説明

キーエレメント工法による沈埋函の最終接合方法

【課題】キーエレメント函の水圧接合前の最終沈設高さの調整を、短時間で容易且つ高精度に行い得るものとする。
【解決手段】上側が下側により広いテーパ状の最終接合間隔内に、両端面が下向きに傾斜されて前記テーパ状に対応したテーパ状配置の接合面を有するキーエレメント函10を沈設して水圧接合させるに際し、キーエレメント函10の底面側の4隅部に、底面下の地盤に形成した仮受部15に対して反力をとってキーエレメント函10の4隅部を個別に上下移動させる高さ微調整用のジャッキ16を備え、計測対象の相手方に当接して動作する動作子と、その動作子の動作量をリアルタイムで計測する計測器とを有する貫入距離計35を使用し、既設沈埋函11とキーエレメント函10との互いに対向配置の両接合面12,13間の相対高さを貫入距離計35で計測しつつジャッキ16を操作してキーエレメント函の前記4隅部の高さを微調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈埋函トンネルの構築に際し、最終接合間隔を隔てて先端の接合面を互いに対向配置に設置した既設沈埋函の間に、両端の接合面間の下側が狭いテーパ状に形成されたキーエレメント函を挿入して最終接合を行うキーエレメント工法による沈埋管の最終接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、沈埋函トンネルの構築における最終部分の沈埋函接合方法として、図7に示すように、最後に沈設される最終沈埋函として、両端の接合面1a,1bを斜め下向きに傾斜させたキーエレメント函1を使用し、先に沈設してある既設沈埋函2,2の接合面2a,2bを、前記キーエレメント函1の接合面の傾斜と同角度に傾斜させておき、両既設沈埋函接合面2a,2b間の最終接合間隔内に、キーエレメント函1を沈降させ、沈設高さを
調節した後、接合面間を、図8に示すようにモルタル3の注入によって膨張する止水ゴム4を介して接合させ、然る後、接合部のバルクヘッド5,5間を大気に開放することによって、水圧によりキーエレメント函1を最終接合間隔内に引き入れさせて一次止水するようにした工法が開発されている(例えば特許文献1)。
【0003】
この工法では、図7に示すように新設沈埋函1の高さ調節のために、水底に仮受け用の基礎6を構築し、キーエレメント函1に高さ微調整用ジャッキ7を設置し、該ジャッキ7の操作によってキーエレメント函1の高さを微調節している。
【0004】
また、この高さ微調整作業には、陸上部の光波測距儀とキーエレメント函に備えたプリズムとを使用する方法、GPSを使用し、陸上部の固定局とキーエレメント函のタワー上に移動局との位置関係をGPS計測により求める方法、水中超音波距離計を使用し、既設沈埋函側からキーエレメント函の相対位置を計測する方法、更には、潜水士により、スチールテープ・尺金・スタッフを使用して測定する方法等がある。
【特許文献1】特開平11−152763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、キーエレメント工法による沈埋管の最終接合方法は、両既設沈埋函間にキーエレメント函を挿入し、両既設沈埋函のキーエレメント函との各接合面の周縁部を止水ゴムで止水した後、水圧接合することでトンネルを貫通させることができる工法であるため、水圧接合するために必要な止水は互いに対向する接合面間の相対高さ関係が非常に重要になる。この相対高さの変化は、接合面間の距離(幅)に大きく影響を受け、これが不適切であると、止水ゴムの止水性能の減少及び止水ゴムの接合面からのはみ出し等の危険性がある。
【0006】
上述の如き従来のキーエレメント工法による沈埋管の最終接合方法におけるキーエレメント函の高さ調節作業の内、陸上に設置した光波測距儀を使用する方法やGPSを使用する方法では、陸上の光波測距儀とプリズム取付位置とキーエレメント函の出来形座標値と両既設函の沈設後座標値及びGPSの移動局アンテナ取り付け位置とキーエレメント函の出来形座標値と両既設沈埋函の沈設後座標値の相対的な計測値は、どちらも±30mm〜±〜50mmの範囲で高さの計測誤差が生じている。
【0007】
また、水中超音波晦離計及び潜水士による測定では、±15mm〜±25mmの範囲で高さの計測誤差が生じている。これは水中超音波距離計による計測の場合、水中超音波距離計及び超音波受波板の取付誤差・海水温度・海水比重・深度によるところから誤差が生じ、潜水士による測定では、測定場所の深度・潮流・透明度・作業条件・潜水士の測定技量により計測誤差が生じている。
【0008】
これらの従来の計測方法では、キーエレメント函の沈設最終段階における、高さ調整及び高さ修正・高さ管理が容易ではなく計測誤差が大きく、また高さ調整・修正に時間が掛かり手戻りも多く、高さ調節に多くの手数と時間を要するという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題に鑑み、キーエレメント工法による沈埋管の最終接合方法において、キーエレメント函の水圧接合前の最終沈設高さの調整が、短時間で容易且つ高精度に行うことができるようにした最終接合方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成する請求項1に記載の発明の特徴は、接合面を対向させて沈設された既設沈埋函の各接合面をそれぞれ上向きの傾斜面となすことにより、上側が下側により広いテーパ状の最終接合間隔を構成させ、該最終接合間隔内に、両端面が下向きに傾斜されて前記テーパ状に対応したテーパ状配置の接合面を有するキーエレメント函を沈設し、各接合部内を減圧することによってキーエレメント函を最終接合間隔内に水圧によって引き込ませることによって水圧接合させるキーエレメント工法による沈埋管の最終接合方法において、
前記キーエレメント函の底面側の4隅部に、該底面下の地盤に形成した仮受部に対して反力をとって該キーエレメント函の前記4隅部を個別に上下移動させる高さ微調整用のジャッキを備え、
計測対象の相手方に当接して動作する動作子と、該動作子の動作量をリアルタイムで計測する計測器とを有する貫入距離計を使用し、
前記既設沈埋函とキーエレメント函との互いに対向配置の両接合面間において、その一方側の接合面の中央より両側部側に片寄せた2箇所に前記貫入距離計を固定し、他方側の接合面の前記貫入距離計に対応する位置に前記動作子が当接する貫入距離計受け具を固定し、
前記キーエレメント函を、最終接合間隔内に挿入して水平位置の調整を行った後、前記キーエレメント函の4隅部を、高さ微調整用ジャッキを介して仮受け部に支持させ、
前記貫入距離計による計測値を参照しつつ前記ジャッキの操作を行なわせて前記キーエレメント函の前記4隅部の高さを微調整した後、前記水圧接合のための作業を行うことにある。
【0011】
請求項2に記載の発明の特徴は請求項1の構成に加え、前記両既設沈埋函の互いに対向配置にある両接合面の相対位置及びその各接合面の形状、その接合面形状における前記貫入距離計受け具位置を3次元座標に表すことができるように予め計測し、且つキーエレメント函の両端の接合面位置、接合面形状及び該接合面形状における貫入距離計位置を3次元座標に表示できるように計測しておき、
これらの計測データをもとにして、既設沈埋函とキーエレメント函との水密接合面間の間隔が、当該施工現場における接合面形状やその位置関係等の条件において最適となるように設定し、その設定された間隔となるためのキーエレメント函の平面視4隅に対応する貫入距離計の計測値を設定値として予め割り出しておき、
前記各貫入距離計の計測値が、前記その予め割り出された設定値となるように高さ微調整用ジャッキ動作させて、前記キーエレメント函の前記4隅部の高さを微調整することにある。
【0012】
請求項3に記載の発明の特徴は請求項1又は2のいずれかの構成に加え、前記貫入距離計の計測対象の相手方に当接して動作する動作子は、ケーシングに対して出入動作する出入ロッドであり、該動作子の動作量をリアルタイムで計測する計測器は電気出力変位計であることにある。
【0013】
請求項4に記載の発明の特徴は請求項1,2又は3のいずれかの構成に加え、前記貫入距離計は、キーエレメント函の接合面に突設した鉛直ストッパーの接合面中心側側面に設置され、前記貫入距離計受け具は、既設沈埋函の接合面に突設した鉛直ストッパー受の接合面中心側側面に設置されていることにある。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明においては、上側が下側により広いテーパ状の最終接合間隔内に、両端面が下向きに傾斜されて前記テーパ状に対応したテーパ状配置の接合面を有するキーエレメント函を沈設して水圧接合させるに際し、前記キーエレメント函の底面側の4隅部に、該底面下の地盤に形成した仮受部に対して反力をとって該キーエレメント函の前記4隅部を個別に上下移動させる高さ微調整用のジャッキを備え、計測対象の相手方に当接して動作する動作子と、該動作子の動作量をリアルタイムで計測する計測器とを有する貫入距離計を使用し、前記既設沈埋函とキーエレメント函との互いに対向配置の両接合面間において、その一方側の接合面の中央より両側部側に片寄せた2箇所に前記貫入距離計を固定し、他方側の接合面の前記貫入距離計に対応する位置に前記動作子が当接する貫入距離計受け具を固定し、貫入距離計による計測値を参照しつつジャッキの操作を行なわせてキーエレメント函の前記4隅部の高さを微調整するようにしたことにより、キーエレメント函の水圧接合作業前における最終高さ調整を、数mm内の誤差範囲で行うことができ、その後に施行される水圧接合が、高精度で安全になしえられることとなる。
【0015】
また、前記両既設沈埋函の互いに対向配置にある両接合面の相対位置及びその各接合面の形状、その接合面形状における前記貫入距離計受け具位置を3次元座標に表すことができるように予め計測し、且つキーエレメント函の両端の接合面位置、接合面形状及び該接合面形状における貫入距離計位置を3次元座標に表示できるように計測しておき、これらの計測データをもとにして、既設沈埋函とキーエレメント函との水密接合面間の間隔が、当該施工現場における接合面形状やその位置関係等の条件において最適となるように設定し、その設定された間隔となるためのキーエレメント函の平面視4隅に対応する貫入距離計の計測値を設定値として予め割り出しておき、前記各貫入距離計の計測値が、前記その予め割り出された設定値となるように高さ微調整用ジャッキ動作させて、前記キーエレメント函の前記4隅部の高さを微調整することにより、高さ微調整のためのジャッキ操作が容易となり、より少ない作業で正確に行うことができる。
【0016】
更に、前記貫入距離計の計測対象の相手方に当接して動作する動作子は、ケーシングに対して出入動作する出入ロッドであり、該動作子の動作量をリアルタイムで計測する計測器は電気出力変位計である装置を使用することにより、機械的に高精度の計測が可能となる。
【0017】
更に、前記貫入距離計は、キーエレメント函の接合面に突設した鉛直ストッパーの接合面中心側側面に設置し、前記貫入距離計受け具は、既設沈埋函の接合面に突設した鉛直ストッパー受の接合面中心側側面に設置することにより、これらの部材が鉛直ストッパー及び鉛直ストッパー受けによって他の部材の衝突から防御することとなり、沈設作業時に他の部材に衝突して取り付け位置が狂うという事故を少なくすることができ、また、接合作業が終了した後は、バルクヘッド除去作業の際にキーエレメント貫入距離計を回収でき、経済性的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明を実施するための最良の形態を、図面に示した実施例に基づいて説明する。図1は、本発明に使用する既設沈埋函及びキーエレメント函の概略構成を示しており、図中符号10はキーエレメント函、11はキーエレメント函10を連結することによって連通される最終端部の既設沈埋函である。両既設沈埋函11,11は、互いに軸方向に対向して設置され、それぞれの対向面がキーエレメント函10に対する接合面12,12となっている。この接合面12,12の間が最終接合間隔となっており、ここにキーエレメント函10が沈設されるようになっている。
【0019】
最終接合間隔は、両既設沈埋函11,11の上面間が広く、下面間が狭いテーパ状になっており、キーエレメント函10も、このテーパ形状に合わせて接合面間の上縁部長さが長く、下縁部間長さが短いテーパ状に形成されている。即ち、両既設沈埋函11,11の各接合面12,12は、斜め上向きに、また、キーエレメント函10の両端の接合面13,13は斜め下向きに形成されている。
【0020】
両既設沈埋函11,11は、それぞれ水底に設置され、その底面全域に亘って裏込め材14が充填されて水底に沈設されている。キーエレメント函10が沈設される最終接合間隔部分の水底には、キーエレメント函10の底面の4隅部に対応する位置に仮受部である基礎15が形成され、この基礎15上に、キーエレメント函10の底面の4隅部に設置した4個の高さ微調整用のジャッキ16を介してキーエレメント函10が仮置きされるようになっている。
【0021】
ジャッキ16は、油圧によって出入されるロッド17をキーエレメント函10の底面に突出させて取り付け、ロッド17の先端を基礎15上に支持させる。
【0022】
両既設沈埋函11の接合面12には、その最外周部分に水密接合面18が環状に連続して形成され、その内側がバルクヘッド19によって閉鎖されている。このバルクヘッド19は、水密接合面18より軸方向に後退した位置に形成されており、図2に示すようにその複数個所に縦向きの補強リブ19a〜19dが一体に形成されている。この補強リブの内、最も函体側面側に位置した補強リブ19a及び19dには、その中間高さ位置よりやや下側に鉛直ストッパー受け21,21が一体に突設されている。この鉛直ストッパー受け21,21は、最上部に水平配置の当接面21aとなっている。
【0023】
キーエレメント函10の接合面13,13も前述した既設沈埋函と同様に、最外周部分に水密接合面25が環状に連続して形成され、その内側がバルクヘッド26によって閉鎖されている。このバルクヘッド26は、水密接合面25より軸方向に後退した位置に形成されており、図3にしめすようにその複数個所に縦向きの補強リブ26a〜26dが一体に形成されている。この補強リブ26a〜26dの位置は、前述した既設沈埋函11の補強リブ19a〜19dに対応する位置に形成され、その最も函体側面側に位置した補強リブ26a及び26dには、その中間高さ位置よりやや上側に鉛直ストッパー27,27が一体に突設されている。この鉛直ストッパー受27,27は、その最下部が水平配置の当接面27aとなっている。
【0024】
既設沈埋函11の鉛直ストッパー受け21と、キーエレメント函10の鉛直ストッパー27とは、キーエレメント函10が、既設沈埋函11に対する所定の相対高さより低い位置まで沈下されるのを防止するために設置されているものであり、その予め設定された相対高さ位置に達した再に両者の当接面21aと27aとが当接し、キーエレメント函10がそれ以上降下されないようにしている。尚、その高さは、後述するキーエレメント函接合時の高さよりやや低い高さに設定されている。
【0025】
キーエレメント函10は既設沈埋函11,11間の最終接合間隔内に沈設されて水圧接合されるものであり、沈設に際しては、水面上より複数のクレーン船その他の支援船(図示せず)を使用して最終接合間隔内に吊り降ろし、既設沈埋函11上の微調整ガイド30a及びこれに嵌まり合うキーエレメント函10上の微調整ガイドキー30bによって幅方向の位置を調整し、また、既設沈埋函11とキーエレメント函10のそれぞれの端部上面に設置した端面探査装置31a,31b、及び水中超音波距離計32a及び水中超音波距離計受波板32bによって高さ方向及び函軸方向の位置を計測しつつ所望の水平位置に沈降されるようになっている。尚、図中符号33は函体軸方向押し出しジャッキであり、これによってキーエレメント函10の軸方向の位置を微調整するようにしている。
【0026】
このようにして水平方向の位置を調整した状態でキーエレメント函10を4隅のジャッキ16を介して基礎15に仮受させ、しかる後高さの微調整を行う。この高さの微調整に際しては、キーエレメント函10の両端の接合面13,13と、これに対向する両既設沈埋函11,11の接合面12,12との相対高さを計測することによって、キーエレメント函の貫入距離を計測するための貫入距離計35を使用する。
【0027】
この貫入距離計35は、直線的な変位を回転角に変換し、その回転角を電気的データとし出力する装置であり、図4に示すようにケーシング35aを貫通してスライド自在に備えた出入ロッド35bと、ケーシングに固定した電気出力変位計35cと、電気出力変位計35cを回転動作させるワイヤー35dとを有し、出入ロッド35bの動作がワイヤー35dを介して電気出力変位計35cに伝えられる構造のものが使用されている。電気出力変位計35cには、例えばポテンションメータなどの回転角度計測器が使用できる。
【0028】
出入ロッド35bの先端が、計測対象の相手方である貫入距離計受け具36に当接して動作される長さを電気出力変位計35cによって計測し、その計測データをリアルタイムでコントロール室に設置したコンピュータ37のディスプレー38に表示させるようにしている。
【0029】
そして前述したキーエレメント函10の鉛直ストッパー27の接合面中心部側側面に貫入距離計35を、その出入ロッド35bを下向きにして固定し、既設沈埋函11,11の鉛直ストッパー受け21の接合面中心側側面に貫入距離計受け具36を固定している。
【0030】
キーエレメント函10の仮受高さの微調整は、後述する水密性を維持させるためのパッキンの歪代等の条件から、数mm単位の正確さで行う必要があり、このため、この実施例では、既設沈埋函11,11の互いに対向配置にある両接合面12,12の相対位置及びその各接合面12の形状、その接合面形状における前記左右一対の貫入距離計受け具36位置を3次元座標に表すことができるように予め計測し、その計測値をコンピュータに入力しておく。同様に、キーエレメント函10においても、両端の接合面位置、接合面形状及び該接合面形状における貫入距離計35の位置を3次元座標に表示できるように計測しておき、これをコンピュータに入力しておく。
【0031】
これらの計測データをもとにして、既設沈埋函11の水密接合面18とキーエレメント函10の水密接合面25との間隔が、当該施工現場における接合面形状やその位置関係等の条件において最適となるようにシミュレーションして机上にて設定し、その設定された間隔となるためのキーエレメント函10の4隅に対応する平面視4箇所の貫入距離計35の計測値を予め計算して割り出しておく。
【0032】
そして、コントロール室において、オペレータが4箇所の各貫入距離計35からの計測データをディスプレー上にて目視しつつ4つの高さ微調整用ジャッキ16を動作させて、各貫入距離計35の計測データが設定値となるように微調整を行う。
【0033】
尚、この高さ調整用ジャッキの操作は、各貫入距離計35の計測データが設定値に達するまで自動的に作動する自動制御回路を作成しておき、これによって自動的に設定値に達するまで微昇降動作して停止させるようにしてもよい。
【0034】
このようにしてキーエレメント函10の高さ微調整を行った後、水圧接合作業を実施する。この作業は先ず、図6(a)に示すように既設沈埋函11内から止水ゴム40内にモルタル42を注入し、該止水ゴム40の相手方当接面41を水密接合面25に圧接した状態が維持されるように膨張させる。
【0035】
このようにしてキーエレメント函10とその両端側の既設沈埋函11,11の水密接合面18,25間に介在させ、この状態で高さ微調整用ジャッキ16による支持力を解除することによって止水ゴム40が圧縮されて水密性が維持される。
【0036】
次いで、止水ゴム40及びバルクヘッド19,26によって囲まれた密閉室内の水を抜くことにより、キーエレメント函10がテーパ状のキーエレメント函貫入間隔内に引き込まれて水圧接合がなされる。
【0037】
水圧接合作業が終了したら、バルクヘッド19,26を既設沈埋函11,11内から取り除き、トンネルを連通させる。この時、先にバルクヘッドに設置して使用した機器類を回収する。
【0038】
尚、上述した実施例では貫入距離計をキーエレメント函側に設置した場合を示しているが、既設沈埋函側に設置してもよく、また、バルクヘッドの補強リブに設けた鉛直ストッパーの側面に貫入距離計を設置しているが、その他の部位、例えば接合面の水密接合面の函中心側縁部に設置しても良く、またバルクヘッド前面に必要な支持台を突設して設置する等、接合面の水密接合面の内側であれば、沈設作業時における損傷を少ないものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る沈埋管の最終接合方法に使用する装置の全体の概略構成をしめす縦断面図である。
【図2】本発明に係る沈埋管の最終接合方法に使用する既設沈埋函の端部を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る沈埋管の最終接合方法に使用するキーエレメント函を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る沈埋管の最終接合方法に使用する貫入距離計を示す側面図である。
【図5】同上の貫入距離計の設置状態を示す鉛直ストッパー部分の側面図である。
【図6】本発明に係る沈埋管の最終接合方法における水圧接合の作業工程を示す断面図である。
【図7】従来のキーエレメント工法による沈埋管の最終接合方法を示す断面図である。
【図8】同上の水圧接合に使用する膨張性止水ゴム部分を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 キーエレメント函
11 既設沈埋函
12,13 接合面
14 裏込め材
15 仮受け用の基礎
16 高さ微調整用ジャッキ
17 ロッド
18 水密接合面
19 バルクヘッド
19a,19b,19c,19d 補強リブ
21 鉛直ストッパー受け
21a 当接面
25 水密接合面
26 バルクヘッド
26a,26b,26c,26d 補強リブ
27 鉛直ストッパー
27a 当接面
30a 微調整ガイド
30b 微調整ガイドキー
31a,31b 端面探査装置
32a 水中超音波距離計
32b 水中超音波距離計受波板
33 函体軸方向押し出しジャッキ
35 貫入距離計
35a ケーシング
35b 出入ロッド
35c 電気出力変位計
35d ワイヤー
36 貫入距離計受け具
37 コンピュータ
38 ディスプレー
40 膨張性止水ゴム
41 相手方当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合面を対向させて沈設された既設沈埋函の各接合面をそれぞれ上向きの傾斜面となすことにより、上側が下側により広いテーパ状の最終接合間隔を構成させ、該最終接合間隔内に、両端面が下向きに傾斜されて前記テーパ状に対応したテーパ状配置の接合面を有するキーエレメント函を沈設し、各接合部内を減圧することによって水圧接合させるキーエレメント工法による沈埋管の最終接合方法において、
前記キーエレメント函の底面側の4隅部に、該底面下の地盤に形成した仮受部に対して反力をとって該キーエレメント函の前記4隅部を個別に上下移動させる高さ微調整用のジャッキを備え、
計測対象の相手方に当接して動作する動作子と、該動作子の動作量をリアルタイムで計測する計測器とを有する貫入距離計を使用し、
前記既設沈埋函とキーエレメント函との互いに対向配置の両接合面間において、その一方側の接合面の中央より両側部側に片寄せた2箇所に前記貫入距離計を固定し、他方側の接合面の前記貫入距離計に対応する位置に前記動作子が当接する貫入距離計受け具を固定し、
前記キーエレメント函を、最終接合間隔内に挿入して水平位置の調整を行った後、前記キーエレメント函の4隅部を、高さ微調整用ジャッキを介して仮受け部に支持させ、
前記貫入距離計による計測値を参照しつつ前記ジャッキの操作を行なわせて前記キーエレメント函の前記4隅部の高さを微調整した後、前記水圧接合のための作業を行うことを特徴としてなるキーエレメント工法による沈埋管の最終接合方法。
【請求項2】
前記両既設沈埋函の互いに対向配置にある両接合面の相対位置及びその各接合面の形状、その接合面形状における前記貫入距離計受け具位置を3次元座標に表すことができるように予め計測し、且つキーエレメント函の両端の接合面位置、接合面形状及び該接合面形状における貫入距離計位置を3次元座標に表示できるように計測しておき、
これらの計測データをもとにして、既設沈埋函とキーエレメント函との水密接合面間の間隔が、当該施工現場における接合面形状やその位置関係等の条件において最適となるように設定し、その設定された間隔となるためのキーエレメント函の平面視4隅に対応する貫入距離計の計測値を設定値として予め割り出しておき、
前記各貫入距離計の計測値が、前記その予め割り出された設定値となるように高さ微調整用ジャッキ動作させて、前記キーエレメント函の前記4隅部の高さを微調整する請求項1に記載のキーエレメント工法による沈埋管の最終接合方法。
【請求項3】
前記貫入距離計の計測対象の相手方に当接して動作する動作子は、ケーシングに対して出入動作する出入ロッドであり、該動作子の動作量をリアルタイムで計測する計測器は電気出力変位計である請求項1又は2のいずれか1の請求項に記載のキーエレメント工法による沈埋管の最終接合方法。
【請求項4】
前記貫入距離計は、キーエレメント函の接合面に突設した鉛直ストッパーの接合面中心側側面に設置され、前記貫入距離計受け具は、既設沈埋函の接合面に突設した鉛直ストッパー受の接合面中心側側面に設置されている請求項1,2又は3のいずれか1の請求項に記載のキーエレメント工法による沈埋管の最終接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−127259(P2009−127259A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302471(P2007−302471)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【Fターム(参考)】