説明

キラルなα−アリールプロピオン酸誘導体の合成方法

本発明は、光学的に純粋なα−アリールプロピオン酸誘導体の合成方法であって、対応するラセミ体のα−アリールプロピオン酸誘導体をグラインディングなどの高せん断力または衝突力にかけるステップを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、高せん断力または衝突力によってα−アリールプロピオン酸誘導体を脱ラセミ化するプロセスに関する。
【0002】
[発明の背景技術]
鏡像異性体として純粋な分子の合成は、特に鏡像異性体として純粋な形での登録が増加している医薬化合物にとってかなり実際的な重要性をもつ。結晶化は、Louis Pasteurが酒石酸の塩の鏡像異性結晶を手作業で分割することによって実証したように、鏡像異性体として純粋な材料を得るための魅力的なオプションである(L. Pasteur、CR. Hebd. Seanc. Acad. Sci. Paris、1848年、26巻、535頁)。結晶化による分割は、望ましくない鏡像異性体をラセミ化することによってさらに改善することができる。結晶化と溶液ラセミ化を組み合わせることによって、いわゆる完全な「自然分晶」が行われる(E. Havinga、Biochem. Biophys. Acta、1954年、13巻、171頁)。この場合、ラセミ化が起こる清澄な過飽和溶液に、鏡像異性体として純粋な種晶が導入される。これらの種晶は、溶液が減少するまでさらに成長し、鏡像異性体として純粋な固体物質の量が増加する。望ましくない鏡像異性体の核発生速度を低減するためには、所望の鏡像異性体の2次核を多数導入することによって、過飽和度を場合によっては低減することができる(D. K. Kondepudi、R.J. Kaufman、N. Singh、Science、1990年、250巻、975〜977頁;J. M. McBride、R. L. Carter、Angew. Chem. Int. Ed.、1991年、30巻、293頁)。原理的には、結晶化されるキラル物質はすべて、固相で所望の鏡像異性体に変換することができ、100%の理論収量になる。しかし、望ましくない鏡像異性体の核発生を防ぐために、温度など結晶化条件の注意深い制御が必要であることは欠点である。これによって、非ステロイド系抗炎症薬の有用な構成要素である本発明のα−アリールプロピオン酸誘導体などのラセミ体の、より確固とした分割方法を受け入れる余地が残されている。
【0003】
[発明の詳細な説明]
本発明の文脈において、「グラインディング」という用語は、摩擦、例えば2つの硬質または研磨表面間で擦ることによって、より小さい粒子に疎砕、微粉砕、または縮小することなど、固体の機械的処理を指す。グラインディングは、場合によってはガラス、セラミック、石英、ダイヤモンド、砂、金属などの不活性材料のビーズなどの粒子の存在下で、粉砕、振盪、撹拌、または超音波により行うことができる。
【0004】
「加水分解」という用語は、エステルまたはアミドをそれぞれ、置換基カルボン酸とアルコールまたはアミンに変換するために使用されるプロセスを指す。本発明の文脈において、前記加水分解は、塩基もしくは酸を用いた反応、または特定のカルボン酸保護基を除去するのに特に適した化学薬品による反応など、当業者に公知のプロセスであれば限定されるものではない。
【0005】
「不溶性」という用語は、反応混合物に実質的に不溶性である粒子を指す。実質的に不溶性であるというのは、溶解性が0.01g/kg未満、好ましくは0.0001g/kg未満、最も好ましくは0.000001g/kg未満であるということである。
【0006】
アブレーシブグラインディングおよび平衡に近い条件下での結晶化を利用した脱ラセミ化が、3つのアミノ酸誘導体、すなわちN−(2−メチルベンジリデン)フェニルグリシンアミド(W. L. Noorduin、T. Izumi、A. Millemaggi、M. Leeman、H. Meekes、W. J. P. van Enckevort、R. M. Kellogg、B. Kaptein、E. Vlieg、D. G. Blackmond、J. Am. Chem. Soc.、2008年、130巻、1158頁)、N−(4−クロロベンジリデン)フェニルアラニンメチルエステル(B. Kaptein、W. L. Noorduin、H. Meekes、W. J. P. van Enckevort、R. M. Kellogg、E. Vlieg、Angew. Chem. Int. Ed.、2008年、47巻、7226頁)、およびアスパラギン酸(C. Viedma、J. E. Ortiz、T. de Torres、T. Izumi、D. G. Blackmond、J. Am. Chem. Soc.、2008年、130巻、15274頁)について開示された。この脱ラセミ化は、これらの特定の生成物について鏡像異性体として純粋な最終状態に到達するための極めて簡単でかつ信頼性のはるかに高い技法である。残念なことに、化合物のコングロメレート挙動は予測不可能であり、したがって所与の化合物の鏡像異性体が、別々の結晶を形成することになるか否かについて一般論を述べることはできない。一般に認められているのは、ラセミ体におけるこのようなコングロメレートの生成が、すべての場合の5〜10%にしかすぎないということだけである(A. Collet、Enantiomer、1999年、4巻、157頁、その文献に引用されている同様の推定を裏付けている)。
【0007】
本発明の第1の態様において、驚くべきことに、グラインディング条件下での脱ラセミ化は、以前に開示されたアミノ酸誘導体、すなわちα−アリールプロピオン酸誘導体と化学的、電子工学的、および形態学的に全く異なる構造のいくつかの基質に適用可能であることが明らかになった。したがって、本発明は、鏡像体過剰率が(e.e.)50〜99.99%、好ましくは90〜99.99%である一般式(1)のα−アリールプロピオン酸誘導体
【化1】



[式中、Rは、置換または非置換のビフェニル、ナフチル、フェニル、またはチエニルであり、RはアミドまたはORであり、Rは、カルボキシル保護基、置換もしくは非置換のアミンカチオン、または金属カチオンである]の合成方法を提供する。本方法は、低e.e.を有する一般式(1)の化合物(式中、RおよびRは上記に定義した通りである)を機械的処理にかけるステップを含む。低e.e.とは、0〜50%、好ましくは0.1〜30%のe.e.である。本方法では少なくとも、溶媒中に、低e.e.を有する一般式(1)の前記化合物の一部分が固体状態で存在し、低e.e.を有する一般式(1)の前記化合物の一部分が溶液状態で存在する必要がある。一実施形態において、後者の前記低e.e.は0に等しいまたは近い。すなわちラセミ体である。この混合物がもたらす系はスラリーと呼ばれる。好ましくは、溶媒は、一般式(1)の化合物のラセミ化が起こる溶媒である。本発明の化合物の場合に、好適な溶媒とは、一般式(1)の化合物の溶解性が少なくとも10g/l、好ましくは少なくとも20g/l、より好ましくは少なくとも40g/lである溶媒である。この点で好適な溶媒クラスの例は、アルコール、アルカン、アリール、エーテル、ハロゲン含有溶媒、ニトリルなど、またはそれらの混合物である。特に好適な種は、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ジオキサン、エタノール、ヘプタン、iso−プロパノール、メタノール、メチルtert−ブチルエーテル、オクタン、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、およびトルエンであるが、当業者は、構造的類似性および類似した溶解性を有する溶媒が同等に好適なものとなることを理解するであろう。固体状態の一般式(1)の化合物の量は、混合物の全重量の少なくとも5重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜95%、最も好ましくは10〜50%である。
【0008】
一般式(1)の前記化合物のラセミ化は、pK>9、好ましくはpK>12の有機または無機塩基によって行うことができる。好適な例は、NH、第一級アミン、第二級アミン、もしくは第三級アミンなどのアミン;DBUもしくDBNなどのアミジン;TMGなどのグアニジン;LiOH、NaOH、KOH、もしくはCsOHなどの金属水酸化物;NaCO、KCO、CsCOなどの金属炭酸塩;NaOMe、NaOEt、KOtBuなどの金属アルコラート;NaHもしくはCaHなどの金属水素化物;NaNH、LDA、もしくはKHMDSなどの金属アミド;またはBuLi、EtZn、もしくはMeMgClなどの金属アルキルである。
【0009】
本プロセスは、好ましくは0〜160℃、より好ましくは20〜120℃の温度で行われる。温度は一定に維持してもよいが、本プロセスは、周期温度変動などの温度変動の下で行うこともできる。
【0010】
機械的処理は、高せん断力または衝突力を加えることによって、例えばグラインディングによって行われる。好ましくは、グラインディングは、反応混合物に不溶性である粒子の存在下で撹拌もしくは粉砕もしくは振盪もしくは超音波、例えば湿式粉砕および/もしくは超音波によって行われ、かつ/またはタービン撹拌機などの機械的撹拌装置、例えばRushtonタービン撹拌機を使用することによって行われ、かつ/またはローターミル、臼型ミル、ディスクミル、もしくはボールミルを使用することによって行われ、かつ/またはウルトラタラックス(ultraturax)ミキサーを使用することによって行われ、かつ/または高せん断ポンプのミルを含む外部ループを使用することによって行われる。不溶性粒子の存在下で撹拌が行われるとき、前記粒子は、直径0.2mm〜5cmであり、ガラスおよび/または砂および/またはセラミックおよび/または金属および/または他の不活性材料で作製されていることが好ましい。
【0011】
一実施形態において、脱ラセミ化の時間は、スラリー中の固形分の量とともに直線的に増加することが明らかになった。さらに、系が自己触媒プロセスの閾値を克服するのに必要とされた時間は、鏡像異性体濃縮固相を出発物とすることによって最小限に抑制することができる。したがって、高e.e.を有する固体を少量用いて開始し、次いでスラリーにラセミ材料を徐々にフィードすることは有用である。このようにして、固相は高e.e.を持続することができ、高い脱ラセミ化率が得られる。全体的に見て、これによって、鏡像異性体として純粋な固相に到達する時間が短縮される。
【0012】
徐々にフィードすることは機械的に実現することができるが、別の実施形態において標的分子は、プロセス中その場で合成できることが有利であり、実際に実行することが非常に簡単になる。限定することなく実際に適用可能であることを示すために、非ステロイド系抗炎症薬(S)−ナプロキセン((S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロピオン酸)が例として使用される。ナプロキセンおよびそのナトリウム塩はラセミ化合物として結晶化し、それによって古典的な分割が妨害される。しかし、ナプロキセンのメチルおよびエチルエステル(1、R=2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)、およびそれぞれR=OCHまたはOCHCH)は、ラセミ混合物またはコングロメレートとして、すなわち別々の鏡像異性体の相として結晶化し、溶液状態で容易にラセミ化することができる。しかし、Araiら(米国特許第4,417,070号明細書)が(RS)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルの清澄な飽和溶液に(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルの種晶を加え、混合物を冷却して、さらに結晶を成長させることにより、不十分なe.e.値が得られた。これによって、コングロメレートおよびラセミ化の前提条件それだけでは十分でないことが明確に示されている。米国特許第4,417,070号明細書では、これらの前提条件は満たされているが、開示された溶液からの結晶化による富化で得られた結果は、それにもかかわらず非常に不十分であり、したがって本発明のグラインディングプロセスが好適な代替策になるという示唆を与えるものではない。それ故、コングロメレート挙動の前提条件が満たされている場合でさえ、これは、G. Coquerel(Topics in Current Chemistry、2007年、269巻、1〜51頁)が主張している(実際的な)優先晶出を自動的にもたらすわけではない。
【0013】
同様の結果が、フルルビプロフェンのモノベンジルアミン塩およびジベンジルアミン塩(1、R=2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)、およびそれぞれR=NHCHPhまたはNH(CHPh)についても得られる。(−)−α−メチルベンジルアミンを用いたフルルビプロフェンのジアステレオマー塩の不斉変換が独国特許第2,809,794号明細書に記載されている。フルルビプロフェンのアミドは、容易に単離することができる固体であるので、これらも本発明において好適な基質である。
【0014】
興味深いことに、一般式(1)のエステル(式中、RはORである)は、一般式(1)のエステル(式中、前記OR基は、ORについて定義されたものと同じ属に由来するOR基と交換されているが、ただしORとORは同じではないことを条件とし、または前記OR基はNR基と交換されている)に変換することができる。
【0015】
例えば、塩基性条件下、メタノールを溶媒として使用して、2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸エチルを2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルに変換することができるが、この溶媒に対する2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルの溶解性はより低い。これらの2つの特性を利用して、系を冷却する必要なしに、2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸エチルの飽和溶液を出発物とし、それによってスラリーにラセミ体2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルを徐々にフィードして、2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルの過飽和溶液を生成することができる。例えば、(RS)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸エチルと(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルとの92:8の比の混合物をナトリウムメトキシドのメタノール溶液に部分溶解した。その好適な濃度は1〜25重量%、好ましくは5〜15重量%である。次いで、混合物を、例えばガラスビーズの存在下で磁気撹拌子を用いて撹拌することにより、摩擦で強化されるプロセスにかける。その結果は、(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルの鏡像異性体として純粋な固相でのラセミ体2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸エチルの完全変換であり、2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルの脱ラセミ化時間が劇的に短縮される。
【0016】
もう一つの実施形態において、一般式(1)の好ましい化合物は、
(a)α−アリールプロピオン酸とアルコールROHとのエステル、または
(b)α−アリールプロピオン酸とアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属もしくは一般式NRのアミンとの塩、または
(c)α−アリールプロピオン酸と式HNRのアミンとのアミドである。
好ましくは、α−アリールプロピオン酸は、以下のうちの1つである:2−(p−メチルアリルアミノフェニル)プロピオン酸、2−(4−クロロフェニル)−α−メチル−5−ベンゾオキサゾール酢酸、2−(8−メチル−10,11−ジヒドロ−11−オキソジベンゾ[b,f]オキセピン−2−イル)プロピオン酸、6−クロロ−α−メチル−9H−カルバゾール−2−酢酸、2−(3−フェノキシフェニル)プロピオン酸、2−(4−フルオロフェニル)−α−メチル−5−ベンゾオキサゾール酢酸、2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸、2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸、2−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]プロピオン酸、2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸、α−メチル−4−[(2−オキソシクロペンチル)メチル]ベンゼン酢酸、2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロピオン酸、3−クロロ−4−(2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−α−メチルベンゼン酢酸、2−(5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−b]ピリジン−7−イル)プロピオン酸、α−メチル−4−(2−チエニルカルボニル)ベンゼン酢酸、2−(4−シクロヘキシル−1−ナフチル)プロピオン酸、2−[4−(3−オキシイミノシクロヘキシル)フェニル]プロピオン酸、および2−(10,11−ジヒドロ−10−オキソジベンゾ[b,f]チエピン−2−イル)プロピオン酸。
【0017】
アルコールROHは、カルボン酸の保護に適したアルコールであれば特に限定されるものではない。好適な例は、アリルアルコール、9−アントリルメチルアルコール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシメチルアルコール、p−ブロモベンジルアルコール、p−ブロモフェナシルアルコール、3−ブテン−1−イルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−(t−ブチルジメチルシリル)エチルアルコール、2−(ジ−t−ブチルメチルシリル)エチルアルコール、2−(t−ブチルジフェニルシリル)エチルアルコール、シクロヘキサノール、カルボキサミドメチルアルコール、シンナミルアルコール、シクロペンタノール、シクロプロピルメチルアルコール、5−ジベンゾスベリルアルコール、2,6−ジクロロベンジルアルコール、2,2−ジクロロ−1,1−ジフルオロエタノール、2,6−ジメトキシベンジルアルコール、4−(ジメチルアミノカルボニル)ベンジルアルコール、2,6−ジメチルベンジルアルコール、1,1−ジメチルプロパノール、1,2−ジメチルプロパノール、2,2−ジメチルプロパノール、2−(ジメチルチオホスフィニル)エチルアルコール、2−(9,10−ジオキソ)アントリルメチルアルコール、ジフェニルメチルアルコール、2−(ジフェニルホスフィノ)エチルアルコール、1,3−ジチアニル−2−メチルアルコール、エタノール、9−フルオレニルメチルアルコール、2−ハロエタノール、イソブタノール、イソプロパノール、2−(イソプロピルジメチルシリル)エチルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、メトキシエトキシエチルアルコール、メトキシエチルアルコール、p−メトキシフェナシルアルコール、メタノール、1−メチルブタノール、2−メチルブタノール、3−メチルブタノール、メチルカルボニルエチルアルコール、α−メチルシンナミルアルコール、p−(メチルメルカプト)フェニルアルコール、α−メチルフェナシルアルコール、1−メチル−1−フェニルエチルアルコール、4−(メチルスルフィニル)ベンジルアルコール、メチルチオメチルアルコール、2−メチルチオエチルアルコール、o−ニトロベンジルアルコール、p−ニトロベンジルアルコール、ビス(o−ニトロフェニル)メチルアルコール、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル)アルコール、n−ペンタノール、フェナシルアルコール、フェニルアルコール、フェニルジメチルシリルアルコール、N−フタルイミドメチルアルコール、4−ピコリルアルコール、ピペロニルアルコール、プロパノール、1−ピレニルメチルアルコール、2−(2’−ピリジル)エチルアルコール、4−スルホベンジルアルコール、2−テトラヒドロフラニルアルコール、2−テトラヒドロピラニルアルコール、2−(p−トルエンスルホニル)エチルアルコール、2,2,2−トリクロロエタノール、トリエチルシリルアルコール、2−(トリフルオロメチル)−6−クロミルメチルアルコール、2,4,6−トリメチルベンジルアルコール、4−(トリメチルシリル)−2−ブテン−1−イルアルコール、トリメチルシリルアルコール、2−(トリメチルシリル)エチルアルコール、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルアルコール、およびトリフェニルメチルアルコールである。
【0018】
アミンの好適な例は、式中、R、R、およびRがそれぞれ独立に、ベンジル、ブチル、エチル、水素、2−ヒドロキシエチル、iso−プロピル、メチル、p−ニトロフェニル、フェニル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、プロピルであり、またはRとRが環構造として、モルホリノ、ピペリジノ、もしくはピロリジノを形成するものである。最も好ましくは、一般式(1)の化合物は、2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロピオン酸のメチルエステルもしくはエチルエステル、または2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸のアミドもしくは塩である。
【0019】
別の実施形態において、光学的に純粋なエステルは、加水分解によって、鏡像体過剰率が50〜99.99%、好ましくは90〜99.99%である一般式(2)のカルボン酸
【化2】



[式中、Rは上記に定義する通りである]に変換される。
【0020】
本発明の第2の態様において、一般式(2)の化合物は医薬品の調製に使用される。好適な例は、抗炎症薬の(S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸、(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸、(S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸、(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロピオン酸、および(S)−2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸、またはこれらの化合物の塩である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】グラインディング条件下、2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルの(R)−鏡像異性体と(S)−鏡像異性体との固相鏡像体比の進展を示す図であり、固相鏡像体過剰率の指数関数的増加を示す。Y軸は鏡像体比(%)を表わし、X軸は時間(日)を表わす。黒塗りの棒(黒色)は(R)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルを表わし、白抜きの棒(白色)は(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルを表わす。
【図2】グラインディング条件下、エステル化によって媒介される脱ラセミ化中の、2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルの(S)−鏡像異性体(黒四角)および2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸エチル(黒菱形)における固相鏡像体過剰率の進展を示す図である。固相中の2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルの比率は白丸で示す。Y軸は、固相鏡像体過剰率(%)またはモル分率(%)をそれぞれ表わし、X軸は時間(時)を表わす。
【0022】
[実施例]
[実施例1]
[(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチル]
(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸(ナプロキセン、6.13g、27.0mmol)のメタノール(250mL)溶液に、35滴の濃HSOを添加し、反応混合物を終夜撹拌した後、CHCl(約50mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒の蒸発により、標題生成物が得られた。H NMR(400 MHz, CDCl):δ=7.62(s, 1H), 7.57(d, 1H, J=8.5 Hz), 7.48−7.45(m, 2H), 7.18(d, 1H, J=2.6 Hz), 6.89(d, 1H, J=2.4 Hz), 3.71(q, 1H, J=7.1 Hz), 3.36(s, 3H), 3.28(s, 3H), 1.52(d, 3H, J=7.1 Hz)。
【0023】
[実施例2]
[(RS)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチル]
(RS)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸(14.25g、62.8mmol)のメタノール(450mL)溶液に、70滴の濃HSOを添加し、反応混合物を終夜撹拌した後、CHCl(約1L)で希釈し、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒の蒸発により、標題のメチルエステルが定量的に得られた。H NMR(400 MHz, CDCl):δ=7.62(s, 1H), 7.57(d, 1H, J=8.5 Hz), 7.48−7.45(m, 2H), 7.18(d, 1H, J=2.6 Hz), 6.89(d, 1H, J=2.4 Hz), 3.71(q, 1H, J=7.1 Hz), 3.36(s, 3H), 3.28(s, 3H), 1.52(d, 3H, J=7.1 Hz)。
【0024】
[実施例3]
[(RS)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸エチル]
メタノールの代わりにエタノールを使用した点以外は実施例1の手順に従い、エタノール250mL中(RS)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸(ナプロキセン、5.74g、27.0mmol)と約40滴の濃HSOを標題生成物に定量的に変換させた。H NMR(300 MHz, CDCl):δ=7.72−7.67(m, 3H), 7.41(dd, 1H, J=1.8 Hz, J=8.4 Hz), 7.16−7.12(m, 2H), 4.21−4.05(m, 2H), 3.91(s, 3H), 3.83(q, 3H, J=7.2 Hz), 1.55(d, 2H, J=3.0 Hz), 1.20(t, 3H, J=8.1 Hz)。
【0025】
[実施例4]
[(RS)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルの脱ラセミ化]
10mLの標準サンプルバイアルに、ガラスビーズ(φ2〜2.5mm、アルドリッチ(Aldrich)、8.7g)、(RS)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチル(0.7553g)、(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチル(0.0030g)、およびNaOMe/MeOH(Na 2.2gをMeOH 45mLに溶解することによって調製されたストック溶液6.302g)を添加した。サンプルバイアルをセプタムで閉じ、Elma Transsonic T470/H超音波浴に配置した。その浴は、Julabo F25恒温槽に取り付けられた冷却用スパイラルを使用して、23℃の一定温度で維持した。サンプリングについては、注射器を使用して、スラリーを0.3mL採取し、P4ガラスフィルターで濾過し、MeOH(約2mL)で洗浄した。キラルHPLCを使用して、キラル純度を測定した。H NMR(400 MHz, CDCl):δ=7.62(s, 1H), 7.57(d, 1H, J=8.5 Hz), 7.48−7.45(m, 2H), 7.18(d, 1H, J=2.6 Hz), 6.89(d, 1H, J=2.4 Hz), 3.71(q, 1H, J=7.1 Hz), 3.36(s, 3H), 3.28(s, 3H), 1.52(d, 3H, J=7.1 Hz)。HPLC分析は、Chiralcel−OJ(250×内径4.6mm)カラム、溶離液:n−ヘキサン/2−プロパノール98/2%(v/v)、流量1mL/分、室温、検出λ=254nmで行った。保持時間:(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチル10.5分、(R)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチル11.4分。この実験の結果を図1に示す。この図から、すでに初期の鏡像体過剰率が1.5%であることによって、鏡像異性体として純粋な(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチル固相に指数関数的に進展することがわかる。
【0026】
[実施例5]
[(RS)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチルの、エステル化によって媒介される脱ラセミ化]
Schlenck条件下で、25mLの丸底フラスコに、ガラスビーズ(8.7g)、(RS)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸エチル(0.612Og)、(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチル(0.050g)、およびMeOH/MeOH(MeOH 10mLとNa 0.5gとを含有するストックから6.502g)、ならびに卵形磁気撹拌子を加えた。プロセスは、700rpmで撹拌することによって開始された。サンプリングについては、スラリーを0.3mL採取し、P4ガラスフィルターで濾過し、MeOH約2mLで洗浄した。キラルHPLCを使用して、キラル純度を測定した。H NMR(400 MHz, CDCl):δ=7.62(s, 1H), 7.57(d, 1H, J= 8.5 Hz), 7.48−7.45(m, 2H), 7.18(d, 1H, J=2.6 Hz), 6.89(d, 1H, J=2.4 Hz), 3.71(q, 1H, J=7.1 Hz), 3.36(s, 3H), 3.28(s, 3H), 1.52(d, 3H, J=7.1 Hz)。HPLC分析は、Chiralcel−OJ(250×内径4.6mm)カラム、溶離液:n−ヘキサン/2−プロパノール98/2%(v/v)、流量1mL/分、室温、検出λ=254nmで行った。保持時間:(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチル10.5分、(R)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸メチル11.4分。この実験の結果を図2に示す。
【0027】
[実施例6]
[(RS)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩]
(RS)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸(フルルビプロフェン、4.89g、20mmol)のエタノール(19mL)溶液に、ベンジルアミン2.20g(20.5mmol)をゆっくりと添加した。15分間放置した後、清澄な溶液に、2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩の種晶を加えた。4時間後、結晶を濾過し、トルエン10mLで洗浄し、乾燥すると、表題化合物が白色結晶固体として5.95g(85%)得られた。H NMR(300 MHz, CDCl):δ=7.47−7.19(m, 14H), 7.03−7.01(2xs, 2H), 3.70(s, 2H), 3.41(q, 1H), 1.31(d, 3H)。第二高調波発生測定および粉末X線回折により、この塩はラセミコングロメレートである。
【0028】
[実施例7]
[(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩]
(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸(490mg、2.0mmol)のエタノール(3mL)溶液に、エタノール1mL中ベンジルアミン218mg(2.05mmol)をゆっくりと添加した。30分間放置した後、清澄な溶液は、徐々に結晶化し始めた。3日後、結晶を濾過し、エタノール1mLで洗浄し、乾燥した。こうして、表題化合物が白色結晶固体として423mg(60%)得られた。溶媒の部分蒸発後に、濾液から、さらに120mgの生成物が単離された(全収率77%)。
【0029】
[実施例8]
[(RS)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ジベンジルアミン塩]
(RS)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸(244mg、1.0mmol)のエタノール(1mL)溶液に、ジベンジルアミン192μL(197mg、1.0mmol)を添加した。清澄な溶液の結晶化後、結晶を濾取し、最少量のエタノールで洗浄し、乾燥した。こうして、表題化合物が白色結晶固体として400mg(91%)得られた。H NMR(300 MHz, CDCl):δ=7.85(br s, 2H), 7.53−7.12(m, 18H), 3.78(s, 4H), 3.45(q, 1H), 1.48(d, 3H)。第二高調波発生測定および粉末X線回折により、この塩はラセミコングロメレートである。
【0030】
[実施例9]
[(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ジベンジルアミン塩]
(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸(490mg、2.0mmol)のエタノール(3mL)溶液に、エタノール1mL中ジベンジルアミン400mg(2.0mmol)を添加した。添加後、清澄な溶液は結晶化した。3日後、結晶を濾過し、エタノール1mLで洗浄し、乾燥した。こうして、表題化合物が白色結晶固体として754mg(86%)得られた。
【0031】
[実施例10]
[1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを使用した(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩のラセミ化]
25mLの標準丸底フラスコに、(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩0.0145g、トルエン2.0g、および1,1,3,3−テトラメチルグアニジン0.34gを添加した。混合物を100℃に加熱した。液体のサンプルを適時に採取し、キラルHPLCを使用して分析した。HPLC分析は、AD−H Chiralpak(250×内径4.6mm)カラム、溶離液:n−ヘキサン/2−プロパノール95/5%(v/v)、流量1mL/分、室温、検出λ=254nmで行った。保持時間:(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩14.8分、(S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩19.5分。4時間後、鏡像体過剰率は、6%eeに低下した。
【0032】
[実施例11]
[(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩のラセミ化]
25mLの標準丸底フラスコに、(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩0.0130g、トルエン2.0g、およびベンジルアミン0.18gを添加した。混合物を80℃に加熱した。液体のサンプルを適時に採取し、キラルHPLC分析で鏡像体過剰率を決定した。48時間後、鏡像体過剰率は69%eeに低下し、溶液相ラセミ化が実証された。
【0033】
[実施例12]
[(RS)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩の脱ラセミ化]
50mLの標準丸底フラスコに、(RS)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩200mg、ガラスビーズ(φ2.5mm)10g、n−オクタン20mL、および卵形磁気撹拌子を加えた。1000rpmで撹拌を始め、混合物を100℃に加熱した。白色懸濁液に、ベンジルアミン50mg(0.47mmol、塩の全量に対して7.5mol%)を添加した。得られた不透明な(飽和)溶液に、さらに(RS)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩1.80gおよび(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩190mgを添加した(合計2.19g(6.2mmol)の塩、出発時のe.e.は9%)。濃厚な懸濁液を1000rpmおよび100℃でさらに4日間撹拌した。周囲温度に冷却した後、ガラスビーズを篩にかけ、残った灰白色懸濁液をP3ガラスフィルターで濾過した。こうして、(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸ベンジルアミン塩1.92g(88%)が得られた(純度93%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡像体過剰率が50から99.99%である一般式(1)のα−アリールプロピオン酸誘導体
【化1】



[式中、Rは、置換または非置換のビフェニル、ナフチル、フェニル、またはチエニルであり、RはアミドまたはORであり、Rは、カルボキシル保護基、置換もしくは非置換のアミンカチオン、または金属カチオンである]の合成方法であって、鏡像体過剰率が0から50%である一般式(1)の化合物[式中、RおよびRは上記に定義した通りである]を機械的処理にかけるステップを含む方法において、鏡像体過剰率が0から50%である前記一般式(1)の化合物が溶媒中に固体状態と溶液状態とで存在すること、および前記機械的処理が高せん断力または衝突力で行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記機械的処理がグラインディングである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
鏡像体過剰率が0から50%である一般式(1)の前記化合物の固体状態で存在する量が、前記混合物の全重量の少なくとも5重量%である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記一般式(1)の化合物が、
(a)α−アリールプロピオン酸とアルコールROHとのエステル、または
(b)α−アリールプロピオン酸とアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属もしくは一般式NRのアミンとの塩、または
(c)α−アリールプロピオン酸と式HNRのアミンとのアミド
であり、
前記α−アリールプロピオン酸は、2−(p−メチルアリルアミノフェニル)プロピオン酸、2−(4−クロロフェニル)−α−メチル−5−ベンゾオキサゾール酢酸、2−(8−メチル−10,11−ジヒドロ−11−オキソジベンゾ[b,f]オキセピン−2−イル)プロピオン酸、6−クロロ−α−メチル−9H−カルバゾール−2−酢酸、2−(3−フェノキシフェニル)プロピオン酸、2−(4−フルオロフェニル)−α−メチル−5−ベンゾオキサゾール酢酸、2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸、2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸、2−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]プロピオン酸、2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸、α−メチル−4−[(2−オキソシクロペンチル)メチル]ベンゼン酢酸、2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロピオン酸、3−クロロ−4−(2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−α−メチルベンゼン酢酸、2−(5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−b]ピリジン−7−イル)プロピオン酸、α−メチル−4−(2−チエニルカルボニル)ベンゼン酢酸、2−(4−シクロヘキシル−1−ナフチル)プロピオン酸、2−[4−(3−オキシイミノシクロヘキシル)フェニル]プロピオン酸、および2−(10,11−ジヒドロ−10−オキソジベンゾ[b,f]チエピン−2−イル)プロピオン酸からなるリストから選択され、
前記アルコールROHは、アリルアルコール、9−アントリルメチルアルコール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシメチルアルコール、p−ブロモベンジルアルコール、p−ブロモフェナシルアルコール、3−ブテン−1−イルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、t−ブチルジメチルシリルアルコール、ジ−t−ブチルメチルシリルアルコール、t−ブチルジフェニルシリルアルコール、シクロヘキサノール、カルボキサミドメチルアルコール、シンナミルアルコール、シクロペンタノール、シクロプロピルメチルアルコール、5−ジベンゾスベリルアルコール、2,6−ジクロロベンジルアルコール、2,2−ジクロロ−1,1−ジフルオロエタノール、2,6−ジメトキシベンジルアルコール、4−(ジメチルアミノカルボニル)ベンジルアルコール、2,6−ジメチルベンジルアルコール、1,1−ジメチルプロパノール、1,2−ジメチルプロパノール、2,2−ジメチルプロパノール、ジメチルチオホスフィニルアルコール、2−(9,10−ジオキソ)アントリルメチルアルコール、ジフェニルメチルアルコール、2−(ジフェニルホスフィノ)エチルアルコール、1,3−ジチアニル−2−メチルアルコール、エタノール、9−フルオレニルメチルアルコール、2−ハロエタノール、イソブタノール、イソプロパノール、イソプロピルジメチルシリルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、メトキシエトキシメチルアルコール、メトキシメチルアルコール、p−メトキシフェナシルアルコール、メタノール、1−メチルブタノール、2−メチルブタノール、3−メチルブタノール、メチルカルボニルアルコール、α−メチルシンナミルアルコール、p−(メチルメルカプト)フェニルアルコール、α−メチルフェナシルアルコール、1−メチル−1−フェニルエチルアルコール、4−(メチルスルフィニル)ベンジルアルコール、メチルチオメチルアルコール、2−メチルチオエチルアルコール、o−ニトロベンジルアルコール、p−ニトロベンジルアルコール、ビス(o−ニトロフェニル)メチルアルコール、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル)アルコール、n−ペンタノール、フェナシルアルコール、フェニルアルコール、フェニルジメチルシリルアルコール、N−フタルイミドメチルアルコール、4−ピコリルアルコール、ピペロニルアルコール、プロパノール、1−ピレニルメチルアルコール、2−(2’−ピリジル)エチルアルコール、4−スルホベンジルアルコール、2−テトラヒドロフラニルアルコール、2−テトラヒドロピラニルアルコール、2−(p−トルエンスルホニル)エチルアルコール、2,2,2−トリクロロエタノール、トリエチルシリルアルコール、2−(トリフルオロメチル)−6−クロミルメチルアルコール、2,4,6−トリメチルベンジルアルコール、4−(トリメチルシリル)−2−ブテン−1−イルアルコール、トリメチルシリルアルコール、2−(トリメチルシリル)エチルアルコール、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルアルコール、およびトリフェニルメチルアルコールからなるリストから選択され、
式中、RおよびRは独立に、ベンジル、エチル、水素、2−ヒドロキシエチル、イソプロピル、メチル、p−ニトロフェニル、フェニル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、プロピルであり、またはRとRが環構造として、モルホリノ、ピペリジノ、もしくはピロリジノを形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記一般式(1)の化合物が、2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロピオン酸のメチルエステルもしくはエチルエステル、または2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸のアミドもしくは塩である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記グラインディングが、反応混合物に不溶性である粒子の存在下で撹拌、粉砕、振盪、もしくは超音波により行われ、かつ/またはタービンを使用することによって行われ、かつ/またはウルトラタラックス(ultraturax)ミキサーを使用することによって行われる、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子の直径が0.2mmから5cmである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記粒子が、ガラス、砂、セラミック、および/または金属粒子である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記OR基が、ORについて定義されたものと同じ属に由来するOR基と交換されているが、ただしORとORは同じでないことを条件とし、または前記OR基がNR基と交換されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ORがエチルであり、ORがメチルであり、またはORがメチルであり、ORがエチルであり、かつRが2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
加水分解して、鏡像体過剰率が50から99.99%である一般式(2)の化合物またはその塩
【化2】



[式中、Rは上記に定義する通りである]を得るステップをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
医薬品の調製において請求項11に記載の方法に従って調製された(S)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸または(R)−2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸または(S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸または(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロピオン酸または(S)−2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−516874(P2012−516874A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548682(P2011−548682)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051347
【国際公開番号】WO2010/089343
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】