説明

キーレスエントリシステム

【課題】セキュリティ性を確保しつつ、車室外に携帯機があるにもかかわらず、車室内に存在する別の携帯機が車室内に漏れる車室外照合の電波に反応して車両のドアの施錠、解錠ができなくなることを防止する。
【解決手段】特定の携帯機を照合対象として車室外照合および車室内照合を実施して照合対象の携帯機を検出し、車室外照合と車室内照合の両方で照合対象の携帯機が検出されたことを判定した場合、照合対象を別の携帯機に変更して照合手段に車室外照合および車室内照合を実施させ(S110、S112)、照合対象の携帯機が車室外照合で検出され、車室内照合で検出されないと判定した場合、施解錠操作に応じた施解錠制御を実施する(S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、登録された複数の携帯機の照合を行って車両のドアの施錠制御および解錠制御を行うキーレスエントリシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車室内に閉じ込められた携帯機のIDコードを、車室内照合により取得して記憶しておき、車両の駐車時に定期的な車室外照合が行われるとき、記憶したIDコードに基づき、車室外送信機のリクエスト信号に応答してレスポンス信号を返送する携帯機が、車室内に閉じ込められた携帯機であるか否かを判別し、車室内に閉じ込められた携帯機が、車室外送信機のリクエスト信号に応答しない場合には、定期的な車室外照合を継続するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−77665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された装置のように、車室外アンテナから車室外へ照合のための電波を送信して車室外に位置する携帯機20を照合する車室外照合を実施する場合、車室外照合のための電波が車室内に漏れてしまうことがある。そして、車室外照合のための電波が車室内に漏れてしまうと動作に不具合が生じる。
【0005】
具体的には、車室外照合のための電波が車室内(例えば、ドアポケット)に漏れると、車室内の携帯機が車室外照合で誤って検出されてしまい、携帯機を所持していなくても施錠、解錠ができてしまう。このため、車室内照合で携帯機が検出された場合には、車両のドアの施錠、解錠ができないようになっている。
【0006】
しかしながら、車室外に別の携帯機が存在する場合には、車室内に携帯機があっても、車両のドアの施錠、解錠ができるようにするのが好ましい。
【0007】
そこで、車室外照合で検出される携帯機と車室内照合で検出される携帯機が同一か否かを判定することにより車室内(例えば、ドアポケット)に存在する携帯機を特定し、車室内に携帯機があっても、車室外に別の携帯機が存在する場合には、車両のドアの施錠、解錠ができるようにすることが考えられる。しかし、この場合でも、車室内(例えば、ドアポケット)に存在する携帯機により車両のドアの施錠、解錠ができてしまうことがないように、セキュリティ性を確保する必要がある。
【0008】
本発明は上記点に鑑みたもので、セキュリティ性を確保しつつ、車室外に携帯機があるにもかかわらず、車室内に存在する別の携帯機が車室内に漏れる車室外照合の電波に反応して車両のドアの施錠、解錠ができなくなることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、登録された複数の携帯機の照合を行って車両のドアの施解錠を行うキーレスエントリシステムであって、車両のドアの施解錠操作があるか否かを判定する操作判定手段と、操作判定手段により施解錠操作があると判定された場合、特定の携帯機を照合対象として車室外照合および車室内照合を実施して照合対象の携帯機を検出する照合手段と、照合手段により車室外照合と車室内照合の両方で照合対象の携帯機が検出されたことを判定した場合、照合対象を別の携帯機に変更して照合手段に車室外照合および車室内照合を実施させる照合対象変更手段と、を備え、照合手段の照合結果により照合対象の携帯機が車室外照合で検出され、車室内照合で検出されないと判定した場合、施解錠操作に応じた施解錠制御を実施することを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、特定の携帯機を照合対象として車室外照合および車室内照合を実施して照合対象の携帯機を検出し、車室外照合と車室内照合の両方で照合対象の携帯機が検出されたことを判定した場合、照合対象を別の携帯機に変更して照合手段に車室外照合および車室内照合を実施させ、照合対象の携帯機が車室外照合で検出され、車室内照合で検出されないと判定した場合、施解錠操作に応じた施解錠制御が実施されるので、セキュリティ性を確保しつつ、車室外に携帯機があるにもかかわらず、車室内に存在する別の携帯機が車室内に漏れる車室外照合の電波に反応して車両のドアの施錠、解錠ができなくなるといったことを防止することができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明のように、登録された複数の携帯機の全てに対して照合順序の優先順位を規定したテーブルを備え、照合対象変更手段は、テーブルに従って照合対象を順次変更することができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明のように、登録された複数の携帯機の全てに対して照合順序の優先順位を規定したテーブルを備え、照合手段は、テーブルを参照して優先順位の最も高い携帯機を照合対象として車室外照合および車室内照合を実施し、照合対象変更手段は、照合手段により車室外照合と車室内照合の両方で照合対象の携帯機が検出されたことを判定した場合、照合対象を、車室外照合と車室内照合の両方で検出された携帯機の次に優先順位の高い携帯機に変更し、車室外照合と車室内照合の両方で検出された携帯機の優先順位が最下位となるようにテーブルを更新することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るキーレスエントリシステムの構成を示す図である。
【図2】各車室外アンテナの照合エリアと車室内アンテナの照合エリアを示図である。
【図3】第1実施携帯に係る照合ECUによる解錠操作時のフローチャートである。
【図4】照合順序を規定したテーブルについて説明するための図である。
【図5】第2実施携帯に係る照合ECUによる解錠操作時のフローチャートである。
【図6】照合順序の優先順位を示すテーブルについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るキーレスエントリシステムの構成を図1に示す。本キーレスエントリシステムは、車両に搭載され、車両の各部に設けられた車室外アンテナ12a、車室内アンテナ12bから電子キーとして用いられる携帯機20を照合するための電波を送出させ、この電波の送出に応じて携帯機20から返送される応答データの受信判定を行うことにより携帯機20の照合を行い、照合の結果に従って車両のドアの施錠および解錠を行う。
【0015】
本キーレスエントリシステムは、照合ECU10、タッチセンサ11、車室外アンテナ12a、車室内アンテナ12bおよびチューナ13から成る車載器と、携帯機20、メインボデーECU30、ロックモータ40により構成されている。
【0016】
タッチセンサ11は、車両のドアの施錠、解錠の操作を検出するものであり、車両のドアノブの近くに配置されている。タッチセンサ11から照合ECU10へユーザのタッチ操作に応じた信号が出力される。
【0017】
車室外アンテナ12aは、車室外に位置する携帯機20の照合を行うための電波を送信する。本実施形態においては、運転席(D席)、助手席(P席)、運転席側後部座席(DR席)、助手席側後部座席(PR席)、バックドア(BD席)またはトランク(TR)に対応させて、5つの車室外アンテナ12aが車両に取り付けられている。
【0018】
車室内アンテナ12bは、車室内に位置する携帯機20の照合を行うための電波を送信する。
【0019】
チューナ13は、携帯機20より返送される応答データを受信するための装置である。
【0020】
照合ECU10は、CPU、RAM、ROM、EEPROM、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0021】
照合ECU10の処理としては、車室外アンテナ12aから車室外へ照合のための電波を送信させ、この電波に応答して携帯機20より送信される電波を受信して照合を行うことにより車室外に位置する携帯機20を検出する車室外照合、車室内アンテナ12bからから車室内へ照合のための電波を送信させ、この電波に応答して携帯機20より送信される電波を受信して照合を行うことにより車室内に位置する携帯機20を検出する車室内照合等がある。
【0022】
図2に、各車室外アンテナ12aの照合エリアと車室内アンテナ12bの照合エリアを示す。図に示すように、各車室外アンテナ12aより送信される電波の一部は車室内に漏れている。例えば、各車室外アンテナ12aの照合エリアと車室内アンテナ12bの照合エリアの重複している領域(例えば、図中斜線で示す領域X)では、車室内照合と車室外照合の両方で携帯機20が検出される。また、車室内アンテナ12bから送信される電波は車室外に漏れないようになっている。
【0023】
照合ECU10とメインボデーECU30との間は、車両LAN(CAN)を介して接続されている。
【0024】
メインボデーECU30は、CPU、RAM、ROM、EEPROM、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0025】
メインボデーECU30は、車両の各ドアに設けられたロックモータ40を制御して車両のドアの施錠制御および解錠制御を行う。
【0026】
携帯機20には、固有のキーIDが割り当てられており、車両納入時に、複数の正規の携帯機20のキーIDが照合ECU10のEEPROMに記憶されるようになっている。本実施形態では、3つの携帯機(キーA、キーB、キーC)が登録されている。
【0027】
各携帯機20は、車室外アンテナ12a、車室内アンテナ12bより自己のキーIDが含まれる要求信号を受信すると、自己のキーIDを含む応答データを返送するようになっている。
【0028】
照合ECU10は、特定の携帯機20を照合対象として車室外照合および車室内照合を実施し、照合対象の携帯機が車室外照合で検出され、車室内照合で検出されないと判定した場合、車両のドアの施錠操作および解錠操作に応じた施錠制御および解錠制御を実施する処理を行う。
【0029】
図3に、解錠操作時における照合ECU10のフローチャートを示す。照合ECU10は、定期的に図3に示す処理を実施する。なお、車両のドアが施錠されているものとする。
【0030】
まず、スマートアンロック操作があるか否かを判定する(S100)。具体的には、タッチセンサ11よりユーザの解錠操作に応じた信号が入力されたか否かに基づいてスマートロック操作があるか否かを判定する。
【0031】
ここで、タッチセンサ11よりユーザの解錠操作に応じた信号が入力されない場合、S100の判定はNOとなり、S100の判定を繰り返し実施する。
【0032】
また、タッチセンサ11より解錠操作に応じた信号が入力されると、S100の判定はYESとなり、次に、照合順位を示す変数nに1を代入する(S102)。
【0033】
本実施形態では、3つの正規の携帯機(キーA、キーB、キーC)が登録されており、照合ECU10のRAMには、図4に示すように、登録された3つの携帯機(キーA、キーB、キーC)について、照合順序を規定したテーブルが記憶されている。照合ECU10は、このテーブルを参照して照合対象の携帯機20を変更する。ここでは、照合順位を示す変数nに1を代入する。
【0034】
次に、n番目キーIDを取得し、車室外照合により照合対象の携帯機20が検出されたか否かを判定する(S104)。ここでは、n=1であるキーAを照合対象として車室外照合を実施し、車室外照合により照合対象の携帯機20が検出されたか否かを判定する。
【0035】
ここで、車室外照合により照合対象の携帯機20(キーA)が検出された場合、S104の判定はYESとなり、次に、車室内照合を実施し、この車室内照合により照合対象の携帯機20が検出されたか否かを判定する(S106)。すなわち、車室内照合を実施し、この車室内照合でも照合対象の携帯機20(キーA)が検出されたか否かを判定する。
【0036】
ここで、携帯機20(キーA)が、図2に示した領域Xのような、車室内であっても、車室外照合のための電波が漏れている場所に位置する場合、S106の判定はYESとなり、次に、照合順位を示す変数nに1を加える(S110)。
【0037】
次に、照合順位を示す変数nが登録された携帯機20の数(ここでは、3)以下であるか否かを判定する(S112)。ここでは、照合順位を示す変数nが2であるため、S112の判定はYESとなり、S104へ戻る。
【0038】
このように、携帯機20(キーA)が、図2に示した領域Xのような、車室内であっても、車室外照合のための電波が漏れている場所に位置する場合には、解錠制御は実施されない。
【0039】
S104では、再度、n番目キーIDを取得し、車室外照合により照合対象の携帯機20が検出されたか否かを判定する。ここでは、n=2であるキーBを照合対象として車室外照合を実施し、車室外照合により照合対象の携帯機20が検出されたか否かを判定する。
【0040】
ここで、車室外照合により照合対象の携帯機20(キーB)が検出された場合、S104の判定はYESとなり、次に、車室内照合を実施し、この車室内照合により照合対象の携帯機20(キーB)が検出されたか否かを判定する(S106)。すなわち、車室内照合を実施し、この車室内照合でも照合対象の携帯機20(キーB)が検出されたか否かを判定する。
【0041】
ここで、携帯機20(キーB)についても、図2に示した領域Xのような、車室内であっても、車室外照合のための電波が漏れている場所に位置する場合、S106の判定はYESとなり、次に、照合順位を示す変数nに1を加える(S110)。
【0042】
次に、照合順位を示す変数nが登録された携帯機20の数(ここでは、3)以下であるか否かを判定する(S112)。ここでは、照合順位を示す変数nが3であるため、S112の判定はYESとなり、S104へ戻る。
【0043】
このように、携帯機20(キーB)が、図2に示した領域Xのような、車室内であっても、車室外照合のための電波が漏れている場所に位置する場合にも、解錠制御は実施されない。
【0044】
S104では、再度、n番目キーIDを取得し、車室外照合により照合対象の携帯機20が検出されたか否かを判定する。ここでは、n=3であるキーCを照合対象として車室外照合を実施し、車室外照合により照合対象の携帯機20が検出されたか否かを判定する。
【0045】
ここで、車室外照合により照合対象の携帯機20(キーC)が検出された場合、S104の判定はYESとなり、次に、車室内照合を実施し、この車室内照合により照合対象の携帯機20が検出されたか否かを判定する(S106)。
【0046】
ここで、照合対象の携帯機20(キーC)が車室外に位置する場合、この照合対象の携帯機20(キーC)は車室内照合で検出されないため、S106の判定はNOとなり、アンロックを実施する(S108)。具体的には、メインボデーECU30に、車両のドアの解錠を指示する信号を送出する。メインボデーECU30は、この車両のドアの解錠を指示する信号に従ってロックモータ40を制御して車両のドアが解錠される。このように、携帯機20(キーC)が、車室外に位置しており、車室外照合により検出され、車室内照合で検出されない場合、解錠制御が実施される。
【0047】
なお、キーA、キーB、キーCがともに、図2に示した領域Xのような、車室内であっても、車室外照合のための電波が漏れている場所に位置する場合には、S104の判定はYESとなり、S106の判定はYESとなり、S112の判定はNOとなり、解錠制御を実施することなく、S100へ戻る。
【0048】
また、キーA、キーB、キーCがともに、車室内照合エリア内で、かつ、車室外照合エリア外に位置するような場合には、S104の判定はNOとなる。したがって、キーAを照合対象として車室外照合が実施され、次に、キーBを照合対象として車室外照合が実施され、次に、キーCを照合対象として車室外照合が実施されると、S112の判定はNOとなり、解錠制御を実施することなく、S100へ戻る。
【0049】
上記した構成によれば、特定の携帯機を照合対象として車室外照合および車室内照合を実施して照合対象の携帯機を検出し、車室外照合と車室内照合の両方で照合対象の携帯機が検出されたことを判定した場合、照合対象を別の携帯機に変更して照合手段に車室外照合および車室内照合を実施させ、照合対象の携帯機が車室外照合で検出され、車室内照合で検出されないと判定した場合、解錠操作に応じた解錠制御が実施されるので、セキュリティ性を確保しつつ、車室外に携帯機があるにもかかわらず、車室内に存在する別の携帯機が車室内に漏れる車室外照合の電波に反応して車両のドアの解錠ができなくなるといったことを防止することができる。
【0050】
また、上記したように、登録された複数の携帯機の全てに対して照合順序の優先順位を規定したテーブルを備え、テーブルに従って照合対象を順次変更することができる。
【0051】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るキーレスエントリシステムの構成は、図1に示したものと同じである。なお、上記実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。上記第1実施形態に係る照合ECU10は、照合順序を規定したテーブルを参照して照合対象の携帯機20を変更するようになっているが、本実施形態に係る照合ECU10は、照合優先順位を規定したテーブルに従って照合優先順位を変更しながら、照合対象の携帯機20を変更する。
【0052】
図5に、解錠操作時における照合ECU10のフローチャートを示す。照合ECU10は、定期的に図5に示す処理を実施する。なお、車両のドアが施錠されているものとする。
【0053】
まず、照合ECU10は、スマートアンロック操作があるか否かを判定し(S100)、スマートアンロック操作があると判定した場合、次に、照合順位を示す変数nに1を代入し(S102)、車室外照合を実施して照合対象の携帯機20が検出されたか否かを判定する(S104)。
【0054】
本実施形態における照合ECU10のRAMには、図6に示すように、登録された3つの携帯機(キーA、キーB、キーC)について、登録された複数の携帯機の全てに対して照合順序の優先順位を規定したテーブルが記憶されている。照合ECU10は、このテーブルを参照して照合対象の携帯機20を特定する。ここでは、照合優先順位の最も高いキーAを照合対象として、車室外照合を実施し、車室外照合により照合対象の携帯機20が検出されたか否かを判定する。
【0055】
ここで、車室外照合により照合対象の携帯機20(キーA)が検出された場合、S104の判定はYESとなり、次に、車室内照合を実施し、この車室内照合により照合対象の携帯機20が検出されたか否かを判定する(S106)。すなわち、車室内照合を実施し、この車室内照合でも照合対象の携帯機20(キーA)が検出されたか否かを判定する。
【0056】
ここで、携帯機20(キーA)が、図2に示した領域Xのような、車室内であっても、車室外照合のための電波が漏れている場所に位置する場合、S106の判定はYESとなり、次に、この車室外照合と車室内照合の両方で検出された携帯機20(キーA)の優先順位が最下位となるようにテーブルを変更し(S200)、S100へ戻る。
【0057】
このように、携帯機20(キーA)が、図2に示した領域Xのような、車室内であっても、車室外照合のための電波が漏れている場所に位置する場合には、解錠制御は実施されない。
【0058】
次に、照合ECU10は、スマートアンロック操作があるか否かを判定し(S100)、スマートアンロック操作があると判定した場合、照合順位を示す変数nに1を代入し(S102)、キーAの次位に位置付けられていた携帯機20(キーB)を照合対象として、S104、S106の判定を実施する。
【0059】
ここで、例えば、携帯機20(キーB)が車室内に位置し、車室外照合により照合対象の携帯機20が検出されない場合、S104の判定はNOとなり、次に、照合順位を示す変数nに1を加える(S110)。
【0060】
次に、照合順位を示す変数nが登録された携帯機20の数(ここでは、3)以下であるか否かを判定する(S112)。ここでは、照合順位を示す変数nが2であるため、S112の判定はYESとなり、S104へ戻る。
【0061】
このように、車室外照合により照合対象の携帯機20が検出されない場合、解錠制御は実施されない。
【0062】
次に、キーBの次位に位置付けられていた携帯機20(キーC)を照合対象として、S104、S106の判定を実施する。
【0063】
ここで、例えば、携帯機20(キーC)が車室外に位置する場合、S104の判定はYES、S106の判定はNOとなり、アンロックを実施する(S108)。具体的には、メインボデーECU30に、車両のドアの解錠を指示する信号を送出する。メインボデーECU30は、この車両のドアの解錠を指示する信号に従ってロックモータ40を制御して車両のドアが解錠される。このように、携帯機20(キーC)が、車室外に位置しており、車室外照合により検出され、車室内照合で検出されない場合、解錠制御が実施される。
【0064】
上記したように、登録された複数の携帯機の全てに対して照合順序の優先順位を規定したテーブルを備え、照合手段は、テーブルを参照して優先順位の最も高い携帯機を照合対象として車室外照合および車室内照合を実施し、車室外照合と車室内照合の両方で照合対象の携帯機が検出されたことを判定した場合、照合対象を、車室外照合と車室内照合の両方で検出された携帯機の次に優先順位の高い携帯機に変更し、車室外照合と車室内照合の両方で検出された携帯機の優先順位が最下位となるようにテーブルを更新することもできる。
【0065】
(その他の実施形態)
上記第1、第2実施形態では、車両のドアの解錠操作が行われた場合の作動について説明したが、車両のドアの施錠操作が行われた場合にも適用することができる。この場合、S100にてスマートロック操作があるか否かを判定するようにし、S108にてロックを実施するようにすればよい。
【0066】
また、上記第1、第2実施形態では、照合順序を特定するためのテーブルを参照して、照合対象の携帯機20を変更する例を示したが、別の手法を用いて照合対象の携帯機20を変更するようにしてもよい。
【0067】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S100が操作判定手段に相当し、S104、S106が照合手段に相当し、S110S112、S200が照合対象変更手段に相当する。
【符号の説明】
【0068】
10 照合ECU
11 タッチセンサ
12a 車室外アンテナ
12b 車室内アンテナ
13 チューナ
20 携帯機
30 メインボデーECU
40 ロックモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録された複数の携帯機の照合を行って車両のドアの施解錠を行うキーレスエントリシステムであって、
前記車両のドアの施解錠操作があるか否かを判定する操作判定手段と、
前記操作判定手段により前記施解錠操作があると判定された場合、特定の前記携帯機を照合対象として車室外照合および車室内照合を実施して前記照合対象の携帯機を検出する照合手段と、
前記照合手段により前記車室外照合と前記車室内照合の両方で前記照合対象の携帯機が検出されたことを判定した場合、前記照合対象を別の携帯機に変更して前記照合手段に前記車室外照合および前記車室内照合を実施させる照合対象変更手段と、を備え、
前記照合手段の照合結果により前記照合対象の携帯機が車室外照合で検出され、前記車室内照合で検出されないと判定した場合、前記施解錠操作に応じた施解錠制御を実施することを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項2】
前記登録された複数の携帯機の全てに対して照合順序の優先順位を規定したテーブルを備え、
前記照合対象変更手段は、前記テーブルに従って前記照合対象を順次変更することを特徴とする請求項1に記載のキーレスエントリシステム。
【請求項3】
前記登録された複数の携帯機の全てに対して照合順序の優先順位を規定したテーブルを備え、
前記照合手段は、前記テーブルを参照して優先順位の最も高い携帯機を照合対象として前記車室外照合および前記車室内照合を実施し、
前記照合対象変更手段は、前記照合手段により前記車室外照合と前記車室内照合の両方で前記照合対象の携帯機が検出されたことを判定した場合、前記照合対象を、前記車室外照合と前記車室内照合の両方で検出された携帯機の次に優先順位の高い携帯機に変更し、前記車室外照合と前記車室内照合の両方で検出された携帯機の優先順位が最下位となるように前記テーブルを更新することを特徴とする請求項1に記載のキーレスエントリシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−180707(P2012−180707A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45297(P2011−45297)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】