35および面取部7の形態である必要はなく、電解コンデンサ2において外観極性から極性を把握でき、収納凹部10において複数の電解コンデンサ2の極性を揃えて収納できる限りにおいては、他の形態であってもよい。
【0034】
さらに、電解コンデンサを載置するための収納凹部の載置面は、電解コンデンサの底面を収納凹部の底面から離間させることができる構成であればよく、たとえば図9ないし図15に示した形態であってもよい。
【0035】
図9および図10に示したキャリアテープ1Aは、載置面50Aが4つの突出部5Aの上面として構成されたものである。4つの突出部5Aは、収納凹部10Aにおける底面11Aの四隅から突出する円筒状に形成されている。載置面を形成するために複数の突出部を設ける場合、各突出部の形状は、円筒状に限らず角柱状であってもよく、突出部の個数も4つである必要はなく、また突出部を形成する位置も収納凹部の底面の四隅には限定されない。
【0036】
図11および図12に示したキャリアテープ1Bは、載置面50Bが1つの突出部5Bの上面として構成されたものであるが、突出部5Bの構成が先に説明したキャリアテープ1(図5参照)とは異なっている。突出部5Bは、収納凹部10Bの底面11Bから十字状に突出した形態を有している。1つの突出部によって載置面を構成する場合、突出部は十字状に限らず、円柱状、角柱状、円環状等の環状であってもよい。
【0037】
図13ないし図15に示したキャリアテープ1Cは、載置面50Cが収納凹部10Cの底面11Cの周縁において延びる段差部5Cの上面として構成されたものである。段差部5Cは、一部において切り欠かれた形態であってもよい。段差部はまた、四隅に設けてもよく、この場合の段差部は、四隅の全てに設けてもよいし、対角をなす2つの隅に設けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1,1A,1B,1C キャリアテープ
10,10A,10B,10C 収納凹部
12 内周面
11,11A,1B,1C 底面
2 電解コンデンサ
35 切欠部(極性判別部)
4A,4B 外部電極
40A,40B 底面電極
41A,41B 側面電極
5,5A,5B 突出部
5C 段差部
50,50A,50B,50C 載置面(突出部の上面)
6 膨出部
7 面取部(極性指示部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解コンデンサを収納するための複数の収納凹部が設けられたキャリアテープに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやコンデンサなどの電子部品は、キャリアテープに収納された状態で輸送されることがある。図16ないし図18に示したキャリアテープ8は、チップ型の電解コンデンサ9を収納するためのものであり、複数の収納凹部80が長手方向に連続して設けられている。収納凹部80は、電解コンデンサ9を収納するのに十分な大きさを有しており、図示した例ではコンデンサ本体90から延出するリード91を逃がすための逃げ部81を有している。
【0003】
一方、電解コンデンサ9としては、底面電極92および側面電極93が形成されたものがある。このような電解コンデンサ9では、収納凹部80の底面82が平面であると、コンデンサ9の底面電極92が底面82と接触する。また、側面電極93は、たとえ収納凹部80に逃げ部81を形成してあったとしても、その大きさがリードを逃がす程度のものであれば側面電極93が収納凹部80の側面83に接触する。そのため、キャリアテープ8では、底面電極92や側面電極93が形成されたコンデンサ9を収納して輸送する時などは、収納凹部80の電解コンデンサ9が外力の影響を受けやすく、底面電極92や側面電極93が汚染され、あるいは損傷することがある。
【0004】
また、キャリアテープ8では、収納凹部80は平面視形状において上下対称であるとともに左右対称である。そのため、コンデンサ9を収納凹部80に、極性を揃えて複数の電解コンデンサ9を収納するときに、電解コンデンサ9の極性を誤って収納してしまう可能性が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−26869号公報
【特許文献2】特開平6−156564号公報
【特許文献3】特開2000−327025号公報
【特許文献4】特開2003−26281号公報
【特許文献5】特開平5−65171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電解コンデンサをキャリアテープに収納して輸送する時などに、底面電極や側面電極が汚染あるいは損傷を抑制するとともに、収納凹部へのコンデンサの極性の向きを間違えて収納させることを回避することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るキャリアテープは、電解コンデンサを収納する複数の収納凹部が設けられたキャリアテープであって、前記電解コンデンサは、底面電極および側面電極を含む外部電極と、前記外部電極における正負いずれか一方の極性を示す極性判別部と、を有するものであり、前記収納凹部は、内周面および底面を有しており、かつ、前記底面よりも上方に位置するとともに前記電解コンデンサが載置される載置面と、前記側面電極に対応した位置に形成されているとともに外方に突出した膨出部と、前記極性判別部に対応する部位に形成された極性指示部と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
載置面は、たとえば収納凹部の底面より突出した突出部の上面、あるいは収納凹部の底面の周縁部に設けられた段差部の上面に位置している。
【0009】
極性指示部は、たとえば極性判別部としての正負いずれか一方の極性を示す切欠部の形状に対応させた面取部である。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、キャリアテープの収納凹部に電解コンデンサを収納した状態では、電解コンデンサが載置面に載置される。この載置面は、収納凹部の底面よりも上方に位置するため、収納凹部に収納された電解コンデンサは、収納凹部の底面に対して上方に位置することになる。このとき、電解コンデンサの底面電極もまた収納凹部の底面よりも上方に位置する。そのため、本発明では、電解コンデンサの底面電極が収納凹部の底面と接触するのを抑制することができるため、電解コンデンサをキャリアテープに収納して輸送する時などに、底面電極が汚染し、あるいは損傷することを抑制できる。
【0011】
本発明ではまた、キャリアテープの収納凹部に電解コンデンサを収納した状態では、電解コンデンサの側面電極が収納凹部の膨出部に対応した部位に位置する。すなわち、側面電極は、膨出部に位置することによって収納凹部の内周面と接触することが抑制されている。そのため、本発明では、電解コンデンサをキャリアテープに収納して輸送する時などに、側面電極が汚染し、あるいは損傷してしまうことを抑制できる。
【0012】
本発明ではさらに、キャリアテープの収納凹部にコンデンサを収納するときに、コンデンサの極性指示部を、キャリアテープの収納凹部の極性合せ部に合わせることにより、極性を誤ることなく、収納凹部に対してコンデンサを収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るキャリアテープを説明するための斜視図である。
【図2】図1に示したキャリアテープに収納される電解コンデンサの斜視図である。
【図3】図2に示した電解コンデンサの底面図である。
【図4】図2に示した電解コンデンサの分解斜視図である。
【図5】図1に示したキャリアテープにおける収納凹部の斜視図である。
【図6】図1に示したキャリアテープの要部を示す平面図である。
【図7】図6のX1−X1線に沿う断面図である。
【図8】図6のX2−X2線に沿う断面図である。
【図9】本発明に係るキャリアテープの他の例における収納凹部の斜視図である。
【図10】図9に示した収納凹部の平面図である。
【図11】本発明に係るキャリアテープの他の例における収納凹部の斜視図である。
【図12】図11に示した収納凹部の平面図である。
【図13】本発明に係るキャリアテープの他の例における収納凹部の斜視図である。
【図14】図13に示した収納凹部の平面図である。
【図15】図13に示した収納凹部の断面図である。
【図16】従来のキャリアテープを説明するための斜視図である。
【図17】図16に示したキャリアテープの要部を示す平面図である。
【図18】図16に示したキャリアテープの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1に示したキャリアテープ1は、搬送時などに電解コンデンサ2を収納するためのものである。キャリアテープ1は、図2ないし図4に示した構成の電解コンデンサ2の収納・搬送に適したものである。
【0016】
電解コンデンサ2は、面実装デバイスとして形成されたものであり、コンデンサ本体20、座板3および外部電極4A,4Bを備えている。
【0017】
コンデンサ本体20は、図面上は明確には現れていないが、コンデンサ素子をケース内に収容した構成を有している。コンデンサ素子は、誘電体としての酸化皮膜が形成された陽極用アルミニウム箔と、陰極用アルミニウム箔との間に電解紙を挟んだ状態で巻き取り、電解液を含浸させた構造を有している。コンデンサ本体20(コンデンサ素子)は、陽極リード21および陰極リード22を有している。これらのリード21,22は、それぞれ外部電極4A,4Bに導通するものであり、コンデンサ本体20の底面23に対して一定の隙間を介して設けられている。陽極リード21と陰極リード22とは互いに反対方向に延出しており、それぞれバネ性を有している。
【0018】
座板3は、コンデンサ本体20および外部電極4A,4Bを保持するためのものである。この座板3は、プレート30および一対の起立壁31,32を備えている。
【0019】
プレート30は、コンデンサ本体20を支持し、外部電極4A,4Bを保持するものであり、スリット33および凹部34を有している。スリット33は、座板3にコンデンサ本体20を固定するときに、コンデンサ本体20のリード21,22の移動を許容するものである。なお、スリット33の替わりに、リード21,22の挿通孔を設けてもよい。凹部34は、座板3にコンデンサ本体20を固定したときに、後述する外部電極4A,4Bの連結部40Aa,40Baを介した状態で、リード21,22が位置する部分である。コンデンサ本体20は、リード21,22のバネ性によって固定されるとともに、一対の起立壁31,32によって拘束されている。
【0020】
一対の起立壁31,32は、コンデンサ本体20の下部においてコンデンサ本体20の周面を保持するものである。各起立壁31,32には、弧状凹部31A,32Aが形成されている。弧状凹部31A,32Aは、コンデンサ本体20の周面形状に対応した形態を有しており、これらの弧状凹部31A,32Aにおいて、座板3に対してコンデンサ本体20を適切に拘束できるようになされている。
【0021】
一方の起立壁31はコンデンサ本体20の正極リード21の側に配置され、他方の起立壁32はコンデンサ本体20の負極リード22の側に配置されている。一方の起立壁31は、切欠部35を有している。切欠部35は、陽極リード21を負極リード22と区別するためのものであり、極性判別部として作用するものである。すなわち、切欠部35が設けられた側がコンデンサ本体20ひいては電解コンデンサ2において陽極側となっており、外観上の特性において、電解コンデンサ2の極性を容易に把握できるようになっている。
【0022】
外部電極4A,4Bは、コンデンサ本体20のリード21,22に導通するものであり、座板3に固定されている。外部電極4Aは陽極として作用するものであり、外部電極4Bは陰極として作用するものである。外部電極4A,4Bは、底面電極40A,40B,および側面電極41A,41Bを含んでおり、プレス成形などにより一体的に形成されている。
【0023】
底面電極40A,40Bは、プレート30の底面に沿って配置されたものであり、連結部40Aa,40Baを有している。連結部40Aa,40Baは、プレート30の凹部34の表面の形状に対応したクランク状に屈曲形成されており、凹部34の表面に沿って配置される。上述のように、凹部34には、コンデンサ本体20のリード21,22が配置される。すなわち、外部電極4A,4Bは、凹部34に嵌め込むことで、プレート30に固定されている。なお、外部電極4A,4Bは、座板3に対してインサート成形により固定し、あるいは公知の成膜手法により膜形成してもよい。
【0024】
側面電極41A,41Bは、プレート30における起立壁31,32の側面に沿って配置されたものである。側面電極41A,41Bは、底面電極40A,40Bから連続して底面電極40A,40Bに対して起立して形成されている。
【0025】
図1に示したように、キャリアテープ1は、複数の収納凹部10が長手方向に並んで設けられたものである。
【0026】
図1、図5ないし図8に示したように、収納凹部10は、電解コンデンサ2が収納される部分であり、一対の突出部5、膨出部6および面取部7を有している。
【0027】
突出部5は、収納凹部10の底面11から上方に突出したものであり、キャリアテープ1の幅方向に延びている。突出部5の上面50は、底面11と平行な平坦面とされており、収納凹部10に電解コンデンサ2を収納するときの載置面として作用する。突出部5の上面50、すなわち載置面50は、収納凹部10の底面11から離間し、底面11よりも上方に位置している。さらに、載置面50は、電解コンデンサ2の底面電極40A,40Bと接触しない位置に形成されている。
【0028】
キャリアテープ1では、収納凹部10に収納された電解コンデンサ2は、収納凹部10の底面11から離間して底面11に対して上方に位置することになる。このとき、電解コンデンサ2の底面電極40A,40Bもまた収納凹部10の底面11よりも上方に位置する。そのため、キャリアテープ1では、電解コンデンサ2の底面電極40A,40Bが収納凹部10の底面11と接触するのを抑制することができるため、電解コンデンサ2をキャリアテープ1に収納して輸送する時などに、底面電極40A,40Bが汚染し、あるいは損傷することを抑制できる。また、載置面50が底面電極40A,40Bに接触しないように形成されていることから、底面電極40A,40Bが載置面50に接触して底面電極40A,40Bが汚染され、あるいは損傷することもない。
【0029】
膨出部6は、電解コンデンサ2の側面電極41A,41Bに対応した位置において外方に向けて突出しているとともに、上下方向に一連に延びる内部開口部60を含んでいる。内部開口部60は、電解コンデンサ2において、側面電極41A,41Bが形成された領域全体の幅寸法よりも大きな幅寸法を有している。
【0030】
キャリアテープ1では、収納凹部10に電解コンデンサ2を収納した状態では、電解コンデンサ2の側面電極41A,41Bが収納凹部10の膨出部6に対応した部位、すなわち内部開口部60に位置する。そのため、側面電極41A,41Bは、内部開口部60に位置することによって、電解コンデンサ2が収納凹部10の内周面12と干渉するのは、座板3の起立壁31,32における側面電極41A,41Bが形成されていない領域となる。その結果、キャリアテープ1では、電解コンデンサ2の側面電極41A,41Bは収納凹部10の内周面12と接触することが抑制されるため電解コンデンサ2をキャリアテープ1に収納して輸送する時などに、側面電極41A,41Bが汚染し、あるいは損傷することを抑制できる。また、膨出部6(内部開口部60)は、上下方向に一連に延びて形成されているため、収納凹部10に電解コンデンサ2を収納するときには、膨出部6が電解コンデンサ2の側面電極41A,41Bのガイドとして機能するとともに、収納凹部10に電解コンデンサ2を収納する作業において、収納凹部10に内周面12に電解コンデンサ2の側面電極41A,41Bが接触することを抑制することができる(特に図6参照)。
【0031】
面取部7は、極性指示部として作用するものであり、テーパ状に形成されている。この面取部7は、収納凹部10における四隅のうちの隣接する2つの隅に形成されている。キャリアテープ1では、収納凹部10に電解コンデンサ2を収納するときに、コンデンサ2の切欠部35(極性指示部)を、キャリアテープ1の収納凹部10の面取部(極性合せ部)に合わせることにより、極性を誤ることなく、収納凹部10に対してコンデンサ36を収納することができる。また、キャリアテープ1では、面取部7がテーパ状に形成されていることから、電解コンデンサ2の切欠部35を面取部7に対応させて収納凹部10に電解コンデンサ2を収納するときには、面取部7がガイドとして機能するため、収納凹部10に対する電解コンデンサ2の収納作業を容易かつ確実に行うことができる(特に図6参照)。
【0032】
本発明は、以上に説明した実施の形態には限定されず、種々に変更可能である。たとえば、上述の例では、膨出部6は、収納凹部10の周面において、上下方向に一連延びる形態であったが、電解コンデンサ2の側面電極41A,41Bが収納凹部10の内周面12と接触することを抑制できる限りにおいては、その形態は問わない。
【0033】
また、電解コンデンサ2の極性指示部およびキャリアテープ1の極性指示部は、それぞれ切欠部35および面取部7の形態である必要はなく、電解コンデンサ2において外観極性から極性を把握でき、収納凹部10において複数の電解コンデンサ2の極性を揃えて収納できる限りにおいては、他の形態であってもよい。
【0034】
さらに、電解コンデンサを載置するための収納凹部の載置面は、電解コンデンサの底面を収納凹部の底面から離間させることができる構成であればよく、たとえば図9ないし図15に示した形態であってもよい。
【0035】
図9および図10に示したキャリアテープ1Aは、載置面50Aが4つの突出部5Aの上面として構成されたものである。4つの突出部5Aは、収納凹部10Aにおける底面11Aの四隅から突出する円筒状に形成されている。載置面を形成するために複数の突出部を設ける場合、各突出部の形状は、円筒状に限らず角柱状であってもよく、突出部の個数も4つである必要はなく、また突出部を形成する位置も収納凹部の底面の四隅には限定されない。
【0036】
図11および図12に示したキャリアテープ1Bは、載置面50Bが1つの突出部5Bの上面として構成されたものであるが、突出部5Bの構成が先に説明したキャリアテープ1(図5参照)とは異なっている。突出部5Bは、収納凹部10Bの底面11Bから十字状に突出した形態を有している。1つの突出部によって載置面を構成する場合、突出部は十字状に限らず、円柱状、角柱状、円環状等の環状であってもよい。
【0037】
図13ないし図15に示したキャリアテープ1Cは、載置面50Cが収納凹部10Cの底面11Cの周縁において延びる段差部5Cの上面として構成されたものである。段差部5Cは、一部において切り欠かれた形態であってもよい。段差部はまた、四隅に設けてもよく、この場合の段差部は、四隅の全てに設けてもよいし、対角をなす2つの隅に設けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1,1A,1B,1C キャリアテープ
10,10A,10B,10C 収納凹部
12 内周面
11,11A,1B,1C 底面
2 電解コンデンサ
35 切欠部(極性判別部)
4A,4B 外部電極
40A,40B 底面電極
41A,41B 側面電極
5,5A,5B 突出部
5C 段差部
50,50A,50B,50C 載置面(突出部の上面)
6 膨出部
7 面取部(極性指示部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解コンデンサを収納する複数の収納凹部が設けられたキャリアテープであって、
前記電解コンデンサは、底面電極および側面電極を含む外部電極と、前記外部電極における正負いずれか一方の極性を示す極性判別部と、を有するものであり、
前記収納凹部は、内周面および底面を有しており、かつ、
前記底面よりも上方に位置するとともに、前記電解コンデンサが載置される載置面と、
前記側面電極に対応した位置に形成されているとともに外方に突出した膨出部と、
前記極性判別部に対応する部位に形成された極性指示部と、
を備えていることを特徴とするキャリアテープ。
【請求項2】
前記収納凹部は、前記底面より突出した1または複数の突出部を有しており、
前記載置面は、前記突出部の上面に位置していることを特徴とする請求項1に記載のキャリアテープ。
【請求項3】
前記収納凹部は、前記底面の周縁部に設けられた段差部を有しており、
前記載置面は、前記段差部の上面に位置していることを特徴とする請求項1に記載のキャリアテープ。
【請求項4】
前記極性判別部は、正負いずれか一方の極性を示す切欠部を有しており、
前記極性指示部は、前記切欠部の形状に対応させた面取部であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のキャリアテープ。
【請求項1】
電解コンデンサを収納する複数の収納凹部が設けられたキャリアテープであって、
前記電解コンデンサは、底面電極および側面電極を含む外部電極と、前記外部電極における正負いずれか一方の極性を示す極性判別部と、を有するものであり、
前記収納凹部は、内周面および底面を有しており、かつ、
前記底面よりも上方に位置するとともに、前記電解コンデンサが載置される載置面と、
前記側面電極に対応した位置に形成されているとともに外方に突出した膨出部と、
前記極性判別部に対応する部位に形成された極性指示部と、
を備えていることを特徴とするキャリアテープ。
【請求項2】
前記収納凹部は、前記底面より突出した1または複数の突出部を有しており、
前記載置面は、前記突出部の上面に位置していることを特徴とする請求項1に記載のキャリアテープ。
【請求項3】
前記収納凹部は、前記底面の周縁部に設けられた段差部を有しており、
前記載置面は、前記段差部の上面に位置していることを特徴とする請求項1に記載のキャリアテープ。
【請求項4】
前記極性判別部は、正負いずれか一方の極性を示す切欠部を有しており、
前記極性指示部は、前記切欠部の形状に対応させた面取部であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のキャリアテープ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−23246(P2013−23246A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159148(P2011−159148)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】
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