説明

キーレスエントリータッチパッドシステムおよび方法

車両用キーレスエントリータッチパッドシステムは、基板を含み、この基板の1つの表面には複数のタッチゾーンが配置されており、反対の表面には複数の電極パターンが配置されている。各パターンの内側電極は、タッチゾーンのうちの1つに整合しており、各パターンは集積制御回路に電気的に結合しており、この制御回路は、パターンの電極から電界が発生するよう、パターンの電極に信号を出力し、電極を附勢する。電極パターンは、集積制御回路に容量結合できる。対応するタッチゾーンに接近する刺激物により、内側電極の電界が乱されると、部品が附勢される。所定のシーケンスでこれら部品が附勢されると、コントローラは車両のドアをアンロックする。車両をアンロックする方法についても開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2004年12月23日に出願された米国仮特許出願第60/638,159号に基づく優先権を主張するものであり、これら出願の開示内容を参考例として援用する。本願は、いずれも「トラック位置センサおよび方法」を発明の名称とし、2004年12月23日に出願された米国仮特許出願第60/638,197号、2005年12月22日に出願された米国特許出願第 号、「シート制御システム」を発明の名称とし、2004年12月23日に出願された米国仮特許出願第60/638,198号および2005年12月22日に出願された米国特許出願第 号に基づく優先権も主張するものであり、これら出願の開示内容を参考例として援用する。
本発明は、一般的にはキーレスアクセスタッチパッドシステムに関し、より詳細には、車両用キーレスエントリータッチパッドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用キーレスエントリーシステムにより、ユーザーはキーを用いることなく、車両のドアまたはトランクをロックしたり、アンロックできる。リモートキーレスエントリーシステムは一般に、数個のプッシュボタンを含むポケットサイズのケースを一般に含み、プッシュボタンによりドアまたはトランクをアンロックしたり、車両に設置された受信機へ送信されるコード化されたRF信号により、その他の機能を実行するようになっている。ドアに実装されたキーレスエントリーシステムは、一般にドアハンドルの近くに設けられたキーパッドを含み、車両の正当なユーザーが数値的コードを入力すれば、車両に進入できるようになる。かかるキーパッドは他の機能を制御するのにも使用できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の一部のキーパッドは、キーパッドに実装され、制御モジュールにハード配線された機械式スイッチのアレイを含む。キーパッドは一般にドアパネルに固定されている。このように、ドアパネルは一般にキーパッドを受けるための開口部を含む。この開口部が適正に保護されていない場合、周辺の金属パネルが外側の仕上げを腐食したり、破損したりすることがある。更に、キーパッド自身もスイッチを受けるための開口部を含み、これら開口部から、ゴミ、水および他の汚染物がスイッチ内に進入して、スイッチにトラップされ、電気的なショートおよびその他の誤作動を生じさせる潜在的な原因となる。
【0004】
電子的または容量性固体スイッチを使用しているその他のキーレスシステムもある。電子スイッチは、機械式スイッチと異なり、壊れたり摩耗したりする可動部品は含まない。しかしながら、電子スイッチはタッチ表面に汚染物、例えば水やゴミが存在するときに誤作動することがある。これら汚染物によって、意図しないスイッチ動作が生じ得る。車両の外側表面が大量の水、汚物、道路の非産物およびその他の汚染物に曝される場合、電子スイッチを使用するキーレスエントリーシステムは、信頼性のあるものとはならない。更に、多くの電子スイッチは、予測できない態様で電磁波干渉(EMI)がある環境に応答し、次第に厳格となりつつある電磁コンパチビリティ(EMC)の規格を満たすことができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はキーレスアクセスタッチパッドシステムに関する。このシステムは、対向する第1表面と第2表面とを有する誘電基板を含むことが好ましい。第1表面に複数のタッチゾーンが構成され、第2表面に複数の電極パターンを構成することが好ましい。各電極パターンは、タッチゾーンのうちの対応する1つのゾーンに整合する。各電極パターンは第2電極の近くに第1電極を含むことが好ましい。各電極パターンは、内側電極パッドと、この内側電極を実質的に囲む外側電極とを含む。各電極パターン18の電極にはパルス発生回路が電気的に結合されており、これら電極に附勢信号を与えるようになっている。励起信号により電極のまわりに電界が誘導される。刺激物、例えば人の一部が対応するタッチゾーンに接近すると、各電極のまわりの電界が乱される。これら電極は、検出回路に結合されていることが好ましく、検出回路は各電極のまわりの電界の乱れを検出し、この乱れに応答する。各検出回路は、複数の検出回路から受信した信号に応答して、被制御デバイスに信号を送るコントローラに結合されていることが好ましい。電極パターンの近くの基板に設けられた単一の集積回路チップ上にパルス発生回路および検出回路を配置することが好ましい。汚染物がタッチゾーンから基板の回路支持面に移動する可能性を少なくするために、基板の少なくとも電極および関連する回路に近い領域およびタッチゾーン内には進入物がないことが好ましい。タッチゾーンに接触があったことの視覚的フィードバックをしたり、または他の方法でキーパッドを照明するために、発光デバイスを設けることができる。
【0006】
本発明は、容量結合された電極パターンの電界効果タッチセンサ装置にも関する。この装置は、対向する第1表面と第2表面とを有する誘電基板を含むことが好ましい。第1表面には内側電極および外側電極を有することが好ましい電極パターンが配置される。内側電極および外側電極の各々は、第1表面にも配置される対応する容量プレートに電気的に結合されており、第2表面にパルス発生回路および検出回路を配置し、これら回路を第2表面に配置された1つ以上の容量プレートに電気的に結合する。第1表面上のプレートは第2表面上のプレートに容量結合され、よってパルス発生回路および検出回路が電極に電気的に結合されるようになっている。検出回路はコントローラに結合することが好ましい。パルス発生回路および検出回路、並びにコントローラは、これまで説明したように作動する。
【0007】
本発明は、電界効果タッチセンサ装置を使用する自動車のドアをアンロックする方法にも関する。
【実施例】
【0008】
図1は、本発明の第1実施例にかかわる、車両用キーレスエントリータッチパッドシステム10を示す。このシステム10は、サイドビューミラー(M)上にディスプレイされる5つのタッチゾーンZ1〜Z5を有するバーチャルキーパッド12を含む。別の実施例では、タッチゾーンの数を5つよりも多くするか、これよりも少なくしてもよくこれらゾーンは車両の他の外側表面、例えばAピラー(フロントピラー)またはBピラー(センターピラー)、可動もしくは固定されたガラス領域、ドアトリミングおよびトランク/ハッチのトリミングに関連させることができる。
【0009】
図2に最良に示されるように、ミラーMの反射ガラスは外側表面14と内側表面16とを含む。内側表面16は一般に、反射性コーティングを有する。内側表面16には複数の電極パターン18が隣接した状態で配置されており、基板20、例えばプリント回路基板、フレキシブル回路キャリアまたは同等物に電極パターン18を配置することができ、基板20は次に内側表面16に接着したり、内側表面16に載せ、その後、クリップまたは同等物によって所定位置にロックできる。これとは異なり、内側表面16または反射性コーティング、またはそのコーティング上の他の薄膜に直接電極パターン18を貼り付けてもよい。かかる反射性コーティングが導電性となっている実施例では、反射性コーティングと電極パターン18の間に絶縁層を設けなければならない。また、当業者であれば理解できるように、タッチゾーンZ1〜Z5と対応する電極パターン18との間に連続する導電層が存在することにより、タッチゾーンZ1〜Z5の近くにおける電界の発生および後述するような電界センサの作動に悪影響が及ぶ。このように、タッチゾーンZ1〜Z5と電極パターン18との間に導電層を設けないか、または当業者であれば理解できるように、各電極パターン18を含む電極に対応するコーティングの部分をアイソレートするよう、かかる任意の導電性コーティング内に消去ラインを設けることが好ましい。
【0010】
図3に最良に示されるように、各電極パターン18は、内側電極22と、この内側電極22を実質的に囲む外側電極24を含むことが好ましい。各パターン18の内側電極22および外側電極24は、パルス発生回路および検出回路に電気的に結合されている。このパルス発生回路および検出回路は、図2および3に示されるように、単一の集積回路26上に構成することが好ましい。この集積回路26は、基板20の、電極22、24と同じ側20a上か、または基板20の反対側20bのいずれかにおいて、対応する電極パターン18の近くの基板20上に配置することが好ましい。図4に最良に示されるように、集積回路26は、抵抗器R1、R2を通してそれぞれ内側電極22および外側電極24に接続することが好ましい。所定の実施例では、集積回路26の内部に抵抗器R1、R2を設けることができる。図示された実施例では、抵抗器R1、R2は集積回路26の外付けとなっている。
【0011】
集積回路26は、米国イリノイ州ウィートンのタッチセンサテクノロジー、LLCから入手できる、TS−100 ASICであることが好ましい。カルドウェル氏に付与された米国特許第6,320,282号には、このTS−100 ASICの作動の一般的原理が記載されており、本明細書ではこの米国特許を参考例として援用する。図に示された集積回路26のピンアウトは、TS−100 ASICのピンアウトに対応しており、ここではピン1に入力電力(+5ボルト)の接続部があり、ピン2にアース接続部があり、ピン3に信号出力接続部があり、ピン4に外側電極24の接続部があり、ピン5に附勢信号接続部があり、ピン6に内側電極22の接続部がある。
【0012】
集積回路26からの入力電力接続部および信号出力接続部に関連する配線は、図2に最良に示されるように、ハーネスH内に束状にまとめることができる。短時間硬化性ポッティング材料28が、基板20およびハーネスHの端部に重なり、これらをシールすることが好ましい。
【0013】
図4に最良に示されるように、ピン5からの附勢信号により、内側電極22および外側電極24に電気信号が与えられる。ピン5にて、内側電極22および外側電極24の双方に発振出力パルス列または矩形波信号を与えることが好ましい。この発振信号は、約32kHzの周波数で0〜+5ボルトの間で発振する矩形波とすることができる。これとは異なり、発振信号またはストローブ信号は、使用される検出回路に応じ、200kHzまでの周波数またはこれよりも高い周波数を有することができる。更に、このストローブ信号は0〜+3ボルトの間、0〜+12ボルトの間、0〜+25ボルトの間、−5〜+5ボルトの間、またはその他の電圧レンジ内で振動できる。
【0014】
印加された電気信号は内側電極22および外側電極24を附勢し、これら電極22および24のまわりに電界を発生する。図5において点線で最良に示されるように、内側電極22および外側電極24からミラーMを通って電束線が発生する。図1および2に最良に示されるように、ミラーMの外側表面14には複数のタッチゾーンZ1、Z2、Z3、Z4およびZ5が設けられている。各タッチゾーンZ1〜Z5は、パターン18の各々から対応する内側電極22に同心状に整合することが好ましい。このように、内側電極22および外側電極24の各々に対応する電界がタッチゾーンZ1〜Z5の各々から生じる。例えば図5は、タッチゾーンZ1に整合する電極から生じる電界を示す。
【0015】
図5には示されていないが、電束線はミラーMを通ってタッチゾーンZ1、Z5内ではなく、内側電極22および外側電極24から、ミラーMより遠い基板20を通っても生じる。しかしながら、この電束濃度は、当業者であれば理解できるように、ミラーMのような誘電基板により増加すると仮定すれば、ミラーMの外側表面14の近くでより大きくなる。検出回路が、かかる電界の近くにある刺激物に応答しないよう、ミラーMから離間する方向に発生するかかる電界をシールドするか、または0にするには、システム10は基板20の隣接する側面20bにポッティング材料28を含むことが好ましい。ポッティング材料28の代わりに空気ギャップ、発泡ゴムまたはプラスチックのバッキング、またはその他の電界減衰体を設けてもよい。
【0016】
内側電極22および外側電極24から生じる電界のすべてが同じ極性を有するように、これら電極は、充電される。このように、電界は反撥し、内側電極22および外側電極24から外側に延びる。電界強度は電極22、24の近くで最大となり、電極22、24から離れるにつれ、0に近づく。電界強度はミラーMの外側表面14から約25mmの距離でほぼ0となる。附勢信号の強度は電界が大きくなったり小さくなったりする場合にそれぞれ増減し得る。
【0017】
抵抗器R1、R2は、各電界により所定の電位差または電圧が生じるように選択されている。内側電極22および外側電極24のまわりに発生する電界強度は、対応する検出回路によって検出され、この内部で比較される。このように、検出回路は対応する内側電極22および外側電極24のまわりの電界の強度をモニタする。物体または刺激物、例えば人の手が対応するタッチゾーンに接近すると、内側電極22および外側電極24に関連する電界が変化する。電界強度が25mmよりも長い距離で実質的に0となると仮定すれば、対応する電極に関連する電界を乱すには、刺激物はタッチゾーンZ1〜Z5のうちの1つに対して25mm以内にあることが好ましい。かかるタッチゾーンに対応する内側電極22および外側電極24のまわりの電界の間の強度差が所定のスレッショルドを越えるとき、検出回路は、特定のタッチゾーンにおけるタッチ入力を表示する出力信号を発生する。
【0018】
例えば、カルドウェル氏に付与された米国特許第6,320,282号には、好ましい電界効果センサの作動原理が更に詳細に説明されており、この米国特許の開示内容を本明細書で参考例として援用する。
【0019】
図1に最良に示されるように、表面14からグラフィック表示Gを見ることができるように、ミラーMの内側表面16にタッチゾーンZ1〜Z5を識別するプリントされたグラフィック表示Gのシートを接着することができる。これとは異なり、グラフィック表示GをミラーMの内側表面16または外側表面14に直接エッチングしたり、プリントしたり、または他の方法で直接配置してもよい。しかしながら、露出したプリントグラフィック表示がスクラッチされてなくなったり、または他の態様で摩耗してなくなることがあり得ると仮定すれば、外側表面14にグラフィック表示Gをプリントすることは好ましくない。いずれの場合においても、グラフィック表示GはタッチゾーンZ1〜Z5および内側電極22と整合することが好ましい。各タッチゾーンZ1〜Z5に対するグラフィック表示Gとして、数字、文字または各タッチゾーンZ1〜Z5を区別する他のインジケータを挙げることができる。これらタッチゾーンZ1〜Z5はミラーMの上部エッジに沿って直線状に配置することが好ましい。
【0020】
システム10は1つ以上の発光ダイオード30も含むことが好ましく、このシステムでは図14に最良に示されるように、対応する集積回路26に各発光ダイオード(LED)30が電気的に結合されている。以下更に説明するように、集積回路26が、コントローラCに出力信号を発生すると、関連するLED30が点灯する。好ましい実施例では、各集積回路26に1つのLED30が関連しており、各LED30が図2に最良に示されるように、対応するタッチゾーンZ1〜Z5に整合するように、基板20上に配置されている。すべてのLED30は、集積回路26のいずれかが附勢されると、すべてのLEDがトリガーされるよう、各集積回路26に電気的に結合されていることが好ましい。このように、仮想キーパッド12が点灯し、集積回路26のいずれかがコントローラCへ信号を出力するときに、仮想キーパッドをユーザーが見ることができる。
【0021】
コントローラC、例えばマイクロプロセッサが各電極パターン18に関連するパルス発生回路および検出回路と通信するように、このコントローラを基板20の上に配置してもよいし、基板20から離間していてもよい。コントローラCは、各電極パターン18に関連する検出回路からの検出信号を受信する。どのセンサが附勢されたか、および/またはどのシーケンスで複数のセンサが附勢されたかをコントローラCが解読できるように、これら検出回路は互いに区別できる。これに応答し、コントローラCは制御信号を発生し、この制御信号を制御されたデバイスへ出力する。好ましい実施例では、コントローラCは車両のドアのうちの1つ以上に設けられたロック機構と通信する。タッチゾーンZ1〜Z5が所定のシーケンスで乱され、よってこれらタッチゾーンに対応する検出回路が、かかるシーケンスでコントローラCに検出信号を出力すると、コントローラCは制御信号を発生し、ロック機構を作動させ、1つ以上のドアをロックしたり、またはアンロックする。
【0022】
パルス発生回路および検出回路は、リード線またはPCBトレースのような導線を介して電極22、24にハード配線できる。これとは異なり、本発明の別の特徴によれば、図6および7に最良に示されるように、電極22、24にパルス発生回路および検出回路を容量結合してもよい。誘電基板21の面21aにパターン18の電極22、24が配置されている。基板21は、例えばガラス、プラスチック、グラスファイバー補強エポキシ樹脂、または他の誘電材料から形成できる。電極22、24は、容量プレートC1、C2にそれぞれ電気的に結合されており、容量プレートC1、C2は、基板21の一方の面21aにも配置されている。基板21の反対の面21bには、部品26が配置されており、この部品は反対の面21bに配置された容量プレートC3、C4に電気的に結合されている。プレートC1とC3とが容量結合され、プレートC2とC4とが容量結合されるように、プレートC3、C4にプレートC1、C2が整合している。この結果、部品26は電極22、24に容量結合される。
【0023】
システム10に基づき、容量結合について説明したが、この本発明の特徴は、他の用途、例えば業務用機器で使用されるセンサパッドにも使用できる。電極22、24は、比較的厚い誘電基板を介して容量結合され、この厚い誘電基板は、十分な強度の電界がこれを透過できないようにしている。電極22、24を基板の一方の面に設け、検出電子回路を基板の反対側の面に設けることができる。これによって、電極22、24を検出すべき物体のより近くに設けることができるようにしながら、誘電基板をシールすることが可能となっている。
【0024】
これまでバックミラーMを参照してシステム10について説明したが、キーパッド12は車両の他の表面、例えば車両のAピラーまたはBピラー、ドアハンドル、トリミング部品に配置してもよい。かかる表面は、バーチャルキーパッド12をディスプレイするための半透明部分を含むことができる。例えば成形されたグラスファイバーのBピラー40の上にバーチャルキーパッド12を設けてもよく、図8に最良に示されるように、部品に関連する1つ以上のLEDが附勢されると、このバーチャルキーパッドは点灯する。これとは異なり、この表面はタッチゾーンを構成する成形された凹凸を含んでもよい。
【0025】
これとは異なり、車両の外側表面に固定された別個の基板にキーレスエントリータッチパッドを設けてもよい。図9に最良に示されるように、車両の外側表面52、例えばプラスチックまたは金属のトリミング部品、車両のドアハンドルまたは車両のAピラーまたはBピラー内に設けられた開口部へキーレスエントリーパッドシステム50が固定されている。製造中、システム50を所定の場所に容易にスナップ嵌合またはクランプできるように、表面52はロックタブ54を含むことができる。
【0026】
システム50は、誘電材料、例えばガラス、プラスチックまたはグラスファイバー補強エポキシ樹脂から成形された外側パネル56を含む。このパネル56は半透明であることが好ましい。システム10と同じように、パネル56は外側表面58上に複数のタッチゾーンZ1〜Z5を含み、キーパッドを形成している。更に、パネル56の内側表面60に複数の電極パターン18が隣接して配置されており、上記のように内側表面60に接着または設けられた基板20上にパターン18を設けることができる。各パターン18は内側電極22および外側電極24を含み、これら電極は上記のようにアクティブな電気部品26に電気的に結合されている。システム50の集積制御回路26は、電極22、24にハード配線できるか、またはこれらに容量結合できる。集積制御回路26の各々は、上記のように同一のピンアウトを有するTS−100 ASICであることが好ましい。集積制御回路26からの入力電力接続部および信号出力接続部に関連する配線を、ハーネスH内に束状にまとめてもよいし、または一体的なコネクタを設けてもよい。基板20およびハーネスHの端部を短時間硬化性ポッティング材料28または他の絶縁体で覆い、これらをシールすることが好ましい。これとは異なり、空気ギャップまたは絶縁バッキングを設けてもよい。
【0027】
上記のように、タッチゾーンZ1〜Z5は、図5に最良に示されるように、内側電極22から電界が生じるように、対応する内側電極22に整合している。物体または刺激物、例えば人の指が、対応するタッチゾーンに接近すると、内側電極22に関連する電界が変化する。内側電極22と外側電極24との間の電界強度の差が所定のスレッショルドを超えた場合、集積制御回路26が附勢される。附勢時に、部品26はコマンド信号を発生し、このコマンド信号は関連するコントローラ、例えばマイクロプロセッサへ送られる。
【0028】
パネルの内側表面60または外側表面58のいずれかに、プリントされたグラフィック表示Gのシートを設けることができる。グラフィック表示Gの代わりに、またはこのグラフィック表示Gに加えて、パネル56の外側表面58は、図9に最良に示されるように、各タッチゾーンZ1〜Z5を構成する凹凸または畝Rのような成形部分を含むことができる。このグラフィック表示Gはパネル56に直接プリンとしてもよいし、パネル56の表面に接着されたシート上に設けてもよい。タッチゾーンZ1〜Z5は表面52の一部に沿って直線状に配置してもよいし、または他のパターンに配置してもよい。システム50はシステム10を参照してこれまで説明したように、1つ以上の発光ダイオード30を含むことができる。
【0029】
本明細書に開示した実施例は単なる例にすぎず、本発明を限定すると見なしてはならない。例えば本発明は、車両ではなく、ビルのドアにおけるロックを制御するのに、またはロック以外の機器の作動を制御するのにも使用できる。更に本発明は、種々の用途、例えば照明、スリープモードから電子機器をウェイキングする操作などにも使用できる。更に、一実施例の特徴を別の実施例に組み込んでもよい。従って、本開示は特許請求の範囲に記載された本発明の要旨から逸脱することなく変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例に係わる車両のバックミラーに配置されたキーレスエントリータッチパッドシステムの正面図である。
【図2】2−2線に沿った図1のシステムの横断面図である。
【図3】本発明に係わる電極パターンの略図である。
【図4】本発明の好ましい実施例の略図である。
【図5】点線で電界ラインを示す、図2に示されたシステムの一部の部分横断面図である。
【図6】本発明の別の実施例に係わる容量結合された電界効果電極の斜視図である。
【図7】図6に示された実施例の略図である。
【図8】本発明の実施例に係わる車両のピラーに配置されたキーレスエントリータッチパッドシステムの斜視図である。
【図9】本発明の一実施例に係わる、キーレスエントリータッチパッドシステムの部分横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1表面および第2表面を有する誘電基板と、
前記第1表面に配置された複数のタッチゾーンと、
第1面および第2面を有するプリント回路基板とを備え、前記第1面は前記第2表面に隣接しており、
前記第1面に配置された複数の電極パターンを更に備え、前記電極パターンの各々は内側電極および外側電極を有し、前記内側電極の各々は前記タッチゾーンの1つに整合し、前記電極は前記第1面に配置された容量プレートに電気的に結合し、
前記第2面に配置された複数の集積制御回路(ICC)を更に備え、前記ICCの各々は、前記第2面に配置された容量プレートに電気的に結合されており、前記第1面上の前記プレートは前記第2面上の前記プレートに容量結合し、よって前記ICCは前記パターンに電気的に結合され、前記ICCの各々は電極から電界が生じるように、対応するパターンの電極を附勢するようになっており、対応するタッチゾーンに刺激物が接近すると、関連する内側電極の電界が乱され、よって前記ICCは前記タッチゾーンへのタッチを表示する信号を出力するようになっており、
更に前記ICCと通信するコントローラを備え、このコントローラは、所定シーケンスで前記ICCからの所定の信号を受信すると、前記ドアのアンロックを行わせるようになっている、自動車のドアをアンロックするためのキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項2】
前記基板は、半透明である、請求項1記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項3】
前記ICCに電気的に結合された複数のLEDを更に備え、前記ICCのうちの1つが所定の信号を出力したときに、前記LEDがトリガーされるようになっている、請求項2記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項4】
前記LEDにより、前記基板が照明されるよう、前記LEDが前記基板の近くに位置する、請求項3記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項5】
前記基板は、前記自動車の一部を備える、請求項1記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項6】
前記基板は、バックミラー、トリミング部品またはピラーのうちの1つである、請求項5記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項7】
前記第2表面にプリントされたグラフィック表示を更に備え、これらグラフィック表示は前記タッチゾーンと整合しており、かつ前記第1表面から見ることができるようになっている、請求項1記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項8】
前記プリントされた回路基板は、フレキシブルである、請求項1記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項9】
対向する第1表面および第2表面を有する誘電基板と、
前記第1表面に構成された複数のタッチゾーンと、
前記第2表面に隣接する複数の電極パターンとを備え、前記電極パターンの各々は内側電極および外側電極を有し、前記内側電極の各々は前記タッチゾーンのうちの1つに同軸状に整合しており、
複数の集積制御回路(ICC)を更に備え、これらICCの各々は前記パターンのうちの1つの電極に電気的に結合され、これらを附勢し、よってこれら電極から電界を発生するようになっており、対応するタッチゾーンに刺激物が接近すると、前記内側電極の電界が乱され、よって前記ICCが前記タッチゾーンへの接触を表示する信号を出力するようになっており、
更に前記部品と通信するコントローラを備え、このコントローラは前記ICCから信号を受信すると共に、それに応答してコマンド信号を発生するようになっている、キーレスエントリータッチパッドシステム。
【請求項10】
前記部品に電気的に結合された複数のLEDを更に備え、前記部品のうちの1つが附勢されると前記LEDが附勢されるようになっている、請求項9記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項11】
前記LEDは、前記第2表面に配置されており、前記LEDの各々は前記タッチゾーンのうちの1つに整合している、請求項10記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項12】
前記基板は、ガラスと、プラスチックと、グラスファイバー補強エポキシ樹脂から成る群から選択された材料から形成されている、請求項9記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項13】
前記タッチゾーンは、自動車の外側に配置された表面に設けられている、請求項9記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項14】
前記表面は外側ミラー、Bピラー、Aピラー、ドアハンドルおよびトリミング部品から成る群から選択されたものである、請求項13記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項15】
前記表面は自動車の上のBピラー、Aピラーおよびトリミング部品のうちの1つに設けられた開口部内に固定されている、請求項13記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項16】
前記コントローラは、所定のシーケンスで前記部品が附勢されたときに、自動車のドアをアンロックするための制御信号を発生する、請求項10記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項17】
前記基板は、前記第2表面にプリントされたグラフィック表示を含み、これらグラフィック表示は、前記タッチゾーンと整合しており、前記第1表面から見ることができる、請求項10記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項18】
前記タッチゾーンは、プリントされたグラフィック表示を含む、請求項10記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項19】
前記ICCは、前記第2表面に配置されている、請求項10記載のキーレスエントリーパッドシステム。
【請求項20】
対向する第1表面および第2表面を有する誘電基板と、
前記第1表面に配置された内側電極および外側電極を有する電極パターンとを備え、前記内側電極および外側電極の各々は前記第1表面に配置された容量プレートに電気的に結合されており、
前記第2表面に配置された集積制御回路(ICC)を更に備え、このICCは前記第2表面に配置された容量プレートに電気的に結合されており、前記第1表面上の前記プレートは前記第2表面上の前記プレートに容量結合し、前記ICCは前記電極に電気的に結合されており、前記電極から電界を発生するように前記ICCは前記電極を附勢し、前記ICCは電界の乱れを検出するようになっており、
前記ICCと通信するコントローラを更に備え、前記ICCは乱れた電界に応答して前記コントローラに信号を送信するようになっている、容量結合された電極パターンの電界効果タッチセンサ装置。
【請求項21】
前記ICCは、前記電極の各々にストローブ信号を印加し、前記電極を附勢するようになっている、請求項20記載のタッチセンサ装置。
【請求項22】
前記基板は、フレキシブルである、請求項20記載のタッチセンサ装置。
【請求項23】
自動車の外側に配置された表面に配置された複数のタッチゾーンを設けるステップと、
各々が対応するタッチゾーンに整合する複数の電極パターンを設けるステップと、
各々が対向するパターンに電気的に結合している複数の集積制御回路(ICC)を設けるステップと、
前記タッチゾーンの各々のまわりに電界が生じるように、前記パターンを附勢するステップを備え、前記電界の乱れによって対応するICCを附勢するようになっており、
所定のシーケンスで前記電界を乱し、よって前記所定のシーケンスで、対応するICCを附勢するステップと、
前記所定のシーケンスでICCを附勢したときに、ドアをアンロックさせるためのコマンド信号を発生するステップとを備えた、自動車のドアをアンロックする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−525678(P2008−525678A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548482(P2007−548482)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/046667
【国際公開番号】WO2006/071743
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(505287047)タッチセンサー テクノロジーズ,エルエルシー (17)
【Fターム(参考)】