説明

キーシートの製造方法

【課題】
精度良くキーシートを成形でき、かつ基材シートの貼付工程において基材シート若しくは装置側に傷が付きにくいキーシートの製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、1または2以上のキートップ11を備える光硬化性樹脂から成るキーシートの製造方法であって、キーシート10を成形するための1または2以上の型枠32を備える成形用金型30に液状の光硬化性樹脂組成物Lを供給する供給工程(ST101)と、成形用金型30の開口面側からロール50を移動して、ロール50を基材シート40に押し当てながら、成形用金型30内の光硬化性樹脂組成物Lの液面に基材シート40を貼付する貼付工程(ST102)と、基材シート40を液面に貼り付けた状態にて、成形用金型30内の光硬化性樹脂組成物Lに光を照射して硬化させる硬化工程(ST103)と、を含むキーシートの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーシート、特に、光硬化性樹脂から成るキーシートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯情報端末(PDA)などの電子機器に搭載されるキーシートとして、従来から、ポリカーボネート等の溶融樹脂を金型内に射出成形することにより製造されてきたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。しかし、最近では、上記の電子機器の薄型化が進む中、キーシートの薄型化が強く求められており、従来の射出成形では、キートップの薄型化に限界が生じてきた。そこで、キーシートの薄型化に容易に対応可能な光硬化性樹脂を用いて、キーシートを製造する方法が実用化されている(例えば、特許文献2を参照)。光硬化性樹脂を用いてキーシートを製造すると、上記の薄型化に加え、樹脂の硬化時間が極めて短いため、製造効率が高くなるというメリットもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−311777号公報
【特許文献2】特開2009−135083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献2に記載されるキーシートの製造方法の一部について説明する。光硬化性樹脂(好ましくは、紫外線硬化性樹脂)を用いたキーシートの製造工程において、まず、成形用金型内に液状の光硬化性樹脂組成物を注入する。次に、その液面に透明な基材フィルムを貼り付ける。次に、基材フィルム上から光を照射し、光硬化性樹脂組成物を硬化する。上記各工程の内、基材フィルムを貼り付ける工程では、スキージを駆動して、余分な樹脂を掻き出すと共に基材フィルムと光硬化性樹脂組成物の液面とを密着させる。
【0005】
しかし、スキージを用いて基材フィルムを貼り付けると、キーシートを構成するキートップ下面の薄肉部の厚さを高精度に形成することが難しく、また、基材シート若しくはスキージに傷が付く危険性がある。
【0006】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであって、精度良くキーシートを成形でき、かつ基材シートの貼付工程において基材シート若しくは装置側に傷が付きにくいキーシートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一実施形態は、1または2以上のキートップを備える光硬化性樹脂から成るキーシートの製造方法であって、キーシートを成形するための1または2以上の型枠を備える成形用金型に液状の光硬化性樹脂組成物を供給する供給工程と、成形用金型の開口面側からロールを移動して、ロールを基材シートに押し当てながら、成形用金型内の光硬化性樹脂組成物の液面に基材シートを貼付する貼付工程と、基材シートを液面に貼り付けた状態にて、成形用金型内の光硬化性樹脂組成物に光を照射して硬化させる硬化工程と、を含むキーシートの製造方法である。
【0008】
本発明の別の実施の形態は、さらに、供給工程を、型枠の少なくとも外縁に光硬化性樹脂組成物を供給する工程とし、貼付工程を、外縁に配置される光硬化性樹脂組成物を型枠内に供給すると共に、その液面に基材シートを貼付する工程とするキーシートの製造方法である。
【0009】
本発明の別の実施の形態は、さらに、貼付工程を、ロールを15mm/秒以下の速度にて移動すると共に、基材シートと光硬化性樹脂組成物の液面との成す角度を20〜60度の範囲内に保持しながら行うキーシートの製造方法である。
【0010】
本発明の別の実施の形態は、さらに、貼付工程を、常圧にて行うキーシートの製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、精度良くキーシートを成形でき、かつ基材シートの貼付工程において基材シート若しくは装置側に傷が付きにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るキーシートの製造方法を用いて製造されるキーシートの斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すキーシートのA−A線断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係るキーシートの製造方法にて使用するターンテーブルの概略図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係るキーシートの製造方法を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図4に示す製造方法にて使用する金型の概略斜視図である。
【図6】図6は、図4に示す製造工程の各ステージにおける状態を示す図である。
【図7】図7は、基材シートを金型内の光硬化性樹脂組成物に貼付する状況を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明のキーシートの製造方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
1.キーシートの構成
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係るキーシートの製造方法を用いて製造されるキーシートの斜視図である。図2は、図1に示すキーシートのA−A線断面図である。
【0016】
キーシート10は、光硬化性樹脂、好適には、紫外線硬化性樹脂から成る。紫外線硬化性樹脂の一例として、ポリエステル系、ポリエーテル系、PC系、脂肪族系等からなるウレタン系アクリレートまたはウレタン系メタアクリレート等のアクリレート系樹脂が挙げられる。なお、光硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂に限定されるものではなく、例えば、可視光線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等であっても良い。この実施の形態では、キーシート10は、後述するように、未硬化状態にある液状の光硬化性樹脂組成物(以後、単に、「光硬化性樹脂組成物」と称し、硬化後の光硬化性樹脂と区別する)に、メタルハライドランプや高圧水銀ランプ等を用いて紫外線(UV)を一定量照射し、当該光硬化性樹脂組成物を硬化させることによって形成される。また、光硬化性樹脂組成物を硬化させる際には、光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤として、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系およびチオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。なお、光重合開始剤の選定は、照射する紫外線の波長領域および各種アクリレート系またはメタアクリレート系の樹脂に基づいて行うのが好ましい。光硬化性樹脂組成物に含まれる主剤と光重合開始剤の組み合わせとしては、薄いキーシート10の製造であっても形状対応性と柔軟性に優れ、高い耐光性、接着性、耐薬品性および靭性を併せ持つウレタン系アクリレート樹脂と1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの組み合わせが、より好ましい。光硬化性樹脂組成物を用いてキーシート10を製造することにより、加熱や冷却の工程を経ずに、かつ短時間でキーシート10を製造できる。さらに、射出成形と異なり、極めて薄い成形体でも製造することができる。また、キーシート10の表面にハードコートを行わなくても、十分な硬度をもったキーシート10を製造できる。
【0017】
キーシート10は、複数のキートップ11と、それらキートップ11の集合領域を囲むフレーム12とを有する。キートップ11同士の間およびキートップ11とフレーム12との間には、キーシート10を貫通しない溝13が形成されている。各キートップ11およびフレーム12は、溝13の底部にある薄肉部14にて連接されて、1枚のキーシート10を構成する。また、キートップ11とフレーム12はほぼ面一で形成されている。
【0018】
2.キーシートの製造方法
【0019】
図3は、本発明の実施の形態に係るキーシートの製造方法にて使用するターンテーブルの概略図である。図4は、本発明の実施の形態に係るキーシートの製造方法を示すフローチャートである。
【0020】
キーシート10の製造は、図4に示すように、キーシート10を成形するための1または2以上の型枠を備える成形用金型(以後、単に、「金型」と称する)に液状の光硬化性樹脂組成物を供給する供給工程(ST101)、金型の開口面側から、後述するロールを移動して、当該ロールを基材シートに押し当てながら、金型内の光硬化性樹脂組成物の液面(ここで、「液面」は、金型に光硬化性樹脂組成物を充填した状態のものをいう)に基材シートを貼付する貼付工程(ST102)、基材シートを液面に貼り付けた状態にて、金型内の光硬化性樹脂組成物に光を照射してこれを硬化させる硬化工程(ST103)、金型から硬化体を取り出す取出工程(ST104)の順に行われる。これら一連の工程を実行するに際して、好適に、図3に示すターンテーブル25を使用することができる。ターンテーブル25は、ST101を行う供給工程領域26、ST102を行う貼付工程領域27、ST103を行う硬化工程領域28、ST104を行う取出工程領域29を、ターンテーブル25の中心に沿って周方向に並べて配置する。
【0021】
供給工程領域26の上方には、光硬化性樹脂組成物を入れたタンクが配置されており、当該タンクから供給工程領域26に置かれた金型に光硬化性樹脂組成物が圧送される。次に、ターンテーブル25が中心角90度程度回転し、当該金型は、貼付工程領域27に運ばれる。貼付工程領域27では、基材シートが金型の開口面の端からロールにて押し付けられながら、金型内の光硬化性樹脂組成物の液面に貼付される。基材シートには、透明な樹脂シート、好適には、PET樹脂、PC樹脂あるいはアクリル樹脂製のシートを使用する。次に、ターンテーブル25が中心角90度程度回転し、金型は、硬化工程領域28に運ばれ、基材シート上から光(好ましくは、紫外線)が照射される。この結果、金型内の光硬化性樹脂組成物が硬化する。次に、ターンテーブル25が中心角90度程度回転し、金型は、取出工程領域29に運ばれる。ここで、硬化体は、金型から取り出される。
【0022】
ターンテーブル25の各領域26,27,28,29では、常に、各領域で行うべき工程が連続して実行される。このため、ターンテーブル25が中心角90度程度回転するたびに、取出工程領域29にて、キーシート10が取り出される。
【0023】
図5は、図4に示す製造方法にて使用する金型の概略斜視図である。
【0024】
図5に示す金型30は、一度の成形で6枚のキーシート10を製造できるものである。金型30には、1つの凹部31が設けられており、凹部31内には、さらに、キーシート10を成形するための合計6個の型枠32が形成されている。型枠32は、キーシート10の形状を転写可能な形状にて凹凸を備える。
【0025】
図6は、図4に示す製造工程の各ステージにおける状態を示す図である。
【0026】
(ステージA)
まず、キーシート10を成形するための金型30を用意し、その金型30内に、光硬化性樹脂組成物Lを供給する。より具体的には、図6に示すように、金型30内の型枠32の外縁であって基材フィルム40を被せていく川上側に、タンクに接続されるディスペンサー(不図示)から光硬化性樹脂組成物Lを供給する。ただし、型枠32の外縁以外に、型枠32の内部にも光硬化性樹脂組成物Lを入れても良い。タンクからの配管系統には、気泡が入らないように、継手やバルブを備えないようにするのが好ましい。また、ディスペンサーの先端には、好ましくは、空気の逆流を防ぐため、チェック弁(液だれ防止弁)を使用する。
【0027】
(ステージB,C)
次に、凹部31内における光硬化性樹脂組成物Lの液面に、透明な基材フィルム40を貼付する。この工程では、ロール50を基材フィルム40に当てながら矢印方向(図中、右方向)に移動する。ロール50は、金型30の最外周面とほぼ同じ高さを回転移動する。キーシート10の薄肉部14の厚さは、ロール50直下の基材フィルム40と、金型30の凹部31の面との間の隙間によって調整可能である。ロール50を用いた貼付工程(ST102)を採用することによって、薄肉部14の厚さを高精度にて形成でき、かつ基材シート40若しくは装置側(特に、基材シート40と接するロール50)に傷が付きにくいというメリットが得られる。さらに、スキージを使用する場合と比べ、基材シート40を固定しなくても良いというメリットも得られる。基材フィルム40は、主に、硬化後のキーシート10の下面の平滑化を図る趣旨、および基材フィルム40を被せる際に、光硬化性樹脂組成物Lを金型30の型枠32内に充填しながら、内部の気泡を逃がす趣旨で用いられる。ロール50を移動すると、光硬化性樹脂組成物Lは、ロール50の進行方向に向かって型枠32内を順に満たしていき、同時に、型枠32内の気泡もロール50の進行方向に向かって移動して外部に排出される。ロール50は、最後に、所定数の型枠32への基材フィルム40の貼付が完了する位置で停止する。
【0028】
(ステージD)
次に、基材シート40の上からガラス板70を載せ、ガラス板70、基材フィルム40を通して、金型30内の光硬化性樹脂組成物Lに紫外線を照射し、光硬化性樹脂組成物Lを硬化する。高硬度の紫外線硬化性樹脂あるいはキートップ11の高さが大きい場合、光硬化性樹脂組成物Lの見かけの収縮率が大きくなり、硬化中に金型30から硬化体が離れる可能性が高くなる。ガラス板70は、かかる問題を防止する目的で使用する。紫外線の照射には、メタルハライドランプ等のランプ60を用いる。また、硬化体の形状安定性を図る観点から、キーシート10の長さ方向に細長いランプ60をキーシート10の幅方向に揺動して、UV照度の均一化を図るのが好ましい。
【0029】
図7は、基材シートを金型内の光硬化性樹脂組成物に貼付する状況を拡大して示す図である。
【0030】
基材シート40を金型30内の光硬化性樹脂組成物Lの液面に貼り付ける際、光硬化性樹脂組成物Lを型枠32内に充填しながら、当該型枠32内の気泡を効果的に排出するのが好ましい。当該液面に対する基材シート40の挿入角度(ロール50の移動方向の川下方向と基材シート40との成す角度)θと、ロール50の移動速度V(mm/sec)とを検討した結果、基材シート40の撓みを許容でき、かつ気泡をより効率的に排出するには、θを20〜60度の範囲内とし、かつVを15mm/sec以下にするのが好ましい。θを20度以上とすることにより、型枠32内の気泡を金型30の開口面と基材シート40との隙間から効率的に逃がしやすくなる。また、θを60度以下とすることにより、基材シート40への負荷・変形を低減し、金型30の型枠32内の光硬化性樹脂組成物Lの液面に対して、より密着した状態にて基材シート40を貼付できる。また、ロール50の移動速度Vは、15mm/sec以下にすることにより、型枠32内の気泡を排出する時間を確保しやすくなるので、好ましい。ただし、Vを5mm/sec以下とすると、貼付工程に時間を要し、ターンテーブル25を回転するまでに、他の工程が待機状態となるので、できるだけ、過度に低速でロール50を移動するのを避けるのが好ましい。したがって、より好ましくは、Vを6〜15mm/secとする。
【0031】
キーシート10を製造する工程は、減圧下あるいは常圧(=大気圧)下のいずれでも実行可能であるが、常圧下で行う方が好ましい。特に、光硬化性樹脂組成物Lにモノマー成分が多い場合、減圧にすると、モノマーが揮発して気泡を生成しやすくなるので、常圧にて行うほうが良い。
【0032】
ロール50の直径(φ)は、この実施の形態では、10〜40mmとするのが好ましい。当該直径は、ロール50の長さとの関連性が高い。この実施の形態で使用するロール50の長さ(凹部31におけるキーシート10の幅方向の長さより少し短い)は、約300mmである。したがって、ロール50の直径を、その長さに対して10/300〜40/300、すなわち、3.3〜13.3%にするのが好ましい。ロール50の直径をその長さに対して3.3%以上とすることにより、撓みが少なくなり、基材シート40に対して平滑に移動可能になる。また、ロール50の直径をその長さに対して13.3%以下とすることにより、基材シート40の挿入角度を大きくするのと同様の効果があり、型枠32内の気泡を逃がしやすくなる。
【0033】
以上、本発明に係るキーシートの製造方法の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、種々変形を施して実施可能である。例えば、キーシート10のキートップ11を1個のみとしても良い。金型30内の型枠32の数は、6個に限定されず、1〜5個、あるいは7個以上でも良い。
【実施例】
【0034】
次に、本発明のキーシートの製造方法の実施例について説明する。
【0035】
<実験1>
基材シートして厚さ100μm、幅250mm、長さ160mmのPETシートを用いた。金型として、6枚のキーシート10を成形する成形範囲を有し、NAK80鋼材(表面メッキ処理済)製の金型を用いた。光硬化性樹脂組成物には、紫外線硬化性樹脂組成物として、主剤であるウレタン系アクリレート樹脂と光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(製品名:イルガキュア184)との混合物を用いた。紫外線照射用のランプには、メタルハライドランプ(160W)を用いた。また、基材シートの貼付用のロールには、ステンレススチール製の直径30mm、長さ300mmの円柱形状のロールを用いた。貼付工程では、ロールの移動速度を6〜20mm/secの範囲で変化させて、光硬化性樹脂組成物に基材シートを貼り付けた。続いて、紫外線の照射を行い、硬化体を作製した。硬化体の評価は、硬化体中の気泡の数や大きさを顕微鏡にて観察する方法にて行い、観察視野100の内の80視野以上にて許容可能な気泡状態にある場合を合格とした。実験1では、スキージに代えてロールを用いて基材シートの貼付を行ったため、キーシートの賦形精度が高く、基材シート若しくは装置側に傷が付くという問題もなかった。
【0036】
【表1】

【0037】
表1に、基材シートと光硬化性樹脂組成物の液面との角度を30度に固定し、ロールの移動速度を変えたときのキーシートの合格率を示す。表1に示すように、ロールの移動速度が15mm/sec未満において合格率が80%以上になり、移動速度を18mm/sec以上の場合には、合格率は80%未満に留まった。
【0038】
<実験2>
基材シートの挿入角度を10〜70度に変化させ、ロールの移動速度を6mm/secに固定して、その余を実験1と同じ条件にて実験を行った。実験2においても、実験1と同様、キーシートの賦形精度が高く、基材シート若しくは装置側に傷が付くという問題もなかった。
【0039】
【表2】

【0040】
表2に、基材シートの挿入角度を変えたときのキーシートの合格率を示す。表2に示すように、基材シートの挿入角度が70度の場合には、基材シートの貼り付けに支障が生じ、貼付ができなかった。基材シートの挿入角度が20〜60度の範囲内では、合格率が80%以上となり、挿入角度が10度の場合には、80%未満となった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、例えば、携帯電話、車載用のナビゲーション装置、携帯用薄型PC、音楽再生用携帯機器、あるいはそれらの機器を操作するためのリモートコントロールに組み込まれる操作部などに利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 キーシート
11 キートップ
30 金型(成形用金型)
32 型枠
40 基材シート
50 ロール
L 光硬化性樹脂組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または2以上のキートップを備える光硬化性樹脂から成るキーシートの製造方法であって、
上記キーシートを成形するための1または2以上の型枠を備える成形用金型に液状の光硬化性樹脂組成物を供給する供給工程と、
上記成形用金型の開口面側からロールを移動して、上記ロールを基材シートに押し当てながら、上記成形用金型内の上記光硬化性樹脂組成物の液面に上記基材シートを貼付する貼付工程と、
上記基材シートを上記液面に貼り付けた状態にて、上記成形用金型内の上記光硬化性樹脂組成物に光を照射して硬化させる硬化工程と、
を含むことを特徴とするキーシートの製造方法。
【請求項2】
前記供給工程は、前記型枠の少なくとも外縁に前記光硬化性樹脂組成物を供給する工程であり、
前記貼付工程は、上記外縁に配置される前記光硬化性樹脂組成物を前記型枠内に供給すると共に、その液面に前記基材シートを貼付する工程であることを特徴とする請求項1に記載のキーシートの製造方法。
【請求項3】
前記貼付工程は、前記ロールを15mm/秒以下の速度にて移動すると共に、前記基材シートと前記光硬化性樹脂組成物の前記液面との成す角度を20〜60度の範囲内に保持しながら行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキーシートの製造方法。
【請求項4】
前記貼付工程は、常圧にて行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のキーシートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−94426(P2012−94426A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242042(P2010−242042)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】