説明

キーデータ記憶装置,方法,ライブラリ装置および収納装置

【課題】暗号化データのキーデータを記録した記録媒体が持ち出された場合にもキーデータを取得することができないようにして、暗号化データの機密保持性を高める。
【解決手段】ライブラリ装置内に収納可能なカートリッジケース11内に、暗号化データにかかるキーデータを格納するキーデータ記憶媒体部12と、キーデータを読み書きする読み書き部13とを設け、カートリッジケース11のライブラリ装置内からの規定外の排出動作時にキーデータ記憶媒体部12のキーデータを抹消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、例えば、磁気テープカートリッジ等の可搬性記録媒体に記録されたデータの機密保持技術に関し、詳しくは暗号化データのキーデータの漏出を防止する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型コンピュータシステムのデータをバックアップする外部記憶装置として、多数の磁気テープカートリッジを内蔵するライブラリ装置が広く知られている。このライブラリ装置によれば、マガジンに装着された磁気テープカートリッジは、ロボットアームによってマガジンから掴み出されてドライブに搬送されるとともに、ドライブでデータの記録・再生が行なわれる。このライブラリ装置では、磁気テープカートリッジがマガジンから容易に取り外せることから、例えば、磁気テープカートリッジの盗難等によるデータの漏洩が懸念され、磁気テープカートリッジに記録されるデータの厳重なセキュリティ管理が望まれる。
【0003】
一般に、データのセキュリティ管理技術として、記録するデータを暗号化する方法が知られている。この方法では、キーデータを用いる所定のアルゴリズムによって生成した暗号化データを記録媒体に記録するとともに、記録された暗号化データを再生する際には、前記キーデータを用いてこれを復号する。そこで、ライブラリ装置の磁気テープカートリッジに暗号化データを記録しておけば、たとえ磁気テープカートリッジが盗難されたとしても、キーデータが知られることがない限り、その磁気テープカートリッジからのデータの漏洩は免れる。
【0004】
しかし、データを暗号化する方法では、キーデータを知ることができれば誰でも暗号化データを復号することができ、データの機密保持は達成できない。このため、記録媒体へのアクセス権を有する者だけがデータを利用することができるように、キーデータを適切に管理する必要がある。
このような観点から、暗号化データのキーデータを複数のキーデータ要素に分割し、各キーデータ要素を複数の記録媒体に分けて格納する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、各記録媒体に格納されたキーデータ要素の全てを読み出さなければキーデータを生成できないので、暗号化データの機密保持が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−088453号公報(第8〜13頁、図5〜9参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の暗号化データのキーデータを分割する技術でも、各キーデータ要素を格納した複数の記録媒体が何れも持ち出された場合には、各キーデータ要素からキーデータを生成することが可能になってしまう。キーデータを生成できれば暗号化データを復号することが可能になってしまい十全なセキュリティの確保を達成できない。
また、例えば、地理的に離れた場所に設けられた複数のデータセンタ間で暗号化データを記録した記録媒体を搬送させる場合には、記録媒体とともにキーデータも搬送させる必要があるが、この搬送過程においてキーデータが漏えいするおそれもある。
【0007】
そこで、本件は、暗号化データのキーデータを記録した記録媒体が持ち出された場合にもキーデータを取得することができないようにしてデータの機密保持性を高めることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本件のキーデータ記憶装置は、ライブラリ装置内に収納され、暗号化データを記録されるカートリッジ式記録装置の該暗号化データにかかるキーデータを格納するキーデータ記憶装置であって、ライブラリ装置内に収納可能なカートリッジケースと、前記カートリッジケース内に装備され前記キーデータを格納するキーデータ記憶媒体部と、前記カートリッジケース内に装備され前記キーデータ記憶媒体部の前記キーデータを読み書きする読み書き部とを備え、前記キーデータ記憶媒体部は、前記カートリッジケースの前記ライブラリ装置内からの規定外の排出動作時に、前記キーデータが抹消される。
【0009】
本件のライブラリ装置は、暗号化データを記録されるカートリッジ式記録装置を収納しうるライブラリ装置であって、前記キーデータ記憶装置及び前記カートリッジ式記録装置が収納される収納スペースと、前記カートリッジ式記録装置に前記暗号化データを記録再生する記録再生装置と、前記カートリッジ式記録装置を把持部により把持して、前記収納スペースと前記記録再生装置との間で移送する移送装置とを備え、前記収納スペースには、前記暗号化データのキーデータを格納し電力供給の遮断により格納された前記キーデータが抹消されるキーデータ記憶媒体部と、前記キーデータ記憶媒体部に対して前記キーデータを読み書きする読み書き部と、ライブラリ装置側に設けられた電力供給部から前記キーデータ記憶媒体部へ電力を供給する電力供給用端子とを、当該収納スペースに収納可能なカートリッジケース内に装備されてなるキーデータ記憶装置が、収納可能であって、前記把持部は、前記キーデータ記録装置を把持すると前記キーデータ記憶装置の前記電力供給用端子に電力を供給しうる電力供給部を有する。
【0010】
本件のキーデータ管理方法は、ライブラリ装置内の収納部に収納され暗号化データを記録されるカートリッジ式記録装置の該暗号化データにかかるキーデータを、電力供給の遮断により格納されたデータが抹消される記憶媒体に格納するステップと、前記記憶媒体を前記収納部に収納し、前記収納部の電力供給部から前記記憶媒体へ電力を供給しながら前記キーデータを保持するステップと、を有し、前記保持ステップにおいて、前記ライブラリ装置の移送装置によって前記記憶媒体が前記収納部から取り出される際には、予め設定された認証キーによる認証確認がされた場合のみ前記移送装置の電力供給部からの前記記憶媒体への電力供給を許可する。
【0011】
また、本件の収納装置は、1以上のデータ記憶装置を収納した状態で可搬されライブラリ装置に収納される可搬式収納装置であって、前記データ記憶装置が、カートリッジケースと、前記カートリッジケース内に装備されデータを格納するとともに、電力供給が遮断されると前記格納されたデータが抹消されるデータ記憶媒体部と、前記カートリッジケース内に装備され前記データ記憶媒体部の前記データを読み書きする読み書き部とをそなえて構成され、前記データ記憶装置を収納可能な収納棚と、バッテリと、前記収納棚において、前記バッテリから前記収納棚内に収納された前記データ記憶装置の前記読み書き部に電力を供給する電力供給部とをそなえる。
【発明の効果】
【0012】
開示の技術では、キーデータ記憶装置のキーデータ記憶媒体部及び読み書き部を装備するケースが、カートリッジ式記録装置のカートリッジケースと同規格であるので、カートリッジ式記録装置と同様にライブラリ装置内に収納できる。これにより、キーデータ記憶装置を収納したライブラリ装置内において、キーデータ記憶装置のキーデータ記憶媒体部に対してカートリッジ式記録装置に記録された暗号化データにかかるキーデータを読み書き部により読み書きすることができる。また、ケースがライブラリ装置内から取り出されるとキーデータ抹消操作部によってキーデータが抹消されるので、キーデータの漏出が防止される。したがって、キーデータを読み取らないと解読できないカートリッジ式記録装置に記録された暗号化データの解読ができず、その機密保持性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の一例としてのキーデータ記憶装置を示す分解斜視図である。
【図2】実施形態の一例としてのキーデータ記憶装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態の一例としてのキーデータ記憶装置の揮発性記憶媒体の記憶情報を説明する図である。
【図4】実施形態の一例としてのマガジンが収納されるライブラリ装置の一例を示す斜視図である。
【図5】実施形態の一例としてのライブラリ装置のマガジンを出し入れするアクセス部を示す一面側の要部斜視図である。
【図6】実施形態の一例としてのライブラリ装置の一面側のカバーを開放させて示す斜視図である。
【図7】実施形態の一例としてのライブラリ装置のカバーを全面開放させて示す斜視図である。
【図8】実施形態の一例としてのライブラリ装置の構成要素の配置を模式的に示す上面図である。
【図9】実施形態の一例としてのハードウェア構成を示す図である。
【図10】実施形態の一例としてのライブラリ装置側の移送装置に設けられた電力供給部及び送受信部を有する把持部を示す斜視図である。
【図11】実施形態の一例としての移送装置の把持部にキーデータ記憶装置が把持された状態を示す斜視図である。
【図12】実施形態の一例としての移送装置の電力供給部とキーデータ記憶装置の電力供給用端子との接続状態を示す斜視図である。
【図13】実施形態の一例としての移送装置からキーデータ記憶装置への電力供給状態を示すブロック図である。
【図14】実施形態の一例としてのライブラリ装置側に装備される収納棚に設けられた電力供給部を示す斜視図である。
【図15】実施形態としての電力供給系統を有するマガジンの第1例を示す斜視図である。
【図16】実施形態としてのライブラリ装置側に装備されるマガジンの電力供給系統を示すブロック図である。
【図17】実施形態としての電力供給系統を有するマガジンの第2例を示す斜視図である。
【図18】実施形態としての移送装置の送受信部とキーデータ記憶装置の読み取り部(ICタグ)との信号の授受を説明するブロック図である。
【図19】実施形態としての移送装置を通じたカートリッジ式記録装置のデータ暗号化処理を示すフローチャートである。
【図20】実施形態としての移送装置を通じたカートリッジ式記録装置のデータ復号処理を示すフローチャートである。
【図21】実施形態としての移送装置とキーデータ記憶装置との間の認証処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、本件にかかるキーデータ記憶装置及びライブラリ装置の実施の形態を説明する。
〔概要〕
まず、実施形態のライブラリ装置及びキーデータ記憶装置にかかる概要を説明する。
一般に、ライブラリ装置は、大型コンピュータシステムのデータをバックアップする外部記憶装置として備えられ、多数のカートリッジ式記録装置(以下、可搬性記録媒体とも言う)が収納される。可搬性記録媒体としては、例えば、磁気テープカートリッジ,フレキシブルディスク,光ディスク,リールに巻回された磁気テープ等がある。ここでは、磁気テープを記録媒体に用いた磁気テープカートリッジを可搬性記録媒体として用いる場合を説明する。なお、以下、磁気テープカートリッジを、単に、テープカートリッジともいう。
【0015】
本ライブラリ装置では、テープカートリッジに記憶されるデータを暗号化データに処理して記録し、この暗号化データにかかるキーデータ(以下、暗号化キーとも言う)を、カートリッジ式記録装置のメモリに格納する。したがって、テープカートリッジに記憶されるデータを解読するには、その対象のテープカートリッジの暗号化データにかかる暗号化キーを入手し、テープカートリッジの暗号化データを復号しなくてはならず、セキュリティが高められている。
【0016】
ただし、暗号化キーが漏出してはならない。そこで、カートリッジ式記録装置同様のカートリッジ式の記憶装置に揮発性記憶媒体(以下、揮発性メモリとも言う)を用いて暗号化キーを格納し、カートリッジ式記憶装置自体が不正に持ち出されたら、揮発性メモリへの電力供給が遮断されるようにしている。また、万一、カートリッジ式記憶装置自体が所定の箇所から取り出された場合にも、揮発性メモリへの電力供給まで考慮して不正に暗号化キーを入手しようとした場合に備えて、認証キーによる確認処理を経て電力供給を実施するようにしている。つまり、認証キーが確認されない場合は、揮発性メモリへの電力供給を遮断する処理が用意されている。
〔キーデータ記憶装置〕
次に、キーデータ記憶装置について説明する。キーデータ記憶装置1は、図1に示すように、ケース(カートリッジケース)11内に、キーデータ記憶媒体部としての揮発性記憶媒体12と、読み書き部としての非接触式ICタグ13と、不正アクセス対応部としてのスイッチ14と装備している。さらに、キーデータ記憶装置1は、揮発性メモリに電力を供給する電力供給用端子15a〜15dを装備している。キーデータ記憶装置については、カートリッジ型であるため、以下、カートリッジ型メモリとも言い、その揮発性記憶媒体12については、以下、揮発性メモリ(RAM、又は、単に、メモリ)とも言う。
【0017】
ケース11は、一面側ケース部分11aと他面側ケース部分11bとに二つ割れしていて、基板16を挟んで両ケース部分11a,11bが重合され4隅をボルト17によって共締めされることによりカートリッジ型メモリ1が形成される。基板16上には、揮発性メモリ12,及びスイッチ14が設置され、ケース11の両ケース部分11a,11bが重合締結されると、揮発性メモリ12,ICタグ13及びスイッチ14はケース11の内部に収容される。基板16の端部には、電力供給用端子15a〜15dが固定され、ケース11の両部分11a,11bが重合締結されると、電力供給用端子15a〜15dはケース1外部の所定位置に露出する。
【0018】
基板16には、図示しない配線がプリントされ、カートリッジ型メモリ1には基板16を通じて図2に示すような回路が構成されている。つまり、揮発性メモリ12には、給電線16bを通じて電力供給用端子15aが、給電線16cを通じて電力供給用端子15cが、それぞれ接続されている。電力供給用端子15aには後述するライブラリ装置側又はマガジン側の電力供給部から電力供給が可能になっている。電力供給用端子15cには後述する移送装置の把持部に相当するロボットのハンド側の電力供給部から電力供給が可能になっている。ライブラリ装置側,マガジン側の電力供給用端子15b及びハンド側の電力供給用端子15dについては接地されている。ライブラリ装置側,マガジン側の電力供給部から電力供給を受ける電力供給用端子15a,15bを第1の電力供給用端子とし、ロボット側の電力供給部から電力供給を受ける電力供給用端子15c,15dを第2の電力供給用端子とする。
【0019】
ICタグ13は、ICチップ内に、制御部としてのCPU13aと、記憶部としてのROM(不揮発性メモリ)13b及びEEPROM(電気的に消去可能なプログラマブルROM)13cと、レシーバ13d及びトランスミッタ13eとが備えられる。これらのCPU13a,ROM13b,EEPROM13c,レシーバ13d及びトランスミッタ13eはいずれも通信回路16aに接続されている。ICタグ13には、さらに、外部と非接触で送受信するアンテナ(コイル)13fと、レギュレータ13gとが備えられている。レシーバ13dはアンテナ13fへの入力信号を受信し、トランスミッタ13eはアンテナ13fからの出力信号を生成する。レギュレータ13gはアンテナ13fへ入力された電波から電磁誘導により発生させた交流電圧を直流電圧に整流し、ICチップ内の各電力消費要素13a〜13eに供給する。ICタグ13の通信回路16aは、揮発性メモリ12に接続されている。なお、いわゆるICカードもICタグ13と同様に機能するので、ここでは、ICカードもICタグ13に含めるものとする。
【0020】
スイッチ14は、例えば電界効果トランジスタ(FET)が用いられ、移動装置(ロボット)の把持部(ハンド)側の電力供給部に接続される電力供給用端子15cと揮発性メモリ12との間の給電線16cに介装される。このスイッチ14は、ロボット側からの給電開始時に、ロボット側からの認証キー信号に応じて作動し、予め設定された認証キー信号を受けると、給電線16cを閉成(オン)し、揮発性メモリ12への給電を実施する。一方、予め設定された認証キー信号を受けらないと、スイッチ14は、給電線16cを強制開成(オフ)し、揮発性メモリ12への給電を遮断する。揮発性メモリ12は給電が遮断されると、記憶されたデータは揮発、即ち、抹消されることになる。
【0021】
従って、カートリッジ型メモリ1においては、予め設定された認証キー信号による認証が正常に行なわれない場合には、不正アクセスである、すなわち、規定外の排出動作であるとして、揮発性メモリ12に格納されたキーデータが抹消される。
なお、ここでは、ハンド側の認証キー信号をスイッチ14に送るための端子及び送信線を図2中に破線で記載しているが、接地線と一本の信号線(兼電力供給線)だけでデータ転送を行なうバス規格を用いて、破線で記載の端子及び送信線を省略してより簡素に構成してもよい。
【0022】
このようなカートリッジ型メモリ1のケース11には、ライブラリ装置2内に収納されるテープカートリッジのカートリッジケースと同規格、つまり、同一形状且つ同寸法でカートリッジ構造として同一機能を有するものが用いられている。これにより、ケース11は、ライブラリ装置2の収納棚に収納可能に構成されている。そして、カートリッジ型メモリ1は、通常は、後述するライブラリ装置内の所定の収納棚に収納され、揮発性メモリ12には、上記テープカートリッジに記録される暗号化データに関するキーデータ(暗号化キー)が例えば図3に例示するように格納される。
【0023】
そして、第1の電力供給用端子15a,15b,第2の電力供給用端子15c,15d及びスイッチ14により、キーデータ抹消操作部が構成される。つまり、第1の電力供給用端子15a,15bは、カートリッジ型メモリ1の収納棚への収納時には揮発性メモリ12に給電し、メモリ1が収納棚から外されると揮発性メモリ12への給電を遮断する位置に配置される。したがって、第1の電力供給用端子15a,15bは、カートリッジ型メモリ1(ケース11)がライブラリ装置2内の収納棚から取り出されると揮発性メモリ12に記憶されたキーデータを抹消するキーデータ抹消操作部として機能する。
【0024】
また、スイッチ14は、カートリッジ型メモリ1がロボット24(図7〜図9参照)に適正に把持されると閉成(オン)し、第2の電力供給用端子15c,15dから揮発性メモリ12へ給電する。一方、スイッチ14は、カートリッジ型メモリ1がロボット24以外のものに不適正に把持されると開成(オフ)し、第2の電力供給用端子15c,15dから揮発性メモリ12への給電を遮断する。したがって、スイッチ14及び第2の電力供給用端子15c,15dは、カートリッジ型メモリ1(ケース11)がライブラリ装置2内から取り出されると揮発性メモリ12に記憶されたキーデータを抹消するキーデータ抹消操作部として機能する。
〔ライブラリ装置〕
ここで、図4〜図9を参照して、ライブラリ装置を説明する。
【0025】
図4〜図8に示すように、ライブラリ装置2は、筐体(ケース)21内に、データを保存するカートリッジ式記録装置としてのテープカートリッジ(単に、媒体とも言う)3(図11,図15参照)を多数収納する収納スペースである多数の収納棚(以下、セルともいう)22を備えている。また、筐体21内には、テープカートリッジ3のデータを読み書きするための記録再生装置(以下、ドライブともいう)23、及び、テープカートリッジ3をセル22とドライブ23との間で移送する移送装置としてロボット24を備えている。
【0026】
そして、ライブラリ装置2は、図9に示すように、1又は複数の外部のホストコンピュータ(ここでは、2台のホストコンピュータ28a,28bを示す)とインタフェース27a,27bを介して接続されたコントローラ27を有する。また、ライブラリ装置2のインタフェース27a,27b及び各ドライブ23は、スイッチング装置29を介してホストコンピュータ28a,28bと接続される。これにより、何れかのホストコンピュータ28a,28bによってロボット24及び各ドライブ23の操作を行なって、所要のテープカートリッジ3を所要のドライブ23に移送してデータの読み書きを行なうことができる。なお、ホストコンピュータについて個々に区別しない場合は、符号28で示す。
【0027】
ところで、このライブラリ装置2では、テープカートリッジ3を装置内外に出し入れするためのマガジン機構を有している。このマガジン機構は、図5に示すように、複数のテープカートリッジ3を収容するマガジン(可搬式収納装置)25と、筐体21の一面に設けられたカートリッジ投入排出機構部(CAS:Cartridge Access Station)26a,26bとを有している。テープカートリッジ3は、マガジン25内にセル22と同構造で設けられた収納棚(以下、セルともいう)25a(図15参照)内に収納される。そして、テープカートリッジ3は、マガジン25を投入側のCAS26aに投入することにより、筐体21内に収納され、マガジン25を排出側のCAS26bから排出することにより、筐体21内から排出される。
【0028】
ロボット24は、把持部としてアーム241を有し、このアーム241によってテープカートリッジ3を把持して、テープカートリッジ3が収納されているセル22とドライブ23との間で移送する。また、ロボット24は、投入されたマガジン25内のテープカートリッジ3を所要のセル22に移送し収納する。
当然ながら、テープカートリッジ3は一定規格(つまり、一定の形状及び大きさ)に形成されたカートリッジケース31内にテープ(記録媒体)等が収められている。各セル22及びマガジン25内のセル25aは、このカートリッジケース31の規格に対応したスペース形状に形成されている。
【0029】
カートリッジ型メモリ1のケース11は、前述のようにテープカートリッジ3のカートリッジケース31と同規格である。そこで、カートリッジ型メモリ1も、テープカートリッジ3と同様に、各セル22及びマガジン25内のセル25a内に収納でき、また、ロボット24のアーム241によって把持することができる。
ここで、ロボット24のアーム241について説明する。アーム241には、図10に示すように左右に対を成したピッカ部242,242が装備されている。また、本実施形態では、ピッカ部242の近傍には暗号化キー及び暗号化,復号にかかる情報を生成し、暗号化キーをカートリッジ型メモリ1に読み書きするリーダライタ244が内蔵される。
【0030】
各ピッカ部242は、図示しないアクチュエータによって枢軸242p回りに図10に矢印A2で示すように回転駆動され、カートリッジケース31又はカートリッジ型メモリ1のケース11のケース両端面を把持しうる。つまり、まず、アーム241を、図10に矢印A1で示すように、ケース31又は11の一端311又は111側に所定位置まで接近させる。そして、ピッカ部242,242を各先端が互いに接近するように回転駆動させ、ピッカ部242,242によりケース31又は11の一端側両側面312又は112が把持される。
【0031】
特に、各ピッカ部242の把持面242aには、爪部242bが互いに接近するように突出形成され、ケース31又は11の一端側両側面312又は112には、この爪部242b,242bが嵌入しうる凹所313又は113が形成される。この爪部242b,242bの凹所313又は113への嵌入により、図11に示すように、ピッカ部242,242がケース31又は11を適正な姿勢で把持しうる。
【0032】
また、各ピッカ部242には、把持面242aから突出した突起部243aを有し、導電性の高い銅板等を使用して形成され図示しない電源に接続された電力供給片(第2電力供給部)243が備えられている。カートリッジ型メモリ1のケース11には、前述の電力供給用端子15c,15dがロボット24のアーム241に対応して設けられる。
そして、図12に示すように、各ピッカ部242,242がケース11の一端側両側面112,112を把持すると各電力供給片243の突起部243aが電源供給用端子15c,15dに圧接する。これにより、図13に示すように、ライブラリ装置2側の電源から電力供給片243,電力供給端子15cを通じてカートリッジ型メモリ1の揮発性メモリ12に電力が供給される仕組みになっている。
【0033】
一方、各セル22或いは特定のセル22の内壁、及びマガジン25内の各セル25a或いは特定のセル25aの内壁にも、図14に示すように、突起部221a,251aを有する電源に接続された電力供給片221,251が互いに対向して装備される。電力供給片221は第1の電力供給部に相当し、電力供給片251は第3の電力供給部に相当する。ケース11をセル22,25a内に所定の姿勢で収納すると、電力供給片221,251の突起部221a,251aが、ケース11の他端側両側面114に形成された凹所115(図11参照)内の電力供給用端子15a,15b(図2参照)に当接する。
【0034】
電力供給用端子15a,15bは、前述のように、カートリッジ型メモリ1のケース11に設けられ、セル22,25aの各電力供給片221,251の突起部221a,251aが電源供給用端子15a,15bに圧接する。これにより、ライブラリ装置2側の電源又はマガジン25内の電源から電力供給片221,251,電力供給端子15aを通じてカートリッジ型メモリ1の揮発性メモリ12に電力が供給される仕組みになっている。
【0035】
なお、マガジン25については、図15に示すように、内部にバッテリ30が装備され、マガジン25のケース表面にはバッテリ30を充電するための充電用端子30aが設けられる。マガジン25をライブラリ装置2にセットすると、CAS26aにそなえられたコネクタ(図示省略)を介してライブラリ装置2側の電源(図示略)に充電用端子30aが接続する。これにより、バッテリ30にはライブラリ装置2側の電源から電力が供給され常に充電される仕組みになっている。すなわち、CAS26aにそなえられたコネクタが、充電用端子30aに電力を供給する第4の電力供給部として機能する。
【0036】
したがって、バッテリ30には常時電力が充電されており、マガジン25を装置2から取り出して持ち運ぶ際にも、図16に示すように、カートリッジ型メモリ1の揮発性メモリ12は電源の供給を受け、揮発性メモリ12のデータが消去しない仕組みとなっている。
なお、マガジンの形態には、図17に示すような形態のものもある。図16に示すマガジン25´の場合、バッテリ30´が装備され、バッテリ30´を充電するための充電用端子30a´が設けられる。バッテリ30´には常時電力が充電され、バッテリ30´からセル25a´内のカートリッジ型メモリ1の揮発性メモリ12に電力が供給される。
【0037】
なお、ライブラリ装置2側では、カートリッジ型メモリ1の揮発性メモリ12に暗号化キーを記憶させる処理と、カートリッジ型メモリ1からこの記憶された暗号化キーを入手することが必要である。本実施形態では、ロボット24のハンド241に装備したリーダライタ244によって、揮発性メモリ12への暗号化キーの記憶処理と、揮発性メモリ12からの暗号化キーの入手処理とを何れも行なうようにしている。ただし、ロボット24側では、揮発性メモリ12からの暗号化キーの入手処理のみを行なえればよく、揮発性メモリ12への暗号化キーの記憶処理は他の装置を用いて行なってもよい。
【0038】
本実施形態では、ロボット24側と揮発性メモリ12との間での暗号化キーの授受は、ロボット24のハンド241によりカートリッジ型メモリ1をセル22から取り出した上で行なう。
そして、図18に示すように、リーダライタ244に、指定されたテープカートリッジ3に記録するデータにかかる暗号化情報が暗号化キー情報と共にライブラリ装置2のコントローラ27から入力される。詳細には、コントローラ27のライブラリ制御系271からシステムインタフェイス制御部272及び交信制御部273を介して入力される。リーダライタ244では、この入力された暗号化キーを、アンテナ部244aを介してカートリッジ型メモリ1の非接触式ICタグ13にアンテナ13fを通じて送信する。非接触式ICタグ13では、CPU13aによって暗号キーを揮発性メモリ12に書き込む(図2,3参照)。
【0039】
すなわち、ICタグ13において、レーシーバ13dが暗号化キーを受信する受信部として機能する。又、CPU13aは、暗号化キーを揮発性メモリ12に記憶させる処理や揮発性メモリ12に記憶されたキーデータを読み出す処理を行なう制御部として機能する。更に、トランスミッタ13eは、CPU13aによって読み出された暗号化キーを発信する発信部として機能する。
【0040】
また、リーダライタ244のアンテナ部244aから暗号化キーの呼び出し要求信号が発せられると、カートリッジ型メモリ1の非接触式ICタグ13では、アンテナ13fを通じてこれを受信して、ロボット24側に認証キー信号を要求する。ロボット24側からの認証キー信号が予め入力された所定の信号であれば、揮発性メモリ12に記憶された暗号キーをアンテナ13fからアンテナ部244aに送信する。リーダライタ244では、送信された暗号化キーと共に復号情報を交信制御部273及びシステムインタフェイス制御部272を介してライブラリ制御系271に出力する。
【0041】
なお、ロボット24側からの認証キー信号が所定の信号でなければ、カートリッジ式メモリ1では、前述のように、スイッチ14が作動し給電線16cを強制的にオフとし、揮発性メモリ12への給電を遮断する(図2参照)。これにより、揮発性メモリ12に記憶されたデータは抹消される。
また、例えば、地理的に離れた場所に設けられた複数のデータセンタ間でカートリッジ型メモリ1を移動させる場合には、カートリッジ型メモリ1をマガジン25内に収納した状態で搬送する。
【0042】
マガジン25,25´においては、マガジン25,25´を装置2から取り出した状態でも、カートリッジ型メモリ1の揮発性メモリ12はバッテリ30,30´からの供給を受け、揮発性メモリ12のデータが消去しない。
また、この移動過程において、第3者等がマガジン25,25´からカートリッジ型メモリ1を抜き出すと、カートリッジ型メモリ1の揮発性メモリ12への給電が遮断され、これにより、揮発性メモリ12に記憶されたデータは抹消される。従って、カートリッジ型メモリ1の搬送中においてキーデータが漏えいするおそれがなく、データの機密保持性を高めることができる。
〔作用、効果〕
本実施形態にかかるキーデータ記憶装置(カートリッジ型メモリ)1及びライブラリ装置2は上述のように構成されるので、カートリッジ型メモリ1及びライブラリ装置2では、以下のようにデータの記録処理を行なう。なお、ここでは、記録対象のデータをデータAとし、記録対象のテープカートリッジ(媒体)3を媒体3Aとし、媒体3Aのドライブ23をドライブ23Aとする。
【0043】
図19に示すように、ライブラリ装置2では、外部のホストコンピュータ28からデータAを記録すべき媒体3Aをそのドライブ23Aに移動する移動命令を受信すると(ステップS11)、ロボット24によるカートリッジ型メモリ1の確認が行なわれる(ステップS12)。そして、ロボット24は、カートリッジ型メモリ1に媒体3AへのデータAの暗号化キーの書き込みが済んでいるか否かを判断する(ステップS13)。
【0044】
データAの暗号化キーの書き込みが済んでいなければ、暗号化キーを生成してカートリッジ型メモリ1の揮発性メモリ12に暗号化キーを書き込む(ステップS14)。
そして、ドライブ23Aに暗号化キーを授与して(ステップS15)、ロボット24による媒体3Aのドライブ23Aへの移送を実施する(ステップS16)。データAを暗号化して媒体3Aに記録(バックアップ)する(ステップS17)。その後、ロボット24により、データAを暗号化して記録された媒体3Aをドライブ23Aから所定のセル22Aに戻す。
【0045】
これにより、その後、媒体3Aが持ち出されたとしても、カートリッジ型メモリ1から暗号化キーを入手しない限り、媒体3A内に記録(バックアップ)されたデータAは解読することができない。
一方、図20に示すように、ライブラリ装置2が、外部のホストコンピュータ28からの媒体3Aに暗号化されて記録されたデータAの読み取り命令を受信すると(ステップS31)、ロボット24によるカートリッジ型メモリ1の揮発性メモリ12に記憶された暗号化キーの読み取りが行なわれる(ステップS32)。つまり、ロボット24はハンド241によりカートリッジ型メモリ1をセル22から取り出した上でリーダライタ244によって揮発性メモリ12の暗号化キーを読み取る。
【0046】
そして、ドライブ23Aに読み取った暗号化キーを授与して(ステップS33)、ロボット24による媒体3Aのドライブ23Aへの移送を実施する(ステップS34)。その後、媒体3Aに暗号化され記録されたデータAを暗号化キーを用いて復号して読み取る(ステップS35)。その後、ロボット24により、データAを暗号化して記録された状態の媒体3Aをドライブ23Aから所定のセル22Aに戻す。
【0047】
なお、ロボット24からデータAにかかる暗号化キーの入手する際には、カートリッジ型メモリ1を収納されたセル22又は25aから取り出すことが必要である。この時、カートリッジ型メモリ1の揮発性メモリ12への給電を、セル22又は25a側からの電力供給系統からロボット側からの電力供給系統に切り替えることが必要になる。通常であれば、カートリッジ型メモリ1をセル22又は25aから取り出したらロボット側からの電力供給系統を確保しない限り揮発性メモリ12への給電は絶たれる。
【0048】
しかし、カートリッジ型メモリ1からデータAにかかる暗号化キーが、ロボット24以外の給電装置を有する手段によって不正に取り出されて読み取られるおそれを考慮して、これを防止するために、カートリッジ型メモリ1のスイッチ14が、以下の処理を行なう。
つまり、カートリッジ型メモリ1の電力供給用端子15cに電力が供給される状態になると、カートリッジ型メモリ1のスイッチ14側から認証キー要求が発せられ、これに応答して、図21に示すように、ロボット24による認証キーが送信される(ステップS21)。ここで、スイッチ14側では送信された認証キーが適合するかを判断して(ステップS22)、認証キーが適合すれば(規定内)カートリッジ型メモリ1への通電を開始する(ステップS23)。一方、認証キーが適合しなければ、不正アクセス(規定外)であるとして、カートリッジ型メモリ1への通電を行なわない(ステップS24)。
【0049】
ロボット24側には、認証キーが予め入力されているので、認証キーが適合することとなり、メモリ1への通電が開始される。したがって、カートリッジ型メモリ1を収納されたセル22又は25aから取り出したとしても、メモリ1の揮発性メモリ12への給電はロボット24側から続行して行なわれ、揮発性メモリ12に記憶された暗号化キーは保存される。これに対して、ロボット24以外の給電装置を有する手段によって不正に読み取られようとしても、適合する認証キーを送信することができない。これにより、カートリッジ型メモリ1を収納されたセル22又は25aから取り出したところで、規定外の排出動作時となり、メモリ1の揮発性メモリ12への給電は停止され、揮発性メモリ12に記憶された暗号化キーは消滅し漏出しない。
【0050】
したがって、媒体3Aが持ち出されたとしても暗号化キーの情報が漏出しないため、媒体3A内のデータが読み取られることはなく、データの機密保持性を大幅に高めることができる。特に、カートリッジ型メモリ1はテープカートリッジ3と同形状,同寸法であり、ロボット24によってテープカートリッジ3と同様に扱うことができるので、ロボット24を通じて暗号化キーの管理を容易にしながら、機密保持性を高めることができる。
〔その他〕
以上の開示により、本実施形態を当業者によって実施することが可能である。
【0051】
また、本実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施してもよい。
例えば、上記の実施の形態では、揮発性メモリを用いて、電力供給が遮断されると揮発性メモリに記憶された暗号化キーが消滅するという極めて簡素な構成を採用しているが、他のメモリを用いて、暗号化キーのセキュリティを図ってもよい。
つまり、ケース11(即ち、カートリッジ式記録装置1)がライブラリ装置2内から取り出されると、特定条件でなければキーデータ記憶媒体部12に記憶された暗号化キーを抹消操作する仕組みにして、例えば、特定条件としては上記の認証キーによる認証が得られた場合とする。この場合には、キーデータ記憶媒体部12に揮発性メモリ以外のメモリを適用することも可能になる。
【0052】
なお、上記実施形態では、認証キーによる認証の完了を条件に、第2の電力供給用端子15cから揮発性メモリ12への給電を絶って揮発性メモリ12の暗号化キーを消滅させているが、データの機密保持のための認証キーの利用はこれに限らない。例えば、メモリ12に記憶された暗号化キーのICタグ13からの発信条件に認証キーを用いてもよい。つまり、暗号化キーの呼び出し要求に対して認証キーによる認証を行ない、認証ができなければ暗号化キーの呼び出し要求には答えないというロジックを採用する。これによれば、万一、カートリッジ型メモリ1がセル22又は25aから取り出すことなく不正に暗号化キーの呼び出しが行なわれた場合にも、認証キーが分からない限りICタグ13からの発信は行なわれない。したがって、データの機密保持性を一層高めることができる。
【0053】
また、上記の実施の形態では、カートリッジ式記録装置として磁気テープカートリッジを例示したが、フレキシブルディスク,光ディスク等の他の可搬性記録媒体に関する記録装置であってもカートリッジ式のものであれば適用可能である。
〔付記〕
(付記1)
暗号化データにかかるキーデータを格納するキーデータ記憶装置であって、
ライブラリ装置内に収納可能なカートリッジケースと、
前記カートリッジケース内に装備され前記暗号化データにかかるキーデータを格納するキーデータ記憶媒体部と、
前記カートリッジケース内に装備され前記キーデータ記憶媒体部の前記キーデータを読み書きする読み書き部とを備え、
前記キーデータ記憶媒体部は、前記カートリッジケースの前記ライブラリ装置内からの規定外の排出動作時に、前記キーデータが抹消されることを特徴とする
キーデータ記憶装置。
【0054】
(付記2)
前記キーデータ記憶媒体部は、電力供給が遮断されると前記格納されたキーデータが抹消される揮発性記憶媒体であって、
前記カートリッジケースに装備されて、前記ライブラリ装置側に設けられた電力供給部と通電して前記揮発性記憶媒体へ電力を供給する電力供給用端子を有している付記1記載のキーデータ記憶装置。
【0055】
(付記3)
前記読み書き部への給電アクセスに対して予め設定された認証キーによって確認して不正アクセス時には前記電力供給用端子から前記揮発性記憶媒体への電力供給が遮断される付記2記載のキーデータ記憶装置。
(付記4)
前記電力供給用端子として、前記カートリッジケースが前記ライブラリ装置内の収納棚に収納された状態で前記収納棚に前記電力供給部として設けられた第1の電力供給部から前記キーデータ記憶媒体部に電力供給する第1の電力供給用端子と、カートリッジ式記録装置を移動する移動装置の把持部に前記電力供給部として設けられた第2の電力供給部から前記キーデータ記憶媒体部に電力供給する第2の電力供給用端子と、を有している付記2又は3記載のキーデータ記憶装置。
【0056】
(付記5)
前記第2の電力供給用端子と前記キーデータ記憶媒体部との間の給電線に介装され、前記読み書き部への給電アクセスに対して予め設定された認証キーによって確認して不正アクセス時には前記第2の電力供給用端子から前記揮発性記憶媒体への電力供給を遮断するスイッチを有している付記4記載のキーデータ記憶装置。
【0057】
(付記6)
前記読み書き部は、前記キーデータを受信する受信部と、前記キーデータを前記キーデータ記憶媒体部に記憶させる処理及び前記キーデータ記憶媒体部に記憶された前記キーデータを読み出す処理を制御する制御部と、読み出された前記キーデータを発信する発信部とを有する付記1〜5の何れか1つに記載のキーデータ記憶装置。
【0058】
(付記7)
前記読み書き部は、ICタグ若しくはICカードにより構成されている付記6記載のキーデータ記憶装置。
(付記8)
暗号化データを記録されるカートリッジ式記録装置を収納しうるライブラリ装置であって、
前記キーデータ記憶装置及び前記カートリッジ式記録装置が収納される収納スペースと、
前記カートリッジ式記録装置に前記暗号化データを記録再生する記録再生装置と、
前記カートリッジ式記録装置を把持部により把持して、前記収納スペースと前記記録再生装置との間で移送する移送装置とを備え、
前記収納スペースには、前記暗号化データのキーデータを格納し電力供給の遮断により格納された前記キーデータが抹消されるキーデータ記憶媒体部と、前記キーデータ記憶媒体部に対して前記キーデータを読み書きする読み書き部と、ライブラリ装置側に設けられた電力供給部から前記キーデータ記憶媒体部へ電力を供給する電力供給用端子とを、当該収納スペースに収納可能なカートリッジケース内に装備されてなるキーデータ記憶装置が、収納可能であって、
前記把持部は、前記キーデータ記録装置を把持すると前記キーデータ記憶装置の前記電力供給用端子に電力を供給しうる電力供給部を有する、ライブラリ装置。
【0059】
(付記9)
前記ライブラリ装置内の収納棚に前記電力供給部として設けられた第1の電力供給部と、前記把持部に前記電力供給部として設けられた第2の電力供給部とをそなえ、
前記キーデータ記憶装置の前記電力供給用端子として、前記ケースが前記ライブラリ装置内の前記収納棚に収納された状態で前記第1の電力供給部からの前記キーデータ記憶媒体部に電力供給する第1の電力供給用端子と、前記移動装置の前記把持部に把持された状態で前記第2の電力供給部から前記キーデータ記憶媒体部に電力供給する第2の電力供給用端子と、を有している付記8記載のライブラリ装置。
【0060】
(付記10)
前記キーデータ記憶装置には、前記キーデータ記憶媒体部に格納された前記キーデータへのアクセスに対して予め設定された認証キーによって確認して不正アクセス時には前記電力供給用端子から前記キーデータ記憶媒体部への電力供給を遮断するデータ抹消操作部を有する付記8又は9記載のライブラリ装置。
【0061】
(付記11)
前記移送装置は、前記読み書き部から情報を読み書きする送受信部を有する付記8〜10のいずれか1つに記載のライブラリ装置。
(付記12)
前記送受信部は、前記読み書き部へのアクセス時の前記キーデータ記憶装置からの認証キー要求に対し、前記の予め設定された認証キーを送信する付記11記載のライブラリ装置。
【0062】
(付記13)
前記データ抹消操作部は、前記第2の電力供給用端子と前記キーデータ記憶媒体部との間の給電線に介装され、前記読み書き部への給電アクセスに対して予め設定された認証キーによって確認して不正アクセス時には前記第2の電力供給用端子から前記キーデータ記憶媒体部への電力供給を遮断するスイッチを有している付記12記載のライブラリ装置。
【0063】
(付記14)
前記キーデータ記憶装置の前記読み書き部は、前記キーデータを受信する受信部と、前記キーデータを前記キーデータ記憶媒体部に記憶させる処理及び前記キーデータ記憶媒体部に記憶された前記キーデータを読み出す処理を制御する制御部と、読み出された前記キーデータを発信する発信部とを有する付記8〜13の何れか1つに記載のライブラリ装置。
【0064】
(付記15)
前記読み書き部は、ICタグ若しくはICカードにより構成されている付記14記載のライブラリ装置。
(付記16)
前記カートリッジ式記録装置を収納棚内に収納したマガジンを投入及び排出するカートリッジ投入排出機構部を有し、
前記マガジン内にバッテリが搭載されると共に、前記マガジンの前記収納棚には前記バッテリから前記収納棚内に収納された前記キーデータ記憶装置の前記読み書き部に電力を供給する第3の電力供給部が設けられている付記8〜15の何れか1つに記載のライブラリ装置。
【0065】
(付記17)
前記マガジンには、前記バッテリに電力を充電する充電用端子が設けられ、前記カートリッジ投入排出機構部には前記充電用端子に電力を供給する第4の電力供給部が設けられている付記16記載のライブラリ装置。
(付記18)
ライブラリ装置内の収納部に収納され暗号化データを記録されるカートリッジ式記録装置の該暗号化データにかかるキーデータを、電力供給の遮断により格納されたデータが抹消される記憶媒体に格納するステップと、
前記記憶媒体を前記収納部に収納し、前記記憶媒体への電力供給は前記収納部の電力供給部から行ない前記キーデータを保持するステップと、を有し、
前記保持ステップにおいて、前記ライブラリ装置の移送装置によって前記記憶媒体が前記収納部から取り出される際には、予め設定された認証キーによる認証確認がされないと前記移送装置の電力供給部からの前記記憶媒体への電力供給を遮断する
キーデータ管理方法。
【0066】
(付記19)
ライブラリ装置内の収納部に収納され暗号化データを記録されるカートリッジ式記録装置の該暗号化データにかかるキーデータを、電力供給の遮断により格納されたデータが抹消される記憶媒体に格納するステップと、
前記記憶媒体を前記収納部に収納し、前記記憶媒体への電力供給は前記収納部の電力供給部から行ない前記キーデータを保持するステップと、を有し、
前記保持ステップにおいて、前記記憶媒体に保持された前記キーデータの出力が要求されると、予め設定された認証キーによる認証確認がされたことを条件に前記キーデータの出力を実施する
キーデータ管理方法。
【0067】
(付記20)
1以上のデータ記憶装置を収納した状態で可搬されライブラリ装置に収納される可搬式収納装置であって、
前記データ記憶装置が、カートリッジケースと、前記カートリッジケース内に装備されデータを格納するとともに、電力供給が遮断されると前記格納されたデータが抹消されるデータ記憶媒体部と、前記カートリッジケース内に装備され前記データ記憶媒体部の前記データを読み書きする読み書き部とをそなえて構成され、
前記データ記憶装置を収納可能な収納棚と、
バッテリと、
前記収納棚において、前記バッテリから前記収納棚内に収納された前記データ記憶装置の前記読み書き部に電力を供給する電力供給部とをそなえることを特徴とする、収納装置。
【符号の説明】
【0068】
1 キーデータ記憶装置(カートリッジ型メモリ)
2 ライブラリ装置
3 カートリッジ式記録装置としてのテープカートリッジ(媒体)
11 ケース
12 キーデータ記憶媒体部としての揮発性記憶媒体(揮発性メモリ,RAM)
13 読み書き部としての非接触式ICタグ
13a 制御部としてのCPU
13b 記憶部としてのROM(不揮発性メモリ)
13c 記憶部としてのEEPROM
13d レシーバ
13e トランスミッタ

13f アンテナ(コイル)
13g レギュレータ
14 不正アクセス対応部としてのスイッチ(キーデータ抹消操作部)
15a,15b 第1の電力供給用端子(キーデータ抹消操作部)
15c,15d 第2の電力供給用端子(キーデータ抹消操作部)
16 基板
16a 通信回路
16b,16c 給電線
21 筐体(ケース)
22 収納棚(セル)
221 電力供給片(第1の電力供給部)
23 記録再生装置(ドライブ)
24 移送装置としてロボット
241 アーム
242 ピッカ部
243 電力供給片(第2電力供給部)
244 リーダライタ
25,25´ マガジン
25a 収納棚(セル)
27 コントローラ
251 電力供給片(第3の電力供給部)
27a,27b インタフェース
28,28a,28b ホストコンピュータ
26a,26b カートリッジ投入排出機構(CAS)
30,30´ バッテリ
30a 充電用端子
31 カートリッジケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化データにかかるキーデータを格納するキーデータ記憶装置であって、
ライブラリ装置内に収納可能なカートリッジケースと、
前記カートリッジケース内に装備され前記暗号化データにかかるキーデータを格納するキーデータ記憶媒体部と、
前記カートリッジケース内に装備され前記キーデータ記憶媒体部の前記キーデータを読み書きする読み書き部とを備え、
前記キーデータ記憶媒体部は、前記カートリッジケースの前記ライブラリ装置内からの規定外の排出動作時に、前記キーデータが抹消されることを特徴とするキーデータ記憶装置。
【請求項2】
前記キーデータ記憶媒体部は、電力供給が遮断されると前記格納されたキーデータが抹消される揮発性記憶媒体であって、
前記カートリッジケースに装備されて、前記ライブラリ装置側に設けられた電力供給部と通電して前記揮発性記憶媒体へ電力を供給する電力供給用端子を有している請求項1記載のキーデータ記憶装置。
【請求項3】
前記読み書き部への給電アクセスに対して予め設定された認証キーによって確認して不正アクセス時には前記電力供給用端子から前記揮発性記憶媒体への電力供給が遮断される請求項2記載のキーデータ記憶装置。
【請求項4】
暗号化データを記録されるカートリッジ式記録装置を収納しうるライブラリ装置であって、
前記キーデータ記憶装置及び前記カートリッジ式記録装置が収納される収納スペースと、
前記カートリッジ式記録装置に前記暗号化データを記録再生する記録再生装置と、
前記カートリッジ式記録装置を把持部により把持して、前記収納スペースと前記記録再生装置との間で移送する移送装置とを備え、
前記収納スペースには、前記暗号化データのキーデータを格納し電力供給の遮断により格納された前記キーデータが抹消されるキーデータ記憶媒体部と、前記キーデータ記憶媒体部に対して前記キーデータを読み書きする読み書き部と、ライブラリ装置側に設けられた電力供給部から前記キーデータ記憶媒体部へ電力を供給する電力供給用端子とを、当該収納スペースに収納可能なカートリッジケース内に装備されてなるキーデータ記憶装置が、収納可能であって、
前記把持部は、前記キーデータ記録装置を把持すると前記キーデータ記憶装置の前記電力供給用端子に電力を供給しうる電力供給部を有する、ライブラリ装置。
【請求項5】
ライブラリ装置内の収納部に収納され暗号化データを記録されるカートリッジ式記録装置の該暗号化データにかかるキーデータを、電力供給の遮断により格納されたデータが抹消される記憶媒体に格納するステップと、
前記記憶媒体を前記収納部に収納し、前記記憶媒体への電力供給は前記収納部の電力供給部から行ない前記キーデータを保持するステップと、を有し、
前記保持ステップにおいて、前記ライブラリ装置の移送装置によって前記記憶媒体が前記収納部から取り出される際には、予め設定された認証キーによる認証確認がされないと前記移送装置の電力供給部からの前記記憶媒体への電力供給を遮断する
キーデータ管理方法。
【請求項6】
1以上のデータ記憶装置を収納した状態で可搬されライブラリ装置に収納される可搬式収納装置であって、
前記データ記憶装置が、カートリッジケースと、前記カートリッジケース内に装備されデータを格納するとともに、電力供給が遮断されると前記格納されたデータが抹消されるデータ記憶媒体部と、前記カートリッジケース内に装備され前記データ記憶媒体部の前記データを読み書きする読み書き部とをそなえて構成され、
前記データ記憶装置を収納可能な収納棚と、
バッテリと、
前記収納棚において、前記バッテリから前記収納棚内に収納された前記データ記憶装置の前記読み書き部に電力を供給する電力供給部とをそなえることを特徴とする、収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−18095(P2011−18095A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160431(P2009−160431)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】