説明

キラル二環式基でN−置換されたアミノ−1,3,5−トリアジン、それらの製造法、それらの組成物並びにそれらの除草剤及び植物成長調節剤としての使用

【課題】除草剤又は植物成長調節剤として有用な2−アミノ−4−(ビシクリル)アミノ−6−(置換アルキル)−1,3,5−トリアジン誘導体の光学活性な異性体の中間体を提供する。
【解決手段】式(XIII)で表される化合物である。


[式中、R6は水素、アルキル又はアルコキシであり;R7、R8、R9及びR10は水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ又はCNであり;AはCH2、O又は直接結合であり;R11は、水素またはアルカノイルである。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の2−アミノ−4−(ビシクリル)アミノ−6−(置換アルキル)−1,3,5−トリアジン誘導体の光学活性な異性体、それらの製造方法、それらの組成物及び中間体、並びに所望しない植物又は植生を防除するための除草剤又は植物成長調節剤としてのそれらの使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
WO 97/31904及びEP−A−0864567は、2−アミノ−4−ビシクリル−アミノ−1,3,5−トリアジンの製造及びそれらの除草剤及び植物成長調節剤としての使用について記載している。当該引用文献は、原則として一つ又はそれ以上のキラル中心を含んでいる種々の基で置換された種々のアミノ−1,3,5−トリアジン誘導体について一般的に記載している。
しかしながら、具体的に開示された誘導体は、エナンチオマーのラセミ混合物又はジアステレオマーのラセミ型混合物のような立体異性体の混合物のみが記載されている。ある場合には、既知の活性物質は、例えば、有害な植物に対する除草効果が不十分であるか、天気、天候及び/又は土壌条件に関して極めて厳格な適用制限があるか、雑草に対するスペクトルが極めて狭いか又は作物選択性が極めて小さく、使用において不都合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
驚くべきことに2−アミノ−1,3,5−トリアジン誘導体の或る置換体の内、特定の光学活性な異性体が、従来の化合物又は対応するラセミ化合物又はその他の光学異性体に比較して有利な施用特性を有していることがこの度見出された。
例えば、それらの化合物は、その立体異性体又はそのラセミ混合物よりも驚異的に優れた除草効果を有し、或る一定範囲の有害雑草の防除に使用することができる極めて活性な除草剤である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式(I)で表される光学活性な化合物又は、それらの農業的に許容され得る塩に関するものであり:
【化1】

ここにおいて:
1はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)ハロアルキル、[(C1−C4)アルコキシ](C1−C6)アルキル、非置換又はハロゲン、(C1−C4)アルキル及び
(C1−C4)ハロアルキルから成る一群から選択される一つ若しくはそれ以上の基で置換
された(C3−C6)シクロアルキルであるか、又は(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C2−C6)ハロアルケニル、(C4−C6)シクロアルケニル、(C4
6)ハロシクロアルケニル、(C1−C6)アルコキシ又は(C1−C6)ハロアルコキシ
であり;
2はH、ハロゲン、(C1−C6)アルキル又は(C1−C4)アルコキシであり;又は
1及びR2は、結合している炭素原子と一緒になって、(C3−C6)シクロアルキル又は(C4−C6)シクロアルケニル環を形成することができ;
3はH、(C1−C6)アルキル、(C1−C4)アルコキシ又はハロゲンであり;
4及びR5は、それぞれ独立にH、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)ハロアルキル、(C3−C4)アルケニル、(C3−C4)ハロアルケニル、(C3−C4)アルキニル、(C3−C4)ハロアルキニル又はアシル基であり;
6は、H、(C1−C6)アルキル又は(C1−C6)アルコキシであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立にH、(C1−C4)アルキル、(C1−C3
ハロアルキル、ハロゲン、(C1−C3)アルコキシ、(C1−C3)ハロアルコキシ又はCNであり;
AはCH2、O又は直接結合であり;
そして、標識1位における立体化学配置は、当該位における(R)−及び(S)−配置を有する立体異性体の含量に基づき、60から100%(R)、好ましくは70−100%(R)、特に好ましくは80−100%(R)の立体化学純度を有する(R)である。
【0005】
式(I)において参考の目的のために、或る環炭素原子は1から3と標識し、一方、トリアジン環に結合している炭素原子を1*と標識した。
【0006】
本発明において、標識1位における立体化学配置は、カーン-インゴールド-プレログ
システム(Cahn-Ingold-Prelog system)に従って、優勢的に(R)に固定されているが
、しかしながら、本発明の課題は、式(I)により包含される他のロカント(locants)
の全ての立体異性体及びそれらの混合物をも指向するものである。そのような式(I)で表される化合物は、例えば、一つ又はそれ以上の付加的な不斉炭素原子、又は式(I)において特別に言及していない二重結合をも含んでいる。本発明は、純粋な異性体及び多かれ少なかれそれらを豊富に含む混合物をも包含し、標識1位における不斉炭素原子はR−配置であるか、又は混合物であり、化合物又は同様な化学構造を有する化合物群は、標識1位にR−配置を有するか、又は、R−配置を有する化合物が優勢的に存在する比率で存在し(少なくとも60%のR−配置)、一方では、他の不斉炭素原子はラセミ型で存在しているか、又は多かれ少なかれ分割して存在している。
【0007】
標識1位における立体化学配置の条件が適当な場合、例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、Z−及びE−異性体のような特定の空間型によって定義される可能性のある立体異性体は、全て式(I)に包含され、そして当該立体異性体の混合物から従来の方法によって得ることができるか、又は立体化学的に純粋な出発物質の使用と組み合わせた立体選択的な反応によって合成することができる。
【0008】
1、R2及びR3基の定義に依存して、上述の可能性のある付加的な不斉中心は、式(
I)における標識1*の炭素原子であり、その場合、本発明に係る式(I)で表される化
合物は、少なくとも二種の純粋な立体異性体、即ち、原理的に存在する四種の純粋な立体異性体から選択される(1R,1*R)及び(1R,1*S)として存在することができる。他の不斉中心は、式(I)における標識2の炭素原子において存在することができ、その場合は、本発明の化合物は、少なくとも四種の純粋な立体異性体形態をとることができ、これら付加的な不斉炭素原子は、それぞれ、カーン-インゴールド−プレログ システム(Cahn-Ingold-Prelog system)に従って(R)又は(S)配置を有し、即ち、原理的に
存在する八種の純粋な立体異性体から選択される(1R,1*R,2R)、(1R,1*
,2S)、(1R,1*S,2R)及び(1R,1*S,2S)の配置をとる純粋な異性体である。尚、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10の基の性質に依存
して、更なる不斉炭素原子が存在し得る。
【0009】
以下に示す式において、特定の立体化学配置は任意の位置において定義され、例えば標識1、2又は1*の炭素原子において定義され、他に定義されていない限り、その標識位
置における立体化学純度は60から100%、好ましくは70−100%、特に好ましくは80−100%、最も好ましくは100%である。「立体化学純度」とは、或るキラル中心を有する立体異性体群の総量に対する百分率として表したときの明示された立体異性体の量を意味する。
【0010】
本発明は、また、それぞれの官能基が存在する場合は、ケト及びエノール互変異性体並びにそれらの混合物及び塩をも包含する。
【0011】
式(I)で表される化合物は、例えば、HCl、 HBr、H2SO4 若しくはHNO3又は一官能性
若しくは二官能性カルボン酸若しくはスルホン酸のような適当な無機酸又は有機酸を、例えば、アミノ又はアルキルアミノのような塩基性基に添加することによって塩を形成することができる。
【0012】
式(I)で表される或る化合物は、適当な無機塩基又は有機塩基を添加することによって塩を形成することができる。そのような化合物(I)は、カルボキシル又はスルホニル基のような「酸性水素原子」を含んでいる官能基を有し、それはアシル基の定義における置換基となり得る。これらの塩の態様としては、金属塩、特にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、好ましくはナトリウム−若しくはカリウム塩、又は、アンモニウム塩、有機アミン塩若しくは第四級アンモニウム塩のような非置換又は置換アンモニウム塩が挙げられる。
【0013】
添付の特許請求の範囲を含む本特許明細書においては、前述の置換基は以下の意味を有する:
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
基名の前の用語「ハロ」は、当該基が部分的に又は完全にハロゲン化されていること、即ち、如何なる組合せであれ、F、Cl、Br又はIにより置換されていることを意味する。
「(C1−C6)アルキル」なる表現は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチルプロピル若しくはtert−ブチル基のような、1、2、3、4、5又は6炭素原子(かっこ内においてC−原子の範囲として指摘している)を有する無枝又は有枝の非環状飽和炭化水素基を意味する。同様の定義の仕方は、「アルコキシアルキル」のような複合基におけるアルキル基にも適用される。
アルキル基及び複合基中のアルキル基は、他に定義されていない限り、好ましくは、1から4個の炭素原子を有する。
【0014】
「(C1−C6)ハロアルキル」は、「(C1−C6)アルキル」の表記下で挙げられたアルキル基であって、一つ又はそれ以上の水素原子が、例えば、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2CH2F、CH2CH2Cl、CH2CH2Br、CH2CH2I、CHFCH3のようなモノハロアルキル、又はCF3
、CCl3、CF2CF3、CCl2CCl3、CF2CCl3 及び CCl2CClF2のような過ハロアルキル、又はCHF2、CF3CH2、CHF2CF2、CH2FCHCl 若しくは CHCl2のように、同数の同一又は異なるハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。「(C1−C4)ハロアルキル」が好ましく、特に、モノハロアルキル、過ハロアルキル、CF3、CHF2、CH2F、CHFCH3、CF2CF3、CH2FCHCl
、CH2Cl、CCl3、CHCl2 又はCH2CH2Clである。
「[(C1−C4)アルコキシ](C1−C6)アルキル」は、(C1−C4)アルコキシで置
換された(C1−C6)アルキルを意味する。
「(C1−C6)アルコキシ」は、「(C1−C6)アルキル」の表記下で意味付けられた炭素鎖を有するアルコキシ基を意味する。「ハロアルコキシ」は、例えばOCF3、OCHF2、OCH2F、CF3CF2O、OCH2CF3又はOCH2CH2Clである。
【0015】
「(C2−C6)アルケニル」は、記載範囲に対応する炭素原子数を有し、そしてそれぞれの不飽和基の如何なる位置であれ少なくとも1個の二重結合を含む無枝又は有枝の非環状の炭素鎖を意味する。「(C2−C6)アルケニル」は、それ故、例えば、ビニル、アリル、2−メチル−2−プロペニル、2−ブテニル、ペンテニル、2−メチルペンテニル又はヘキセニル基を意味する。
「(C2−C6)アルキニル」は、記載範囲に対応する炭素原子数を有し、そしてそれぞれの不飽和基の如何なる位置であれ少なくとも1個の三重結合を含んでいる無枝又は有枝の非環状の炭素鎖を意味する。「(C2−C6)アルキニル」は、それ故、例えば、プロパルギル、1−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル又は3−ブチニル基を意味する。
【0016】
「(C3−C6)シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル基のような単環状のアルキル基を意味する。
「(C4−C6)シクロアルケニル」は、4から6個の炭素原子を有する炭素環状の非芳香族環、部分的不飽和環を意味し、例えば、1−シクロブテニル、2−シクロブテニル、1−シクロペンテニル、2−シクロペンテニル、3−シクロペンテニル又は1−シクロヘキセニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、1,3−シクロヘキサジエニル又は1,4−シクロヘキサジエニルが挙げられる。
【0017】
アシル基は、広義には、OH基を除くことにより形式的に形成される有機酸の基であり、例えば、チオカルボン酸、非置換若しくはN−置換イミノカルボン酸、又はカルボン酸モノエステル基、非置換若しくはN−置換カルバミン酸、非置換若しくはN−置換チオカルバミン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホスホン酸及びホスフィン酸のような、カルボン酸の基及びそれに由来する酸の基である。アシルとしては、例えば、ホルミル、[(C1−C4)アルキル]カルボニルのようなアルキルカルボニル、フェニルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、フェニルスルホニル、N−アルキル−1−イミノアルキル及び有機酸のその他の基が挙げられる。これに関連して、基はアルキル又はフェニル部分のそれぞれにおいて更に置換されることが可能であり、例えばアルキル部分においては、ハロゲン、アルコキシ、フェニル及びフェノキシの一群から選択された一つ又はそれ以上の基により置換され;フェニル部分における置換の例としては、ハロゲン、(C1
−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、(C1−C4)ハロアルキル、(C1−C4
ハロアルコキシ及びニトロの一群から選択された同一又は異なる基による、モノ−又はポリ置換、好ましくは三置換までの置換が挙げられ、例えば、o−、m−及びp−トリル、ジメチルフェニル、2−、3−及び4−クロロフェニル、2−、3−及び4−トリフルオロ−及び−トリクロロフェニル、2,4−、3,5−、2,5−及び2,3−ジクロロフェニル、o−、m−及びp-メトキシフェニルを挙げることができる。
【0018】
アシル基は、通常は、1から24個の炭素原子、好ましくは1から18個、更に好ましくは1から12個、最も好ましくは1から7個、特に1から4個を有する。狭義におけるアシルとは、例えば、アルカン酸(alkanoic acid)、アルケン酸(alkenoic acid)、アルキン酸(alkynoic acid)若しくはアリールカルボン酸(例えば、ベンゾイル)、又は
、例えばアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル若しくはフェニルスルホニル;更に狭義には、アシルは、アルカン酸の基、例えば(C1−C24)アル
カン酸、好ましくは(C1−C18)アルカン酸、特に好ましくは(C1−C12)アルカン酸、極めて
特に好ましくは、ホルミル、アセチル又はプロピオニルのような(C1−C6)アルカン酸である。
【0019】
定義における「の一群から選択された一つ又はそれ以上の基」という表現は、それぞれの場合、特別な制限が明示的に定義されていない限り、指摘された基から成る一群から選択される一つ又はそれ以上の同一又は異なる基を意味する。
【0020】
可変部分の組合せにより、一般式は、不安定な官能基例えば、カルバミル基又はヒドロキシカルボニルオキシ基を形式的に定義でき、これらの基は、中性又は酸性の水性媒体中では不安定であり、それ故好ましくないか、又はそれぞれ安定な塩として、又は分解産物としてのみ使用される。
【0021】
本発明の式(I)において、個々の基がこれまでに既に記載した若しくは以下に記載する好ましい意味の一つを有する化合物又はその塩、そして特に実施例の表に示したもの、又はこれまでに既に記載した若しくは以下に記載する好ましい意味の二つ若しくはそれ以上が組合せられている化合物又はその塩が特に興味あるものではあるが、それは主として、より有効な除草活性、より好ましい選択性、及び/又は製造のし易さによるものである。
【0022】
式(I)で表される化合物で特に興味あるものは、基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びAの群から選ばれた基が、好ましくは以下に定義されたもので
あり、ここにおいて、当該基の定義は、当該群の他の基の定義からは独立している。式(I)で表される好ましい化合物は、以下に記載する二つ又はそれ以上の好ましい意味から成る当該群の基の組合せを含んでいる。
【0023】
以下の好ましい定義において、記号が具体的に定義されていない場合は、その記載において、前に定義されたものであることが一般的に了解される。
【0024】
好ましくは、R1はH、ハロゲン、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)ハロアルキル
、[(C1−C4)アルコキシ](C1−C4)アルキル、非置換又は一つ若しくはそれ以上の、好ましくは一つ若しくは二つの(C1−C4)アルキル基で置換した(C3−C6)シクロアルキルであるか、又は(C3−C4)ハロシクロアルキル、(C2−C4)アルケニル、(C2−C4)アルキニル、(C2−C4)ハロアルケニル、(C1−C4)アルコキシ若しくは(C1−C4)ハロアルコキシであり;更に好ましくは、R1はH、ハロゲン、(C1−C4
)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル又は(C1−C4)アルコキシ;尚更に好ましくは、R1はH又は(C1−C4)アルキル;最も好ましくは、R1はH又は(C1−C3)アルキル、特に、H、メチル又はエチルである。
【0025】
好ましくは、R2はH又は(C1−C4)アルキル;更に好ましくは、R2はHである。
【0026】
好ましくは、R1及びR2は、結合している炭素原子と一緒になって、(C3−C6)シクロアルキル環、特に、(C3−C4)シクロアルキルを形成する。
【0027】
好ましくは、R3はH、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ又はハロゲン
;更に好ましくは、R3はH、(C1−C3)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、Cl又
はF;尚更に好ましくは、R3はH、(C1−C2)アルキル、メトキシ、クロロ又はフル
オロである。
【0028】
好ましくは、R4はH、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)ハロアルキル、(C3−C4)アルケニル、(C3−C4)アルキニル、又は1から12個の炭素原子を有するアシル
基であり、当該アシル基は、好ましくは、CHO、−CO(C1−C6)アルキル、−CO(C1−C6)ハ
ロアルキル、−CO2(C1−C6)アルキル、−SO2(C1−C6)アルキル、−CO2−フェニル又は−CO−フェニル、[ここにおいて、各フェニルは、非置換又はハロゲン、(C1−C2)アルキル、(C1−C2)ハロアルキル、(C1−C2)アルコキシ、(C1−C2)ハロアルコキシ及びNO2の一群から選択された一つ若しくはそれ以上の基で置換されている。] の一群か
ら選択され;
更に好ましくは、R4はH、(C1−C3)アルキル、(C1−C3)ハロアルキル、アリ
ル、プロパルギル、CHO、−CO(C1−C3)アルキル又は−CO(C1−C3)ハロアルキル;尚更に
好ましくはR4はH、CHO、COCH3、COCH2Cl、COCH(CH3)Cl又はCOCF3;最も好ましくはR4
はHである。
【0029】
好ましくは、R5はH、(C1−C4)アルキル又は(C1−C4)ハロアルキル;更に好
ましくは、R5はH又は(C1−C2)アルキル;最も好ましくは、R5はHである。
【0030】
好ましくは、R6はH、(C1−C3)アルキル又は(C1−C3)−アルコキシ;更に好
ましくは、R6はH、メチル又はエチルである。
【0031】
好ましくは、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、(C1−C3)アルキル
、ハロゲン又は(C1−C3)アルコキシ;更に好ましくは、R7、R8、R9及びR10は、
それぞれ独立に、H、メチル、F又はClである。
【0032】
好ましくは、AはCH2又は直接結合である。
【0033】
式(I)で表される化合物で好ましいものは:
1はH、ハロゲン、メチル、エチル、n−プロピル又はイソ−プロピルのような(C1−C4)アルキルであり、又は(C1−C4)ハロアルキル、[(C1−C4)アルコキシ](
1−C4)アルキル、非置換又は一つ若しくは二つの(C1−C4)アルキル基で置換された(C3−C6)シクロアルキルであり、又は(C3−C4)ハロシクロアルキル、(C2
4)アルケニル、(C2−C4)ハロアルケニル、(C2−C4)アルキニル、(C1−C4
)アルコキシ又は(C1−C4)ハロアルコキシであり;
2はH又は(C1−C4)アルキルであり;又は
1及びR2は、結合している炭素原子と一緒になって、(C3−C6)シクロアルキル環を形成し;
3はH、(C1−C4)−アルキル、(C1−C2)アルコキシ又はハロゲンであり(更
に好ましくは、R3はH、(C1−C3)アルキル、メトキシ、Cl又はFである);
4はH、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)ハロアルキル、(C3−C4)アルケニ
ル、(C3−C4)アルキニル、又は1から12個の炭素原子を有するアシル基であり、(好ましくは、CHO、−CO(C1−C6)アルキル、−CO(C1−C6)ハロアルキル、−CO2(C1−C6)アルキル、−SO2(C1−C6)アルキル、−CO2−フェニル又は−CO−フェニルであり、ここ
において、各フェニルは、非置換又はハロゲン、(C1−C2)アルキル、(C1−C2)ハロアルキル、(C1−C2)アルコキシ、(C1−C2)ハロアルコキシ及びNO2の一群から
選択された一つ若しくはそれ以上の基で置換されている。);
5はH、(C1−C4)アルキル又は(C1−C4)ハロアルキルであり;
6はH、(C1−C3)アルキル又は(C1−C3)アルコキシであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、(C1−C3)アルキル、ハロゲン又
は(C1−C3)アルコキシであり;そして
AはCH2、O又は直接結合である(好ましくは、AはCH2又は直接結合であり、特に好ましくは直接結合である)。
【0034】
式(I)で表される化合物で更に好ましいものは:
1は、H又は(C1−C3)アルキルであり;
2は、H又は(C1−C3)アルキルであり;又は
1及びR2は、結合している炭素原子と一緒になって、(C3−C4)シクロアルキル環を形成し;
3は、H、(C1−C2)アルキル、メトキシ、Cl又はFであり;
4は、H、(C1−C3)アルキル、(C1−C3)ハロアルキル、アリル、プロパルギ
ル、CHO、−CO(C1−C3)アルキル又は−CO(C1−C3)ハロアルキルであり;
5は、H又は(C1−C2)アルキルであり;
6は、H、(C1−C3)アルキル又は(C1−C3)アルコキシであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、メチル、F及びClであり;そして
AはCH2、O又は直接結合(好ましくは、AはCH2又は直接結合、特に好ましくは直接結合)である。
【0035】
式(I)で表される化合物で特に好ましいものは:
1は、H又は(C1−C2)アルキルであり;
2は、H又は(C1−C2)アルキルであり;又は
1及びR2は、結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピル環を形成し;
3は、H、(C1−C2)アルキル、Cl又はFであり;
4はHであり;
5はHであり;
6は、H又は(C1−C3)アルキルであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、メチル、F及びClの一群から選択
され;そして
AはCH2、O又は直接結合である。
【0036】
式(I)における式CR1R2R3で表される基は、好ましくは(C1−C4)アルキル、(C1−C4)
ハロアルキル、(C3−C4)シクロアルキル、1−(C1−C3)アルキル−(C3−C4)−シクロアルキル及び(C3−C4)ハロシクロアルキル、更に好ましくは(C1−C3)アルキル、(C1−C4)フルオロアルキル、(C1−C4)クロロアルキル、(C3−C4)シクロアルキル、1−(C1−C3)アルキル−(C3−C4)−シクロアルキル、(C3−C4)−フルオロシクロアルキル又は(C3−C4)クロロシクロアルキルの一群から選択される基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、i−ブチル、tert−ブチル、1−フルオロ−エチル、1−フルオロ−プロピル、1−フルオロ−イソプロピル、1−フルオロ−n−ブチル
、1−クロロ−エチル、1−クロロ−プロピル、1−クロロ−イソプロピル、1−クロロ−n−ブチル、1−メチル−シクロプロピル、1−クロロ−シクロプロピル又は1−フルオロ−
シクロプロピルのような基が挙げられる。
【0037】
本発明の好ましい態様は、式(Ia)で表される光学活性な化合物又はその塩に関するものであり、ここにおいて、標識1及び1*における炭素原子は、双方共にキラルであり、そ
して標識2の炭素原子はアキラルである:
【化2】

ここにおいて:
1、R2及びR3は、式(I)において定義したものであるが、R1、R2及びR3は構造的に異なり;
他の種々の記号は、式(I)において定義したものであり、
そして、標識1の炭素原子の立体化学配置は、式(I)において定義したものであり、
そして、標識1*の炭素原子の立体化学は、(R)若しくは(S)配置又はそれらの混
合物であり、またラセミ混合物(R,S)を包含し、(R)及び(S)配置の総量に基づき、ラセミ配置又は過剰の(R)若しくは(S)配置は、好ましくは60から100%、特に好ましくは70−100%、最も好ましくは80から100%である。
【0038】
更に好ましくは、式(Ia)で表される化合物で、ここにおいて:
1は、H、(C1−C6)アルキル、又は(C1−C6)アルコキシであり;
2は、H又は(C1−C4)アルキルであり;
3は、H、(C1−C4)−アルキル又はハロゲンであり;
4及びR5は、それぞれHであり;
6はHであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、(C1−C6)アルキル又はハロゲン
であり;そして
Aは、CH2、O又は直接結合(更に好ましくは、Aは、CH2又は直接結合、特に好ましくは直接結合)であり;
ただし、R1、R2及びR3は、構造的に異なる。
【0039】
尚更に好ましくは、式(Ia)で表される化合物で、ここにおいて:
1は、H、メチル又はエチルであり;
2はHであり;
3は、H、F、Cl、メチル又はエチルであり;
4及びR5は、それぞれHであり;
6はHであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、メチル、Br、Cl又はFの一群か
ら選択され;そして
AはCH2、O又は直接結合(更に好ましくは、AはCH2又は直接結合、特に好ましくは直接結合)であり;
ただし、R1、R2及びR3は構造的に異なる。
【0040】
本発明の第二の好ましい態様は、式(Ib)で表される光学活性な化合物又はその塩に関するものであり、ここにおいて、標識1及び2の炭素原子は、双方共にキラルであり、そして標識1*の炭素原子はアキラルである:
【化3】

ここにおいて:
1、R2及びR3は、式(I)において定義したものであるが、R1、R2及びR3のうち少なくとも二つは構造的に同一であり;
6は(C1−C6)アルキルであり;
他の種々の記号は、式(I)において定義したものであり、
そして、標識1位における炭素原子の立体化学配置は、式(I)において定義したものであり;
そして、標識2の炭素原子の立体化学は、(R)若しくは(S)配置又はそれらの混合物であり、またラセミ配置(R,S)を包含し、(R)及び(S)配置の総量に基づき、ラセミ配置又は過剰の(R)又は(S)配置は、好ましくは60から100%、特に好ましくは70−100%、最も好ましくは80から100%である。
【0041】
更に好ましくは、式(Ib)で表される化合物で、ここにおいて:
1は、H、(C1−C6)アルキル又は(C1−C6)アルコキシであり;
2は、H又は(C1−C4)アルキルであり;又は、
1及びR2は、結合している炭素原子と一緒になって、(C3−C6)−シクロアルキル環を形成し;
3は、H、(C1−C4)アルキル又はハロゲンであり;
4及びR5はそれぞれHであり;
6は(C1−C6)アルキルであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、(C1−C6)アルキル又はハロゲン
であり;そして
Aは、CH2、O又は直接結合(更に好ましくはAは、CH2又は直接結合、特に好ましくは直接結合)であり;
ただし、R1、R2及びR3のうち少なくとも二つは、構造的に同一である。
【0042】
尚更に好ましくは、式(Ib)で表される化合物で、ここにおいて:
1は、H、メチル又はエチルであり;
2はHであり;
3は、H、F、Cl、メチル又はエチルであり;
4及びR5は、それぞれH;
6は(C1−C4)アルキルであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、メチル、Br、Cl又はFから成る
一群から選択され;そして
Aは、CH2、O又は直接結合(更に好ましくは、AはCH2又は直接結合、特に好ましくは直接結合)であり;
ただし、R1、R2及びR3のうち少なくとも二つは、構造的に同一である。
【0043】
本発明の第三の好ましい態様は、式(Ic)で表される光学活性な化合物又はその塩に関するものであり、ここにおいて、標識1、2及び1*における炭素原子は、全てキラルであ
り:
【化4】

ここにおいて:
1、R2及びR3は、式(I)において定義したものであるが、R1、R2及びR3は、構造的に異なり;
6は(C1−C6)アルキル、好ましくは(C1−C4)アルキルであり;
他の種々の記号は、式(I)において定義したものであり;
そして、標識1の炭素原子における立体化学配置は、式(I)において定義したものであり;
そして、標識2及び1*の炭素原子のそれぞれにおける立体化学は、(R)若しくは(
S)配置又はそれらの混合物であり、またラセミ配置(R,S)を包含し、(R)及び(S)配置の総量に基づき、ラセミ配置又は過剰の(R)又は(S)配置は、好ましくは60から100%、特に好ましくは70−100%、最も好ましくは80から100%である。
【0044】
本発明の第四の好ましい態様は、式(I)で表される光学活性な化合物又はその塩に関するものであり、ここにおいて、標識1の炭素原子はキラルであり、そして標識2及び1*の炭素原子は、双方共にアキラルであり:
ここにおいて:
1、R2及びR3は、式(I)において定義したものであるが、R1、R2及びR3のうち少なくとも二つは構造的に同一であり;
6はHであり;
他の種々の記号は、式(I)において定義したものであり;
そして、標識1位の立体化学配置は、式(I)において定義したものである。
【0045】
また好ましくは、標識1*の炭素原子の配置が、具体的に次のように(R)又は(S)
と定義される一般式(Ia)で表される化合物の立体異性体である一般式(Id)及び(Ie)で表される化合物であり:
【化5】

ここにおいて:
1は、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)ハロアルキル、又は(C3−C6)シクロ
アルキル、好ましくは、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)ハロアルキル又は(C3
6)シクロアルキルであり;
2はHであり;
3は、ハロゲンであり;そして
他の種々の記号は、式(I)において定義したものである。
【0046】
好ましくは、標識1、2及び1*の炭素原子の配置が具体的に次のように定義される、
一般式(Ic)で表される化合物の立体異性体である一般式(If)、(Ig)、(Ih)及び(Ii)で表される化合物であり:
【化6】

ここにおいて:
1は、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)ハロアルキル又は(C3−C6)シクロア
ルキルであり:
2はHであり;
3は、(C1−C4)アルキル又はハロゲンであり;
6は、(C1−C6)アルキルであり;そして
他の種々の記号は、式(I)において定義したものであり;ただし、R1、R2及びR3
は構造的に異なる。
【0047】
尚更に好ましくは、式(If)、(Ig)、(Ih)及び(Ii)で表される化合物であり:
ここにおいて:
1はメチル又はエチルであり;
2はHであり;
3は、メチル、エチル、F又はClであり;
4及びR5はそれぞれHであり;
6はメチル又はエチルであり;そして
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、メチル、Br、Cl又はFであり;
ただし、R1、R2及びR3は構造的に異なる。
【0048】
また更に好ましくは、式(Id)及び(Ie)で表される化合物であり:
ここにおいて、
1はメチル又はエチルであり;
2はHであり;
3は、メチル、エチル、F又はClであり;
4及びR5はそれぞれHであり;そして
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、メチル、Br、Cl又はFであり:
ただし、R1、R2及びR3は構造的に異なる。
【0049】
好ましい化合物は、また、標識1及び2の炭素原子の配置が具体的に次のように定義されている一般式(Ib)で表される化合物の立体異性体である式(Ij)で表される化合物であり:
【化7】

ここにおいて:
1は、H、(C1−C3)アルキル又は(C1−C3)アルコキシであり;又は、
1及びR2は、結合している炭素原子と一緒になって、(C3−C6)シクロアルキル環を形成し;
2はH又は(C1−C3)アルキルであり;
3は、H、ハロゲン又は(C1−C3)アルキルであり;
6は、(C1−C6)アルキルであり;そして
他の種々の記号は、式(I)において定義したものであり;
ただし、R1、R2及びR3のうち少なくとも二つは構造的に同一である。
【0050】
尚、好ましくは、式(Ij)で表される化合物であり、
ここにおいて、
1は、H、メチル、エチル、メトキシ又はClであり;
2は、H又はメチルであり;又は、
1及びR2は、結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピル環を形成し;
3は、H、メチル、F又はClであり;
4及びR5は、それぞれHであり;
6はメチルであり;そして
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、メチル、Br、Cl又はFの一群か
ら選択される。
【0051】
式(If)及び(Ih)で表される化合物は、特に好ましい。
式(If)で表される化合物は、最も好ましい。
【0052】
好ましい化合物の他のクラスは、式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、
(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)又は(Ij)で表される化合物で、ここにおいて、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びAは、式(I)において好ま
しいものとして定義されたものである。
【0053】
特に好ましい化合物のクラスは、式(If)で表される化合物であり、
ここにおいて、
1は(C1−C2)アルキルであり;
2はHであり;
3は、(C1−C2)アルキル、Cl又はFであり;
4及びR5は、それぞれHであり;
6は(C1−C2)アルキルであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、メチル、F又はClであり;そして
AはCH2、O又は直接結合(更に好ましくは、Aは直接結合)であり;
ただし、R1、R2及びR3は構造的に異なる。
【0054】
また、好ましいものは、式(Ia-1)、(Ic-1)、(Id-1)、(Ie-1)、(If-1)
、(Ig-1)、(Ih-1)、(Ii-1)又は(Ij-1)で表される化合物で、以下の表の冒頭に表示したものであり、ここにおいて、R4及びR5は、それぞれHであり、そして、R1
、R2、R3、R6、R7、R8、R9、R10及びAは、上記の基本式(Ia)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)又は(Ij)のそれぞれで定義した
ものである。
【0055】
更に好ましいものは、以下の表の冒頭に表示した式(Ia-1)、(Id-1)及び(Ie-1
)で表される化合物であり:
ここにおいて、
1は(C1−C6)アルキルであり;
2はHであり;
3は、(C1−C6)アルキル又はハロゲンであり;
4及びR5は、それぞれHであり;
6はHであり;そして
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、(C1−C6)アルキル又はハロゲン
であり;
ただし、R1、R2及びR3は構造的に異なる。
【0056】
好ましいものは、また、以下の表の冒頭に表示した式(Ic-1)、(If-1)、(Ig-1
)、(Ih-1)及び(Ii-1)で表される化合物であり:
ここにおいて、
1は(C1−C6)アルキルであり;
2はHであり;
3は(C1−C6)アルキル又はハロゲンであり;
4及びR5は、それぞれHであり;
6は(C1−C6)アルキルであり;そして
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、(C1−C6)アルキル又はハロゲン
であり;ただし、R1、R2及びR3は構造的に異なる。
【0057】
尚、更に好ましいものは、以下の表の冒頭に表示した式(Ij-1)で表される化合物で
あり、
ここにおいて、
1は、H、メチル、エチル、メトキシ又はClであり;
2は、H又はメチルであり;又は、
CR12は、シクロプロピルであり;
3は、H、メチルCl又はFであり;
4及びR5は、それぞれHであり;
6はメチルであり;そして
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、(C1−C6)アルキル又はハロゲン
であり;ただし、R1、R2及びR3のうち少なくとも二つは構造的に同一である。
【0058】
また、好ましいものは、また、以下の表の冒頭に表示した式(Ik)、(IL)、(Im
)、(In)及び(Ip)で表される化合物であり、ここにおいて、基R1〜R10及びAは
対応する一般式の好ましい意味において、上記で定義されたものである。
【0059】
また、好ましいものは、以下の表の冒頭に表示した式(Ik)で表される化合物であり

ここにおいて、
1は、H、(C1−C6)アルキル、ハロゲン又は(C1−C6)アルコキシであり;
2は、H又は(C1−C6)アルキルであり;又は、
CR12はシクロプロピルであり;
3は、H、(C1−C6)アルキル又はハロゲンであり;
4及びR5は、それぞれHであり;
6はHであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、(C1−C6)アルキル又はハロゲン
であり;ただし、R1、R2及びR3のうち少なくとも二つは構造的に同一である。
【0060】
好ましいものは、また、以下の表の冒頭に表示した式(IL)、(Im)、(In)及び
(Ip)で表される化合物であり、
ここにおいて、
1は(C1−C6)アルキルであり;
2はHであり;
3はハロゲンであり;
4及びR5は、それぞれHであり;
6は(C1−C6)アルキルであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、(C1−C6)アルキル又はハロゲン
である。
【0061】
式(I)で表される好ましい化合物は、式(I)で表される光学活性なインダニルアミノ−1,3,5−トリアジン誘導体(A=直接結合)である。また、好ましい化合物は、式(I)で表される光学活性なクロマン−4−イルアミノ−1,3,5−トリアジン誘導体(A=酸素原子)、及び式(I)で表される光学活性なテトラヒドロナフタリニルアミノ−1,3,5−トリアジン誘導体(A=メチレン)である。
【0062】
上記の式(I)で表される化合物は、既知の方法(即ち、これまでに使用されていたか又は引用文献に記載された方法)例えば、WO 97/31904 又は WO 97/29095及びそこにおい
て引用されている文献において一般的に記載された方法並びに以下に記載するような既知の方法の利用又は適応により製造することができる。
【0063】
以下の記載において、式に表示された記号は、限定的に定義されるものではなく、それらは「上記に定義したように」当該明細書における各記号の第一定義又はむしろ好ましいものとして言及した定義に従うものと了解すべきである。
【0064】
以下の製造法の記述において、工程は異なった順番で行なうこともできるし、また目的の化合物によっては適当な保護基が必要とされる場合もある。
【0065】
本発明の特徴によれば、式(I)で表される化合物は、一般式(II):
【化8】

(ここにおいて、R1、R2及びR3は、式(I)において定義したものであり、そしてZ
は、カルボン酸エステル、カルボン酸オルトエステル、カルボン酸クロリド、カルボキサミド、シアノ、カルボン酸無水物又はトリクロロメチルの一群から選択された官能基である)で表される化合物と、式(III):
【化9】

(ここにおいて、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びA並びに標識1位の配置は式(I)において定義したものである)で表されるビグアニジン化合物又はその酸付加塩との反応により製造することができる。反応は通常、塩基の存在下、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール又はエタノールのような不活性溶媒中で、温度は0℃から溶媒の還流温度、好ましくは20℃から60℃において行なわれる。塩基は、通常はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属炭酸塩、又は第四級アミン、例えばトリエチルアミン又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エ
ン(DBU)のような有機塩基である。
【0066】
本発明の更なる特徴によれば、当該式(I)で表される化合物は、一般式(IV):
【化10】

(ここにおいて、R1、R2、R3、R4及びR5並びに標識1*位の配置は、式(I)において定義したものであり、そしてL1は、塩素、トリクロロメチル、(C1−C4)−アルキ
ルスルホニル、フェニルスルホニル又は(C1−C4)アルキル−フェニルスルホニルのような脱離基である)で表される化合物と、式(V):
【化11】

(ここにおいて、R6、R7、R8、R9、R10及びA並びに標識1位の配置は、式(I)において定義したものである)で表されるアミン又はその酸付加塩との反応によっても製造することができる。反応は、通常は塩基の存在下、不活性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール又はエタノールのような極性有機溶媒中で、温度は0℃から溶媒の還流温度、好ましくは20℃から100℃において行なう。塩基は、通常はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属炭酸塩、又は、第四級アミン、例えばトリエチルアミン又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ
−7−エン(DBU)のような有機塩基である。
【0067】
当該反応は、例えば、Comprehensive Heterocyclic Chemistry, A.R. Katritzky 及びC.W. Rees, Pergamon Press, Oxford, New York, 1984, Vol.3; Part 2B; ISBN 0-08-030703-5, S.482から、一般的に既知のものである。
【0068】
更なる本発明の特徴によれば、式(I)のR4又はR5の一つが、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)ハロアルキル、(C3−C4)アルケニル、(C3−C4)ハロアルケニル、(C3−C4)アルキニル又は(C3−C4)ハロアルキニルである場合、式(I)で表される本発明の化合物は、対応する式(I)で表される化合物で、当該R4又はR5がそれぞれHであり、そして他の基及び配置は式(I)において定義したものである化合物と、式(VI)又は(VII)で表されるアルキル化剤:
4−L2 (VI) R5−L2 (VII)
(ここにおいて、L2は脱離基であり、一般的にはハロゲン、好ましくは塩素、臭素若し
くはヨウ素、又はメチルスルホニルオキシ若しくは4−トルエンスルホニルオキシのような、アルキル−若しくはフェニル−スルホニルオキシ基である)それぞれとの反応で製造することができる。反応は通常、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル又はN,N−ジメチルホルムアミドのような不活性溶媒中で、温度は0℃から溶媒の還流温度
、好ましくは20℃から100℃において行なうことができる。
【0069】
更なる本発明の特徴によれば、R4又はR5の一つがアシル基である式(I)で表される化合物は、対応する式(I)で表される化合物で、当該R4又はR5がそれぞれHであり、そして他の基及び配置は式(I)において定義したものである化合物と、式(VIII)又は(IX)で表されるアルキル化剤:
4−L3 (VIII) R5−L3 (IX)
(ここにおいて、R4及びR5はそれぞれ式(I)において定義したアシル基であり、そしてL3は脱離基であり、一般的にはハロゲン、好ましくは塩素である)それぞれと、又は
ギ酸−無水酢酸のようなホルミル化剤との反応で製造することができる。塩基は、場合によってはアシル化反応に使用されるが、通常は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属炭酸塩、又は第四級アミン、例えばトリエチルアミンのような有機塩基から選択される。反応は、通常はテトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル又はN,N−ジメチルホルムアミドのような不活性溶媒中で、温度は0℃から溶媒の還流温度、好ましくは20℃から100℃において行なうことができる。
【0070】
式(III)で表される中間体は、式(X)で表される化合物:
【化12】

を、当該式(V)で表される化合物と反応させて製造することもできる。反応は、一般的には酸付加塩、例えば、式(X)で表される化合物の塩酸塩を用いて、1,2−ジクロロベンゼン、デカリン若しくは白色鉱油のような溶媒中で、温度は20℃から溶媒の還流温度、好ましくは50℃から200℃において行なうことができる。
【0071】
式(V)で表される中間体は既知の方法に従って、例えば、式(XI):
【化13】

(ここにおいて、R6、R7、R8、R9、R10及びAは、式(I)において定義したものである)で表されるケトン又は対応するオキシムの還元的アミノ化、場合によっては不斉還元的アミノ化によって、又は式(XII):
【化14】

(ここにおいて、R6、R7、R8、R9、R10及びAは、式(I)において定義したものであり、L4は、ハロゲン、ヒドロキシ、メチルスルホニルオキシ又は4−トルエンスルホ
ニルオキシのような脱離基である)で表される化合物を、例えば、特許出願番号WO 97/031904に記載されている既知の方法により、アンモニア又はその塩と反応させることによって製造することができる。
【0072】
一つ又はそれ以上の不斉炭素原子が単一のエナンチオマー型として存在している式(I)で表される化合物の製造には、上記の製造法が、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)又は(XII)で表される化合物の適当なエナンチオマー又はジアステレオマー型を用い
ることによって適応することができる。
【0073】
純粋なエナンチオマー型の式(II)で表される化合物は既知のものであるか、又は、例えば、Tetrahedron Asymmetry 1994, 5, 981, J. Chem. Soc. Perkin Trans I, 1979, 2248
及びそこに引用されている文献において記載されている既知の製造工程によって製造す
ることができる。
【0074】
分割型若しくは部分分割型の式(I)で表される化合物は、例えば、製造すべき式(I)で表される化合物で定義されている配置とは異なる配置を有する、式(II)、(III)、(IV)若
しくは(V)で表される一つ又はそれ以上の中間体を用いて、上記に定義した製造法によって製造し、そして得られた混合物を既知の分割法によって分割することにより得ることができる。
【0075】
光学分割のためには、慣例的な方法(「立体化学の教科書」(Textbooks of Stereochemistry)参照)、例えば、混合物をジアステレオマーに分離するための以下の方法、例えば、結晶化、クロマトグラフィー法、特にカラムクロマトグラフィー及び高速液体クロマトグラフィー、適当な場合は減圧下での蒸留、抽出、及びその他の方法のような物理的な工程を用いることが一般的に可能であり、また、残存するエナンチオマーの混合物は、一般的には、キラル固相上でのクロマトグラフィー分離により分離することができる。分析的量又は工業的規模の使用に適する製造法としては、光学活性な酸、場合によって酸性の基が存在するときは光学活性な塩基を用いることによって、式(I)で表される化合物から得られるジアステレオマー塩の結晶化のような方法がある。
【0076】
ジアステレオマー塩の結晶化による光学分割に適する光学活性な酸としては、例えば、ショウノウスルホン酸、ショウノウ酸、ブロモショウノウスルホン酸、キナ酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸及び他の類似酸があり;適当な光学活性な塩基としては、例えば、キニン、シンコニン、キニジン、ブルシン、1−フェニルエチルアミン及び他の類似塩基がある。
【0077】
結晶化は、多くの場合、水溶液若しくは水溶性有機溶媒中で行なわれ、適当ならば種晶添加の後で、溶解度の低いジアステレオマーが最初に沈殿する。式(I)で表されるエナン
チオマーの一方は、酸性化により又は塩基を用いて沈殿塩から分離するか、又は他のエナンチオマーを結晶から分離する。
【0078】
式(V)で表されるエナンチオマーとして純粋なアミン中間体は、例えば、Houben-Weyl「有機化学の合成法」(Methoden der Organischen Chemie), 4. Auflage, Band E 21b, 1833 ff. 又は Band E 21e, 5133 に記載されている既知の方法を用いて製造すること
ができる。
【0079】
好ましい製造方法の一つは、式(XI)で表されるケトンの、酵素的アミノ基転移を含む不斉触媒を用いた還元的アミノ化である。式(V)で表されるエナンチオマーとして純粋なアミンの他の製造法の一つは、J. Prakt. Chem. 339, (1997), 381〜384頁に記載されてい
るラセミ体分割、又はOrg. Lett., Vol. 3, Nr. 25, 4101頁に記載されている方法である。この方法においては、一般式(V)で表されるラセミ体アミンを、場合により置換した脂肪酸エステル(好ましくはクロロ酢酸メチル若しくはクロロ酢酸エチル、又はメトキシ酢酸メチル若しくはメトキシ酢酸エチル)のようなアシル化剤を用いて、生物触媒の存在下で、エナンチオマーとして選択的にアシル化する。その後、アシル化されていないエナンチオマーは単純に鉱酸を処理して分離する。次いで、アシル化されたアミンのエナンチオマーは、塩基、例えば水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物、又は酸、例えば塩酸のような鉱酸を用いて対応するアミンへと分解することができる。
【0080】
生物触媒としては、例えば、シュードモナス セパシア(Pseudomonas cepacia)、 カ
ンジダ シリンドラセア(Candida cylindracea)又はカンジダ アンタルクチカ(Candida
antarctica)由来のリパーゼが特にこの目的に適している。これらリパーゼの或る種の
ものは、固定酵素として市場で入手可能である(商標名:Novozym 435)。
【0081】
当該酵素的アシル化法の類似法として、式(XIII) 又は (XIV)で表される化合物は、原
理的には、式(V)で表される化合物に対応するラセミ体アミンのアシル化により、中間体として製造することができる。
【化15】

ここにおいて、R6、R7、R8、R9、R10及びAは、式(I)において定義したものであり、そして
11はアシル、好ましくは、ハロゲン、(C1−C4)アルコキシ及び(C1−C4)アルキルチオの一群から選択された一つ又はそれ以上の基により置換された、又は非置換の(C1−C6)アルカノイル、更に好ましくは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ハロアセチル、ハロプロピオニル、(C1−C4)アルコキシアセチル又は(C1−C4)アルコキシプロピオニル、最も好ましくは、クロロアセチル又はメトキシアセチルである。
【0082】
その後、所望する光学異性体(V)は、化合物(XIII)を、鉱酸を用いて分解することにより、又はアシル化された化合物(XIV)が酵素的に形成された場合には、アシル化されてい
ないアミン(V)を直接用いて得ることができる。
【0083】
以下の酸は、例えば式(I)で表される化合物の酸付加塩の製造に適するものである:塩化水素酸又は臭化水素酸のようなハロゲン化水素酸;更に、燐酸、硝酸、硫酸;酢酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、ソルビン酸若しくは乳酸のような一又は二官能カルボン酸及びヒドロキシカルボン酸;並びに、p−トルエンスルホン酸及び1,5−ナフタレンジスルホン酸のようなスルホン酸が挙げられる。当該式(I)で表される酸付加化合物は、塩を形成する慣用法により簡単に得ることができ、例えば式(I)で表される化合物を適当な有機溶媒、例えば、メタノール、アセトン、塩化メチレン又はベンゼンに溶解した後、温度0から100℃で酸を添加し、そして既知の方法、例えば濾過法で単離した後、適当な場合は不活性な有機溶媒で洗浄して精製することができる。
【0084】
式(I)で表される化合物の塩基付加塩は、好ましくは、例えば、水、メタノール又はアセトンのよう不活性な極性溶媒中、温度0から100℃で製造する。本発明に係る塩の製造のための適当な塩基としては、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、例えばNaOH又はKOH、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水素化物、例えばNaH、アルカリ金属及びアルカリ土類金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド、又はアンモニア、又はエタノールアミンが挙げられる。第四級アンモニウム塩は、例えば、式[NRR'R''R''']+X-(ここにおいて、R、R'、R''及びR'''は、それぞれ独立に、(C1−C4)アルキル、フェニル又はベンジルであり、そしてX-はアニオン、例えばCl-又はOH-である)の第四級アンモニウム塩との塩交換又は縮合によって得られる。
【0085】
一つ又はそれ以上の不斉炭素原子が、単一又は光学的に富んだエナンチオマー型として存在している式(III)及び(V)で表される化合物のいくつかは新規であり、またその
ような型として本発明の更なる特徴でもあり、そしてそれらは上記に記載したようにして合成することができる。式(V)で表される以下のアミンは、既知のものである。
a) インダン:
- (1R)-1-アミノ-インダン (Chem.Abstracts Registry No. 10277-74-4);
- (1R)-1-アミノ-7-メトキシ-インダン (Arch. Pharm. 331 (1998) 59-71);
- (1R)-1-アミノ-7-n-プロポキシ-インダン (Arch. Pharm. 331 (1998) 59-71);
- (1R)-1-アミノ-7-シアノ-インダン (Arch. Pharm. 331 (1998) 59-71);
b) テトラヒドナフタレン:
- (1R)-1-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドナフタレン (Chem.Abstracts Registry No. 23357-46-2);
- (1R)-1-アミノ-7-メチル-1,2,3,4-テトラヒドナフタレン (WO-98/47877);
- (1R)-1-アミノ-7-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドナフタレン (WO-98/47877);
- (1R)-1-アミノ-7-イソプロピル-1,2,3,4-テトラヒドナフタレン (WO-98/47877);
- (1R)-1-アミノ-7-t-ブチル-1,2,3,4-テトラヒドナフタレン (WO-98/47877);
- 後者の二化合物の塩酸塩 (WO-98/47877);
- (1R)-1-アミノ-6,8-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドナフタレン (J. of Chromatography 959 (2002) 75-83),
c) クロマン:
- (4R)-4-アミノ-クロマン (Beilstein Registry No. 7687402 及び/又は 7687403);
【0086】
それ故、本発明の更なる特徴は、このように式(III)若しくは(V)で表される化合物又はそれらの塩に関するものであり、ここにおいて、
6は、H、(C1−C6)アルキル又は(C1−C6)アルコキシであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、(C1−C4)アルキル、(C1−C3
)ハロアルキル、ハロゲン、(C1−C3)アルコキシ、(C1−C3)ハロアルコキシ又はCNであり;
AはCH2、O又は直接結合であり;そして、標識1位における立体化学配置は、式(I)において定義したものであるが、ただし、
式(V)で表される化合物又はそれらの塩であって、ここにおいて、
(i) Aは直接結合であり、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ水素であり、そしてR10は、水素、メトキシ、n−プロポキシ又はシアノであるか;又は、
(ii) AはCH2であり、そしてR6、R7、R8及びR10は、それぞれ水素であり、R9は、水素、メチル、メトキシ、イソプロポキシ又はt−ブチルであるか;又は、
AはCH2であり、そしてR6、R7及びR9は、それぞれ水素であり、そしてR8はメチルであり、そしてR10はメチルであるか;又は、
(iii) Aは酸素原子であり、そしてR6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれHである式(V)の化合物又はその塩は除く。
【0087】
好ましいものは、式(III)及び(V)で表される新規な中間体化合物又はそれらの塩で、ここにおいて、
6、R7及びR10は、それぞれ独立に、H又はメチルであり;
8は、H、メチル、Cl又はFであり;
9は、H、メチル、Cl、F又はBrであり;そして
Aは直接結合、CH2又はOであり;そして標識1位における立体化学配置は、式(I)において定義したものであるが、ただし、
式(V)で表される化合物又はそれらの塩であって、ここにおいて、
(i) Aは直接結合であり、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ水素であり、そしてR10は水素であるか;又は、
(ii) AはCH2であり、そしてR6、R7、R8及びR10は、それぞれ水素であり、そしてR9は、水素又はメチルであるか;又は、
(iii) Aは酸素原子であり、そしてR6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれHである式(V)の化合物又はその塩は除く。
【0088】
更に好ましいものは、式(III)及び(V)で表される新規な中間体化合物又はそれら
の塩で、ここにおいて、
Aは直接結合であり、
6は、水素又はメチルであり;
7及びR10は、水素であり;
8は、H、メチル、Cl又はFであり;
9は、メチル、Cl、F又はBrであり;そして
標識1位における立体化学配置は、式(I)において定義したものである。
【0089】
尚、好ましいものは、式(Va)及び(Vb)で表される新規な中間体化合物又はそれらの塩:
【化16】

ここにおいて、
6はメチルであり;
7及びR10は、それぞれ独立に、H又はメチルであり;
8は、H、メチル、Cl又はFであり;
9は、H、メチル、Cl、F又はBrであり;そして
Aは直接結合、CH2又はOであり;
そして、このような型は、本発明の更なる特徴である。
【0090】
一つ又はそれ以上の不斉炭素原子が、単一又は光学的に富んだエナンチオマー型として存在し、式(V)で表される光学活性なアミン又は式(III)で表されるビグアニドの製
造のための中間体として使用することができる式(XIII)(アミド)で表される化合物のいくつかは新規であり、またそのような型は本発明の更なる特徴であり、そして上記に記載したようにして製造することができる。
【0091】
式(XIII)で表される以下のアシル化アミンは、既知のものである:
a) インダン:
- (1R)-1-アセチルアミノ-インダン (Chem. Europe 6 (2000, 1840-1846);
- (1R)-1-ホルミルアミノ-インダン (J. Am. Chem. Soc. 88 (1966) 2233-2240)
- (1R)-1-(トリフルオロアセチルアミノ)-インダン (J. Med. Chem. 45 (2002) 5260-5279 又は US-A-4948395)
- (1R)-1-(ブロモアセチルアミノ)-インダン (Biochemistry 1980, 2140-2144);
- (1R)-1-アセチルアミノ-2-メチル-インダン (J. Org. Chem. 1999, 1774-1775);
- (1R)-1-アセチルアミノ-5-フルオロ-インダン (J. Org. Chem. 1999, 1774-1775);
b) テトラヒドロナフタレン(tetrahydonaphthalene):
- (1R)-1-アセチルアミノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン (J. Org. Chem. 1999, 1774-1775 又は Tetrahedron Lett. 43 (2002) 5260);
- (1R)-1-アセチルアミノ-6-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン (J. Org. Chem. 1999);
- (1R)-1-アセチルアミノ-5,7-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン (J. Org. Chem. 1999, 1774-1775);
- (1R)-1-(クロロアセチルアミノ)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン (Farmaco. ED. Sci. Vol. 26 (1971) 474-486);
- (1R)-1-(トリフルオロアセチルアミノ)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン (US-A-4948395);
c) クロマン:
- (4R)-4-アセチルアミノ-クロマン (Org. Lett. 4 (2002) 1695-1668);
【0092】
本発明の更なる特徴は、このように式(VIII)で表される新規な化合物又はそれらの塩で、ここにおいて、
6は、H、(C1−C6)アルキル又は(C1−C6)アルコキシであり;
7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、(C1−C4)アルキル、(C1−C3
)ハロアルキル、ハロゲン、(C1−C3)アルコキシ、(C1−C3)ハロアルコキシ又はCNであり;
11は、アシル、好ましくは、ハロゲン、(C1−C4)アルコキシ及び(C1−C4)アルキルチオの一群から選択された一つ又はそれ以上の基で置換した又は非置換の(C1
6)アルカノイル、更に好ましくは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ハロアセチ
ル、ハロプロピオニル、(C1−C4)アルコキシアセチル又は(C1−C4)アルコキシプロピオニル、最も好ましくはクロロアセチル又はメトキシアセチルであり;
AはCH2、O又は直接結合であり;そして、標識1位における立体化学配置は式(I
)において定義したものであるが、ただし、
(i) Aは直接結合であり、R6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれHであり、そし
てR11は、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル又はブロモアセチルであるか;又は、
Aは直接結合であり、R6はメチルであり;R7、R8、R9及びR10は、それぞれ水素であり、R11はアセチルであるか、又は、
Aは直接結合であり;R6、R7、R9及びR10は、それぞれ水素であり、R8はフルオロであり、そしてR11はアセチルであるか、又は、
(ii) AはCH2であり、そしてR6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ水素であり、
そしてR11は、アセチル、トリフルオロアセチル又はクロロアセチルであるか;又は、
AはCH2であり、そしてR6、R7及びR9は、それぞれ水素であり、そしてR8はメチ
ルであり、R10もメチルであり、そしてR11はアセチルであるか、又は、
AはCH2であり、そしてR6、R7、R9及びR10は、それぞれ水素であり、そしてR8
はメトキシであり、そしてR11はアセチルであるか;又は、
AはCH2であり、そしてR6はメチルであり、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ水
素であり、そしてR11はアセチルであるか;又は、
(iii) Aは酸素原子であり、そしてR6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれHであり、そしてR11はアセチルである;の化合物又はそれらの塩は除く。
【0093】
式(II)、(IV)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)及び(XII)で表される化合物は、ラセミ体(III)及び(V)と同様に、既知のものであるか又は既知の
方法に類似した態様で製造することができる。
【0094】
上記に記載した方法で合成することができる式(I)で表される化合物の集合は、更に、手動、部分的自動化又は完全自動化で行うことができるパラレル様式で製造することができる。これに関連して、生成物又は中間体の反応、操作又は精製の工程を自動化することは可能である。全体としては、例えば、S. H. DeWitt 著 「コンビナトリアルケミストリー及び分子多様性における年報:自動化による合成」(Annual Reports in Combinatorial Chemistry and Molecular Diversity: Automated Synthesis)、Volume 1、Escom社出版、1997年、69〜77頁に記載されている方法により理解することができるものと思われる。
【0095】
パラレル様式における反応及び操作を遂行するためには、市場で入手可能な一連の機器類を使用することができ、それらは、例えば、Stem Corporation, Woodrolfe Road, Tollesbury, Essex, CM9 8SE, England 又は H + P Labortechnik GmbH, Bruckmannring 28, 85764 Oberschleissheim, Germanyから入手することができる。式(I)で表される化合
物又はその製造中に得られる中間体のパラレル精製を遂行するためには、特にクロマトグラフィー装置、例えば、ISCO, Inc., 4700 Superior Street, Lincoln, NE 68504, USAの
ものを使用することができる。当該装置は、モジュラー方法を可能にし、ここで、各個々の工程を自動化することができるが、個々の工程間において手動操作が必要である。これは、問題となっている自動化モジュールを、例えばロボットで作動することにより部分的に又は完全に統合した自動化システムを採用することによって避けることができる。このような自動化システムは、例えばZymark Corporation, Zymark Center, Hopkinton, MA 01748, USA から入手することができる。
【0096】
上記に記載した方法に加えて、式(I)で表される化合物は、部分的に又は完全に、固相支持法によって製造することができる。この目的のために、個々の中間体又は、合成の全ての中間体、又は問題となっている工程に適合した合成の中間体は、合成用の樹脂に結合させる。固相支持法による合成法は、専門的文献、例えばBarry A. Bunin著「コンビナトリアル インデックス」(The Combinatorial Index)Academic Press社出版、1998年、に広範囲に記載されている。固相支持法による合成法を用いることにより、文献記載の一連の合成法を、今度は手動的に又は自動化による態様で実施することができる。例えば、「ティーバック法」(teabag method) (Houghten, US 4,631,211; Houghten et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 1985, 82, 5131-5135)は、IRORI, 11149 North Torrey Pines Road, La Jolla, CA 92037, USAの製品を用いて、部分的に自動化することができる。固相支持法によるパラレル合成は、例えば、Argonaut Technologies, Inc., 887 Industrial Road, San Carlos, CA 94070, USA 又は MultiSynTech GmbH, Wullener Feld 4, 58454 Witten, Germanyからの装置を用いることによって自動化することに成功している。
【0097】
ここに記載した工程による製造により、物質集合体又は物質ライブラリーとしての形式で、式(I)で表される化合物を得ることができる。それ故、本発明の課題は、また、式(I)で表される少なくとも二種類の化合物を含んでいる式(I)で表される化合物のライブラリー及びそれらの中間体のライブラリーに関するものである。
【0098】
以下に示す無限定的な実施例は、式(I)で表される化合物の製造法を説明している。〔実施例〕
A.化学的実施例
以下の実施例において、定量(百分率を含む)は、他に記載がない限り、質量基準である。溶媒の比率は容量基準である。
旋光度は、標準条件下(c=1g/ml, t=25℃)で、589nm偏光波長(偏光Na−
D線)の比旋光度[α]として測定した。溶媒は、特に指摘がない限り、クロロホルムである。
【0099】
実施例A1
2-アミノ-4-[(1R)-1-インダニルアミノ]-6-メチル-1,3,5-トリアジン (表8、化合物番号8.1)
2-アミノ-4-クロロ-6-メチル-1,3,5-トリアジン (2.2 g, 0.015 mol), R(-)-1-アミノ
インダン (2.0 g, 0.015 mol) 及び炭酸カリウム (4.6 g, 2.2 mol) を、N,N-ジメチルホルムアミド中、90-100℃で5時間撹拌した。反応終了後、溶媒を100℃以下で、真空下で
蒸発させて得た混合物を冷却し、そして水を加えた。酢酸エチルを加え、有機層を分離して乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。残留物を酢酸エチル溶離のカラムクロマトグラフィーで精製し、2-アミノ-4-[(1R)-1-インダニルアミノ]-6-メチル-1,3,5-トリアジン (3.5 g, 95% 収率, 化合物番号 8.1) を得た。 mp. 94-96 ℃, 化学純度 > 95%, ee 91%(HPLCにより決定, 旋光度(CHCl3, c=1): +87.4°)であった。
【0100】
実施例A2
2-アミノ-4-[(4R)-4-クロマニルアミノ]-6-[(1R)-1-フルオロエチル]-1,3,5-トリアジン(表1, 化合物番号1.20)
a. クロマン-4-オン オキシム
酢酸ナトリウム水溶液(41.53 g, 0.506 mol)を60 ℃で、エタノール中のクロマン-4-オン (25 g, 0.169 mol) 及びヒドロキシルアミン塩酸塩(20.0 g, 0.287 mol)の60℃攪拌混合物と混合した。この混合物を90分間還流し、冷却して濾過した。粗固体を水で洗浄し、クロマン-4-オン オキシム (27.9 g, 収率96 %)を得た。mp.114-117 ℃, 純度 95%であった。
【0101】
b. 4-アミノクロマン塩酸塩
エタノール中のクロマン-4-オン オキシム (27.9 g, 0.157 mol)を、窒素下で、エタノール中のラネーニッケル触媒 (3.0 g)に加えた。混合物を撹拌し、水素を理論値(約3.6l)の量が吸着するまで導入した。触媒を濾過し、溶媒を蒸留し、そして6Nエタノール塩酸溶液(25ml)を添加した。溶媒を蒸発させ、そして残留物をジエチルエーテル/アセトン(10:1)で洗浄し、濾過して、4-アミノクロマン塩酸塩(18.3 g, 収率58 %)を得た。mp. 220-226 ℃, 純度 95 %であった。
【0102】
c. N-[(4R)-4-クロマニル]-2-メトキシアセトアミド
4-アミノクロマン塩酸塩(27.8 g, 0.15 mol)と水酸化ナトリウム水溶液(2N)の混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)そして蒸発させて、4-アミノクロマンラセミ体(14.2 g, 0.095 mol)を得た。これに、tert -ブチルメチルエーテル中の2-メトキシ酢酸メチル(10.94 g, 0.105 mol)及びノボザイム435(Novozym 435)(アルドリッチ社製:Aldrich Corp.)2.5gを添加し、その混合物を2時間加熱還流した。更に、ノボザイム435(Novozym 435)0.5gを添加して、反応の終了を高速液体クロマトグラフィーで確認できるまで加熱継続した。ジクロロメタンを加え、該生物触媒を濾過して除去し、有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)そして蒸発させた。残留物を最小量のジクロトメタンに溶解し、そしてエタノール塩酸溶液(8N)を添加して、(4S)-4-アミノクロマン塩酸塩を得、これを濾過して除去し、そして濾液を蒸発させて、N-[(4R)-4-クロマニル]-2-メトキシアセトアミド (8.2 g) を得た。mp. 109-112 ℃であった。
【0103】
d. (4R)-4-アミノクロマン塩酸塩
上記の N-[(4R)-4-クロマニル]-2-メトキシアセトアミド (2.2 g, 0.0325 mol)のエタ
ノール溶液(100 ml)及び濃塩酸(30 ml)を12時間加熱還流した後に蒸発させた。残留物に
少量の酢酸エチルを添加し、固形物を濾過して除去し、(4R)-4-アミノクロマン塩酸塩(2.3 g) を得た。m.p. 261-263 ℃, 化学純度>95 %であった。
【0104】
e. (4S)-4-(ビスグアニジノ)クロマン塩酸塩
(4R)-3,4-ジヒドロ-2H-4-クロマニルアンモニウムクロリド(2.3 g, 0.0124 mol)及び1-シアノグアニジン(1.04 g, 0.0124 mol)の 1,3-ジクロロベンゼン中の均一混合物を、140-150 ℃で150分間加熱した。冷却後、トルエンで希釈し、そして濾過し、(4S)-4-(ビスグアニジノ)クロマン塩酸塩(3.3 g, 収率89.4 %)を、純度90 %の固体として得た。
【0105】
f. 2-アミノ-4-[(4R)-4-クロマニルアミノ]-6-[(1R)-1-フルオロエチル]-1,3,5-トリアジン
ナトリウムメトキシドのメタノール中30%溶液(0.7g, 0.75 ml, 0.004 mol)を、(4S)-4-(ビスグアニジノ)クロマン塩酸塩(1.1 g, 0.004 mol)のメタノール中の攪拌懸濁液に加えた。(2R)-2-フルオロプロパン酸メチル(1.08 g, 0.01 mol)を室温で添加した後、更にナトリウムメトキシドの30%溶液(1.0 g, 1.0 ml, 0.006 mol)を加えた。室温で4時間経過後に混合物を濾過し、濾液を蒸発させ、そして残留物を酢酸エチルに溶解した。有機相を水で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)そして蒸発させた。残留物を酢酸エチル:ヘプタン混合(7:3)溶離のカラムクロマトグラフィーで精製し、2-アミノ-4-[(4R)-4-クロマニルアミノ]-6-[(1R)-1-フルオロエチル]-1,3,5-トリアジン(0.3 g, 収率25%,化
合物番号1.20) を得た。m.p. 110-112℃, 旋光度(ジクロロメタン, c=1): + 75.4 °, 純度98.35 % (hplc, Chiralcel OD, 250X4.6 mm, 溶離液n-ヘキサン:2-プロパノール90:10,
0.6 ml/分, rt 21.4分)であった。
【0106】
実施例A3
2-アミノ-4-[(1R,2S)-2-メチル-1-インダニルアミノ]-6-[(1R)-1-フルオロエチル]-1,3,5-トリアジン(表2, 化合物番号2.1)
a. 2-メチル-インダン-1-オン オキシム
2-メチル-1-インダノン(10 g, 0.0684 mol)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(9.5 g, 0.1368 mol)のエタノール中混合物を60 ℃で撹拌し、そして、酢酸ナトリウム水溶液(16.8 g, 0.2052 mol)を添加した。その混合物を90分間加熱還流した後、冷却し、固体を濾過した。粗生成物を水で洗浄し、濾過し、2-メチル-インダン-1-オン オキシム(9.9 g, 収率81%)を得た。mp. 82-91℃、純度90%であった。
【0107】
b. 1-(RS)(+-)-1-アミノ-2-メチルインダン 塩酸塩
メタノール及び酢酸中の、上記の2-メチル-インダン-1-オン オキシム(9.5 g, 0.0589 mol)及びチャコール触媒上パラジウム(10 % 1.0 g)の混合物を、窒素下で撹拌した。水素の理論値量が吸着するまで水素ガスを導入した。触媒を濾過して除去し、溶媒を減圧下で蒸発させた。エタノール塩酸溶液(6N)を添加し、溶媒を蒸発させ、そして残留物を、ジエチルエーテル/アセトン(10:1)で洗浄し、濾過して、1-(RS)(+-)-1-アミノ-2-メチルインダン 塩酸塩(9.7 g, 収率 85%)を得た。mp. 241-242℃, 純度95 %であった。
【0108】
c. trans-1-アミノ-2-メチルインダン
1-(RS)(+-)-1-アミノ-2-メチルインダン塩酸塩(19.7 g, 0.1073 mol)を、水酸化ナトリウム水溶液(2N)と混合し、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、蒸発させ、そして残留物を酢酸エチル/トリエチルアミン混合(100:1)溶離のカラムクロマトグラフィーで精製して以下の化合物を得た。
i) trans-1-アミノ-2-メチルインダン(6.6 g), 1H-NMR (CDCl3):1.25 (3H, d), 1.90-2.05 (1H, m), 2.5 (1H, dd), 3.05 (1H, dd), 3.78 (1H, d, 8.1Hz), 7.1-7.3 (4H, m);
ii) trans-1-アミノ-2-メチルインダン及びcis-1-アミノ-2-メチルインダンの混合物(2.7 g); 並びに
iii) cis-1-アミノ-2-メチルインダン(4.0 g), 1H-NMR (CDCl3): 0.95 (3H, d), 2.40-2.60 (2H, m), 2.80-2.95 (1H, m), 4.20 (1H, d, 6.2 Hz), 7.1-7.3 (4H, m).
【0109】
d. N-[(1R,2S)-2-メチル-1-インダニル]-2-メトキシアセトアミド及び(1S,2R)-1-アミノ-2-メチルインダン塩酸塩
ノボザイム435(Novozym 435)(アルドリッチ社製:Aldrich Corp., 1.0 g)を、trans-1-アミノ-2-メチルインダン(6.6 g, 0.0448)及び2-メトキシ酢酸メチル(5.04 g 0.0484 mol)のtert -ブチルメチルエーテル溶液中に添加した。その混合物を2時間加熱還流した後、更にノボザイム435(Novozym 435)0.5gを添加して2時間加熱を継続した。冷却した混合物にジクロロメタンを加え、該生物触媒を濾過して除去した。有機相を乾燥し(硫酸ナトリウム)蒸発させ、そして残留物を最少量のジクロロメタンに溶解した。エタノール塩酸溶液(8N)を添加し、固体を濾過して(1S,2R)-1-アミノ-2-メチルインダン塩酸塩を得、そして濾液を蒸発させ、N-[(1R,2S)-2-メチル-1-インダニル]-2-メトキシアセトアミド(5.9 g) を得た。m.p. 78-79℃であった。
【0110】
e. (1R,2S)-1-アミノ-2-メチルインダン塩酸塩
濃塩酸(8 ml)を、N-[(1R,2S)-2-メチル-1-インダニル]-2-メトキシアセトアミドのエタノール/水溶液 (5.9 g, 0.0269 mol)に添加し、そしてその混合物を12時間加熱還流し
た。溶媒を蒸発させそして少量の酢酸エチルを加えた。不溶固形物を濾過して除去し、(1
R,2S)-1-アミノ-2-メチルインダン塩酸塩(1.0 g)を固体として得た。化学純度>95 %であ
った。
【0111】
f. (1R,2S)-1-(ビスグアニジノ)-2-メチルインダン一塩酸塩
(1R,2S)-1-アミノ-2-メチルインダン塩酸塩(1.0 g, 0.0054 mol)及び1-シアノグアニジン(0.46 g, 0.0054 mol)の1,3-ジクロロベンゼン中均一混合物を、140-150℃で150分
間加熱した。冷却後トルエンで希釈し、固形物を濾過して除去し、(1R,2S)-1-(ビスグア
ニジノ)-2-メチルインダン一塩酸塩の固体(1.1 g, 収率67.7 %)を得た。mp. 172-178 ℃,
純度 90 %であった。
【0112】
g. 2-アミノ-4-[(1R,2S)-2-メチル-1-インダニルアミノ]-6-[(1R)-1-フルオロエチル]-1,3,5-トリアジン
ナトリウムメトキシドの30%メタノール溶液(0.39 g, 0.4 ml, 0.0022 mol)を、(1R,2S)-1-(ビスグアニジノ)-2-メチルインダン一塩酸塩のメタノール中攪拌懸濁液(0.550 g,
0.0021 mol)に添加した。その後、(2R)-2-フルオロプロパン酸メチル(0.55 g, 0.0051 mol)を室温で添加した後、更にナトリウムメトキシドの30%メタノール溶液(0.59 g, 0.6 ml, 0.0033 mol)を加えた。室温で4時間経過後に混合物を濾過し、濾液を蒸発させた
。残留物を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)そして蒸発させた。残留物を酢酸エチル/ヘプタン混合(7:3)溶離のカラムクロマトグラフィーで精
製し、2-アミノ-4-[(1R,2S)-2-メチル-1-インダニルアミノ]-6-[(1R)-1-フルオロエチル]-1,3,5-トリアジン(0.09 g, 収率15%,化合物番号2.1)を得た。 mp. 146-150℃, 旋光度(クロロホルム, c=1): +104.4 °, 純度95.25% (hplc, Chiralcel OD, 250X4.6 mm, 溶離液n-ヘキサン:2-プロパノール 90:10, 0.6ml/分, rt 17.93分)であった。
【0113】
以下の表1から14に表示する式(I)で表される好適な化合物は、本発明の一部を構成するものであり、そして上記の実施例A1、A2及びA3により、又はそれらに類似する方法により、又は上記に記載した一般的な方法により得ることができる。
当該表中、化合物の構造は、他に特に定義していない限り、主要な立体化学異性体の式で表示している(例えば、キラル化合物のラセミ混合物)。
【0114】
以下の略号を表1から14において使用している。
「Me」はメチル、そして「Et」はエチル、そして「Pr」はn−プロピルを意味する。
「Cpd」は化合物番号を意味する。化合物番号は引用の目的にのみ付与している。
幾つかの表の最後には、それぞれの表中の幾つかの化合物について追加的な物性データを付記している。
【0115】
旋光度は上記の実施例A1からA3について測定し、そして示している。1H-NMRスペクトルは、他に特記していない限り、重クロロホルム中で測定し、化学シフト値は、ppm単
位で記録している。以下の略号を使用している:s=一重線、d=二重線、t=三重線、
m=多重線。
【0116】
【表1】

【0117】
【表2】

【0118】
【表3】

【0119】
表1の物性データの注記(表1の化合物番号を参照する)
化合物 1.1: mp 176-178 ℃, 旋光度 +116.7°;
化合物 1.2: 旋光度 +113.5°;
化合物 1.3: 旋光度 +112.7°;
化合物 1.11: mp 151-154 ℃, 旋光度 +111.1°;
化合物 1.12: mp 68-72 ℃, 旋光度 +76.8°;
化合物 1.15: mp 163-165 ℃, 旋光度 +70.1°;
化合物 1.20: mp 110-112 ℃, 旋光度 +75.4°;
化合物 1.21: 127-130 ℃, 旋光度 +52.3°;
化合物 1.24: mp 153-155 ℃, 旋光度 +82,5°;
化合物 1.28: mp 140-144 ℃, 旋光度 +79.9°;
化合物 1.31: mp 99-100 ℃, 旋光度 +69.2°.
化合物 1.66: 旋光度 +112.7°;
化合物 1.67: mp 88-95 ℃, 旋光度 +66.5°;
化合物 1.68: mp 145-146 ℃, 旋光度 +79.3°;
化合物 1.69: mp 149-150 ℃, 旋光度 +84.0°
【0120】
【表4】

【0121】
【表5】

【0122】
【表6】

【0123】
表2の物性データの注記(表2の化合物番号を参照する)
化合物 2.1: mp 146-150 ℃, 旋光度+104°;
化合物 2.11: 旋光度 +168.9°;
化合物 2.25: mp 68-70 ℃, 旋光度 +140.9°.
化合物 2.28: mp 127-128 ℃, 旋光度 +49.6°.
【0124】
【表7】

【0125】
【表8】

【0126】
【表9】

【0127】
表3の物性データの注記(表3の化合物番号を参照する)
化合物 3.1: mp 149-150 ℃, 旋光度 +74.4°;
化合物 3.2: 旋光度 +113.5°;
化合物 3.11: mp 147-149 ℃, 旋光度 +84.4°;
化合物 3.15: mp 167-171 ℃, 旋光度 +36.5°;
化合物 3.20: mp 183-185 ℃, 旋光度 +54.5°;
化合物 3.24: mp 151-152 ℃, 旋光度 +71.8°.
【0128】
【表10】

【0129】
【表11】

【0130】
【表12】

【0131】
表4の物性データの注記(表4の化合物番号を参照する)
化合物 4.1: mp 146-150 ℃, 旋光度 +77.9°.
【0132】
【表13】

【0133】
【表14】

【0134】
【表15】

【0135】
【表16】

【0136】
【表17】

【0137】
【表18】

【0138】
【表19】

【0139】
【表20】

【0140】
【表21】

【0141】
【表22】

【0142】
【表23】

【0143】
【表24】

【0144】
【表25】

【0145】
【表26】

【0146】
表7の物性データの注記(表7の化合物番号を参照する)
化合物 7.1: mp 163.5 ℃;
化合物 7.2: mp 90-92 ℃, 旋光度 +179.4°;
化合物 7.72: mp 58-60 ℃;
化合物 7.203: 旋光度 +83.4°
化合物 7.239: mp 180-183 ℃, 旋光度 +153.4°;
化合物 7.240: mp 80-83 ℃;
化合物 7.241: mp 50-52 ℃, 旋光度 +109.6°;
化合物 7.242: 旋光度 +116.2°;
化合物 7.243: mp 64-66 ℃, 旋光度 +135.0°;
化合物 7.244: mp 72-76 ℃
【0147】
【表27】

【0148】
【表28】

【0149】
【表29】

【0150】
【表30】

【0151】
【表31】

【0152】
【表32】

【0153】
【表33】

【0154】
【表34】

【0155】
表8の物性データの注記(表8の化合物番号を参照する)
化合物 8.1: mp 94-96 ℃, 旋光度 +87.4°;
化合物 8.2: mp 100-102 ℃;
化合物 8.3: mp 87-89 ℃, 旋光度 +97.2°;
化合物 8.11: 旋光度 +78.7°;
化合物 8.12: mp 95-98 ℃, 旋光度 +73.5°;
化合物 8.15: mp 100-103 ℃, 旋光度 +92.1°;
化合物 8.21: mp 95-97 ℃, 旋光度 +44.3°;
化合物 8.24: mp 65-70 ℃, 旋光度 +95.7°;
化合物 8.26: mp 77-78 ℃, 旋光度 +80.0°;
化合物 8.34: 旋光度 +98.5°;
化合物 8.35: mp 77-80 ℃, 旋光度 +79.3°;
化合物 8.38: mp 172-174 ℃;
化合物 8.44: mp 75-79 ℃, 旋光度 +56.3°;
化合物 8.49: mp 138-139 ℃, 旋光度 +122.1°;
化合物 8.58: mp 135-138 ℃, 旋光度 +69.0°;
化合物 8.61: mp 178-180 ℃;
化合物 8.67: mp 83-84 ℃;
化合物 8.68: mp 67-68 ℃, 旋光度 +74.2°;
化合物 8.71: mp 73-75 ℃, 旋光度 +77.7°;
化合物 8.75: mp 75-78 ℃, 旋光度 +59.4°;
化合物 8.79: mp 149-151 ℃;
化合物 8.90: mp 163-165 ℃, 旋光度 +91.6°;
化合物 8.100: mp 114-117 ℃, 旋光度 +94.1°;
化合物 8.113: mp 63-68 ℃, 旋光度 +77.6°;
化合物 8.117: 旋光度 +64.0°;
化合物 8.152: 旋光度 +75.3°;
化合物 8.160: mp 70-75 ℃, 旋光度 +75.0°;
化合物 8.195: mp 125-126 ℃, 旋光度 +87.7°;
化合物 8.196: mp 87-89 ℃
化合物 8.197: mp 87-89 ℃, 旋光度 +68.8°;
化合物 8.205: mp 165-167 ℃;
化合物 8.206: mp 87-90 ℃, 旋光度 +60.5°;
化合物 8.209: mp 90-93 ℃;
化合物 8.215: mp 100-108 ℃, 旋光度 +42.0°;
化合物 8.219: mp 136-138 ℃;
化合物 8.231: mp 70-75 ℃, 旋光度 +49.3°;
化合物 8.233: mp 148-155 ℃, 旋光度 +86.9°;
化合物 8.234: mp 135-140 ℃, 旋光度 +81.8°;
化合物 8.237: mp 87-95 ℃, 旋光度 +68.0°;
化合物 8.239: 旋光度 +52.7°;
化合物 8.240: mp 87-88 ℃, 旋光度 +55.5°;
化合物 8.243: 旋光度 +63.0°;
化合物 8.245: mp 136-139 ℃, 旋光度 +66.7°;
化合物 8.246: mp 73-75 ℃, 旋光度 +75.0°;
化合物 8.247: mp 63-70 ℃, 旋光度 +75.0°;
化合物 8.248: mp 63-70 ℃, 旋光度 +71.2°;
化合物 8.252: mp 70-75 ℃;
化合物 8.254: mp 170-173 ℃, 旋光度 +109.6°;
化合物 8.256: mp 72-76 ℃
化合物 8.257: mp 63-65 ℃
【0156】
以下の表9から14において、一つ又はそれ以上のキラル中心の立体化学が特定されている場合、1R位の光学純度は表中の例において、少なくとも90%であると理解される

【0157】
【表35】

【0158】
【表36】

【0159】
【表37】

【0160】
【表38】

【0161】
【表39】

【0162】
【表40】

【0163】
表10の物性データの注記(表10の化合物番号を参照する)
化合物 10.1: mp 147-151 ℃, 旋光度 +91.5°;
化合物 10.2: mp 92-94 ℃;
化合物 10.37: mp 82-84 ℃.
化合物 10.38: mp 76-77 ℃;
化合物 10.47: mp 85-88 ℃;
化合物 10.57: mp 90-93 ℃;
化合物 10.67: mp 80-85 ℃;
化合物 10.68: mp 90-93 ℃, 旋光度 +77.0°;
【0164】
【表41】

【0165】
【表42】

【0166】
【表43】

【0167】
【表44】

【0168】
【表45】

【0169】
【表46】

【0170】
【表47】

【0171】
【表48】

【0172】
【表49】

【0173】
【表50】

【0174】
【表51】

【0175】
【表52】

【0176】
次の表15は、式(Ia)、(Ia-1)、(Ib)、(Ic)、(Ic-1)、(Id)、(Id-1)、(Ie)、(Ie-1)、(Ik)、(In) 及び (Ip)で表される上記の化合物を製造するために使用される一般式(V)で表される中間体アミンを説明するものである。R6がメチルである化合物の場合は、標識2の炭素原子における配置はラセミ体(2RS)である。
【0177】
【表53】

【0178】
【表54】

【0179】
表15における(a)から(k)の参照に対する注記
(a) 1H-NMR (DMSO) 8.8 (br, 3H), 7.5 (m, 1H), 7.3 (m, 1H), 7.1 (m, 1H), 4.7 (m,
1H), 3.0 (m, 1H), 2.8 (m, 1H), 2.5 (m, 1H), 2.0 (m, 1H);
(b) 7.14 (s, 1H), 6.98 (s, 1H), 4.30 (t, 1H), 2.87 (ddd, 1H), 2.72 (m, 1H), 2.
45 (m, 1H), 2.25 (s, 3H), 2.24 (s, 3H), 1.62 (m, 1H);
(c) 7.03 (d, 1H), 6.99 (d, 1H), 4.50 (dd, 1H), 3.12 (m, 1H), 2.79
(ddd, 1H), 2.38 (m, 1H), 2.30 (s, 3H), 2.25 (s, 3H), 1.88 (m, 1H);
(d) 7.12 (d, 1H), 6.83 (d, 1H), 4.30 (t, 1H), 2.90 (ddd, 1H), 2.75 (m, 1H), 2.50 (m, 1H), 2.24 (s, 3H), 1.64 (m, 1H);
(e) (DMSO) 8.5 (br, 3H), 7.4 (s, 1H), 7.1 (m, 2H), 4.3 (t, 1H), 2.7 (m, 2H), 2.25 (s, 3H), 2.1-1.6 (m, 4H);
(f) (DMSO) 8.4 (br, 3H), 7.15 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 4.3 (br, 1H), 2.5 (m, 2H), 2.25 (s, 3H), 2.15 (s, 3H), 2.0-1.6 (m, 4H);
(g) (DMSO) 8.8 (br, 3H), 7.4 (d, 1H), 7.05 (dd, 1H), 6.75 (d, 1H), 4.4 (br, 1H), 4.2 (m, 2H), 2.25 (s, 3H), 2.3-2.0 (m, 2H);
(h) (DMSO) 8.6 (br, 3H), 7.5 (s, 1H), 7.2 (dd, 2H), 4.7 (t, 1H), 3.0 (m, 1H), 2.8 (m, 1H), 2.6 (q, 2H), 2.5 (m, 1H), 2.0 (m, 1H), 1.2 (t, 3H);
(i) (DMSO) 8.9 (br, 3H), 7.4 (d, 1H), 7.2 (m, 1H), 6.95 (m, 1H), 4.5 (t, 1H), 4.3 (m, 2H), 2.4-2.1 (m, 2H;
(j) (DMSO) 8.7 (br, 3H), 7.3 (d, 1H), 6.75 (d, 1H), 4.4 (t, 1H), 4.3 (m, 2H), 2.2 (s, 3H), 2.3-2.1 (m, 2H), 2.0 (s, 3H).
【0180】
次の表16は、式(If)、(If-1)、(Ig)、(Ig-1)、(Ij)、(Ij-1) 及び (IL)で表される上記の化合物を製造するために使用される上記一般式(Va)で表される中間体アミンを説明するものである。
【0181】
【表55】

【0182】
表16における(a) から (c)の参照に対する注記
(a) (DMSO) 8.8 (br, 3H), 7.7 (d, 1H), 7.3 (m, 3H), 4.3 (br, 1H), 3.2 (m, 1H), 2.5 (m, 2H), 1.2 (d, 3H);
(b) (DMSO) 8.8 (br, 3H), 7.4 (s, 1H), 7.15 (m, 2H), 4.2 (br, 1H), 3.2 (m, 1H),
2.5 (m, 2H), 2.3 (s, 3H), 1.2 (d, 3H);
(c) (DMSO) 8.5 (br, 3H), 7.6 (dd, 1H), 7.2 (m, 3H), 4.1 (br, 1H), 2.8 (m, 1H),
2.2 (m, 1H), 2.0 (m, 1H), 1.5 (m, 1H), 1.1 (d, 3H).
【0183】
次の表17は、式(Ih)、(Ih-1)、(Ii)、(Ii-1) 及び (Im)で表される上記の化合物を製造するために使用される上記一般式(Vb)で表される中間体アミンを説明するものである。
【0184】
【表56】

【0185】
【表57】

【0186】
【表58】

【0187】
【表59】

【0188】
【表60】

【0189】
【表61】

【0190】
【表62】

【0191】
【表63】

【0192】
本発明の更なる特徴によれば、式(I)で表される化合物又はそれらの塩の有効量を、雑草の防除又は植物の成長を調節するために植物の部位(plant locus)に施用すること
を特徴とする除草剤又は植物成長調節剤としての使用を提供するものである。この目的のために、当該化合物は、通常は除草剤組成物として(即ち、除草剤組成物としての使用に適する適合性の希釈剤又は担体及び/又は界面活性剤と一緒に)、例えば以下に記載するように使用される。
【0193】
ここで、「植物の部位(plant locus)」に施用するとは、例えば、土壌のような植物
の生育媒体、また種子、出芽種苗、根、茎、葉、その他の植物体への施用を意味する。
【0194】
以下において、式(I)で表される化合物及びそれらの塩をまとめて、式(I)で表される化合物と称するが、これらは経済的に重要な広範囲の単子葉及び双子葉の有害植物に対して優れた除草活性を有している。更に、式(I)で表される化合物は、根茎、地下茎又はその他の多年性器官から苗条をつくり、容易に防除することができない多年性雑草に対しても有効に作用する。これに関連して、当該物質は、播種前、出芽前又は出芽後にも適用することができる。
【0195】
特に、式(I)で表される化合物で防除することができる単子葉及び双子葉植物の雑草フローラについての代表例をいくつか挙げることができるが、それらの植物種に限定するものとして列挙しているのではない。
【0196】
当該活性物質が有効に作用する単子葉植物の雑草種としては、例えば、一年草の雑草では、コヌカグサ(Agrostis)、スズメノテッポウ(Alopecurus)、アペラ(Apera)、カ
ラスムギ(Avena)、パラグラス(Brachicaria)、スズメノチャヒキ(Bromus)、タツノツメガヤ(Dactyloctenium)、メヒシバ(Digitaria)、イヌビエ(Echinochloa)、ハリイ(Eleocharis)、オヒシバ(Eleusine)、ウシノケグサ(Festuca)、テンツキ(Fimbristylis)、カモノハシ(Ischaemum)、ドクムギ(Lolium)、ミズアオイ(Monochoria)、キビ(Panicum)、スズメノヒエ(Paspalum)、クサヨシ(Phalaris)アワガエリ(Phleum)、イチゴツナギ(Poa)、オモダカ(Sagittaria)、ホタルイ(Scirpus)、エノコ
ログサ(Setaria)、スフェノクレア(Sphenoclea)及びカヤツリ(Cyperus)等の種を挙げることができ、多年草の雑草では、カモジグサ(Agropyron)、ギョウギシバ(Cynodon)、チガヤ(Imperata)、モロコシ(Sorghum)及び多年草のカヤツリ(Cyperus)等の種を挙げることができる。
【0197】
双子葉植物の雑草種の場合は、活性スペクトルは、例えば、一年草の雑草では、ヤエムグラ(Galium)、スミレ(Viola)、クワガタソウ(Veronica)、オドリコソウ(Lamium
)、ハコベ(Stellaria)、ヒユ(Amaranthus)、シロガラシ(Sinapis)、イポメア(Ipomoea)、カミツレ(Matricaria)、イチビ(Abutilon)及びキンゴジカ(Sida)等の種
にまで及び、多年草の雑草では、セイヨウヒルガオ(Convolvulus)、アザミ(Cirsium)、スイバ(Rumex)及びヨモギ(Artemisia)等の種にまで及ぶ。除草活性は、また、ブタクサ(Ambrosia)、カミツレモドキ(Anthemis)、ヒレアザミ(Carduus)、ヤグルマギ
ク(Centaurea)、アカザ(Chenopodium)、チョウセンアサガオ(Datura)、エメックス(Emex)、チシマオドリコソウ(Galeopsis)、コゴメギク(Galinsoga)、ホウキギ(Kochia)、ナズナ(Lepidium)、アゼナ(Lindernia)、ケシ(Papaver)、スベリヒユ(Portlaca)、タデ(Polygonum)、キンポウゲ(Ranunculus)、イヌガラシ(Rorippa)、キカシグサ(Rotala)、オカオグルマ(Seneceio)、セスバニア(Sesbania)、イヌホオズキ(Solanum)、ノゲシ(Sonchus)、タンポポ(Taraxacum)、シャジクソウ(Trifolium)、イラクサ(Urtica)及びオナモミ(Xanthium)のような双子葉植物の有害植物の場合においても達成される。
【0198】
イネの特別な栽培条件下において発生する有害植物、例えば、オモダカ(Sagittaria)、サジオモダカ(Alisma)、ハリイ(Eleocharis)、ホタルイ(Scirpus)及びカヤツリ
グサ(Cyperus)も、本発明に係る活性物質によって良好に防除することができる。
【0199】
本発明に係る化合物を発芽前(雑草の出芽前)の土壌に施用した場合は、雑草の実生は出芽から完全に防除されるか、又は、雑草は子葉期に達するまで生育するがその成長はやがて停止し、そして3〜4週間後には完全に枯死する。
【0200】
本発明に係る活性物質を、植物の出芽後に植物の緑色部分に施用した場合は、処理後極めて短時間のうちに成長は直ちに停止し、そして雑草の植物体は施用時の成長段階に留まるか又は暫らく経過後に完全に枯死し、従ってこの態様においては、作物に有害な雑草との競合は極めて初期の段階で除去することができ、そしてそれを維持することができる。
【0201】
本発明に係る化合物は、単子葉及び双子葉植物の雑草に対し優れた除草活性を有しているが、適量を施用した場合は、経済的に重要な作物、例えば、小麦、大麦、ライ麦、ライ小麦(triticale)、稲、トウモロコシ、砂糖大根、棉、大豆(特に、小麦、大麦、稲、
トウモロコシ)のような作物は、わずかしか又は全く損傷を受けない。これらの理由により、当該化合物は、或る場合には、農業的に有用な植物又は観賞植物の植分において望ましくない植生を選択的に防除するのに適している。
【0202】
この活性によって、当該化合物を或る種の作物の選択的除草剤として、比較的少量で、広葉雑草及び針葉雑草の防除のために、出芽前又は出芽後の有効な除草活性成分として(特に、多くの場合は雑草の出芽前において)用いることができる。一方では、当該化合物をプランテーション作物及び非農耕地においては、広範囲な双子葉雑草及び単子葉雑草の防除のために、或る程度の高施用量にて有効に使用することができ、またトウモロコシ、棉、その他の農業的条植え作物においては、特別な施用技術を用いることにより、条間処理として使用することもできる。
【0203】
本発明に係る組成物は、油ヤシ、ココヤシ、インドゴム、柑橘類、パイナップル、ナシ状果、棉、コーヒー、カカオ及びその他のプランテーション作物並びに果物生産及びブドウ栽培における一年草又は多年草の有害植物を選択的に防除するために使用することができる。同様に、本発明に係る組み合わせは、不耕起(no-till)又は零耕起(zero-till)法を用いた、耕地向き作物の生産に適用することもできる。
【0204】
本発明に係る他の課題には、このように、本発明に係る化合物を除草剤として施用することによるプランテーション作物の選択的雑草防除がある。
【0205】
一方では、これらの化合物を非選択的態様において、道路、広場、工場敷地及びその他の場所において、これらの場所を望ましくない植生から保護するための極めて有効な除草剤として使用することができる。
【0206】
本発明に係る除草剤組成物は、急速な作用開始を有し長期間有効な除草剤活性により特徴付けられる。
【0207】
式(I)で表される化合物は、例えば、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、殺菌剤、薬害軽減剤、肥料及び/又は植物成長調節剤のような、他の農薬の有効成分又は栄養素と組み合せて使用することもできる。
【0208】
本発明は、このように、一つ又はそれ以上のタイプA除草剤を、一つ又はそれ以上のタイプB除草剤及びタイプC界面活性剤と一緒に、有害な植物、これら植物体の部分、又は栽培区域に施用することからなる、望ましくない植生を防除する方法に関するものである。タイプA除草剤は、式(I)で表される化合物又はそれらの塩であり;タイプB除草剤は、防除すべき雑草スペクトラムを拡大するために又は除草剤効果を増大するために、式(I)で表される化合物と組合せるために有用な他の除草剤である(幾つかの可能性のあるタイプB除草剤は、以下に記載している)。
【0209】
加えて、本発明に係る物質は、作物植物に対する優れた成長調節特性をも有している。これらは調節的態様で該植物の代謝に関与し、それ故に、例えば、乾燥及び成長阻害を引き起こすことにより、的を絞ったやり方で植物の構成成分に影響を与えるように、そして収穫の容易化のために用いることができる。尚その上、該植物を枯死させることなく、望ましくない植生の成長を一般的に防除又は阻止するのに好適である。植生の成長を抑制することは、倒伏を減少し又は完全に防止することができる故に、多くの単子葉及び双子葉の作物にとって重要な役割を有している。
【0210】
式(I)で表される化合物が示す除草特性及び植物成長調節特性により、該化合物は、既知の遺伝子修飾植物である作物又は今後開発されるべき遺伝子修飾植物である作物にとって有害な植物を防除するために用いることができる。一般に、トランスジェニック植物は、例えば、或る種の農薬、特に或る種の除草剤に対して耐性であり、又は、植物病に対して抵抗性であり、又は植物病の原因、例えば或る種の昆虫又は真菌、細菌若しくはウイルスのような微生物に対して抵抗性であるという特別に有利な特性によって区別される。その他の特別な特性としては、例えば、収穫物の収量、品質、貯蔵特性、組成及び特殊成分に関するものがある。このように、トランスジェニック植物は、デンプン含量が増加し若しくはデンプンの質が変化し、又は収穫物の脂肪酸スペクトルが相異することが知られている。
【0211】
該式(I)で表わされる化合物は、有用な植物又は観賞植物、例えば、小麦、大麦、ライムギ、エンバク、モロコシ及びキビ、稲、キャサバ及びトウモロコシのような穀物類、又はその他の作物、砂糖大根、棉、大豆、菜種、ジャガイモ、トマト、エンドウ及びその他の野菜類の経済的に重要なトランスジェニック作物にも好適に用いることができる。
【0212】
該式(I)で表わされる化合物は、除草剤の植物毒性に対して耐性な又は遺伝子修飾により耐性化された有用植物の作物栽培に対する除草剤として好適に用いることもできる。
【0213】
現存植物と比較して変異した特性を有する新規植物を発生させる従来の方法としては、例えば、伝統的な育種法及び突然変異誘発がある。しかしながら、変異した特性を有する新規植物は、遺伝子工学法の助けを得て発生させることもできる(例えば、EP-A-0221044, EP-A-0131624を参照)。例えば、以下のような幾つかの事例が記載されている。
― 植物中で合成されるデンプンを改変するための作物植物の遺伝子工学的修飾(例えば、WO 92/11376, WO 92/14827, WO 91/19806)、
― 或る種の除草剤、例えば、グルホシネート系(例えば、EP-A-0242236, EP-A-242246を参照)、又はグリホサート系(WO 92/00377)、又はスルホニルウレア系(EP-A-0257993,
US-A-5013659)の除草剤に対して耐性を示すトランスジェニック作物植物
― トランスジェニック作物植物、例えば、バチルス ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis) 毒素(Bt毒素)を産生する能力を獲得し、その結果として或る種の有害生物に対して抵抗性となった棉(EP-A-0142924, EP-A-0193259)、
― 変異した脂肪酸スペクトルを有するトランスジェニック作物植物(WO 91/13972)。
【0214】
変異した特性を有する新規なトランスジェニック植物を発生させるのに役立つ分子生物学における数多くの技術は、原理的には既知のものであり、例えば、Sambrook et al.,1989, 「分子クローニング、実験マニュアル」(Molecular Cloning, A Laboratory Manual) 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; 又は、Winnacker 「遺伝子及びクローン」(Gene und Klone)、VCH Weinheim 2nd Edition 1996, 又は、Christou,「植物科学におけるトレンド」(Trends in Plant Science)1 (1996)
423-431を参照することができる。
【0215】
当該遺伝子工学的操作の遂行のため、DNA配列の組換えにより突然変異誘導又は配列変換を生じさせるように、核酸分子をプラスミド中に導入することができる。上記に記載した標準的な方法の助力を得て、例えば塩基置換を遂行すること、部分的配列を除去すること、又は天然の若しくは合成された配列を付加することが可能である。DNA断片を互いに結合させるためには、アダプター又はリンカーをDNA断片に結合させることができる。
【0216】
遺伝子産生の低下した活性を持つ植物細胞は、例えば、共抑制効果(cosuppressory effect)を遂行する、少なくとも一つの対応するアンチセンスRNA、センスRNAの発現、又は上記の遺伝子産物の転写産物を特異的に切断する少なくとも一つの適切に構成されたリボザイムの発現により得ることができる。
【0217】
このために、一方では、存在可能性の有る如何なるフランキング配列(flanking sequences)を含んでいる遺伝子産物の全てのコード配列を含むDNA分子を使用することは可能であるが、しかしながら、コード配列の一部分しか含んでいないDNA分子でも、その部分が細胞中でアンチセンス効果を引き起こすのに十分な長さであれば、それを使用することもまた可能である。他の可能性は、遺伝子産物のコード配列と完全には同一ではないが、高度の相同性を有しているDNA配列を使用することである。
【0218】
植物中で核酸分子を発現するとき、合成された蛋白質は植物細胞の如何なる所望するコンパートメント中にでも局在させることができる。しかしながら、特殊なコンパートメント中に局在させるためには、例えば、コード領域を、特殊なコンパートメント中の局在を確実にするDNA配列に結合させることが可能である。そのような配列は当業者にとっては既知のものである(例えば、Braun et. al., EMBO J. 11 (1992), 3219-3227; Wolter et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (1988), 846-850: Sonnewald et. al., Plant
J. 1 (1991), 95-106を参照)。
【0219】
トランスジェニック植物細胞は、既知の方法により再生して完全な植物体へと生育させ
ることができる。原理的には、トランスジェニック植物は、如何なる所望する植物種であってもよく、すなわち、単子葉であっても双子葉植物であってもよい。
【0220】
このように、トランスジェニック植物は、同種(即ち、天然)遺伝子又は遺伝子配列の過剰発現、抑制又は阻害、又は異種(即ち、外来)遺伝子又は遺伝子配列の発現により変異した特性を現すように作成することができる。
【0221】
該式(I)で表わされる化合物は、スルホニルウレア系、グルホシネート−アンモニウム又はグリホサート−イソプロピルアンモニウム、及び類似の有効成分から成る一群から選択される除草剤に対して耐性であるトランスジェニック作物において好適に使用することができる。
【0222】
該式(I)で表わされる化合物をトランスジェニック作物に使用するときは、他の作物において観察される除草効果以外の効果は、特別なトランスジェニック作物に施用するための特異なものとしてしばしば観察され、例えば、防除され得る雑草スペクトルの変異若しくは特異的拡大、使用できる施用量の変更、トランスジェニック作物にとって耐性である除草剤との好適な組合せ能力、並びにトランスジェニック作物植物の生育及び収率に対する効果である。
【0223】
それ故、本発明はまた、式(I)で表わされる化合物のトランスジェニック作物植物に有害な植物を防除するための除草剤としての使用に関するものである。
【0224】
また、本発明に係る有害な植物の防除又は植物成長調節のための使用は、式(I)で表わされる化合物が、その前駆体(プロドラッグ)を植物に施用した後に植物体又は土壌中で形成される場合をも含んでいる。
【0225】
式(I)で表わされる化合物は、水和剤、乳剤、散布用溶液、粉剤又は粒剤として、通常の製造法を適用することができる。それ故、本発明は、式(I)で表わされる化合物を含む除草剤及び植物成長調節剤組成物に関するものでもある。
【0226】
本発明の更なる特徴によれば、上記に定義した式(I)で表される化合物又は農業的に許容され得るそれらの塩の有効量を、一つ又はそれ以上の適合性の農業的に許容され得る希釈剤又は担体、及び/又は界面活性剤、[即ち、除草剤組成物としての使用に適し、か
つ、本発明に係る化合物に適合性の、一般的に当該分野において許容され得る希釈剤又は担体及び/又は界面活性剤]と一緒に、そして好ましくは均一に分散して含んでいる除草
剤又は植物成長調節剤組成物を提供するものである。用語「均一に分散して」とは、式(I)で表される化合物が他の構成成分に溶解している組成物をも含んでいる。用語「除草剤組成物」とは、広義に用いられ、除草剤として直ちに使用される組成物のみならず、使用前に希釈される(タンクミックスを含んで)濃縮液をも含むものである。
【0227】
式(I)で表わされる化合物は、優勢な生物学的及び/又は化学物理的パラメーターに依存して、種々の方法で製剤することができる。製造可能な適当な製剤の態様としては、水和剤(WP)、水溶性の粉剤(SP)、水溶性濃縮剤、乳剤(EC)、水中油型及び油中水型エマルションのようなエマルション剤(EW)、散布用溶液、懸濁製剤(SC)、油又は水基剤の分散性製剤、油混和性溶液、カプセル懸濁剤(CS)、粉剤(DP)、種子粉衣製品、全面処理用及び土壌処理用粒剤、マイクロ粒剤用粒剤(GR)、散布用粒剤、被覆粒剤及び吸着粒剤、水分散性粒剤(WG)、水溶性粒剤(SG)、ULV製剤、マイクロカプセル剤及びワックス剤がある。
【0228】
これらの個々の製剤は、原理的には既知のものであり、例えば、Winnacker-Kuchler,
「化学工学」(Chemische Technologie)、Volume 7, C. Hauser Verlag Munich, 4th Ed. 1986, Wade van Valkenburg,「農薬製剤」(Pesticide Formulaions)、Marcel Dekker, N.Y., 1973; K. Martens, 「吹付け乾燥ハンドブック」(Spray Drying Handbook)、3rd Ed. 1979, G. Goodwin Ltd. London に記載されている。
【0229】
不活性物質、界面活性剤、溶剤のような必要な製剤補助剤及びその他の付加物も既知のものであり、例えば、Watkins, 「殺虫粉剤の希釈剤及び担体ハンドブック」(Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers)、2nd Ed., Darland Books, Caldwell N.J., H. v. Olphen, 「粘土コロイド化学入門」(Introduction to Clay Colloid Chemistry)、2nd Ed., J. Wiley & Sons, N.Y.; C. Marsden 「溶媒ガイド」(Solvents Guide
)、2nd Ed., Interscience, N.Y. 1963; McCutcheon's 「洗剤及び乳化剤年報」(Detergents and Emulsifiers Annual)、MC Publ. Corp., Ridgewood N,J,: Sisley and Wood,
「界面活性剤百科事典」(Encyclopedia of Surface Active Agents)、Chem. Publ. Co. Inc., N.Y. 1964; Schoenfeldt, 「界面活性エチレンオキサイド付加物」(Grenzflaechenaktive Aethylenoxidaddukte)、Wiss. Verlagsgesell., Stuttgart 1976: Winnacker-Kuchler、「化学工学」(Chemische Technologie)、Volume 7, C. Hauser Verlag Munich, 4th Ed. 1986 に記載されている。
【0230】
これらの製剤に基づき、例えば、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、殺菌剤、薬害軽減剤、肥料及び/又は植物成長調節剤のような他の農薬有効成分と、例えばレディーミックス(readymix)又はタンクミックスとして組合せて製造することもできる。
【0231】
水和剤は、水中に均一に分散できる製剤であるが、式(I)で表される化合物に加えて、イオン性及び/又は非イオン性の界面活性剤(湿潤剤(wetter)、分散剤)、例えば、ポリオキシエチル化アルキルフェノール、ポリオキシエチル化脂肪アルコール、ポリオキシエチル化脂肪族アミン、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、アルカンスルホナート若しくはアルキルベンゼンスルホナート、リグノスルホン酸ナトリウム、2、2’−ジナフチルメタン−6,6’−ジスルホン酸ナトリウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、又はオレオイルメチルタウリン酸ナトリウムを、稀釈剤又は不活性物質の他に付加的に含んでいる。水和剤を製造するために、式(I)で表される化合物を、例えば、ハンマーミル、ブロワーミル及びエアージェットミルのような通常の装置で細かく粉砕し、同時に又はその後に、製剤補助剤と混合する。
【0232】
乳剤は、例えば、式(I)で表される化合物を、有機溶媒、例えば、ブタノール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、キシレン又はその他の高沸点の芳香族若しくは炭化水素、又はこれらの混合物に、一つ又はそれ以上のイオン性及び/又は非イオン性の界面活性剤(乳化剤)を添加したものに溶解させることによって製造する。使用することができる乳化剤の例としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムのようなアルキルアリールスルホン酸のカルシウム塩、又は脂肪酸ポリグリコールエステル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、プロピレンオキシド/エチレンオキシド縮合物、アルキルポリエーテルのような非イオン性乳化剤、ソルビタン脂肪酸エステルのようなソルビタンエステル、又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのようなポリオキシエチレンソルビタンエステルを挙げることができる。
【0233】
粉剤は、細かく粉砕した固形物、例えば、タルク、又はカオリン、ベントナイト若しくはパイロフィライトのような天然の粘土、又は珪藻土と一緒に、有効成分を粉砕して製造する。
【0234】
懸濁製剤は、水ベース又は油ベースである。これらの製剤は、例えば、市販のビーズミ
ルを用いて湿式粉砕法により、適当な場合は、例えば上記の他の製剤の場合おいて既に指摘したように、界面活性剤を加えて製造することができる。
【0235】
水中油型エマルションのようなエマルション剤(EW)は、例えば、水性の有機溶媒を用いて、スターラー、コロイドミル及び/又はスタテイックミキサーにより製造することができ、適当な場合は、例えば上記の他の製剤の場合において既に指摘したように、界面活性剤を加えて製造することができうる。
【0236】
粒剤は、吸着性の粒状の不活性物質の上に、式(I)で表される化合物を吹き付けることにより、又は、砂、カオリナイトのような担体、若しくは粒状の不活性物質の表面に、有効成分の濃縮物を、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、又は鉱油のようなバインダーの助けを得て適用することにより製造することができる。肥料粒剤の製造に通常用いられる態様で、所望により肥料との混合物として、適当な有効成分を造粒することができる。
【0237】
水分散性粒剤は、吹付け乾燥法、流動床造粒法、デイスク造粒法、高速撹拌機による混合法及び固形不活性物質を用いない押出し法のような通常の方法によって、一般的に製造することができる。デイスク粒剤、流動床粒剤、押出し粒剤及び吹付け粒剤の製造については、例えば「吹付け乾燥ハンドブック」(Spray Drying Handbook)、3rd ed. 1979, G. Goodwin Ltd., London; J. E. Browning,「固形化、化学及び工学」(Agglomeration, Chemical and Engineering、1967, pages 147 以下参照;「ペリーの化学工学ハンドブッ
ク」(Perry's Chemical Engineer's Handbook)、5th Ed., McGraw-Hill, New York 1973, pp. 8-57 中に記載の方法を参照することができる。
【0238】
作物保護製品の製剤についての更なる詳細については、例えば、G. C. Klingman,「科
学としての雑草防除」(Weed Control as a Science)、John Wiley and Sons, Inc., New York, 1961, pp. 81-96; J. D. Freyer, S. A. Evans,「雑草防除ハンドブック」(Weed Control Handbook)、5th Ed., Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1968, pp. 101-103 を参照することができる。
【0239】
一般的に、当該農薬製剤は、式(I)で表わされる化合物を、0.1〜99重量%、好ましくは0.1〜95重量%を含んでいる。水和剤の場合は、式(I)で表わされる化合物の濃度は、例えば約10〜90重量%であり、残部は通常の製剤構成物で100重量%としている。乳剤の場合は、式(I)で表わされる化合物の濃度は、約1〜90重量%であり、好ましくは5〜80重量%である。粉剤の製剤の場合は、通常式(I)で表わされる化合物を1〜30重量%、多くの場合好ましくは、式(I)で表わされる化合物を5〜20重量%を含み、一方散布用溶液の場合は、式(I)で表わされる化合物を約0.05〜80重量%、好ましくは2〜50重量%含んでいる。水分散性粒剤の場合は、式(I)で表わされる化合物の含量は、式(I)の化合物が液体か固体かにより、また使用される造粒補助剤、増量剤及びその他のものが何であるかに部分的に依存している。水分散性粒剤の場合は、例えば、有効成分の濃度は1と95重量%の間であり、好ましくは10と80重量%の間である。
【0240】
付言するに、ここに記述した式(I)で表わされる化合物の製剤は、適当な場合は、粘着剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、浸透剤、保存剤、不凍剤、溶媒、増量剤、担体、着色剤、消泡剤、蒸発防止剤、pH調節剤及び粘度調節剤を含むことができるが、それらは通常のものである。
【0241】
式(I)で表わされる化合物又はそれらの塩は、そのものとして、又は、例えば、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤、殺菌剤、薬害軽減剤、肥料及び/又は植物成長調節剤
のような他の農薬有効成分との組合わせとして製剤(処方物)の形態で、例えば、プレミックス又はタンクミックスとして使用することができる。
【0242】
本発明に係る有効成分のために、混合製剤又はタンクミックスにおいて用いることができる成分としては、例えば、アセトールアセテートシンターゼ、アセチル−コエンザイムAカルボキシラーゼ、PSI、PSII、HPPDO、フィトエンデサチュラーゼ、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ、グルタミンシンテターゼ、セルロース生合成、5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェートシンテターゼの阻害に基づく既知の活性化合物を挙げることができる。このような化合物又は使用できる他の化合物では、作用機構はかなりの部分が未知であるか又は相異しているが、例えば、「雑草研究」(Weed Research)26, 441-445 (1986);又は、「e-農薬マニュアル バージョン2.2」(the e-Pesticide Manual Version 2.2)(2002)を含む「農薬マニュアル」(The Pesticide Manual)、12th edition, 2000(以下「PM」と略記する)The British Crop Protection Council and
the Royal Soc. of Chemistry (編集者)及びそこに引用されている文献中に記載されて
いる。当該文献から既知のそして式(I)で表わされる化合物と組み合わせることができるものとして言及することができる除草剤としては、例えば、以下のような有効成分がある(注意:当該化合物は国際標準化機構(ISO)に基づく一般名で定義しているか又は化学名を用いているが、適当な場合には通例のコード番号も併せて記載している)。一般名を有する化合物は、また、インターネット及びここに引用している文献から利用可能な「農薬一般名の概説」(Compendium of Pesticide Common Names)中で参照することができる。
【0243】
アセトクロール;アシフルオルフェン(−ナトリウム);アクロニフェン;AKH7088、即ち、[[[1−[5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−2−ニトロフェニル]−2−メトキシエチリデン]アミノ]オキシ]酢酸及びそのメチルエステル;アラクロール;アロキシジム(−ナトリウム);アメトリン;アミカルバゾン;アミドクロール;アミドスルフロン;アミロトール;AMS、即ち、スルファミン酸アンモニウム;アニロホス;アシュラム;アトラジン;アザフェニジン;アジムスルフロン(DPX−A8947);アジプロトリン;バルバン;BAS516H,即ち、5−フルオロ−2−フェニル−4H−3,1−ベンズオキサジン−4−オン;ベフルブタミド;ベナゾリン(−エチル);ベンフルラリン;ベンフレセート(benfuresate);ベンスルフロン(−メチル);ベンスリド;ベンタゾン(−ナトリウム);ベンゾビシクロン;ベンゾフェナップ;ベンゾフルオル;ベンゾイルプロップ(−エチル);ベンズチアズロン(benzthiazuron);ビアラホス(ビラナホス:bilanafos);ビフェノックス;ビスピリバック(bispyribac)(−ナトリウム);ブロマシル;ブロモブチド;ブロモフェノキシム;ブロモキシニル;ブロムロン;ブミナホス;ブソキシノン(busoxinone);ブタクロール;ブタフェナシル;ブタミホス;ブテナクロール;ブチダゾール;ブトラリン;ブトロキシジム(butroxydim);ブチレート;カフェンストロール(cafenstrole)(CH−900);カルベタミド;カフェントラゾン(cafentrazone)(−エチル);カロキシジム(caloxydim)、CDAA,即ち、2−クロロ−N,N−ジ−2−プロペニルアセトアミド;CDEC、即ち、ジエチルジチオカルバミン酸2−クロロアリル;クロメトキシフェン;クロランベン(chloramben);クロラジホップ−ブチル;クロルブロムロン;クロルブファム;クロルフェナック;クロルフルレノール−メチル;クロリダゾン;クロリムロン(−エチル);クロルニトロフェン;クロロトルロン;クロロクスロン;クロルプロファム;クロルスルフロン;クロルタル−ジメチル;クロルチアミド;クロルトルロン;シニドン(−メチル又は−エチル);シンメチリン;シノスルフロン;クレトジム(clethodim);クレホキシジム(clefoxydim);クロジナホップ(clodinafop)及びそのエステル誘導体(例えば、クロジナホップ−プロパルギル);クロマゾン(clomazone);クロメプロップ;クロプロキシジム;クロピラリド:クロピラスルフロン(−メチル);クロランシュラム(cloransulam)(−メチル);クミルロン(cumyluron)(JC940):シアナジン;シクロエート;シ
クロスルファムロン(cyclosulfamuron)(AC104);シクロキシジム;シクルロン;シハロホップ(cyhalofop)及びそのエステル誘導体(例えば、ブチルエステル、DEH−112);シペルコート;シプラジン;シプラゾール;ダイムロン;2,4−D;2,4−DB;ダラポン;ダゾメット(dazomet);デスメデイファム;デスメトリン;ジアレート(di-allate);ジカンバ;ジクロベニル;ジクロルプロップ(-P);ジクロホップ及びジクロホップ−メチルのようなエステル;ジクロシュラム(diclosulam);ジエタチル(−エチル);ジフェノキスロン(difenoxuron);ジフェンゾコート;ジフルフェニカン;
ジフルフェンゾピル(diflufenzopyr);ジメフロン;ジメピペラート(dimepiperate)
;ジメタクロール;ジメタメトリン;ジメテナミド(dimethenamid)(SAN−582H);ジメテナミド(-P);ジメタゾン;ジメチピン;ジメキシフラム(dimexyflam);ジメトラスルフロン;ジニトラミン;ジノセブ;ジノテルブ;ジフェナミド;ジプロペトリン;ジクワット;ジチオピル;ジウロン;DNOC;エグリナジン−エチル(eglinazine-ethyl);EL77、即ち、5−シアノ−1−(1,1−ジメチルエチル)−N−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;エンドタール;エポプロダン(epoprodan);EPTC;エスプロカルブ;エタルフルラリン;エタメツルフロン−メチル(ethametsulfuron-metyl);エチジムロン;エチオジン;エトフメセート(ethofumesate);エトキシフェン
及びそのエステル(例えば、エチルエステル、HC−252);エトキシスルフロン;エトベンザニド(HW52);F5231,即ち、N−[2−クロロ−4−フルオロ−5−[4−(3−フルオロプロピル)−4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1H−テトラゾル−1−イル] −フェニル] エタンスルホンアミド;フェノプロップ;フェノキサン;フェノキサプロップ及びフェノキサプロップ−P並びにそれらのエステル、例えばフェノキサプロップ−エチル及びフェノキサプロップ−P−エチル;フェノキシジム;フェントラザミド;フェニュロン;フラムプロップ(−メチル、−イソプロピル又は−イソプロピル−L);フラザスルフロン;フロラシュラム(florasulam);フルアジホップ及びフルアジホップ−P並びにそれらのエステル、例えばフルアジホップ−ブチル及びフルアジホップ−P−ブチル;フルアゾレート(fluazolate);フルカルバゾン(−ナトリウム);フルクロラリン;フルフェナセット(FOE5043);フルフェンピル(flufenpyr);フルメツラム(flumetsulam);フルメツロン(flumeturon);フルミクロラック(flumiclorac)(−ペンチル);フルミオキサジン(flumioxazin)(S−482):フルミプロピン(flumipropyn);フルオメツロン;フルオロクロリドン;フルオロジフェン;フルオログリコフェン(−エチル);フルポキサム(flupoxam)(KNW−739);フルプロパシル(flupropacil)(UBIC−4243);フルプロアナート(fluproanate);フルピルスルフロン(−メチル又は−ナトリウム);フルレノール(−ブチル);フルリドン;フルロクロリドン;フルロキシピル(−メチルヘプチル);フルルプリミドール;フルルタモン;フルチアセット(−メチル);フルチアミド(別名フルフェナセット);ホメサフェン;ホラムスルフロン;ホサミン;フリラゾール(MON13900);フリロキシフェン(furyloxyfen);グルホシネート(−アンモニウム);グリホサート(−イソプロピルアンモニウム);ハロサフェン;ハロスルフロン(−メチル)及びそのエステル(例えばメチルエステル、NC−319);ハロキシホップ及びそのエステル;ハロキシホップ−P(=R−ハロキシホップ)及びそのエステル;HC−252(ジフェニルエーテル);ヘキサジノン;イマザメタベンズ(−メチル);イマザメタピル;イマザモックス(imazamox);イマザピック(imazapic);イマザピル;イマザキン及びその塩、例えばアンモニウム塩;イマゼタメタピル;イマゼタピル;イマゾスルフロン;インダノファン;インドスルフロン−(メチル)−(ナトリウム);アイオキシニル(ioxynil);イソカルバミド;イソプロパリン;イソプロツロン(isoproturon);イソウロン;イソキサベン;イソキサクロルトール(isoxachlortole);イソキサフルトール;イソキサピリホップ;カルブチレート(karbutilate);ラクトフェン;レナシル;リニュロン;MCPA;MCPB;メコプロップ;メフェナセット;メフルイジド(mefluidid);メソスルフロン(−メチル);メソトリオン;メタム;メタミフォップ;メタミトロン;メタザクロール;メタベンズチアズロン;メタゾール;メトキシフェノン;メチルジムロン(metyldymron);メトベ
ンズロン;メトブロムロン;(S−)メトラクロール;メトシュラム(metosulam)(XRD511);メトキスロン(metoxuron);メトリブジン;メトスルフロン−メチル;MK−616;モリネート;モナリド;二水素硫酸カルバミド;モノリニュロン;モニュロン;MT128、即ち、6−クロロ−N−(3−クロロ−2−プロペニル)−5−メチル−N−フェニル−3−ピリダジンアミン;MT5950、即ち、N−[3−クロロ−4−(1−メチルエチル)−フェニル]−2−メチルペンタンアミド;ナプロアニリド;ナプロパミド;ナプタラム;NC310、即ち、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1−メチル−5−ベンジルオキシピラゾール;ネブロン;ニコスルフロン;ニピラクロフェン;ニトラリン;ニトロフェン;ニトロフルオルフェン;ノルフルラゾン;オルベンカルブ;オリザリン;オキサジアルギル(RP−020630);オキサジアゾン;オキサスルフロン;オキサジクロメフォン(oxaziclomefone);オキシフルオルフェン;パラコート;ペブレート(pebulate);ペラルゴニン酸(pelargonic acid);ペンジメタリン;ペノキスラム(penoxulam);ペンタノクロール;ペントキサゾン;ペルフルイドン;ペトキサミド;フェニソファム;フェンメデイファム;ピクロラム;ピコリナフェン;ピペロホス;ピリブチカルブ;ピリフェノップ−ブチル;プレチラクロール;プリミスルフロン(−メチル);プロカルバゾン(−ナトリウム);プロシアジン;プロジアミン;プロフルアゾール;プロフルラリン;プログリナジン(−エチル);プロメトン;プロメトリン;プロパクロール;プロパニル;プロパキザホップ;プロパジン;プロファム:プロピソクロール(propisochlor);プロポキシカルバゾン((−ナトリウム);プロピザミド;プロスルファリン;プロスルホカルブ;プロスルフロン(prosulfuron)(CGA−152005);プリナクロール;ピラクロニル;ピラフルフェン(−エチル);ピラゾリネート;ピラゾン;ピラゾスルフロン(−エチル);ピラゾキシフェン;ピリベンゾキシム(pyribenzoxim);ピリブチカルブ;ピリダホル(pyridafol);ピリデート;ピリフタリド(pyriftalid);ピリミドバック(−メチル);ピリチオバック(pyrithiobac) (−ナトリウム) (KIH−2031);ピロキソホップ(pyroxofop) 及びそのエステル(例えば、プロパルギルエステル);キンクロラック;キンメラック;キノクラミン;キノホップ及びそのエステル誘導体;キザロホップ及びキザロホップ−P並びにそれらのエステル誘導体、例えば、キザロホップ−エチル及びキザロホップ−P−テフリル及び−エチル;レンリデュロン(renriduron);リムスルフロン(rimsulfuron)(DPX−E9636);S−275、即ち、2−[4−クロロ−2−フルオロ−5−(2−プロピニルオキシ)フェニル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−2H−インダゾール;セクブメトン;セトキシジム;シデュロン(siduron);シマジン;シメトリン;SN106279、即ち、2−[[7−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−2−ナフタレニル]オキシ]プロピオン酸及びそのメチルエステル;スルコトリオン(sulcotrione);スルフェントラゾン(sulfentrazon)(FMC−97285,F−6285);スルファズロン;スルホメツロン(−メチル);スルホセート(ICI−A0224);スルホスルフロン;TCA;テブタム(GCP−5544);テブチウロン;テプラロキシジム(tepraloxydim);テルバシル(terbacil);テルブカルブ;テルブクロール;テルブメトン;テルブチラジン;テルブトリン;TFH450、即ち、N,N−ジエチル−3−[(2−エチル−6−
メチルフェニル)スルホニル]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−カルボキシアミ
ド;テニルクロール(thenylchlor)(NSK−850);チアフルアミド:チアザフルロ
ン;チアゾピル(thiazopyr)(Mon−13200);チジアジミン(thidiazimin)(SN−24085);チフェンスルフロン(−メチル);チオベンカルブ;チオカルバジル;トラルコキシジム(tralkoxydim);トリアレート(tri-allate);トリアスルフロン;トリ
アジフラム;トリアゾフェナミド;トリベニュロン(−メチル);2,3,6−トリクロロ安息香酸(2,3,6−TBA);トリクロピル;トリジファン;トリエタジン;トリフロキシスルフロン(−ナトリウム);トリフルラリン;トリフルスルフロン及びそのエステル(例えばメチルエステル、DPX−66037);トリメツロン(trimeturon);トリトスルフロン(tritosulfuron);チトデフ(tsitodef);バーノレート(vernolate);WL110547、即ち、5−フェノキシ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−
1H−テトラゾール;UBH−509;D−489;LS 82−556;KPP−30
0;NC−324;NC−330;KH−218;DPX−N8189;SC−0774;DOWCO−535;DK−8910;V−53482;PP−600;MBH−001;KIH−9201;ET−751;KIH−6127、KIH−2023及びKIH5996。
【0244】
有害植物の選択的防除は、有用植物の作物及び観賞植物において特に興味あるものである。式(I)で表される化合物は、既に多くの作物において十分な選択性を極めて良好に示しているが、原理的には、植物毒性の症候は、いくつかの作物における栽培植物に対して発生し、特に選択性の低い除草剤との混合の場合に発生する。この点に鑑み、特に興味ある本発明に係る式(I)で表される化合物との組合せは、式(I)で表される化合物を含んでいるもの又は他の除草剤若しくは農薬及び薬害軽減剤との組合せである。薬害軽減剤は、解毒剤として作用する量で使用されるが、例えば、穀物(小麦、大麦、ライ麦、トウモロコシ、稲、モロコシ及びキビ)、砂糖大根、サトウキビ、菜種、棉及び大豆、特に穀物のような経済的に重要な作物において、使用した除草剤/農薬の植物毒性の副作用を減少する。以下の化合物群は、式(I)で表される化合物及びそれと他の農薬とを組み合せたものに対して適切な薬害軽減剤の例である。
【0245】
a) ジクロロフェニルピラゾリン−3−カルボン酸タイプの化合物、好ましくは、1−(
2,4−ジクロロフェニル)−5−(エトキシカルボニル)−5−メチル−2−ピラゾリン−3−カルボン酸エチル(S1−1)(「メフェンピル−ジエチル」(Mefenpyrdiethyl), PM, pp.594〜595)のような化合物、及びWO 91/07874に記載されているような関連化
合物;
【0246】
b) ジクロロフェニルピラゾールカルボン酸誘導体、好ましくは1−(2,4−ジクロロ
フェニル)−5−メチルピラゾール-3−カルボン酸エチル(S1−2)、1−(2,4
−ジクロロフェニル)−5−イソプロピルピラゾール−3−カルボン酸エチル(S1−3)、1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(1,1−ジメチルエチル)ピラゾール-
3−カルボン酸エチル(S1−4)、1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−フェニルピラゾール-3−カルボン酸エチル(S1−5)のような化合物、並びにEP−A−333 131及びEP−A−269 806に記載されているような関連化合物;
【0247】
c) トリアゾールカルボン酸タイプの化合物、好ましくは、フェンクロラゾール(及びそ
のエチルエステル)、即ち、1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−トリクロロメチルー(1H)−1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸エチル(S1−6)のような化合物、及び関連化合物(EP−A−174 562 及びEP−A−346 620参照);
【0248】
d) 5−ベンジル−若しくは5−フェニル−2−イソオキサゾリン−3−カルボン酸タイ
プ、又は5,5’−ジフェニル−2−イソオキサゾリン−3−カルボン酸タイプの化合物、好ましくは、5−(2,4−ジクロロベンジル)−2−イソオキサゾリン-3−カルボン酸エチル(S1−7)、又は5−フェニル−2−イソオキサゾリン-3−カルボン酸エチル(S1−8)のような化合物、及びWO 91/08202に記載されているような関連化合物、又は、ドイツ特許出願(WO−A−95/07897)に記載されているような、5,5−ジフェニル−2−イソオキサゾリンカルボン酸エチル(S1−9)(「イソオキサジフェン−エチル」(isoxadifen−ethyl))、又は5,5−ジフェニル−2−イソオキサゾリンカルボン酸n−プロピル(S1−10)、又は5−(4−フルオロフェニル)−5−フェニル−2−イソオキサゾリン−3−カルボン酸エチル(S1−11);
【0249】
e) 8−キノリンオキシ酢酸タイプ(S2)の化合物、好ましくは(5−クロロ−8−キ
ノリンオキシ)酢酸1−メチルヘキサ−1−イル(一般名:クロキントセトメキシル(cl
oquintocet−mexyl)(S2−1)(PM, pp. 195〜196参照)、
(5−クロロ−8−キノリンオキシ)酢酸1,3−ジメチルブタ−1−イル(S2−2)、
(5−クロロ−8−キノリンオキシ)酢酸4−アリルオキシブチル(S2−3)、
(5−クロロ−8−キノリンオキシ)酢酸1−アリルオキシプロパ−2−イル(S2−4)、
(5−クロロ−8−キノリンオキシ)酢酸エチル(S2−5)、
(5−クロロ−8−キノリンオキシ)酢酸メチル(S2−6)、
(5−クロロ−8−キノリンオキシ)酢酸アリル(S2−7)、
(5−クロロ−8−キノリンオキシ)酢酸2−(2−プロピリデンイミノオキシ)−1−エチル(S2−8)、
(5−クロロ−8−キノリンオキシ)酢酸2−オキソプロパ−1−イル(S2−9)、
並びにEP−A−86 750、EP−A−94 349 及び EP−A−191 736 又は EP−A−0 492 366に記載されている関連化合物;
【0250】
f) (5−クロロ−8−キノリンオキシ)マロン酸タイプの化合物、好ましくは(5−ク
ロロ−8−キノリンオキシ)マロン酸ジエチル、(5−クロロ−8−キノリンオキシ)マロン酸ジアリル、(5−クロロ−8−キノリンオキシ)マロン酸メチルエチルのような化合物、及び EP−A−0 582 198に記載されているような関連化合物;
【0251】
g) 例えば、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(及びそのエステル)(2,4−D)、4
−クロロ−2−メチルフェノキシプロピオン酸エステル(メコプロップ(mecoprop))、MCPA、又は、3,6−ジクロロ−2−メトキシ安息香酸(及びそのエステル)(ジカンバ(dicamba))のような、フェノキシ酢酸若しくはフェノキシプロピオン酸誘導体タイプ又は芳香族カルボン酸タイプの有効成分;
【0252】
h) 例えば、「フェンクロリム(fenclorim)」(PM, pp. 386〜387)(即ち、4,6−ジクロロ−2−フェニルピリミジン)のような、イネの土壌作用性薬害軽減剤として用いられ、また、イネの播種後に用いられるプレチラクロールの薬害軽減剤としても知られているピリミジンタイプの有効成分;
【0253】
i) 例えば、「ジクロルミド」(dichlormid)(PM, pp. 270〜271) (即ち、N,N−ジア
リル−2,2−ジクロロアセトアミド)、
「R−29148」(即ち、3−ジクロロアセチル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン、Stauffer社製品)、
「ベノキサコール」(benoxacor)(PM, pp. 74〜75)(即ち、4−ジクロロアセチル−3
,4−ジヒドロ−3−メチル−2H−1,4−ベンゾオキサジン)、
「PPG−1292」(即ち、N−アリル−N−[(1,3−ジオキソラン−2−イル)メ
チル]ジクロロアセトアミド、PPG Industries社製品)、
「DK−24」(即ち、N−アリル−N−[(アリルアミノカルボニル)メチル]ジクロロアセトアミド、Sagro−Chem社製品)、
「AD−67」又は「MON4660」(即ち、3−ジクロロアセチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4,5]デカン、それぞれ、Nitrokemia 及び Monsanto社製品)、
「ジクロノン」又は「BAS145138」又は「LAB145138」(即ち、3−ジクロロアセチル−2,5,5−トリメチル−1,3−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン、B
ASF社製品)、及び
「フリラゾール」(furilazol)又は「MON13900」(PM, 482〜483参照)(即ち、(RS)−3−ジクロロアセチル−5−(2−フリル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン)、のような、出芽前薬害軽減剤(土壌作用性薬害軽減剤)として頻繁に用いられるジクロロアセトアミドタイプの有効成分;
【0254】
j) 例えば、トウモロコシの薬害軽減剤として知られている「MG191」(CAS 登記番号
96420−72−3)(即ち、2−ジクロロメチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン、Nitrokemia社製品)のような、ジクロロアセトン誘導体タイプの有効成分;
【0255】
k) 例えば、モロコシ及びキビのためのメトラクロールの処理による損傷に対する種子処
理薬害軽減剤として知られている「オキサベトリニル(oxabetrinil)」(PM, pp. 689)(即ち、(Z)−1,3−ジオキソラン−2−イルメトキシイミノ(フェニル)−アセトニトリル)、モロコシ及びキビのためのメトラクロールの処理による損傷に対する種子粉衣薬害軽減剤として知られている「フルキソフェニム(fluxofenim )」(PM, pp. 467〜468)(即ち、1−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−1−エタノン O−(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)オキシム、及び
モロコシ及びキビのためのメトラクロールの処理による損傷に対する種子処理薬害軽減剤製品として知られている「シオメトリニル(cyometrinil)」又は「CGA−43089
」(PM, p. 1170)(即ち、(Z)−シアノメトキシ−イミノ(フェニル)アセトニトリル)のような、種子処理剤として知られているオキシイミノ化合物タイプの有効成分;
【0256】
l) 例えば、モロコシ及びキビのためのアラクロール及びメトラクロールの処理による損
傷に対する種子処理薬害軽減剤として知られている「フルラゾール(flurazole)」(PM, pp. 450〜451)(即ち、2−クロロ−4−トリフルオロメチル−1,3−チアゾール−5
−カルボン酸ベンジル)のような種子処理剤製品として知られている、チアゾールカルボン酸エステルタイプの有効成分;
【0257】
m) 例えば、トウモロコシのためのチオカルバメート除草剤の処理による損傷に対する種
子処理薬害軽減剤として知られている「ナフタル酸無水物」(PM, p. 1009-1010)(即ち、1,8−ナフタレン二カルボン酸無水物)のような種子処理剤製品として知られている、ナフタレン二カルボン酸誘導体タイプの有効成分;
【0258】
n) 例えば、トウモロコシのためのイミダゾリノンの処理による損傷に対する薬害軽減剤
として知られている「CL304415」(CAS 登記番号 31541−57−8)(即ち、2−(
4−カルボキシクロマン−4−イル)酢酸、American Cyanamid社製品)、のようなクロ
マン酢酸誘導体タイプの有効成分;
【0259】
o) 例えば、イネのための除草剤モリネートの処理による損傷に対する薬害軽減剤として
知られている「ジメピペレート」又は「MY−93」(PM, pp. 302〜303)(即ち、ピペリジン−1−カルボチオ酸 S−1−メチル−1−フェニルエチル)、
イネのための除草剤イマゾスルフロンの処理による損傷に対する薬害軽減剤として知られている、「ダイムロン(daimuron)」又は「SK23」(PM, p. 247)(即ち、1−(1−メチル−1−フェニルエチル)−3−p-トリルウレア)、
イネのための数種類の除草剤の処理による損傷に対する薬害軽減剤として知られている「クミルロン(cumyluron)」=「JC−940」(即ち、3−(2−クロロフェニルメチル)−1−(1−メチル−1−フェニル−エチル)ウレア、JP−A−60087254参照、
イネのための数種類の除草剤の処理による損傷に対する薬害軽減剤として知られている、「メトキシフェノン(methoxyphenone)」又は「NK049」(即ち、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン)、
イネのための数種類の除草剤の処理による損傷に対する薬害軽減剤として知られている「CSB」(即ち、1−ブロモ−4−(クロロメチルスルホニル)ベンゼン)(CAS 登記番
号 54091−06−4, Kumiai社製品)、のような、有害植物に対して除草活性を示すと同時に、イネのような作物植物との関連において薬害軽減剤活性を示す有効成分;
【0260】
p) WO−A−97/45016に記載されているような式(S3)で表されるN−アシルスルホンアミド及びそれらの塩;
【化17】

【0261】
q) 国際特許出願番号PCT/EP98/06097に記載されているような式(S4)で表されるアシ
ルスルファモイルベンズアミド、及び適当な場合はそれらの塩;
【化18】

及び
【0262】
r) WO−A−98/13 361に記載されているような式(S5)で表される化合物;
【化19】

これらは立体異性体及び農業分野で通常使用されるそれらの塩を含む。
【0263】
上述した薬害軽減剤の中で特に興味あるものは(S1−1)、(S1−9)及び(S2−1)であり、なかんずく(S1−1)及び(S1−9)である。
幾つかの薬害軽減剤は除草剤として既知のものであり、それ故、有害植物に対して除草活性を示すと同時に、作物植物との関連において保護作用をも示す。
【0264】
薬害軽減剤に対する除草剤(混合物)の重量比は、一般的には除草剤の施用量及び問題としている薬害軽減剤の効果にも依存するが、それは広い範囲で変異するものであり、例えば200:1から1:200の範囲、好ましくは100:1から1:100、更に好ましくは20:1から1:20の範囲である。薬害軽減剤は、更に、式(I)で表される化合物又はそれらの混合物と同様に、除草剤/農薬と一緒に製剤し、そして除草剤とのレディーミックス又はタンクミックスとして提供し、使用することができる。
【0265】
使用に当たっては、従来の市販形式で存する除草剤製剤又は除草剤薬害軽減剤製剤は、適当な場合は、例えば水和剤、乳剤、分散性製剤及び水分散性粒剤のような場合には、水を用いて通常の仕方で希釈する。粉剤、土壌処理用粒剤、全面処理用粒剤及び散布用溶液の場合は、通常は使用前において他の不活性物質により更に希釈することなく使用することができる。
【0266】
式(I)で表される化合物の必要な施用量は、特に、温度、湿度及び使用する除草剤のタイプのような外的条件によって変化する。それは広い範囲で変化することができ、例えば0.001及び10.0kg/haの間、又はそれ以上の有効成分を含むことができるが、
しかしながら、好ましくは0.002及び3kg/haの間、特に好ましくは0.005及び
1kg/haの間である。
【0267】
B.製剤の実施例
a) 粉剤は、式(I)で表される化合物の10重量部と不活性物質としてのタルクの9
0重量部とを混合し、そしてその混合物をハンマーミルで粉砕して得た。
b) 水中に容易に分散することができる水和剤は、式(I)で表される化合物の25重
量部、不活性物質として石英を含んでいるカオリンの64重量部、リグノスルホン酸カリウムの10重量部、及び湿潤剤及び分散剤としてオレオイルメチルタウリン酸ナトリウムの1重量部を混合し、そしてその混合物をピン付きデイスクミルで粉砕して得た。
c) 水中に容易に分散することができる分散性製剤は、式(I)で表される化合物の2
0重量部、アルキルフェノールポリグリコールエーテル(Triton(R) X 207)の6重量部、
イソトリデカノールポリグリコールエーテル(8 EO)の3重量部、及びパラフィン鉱油(沸点範囲は、例えば約255から277℃以上)の71重量部を混合し、そしてその混合物をボールミルで、5ミクロン以下の微粉末になるまで粉砕して得た。
d) 乳剤は、式(I)で表される化合物の15重量部、溶媒としてシクロヘキサノンの
75重量部、及び乳化剤としてオキシエチル化ノニルフェノールの10重量部より得た。
【0268】
e) 水分散性粒剤
化学式(I)で表わされる化合物 75重量部
リグノスルホン酸カルシウム 10重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 5重量部
ポリビニルアルコール 3重量部
カオリン 7重量部
上記を混合し、その混合物をピン付デイスクミルで粉砕し、そしてその粉末を流動式床において造粒液としての水上に吹きつけながら造粒して得た。
【0269】
f) 別法による水分散性粒剤
化学式(I)で表わされる化合物 25重量部
2,2’−ジナフチルメタン−6,6’−ジスルホン酸ナトリウム 5重量部
オレオイルメチルタウリン酸ナトリウム 2重量部
ポリビニルアルコール 1重量部
炭酸カルシウム 17重量部
水 50重量部
上記コロイドミルでホモジナイズ及び粗粉末化し、続いてその混合物をビーズミルで粉砕して得られた懸濁を、シングルサブスタンスノズルを用いた噴射塔中で微粉末とし、これを乾燥して得た。
【0270】
C.生物学的実施例
生物学的実施例1:雑草の出芽前処理効果
単子葉及び双子葉の雑草植物の種子又は根茎部分を、樹脂製ポットの砂状ローム土壌中に静置して表土をかけた。その後、水和剤又は乳剤に製剤した本発明に係る化合物を、それぞれ水溶性懸濁液又はエマルションとして、ヘクタール当たり水600から800リットル(換算)の施用量で、表土の表面に種々の投与量で処理した。処理後ポットを温室に移し、雑草にとって良好な生育条件下で静置した。実験の3〜4週間後に試験植物が出芽した後、植物又は出芽に対する損傷を目視で評価し、無処理対照と比較した。
【0271】
本発明に係る化合物番号1.1, 1.2, 1.3, 1.7, 1.11, 1.12, 1.15, 1.20, 1.21, 1.24, 1.28, 1.31, 1.66, 1.67, 1,68, 1.69, 2.1, 2.2, 2.4, 2.11, 2.25, 2.28, 3.1, 3.2, 3.7, 3.11, 3.15, 3.20, 3.24, 4.1, 4.2, 5.1, 5.2, 6.1, 6.2, 7.1, 7.2, 7.3, 7.4, 7.11, 7.24, 7.47, 7.48, 7.57, 7.70, 7.72, 7.74, 7.75, 7.78, 7.203, 7.228, 7,229, 7.238, 7.239, 7.240, 7.241, 7,242, 7.243, 7.244, 7.245, 8.1, 8.2, 8.3, 8.7, 8.11,
8.12, 8.15, 8.21, 8.24, 8.25, 8.26, 8.34, 8.35, 8.38, 8.44, 8.48, 8.49, 8.58, 8.61, 8.67, 8.68, 8.71, 8.75, 8.79, 8.90, 8.100, 8.113, 8.117, 8.148, 8.152, 8.160, 8.170, 8.183, 8.187, 8.195, 8.196, 8.197, 8.201, 8.205, 8.206, 8.209, 8.215, 8.219, 8.231, 8.233, 8.234, 8.237, 8.238, 8.239, 8.240, 8.241, 8.242, 8.243, 8.244, 8.245, 8.246, 8.247, 8.248, 8.249, 8.250, 8.251, 8.252, 8.253, 8.254, 8.255,
8.256, 8.257, 9.36, 9.37, 9.66, 10.1, 10.2, 10.37, 10.38, 10.47, 10.57, 10.66, 10.67 及び 10.68 は、ヘクタール当たりの有効成分1kg又はそれ以下の施用量において
、ハコベ(Stellaria media)、ネズミムギ(Lolium multiforum)、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)、シロガラシ(Sinapis alba)、カラスムギ(Avena sativa)及びエノコログサ(Setaria viridis)のような有害植物に対して、極めて優れた出芽前防除
活性を示した。
【0272】
生物学的実施例2:雑草の出芽後処理効果
単子葉及び双子葉の雑草植物の種子又は根茎部分を、樹脂製ポットの砂状ローム土壌中に静置して表土をかけ、そして良好な生育条件下で、温室で生育させた。蒔種3週間後、試験植物の第三葉期に処理をした。水和剤又は乳剤に製剤した本発明に係る化合物を、植物の茎葉表面に、種々の投与量でヘクタール当たり水600〜800リットル(換算)の施用量で散布した。最適生育条件下で温室中に3〜4週間静置した後、製剤の効果を目視で評価し、無処理対照と比較した。
【0273】
本発明に係る化合物番号:1.1, 1.2, 1.3, 1.7, 1.11, 1.12, 1.15, 1.20, 1.21, 1.24, 1.28, 1.31, 1.66, 1.67, 1,68, 1.69, 2.1, 2.2, 2.4, 2.11, 2.25, 2.28, 3.1, 3.2,
3.7, 3.11, 3.15, 3.20, 3.24, 4.1, 4.2, 5.1, 5.2, 6.1, 6.2, 7.1, 7.2, 7.3, 7.4, 7.11, 7.24, 7.47, 7.48, 7.57, 7.70, 7.72, 7.74, 7.75, 7.78, 7.203, 7.228, 7,229,
7.238, 7.239, 7.240, 7.241, 7,242, 7.243, 7.244, 7.245, 8.1, 8.2, 8.3, 8.7, 8.11, 8.12, 8.15, 8.21, 8.24, 8.25, 8.26, 8.34, 8.35, 8.38, 8.44, 8.48, 8.49, 8.58,
8.61, 8.67, 8.68, 8.71, 8.75, 8.79, 8.90, 8.100, 8.113, 8.117, 8.148, 8.152, 8.160, 8.170, 8.183, 8.187, 8.195, 8.196, 8.197, 8.201, 8.205, 8.206, 8.209, 8.215, 8.219, 8.231, 8.233, 8.234, 8.237, 8.238, 8.239, 8.240, 8.241, 8.242, 8.243, 8.244, 8.245, 8.246, 8.247, 8.248, 8.249, 8.250, 8.251, 8.252, 8.253, 8.254, 8.255, 8.256, 8.257, 9.36, 9.37, 9.66, 10.1, 10.2, 10.37, 10.38, 10.47, 10.57, 10.66, 10.67 及び 10.68は、ヘクタール当たりの有効成分2kg又はそれ以下の施用量において、シロガラシ(Sinapis alba)、イヌビエ(Echinochloa crus-galli)、ネズミムギ(Lolium multiforum)、ハコベ(Stellaria media)、コゴメガヤツリ(Cyperus iria)、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)、エノコログサ(Setaria viridis)カラスムギ(Avena sativa)、ヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)、イヌカミツレ(Matricaria
inodora)、ヒナゲシ(Papaver rhoeas)、オオイヌノフグリ(Veronica persica)、三色スミレ(Viola trocolor)、ホウキギ(Kochia spp)及びシロザ(Chenopodium album)のような有害植物に対して極めて優れた出芽後防除活性を示した。
【0274】
生物学的実施例3:プランテーション作物における雑草防除
更なる圃場試験においては、雑草が自然に繁茂する条件下で、プランテーション作物を生育させ、そして本発明に係る式(I)で表される化合物を、種々の投与量で散布した。処理後、様々な間隔を置いて活性を目視で評価した結果、本発明に係る化合物は、例えば
油ヤシ、ココヤシ、インドゴム、柑橘類、パイナップル、棉、コーヒー、カカオのようなプランテーション作物及びブドウ栽培に対しては、有効成分の高い投与量においても防除しないことが分かった。式(I)で表される化合物は、従来技術と比較しても、より高い選択性を示し、そしてそれ故に、プランテーション作物における望ましくない植生を防除するのに適するものである。付言するに、これらの雑草は、雑草の出芽前に処理した場合に特に良好に防除されることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(V):
【化1】

[式中、R4及びR5は水素であり、そしてR6はH、(C1−C6)アルキル又は(C1−C6)アルコキシであり;
7、R8、R9及びR10はそれぞれ独立に、H、(C1−C4)アルキル、(C1−C3)ハロアルキル、ハロゲン、(C1−C3)アルコキシ、(C1−C3)ハロアルコキシ又はCNであり;
AはCH2、O又は直接結合であり;そして、標識1位における立体化学配置は、60から100%(R)の立体化学純度を有する(R)であるが、ただし
(i) Aは、直接結合であり、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ水素であり、そしてR10は、水素、メトキシ、n−プロポキシ又はシアノであるか;又は、
(ii) AはCH2であり、そしてR6、R7、R8及びR10は、それぞれ水素であり、R9は、水素、メチル、メトキシ、イソプロポキシ又はt−ブチルであるか;又は、
AはCH2であり、そしてR6、R7及びR9は、それぞれ水素であり、そしてR8はメチルであり、そしてR10はメチルであるか;又は、
(iii) Aは酸素原子であり、そしてR6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれHである式(V)の化合物又はその塩は除く]
で表される化合物又はその塩。
【請求項2】
式(XIII)
【化2】

[式中、R6はH、(C1−C6)アルキル又は(C1−C6)アルコキシであり;そしてR7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に、H、(C1−C4)アルキル、(C1−C3)ハロアルキル、ハロゲン、(C1−C3)アルコキシ、(C1−C3)ハロアルコキシ又はCNであり;
11は、非置換又はハロゲン、(C1−C4)アルコキシ及び(C1−C4)アルキルチオの一群から選択された一つ又はそれ以上の基で置換した(C1−C6)アルカノイルであり;
AはCH2、O又は直接結合であり;そして、標識1位における立体化学配置は60から100%(R)の立体化学純度を有する(R)であるが、ただし、
(i) Aは直接結合であり、R6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ水素であり、そしてR11は、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル又はブロモアセチルであるか;又は、
Aは直接結合であり、R6はメチルであり、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ水素であり、そしてR11はアセチルであるか;又は、
Aは直接結合であり、R6、R7、R9及びR10は、それぞれ水素であり、R8はフルオロであり、そしてR11はアセチルであるか;又は、
(ii) AはCH2であり、そしてR6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ水素であり、R11はアセチル、トリフルオロアセチル又はクロロアセチルであるか;又は、
AはCH2であり、そしてR6、R7及びR9は、それぞれ水素であり、R8はメチルであり、R10はメチルであり、そしてR11はアセチルであるか;又は、
AはCH2であり、そしてR6、R7、R9及びR10は、それぞれ水素であり、R8はメトキシであり、そしてR11はアセチルであるか;又は、
AはCH2であり、そしてR6はメチルであり、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ水素であり、そしてR11はアセチルであるか;又は、
(iii) Aは酸素原子であり、R6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれHであり、そしてR11はアセチルである
式(XIII)の化合物又はその塩は除く]
で表される化合物又はその塩。

【公開番号】特開2011−37870(P2011−37870A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220690(P2010−220690)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【分割の表示】特願2006−501582(P2006−501582)の分割
【原出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】