説明

キレート化剤を含む、オートクレーブで処理できる医薬組成物

【課題】眼科用薬剤を含む、オートクレーブで処理できる眼科用組成物、さらに、そうした組成物を安定化させる方法及び該安定剤の使用法の提供。
【解決手段】安定剤が、EDTA、デスフェラル及びデクエストからなる群から、好ましくはEDTA及びデクエストから、さらに好ましくはEDTAから、選択され、保存剤〔これは、好ましくは、塩化セパゾニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム(セトリミド)、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンズオキソニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化ドミフェン(ブラドソール(登録商標))、及び塩化ベンザルコニウムからなる群から、そして、さらに好ましくは、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンズオキソニウムから、選択される〕をさらに含む、眼科用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科用薬剤を含む、オートクレーブで処理できる眼科用組成物、特に、眼科用薬剤を記述する。本発明は、さらに、そうした組成物を安定化させる方法及び該安定剤の使用を記述する。
【0002】
薬剤の安全性は、薬剤規制事件において永遠の問題である。最近のヨーロッパ規制では、最終的な眼科用組成物は、使用前、そして、その結果として、販売前に、オートクレーブで処理しなければならないことが要求されている。オートクレーブ処理は、薬剤の安全性を改善するが、これは、病原菌がそれにより殺されるためである。
【0003】
JP 62/277323では、例えば、フマル酸ケトチフェン(ketotifen fumarate)を含む点眼剤(この点眼剤は、塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)のような保存剤をさらに含んでいてもよい)を製造する方法が記載されている。そうした組成物を安定化させるために、JP 62/277323では、糖のような多価アルコールや、グリセロールやプロピレングリコールのような他のアルコールを加えることが提案されている。記載されたその組成物は、オートクレーブ処理されるならば、安定ではない。
【0004】
従って、解決すべき問題は、特に、ケトチフェン(ketotifen)及びデキサメタゾン(dexamethasone)から選択される、眼科用薬剤(これは、標準的なオートクレーブ処理条件に付されたとき、分解を実質的に防ぐ)を含む、水性眼科用組成物を提供することである。
【0005】
この問題は、予期せずして、EDTA、デクエスト(Dequest)及びデスフェラル(Desferal)からなる群から選択される安定剤を付加することにより、解決された。好ましいものは、EDTA及びデクエストであり、そして、さらに好ましいものは、EDTAである。
【0006】
本発明の別の予期しない発見は、相乗効果であり、即ち、保存剤が該安定化組成物に加えられたときの、改善された保存効力の効果である。これは、貯蔵寿命を保証するのに必要な保存剤の量や、多量の無効が生じることを、大変有意に減少させることができることを意味しており、これにより、従って、扱われる眼科用組成物の眼内許容性が大きく改善できる。
【0007】
従って、本発明は、メインクレームに従った眼科用組成物に関する。それは、さらに、以下に開示したすべての従属及び独立クレームの目的に関し、特に、オートクレーブ処理の間、特定の安定剤を加えることにより、眼科用薬剤を安定化する方法に関する。
【0008】
本発明によれば、眼科用組成物は、特に溶液、懸濁液又はゲルの形態で、好ましくは、目に局所的に投与される。そうした組成物は、眼科的に有効な成分、及び、特に、ケトチフェン又はデキサメタゾンを、例えば、約0.000001〜約10.0重量%、好ましくは、約0.00001〜約1.0重量%の範囲で、さらに好ましくは、約0.0001〜約0.1重量%の範囲で、もっと好ましくは、0.001〜0.1重量%の範囲で、含む。活性成分の用量は、例えば、投与形態、必要性、年齢及び/又は個々の条件のような、多くの要因によって依存してもよい。
【0009】
当業者に知られた、他の通常の薬学的に許容し得る賦形剤及び添加剤が、対応する眼科用組成物において使用される。そうした組成物は、それ自身知られた方法で、例えば、活性成分をその対応する賦形剤及び/又は添加剤と混合し、対応する眼科用組成物とすることにより、調製される。
【0010】
本発明に従って使用されるキャリヤーは、典型的には、局所用又は全身投与に適しており、そして、例えば、水、水及び水と混和できる溶媒〔例えば、C1〜C7−アルカノール類、植物油若しくはミネラルオイル類(これは、0.5〜5重量%のヒドロキシエチルセルロース、オレイン酸エチル、カルボキシメチル−セルロース、ポリビニル−ピロリドンを含む)〕との混合物、並びに眼科使用向けの他の非毒性で水に溶解性のあるポリマー〔例えば、セルロース誘導体類{例えば、メチルセルロース;カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キトサン(chitosan)及びスクレログルカン(scleroglucan)}、アクリル酸塩類若しくはメタクリル酸塩類(methacrylates)(例えば、ポリアクリル酸の塩若しくはアクリル酸エチル)、ポリアクリルアミド類、天然物{例えば、ゼラチン、アルギン酸塩類、ペクチン類、トラガカントゴム(tragacanth)、カラヤゴム(karaya gum)、キサンタンゴム(xanthan gum)、カラゲニン(carrageenin)、寒天及びアラビアゴム(acacia)}、デンプン誘導体類(例えば、酢酸デンプン及びヒドロキシプロピルデンプン)、及び、また、他の合成化合物〈例えば、ポロキサマー類(poloxamers){例えば、ポロキサマーF127、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、好ましくは、架橋された(cross-linked)ポリアクリル酸(例えば、中性カルボポール(neutral Carbopol))、又はこれらポリマーの混合物}〉〕である。好ましいキャリヤーは、水、セルロース誘導体類(例えば、メチルセルロース;カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)、中性カルボポール、又は、それらの混合物である。キャリヤーの濃度は、例えば、活性成分の濃度の0.1〜100000倍である。
【0011】
可溶化剤は、本発明の眼科用組成物にも用いることができ、そして、例えば、チロキサポール(tyloxapol)、脂肪酸グリセロールポリエチレングリコールエステル類、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル類、ポリエチレングリコール類、グリセロールエーテル類、ポリソルベート(polysorbate)20、ポリソルベート80、又はこれらの化合物の混合物である。特に好ましい可溶化剤の特別な例は、ヒマシ油(castor oil)及びエチレンオキシドの反応生成物であり、例えば、商品クレモホールEL(登録商標)(Cremophor EL(登録商標))又はクレモホールRH40(登録商標)(Cremophor RH 40(登録商標))である。ヒマシ油及びエチレンオキシドの反応生成物は、特に、目ではかなりよく許容される良好な可溶化剤であることが分かった。別の好ましい可溶化剤は、チロキサポールである。用いられる濃度は、特に、活性成分の濃度に依存する。加えられる量は、典型的には、活性成分を溶解するのに十分なものである。例えば、可溶化剤の濃度は、活性成分の濃度の0.1〜5000倍である。
【0012】
緩衝液、張度増強剤(tonicity enhancing agents)及び四級アンモニウム塩と異なる保存剤を、本発明の眼科用組成物にも使用することができる。
【0013】
緩衝液物質の例は、酢酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩及びTRIS(トロメタミン(tromethamine))緩衝液である。トロメタミン及びホウ酸塩緩衝液が、好ましい緩衝液である。加えられる緩衝液物質の量は、例えば、生理学的に許容できるpHの範囲を保証し、かつ維持するのに必要なものである。pHの範囲は、典型的には、4〜9、好ましくは、4.5〜8.5、そして、さらに好ましくは、5.0〜8.2、の範囲である。
【0014】
張度増強剤は、また、上記の組成物において存在してもよく、そして、例えば、イオン性及び/又は非イオン性タイプがある。イオン性張度増強剤(ionic tonicity enhancer)の例としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物(例えば、CaCl2、KBr、KCl、LiCl、Nal、NaBr若しくはNaCl、Na2SO4又はホウ酸)がある。非イオン性張度増強剤は、例えば、尿素、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、又はデキストロース(dextrose)である。典型的には、上記の眼科用組成物に、約50〜1000mOsmol、好ましくは、100〜400mOsmol、さらに好ましくは、200〜400mOsmol、そして、さらにもっと好ましくは、250〜350mOsmol、のオスモル濃度(Osmolity)を与えるために、十分な量の張度増強剤を加えてもよい。
【0015】
保存剤は、上記の組成物において存在してもよい。保存剤は、典型的には、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンズオキソニウムなどのような、第四級アンモニウム化合物から選択できる。塩化ベンザルコニウムは、塩化N−ベンジル−N−(C8−C18アルキル)−N,N−ジメチルアンモニウムとしてよりよく記述される。第四級アンモニウム塩と異なる保存剤の例は、チオサリチル酸のアルキル−水銀塩類〔例えば、チオマーサル(thiomersal)、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀又はホウ酸フェニル水銀〕、パラベン類(例えば、メチルパラベン又はプロピルパラベン)、アルコール類(例えば、クロロブタノール、ベンジルアルコール又はフェニルエタノール)、グアニジン誘導体類〔例えば、クロロヘキシジン(chlorohexidine)又はポリヘキサメチレンビグアニド〕、過臭素酸ナトリウム、ゲルマール(登録商標)II(Germal(登録商標)II)又はソルビン酸である。好ましい保存剤は、第四級アンモニウム化合物〔特に、塩化ベンザルコニウム〕、アルキル−水銀塩類、及びパラベン類である。細菌や真菌によって引き起こされる、使用時の二次的な汚染に対する防御を確実にするために、適当な場合には、十分な量の保存剤が、眼科用組成物に加えられる。
【0016】
本発明の別の目的は、明細書及び請求の範囲に従った、オートクレーブで処理できる眼科用組成物であるが、保存剤がない条件についてのものである。そうした組成物は、特に、いわゆる単回用量形態(unidose form)に対して有効である。
【0017】
上記の眼科用組成物は、非毒性賦形剤〔例えば、乳化剤、湿潤剤、又は充填剤(例えば、200、300、400及び600と称される、ポリエチレングリコール、又は、1000、1500、4000、6000及び10000と称される、カルボワックス(Carbowax))を、さらに含んでもよい。必要に応じて使用できる他の賦形剤を、以下に列挙するが、これらは、可能性のある賦形剤の範囲をいかなる方法でも制限することを意図するものでない。そうした賦形剤は、特に、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、アセチルシステイン、システイン、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル−ヒドロキシアニソール、ブチル−ヒドロキシトルエン又は酢酸α−トコフェロール)である。加えられる賦形剤の量及びタイプは、特定の条件に従うものであり、そして、一般的には、約0.0001〜約90重量%の範囲である。
【0018】
さらに、特に、組み合わせられた安定剤/可溶化剤として機能し得る賦形剤は、上記で関係した眼科用組成物に含まれてもよい。そうした組み合わせられた付加的な安定剤/可溶化剤は、例えば、シクロデキストリンである。好ましいシクロデキストリンは、特に、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリン及びジメチル−γ−シクロデキストリンの群から選択される。その量は、一般的に、約0.01〜約90重量%の範囲であり、さらに好ましくは、0.1〜20重量%の範囲である。
【0019】
本発明を通じて、アルキルは、18個を含んで18個までの、さらに好ましくは、12個までの、及び、さらにもっと好ましくは、7個までの、炭素原子を有する、アルキル基を意味し、そして、直鎖又は分枝のアルキル基のいずれかである。
【0020】
アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソ−プロピル、t−ブチル、ネオ−ペンチル、オクチル又はドデシルである。
【0021】
ここで用いられる重量%の用語は、取り扱われる組成物又は目的物の全体重量の重量%を指す。
【0022】
上記のものは、特に、眼科用薬剤に有効である。そうした眼科用薬剤の例は、アンタゾリン(antazolin)、ベタキソロール(betaxolol)、ブピバカイン(bupivacaine)、カルバコール(carbachol)、カルテオロール(carteolol)、クロラムフェニコール(chloramphenicol)、クロルテトラサイクリン(chlortetracycline)、クロモリンナトリウム(cromolyn sodium)、デキサメタゾン(dexamethasone)、ジクロルフェナミド(dichlorphenamide)、ジピベフリン(dipivefrin)、エフェドリン(ephedrine)、エリスロマイシン(erythromycin)、フルオロメタロン(fluoromethalone)、インドメタシン(indomethacin)、ケトチフェン(ketotifen)、レボブノロール(levobunolol)、レボカバスチン(levocabastine)、リドカイン(lidocaine)、リグノカイン(lignocaine)、ロメフロキサシン(lomefloxacin)、メドリソン(medrysone)、メタゾラミド(methazolamide)、ナファゾリン(naphazoline)、ナタマイシン(natamycin)、ネオマイシン(neomycin)、ノルアドレナリン(noradrenaline)、オフロキサシン(ofloxacin)、オキシブプロカイン(oxybuprocaine)、フィゾスチグミン(physostigmine)、ピロカルピン(pilocarpine)、ポリミキシンB(polymyxin B)、プレドニゾロン(prednisolone)、スコポラミン(scopolamine)、ソルビニル(sorbinil)、サルフアセタミド(sulfacetamide)、タモキシフェン(tamoxifen)、テトラカイン(tetracaine)、テトラサイクリン(tetracycline)、チモロール(timolol)、トリフルリジン(trifluridine)、トロピカミド(tropicamide)、ビダラビン(vidarabine)、及び、それら眼科的に許容し得る塩、並びにそれらの混合物である。
【0023】
さらに好ましい眼科用薬剤は、アンタゾリン、ベタキソロール、クロラムフェニコール、デキサメタゾン、フルオロメタロン、ケトチフェン、ロメフロキサシン、オフロキサシン、ピロカルピン、チモロール、及びそれら眼科的に許容し得る塩、並びにそれらの混合物から選択される。
【0024】
特に好ましいものは、ケトチフェン及びデキサメタゾンである。
【0025】
用語「ケトチフェン」は、その塩基性化合物自身及びあらゆる薬学的に許容し得る、それらの塩に関する。ケトチフェンの、好ましい薬学的に許容し得る塩は、例えば、塩酸塩、臭化水素塩、マレイン酸水素塩、硫酸水素塩、及びフマル酸水素塩である。さらに好ましい例は、塩酸塩及びフマル酸水素塩である。最も好ましいものは、フマル酸水素塩である。
【0026】
同様に、用語「デキサメタゾン」は、また、例えば、デキサメタゾン−21−アセテート、デキサメタゾン−21−リン酸2ナトリウム塩、デキサメタゾン−21−2水素リン酸2ナトリウム塩などである。これらのすべては、当業者に知られており、そして、特に、メルクインデックス、第12版、498頁、No.2986に開示されている。
【0027】
用語「オートクレーブ処理(autoclaving)」は、次のパラメータ:
試験組成物を、15分又はそれ以上の間、120℃又はそれ以上まで加熱すること(ここで、該組成物は、水性である):によって特徴づけられる、標準化された温度加熱方法に関する。該水性組成物は、密閉した容器の中に置かれ、その容器は、典型的には、プラスティックか、あるいはガラスのボトルである。好ましいボトルの材料は、ポリプロピレンン(PP)である。オートクレーブ処理中の圧力は、典型的には、1バール(bar)又はそれ以上である。
【0028】
オートクレーブ処理(autoclaving(autoclavation))は、好ましくは、120〜150°C、さらに好ましくは、120〜140°Cの範囲でよい;所要時間は、好ましくは、15〜120分、さらに好ましくは、15〜60分の範囲でよい;そして、加えられる圧力は、好ましくは、1〜20バール、さらに好ましくは、1〜10バール、そして、さらにもっと好ましくは、1〜5バールでよい。
【0029】
本発明において用いられる用語「デクエスト」は、ホスホン酸又はホスホン酸基を有するキレート化剤に関する。そうしたキレート化剤の好ましい群は、有機ホスホン酸塩類、特に、アミノトリ(低級アルキレンホスホン酸類)である。多様な、そうしたキレート化剤は、モンサント社(MonsantoCompany、St. Louis、Missouri)から、市販で入手でき、そして、商標「デクエスト(登録商標)」で売り出されている。そのような化合物の例は、制限なしに、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸);ヘキサメチレン−ジアミンテトラ(メチレンホスホン酸);エチレンジアミンテトラ(メチレン−ホスホン酸);及びアミノトリメチレンホスホン酸塩類である。特に好ましいキレート化剤は、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)であり、商標「デクエスト(登録商標)2060」で売り出されている。上記に述べた、そうしたデクエストの混合物も、含んでいてもよい。
【0030】
本発明の用語の中で、EDTAは、エチレンジアミン四酢酸自身及びその多様な塩、即ち、例えば、1ナトリウム塩、2ナトリウム塩、及び/又はカリウム塩に関する。EDTAは、また、エデト酸塩(edetate)として記載されてもよい。EDTAの混合物も含んでいてもよい。
【0031】
デスフェラルは、この用語については、デフェロキサミン(deferoxamine)自身(メルクインデックス第12版、483頁、No.2914参照)及びその塩(例えば、塩酸塩、メタンスルホン酸塩など)に関する。例えば、N−アセチルデフェロキサミン(N-acetyldeferoxamine)のような、これらの誘導体もまた、含んでいてもよい。そうしたデフェロキサミンの混合物もまた、含んでいてもよい。
【0032】
本発明を説明するが、いかなる方法でもそれを制限するものではない、典型的な例が、以下に記載される。
【実施例】
【0033】
実施例1、 目薬製剤
【0034】
【表1】

【0035】
実施例2、 目薬製剤
【0036】
【表2】

【0037】
実施例3、 ケトチフェン0.025%目薬 10ml白色PP−ボトル中のサンプル
【0038】
【表3】

【0039】
実施例4、 スパーサデックス(Spersadex)0.1%目薬
【0040】
【表4】

【0041】
実施例5:
ケトチフェン0.025%目薬
5mlの白色PP−ボトル中のサンプル
【0042】
【表5】

【0043】
ストレステスト
【0044】
【表6】

【0045】
[0−値]前及びストレステスト[(1):120°C、15バール、20分、及び(2):30°C、3ヶ月]後の値は、分析方法の標準偏差以内であった。これは、上記のケトチフェン点眼剤の安定性を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用薬剤及び安定剤(この安定剤は、キレート化剤である)を含む、オートクレーブで処理できる水性眼科用組成物。
【請求項2】
安定剤が、EDTA、デスフェラル及びデクエストからなる群から、好ましくはEDTA及びデクエストから、さらに好ましくはEDTAから、選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
保存剤〔これは、好ましくは、塩化セパゾニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム(セトリミド)、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンズオキソニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化ドミフェン(ブラドソール(登録商標))、及び塩化ベンザルコニウムからなる群から、そして、さらに好ましくは、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンズオキソニウムから、選択される〕をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
緩衝液、キャリヤー、可溶化剤、保存剤、張度増強剤及び充填剤からなる群から選択される、1以上の賦形剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
薬剤が、アンタゾリン、ベタキソロール、クロラムフェニコール、デキサメタゾン、フルオロメタロン、ケトチフェン、ロメフロキサシン、オフロキサシン、ピロカルピン、チモロール及びそれらの眼科的に許容し得る塩、並びにそれらの混合物からなる群から、好ましくは、ケトチフェン及びデキサメタゾンから、さらに好ましくは、ケトチフェンから、選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリン及びジメチル−γ−シクロデキストリンの群から選択されるシクロデキストリンをさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
キャリヤーが、水、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース;カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)、中性カルボポール、及びこれらの混合物から選択される、請求項4記載の組成物。
【請求項8】
用語「オートクレーブで処理できる」が、密閉した容器において、120℃又はそれ以上で、15分又はそれ以上の間、かつ、1バール又はそれ以上で、水性組成物を熱処理することに関する、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
容器が、ガラス若しくはPP−ボトルであるか、そして、好ましくは、PP−ボトルである、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
(a)眼科用薬剤をさらに含む、眼科的に適合性のあるキャリヤーを準備する工程、
(b)EDTA、デスフェラル及びデクエストからなる群から選択される安定剤を加える工程、
(c)これらの成分を、適した容器に移す工程、
(d)該容器をきつく締める工程、及び、
(e)120℃又はそれ以上で、15分又はそれ以上の間、かつ、1バール又はそれ以上で、上記組成物を含む容器をオートクレーブで処理する工程:
を含むことを特徴とする、眼科用薬剤を含む眼科用組成物を安定化させる方法。
【請求項11】
薬剤が、ケトチフェン及びデキサメタゾンから、そして、さらに好ましくは、ケトチフェンから、選択される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
薬剤が、ケトチフェンから選択され、かつ、安定剤が、EDTAから選択される、請求項10記載の方法。
【請求項13】
キャリヤーが、水及び水との混合物からなる群から、好ましくは、水から、選択される、請求項10記載の方法。
【請求項14】
オートクレーブ処理に対する薬剤安定性を与える、請求項10記載の方法。
【請求項15】
請求項5記載の眼科用薬剤を分解から防ぐための、請求項10の方法における、請求項2記載の安定剤の使用。

【公開番号】特開2011−168601(P2011−168601A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−85446(P2011−85446)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【分割の表示】特願2000−539830(P2000−539830)の分割
【原出願日】平成11年1月13日(1999.1.13)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】