説明

キーボードモジュールおよびその製造方法

【課題】より薄型のキーボードモジュールを提供し、且つ製造コストを低減する。
【解決手段】ベース、前記ベース上に配置された底部、前記底部に接続され、前記底部から離れた方向に沿って延伸する湾曲部、および前記湾曲部に接続された上部をそれぞれ含む複数の保持部材、およびそれに対応する前記上部の1つの上にそれぞれ配置される複数のキーキャップを含み、前記キーキャップが外部の力によって押圧された後、前記上部は、前記キーキャップによって当接され、前記湾曲部が変形されるキーボードモジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーボードモジュールに関し、特に、スリムキーボードモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
キーボードは、例えば、携帯型パソコンなど、ほとんど全ての電子装置に一般的に用いられている。小型化が携帯型パソコンに求められているため、携帯型パソコンに配置される全ての構成要素は、薄型、且つ軽量でなければならない。しかしながら、携帯型パソコンの厚さと重さを占める部分は、キーボードにある。
【0003】
図1を参照に、図1は、従来のキーボードモジュールが表されている。従来のキーボードモジュール1は、キャップ10、2つの支柱(post)20および30、ボタンベース(button base)40、およびゴム部材50を含む。2つの支柱20および30は、はさみ状の方式で互いに旋回する。2つの支柱20および30の各端部は、円形の突出部21および31を有し、キャップ10およびボタンベース40は、それぞれの固定孔11および41を有し、円形の突出部21および31は、固定孔11および41に納められる。よって、キャップ10は、支柱20および30によってボタンベース40に支持され、キャップ10は、ボタンベース40に対応して垂直に移動される。外部の力がキャップ10にかけられた時、キャップ10は、ボタンベースに対応して静的に移動することができる。外部の力がキャップ10にかからなくなった時、ゴム部材50は、復元力を提供し、キャップ10をその元の位置に戻す。
【0004】
しかしながら、このようなはさみ状の構造は、組み立て作業を難しくし、薄型電子装置の要求を妨げる、多くの構成要素を組み合わせることを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より薄型のキーボードモジュールを提供し、且つ製造コストを低減する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これに鑑みて、本発明の主な目的は、キーボードモジュールに用いる末端(end use)製品の厚さが減少され得る、より薄型のキーボードモジュールを提供することにある。本発明の他の目的は、キーボードモジュールの必要な要素を減少し、組立作業を簡略化し、製造コストを減少することにある。
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明は、ベース、複数の保持部材、および複数のキーキャップを含むキーボードモジュールを提供する。各保持部材は、底部、湾曲部、および上部を含む。底部は、ベースに配置される。湾曲部は、底部に接続され、底部から離れた方向に沿って延伸する。上部は、湾曲部に接続される。キーキャップは、それに対応する上部の1つの上にそれぞれ配置される。キーキャップが外部の力によって押圧された後、上部は、キーキャップによって当接され、湾曲部は変形される。
【0008】
本発明の他の目的は、上述のキーボードモジュールを製造する方法を提供することである。当該方法は、薄膜を提供するステップ、薄膜上に複数の弾性部材を配置するステップ、薄膜上に弾性部材に対応した複数の保持部材を配置するステップ、および、弾性部材、キーパッド、および保持部材に沿って薄膜を回路板に接続するステップを含む。
【発明の効果】
【0009】
よって、上述のキーボードモジュールの必要な要素の数は、大幅に減少されることができる。また、キーボードモジュールの平面構造の特徴により、キーキャップの動作プロファイル(moving profile)は、減少されるため、その厚さは縮小される。また、保持部材によって発生されるフィードバック力により、押圧されている時、キーキャップは均衡を保つことができ、ユーザーがキーキャップをたたく時、ユーザーは快適な感覚を感じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、添付の図面と併せて後に続く詳細な説明と実施例を解釈することによって、より完全に理解されることができる。
【図1】従来のキーボードモジュールの断面図を示している。
【図2】本発明の好ましい実施形態のキーボードモジュールの上面を示している。
【図3】本発明の好ましい実施形態のキーボードモジュールの部分的分解図を示している。
【図4A】図3の保持部材の概略図を示している。
【図4B】本発明のもう1つの実施形態の保持部材の概略図を示している。
【図5】キーキャップが押圧されていない本発明の好ましい実施形態に基づいたキーボードモジュールの断面図である。
【図6】図2のラインB−Bに沿った本発明の好ましい実施形態のキーボードモジュールの断面図である。
【図7】キーキャップが押圧されている本発明の好ましい実施形態のキーボードモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、本発明を実施するベストモードが開示されている。この説明は、本発明の一般原理を例示する目的のためのもので本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の請求の範囲を参考にして決定される。
【0012】
図2〜図6を参照すると、図5は、図2のラインA−Aに沿った断面図であり、図6は、図2のラインB−Bに沿った断面図である。図解を簡略化するために、図3では、要素110、120、150、および170の部分的な構造のみが表されている。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、キーボードモジュール100は、ベース110、支持フレーム120、複数の保持部材130、複数のキーキャップ140、フロントフレーム150、複数の弾性部材160、回路版170、および複数のボルト180を含む。ベース110は、少なくとも1つの凹陥部111およびプレート112を含む。プレート112の表面から突出した凹陥部111は、ボルト孔111aを有する。
【0014】
複数の開口125は、支持フレーム120に形成される。例示的な実施形態では、支持フレーム120は、ボルト締めによってベース110に配置され、各ボルト180の延伸部182は、ボルト孔111aを通過し、支持フレーム120に接続され、ボルト180のヘッド部181は、凹陥部111(図5)に配置され、キーボードモジュール100の厚さを更に減少する。しかしながら、ベース110および支持フレーム120の接続機構は、これに限定されるものではない。例えば、支持フレーム120は、熱硬化処理(thermal setting)によってベース110に固定されることができる。
【0015】
保持部材130は、支持フレーム120の開口125に配置される。保持部材130は、変形可能な要素であり、外部の力がそこにかけられた時、保持部材130は、変形し、外部の力が除去された後、その元の形状に反発して戻る。例示的な実施形態では、保持部材130は、シリコン材料で作られた軟らかいパッドであるが、これに限定されるものではない。
【0016】
図4Aおよび図5を参照に、保持部材130は、底部131、4つのスルーホール133、および抑制(規制)ユニット(restrained unit)135を含む。底部131は、回路板170に接続され(底部131と回路板170の組み立て作業の詳細は後に説明される)、且つ内側に延伸する4つのリブ部1311を含む。抑制ユニット135は、底部131の中央に実質的に配置され、底部131から延伸し、キーキャップ140を支持する。具体的に言うと、各抑制ユニット135は、4つの湾曲部(bending portion)1351、上部1353、および開口1355を含む。4つの湾曲部1351は、リブ部1311にそれぞれ接続され、ベース110から離れた方向に沿って延伸する。上部1353は、4つの湾曲部1351の末端に接続され、開口1355は、上部1353の中央に実質的に配置される。4つのスルーホール133は、各2つの湾曲部1351と各2つのリブ部1311の間にそれぞれ配置される。即ち、4つのスルーホール133は、保持部材130の4つの角(隅)に形成される。
【0017】
図4Bを参照に、保持部材の構造的な特徴は、上述の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態では、各保持部材130’は、底部131’、4つのスルーホール133’、および抑制ユニット135’を含む。抑制ユニット135’は、底部131’の中央に実質的に配置され、4つの湾曲部1351’、上部1353’、および開口1355’を含む。湾曲部1351’は、ベース110から離れた方向に沿って延伸する。上部1353’は、湾曲部1351’の末端に接続され、開口1355’は、上部1353’の中央に実質的に配置される。4つのスルーホール133は、ベース131’の4つの角(隅)に形成される。
【0018】
図3および図5を参照に、キーパッド140は幅Wを有し、押圧面141、フランジ142、底面144、および4つの保持翼(maintaining wing)143を含む。フランジ142は、押圧面141を囲み、押圧面141から離れた方向に沿って延伸する。保持翼143は、フランジ142の4つの角に配置され外側に延伸する。
【0019】
押圧面141に相反する底面144は、上部1353に接続される。1つの例示的な実施形態では、保持部材130およびキーキャップ140は、一体成形される(その製造方法は後に説明される)が、これに限定されるものではない。他の実施形態では、キーキャップ140と保持部材130は、接着剤によって互いに接着される。
【0020】
フロントフレーム150は、支持フレーム120上に配置される。図5に示されるように、1つの代表的な実施形態では、フロントフレーム150の底面は、接着剤190によって支持フレーム120の上面に接合される。複数の開口155は、フロントフレーム150に形成され、各開口155は、支持フレーム120の開口125の1つにそれぞれ対応する。キーキャップ140は、開口155に配置され、キーキャップ140の保持翼143は、フロントフレーム150の底面に接続され、且つ第1間隙Gは、支持フレーム120と各キーキャップ140のフランジ142との間に形成される。1つの例示的な実施形態では、より薄型のキーボードを作製する目的を達成させるために、フロントフレーム150は、優れた伸展性を有する金属で作られ、フロントフレーム150の厚さを減少することができる。
【0021】
幅W(図5)を有する弾性部材160は、保持部材130に配置され、回路板170に配置される。具体的に言えば、各弾性部材160は、4つの湾曲部1351の間に配置され、開口1355を通過してキーキャップ140の底面144に接続する。1つの例示的な実施形態では、弾性部材160は、ゴム材料で作られるがこれに限定されるものではない。圧縮を受けた後、元の形状に再形成され得る任意の材料が本発明の弾性部材として用いられることができる。
【0022】
回路板170は、ベース110のプレート112に配置される。この実施形態では、回路板170は、押圧力を検出し、信号を発生させるフレキシブルプリント回路板である。
【0023】
図5を参照に、キーボードモジュール100を製造する方法は、薄膜(membrane)195(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))を提供するステップ、薄膜195上に複数の弾性部材160を配置するステップ、各弾性部材160に対応した複数の保持部材130を配置するステップ、弾性部材160および保持部材130に沿って薄膜195を回路板170に接続するステップ、およびベース110、支持フレーム120、フロントフレーム150、およびキーキャップ140を組み立てるステップを含む。
【0024】
他の実施形態では、上述のキーボードモジュール100を製造する方法は、薄膜195(例えばPET)を提供するステップ、薄膜195上に複数の弾性部材160を形成するステップ、二重射出成形技術によって、各保持部材130上にキーキャップ140を形成するステップ、一体成形された各保持部材130とキーキャップ140を薄膜195上の対応する弾性部材160それぞれに配置するステップ、薄膜195を保持部材130、キーキャップ140、および弾性部材160に沿って回路板170に接続するステップ、およびベース110、支持フレーム120、およびフロントフレーム150を組み立てるステップを含む。
【0025】
キーボードモジュール100の作動方法は、以下のように表される。図5および図7を参照に、図5は、キーキャップが押圧される前の本発明の好ましい実施形態のキーボードモジュール100の断面図であり、図7は、キーキャップが押圧されている本発明の好ましい実施形態のキーボードモジュール100の断面図である。
【0026】
キーキャップ140が押圧される前、キーキャップ140は、保持部材130および弾性部材160によって支持され、保持部材130の機械的強度により、キーキャップ140の底面144は、保持部材130の上部1353によって支持される。よって、キーキャップ140は、常に均衡が保たれる。
【0027】
図7を参照に、キーキャップ140の中の1つの押圧面141が外部の力によって押圧された時、保持部材130の上部1353は、キーキャップ140の底面144によって均一に当接され、湾曲部が変形される。同時に、弾性部材160は、下方に変形され、回路板170を作動し、信号を発生させる。
【0028】
キーキャップ140からの力は、上部1353によって均一に分散されるため、動作されている時、均衡を保たれることができる。一方、弾性部材160の力フィードバックによって提供される接触の感覚がユーザーによって感じられることができる。よって、ユーザーは、長時間のキーキャップ140の使用の後でも疲れを感じない。また、キーキャップ140を押圧する必要な力は、開口1355の4つの角に形成されたスルーホール133の配置によって減少される。
【0029】
押圧面141が外部の力によって押圧されない時、弾発力は、保持部材130および弾性部材160によって提供されるため、図5に示されるような状態に、キーキャップ140を戻すことができる。保持部材130および弾性部材160によって発生された弾発力は、キーキャップ140をそこから脱離させる可能性がある。これを防ぐために、プルバック力がフロントフレーム150の底部に接続された保持翼143によって提供される。プルバック力は、保持部材130と弾性部材160によって発生された弾発力と第1間隙G1を乗じた大きさを有するトルクに等しい。
【0030】
一方、図1および図5を参照に、キーキャップの下方の機構構造により、従来のキーボードモジュール1(図1)のゴム部材50の体積は、制限されている。しかしながら、キーボードモジュール1の使用寿命は、ゴム部材50の体積によって直接決定される。なぜならば一旦ゴム部材50が疲労すると、キーキャップ10は、その元の位置に反発して戻ることができない。逆に、従来のキーボードモジュールと異なるキーボードモジュール100は、ベース110とキーキャップ140との間に配置された支持フレーム30を含まない。よって、弾性部材160を受ける空間が増加される。1つの例示的な実施形態では、弾性部材160の幅Wは、キーキャップ140の幅W2の80パーセントより大きい。よって、弾性部材160の使用寿命は、大幅に増加される。
【0031】
この発明は、実施例の方法及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本発明は、これらを限定するものではないことは理解される。逆に、種々の変更及び同様の配置をカバーするものである(当業者には明白なように)。よって、添付の請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。
【符号の説明】
【0032】
1 キーボードモジュール
10 キャップ
11、41 固定孔
20、30 支柱
21、31 突出部
40 ボタンベース
50 ゴム部材
100 キーボードモジュール
110 ベース
111 凹陥部
111a ボルト孔
112 プレート
120 支持フレーム
125 開口
130 保持部材
131 底部
1311 リブ部
133 スルーホール
135 抑制ユニット
1351 湾曲部
1353 上部
1355 開口
140 キーキャップ
141 押圧面
142 フランジ
143 保持翼
144 底面
150 フロントフレーム
155 開口
160 弾性部材
170 回路版
180 ボルト
181 ヘッド部
182 延伸部
190 接着剤
195 薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース、
前記ベースに配置された底部、
前記底部に接続され、前記底部から離れた方向に沿って延伸する湾曲部、
前記湾曲部に接続された上部をそれぞれ含む複数の保持部材、および
それに対応する前記上部の1つの上にそれぞれ配置される複数のキーキャップを含み、
前記キーキャップが外部の力によって押圧された後、前記上部は、前記キーキャップによって当接され、前記湾曲部は変形される、
キーボードモジュール。
【請求項2】
前記保持部材の間に配置された複数の弾性部材を更に含む
請求項1に記載のキーボードモジュール。
【請求項3】
前記弾性部材の各々は、第1幅を有し、前記キーキャップの各々は、第2幅を有し、前記第1幅は、第2幅の80%より大きい
請求項2に記載のキーボードモジュール。
【請求項4】
前記弾性部材および前記保持部材は、前記薄膜上に配置される
請求項2に記載のキーボードモジュール。
【請求項5】
前記底部の各々は複数のリブ部をそれぞれ含み、前記湾曲部の数は、複数であり、前記リブ部の各々は内側に延伸し、前記湾曲部の1つに接触する
請求項1に記載のキーボードモジュール。
【請求項6】
前記保持部材の各々は、前記リブ部の各々の2つの間および前記湾曲部の各々の2つの間に形成された複数のスルーホールを含む
請求項1に記載のキーボードモジュール。
【請求項7】
前記スルーホールは、前記保持部材の各々の4つの角に配置される
請求項6に記載のキーボードモジュール。
【請求項8】
支持フレーム、および
前記支持フレームに接続されたフロントフレームを更に含み、
前記支持フレームおよび前記フロントフレームは、複数の開口をそれぞれ含み、前記支持フレームの前記開口は、前記フロントフレームの前記開口にそれぞれ対応し、前記キーパッドおよび前記保持部材は、前記支持フレームおよび前記フロントフレームの開口に配置される
請求項1に記載のキーボードモジュール。
【請求項9】
前記キーキャップの各々は、外側に延伸され、且つ前記支持フレームに接続された前記フロントフレームの底面に接続された複数の保持翼を含む
請求項8に記載のキーボードモジュール。
【請求項10】
薄膜を提供するステップ、
前記薄膜に複数の弾性部材を配置するステップ、
前記薄膜に前記弾性部材に対応した複数の保持部材を配置するステップ、および
前記弾性部材および保持部材に沿って前記薄膜を回路板に接続するステップを含む
キーボードモジュールの製造方法。
【請求項11】
前記保持部材の各々にキーキャップを形成するステップを更に含み、前記キーキャップおよび前記保持部材は、前記薄膜上に共通に配置される
請求項10に記載のキーボードモジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−89240(P2013−89240A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226061(P2012−226061)
【出願日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【出願人】(509352749)宏碁股▲分▼有限公司 (16)
【氏名又は名称原語表記】ACER INCORPORATED
【Fターム(参考)】