説明

キーボタン照光構造および、これを有する携帯機器

【課題】携帯機器の小型化および薄型化のために、キーボタンをその照光以外に利用される発光部の光源を用いて照光させられる構造を提供する。
【解決手段】本願のキーボタン照光構造は、カメラ機能付き携帯電話のケース2の表面に設けられたカメラ撮影用の発光部とキーボタン3を有する。キーボタン3は、一端部がケース2内にて発光部のLED5の周囲に配置され、他端部がボタン部10としてケース2の表面に露出されている。さらに、キーボタン3は、LED5の周囲からケース2の内壁へと延びる、透光性を有する材料からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器におけるキーボタンの照光構造に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器に配設されるキーボタンは、暗がりでもユーザがキー操作できるように、キーボタンをこの背後から照光する構造を備える。
【0003】
昨今、携帯機器の小型化および高機能化が進み、さらにユーザビリティの向上や省電力化が求められている。例えば携帯電話の場合には、複数のキーボタンが電話本体の正面や側面に配設されているが、キーボタン毎にLEDを配置すると省電力化の要求に応えられない。
【0004】
そこで特許文献1では、一つのLEDからの光を複数のキーボタンに導くための導光部を有するキーボタンの照光構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−510820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に示される構造は、キーボタンの照光にそれ専用のLEDと導光板を必要とする。そのため、LEDを搭載するために基板上の実装面積が必要であり、携帯機器の小型化および薄型化の弊害になる場合がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、携帯機器の小型化および薄型化のために、キーボタンをその照光以外に利用される発光部の光源を用いて照光させられる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、キーボタンを有する携帯機器の、該キーボタンをこの後ろ側から照光するキーボタン照光構造に係るものである。上記課題を解決するための態様の一つは、携帯機器のケースの表面に設けられた発光部と、一端部がケース内にて発光部の光源の周囲に配置され、かつ他端部がボタン部としてケースの表面に露出されている1つまたは複数個のキーボタンと、を有する。このキーボタンは、該光源の周囲からケースの内壁へと延びる、透光性を有する材料からなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キーボタンをその照光以外に利用される発光部の光源を用いて照光させることができ、携帯機器の小型化および薄型化への対応が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるキーボタン照光構造を適用した携帯機器の一実施例を示す斜視図。
【図2】図1に示した携帯機器のケース内の分解図。
【図3】図1に示した携帯機器に備わるキーボタンの詳細図。
【図4】図1に示した携帯機器のケースにキーボタンが組み込まれた状態を示す図。
【図5】図1に示した携帯機器のキーボタン付近に沿って切断したケース内部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明によるキーボタン照光構造を適用した携帯機器の一実施例を示し、(a)は正面側の斜視図、(b)は背面側の斜視図である。
【0013】
図1に示される本実施例の携帯機器1はカメラ機能を備えた折畳み式携帯電話であり、このような携帯電話1を構成するケース2には、カメラ4を操作するためのキーボタン3が配設されている。また、キーボタン3やカメラ4を備えたケース2の表面には、カメラ撮影用のLED5を有する発光部が設けられている。尚、発光部はカメラ撮影用途に限られず、携帯機器から離れている対象を照明するのに使用されるものであればよい。
【0014】
ケース2内の分解図を図2に示す。図2(a)は携帯電話の正面側から見た分解図、図2(b)は携帯電話の背面側から見た分解図である。図2(a),(b)に示すように、ケース2内にキーボタン3が予め組み込まれ、さらに、ケース内に、LED5が実装された基板6、キーフレーム7及びキーシート8がこの順番に組み込まれる。キーシート8は携帯電話に必要な複数の操作キーの内容が表示されたシートであり、キーフレーム7はユーザの指での各操作キーの押し込みを基板6に伝えるものである。基板6は上記LED5以外にも、携帯電話の様々な機能を制御するための電子部品を備える。
【0015】
さらに、キーボタン3の詳細を図3に示す。図3(a)はキーボタン3を上面側から見た斜視図、図3(b)はキーボタン3を底面側から見た斜視図である。キーボタン3は、透光性を有するラバー(ゴム)で構成されているラバー部9と、該ラバー部の一端部に接合され、透光性を有する樹脂で構成されているボタン部10とを有する。ラバー部9には、ケース2内に基板6が組み付けられたときに基板6上のLED5が対応して配置される穴11が形成されている。
【0016】
次に、ケース2にキーボタン3が組み込まれた状態を図4に示す。図4の(a)〜(c)に従ってキーボタン3をケース2内に組み込む様子を表してある。図4に示すように、キーボタン3はケース2に組み込まれる際、中央で折り曲がった状態(図4(b))にされて、ケース2内に実装される(図4(c))。この実装状態では、キーボタン3がケース2の内壁2aとリブ2bの間のスペースに収められる。このとき、ラバー部9の反力(キーボタン3が展開して元に戻ろうとする力)が発生しているので、キーボタン3がケース2の内壁2aとリブ2bに圧着する。これにより、他に固定用パーツを使うことなく、キーボタン3の固定が可能となる。さらに、上記ラバー部9の反力によって、押されたボタン部10は自動的に元の位置に戻ることができるため、キーボタン復帰用の弾性部材を用意する必要がない。
【0017】
さらに、携帯機器1のキーボタン3付近に沿って切断したケース内部の断面図を図5に示す。図5(a)は携帯機器1のカメラ撮影用LED5が配設されているケース2の背面図、図5(b)は図5(a)のA−A断面図、図5(c)は図5(b)のa部の拡大詳細図である。これらの図から分かるように、ケース2内にキーボタン3、基板6、キーフレーム7およびキーシート8が組み付けられたとき、キーボタン3のラバー部9は折り曲げられて、ケース2の内壁とリブ2bの間のスペースに収められ、かつ、キーボタン3のボタン部10がケース2の開口2cに嵌合して開口2cから露出する。そして、基板6上のカメラ撮影用のLED5はキーボタン3のラバー部9に形成された穴11内に位置し、ボタン部10は基板6上のスイッチ機構12と当接可能になっている。また、LED5はキーボタン3のすぐ近くに配置されているLEDであり、キーボタン3はラバー部9及びボタン部10が透光素材でできている。
【0018】
このような構成により、カメラ撮影用LED5が発光すると、ラバー部9を導光体としてボタン部10にLED5の光が伝達し、キーボタン3を照光する(図5(c)中の矢印参照)。つまり、キーボタン照光専用のLEDを用意することなくキーボタン3を照光することが可能である。
【0019】
以上の説明ではキーボタン3は1つだが、LED5の近くであればキーボタン3を複数個用意することも可能である。とりわけ、LED5とキーボタン3との距離に関して一部のキーボタンが他のキーボタンよりも遠くなっても、LED5の本来の用途であるカメラ撮影用(すなわち高輝度)の特性を生かすことで複数のキーボタンの照光が可能である。その際、LED5と各々のキーボタン3との距離の違いに伴って各キーボタン3の照光の強さが異なることも考えられるが、それぞれのキーボタン3と繋がるラバー部9の厚み及び/又は外形を調整することで各々のキーボタン3を均一に照光させることも可能である。
【0020】
また、ラバー部9の、穴11の周囲部からボタン部10に繋がる導光部分を除いた箇所のラバー部9の表面に例えば黒色の印刷を施して該箇所からの光出射を遮ることにより、必要以上に携帯機器1の内部が発光することを抑制することも可能である。
【0021】
さらに、カメラ撮影用LED5はカメラ撮影の際には比較的強い光を発光する必要があるが、キーボタン3を照光する際はソフト制御によりLED5の光量を必要最小限にすることで、消費電力を抑制することも可能である。
【0022】
勿論、本発明によるキーボタン照光構造は、上記したようなカメラ機能を備えた折畳み式携帯電話以外であっても、光源でキーボタンを照光する構造を含む物であればいかなる物にも適用可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 携帯機器
2 ケース
2a 内壁
2b リブ
3 キーボタン
4 カメラ
5 カメラ撮影用のLED
6 基板
7 キーフレーム
8 キーシート
9 キーボタンのラバー部
10 キーボタンのボタン部
11 穴
12 スイッチ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器に設けられているキーボタンを該キーボタンの背後から照光するキーボタン照光構造であって、
前記携帯機器のケースの表面に設けられた発光部と、
一端部が前記ケース内にて前記発光部の光源の周囲に配置され、かつ他端部がボタン部として前記ケースの表面に露出されているキーボタンであり、該光源の周囲から前記ケースの内壁へと延びる、透光性を有する材料からなる1つまたは複数個のキーボタンと、
を有することを特徴とするキーボタン照光構造。
【請求項2】
請求項1に記載のキーボタン照光構造であって、
前記発光部は、前記携帯機器から離れている対象を照明するのに使用されるものであり、前記光源はLEDであることを特徴とするキーボタン照光構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のキーボタン照光構造であって、
前記キーボタンは透光性を有するラバー部材を有し、前記ボタン部は前記ラバー部材の一端に接合された透光性を有する材料からなり、
前記ラバー部材が折り曲げられた状態で前記ケース内に組み付けられて前記ラバー部材の一端が前記ケースの内壁に圧着され、該一端に接合された前記ボタン部が前記ケースの表面に露出されていることを特徴とするキーボタン照光構造。
【請求項4】
請求項3に記載のキーボタン照光構造であって、
前記ラバー部材に形成された穴の内側に前記光源が配置されていることを特徴とするキーボタン照光構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のキーボタン照光構造であって、
前記キーボタンを複数個有する場合、一つの前記光源とそれぞれの前記キーボタンとの距離の差に応じて、それぞれの前記キーボタンにおける、前記光源の周囲から前記ケースの内壁へと延びる部分の厚み及び/又は外形が変更されていることを特徴とするキーボタン照光構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のキーボタン照光構造であって、
前記キーボタンにおける、前記光源の周囲から前記ケースの内壁へと延びる部分を除いた箇所では該箇所の表面からの光出射が遮られていることを特徴とするキーボタン照光構造。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載のキーボタン照光構造を有する携帯機器であって、前記携帯機器はカメラを備え、前記発光部は該カメラでの撮影時に適宜使用される発光部であり、前記キーボタンは該発光部の近くに配置されるキーボタンであることを特徴とする携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−209183(P2012−209183A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75173(P2011−75173)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】