説明

キー入力装置

【課題】複数の操作キー部に生じ得る照明ムラを効果的に抑制することが出来るキー入力装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るキー入力装置においては、複数の操作キー部4を構成すべき複数の感応が一方向に沿って配列されたキー基板5の表面に、導光シート7と、導光シート7の厚さ方向とは交叉する方向に光を出射する複数の発光素子6とが配備され、導光シート7の表面を覆って、操作キー部4毎に照光エリア21を有するスクリーン2が設置されている。複数の発光素子6は、それぞれの光出射方向を同一方向に向けて配列され、導光シート7には、各発光素子6との対向位置に、複数の切欠き72が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機の如く複数の操作キーを具えた情報処理装置におけるキー入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機のキー入力装置においては、複数の操作キー部を構成するべく、図6に示す如く複数の感応部(51)を具えたキー基板(5)上に、導光シート(9)と、複数の発光素子(60)とを配置し、更にその上には、図5(a)の如く接着層(8)を介してスクリーン(2)を配置している(特許文献1参照)。
導光シート(9)には、1或いは複数の操作キー部(40)毎に光出射部(91)が形成されると共に、スクリーン(2)には、光出射部(91)毎に照光エリア(21)が形成されており、各照光エリア(21)には、各操作キー部(40)の機能を表わす絵文字が印刷されている。
【0003】
該キー入力装置においては、図5(a)に矢印で示す様に、各発光素子(60)から出射された光が導光シート(9)の切欠き(92)の端面(92a)から導光シート(9)内に入射し、入射した光は導光シート(9)内を進行した後、導光シート(9)の各光出射部(91)から出射され、スクリーン(2)の各照光エリア(21)を照明する。
【0004】
ユーザが任意の照光エリア(21)に対応する位置にてスクリーン(2)の表面にタッチすると、タッチ位置の下方に位置するキー基板(5)の感応部(51)が感応し、該感応部(51)に対応する情報が入力されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−171067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図5(a)及び図6に示す従来のキー入力装置においては、その組立工程で、スクリーン(2)に対する導光シート(9)の貼着位置が、図5(b)の如く操作キー部(40)の配列方向に沿って何れか一方向にずれ量bだけずれた場合、左側の発光素子(60)の光出射面から導光シート(9)の左側の光出射部(91)の中心位置までの距離Bが距離(B−b)に減少する一方、右側の発光素子(60)の光出射面から導光シート(9)の右側の光出射部(91)の中心位置までの距離Bが距離(B+b)に増大し、左右の操作キー部(40)(40)で、前記ずれ量bの2倍の距離差が生じることになる。
【0007】
この結果、導光シート(9)の左側の光出射部(91)から出射される光の強さと、導光シート(9)の右側の光出射部(91)から出射される光の強さとの間に、前記距離差に応じた差が生じ、これによって、左側の操作キー部(40)と右側の操作キー部(40)との間に照明ムラが生じる問題があった。
【0008】
そこで本発明の目的は、複数の操作キー部に生じ得る照明ムラを効果的に抑制することが出来るキー入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るキー入力装置においては、複数の操作キー部(4)を構成すべき複数の感応部(51)が一方向に沿って配列されたキー基板(5)の表面に、導光シート(7)と、該導光シート(7)の厚さ方向とは交叉する方向に光を出射する複数の発光素子(6)とが配備され、該導光シート(7)の表面を覆って、操作キー部(4)毎に照光エリア(21)を有するスクリーン(2)が設置されている。
【0010】
ここで、前記複数の発光素子(6)は、それぞれの光出射方向を同一方向に向けて配列され、前記導光シート(7)には、各発光素子(6)との対向位置に、各発光素子(6)からの光が入射すべき複数の切欠き(72)が形成されている。
【0011】
上記キー入力装置によれば、複数の発光素子(6)から同一方向へ向けて光が出射され、1つの発光素子(6)から出射された光が、導光シート(7)に設けられた1つの切欠き(72)の端面(72a)に入射した後、導光シート(7)内を進行して、1つの光出射部(71)から出射する。1つの光出射部(71)から出射した光は、スクリーン(2)の1或いは複数の照光エリア(21)を照明する。
【0012】
該キー入力装置の組立工程で、導光シート(7)の位置が発光素子(6)の配列方向に沿ってずれ量aだけずれた場合、導光シート(7)に設けられた各切欠き(72)の端面(72a)の位置に対しても同じずれ量aが生じ、各発光素子(6)から導光シート(7)の各光出射部(71)の中心位置までの距離Aにも同じずれ量aが生じるので、各発光素子(6)から導光シート(7)の各光出射部(71)の中心位置までの距離は、全ての操作キー部(4)について同じ距離(A+a)となる。
従って、各操作キー部(4)は、導光シート(7)のずれに拘わらず、同じ強さの光で照明されることになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るキー入力装置によれば、導光シートの位置ずれに起因して複数の操作キー部に生じ得る照明ムラを効果的に抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である携帯電話機の斜視図である。
【図2】図2は、該携帯電話機のキー入力装置を構成する複数の操作キー部を表わす拡大斜視図である。
【図3】図3は、該携帯電話機のキー入力装置の拡大断面図であって、導光シートのずれによる影響を説明する図である。
【図4】図4は、該携帯電話機のキー入力装置の要部を示す分解斜視図である。
【図5】図5は、従来のキー入力装置の拡大断面図であって、導光シートのずれによる影響を説明する図である。
【図6】図6は、該キー入力装置の要部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を携帯電話機に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態である携帯電話機は、図1に示す如く扁平な筐体(1)を具え、該筐体(1)の表面には透明ガラス製のスクリーン(2)が設置され、該スクリーン(2)の下面には、大画面の画像表示部(3)が形成され、その表面には複数(図示する例では4つ)の操作キー部(4)の操作面が一列に配列されている。
【0016】
複数の操作キー部(4)は、図3及び図4に示す構造を有しており、図4に示す如く複数(図示する例では4つ)の感応部(51)が一列に配置されたキー基板(5)上に、1枚の導光シート(7)と、LEDから構成される複数(図示する例では4つ)の発光素子(6)とが配置され、更にその上には、図3(a)の如く接着層(8)を介してスクリーン(2)が配置されている。
尚、感応部(51)は、例えば静電容量型のスイッチ素子によって構成される。
【0017】
導光シート(7)には、1或いは複数(図示する例では1つ)の操作キー部(4)毎に光出射部(71)が形成されると共に、スクリーン(2)の背面には、光出射部(71)毎に照光エリア(21)が形成されている。各照光エリア(21)には、図2に示す如く各操作キー部(4)の機能を表わす絵文字が印刷されている。絵文字に替えて、英数字や記号などでもよい。
【0018】
図4に示す如く、導光シート(7)には、4つの切欠き(72)が形成されており、キー基板(5)上にて複数の切欠き(72)のそれぞれの範囲内に発光素子(6)が収容される。
複数の発光素子(6)は、その光出射面を発光素子(6)の配列方向に沿う一方向に向けて配列されており、各発光素子(6)の光出射面が、図3(a)の如く切欠き(72)の端面(72a)に対向している。
【0019】
図4に示す如く、導光シート(7)の複数の光出射部(71)は、各切欠き(72)から同一方向へ略同一距離だけ離れた位置に、例えば導光シート(7)の表面を粗面とすることで光を出射する様に形成されている。
【0020】
上記キー入力装置においては、複数の発光素子(6)から同一方向へ向けて光が出射され、1つの発光素子(6)から出射された光が、導光シート(7)の1つの端面(72a)に入射した後、導光シート(7)内を進行して、最終的に1つの光出射部(71)から上方へ出射する。そして、1つの光出射部(71)から出射した光は、スクリーン(2)の1或いは複数(図示する例では1つ)の照光エリア(21)を照明する。
【0021】
斯くして、スクリーン(2)の1つの照光エリア(21)と、導光シート(7)の1つの光出射部(71)と、キー基板(5)の1つの感応部(51)と、1つの発光素子(6)とによって、照明機能を有する1つの操作キー部(4)が構成される。
任意の1つの操作キー部(4)をタッチ操作すると、該操作キー部(4)の下方に位置するキー基板(5)の感応部(51)が感応して、該操作キー部(4)に割り当てられた所定の情報が入力されることになる。
【0022】
上記携帯電話機の組立工程では、複数の照光エリア(21)が形成されているスクリーン(2)の内面に、例えば両面粘着テープからなる接着層(8)を介して、複数の光出射部(71)が形成された導光シート(7)を貼着固定した後、該スクリーン(2)を前記筐体(1)に固定することによって、キー基板(5)上に導光シート(7)が配置される。
【0023】
この組立工程で、図3(b)の如くスクリーン(2)に対する導光シート(7)の貼着位置にずれ量aだけずれが生じた場合、導光シート(7)の各端面(72a)の位置にも同じずれ量aが生じ、各発光素子(6)から導光シート(7)の各光出射部(71)の中心位置までの距離Aにも同じずれ量aが生じるので、各発光素子(6)から導光シート(7)の各光出射部(71)の中心位置までの距離は、全ての操作キー部(4)について同じ距離(A+a)となる。
従って、各操作キー部(4)は、導光シート(7)のずれに拘わらず、略同じ強さの光で照明され、複数の操作キー部(4)に照明ムラは殆ど生じない。
【0024】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、1つの発光素子(6)によって1つの照光エリア(21)を照明しているが、これに限らず、1つの発光素子(6)によって複数の照光エリア(21)を照明する構成を採用することも可能である。
又、本発明は携帯電話機のキー入力装置に限らず、広く情報処理装置のキー入力装置に実施することが出来る。
【符号の説明】
【0025】
(1) 筐体
(2) スクリーン
(4) 操作キー部
(21) 照光エリア
(5) キー基板
(51) 感応部
(6) 発光素子
(7) 導光シート
(71) 光出射部
(72) 切欠き
(72a) 端面
(8) 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作キー部を構成すべき複数の感応部が一方向に沿って配列されたキー基板の表面に、導光シートと、該導光シートの厚さ方向とは交叉する方向に光を出射する複数の発光素子とが配備され、該導光シートの表面を覆って、操作キー部毎に照光エリアを有するスクリーンが設置されているキー入力装置において、
前記複数の発光素子は、それぞれの光出射方向を同一方向に向けて配列され、前記導光シートには、各発光素子との対向位置に、各発光素子からの光が入射すべき複数の切欠きが形成されていることを特徴とするキー入力装置。
【請求項2】
前記導光シートには、前記切欠きの端面から同一方向へ離れた位置に、1或いは複数の光出射部が形成されている請求項1に記載のキー入力装置。
【請求項3】
前記導光シートには、前記切欠きの範囲内に発光素子が収容され、該発光素子が対向する切欠きの内周面によって前記端面が形成されている請求項1又は請求項2に記載のキー入力装置。
【請求項4】
前記導光シートは、スクリーンの内面に接着層を介して貼着固定されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載のキー入力装置。
【請求項5】
スクリーンの各照光エリアには、各操作キー部の機能を表わす絵文字、又は英数字、若しくは記号が印刷されている請求項1乃至請求項4の何れかに記載のキー入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109877(P2013−109877A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252338(P2011−252338)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】