説明

キー入力装置

【課題】 キー入力装置の大きさを小さくしても光源からの光を操作キー全体に確実に至らしめ、操作面の前方から見て操作キーが縁まで確実に発光するキー入力装置を提供する。
【解決手段】 キー入力装置10は、基板303に対して上下に変位して接点を開閉させる支持部105と、前記支持部に支持され当該支持部の変位動作を操作する透光性の操作キー101と、を備えた、支持部105には基板303に設けられた発光素子からの光を操作キー101に至らすためにテーパ面と前記発光素子からの光の入射口とを有する光拡散経路路110が形成され、操作キー101の背面には前記テーパ面に嵌合するように形成された透光性の突出部112が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置などの電子機器の操作パネルなどに装着されて用いられるキー入力装置に関し、特に、操作すべき操作キーの位置が明らかになるように操作キーを背面側から照明する発光素子を備えたキー入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器を暗所で使用する際に操作すべき操作キーの位置が明らかになるように操作キーを背面側から照明するキー入力装置が用いられている。また、プッシュオン、プッシュオフの機能を有し、プッシュオンで操作キーを照明するように構成したキー入力装置が用いられている。
【0003】
この種のキー入力装置の従来例としては、例えば、下記の特許文献1(特開2003−36764号公報)に記載されている。この特許文献1に記載されているキー入力装置(スイッチ装置)は、操作キーが透光性の合成樹脂などで形成されており、蓄光部を有し、光源であるLEDからの光を導光部により蓄光部に導くように構成されている。そして、蓄光部によって操作キーの下面を広範囲に発光させるようにしている。
【0004】
このようなキー入力装置は、操作キーから離れた位置に配されたLEDから光を導くために導光部を設けているので、構成が複雑であるだけでなく多数の操作キーを接近して配置することに制限が生じてしまう。そこで、この問題点を改善するために、図6で示すように、操作キーの背面側にLEDを配置して操作キーを直接に照射するようにしたキー入力装置が考えられる。
【0005】
図6において、キー入力装置30は、透光性のABS樹脂で形成された操作キー301と、操作キー301の背面側に配置した発光素子であるLED302と、操作キー301と基板303との間に設けたラバーシート304と、操作キー301の操作により押下されるラバーシート304によって開閉動作する接点(図示せず)とから構成されている。
【0006】
ラバーシート304は乳濁色の合成樹脂(シリコン樹脂)材から形成され、接点を配置した位置に操作キー301を支持する支持部305が設けられている。この支持部305は、正面から見た操作キー301の形状が円形のため、これに対応させて円柱状に形成されている。また、この支持部305の根本部分には撓みを生じる肉薄部306が形成されている。
【0007】
電子機器のパネル307には、操作キー301のキートップを露出させるための開口308が形成されている。操作キー301は開口308からパネル307の前面に突出した状態で支持部305の頂面に載置されて支持されている。また、操作キー301の下縁には、支持部305の頂面と開口308の縁部分に相当するパネル307の下面との間に介在される鍔部309が設けられている。
【0008】
支持部305は、操作キー301を押圧することによる肉薄部306が撓んで下方に変位し、押圧状態を解除すると肉薄部306の復元力によって上方に変位し元の位置に復帰する。元の位置に復帰した状態では、操作キー305は鍔部309がパネル307下面に当接して開口308から飛出さないようになっている。
【0009】
従って、操作キー301は押圧されることにより支持部305を押し下げて接点の開閉を行い、操作キー301の押圧状態が解除されると弾性的に復帰する構成になっている。即ち、キー入力装置30は基板303に対して上下に変位して接点を開閉する支持部305を有し、この支持部305を操作キー301でもって上下に変位させるようになっている。
【0010】
また、支持部305にはテーパ面によってすり鉢状の空間となった光拡散経路310が形成されている。この光拡散経路310の底部は光を透過するように肉薄とした入射口311が形成されている。LED302の光は、入射口311を通して上方に向かって広がる光拡散経路310に入り拡散されて操作キー301の下面を照射する。従って、透光性の操作キー301は全体的に発光する。そのため、操作者は暗部などにおいて操作すべき操作キー301の判別が容易になって電子機器の確実な操作を行うことができる。
【特許文献1】特開2003−36764号公報(段落[0023]、段落「0027」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のキー入力装置30においては、操作キー301の縁部分までも十分に発光させるために、操作キー301の縁を光拡散経路310の内方に位置させるように形成しなければならない。そのため、支持部305はその直径が操作キー301の直径よりも大きなものとなり、支持部305のスカート幅(直径)Dを大きくしてしまう。従って、各種の部品が込み入って配置されている電子機器にキー入力装置30を組込むことができなくなるという問題点があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、キー入力装置の大きさを小さくしても光源からの光を操作キー全体に確実に至らしめ、操作面の前方から見て操作キーが縁まで確実に発光するキー入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、基板に対して上下に変位し接点を開閉させる支持部(例えば下記実施例では、支持部105に相当する)と、前記支持部に支持され当該支持部の変位動作を操作する透光性の操作キー(例えば下記実施例では、操作キー101に相当する)と、を備えたキー入力装置であって、前記支持部には前記基板に設けられた発光素子からの光を前記操作キーに至らすためにテーパ面と前記発光素子からの光の入射口とを有する光拡散経路(例えば下記実施例では、光拡散経路110に相当する)が形成され、前記操作キーの背面には前記テーパ面に嵌合するように形成された透光性の突出部(例えば下記実施例では、突出部112に相当する)が形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係るキー入力装置において、前記光拡散経路は、前記入射口寄りに前記テーパ面と前記入射口面と前記突出部の先端面とで囲まれた空隙部分を形成する第一の光拡散経路(例えば下記実施例では、第一の光拡散経路110aに相当する)と、前記突出部が嵌合されると当該突出部112によって占有される空間部分となる第二の光拡散経路(例えば下記実施例では、第二の光拡散経路110bに相当する)と、前記第一の光拡散経路と第二の光拡散経路との間に設けられて前記該突出部の先端が当接する段部(例えば下記実施例では、段部110cに相当する)と、で構成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係るキー入力装置において、前記操作キーは、その外縁を残して表面が不透光性部材(例えば下記実施例では、不透明層114に相当する)で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のキー入力装置は、次に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1に係る発明においては、支持部に形成された光拡散経路に操作キーと一体になった透光性の突出部が嵌合しているので、発光素子から光拡散経路中に入った光は直ちに突出部に至り突出部で拡散しながら操作キー内へと至る。そして、操作キーは操作キー内に至った光によって全体的に発光される。
【0017】
このような構成によれば、支持部の大きさを操作キーの縁に至るまで大きくする必要がないので、キー入力装置の小型化を図ることができる。従って、各種の部品が配置された電子機器に組み込むことに好適なキー入力装置を提供できる。
【0018】
また、請求項2に係る発明においては、請求項1に係るキー入力装置において、支持部の第一の光拡散経路と第二の光拡散経路との間に段部を設けたので、突出部を第二の光拡散経路に嵌合したときにその先端が段部に当接する。そのため、突出部1の支持部への載置状態が安定する。
【0019】
また、請求項3に係る発明においては、請求項1または請求項2に係るキー入力装置において、操作キーの表面が縁を残して不透光性部材により形成されているので、縁から発光させた状態で不透光性部材に印字などによって表示を施すことができる。そのため、暗部では操作キーの周縁が明るく発光するので操作キー101の位置を確実に把握できとともに、明部では操作キーの表面に表示された内容を確認することで操作キーの識別が確実に行えるキー入力装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのファクシミリ装置を例示するものであって、本発明をこのファクシミリ装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のキー入力装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係るキー入力装置を示す断面図、図2は、図1におけるキー入力装置を適用したファクシミリ装置を示す斜視図、図3は、図2におけるファクシミリ装置において前面のパネルを取り除いた状態を示す斜視図、図4は、図2のファクシミリ装置をA−A線で切断して示す断面図、図5は、図2のファクシミリ装置における操作キーとラバーシートと基板との対応関係を示す斜視図である。
【0022】
本実施例に係るキー入力装置10は、図1で示すように、操作キー101、ラバーシート104、基板303、パネル307などで構成されている。本実施例の操作キー101は、透光性のABS樹脂材で形成されており、その背面には、この透光性のABS樹脂材により一体成型されたテーパ面を有する円錐台状の突出部112を備えている。
【0023】
ラバーシート104には、同一の乳濁色の合成樹脂材により円柱状に一体成型された支持部105が形成されている。この支持部105は、操作キー101の突出部112が嵌合するテーパ面と、その底部に光を透過するように肉薄にして形成された入射口111を備えている。そして、このテーパ面の斜面と入射口111の底面とで囲まれたすり鉢状の空隙によって光拡散経路110を形成している。
【0024】
ここで、操作キー101は正面から見て円形状になっているため、突出部112は下方に向かうに従って径が小さくなる円錐台状であり、すり鉢状の光拡散経路110に嵌合するようになっている。また、支持部105の根本部分には撓みを生じる肉薄部106が形成されている。
【0025】
操作キー101の縁部分には鍔部109が設けられている。そして、操作キー101は従来と同様にパネル307に形成された開口308から前面に突出した状態で支持部105に載置され、鍔部109がパネル307の下面に当接することによって開口308から飛出さないようになっている。
【0026】
基板303には、従前のように入射口111に対向してLED302が設けられ、支持部105の上下の動作によって開閉する固定接点113が設けられている。キー入力装置10における接点の開閉動作は、操作キー101を押圧して肉薄部106を撓ませ支持部105を下方に変位させ、押圧状態を解除し肉薄部106の復元力により支持部105を上方に変位させ開閉状態を復帰させることによって行なう。
【0027】
上述した実施例における構成のキー入力装置10は、突出部112が光拡散経路の一部を構成しているので、支持部105のカート幅(直径)を操作キー101の縁まで至るように大きくする必要がない。その結果、本実施例の直径Dが従来のキー入力装置30の直径Dよりも小さくなる。
【0028】
また、LED302の光は入射口111から光拡散経路110を経て直ちに突出部112内に入り拡散して操作キー101全体を発光させる。そのため、突出部112においても光が拡散されるので操作キー101の縁部分まで明るく発光され、暗部においても操作キー101の位置が確実に把握でき操作が容易となる。
【0029】
次に、キー入力装置をファクシミリ装置に適用した場合について図2〜図6に基づいて説明する。この適用例の対象はファクシミリ装置の機能選択用の操作キーである。
【0030】
ファクシミリ装置20は、図2で示すように、本体201と送受話器202からなり、本体201の前面には操作面203が配置されている。操作面203には表示面204、テンキー操作面205、設定用操作面206、機能選択用操作面207が設けられている。機能選択用操作面207においては、留守番電話の設定と解除、録音された用件の再生、および送受話器202を取らずに手ぶら通話の3種の機能を選択できるように3個の操作キー101が設けられている。また、操作面203の下部には原稿排出口208が設けられ、上部には原稿挿入口209を覆うようにカバートレイ210が取付けられている。
【0031】
ファクシミリ装置20に適用されたキー入力装置10は、図3、図4によって詳しく説明する。操作キー101は、そのキートップが本体201のパネル307に形成した開口308から露出するように、ラバーシート104と一体に形成された支持部105上に載置されている。支持部105に形成された光拡散経路110は、入射口111寄りにテーパ面の斜面と入射口111の底面と操作キー101の突出部112の先端面で囲まれた空隙部分である第一の光拡散経路110aと、操作キー101が支持部105上に載置されると嵌合部分として突出部112によって占有される空間部分となる第二の光拡散経路110bと、第一の光拡散経路110aと第二の光拡散経路110bとの境界に設けられ突出部112の先端が当接する段部110cと、で構成されている。突出部112を第二の光拡散経路110bに嵌合したときに先端が段部110cに当接するため、突出部112の支持部105への載置状態が安定する。
【0032】
操作キー101のキートップにはその外縁を残して表面にABS樹脂材の不透明層114が形成されている。この不透明層114には、留守番電話設定・解除に対応する操作キー101では留守番電話機能を表すマーク、録音再生に対応する操作キー101では再生機能を表すマーク、手ぶら通話に対応する操作キー101では手ぶら通話機能を表すマークがそれぞれ施されている。
【0033】
操作キー101とラバーシート104及び基板303との対応関係は、図5によって詳しく説明する。支持部105はラバーシート104上で肉薄部106によって上下に変位可能に設けられている。また、LED302は支持部105の入射口111に対向する基板303上に配置されている。基板303のLED302の周囲には固定接点113が配置されている。この固定接点113に対向する支持部105側には可動接点(図示せず)が設けられている。
【0034】
このような構成のキー入力装置10の開成動作は、操作キー101を押圧して支持部105を押し下げ、基板303上の固定接点113と支持部105側の可動接点とを接触させて行なう。一方、キー入力装置10の閉成動作は、操作キー101の押圧状態を解除して支持部105を上方に変位させて固定接点113と可動接点との接触状態を解除して行なう。また、LED302の光は入射口111から光拡散経路110を経て突出部102内に入り拡散して操作キー101全体を発光させる。
【0035】
したがって、上述したファクシミリ装置20に適用したキー入力装置10によれば、入射口111から光拡散経路110に入った光が直ちに突出部112に至るため、突出部112においても光が拡散されるので操作キー101の縁部分まで明るく発光される。そのため、暗部においても操作キー101の位置が確実に把握できるので操作が容易となる。しかも、操作キー101のキートップ表面中央に不透明層114が施されていても、その周縁が明るく発光するので操作キー101の位置を確実に把握でき操作可能となる。
【0036】
ここで、キー入力装置10は、プッシュオン、プッシュオフの機能を有し、LED302がプッシュオンで発光しプッシュオフで発光を停止するように構成することもできる。このように構成したキー入力装置10は、操作された操作キー101の表面が発光するので、操作されたキーの確認が光学的に行なわれ、正確な操作ができるものとなる。
【0037】
また、本実施例のキー入力装置10は、その支持部105の直径Dを小さくしたので操作キー101同士の間隔を狭めることができる。そのため、各種の部品が配置される基板303上により多くの操作キーを組込むことが容易となる。特に、キー入力装置10が小型化されることは、ファクシミリ装置20のように基板303に各種の部品が配置されている電子機器や携帯電話機のように各種部品を限られた狭いスペースに配置される小型電子機器にとって有利なことである。
【0038】
なお、本発明の一実施例においては、操作キー101は正面から見て円形としたが、本発明はこれに限定されることなく四角形、楕円形などの形状にしてもよい。また、突出部112は操作キー101の形状に合わせて円錐形以外の四角錐形、楕円錐形にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例に係るキー入力装置を示す断面図である。
【図2】図1におけるキー入力装置を適用したファクシミリ装置を示す斜視図である。
【図3】図2におけるファクシミリ装置において前面のパネルを取り除いた状態を示す斜視図である。
【図4】図2のファクシミリ装置をA−A線で切断して示す断面図である。
【図5】図2のファクシミリ装置における操作キーとラバーシートと基板との対応関係を示す斜視図である。
【図6】従来のキー入力装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10・・・・キー入力装置
101・・・操作キー
104・・・ラバーシート
105・・・支持部
106・・・肉薄部
109・・・鍔部
110・・・光拡散経路
110a・・第一の光拡散経路
110b・・第二の光拡散経路
110c・・段部
111・・・入射口
112・・・突出部
113・・・固定接点
114・・・不透明層
20・・・・ファクシミリ装置
201・・・本体
202・・・送受話器
203・・・操作面
207・・・選択機能用操作面
303・・・基板
307・・・パネル
308・・・開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して上下に変位し接点を開閉させる支持部と、
前記支持部に支持され当該支持部の変位動作を操作する透光性の操作キーと、
を備えたキー入力装置であって、
前記支持部には前記基板に設けられた発光素子からの光を前記操作キーに至らすためにテーパ面と前記発光素子からの光の入射口とを有する光拡散経路が形成され、
前記操作キーの背面には前記テーパ面に嵌合するように形成された透光性の突出部が形成されていることを特徴とするキー入力装置。
【請求項2】
前記光拡散経路は、前記入射口寄りに前記テーパ面と前記入射口面と前記突出部の先端面とで囲まれた空隙部分を形成する第一の光拡散経路と、前記突出部が嵌合されると当該突出部112によって占有される空間部分となる第二の光拡散経路と、前記第一の光拡散経路と第二の光拡散経路との間に設けられて前記該突出部の先端が当接する段部と、で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のキー入力装置。
【請求項3】
前記操作キーは、その外縁を残して表面が不透光性部材で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキー入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−61880(P2010−61880A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224239(P2008−224239)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】