説明

キースイッチおよびキーボード並びに携帯型情報処理装置

【課題】低背化は勿論、操作時にのみキートップを立ち上げる構造として、しかも比較的短い操作ストロークでも、明確な操作感が得られる、キースイッチを提供する。
【解決手段】スイッチ部が配設されたパネルと、該パネル上に先端を互いに噛み合う状態で起伏可能に配置してなる一対のリンク部材と、これら一対のリンク部材の先端側に取着されるキートップとを備える。一対のリンク部材がパネル上に倒伏した際に自然長で一対のリンク部材の基部間に弾性線状部材が連結される。また、弾性線状部材に対し外力を加えることで、弾性線状部材に張力を付与して、一対のリンク部材の先端側を起立させ、キートップを押下げ操作可能に突出させてなる、可動部が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キースイッチおよびキーボード並びに携帯型情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入力装置でキー入力にクリック感を持たせるために、コイルスプリングなどのバネ部材、接点部の操作機能を兼ね備えたドーム型形状の弾性作動部材を用いたものが知られている。
また、近年では、ノート型のパーソナルコンピュータ等の携帯型情報処理装置のキーボードに搭載されるキースイッチのように、低背化の傾向があることから、より操作ストロークを短くする中で、安定した操作感をもたらすキースイッチが要求されている。
【0003】
例えば特許文献1参照。ここでのキースイッチでは、「案内部材14を構成する第1リンク部材12の各係止軸26を、第3係止部40の長さLの範囲内で摺動可能とするとともに、第2リンク部材13の各係止軸26を、第4係止部41の長さLの範囲内で摺動可能とすることにより、操作者の指によりキートップ11の上面に加えられる押圧力の大きさや押圧力の方向に応じて、キートップ11を、コイルスプリング15による連結作用に基づき、第1リンク部材12の係止軸26及び第2リンク部材13の係止軸26がそれぞれ第3係止部40、第4係止部41における摺動溝にて摺動可能な長さLの範囲内で移動させるように構成する」と記載されている。
これによって、キートップの押下動作に追従して各リンク部材の下端部が摺動可能な範囲内でキートップの移動を可能とし、人間工学的見地から操作者に疲労が蓄積されることを防止し、キートップの操作性を格段に向上することが可能なキースイッチ装置と、そのキースイッチ装置を備えたキーボード及びそのキーボードを備えた電子機器を提供することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−195948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キースイッチにおいて、低背化は勿論、操作時にのみキートップを立ち上げる構造として、しかも比較的短い操作ストロークでも、明確な操作感が得られる、キースイッチと、キースイッチを搭載したキーボード、さらにはそのキーボードを用いた携帯型情報処理装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、スイッチ部が配設されたパネルと、先端を互いに噛み合わせると共に互いの基部を前記パネル上で接近離間移動させることで先端側を起伏可能に配置してなる一対のリンク部材と、これら一対のリンク部材の先端側に取着されるキートップとを具備するキースイッチにおいて、一対のリンク部材が双方の先端から基部までパネル上に倒伏状態にある際に、一対のリンク部材の基部間を、自然長で連結する弾性線状部材と、一対のリンク部材およびキートップの動作に独立して移動可能な可動部と、を具備し、可動部により自然長の弾性線状部材に対して横断する方向に外力を加えることで、弾性線状部材に張力を付与して、一対のリンク部材の基部をパネル上で互いに接近移動させて一対のリンク部材を起立させ、一対のリンク部材の先端側を介してキートップを押下げ操作可能に突出させるようにした、ことを特徴とするキースイッチを提供する。
【0007】
上記構成において、可動部は、パネルから突出して弾性線状部材の中間部位に当接させ、弾性線状部材の中間部位を介して弾性線状部材に対して横断するように押圧して、弾性線状部材に張力を付与する可動軸部である。
【0008】
また、可動部は、パネル上にあって、自然長の弾性線状部材の中間部位を固定し、弾性線状部材の中間部位の固定部位を、パネルに対して移動させることで弾性線状部材に張力を付与する可動パネルである。
【0009】
本発明の別の態様では、スイッチ部が配設されたパネルと、先端を互いに噛み合わせると共に互いの基部をパネル上で接近離間移動させることで先端側を起伏可能に配置してなる一対のリンク部材と、これら一対のリンク部材の先端側に取着されるキートップとを具備するキースイッチを複数搭載して構成されるキーボードにおいて、キースイッチは、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキースイッチである、ことを特徴とするキーボードを提供する。
【0010】
本発明のさらに別の態様では、スイッチ部が配設されたパネルと、先端を互いに噛み合わせると共に互いの基部をパネル上で接近離間移動させることで先端側を起伏可能に配置してなる一対のリンク部材と、これら一対のリンク部材の先端側に取着されるキートップとを具備するキースイッチを複数搭載したキーボード筐体と、キーボード筐体上のキースイッチを収容する開閉蓋部と、を備えた携帯型情報処理装置において、キースイッチは、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキースイッチであり、可動部は、開閉蓋部の開閉動作に連動して移動可能であり、可動部に対し、開閉蓋部の開閉動作により移動力を伝達する連動機構部、を具備した、ことを特徴とする携帯型情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低背化は勿論、操作時にのみキートップを立ち上げる構造として、しかも比較的短い操作ストロークでも、明確な操作感が得られる、キースイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るキースイッチを示す、模式的な側面説明図である。
【図2】図1に示すキースイッチの、模式的な平面説明図である。
【図3】図1に示すキースイッチのキートップを押下げ操作した状態における、模式的な側面説明図である。
【図4】図3に示すキースイッチの、模式的な平面説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るキースイッチを搭載したノート型パソコンの一例を示す、模式的な側面説明図である。
【図6】図5に示すノート型パソコンにおけるキースイッチの配置を示した平面図である。
【図7】図5に示すノート型パソコンの蓋部を閉じた状態を示す、模式的な側面説明図である。
【図8】本発明の別の実施形態に係るキースイッチの模式的な分解斜視説明図である。
【図9】図8に示すキースイッチの、切断斜視説明図である。
【図10a】本発明の別の実施形態に係るキースイッチを搭載したノート型パソコンにおいて、キースイッチの配置例とキースイッチを操作可能に連動操作する機構を示した模式的な斜視図である。
【図10b】図10aに示すキースイッチを搭載したノート型パソコンにおいて、ノート型パソコンの蓋部を閉じた状態におけるキースイッチのパネル面の模式的な拡大平面説明図である。
【図10c】図10aに示すキースイッチを搭載したノート型パソコンにおいて、ノート型パソコンの蓋部を開いた状態におけるキースイッチのパネル面の模式的な拡大平面説明図である。
【図11】ノート型パソコンの蓋部を閉じた状態におけるキートップを省略したキースイッチの斜視図である。
【図12】ノート型パソコンの蓋部を開いた状態におけるキートップを省略したキースイッチの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、添付図に基づいて詳細に説明する。
図1にキースイッチ1の一例を示す。このキースイッチ1は、スイッチ部(後述)が配設されたパネル2と、先端を互いに噛み合わせると共に互いの基部をパネル2上で接近離間移動させることで先端側を起伏可能に配置してなる一対のリンク部材3と、これら一対のリンク部材3の先端31側に取着されるキートップ4とを備えている。そしてキースイッチ1には、一対のリンク部材3が双方の先端31から基部32までパネル2上に倒伏状態にある際に、一対のリンク部材3の基部32間を、自然長で連結する弾性線状部材5と、一対のリンク部材3およびキートップ4の動作に独立して移動可能な可動部6と、を具備している。
以上のような構成により、キースイッチ1は、可動部6により自然長の弾性線状部材5に対して横断する方向に外力を加えることで、弾性線状部材5に張力を付与して、一対のリンク部材3の基部32をパネル2上で互いに接近移動させて一対のリンク部材3を起立させ、一対のリンク部材3の先端側31を介してキートップ4を押下げ操作可能に突出させるようにしている。
【0014】
パネル2は、中心部にスイッチ部7が配設された略矩形状の枠状部材である(図3参照)。スイッチ部7は、詳細は示さないが、ここでは、例えば電気的接点を有するシート状スイッチ、すなわち、2枚のフィルム状回路基板に担持されて対向配置される一対の導通接点からなるメンブレンスイッチを採用している。
かかるパネル2の上面には、中心部を挟んで対向するように、二組(計4個)のスライド案内部21が設けられている。スライド案内部21は、案内溝21aを有し、この案内溝21aに一対のリンク部材3の基部32側がスライド軸部32aを介して、それぞれにスライド自在に係合している。
各一組のスライド案内部21は、リンク部材3のスライド方向に離間して配置されている。一対のリンク部材3の基部32側が、スライド軸部32aを介してスライド案内部21に案内されることで、キートップ4が昇降ストロークの下限位置まで押下された際に、一対のリンク部材3は互いに重なることなくパネル2上で倒伏状態となるようになっている。
また、パネル2には、スイッチ部7に隣接して、前述の可動部6(以下、可動軸部6)が挿通されて移動可能とする長穴22が形成されている。
【0015】
一対のリンク部材3は、例えば樹脂成形により一体的に形成されたものであり、互いのリンク部材3の噛合い歯31a、31bと回動可能に係合させた状態で使用される。
リンク部材3は、上述のように基部32と、基部32の両側で互いに平行に延びる一対の腕部33、33とを有している。
そして、リンク部材3は、先端31に設けた回動軸31cを介して後述するキートップ4を取着している。
【0016】
キートップ4は、平面視略矩形状をなし、操作面としての上面の反対側の下面に突出する突出部4aを有する。かかる突出部4aにリンク部材3の先端31側がリンク部材3の回動軸31cを介してそれぞれに回動自在に取着されている。これにより、一対のリンク部材3とキートップ4とが連動してキートップ4の昇降動作を可能としている。
また、キートップ4には、図示は省略しているが、操作面としての上面の反対側の下面中央部に、パネル2の中心部のスイッチ部7に対応して、スイッチ部7の押圧操作を行うための操作突部が設けられている。
【0017】
そして、弾性線状部材5は、上述の一対のリンク部材3の基部32間に連結されている。弾性線状部材5には、例えばウレタン系の樹脂を用いることができる。この場合、一対のリンク部材3がパネル2上に倒伏状態(図3参照)、すなわち、キートップ4が最低位状態で張力が生じない自然長としている(図4参照)。
かかる弾性線状部材5には、パネル2に形成された長穴22から突出する可動軸部6が、弾性線状部材5の中間部位に当接している。
【0018】
本発明の一実施形態に係るキースイッチ1の機構構成は、概略以上の通りであり、次に、図5に、このキースイッチ1を搭載したノート型パソコン10の一例を示し、以下、説明する。
図5はノート型パソコン10の一例の模式的側面図である。このノート型パソコン10は、キーボード筐体101と、液晶等の表示部を搭載した開閉蓋部102とを備える。
キーボード筐体101には、本発明に係るキースイッチ1が複数搭載される。また、ノート型パソコン10には、これら複数のキースイッチ1が、開閉蓋部102を開いたときにキートップ4を操作可能状態に連動的に起立させ、開閉蓋部102を閉じたときにキートップを筐体101上に連動的に後退させる連動機構部103が備えられている。
【0019】
連動機構部103は、例えばキーボード筐体101のキースイッチ1の搭載面直下の筐体101内に配設された連動パネル104と(図6参照)、開閉蓋部102の回動軸105に取り付けられた伝達機構106と、伝達機構106と連動パネル104とを連結する連結部材107とを備えている。そして連動パネル104には、キーボード筐体101上のキースイッチ1における可動軸部6がそれぞれ固定されている。
【0020】
次に、ノート型パソコン10に搭載されたキースイッチ1の機能、動作について説明する。
ノート型パソコン10は、使用開始前には、図7に示すように、キースイッチ1が搭載されるキーボード筐体101に、液晶等の表示部を搭載した開閉蓋部102が閉じられた状態にある。この状態では、キーボード筐体101上のキースイッチ1は、図3に示すように、一対のリンク部材3がパネル2上に倒伏状態で、キートップ4が最低位状態にある。すなわち、一対のリンク部材3がパネル2上に倒伏状態であり、リンク部材3の基部32間に連結される弾性線状部材5が自然長の状態で(図4参照)、倒伏状態のリンク部材3の一対の腕部33、33の高さより低い位置にあり、且つ、キートップ4は、突出部4aがパネル2上に接し、さらには、パネル2の中心部のスイッチ部7に、スイッチ部7の押圧操作を行うための操作突部が当接した状態にある。
したがって、キースイッチ1は、実質的にキートップ4のリンク部材3との取り付け部である突出部4aからキートップ4上面までの高さで保持されている。リンク部材3の基部32間の弾性線状部材5が自然長の状態であるから、リンク部材3は、弾性線状部材5から何ら応力を受けることなく、キートップ4は最低位状態に維持される。
【0021】
次に、ノート型パソコン10を使用するときは、キーボード筐体101から開閉蓋部102を開いていくと、開閉蓋部102の回動軸105が回転して回動軸105に取り付けられた伝達機構106が作動し、連結部材107を介して連動パネル104が図中、右方へ移動せしめられる(図5参照)。
これにより、連動パネル104上の全ての可動軸部6が、それぞれ個々のキースイッチ1のパネル2における長穴22を移動し、これにより、弾性線状部材5の延在する方向と直交する方向に、弾性線状部材5が中間部位を介して引っ張られる(図2参照)。これにより、弾性線状部材5に自然長に戻そうとする張力が生じ、この張力が一対のリンク部材3の基部32をパネル2の中央部に向かって引き込むように作用する。これにより、一対のリンク部材3は、基部32側が、スライド軸部32aを介してパネル2のスライド案内部21における案内溝21aを移動し、先端31の噛合い歯31a、31bが係合した状態で先端31側が起立していき、キートップ4をキー操作可能な状態に立ち上げることができるのである(図1参照)。
【0022】
キートップ4がキー操作可能な状態に立上った状態では、パネル2の長穴22から突出する可動軸部6が、弾性線状部材5を、一対のリンク部材3の基部32間を繋ぐ直線に対し直交する方向に、中間部位を介して引っ張っているので(図2参照)、一対のリンク部材3は、常時先端31が起立状態に付勢される。この状態で、キートップ4の押下げ操作がなされると、弾性線状部材5には、さらに引っ張り力が加わり、ある押下げ位置まで、キートップ4に対する押下げ力が増加する。すなわち、一対のリンク部材3が略一直線状となるように倒伏していき、リンク部材3の軸方向が略一直線状となって、弾性線状部材5を固定する双方の基部32を通る直線方向と略平行状態となる直前まで、押下げ力が増加する。
そして、一対のリンク部材3が倒伏して略一直線状になり、弾性線状部材5を固定する双方の基部32を通る直線方向と略平行状態となるところで、急激に押下げ力は低下する。この押下げ力が急激に低下することで、操作者はクリック感となって捉えられ、さらに、キートップ3を押圧することで、今度は、キートップ4の操作突部がパネル2の中心部のスイッチ部7を押圧し、スイッチ部7の接点部を閉成することができる。
【0023】
スイッチ部7の接点部の閉成操作、すなわち、キー操作が完了したら、操作者は手を離せば、キートップ4は、弾性線状部材5の復元力により、一対のリンク部材3の基部32をパネル2の中央部に向かって引き込み、これにより、一対のリンク部材3は、基部32側が、スライド軸部32aを介してパネル2のスライド案内部21における案内溝21aを移動し、先端31の噛合い歯31a、31bが係合した状態で先端31側が起立していき、キートップ4をキー操作可能な状態に立ち上げることができる(図1参照)。
【0024】
以上のように、本実施形態によれば、これまでのように上下方向に作用する弾性作動部材の存在により、キースイッチの低背化には限度があったが、このような上下方向に作用する弾性作動部材を省いて、横方向に伸縮するように配置された弾性線状部材を用いることで、より一層のキースイッチの低背化が可能となる。また弾性線状部材によりキートップのある押下げ位置まで押下げ力が増加し、一対のリンク部材が倒伏して略一直線状になるところで急激に押下げ力が低下することで明確な操作感を呈することができる。
そしてこのようなキースイッチを用いたノート型パソコンによれば、本キースイッチは、開閉蓋部を開いてキー操作をするときだけ立ち上がり、開閉蓋部を閉じることでリンク部材がパネル上に倒伏状態となり、リンク部材の基端部間に連結される弾性線状部材が自然長の状態で、倒伏状態のリンク部材の一対の腕部の高さより低い位置として、キートップを最低位置に維持することができるので、パソコン本体の厚さの薄型化に寄与することができる。
【0025】
本発明は、上述の第1実施形態に限られない。すなわち、図8、図9に示す第2実施形態としてキースイッチ1を構成することができる。なお、この第2実施形態では、第1実施形態と実質的に同様の構成要素に対しては、同符号を付して、その詳細な説明は省略する。
このキースイッチ1では、キースイッチ1のパネル2上に、キートップ4およびリンク部材3の動作とは独立して移動可能な可動部としての可動パネル6が配置されている。この場合の可動パネル6には、キースイッチ1のパネル2上のスライド案内部21に対応し、それぞれ中心部を挟んで一対の通孔6a、6aが形成される。また、可動パネル6には、キースイッチ1のパネル2におけるスイッチ部7に対応して、キートップ4の操作突部が挿通される操作穴6bが形成されている。
そして、かかる操作穴6bに近接するように、一対の通孔6a、6a間に弾性線状部材5が掛け渡され、弾性線状部材5の中間点を可動パネル6に固定するべく、可動パネル6に固定部6cが設けられている。また弾性線状部材5の両端部には、一対のリンク部材3の基部32を係止するための係止部51、51が取着されている。
【0026】
ここでのリンク部材3は、略方形状部材からなり、それぞれ基部32をスライド軸部32aを介してパネル2上のスライド案内部21に移動可能に係合している。
また、リンク部材3の先端31の互いに対向する中央部位には、切欠部34が形成され、キートップ4の操作突部が可動パネル6の操作穴6bを介してパネル2におけるスイッチ部7に接触できるようにしている。
【0027】
次に、以上のような第2実施形態に係るキースイッチ1を搭載したノート型パソコン10について説明する。
図10aは、ノート型パソコン10の別例の模式的斜視図である。ここでは、キースイッチ1がキーボード筐体101に複数搭載される際、可動部としての可動パネル6は、搭載される全てのキースイッチ1のパネル2を覆う大きさの可動パネル6として構成される。なお、ここにおいても、図5に示すノート型パソコン10と同様、可動パネル6は、ノート型パソコン10に設けられた連動機構部103によって、開閉蓋部102の開閉動作に連動するようになっている。すなわち可動パネル6は、開閉蓋部102の回動軸105が回転して回動軸105に取り付けられた伝達機構106が作動し、連結部材107を介して連動するようになっている。
【0028】
ノート型パソコン10の開閉蓋部102が閉じられた状態にあるときは、キーボード筐体101上のキースイッチ1の一対のリンク部材3は、可動パネル6上に倒伏状態にあり、キートップ4が最低位状態にある(図10b、図11参照)。このときは、一対の通孔6a、6a間に配置された弾性線状部材5は、自然長のままであり、一対のリンク部材3には何ら応力はかからず、キートップ4が最低位状態を維持する。
【0029】
次いで、キーボード筐体101から開閉蓋部102を開いていくと、連動機構部103により可動パネル6が筐体101に複数搭載されるキースイッチ1のパネル2上をスライドする(図10a、図10c参照)。これにより、弾性線状部材5の中間点を固定する固定部6cが移動するので、弾性線状部材5に対し、応力がかかり、弾性線状部材5の両端部の係止部51、51を介してリンク部材3の基部32を押圧し、これによりリンク部材3の先端31が、噛合い歯31a、31bを介して係合状態で起立していき、キートップ4を立ち上げ、キー操作ができる状態となる(図12参照)。
【符号の説明】
【0030】
1 キースイッチ
2 パネル
21 スライド案内部
21a 案内溝
22 長穴
3 リンク部材
31 先端
31a、31b 噛合い歯
31c 回動軸
32 基部
32a スライド軸部
33 腕部
34 切欠部
4 キートップ
4a 突出部
5 弾性線状部材
51 係止部
6 可動部(可動軸部、可動パネル)
6a 通孔
6b 操作穴
6c 固定部
7 スイッチ部
10 ノート型パソコン
101 キーボード筐体
102 開閉蓋部
103 連動機構部
104 連動パネル
105 回動軸
106 伝達機構
107 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ部が配設されたパネルと、先端を互いに噛み合わせると共に互いの基部を前記パネル上で接近離間移動させることで前記先端側を起伏可能に配置してなる一対のリンク部材と、これら一対のリンク部材の前記先端側に取着されるキートップとを具備するキースイッチにおいて、
前記一対のリンク部材が双方の先端から基部まで前記パネル上に倒伏状態にある際に、前記一対のリンク部材の基部間を、自然長で連結する弾性線状部材と、
前記一対のリンク部材およびキートップの動作に独立して移動可能な可動部と、を具備し、
該可動部により前記自然長の弾性線状部材に対して横断する方向に外力を加えることで、前記弾性線状部材に張力を付与して、前記一対のリンク部材の基部を前記パネル上で互いに接近移動させて前記一対のリンク部材を起立させ、前記一対のリンク部材の先端側を介して前記キートップを押下げ操作可能に突出させるようにした、ことを特徴とするキースイッチ。
【請求項2】
前記可動部は、前記パネルから突出して前記弾性線状部材の中間部位に当接させ、前記弾性線状部材の中間部位を介して前記弾性線状部材に対して横断するように押圧して、前記弾性線状部材に張力を付与する可動軸部である、請求項1に記載のキースイッチ。
【請求項3】
前記可動部は、前記パネル上にあって、前記自然長の弾性線状部材の中間部位を固定し、該弾性線状部材の中間部位の固定部位を、前記パネルに対して移動させることで前記弾性線状部材に張力を付与する可動パネルである、請求項1に記載のキースイッチ。
【請求項4】
スイッチ部が配設されたパネルと、先端を互いに噛み合わせると共に互いの基部を前記パネル上で接近離間移動させることで前記先端側を起伏可能に配置してなる一対のリンク部材と、これら一対のリンク部材の前記先端側に取着されるキートップとを具備するキースイッチを複数搭載して構成されるキーボードにおいて、
前記キースイッチは、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキースイッチである、ことを特徴とするキーボード。
【請求項5】
スイッチ部が配設されたパネルと、先端を互いに噛み合わせると共に互いの基部を前記パネル上で接近離間移動させることで前記先端側を起伏可能に配置してなる一対のリンク部材と、これら一対のリンク部材の前記先端側に取着されるキートップとを具備するキースイッチを複数搭載したキーボード筐体と、該キーボード筐体上のキースイッチを収容する開閉蓋部と、を備えた携帯型情報処理装置において、
前記キースイッチは、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキースイッチであり、
前記可動部は、前記開閉蓋部の開閉動作に連動して移動可能であり、
前記可動部に対し、前記開閉蓋部の開閉動作により移動力を伝達する連動機構部、を具備した、ことを特徴とする携帯型情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−114984(P2013−114984A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261986(P2011−261986)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】