キャリアパック
円形下部本体(2)と、下部本体に取り付けられた上部本体(3)とを備えるコンベヤシステム用キャリアパック(1)であり、このパックは、下部本体(2)の下部接触面(7)の上方に位置するリング溝(10)内に配置されたスライドリング(4)をさらに備える。本発明の利点は、パックがコンベヤシステム内で操作されるときに動力をあまり必要としないこと、およびパック上の摩耗が低減されることである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤシステム内で使用されるべきスライドリング(slide ring)を備えるキャリアパック(carrier puck)に関する。
【背景技術】
【0002】
工場内の様々なステーションの間で物体を移動させるために使用されるような搬送装置(conveying device)は、通常、ベルトまたはチェーンの形をとる搬送トラック(搬送経路)を備える。搬送トラックは、垂直側面を有する溝部内に配置される。あるいは、搬送トラックは、溝部の水平上面上に位置されるか、または他の方法で配置することもできる。搬送されるべき物体は、直接的にまたは支持手段を介して、搬送トラックに対して摺動可能に配置される。大きな物体は、パレットとしても知られる支持手段上で搬送されることが多く、小さな物体は、しばしばキャリアパックと称される小型キャリアを使用して搬送することができる。
【0003】
支持手段は搬送トラックに沿って搬送され、この搬送トラックは様々なワークステーションを備えることができる。これらのワークステーションは、すべての物体がすべてのワークステーションを通るように搬送トラックに沿って配置することができる。このようにして、物体がワークステーションで操作されるか否かにかかわらず、すべての物体が同時に停止しなければならない。このような配置はあまり柔軟性がなく、大抵は、すべての物体が同じ方法で操作されるべきであるとき、およびその操作に短期間しか必要としないときに使用される。
【0004】
様々なワークステーションが、様々な物体に対して色々な作業を実行することができるより柔軟性のあるシステムでは、ワークステーションは、主搬送トラックから切り離される。このようなシステムでは、主搬送トラック上の流れを乱さずに各物体を任意のワークステーションに向けることができる。したがって、ワークステーションでの作業の期間が他の物体に影響を及ぼすことはない。物体は、方向転換ステーション(diverting station)によってサイドトラック内に向けられる。物体をサイドトラック内に向けることができるようにするためには、方向転換ステーションは、主な物体の流れから正しい物体を捕捉してその物体を流れの外に移動させることができなければならない。主な流れの中で互いに隣接して進行し互いに影響し合う多くの物体がある場合、パックを流れの外に移動させるのに必要な力は比較的大きい。
【0005】
ダイバータディスク(diverter disc)がパックを把持し、そのパックを主な流れから外に移動させると、ダイバータディスクが回転するのでパックは回転運動を受けることになる。パックは方向転換中に回転することができるが、ダイバータディスクに対して回転することはほとんどない。他の複数のパックが第1のパックに影響を与えている状態では、ダイバータディスクは、互いに影響し合う他のパックからの力に打ち勝たなければならない。これにより、第1のパックが他のパックに対する摩擦を伴って滑るようになるか、他のすべてのパックも回転するようになる、のどちらか、あるいは両方を組み合わせたものになる。あるパックが回転すると、このパックは、コンベヤレールにこすれ、隣接するパックにもこすれる可能性がある。いずれにしても、パック相互間の摩擦、およびそれらのパックに搬送トラックによって第1のパックの方向に加えられる力のせいで、比較的大きな力がダイバータディスクによって及ぼされるはずである。
【0006】
この問題を解決する1つの方法が、ダイバータステーションの前に特別のストッパ機能を導入することである。ストッパは、パックを主搬送トラックから外へ容易に向けることができるように主な流れを中断する。しかしながら、各ストッパは不必要なコストであり、追加のスペースも必要とする。
【0007】
別の実施可能な方法は、主な流れの中でのパックからの摩擦に打ち勝つほど強力なモータを使用することである。パックがダイバータディスクによって主な流れの外に向けられると、パックは、方向転換中にダイバータディスクによって回転させられる。他の物体が第1の物体に影響を与えたときに、ダイバータディスクは、方向転換中に他のすべての物体からの力に打ち勝たなければならない。これには比較的大きな駆動ユニットが必要となり、駆動ユニットは、電気モータとすることができる。したがって、複数のワークステーションを有する大規模システムでは、総必要動力が不必要に大きくなる。
【0008】
欧州特許第1393080号明細書は、試験管で使用するのに適した従来の円形キャリアパックについて記述している。キャリアパックは、上述したシステム内で使用することができる。
【0009】
英国特許出願第2256629号明細書は、パッケージを保持するための指状突起部を有する円形パッケージ輸送パックについて記述している。指状突起部は、パックがベースに対して垂直な軸線上で転がるのを可能にするために、指状突起部の上端に指状の先細りになった要素を有することができる。輸送パックは、上述したシステム内で使用することができる。
【0010】
米国特許第6176369号明細書、米国特許出願公開第2004124109号明細書、米国特許第4729413号明細書、カナダ特許第2248565号明細書、米国特許第5484052号明細書、米国特許第5897090号明細書、および米国特許第3941237号明細書はすべて、上述したシステム内で使用することができる円形キャリアパックの様々な例を示している。
【0011】
これらのキャリアパックはすべて、いくつかのシステム内でうまく機能するが、とにかく上述の問題を受ける可能性がある。したがって、依然として改良の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の一目的は、スライドリングを有する改良型キャリアパックを提供することである。本発明のさらなる目的は、破損または摩耗した一部を交換するために容易に分解することができるキャリアパックを提供することである。本発明の別の目的は、特定の方向付け位置で方向付けることができる円形キャリアパックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による問題の解決法は、請求項1の特徴部分に記載されている。他の請求項は、キャリアパックの有利な実施形態およびさらなる発展形態を含んでいる。
【0014】
円形下部本体と、下部本体に取り付けられた上部本体とを備えるコンベヤシステム用キャリアパックにおいて、本発明の目的は、キャリアパックが下部本体の下部接触面の上方に位置するリング溝内に配置された回転可能なスライドリングをさらに備えることで達成される。
【0015】
本発明によるキャリアパックのこの第1の実施形態により、キャリアパックは、ダイバータやマージャ(mergers:合流装置)などの搬送トラックにある様々な手段によって効率的で費用効率の高い方法で操作することができる。マニピュレータはスライドリングでパックを把持するので、操作には従来のパックを操作するときほどの動力は必要ない。というのは、操作手段およびパックが、互いに対して相対的に移動することができるからである。これによりシステムの性能が向上する。
【0016】
本発明の有利な発展形態では、キャリアパックの最大直径はスライドリングの外径より大きい。これによりシステムの性能はさらに向上する。というのは、搬送トラック上で互いに影響し合うパックは、第1のパックがスライドリングによって操作されたときに回転させられるべきでないからである。これにより、より少ない構成要素でより簡単なシステムが可能になる。というのは、例えば特定のパックストッパが操作ステーションで必要ないからである。
【0017】
本発明の有利な一発展形態では、キャリアパックの最大直径は、スライドリングの外径より小さい。このようにして、異なるパックのスライドリングが互いに影響し合う。これによりシステムの性能が向上する。というのは、搬送トラック上の個々のパックは、第1のパックがスライドリングによって操作されるときに回転させられてはならないからである。代わりに、スライドリングが回転する。
【0018】
本発明の有利な一発展形態では、スライドリングにローラ要素が設けられる。このようにして、スライドリングは、キャリアパックに対するころ軸受として機能する。これによりシステムの性能がさらに向上する。というのは、パックとスライドリングとの間の摩擦が低減されるからである。これは、例えば、より大きい、かつ/またはより重い物品がキャリアパックによって輸送されるべき場合に有利である。
【0019】
本発明の別の有利な発展形態では、キャリアパックは、方向付け部分(orientation section)、および位置決め部分(posision section)を有する方向付けリング(orientation ring)をさらに備える。これにより、キャリアパックを特定の方向付け方向に位置合せすることが可能になる。方向付け部分は、複数の歯を備えることができる。
【0020】
本発明の別の有利な発展形態では、キャリアパックは、識別手段をさらに備えることができる。これにより、キャリアパックによって搬送されている物体を簡単な方法で識別することが可能になる。このようにして、同じ搬送トラック上で様々な種類の物体を搬送することができる。
【0021】
本発明の別の有利な発展形態では、キャリアパックの下部本体および上部本体は、下部本体から上部本体を取り外すことができるような取付け手段を備える。これにより、キャリアパックの破損または摩耗した一部を容易に交換することが可能になる。これにより、キャリアパックを搬送されるべき様々な物体に対して変更することも容易になる。
【0022】
本発明の別の有利な発展形態では、キャリアパックの下部物体および上部物体は、互いに固定して取り付けられる。このことは、特に数多くの同一キャリアパック組立体に対する需要がある場合に、費用効率の高い簡単な解決法を提供する。
【0023】
本発明について、添付図面に示されている諸実施形態を参照してより詳細に以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるキャリアパックの第1の実施形態の側面図である。
【図2】本発明によるキャリアパックの第1の実施形態の分割図である。
【図3】創意のあるパックが搬送トラックにおいてダイバータディスクによって方向転換されるのを示す図である。
【図4】創意のあるパックが搬送トラックにおいてダイバータディスクによって方向転換されるのを示す図である。
【図5】創意のあるパックが搬送トラックにおいてダイバータディスクによって方向転換されるのを示す図である。
【図6】本発明によるキャリアパックの第2の実施形態の側面図である。
【図7】本発明によるキャリアパック用の方向付けリングの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下で記述されるさらなる発展形態を有する本発明の諸実施形態は、単なる例と見なされるべきであり、特許請求の範囲によって与えられる保護の範囲を決して限定するものではない。
【0026】
図1および図2は、本発明によるコンベヤシステム用キャリアパックの第1の実施形態を示す。キャリアパック1は、下部本体2、上部本体3およびスライドリング4を備える。下部本体2は円形形状であり、ベース面6、下部接触面7、案内溝8、上部接触面9およびリング溝10を備える。パックは、ベース面上で立つことにより搬送トラック上で輸送される。下部接触面7および上部接触面9は、パックが別のパックに影響を与えたり別の面に接触して支持されたりするときに使用される。下部接触面および上部接触面の直径は、同じであることが好ましく、この実施形態では完成したパックの最大直径も表すこととする。このようにして、複数のパックがひっくり返る危険性なしに互いに影響し合うことができる。
【0027】
案内溝8は、搬送トラック上でパックを案内するために使用することができる。パックの案内が必要な場合、搬送トラックは案内溝に対応するレールを備える。このようにして、パックはトラックに固定され、落ちたりひっくり返ったりすることはないであろう。レールは必要に応じて適用される。
【0028】
下部本体は、下部本体に上部本体を取り付けるために使用される取付け手段5をさらに備える。図示の例では、取付け手段は、下部本体のバヨネット凹部と、上部本体のバヨネット突出部とでバヨネットカップリングの形をとる。もちろん、ねじや解放可能なスナップロックなど他の取付け手段も考えられる。取付け手段は、この例で示されているように、下部本体から上部本体を取り外すことができるように分解可能とすることができる。このことの利点は、パックの一部が破損もしくは摩耗したときに交換できること、または、上部本体が別の用途に適応する別の本体と交換できることである。このようにして、パックまたはパックの一部は、製造ラインが改変または閉鎖されたときに再利用することができる。
【0029】
パックが分解される必要がない場合、上部本体および下部本体は、例えば上部本体および下部本体の材料に応じて、例えば、ねじ、接着剤、ボンド接着、スナップロックなどによって、互いに固定して取り付けることもできる。上部本体および下部本体は、上部本体および下部本体が単一の部分を構成するように、互いに一体化することもできる。パックには、キャリアパックまたはキャリアパックによって支持された物体を識別するように構成された識別手段11を設けることもできる。識別手段は、無線伝送で機能する非接触識別手段、例えば、下部本体内に固定して一体化することができるRFIDタグ、または下部本体内部に配置された取外し可能とすることができるRFIDタグとすることができる。この種の識別手段は、識別手段がキャリアパックの方向の影響を受けないという利点を有する。光学的に読取り可能な手段、例えばバーコードに形をとる識別手段がキャリアパックの外側に付着されてもよい。この種の識別手段は、キャリアパックに、パックを特定の方向に向けることができる方向付け手段が設けられた場合に使用されることが好ましい。キャリアパックによって搬送される物体に識別手段を貼り付けることも可能である。
【0030】
上部本体の直径は、上部本体が円形の場合、下部本体の接触面の直径より小さいことが好ましい。上部本体が別の形状の場合、上部本体は、下部本体の外に垂直方向に突出していないことが好ましい。このようにして、パックは、接触面によって別のパックまたは別の面に影響を与えるだけである。接触面はパックの下部に位置しているので、これによりパックが確実に安定する。上部本体の内側および上部の一部は、搬送されるべき物体に適合される。この種の物体は、例えばパックのサイズに応じて、試験管、機械的部品、組立体、医療用パッケージなどを含むことができる。
【0031】
スライドリング4は、リング溝10の中に取り付けられる。リング溝およびスライドリングの寸法は、パックが組み立てられたときにスライドリングがリング溝の中で容易に回転することができるような寸法にする。スライドリングの外径は、第1の実施形態では接触面の直径より小さい。このようにして、スライドリングは、パックの本体から突出することはない。スライドリング4は、例えばダイバータディスクまたは別のハンドリングユニットの高さに相当する高さに配置される。これは、ダイバータディスクがパックをスライドリングで保持できることを意味する。スライドリングとダイバータディスクの保持面との間の摩擦は、パックが方向転換する間、スライドリングを保持面に対して定位置に保持する。
【0032】
パックは、パックが例えば、ワークステーションまたはダイバータステーションで止められたときに、パックが搬送トラックに対して滑ることができるように、低摩擦材料で作られることが好ましい。この種の低摩擦材料は、適切なプラスチック材料、例えばポリアミド、アセタール樹脂または導電性アセタール樹脂とすることができる。パックの少なくとも下部本体は、この材料で作られることが好ましい。スライドリングもまた、この種のプラスチックで作ることができ、あるいは耐摩耗性を向上させるために金属で作ることもできる。スライドリングはまた、摩擦をさらに減少させかつ耐摩耗性を増大させるために、ローラ要素を備えるころ軸受として設計することもできる。
【0033】
パックの方向転換の一例が図3〜図5に示されている。この例では、複数のパックが第1の搬送トラック25上で搬送され、第1のパック20がダイバータディスク23によって第2の搬送トラック26上へ方向転換されることになる。搬送トラックの進行方向が、矢印で示されている。ダイバータディスクには、パックのスライドリングのサイズに対応する円形保持凹所24が設けられている。図3では、第1のパック20が、第1の位置にあるダイバータディスクの保持凹所に入ったところである。先頭の第2のパック21を有するパック列は、第1のパックに影響を与え、各パックの重量、および搬送トラックとパック列との間の摩擦に依存する力で第1のパックに押し付けられる。
【0034】
図4において、ダイバータディスクは、矢印で示された反時計方向に回転する。第1のパックは、ダイバータディスクに追従する。スライドリングにより、第1のパックはこの動きの間にダイバータディスクに固定されることはなく、ダイバータディスクに対して回転することができる。したがって、第1のパックは方向転換の動きの間に第2のパックに対して転がることができる。このようにして、パック列内の第2のパックおよび他のパックは、第1のパックによって回転させられるべきでないが、これはスライドリングが設けられていない従来のパックの場合である。パック列内のパックは回転させられる必要はないので、ダイバータディスクを回転させるための力は、それほど必要ない。第1のパックを方向転換中に解放するようにパック列を停止させるために、パックストッパを導入する必要もない。
【0035】
図5において、ダイバータディスクは、第1のパックが第2の搬送トラックに方向転換される、ダイバータディスクの第2の位置まで回転したところである。第1のパックが保持凹所を離れると、ダイバータディスクは、時計方向に回転させられて第1の位置に戻り、ダイバータディスクは第1の位置で次に来る第2のパックを捕捉する。ダイバータディスクが回転して第1の位置に戻ると、ダイバータディスクの外面が、第2のパックのスライドリングと接触する。したがって、スライドリングは第2のパックに対して回転し、第2のパックが回転することはない。従来のパックが使用された場合、パック列内のパックが回転せざるをえないか、それともダイバータディスクの外面がパックに対して摺動せざるをえない、のどちらかである。パック列を回転させるにはダイバータディスクに比較的強力なモータが必要となり、ダイバータディスクの外面をパックに対して摺動させるには、不必要な動力も必要となり、表面の摩耗を引き起こすことにもなる。
【0036】
第2のパックがダイバータディスクによって捕捉されると、第2のパックが反時計方向の回転によって第2の搬送トラック上へ方向転換されうるか、それとも第2のパックが時計方向の回転によって第1の搬送トラック上に転送されうる、のどちらかである。このパックが転送されると、ダイバータディスクの外面は、第3のパック22のスライドリングを回転させる。これは、第3のパックが第3のパックの方向を保つことができること、および力をあまり必要としないことを意味する。
【0037】
第2の実施形態では、スライドリングの直径が、パックの直径より大きい。この実施形態では、ダイバータディスクは、やはりスライドリングでパックを捕捉することができるが、パック列内のパックは、互いにスライドリングに影響を与える。この種のパックが方向転換されると、すべてのパックのスライドリングが回転する。したがって、このような配置は、パック列が比較的短い場合に使用する方がよい。これらのパックは、第1のパックが方向転換されるかまたは転送されたときに、依然としてパックの方向を保つことができる。
【0038】
図6に示されている本発明のパックの発展形態では、スライドリングの上方に位置する方向付けリング12も設けられる。方向付けリングは、上部本体の下部上に設けられることが好ましい。このようにして、同じ下部本体をあらゆるタイプのパックに使用することができる。方向付けリングは、パックに特定の方向付けを与えるように使用される。このことは、例えば、実行されるべき作業で物体が特定の方法で向けられる必要があるワークステーションで、役に立つことができる。方向付けリングは、例えば射出成形によって上部本体と一体化されてもよく、または上部本体から取外し可能であってもよい。その場合、方向付けリングの内面には、方向付けリングを上部本体に対して特定の方向で位置付けるために、インデックス溝15を設けることもできる。これは、搬送されるべき物体が上部本体内で特定の方向に向けられるときに有利である。
【0039】
方向付けリングは、パックを特定の方向付け位置まで回転させるために使用される方向付け部分と、パックをその位置に保持することになる位置決め部分とを備えることが好ましい。物体が対称形であり、かつ2つ以上の同じ方向付け位置で方向付けることができる場合に、複数の位置決め部分を有することも可能である。方向付けリングは、パックの特定の方向付けが要求される搬送トラックの複数の位置に設けられた特定の方向付けレールと協働するように適合される。図7には、そのような方向付けリングの一実施形態が示されている。歯付きレールを把持し、したがってパックが搬送トラックによって搬送されるときにパックを回転させるいくつかの歯を方向付け部分13が備える。方向付け位置に達すると、パックの回転が止められ、平坦領域を備える位置決め部分14が方向付けレールに乗る。
【0040】
本発明は上述の実施形態に限定されると見なされるべきでなく、いくつかのさらなる変形実施形態および修正実施形態が後の特許請求の範囲内で可能である。パックは任意のサイズを有することができ、任意の適当な材料で作ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 キャリアパック
2 下部本体
3 上部本体
4 スライドリング
5 取付け手段
6 ベース面
7 下部接触面
8 案内溝
9 上部接触面
10 リング溝
11 識別手段
12 方向付けリング
13 方向付け部分
14 位置決め部分
15 インデックス溝
20 第1のパック
21 第2のパック
22 第3のパック
23 ダイバータディスク
24 保持カットアウト
25 第1の搬送トラック
26 第2の搬送トラック
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤシステム内で使用されるべきスライドリング(slide ring)を備えるキャリアパック(carrier puck)に関する。
【背景技術】
【0002】
工場内の様々なステーションの間で物体を移動させるために使用されるような搬送装置(conveying device)は、通常、ベルトまたはチェーンの形をとる搬送トラック(搬送経路)を備える。搬送トラックは、垂直側面を有する溝部内に配置される。あるいは、搬送トラックは、溝部の水平上面上に位置されるか、または他の方法で配置することもできる。搬送されるべき物体は、直接的にまたは支持手段を介して、搬送トラックに対して摺動可能に配置される。大きな物体は、パレットとしても知られる支持手段上で搬送されることが多く、小さな物体は、しばしばキャリアパックと称される小型キャリアを使用して搬送することができる。
【0003】
支持手段は搬送トラックに沿って搬送され、この搬送トラックは様々なワークステーションを備えることができる。これらのワークステーションは、すべての物体がすべてのワークステーションを通るように搬送トラックに沿って配置することができる。このようにして、物体がワークステーションで操作されるか否かにかかわらず、すべての物体が同時に停止しなければならない。このような配置はあまり柔軟性がなく、大抵は、すべての物体が同じ方法で操作されるべきであるとき、およびその操作に短期間しか必要としないときに使用される。
【0004】
様々なワークステーションが、様々な物体に対して色々な作業を実行することができるより柔軟性のあるシステムでは、ワークステーションは、主搬送トラックから切り離される。このようなシステムでは、主搬送トラック上の流れを乱さずに各物体を任意のワークステーションに向けることができる。したがって、ワークステーションでの作業の期間が他の物体に影響を及ぼすことはない。物体は、方向転換ステーション(diverting station)によってサイドトラック内に向けられる。物体をサイドトラック内に向けることができるようにするためには、方向転換ステーションは、主な物体の流れから正しい物体を捕捉してその物体を流れの外に移動させることができなければならない。主な流れの中で互いに隣接して進行し互いに影響し合う多くの物体がある場合、パックを流れの外に移動させるのに必要な力は比較的大きい。
【0005】
ダイバータディスク(diverter disc)がパックを把持し、そのパックを主な流れから外に移動させると、ダイバータディスクが回転するのでパックは回転運動を受けることになる。パックは方向転換中に回転することができるが、ダイバータディスクに対して回転することはほとんどない。他の複数のパックが第1のパックに影響を与えている状態では、ダイバータディスクは、互いに影響し合う他のパックからの力に打ち勝たなければならない。これにより、第1のパックが他のパックに対する摩擦を伴って滑るようになるか、他のすべてのパックも回転するようになる、のどちらか、あるいは両方を組み合わせたものになる。あるパックが回転すると、このパックは、コンベヤレールにこすれ、隣接するパックにもこすれる可能性がある。いずれにしても、パック相互間の摩擦、およびそれらのパックに搬送トラックによって第1のパックの方向に加えられる力のせいで、比較的大きな力がダイバータディスクによって及ぼされるはずである。
【0006】
この問題を解決する1つの方法が、ダイバータステーションの前に特別のストッパ機能を導入することである。ストッパは、パックを主搬送トラックから外へ容易に向けることができるように主な流れを中断する。しかしながら、各ストッパは不必要なコストであり、追加のスペースも必要とする。
【0007】
別の実施可能な方法は、主な流れの中でのパックからの摩擦に打ち勝つほど強力なモータを使用することである。パックがダイバータディスクによって主な流れの外に向けられると、パックは、方向転換中にダイバータディスクによって回転させられる。他の物体が第1の物体に影響を与えたときに、ダイバータディスクは、方向転換中に他のすべての物体からの力に打ち勝たなければならない。これには比較的大きな駆動ユニットが必要となり、駆動ユニットは、電気モータとすることができる。したがって、複数のワークステーションを有する大規模システムでは、総必要動力が不必要に大きくなる。
【0008】
欧州特許第1393080号明細書は、試験管で使用するのに適した従来の円形キャリアパックについて記述している。キャリアパックは、上述したシステム内で使用することができる。
【0009】
英国特許出願第2256629号明細書は、パッケージを保持するための指状突起部を有する円形パッケージ輸送パックについて記述している。指状突起部は、パックがベースに対して垂直な軸線上で転がるのを可能にするために、指状突起部の上端に指状の先細りになった要素を有することができる。輸送パックは、上述したシステム内で使用することができる。
【0010】
米国特許第6176369号明細書、米国特許出願公開第2004124109号明細書、米国特許第4729413号明細書、カナダ特許第2248565号明細書、米国特許第5484052号明細書、米国特許第5897090号明細書、および米国特許第3941237号明細書はすべて、上述したシステム内で使用することができる円形キャリアパックの様々な例を示している。
【0011】
これらのキャリアパックはすべて、いくつかのシステム内でうまく機能するが、とにかく上述の問題を受ける可能性がある。したがって、依然として改良の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の一目的は、スライドリングを有する改良型キャリアパックを提供することである。本発明のさらなる目的は、破損または摩耗した一部を交換するために容易に分解することができるキャリアパックを提供することである。本発明の別の目的は、特定の方向付け位置で方向付けることができる円形キャリアパックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による問題の解決法は、請求項1の特徴部分に記載されている。他の請求項は、キャリアパックの有利な実施形態およびさらなる発展形態を含んでいる。
【0014】
円形下部本体と、下部本体に取り付けられた上部本体とを備えるコンベヤシステム用キャリアパックにおいて、本発明の目的は、キャリアパックが下部本体の下部接触面の上方に位置するリング溝内に配置された回転可能なスライドリングをさらに備えることで達成される。
【0015】
本発明によるキャリアパックのこの第1の実施形態により、キャリアパックは、ダイバータやマージャ(mergers:合流装置)などの搬送トラックにある様々な手段によって効率的で費用効率の高い方法で操作することができる。マニピュレータはスライドリングでパックを把持するので、操作には従来のパックを操作するときほどの動力は必要ない。というのは、操作手段およびパックが、互いに対して相対的に移動することができるからである。これによりシステムの性能が向上する。
【0016】
本発明の有利な発展形態では、キャリアパックの最大直径はスライドリングの外径より大きい。これによりシステムの性能はさらに向上する。というのは、搬送トラック上で互いに影響し合うパックは、第1のパックがスライドリングによって操作されたときに回転させられるべきでないからである。これにより、より少ない構成要素でより簡単なシステムが可能になる。というのは、例えば特定のパックストッパが操作ステーションで必要ないからである。
【0017】
本発明の有利な一発展形態では、キャリアパックの最大直径は、スライドリングの外径より小さい。このようにして、異なるパックのスライドリングが互いに影響し合う。これによりシステムの性能が向上する。というのは、搬送トラック上の個々のパックは、第1のパックがスライドリングによって操作されるときに回転させられてはならないからである。代わりに、スライドリングが回転する。
【0018】
本発明の有利な一発展形態では、スライドリングにローラ要素が設けられる。このようにして、スライドリングは、キャリアパックに対するころ軸受として機能する。これによりシステムの性能がさらに向上する。というのは、パックとスライドリングとの間の摩擦が低減されるからである。これは、例えば、より大きい、かつ/またはより重い物品がキャリアパックによって輸送されるべき場合に有利である。
【0019】
本発明の別の有利な発展形態では、キャリアパックは、方向付け部分(orientation section)、および位置決め部分(posision section)を有する方向付けリング(orientation ring)をさらに備える。これにより、キャリアパックを特定の方向付け方向に位置合せすることが可能になる。方向付け部分は、複数の歯を備えることができる。
【0020】
本発明の別の有利な発展形態では、キャリアパックは、識別手段をさらに備えることができる。これにより、キャリアパックによって搬送されている物体を簡単な方法で識別することが可能になる。このようにして、同じ搬送トラック上で様々な種類の物体を搬送することができる。
【0021】
本発明の別の有利な発展形態では、キャリアパックの下部本体および上部本体は、下部本体から上部本体を取り外すことができるような取付け手段を備える。これにより、キャリアパックの破損または摩耗した一部を容易に交換することが可能になる。これにより、キャリアパックを搬送されるべき様々な物体に対して変更することも容易になる。
【0022】
本発明の別の有利な発展形態では、キャリアパックの下部物体および上部物体は、互いに固定して取り付けられる。このことは、特に数多くの同一キャリアパック組立体に対する需要がある場合に、費用効率の高い簡単な解決法を提供する。
【0023】
本発明について、添付図面に示されている諸実施形態を参照してより詳細に以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるキャリアパックの第1の実施形態の側面図である。
【図2】本発明によるキャリアパックの第1の実施形態の分割図である。
【図3】創意のあるパックが搬送トラックにおいてダイバータディスクによって方向転換されるのを示す図である。
【図4】創意のあるパックが搬送トラックにおいてダイバータディスクによって方向転換されるのを示す図である。
【図5】創意のあるパックが搬送トラックにおいてダイバータディスクによって方向転換されるのを示す図である。
【図6】本発明によるキャリアパックの第2の実施形態の側面図である。
【図7】本発明によるキャリアパック用の方向付けリングの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下で記述されるさらなる発展形態を有する本発明の諸実施形態は、単なる例と見なされるべきであり、特許請求の範囲によって与えられる保護の範囲を決して限定するものではない。
【0026】
図1および図2は、本発明によるコンベヤシステム用キャリアパックの第1の実施形態を示す。キャリアパック1は、下部本体2、上部本体3およびスライドリング4を備える。下部本体2は円形形状であり、ベース面6、下部接触面7、案内溝8、上部接触面9およびリング溝10を備える。パックは、ベース面上で立つことにより搬送トラック上で輸送される。下部接触面7および上部接触面9は、パックが別のパックに影響を与えたり別の面に接触して支持されたりするときに使用される。下部接触面および上部接触面の直径は、同じであることが好ましく、この実施形態では完成したパックの最大直径も表すこととする。このようにして、複数のパックがひっくり返る危険性なしに互いに影響し合うことができる。
【0027】
案内溝8は、搬送トラック上でパックを案内するために使用することができる。パックの案内が必要な場合、搬送トラックは案内溝に対応するレールを備える。このようにして、パックはトラックに固定され、落ちたりひっくり返ったりすることはないであろう。レールは必要に応じて適用される。
【0028】
下部本体は、下部本体に上部本体を取り付けるために使用される取付け手段5をさらに備える。図示の例では、取付け手段は、下部本体のバヨネット凹部と、上部本体のバヨネット突出部とでバヨネットカップリングの形をとる。もちろん、ねじや解放可能なスナップロックなど他の取付け手段も考えられる。取付け手段は、この例で示されているように、下部本体から上部本体を取り外すことができるように分解可能とすることができる。このことの利点は、パックの一部が破損もしくは摩耗したときに交換できること、または、上部本体が別の用途に適応する別の本体と交換できることである。このようにして、パックまたはパックの一部は、製造ラインが改変または閉鎖されたときに再利用することができる。
【0029】
パックが分解される必要がない場合、上部本体および下部本体は、例えば上部本体および下部本体の材料に応じて、例えば、ねじ、接着剤、ボンド接着、スナップロックなどによって、互いに固定して取り付けることもできる。上部本体および下部本体は、上部本体および下部本体が単一の部分を構成するように、互いに一体化することもできる。パックには、キャリアパックまたはキャリアパックによって支持された物体を識別するように構成された識別手段11を設けることもできる。識別手段は、無線伝送で機能する非接触識別手段、例えば、下部本体内に固定して一体化することができるRFIDタグ、または下部本体内部に配置された取外し可能とすることができるRFIDタグとすることができる。この種の識別手段は、識別手段がキャリアパックの方向の影響を受けないという利点を有する。光学的に読取り可能な手段、例えばバーコードに形をとる識別手段がキャリアパックの外側に付着されてもよい。この種の識別手段は、キャリアパックに、パックを特定の方向に向けることができる方向付け手段が設けられた場合に使用されることが好ましい。キャリアパックによって搬送される物体に識別手段を貼り付けることも可能である。
【0030】
上部本体の直径は、上部本体が円形の場合、下部本体の接触面の直径より小さいことが好ましい。上部本体が別の形状の場合、上部本体は、下部本体の外に垂直方向に突出していないことが好ましい。このようにして、パックは、接触面によって別のパックまたは別の面に影響を与えるだけである。接触面はパックの下部に位置しているので、これによりパックが確実に安定する。上部本体の内側および上部の一部は、搬送されるべき物体に適合される。この種の物体は、例えばパックのサイズに応じて、試験管、機械的部品、組立体、医療用パッケージなどを含むことができる。
【0031】
スライドリング4は、リング溝10の中に取り付けられる。リング溝およびスライドリングの寸法は、パックが組み立てられたときにスライドリングがリング溝の中で容易に回転することができるような寸法にする。スライドリングの外径は、第1の実施形態では接触面の直径より小さい。このようにして、スライドリングは、パックの本体から突出することはない。スライドリング4は、例えばダイバータディスクまたは別のハンドリングユニットの高さに相当する高さに配置される。これは、ダイバータディスクがパックをスライドリングで保持できることを意味する。スライドリングとダイバータディスクの保持面との間の摩擦は、パックが方向転換する間、スライドリングを保持面に対して定位置に保持する。
【0032】
パックは、パックが例えば、ワークステーションまたはダイバータステーションで止められたときに、パックが搬送トラックに対して滑ることができるように、低摩擦材料で作られることが好ましい。この種の低摩擦材料は、適切なプラスチック材料、例えばポリアミド、アセタール樹脂または導電性アセタール樹脂とすることができる。パックの少なくとも下部本体は、この材料で作られることが好ましい。スライドリングもまた、この種のプラスチックで作ることができ、あるいは耐摩耗性を向上させるために金属で作ることもできる。スライドリングはまた、摩擦をさらに減少させかつ耐摩耗性を増大させるために、ローラ要素を備えるころ軸受として設計することもできる。
【0033】
パックの方向転換の一例が図3〜図5に示されている。この例では、複数のパックが第1の搬送トラック25上で搬送され、第1のパック20がダイバータディスク23によって第2の搬送トラック26上へ方向転換されることになる。搬送トラックの進行方向が、矢印で示されている。ダイバータディスクには、パックのスライドリングのサイズに対応する円形保持凹所24が設けられている。図3では、第1のパック20が、第1の位置にあるダイバータディスクの保持凹所に入ったところである。先頭の第2のパック21を有するパック列は、第1のパックに影響を与え、各パックの重量、および搬送トラックとパック列との間の摩擦に依存する力で第1のパックに押し付けられる。
【0034】
図4において、ダイバータディスクは、矢印で示された反時計方向に回転する。第1のパックは、ダイバータディスクに追従する。スライドリングにより、第1のパックはこの動きの間にダイバータディスクに固定されることはなく、ダイバータディスクに対して回転することができる。したがって、第1のパックは方向転換の動きの間に第2のパックに対して転がることができる。このようにして、パック列内の第2のパックおよび他のパックは、第1のパックによって回転させられるべきでないが、これはスライドリングが設けられていない従来のパックの場合である。パック列内のパックは回転させられる必要はないので、ダイバータディスクを回転させるための力は、それほど必要ない。第1のパックを方向転換中に解放するようにパック列を停止させるために、パックストッパを導入する必要もない。
【0035】
図5において、ダイバータディスクは、第1のパックが第2の搬送トラックに方向転換される、ダイバータディスクの第2の位置まで回転したところである。第1のパックが保持凹所を離れると、ダイバータディスクは、時計方向に回転させられて第1の位置に戻り、ダイバータディスクは第1の位置で次に来る第2のパックを捕捉する。ダイバータディスクが回転して第1の位置に戻ると、ダイバータディスクの外面が、第2のパックのスライドリングと接触する。したがって、スライドリングは第2のパックに対して回転し、第2のパックが回転することはない。従来のパックが使用された場合、パック列内のパックが回転せざるをえないか、それともダイバータディスクの外面がパックに対して摺動せざるをえない、のどちらかである。パック列を回転させるにはダイバータディスクに比較的強力なモータが必要となり、ダイバータディスクの外面をパックに対して摺動させるには、不必要な動力も必要となり、表面の摩耗を引き起こすことにもなる。
【0036】
第2のパックがダイバータディスクによって捕捉されると、第2のパックが反時計方向の回転によって第2の搬送トラック上へ方向転換されうるか、それとも第2のパックが時計方向の回転によって第1の搬送トラック上に転送されうる、のどちらかである。このパックが転送されると、ダイバータディスクの外面は、第3のパック22のスライドリングを回転させる。これは、第3のパックが第3のパックの方向を保つことができること、および力をあまり必要としないことを意味する。
【0037】
第2の実施形態では、スライドリングの直径が、パックの直径より大きい。この実施形態では、ダイバータディスクは、やはりスライドリングでパックを捕捉することができるが、パック列内のパックは、互いにスライドリングに影響を与える。この種のパックが方向転換されると、すべてのパックのスライドリングが回転する。したがって、このような配置は、パック列が比較的短い場合に使用する方がよい。これらのパックは、第1のパックが方向転換されるかまたは転送されたときに、依然としてパックの方向を保つことができる。
【0038】
図6に示されている本発明のパックの発展形態では、スライドリングの上方に位置する方向付けリング12も設けられる。方向付けリングは、上部本体の下部上に設けられることが好ましい。このようにして、同じ下部本体をあらゆるタイプのパックに使用することができる。方向付けリングは、パックに特定の方向付けを与えるように使用される。このことは、例えば、実行されるべき作業で物体が特定の方法で向けられる必要があるワークステーションで、役に立つことができる。方向付けリングは、例えば射出成形によって上部本体と一体化されてもよく、または上部本体から取外し可能であってもよい。その場合、方向付けリングの内面には、方向付けリングを上部本体に対して特定の方向で位置付けるために、インデックス溝15を設けることもできる。これは、搬送されるべき物体が上部本体内で特定の方向に向けられるときに有利である。
【0039】
方向付けリングは、パックを特定の方向付け位置まで回転させるために使用される方向付け部分と、パックをその位置に保持することになる位置決め部分とを備えることが好ましい。物体が対称形であり、かつ2つ以上の同じ方向付け位置で方向付けることができる場合に、複数の位置決め部分を有することも可能である。方向付けリングは、パックの特定の方向付けが要求される搬送トラックの複数の位置に設けられた特定の方向付けレールと協働するように適合される。図7には、そのような方向付けリングの一実施形態が示されている。歯付きレールを把持し、したがってパックが搬送トラックによって搬送されるときにパックを回転させるいくつかの歯を方向付け部分13が備える。方向付け位置に達すると、パックの回転が止められ、平坦領域を備える位置決め部分14が方向付けレールに乗る。
【0040】
本発明は上述の実施形態に限定されると見なされるべきでなく、いくつかのさらなる変形実施形態および修正実施形態が後の特許請求の範囲内で可能である。パックは任意のサイズを有することができ、任意の適当な材料で作ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 キャリアパック
2 下部本体
3 上部本体
4 スライドリング
5 取付け手段
6 ベース面
7 下部接触面
8 案内溝
9 上部接触面
10 リング溝
11 識別手段
12 方向付けリング
13 方向付け部分
14 位置決め部分
15 インデックス溝
20 第1のパック
21 第2のパック
22 第3のパック
23 ダイバータディスク
24 保持カットアウト
25 第1の搬送トラック
26 第2の搬送トラック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の下部本体(2)と、前記下部本体に取り付けられた上部本体(3)とを備えるコンベヤシステム用キャリアパック(1)において、
前記下部本体(2)の下部接触面(7)の上方に位置するリング溝(10)内に配置された回転可能なスライドリング(4)を備えることを特徴とする、キャリアパック。
【請求項2】
前記下部本体(2)の最大直径(d1)が前記スライドリング(4)の外径(d2)より大きいことを特徴とする、請求項1に記載のキャリアパック。
【請求項3】
前記下部本体(2)の最大直径(d1)が前記スライドリング(4)の外径(d2)より小さいことを特徴とする、請求項1に記載のキャリアパック。
【請求項4】
前記スライドリング(4)に、前記リング溝(10)と前記スライドリング(4)との間に配置されたローラ要素が設けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャリアパック。
【請求項5】
当該キャリアパックを方向付けレールと協働して特定の方向に回転させるように構成された方向付け部分(13)と、
前記方向付けレールに接して支持されるように構成された直線位置決め部分(14)と
を有する方向付けリング(12)をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のキャリアパック。
【請求項6】
前記方向付け部分(13)に歯が設けられることを特徴とする、請求項5に記載のキャリアパック。
【請求項7】
当該キャリアパックまたは当該キャリアパックによって支持された物体を識別するように構成された識別手段(11)をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のキャリアパック。
【請求項8】
前記下部本体(2)および前記上部本体(3)が、前記下部本体(2)から前記上部本体を取り外すことができるように、着脱可能な取付け手段(5)を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のキャリアパック。
【請求項9】
前記下部本体(2)および前記上部本体(3)が互いに固定して取り付けられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のキャリアパック。
【請求項1】
円形の下部本体(2)と、前記下部本体に取り付けられた上部本体(3)とを備えるコンベヤシステム用キャリアパック(1)において、
前記下部本体(2)の下部接触面(7)の上方に位置するリング溝(10)内に配置された回転可能なスライドリング(4)を備えることを特徴とする、キャリアパック。
【請求項2】
前記下部本体(2)の最大直径(d1)が前記スライドリング(4)の外径(d2)より大きいことを特徴とする、請求項1に記載のキャリアパック。
【請求項3】
前記下部本体(2)の最大直径(d1)が前記スライドリング(4)の外径(d2)より小さいことを特徴とする、請求項1に記載のキャリアパック。
【請求項4】
前記スライドリング(4)に、前記リング溝(10)と前記スライドリング(4)との間に配置されたローラ要素が設けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャリアパック。
【請求項5】
当該キャリアパックを方向付けレールと協働して特定の方向に回転させるように構成された方向付け部分(13)と、
前記方向付けレールに接して支持されるように構成された直線位置決め部分(14)と
を有する方向付けリング(12)をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のキャリアパック。
【請求項6】
前記方向付け部分(13)に歯が設けられることを特徴とする、請求項5に記載のキャリアパック。
【請求項7】
当該キャリアパックまたは当該キャリアパックによって支持された物体を識別するように構成された識別手段(11)をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のキャリアパック。
【請求項8】
前記下部本体(2)および前記上部本体(3)が、前記下部本体(2)から前記上部本体を取り外すことができるように、着脱可能な取付け手段(5)を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のキャリアパック。
【請求項9】
前記下部本体(2)および前記上部本体(3)が互いに固定して取り付けられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のキャリアパック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2013−503799(P2013−503799A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527848(P2012−527848)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050924
【国際公開番号】WO2011/028166
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(501002323)フレックスリンク コンポーネンツ エービー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050924
【国際公開番号】WO2011/028166
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(501002323)フレックスリンク コンポーネンツ エービー (2)
【Fターム(参考)】
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