ギャザラー
【課題】本発明の目的は、ギャザラーに高速で送り込まれた帯状のフリースが、互いに干渉することなく集束孔に進入することが可能なギャザラーを提供することにある。
【解決手段】進入する帯状のフリースが衝突する衝突面4と、その衝突面4で進路を変更されたフリースを案内する案内面3と、衝突面4においてフリースを集束するための集束孔5とが形成されたブロック体よりなるギャザラー1を形成した。そして、前記フリースの集束孔5を境に左右に位置するそれぞれの部分が、集束孔5に対して互いに非対称の進入姿勢をとって集束孔5に進入するように、基準面2に対して傾斜する平面部からなる案内面3を、非対称進入姿勢生成手段として設けた。
【解決手段】進入する帯状のフリースが衝突する衝突面4と、その衝突面4で進路を変更されたフリースを案内する案内面3と、衝突面4においてフリースを集束するための集束孔5とが形成されたブロック体よりなるギャザラー1を形成した。そして、前記フリースの集束孔5を境に左右に位置するそれぞれの部分が、集束孔5に対して互いに非対称の進入姿勢をとって集束孔5に進入するように、基準面2に対して傾斜する平面部からなる案内面3を、非対称進入姿勢生成手段として設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラフト工程から一対のフロントローラを介して帯状の形で送り込まれるフリースを集束するギャザラーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に練条機の工程は、図10に示すように、前工程のカードやコーマで紡出されてケンスに収容されたスライバーの6〜8本を並列状態として、それらを5〜10倍に牽伸して斑を少なくし、繊維が並行に引き揃えられたスライバーを形成する。
【0003】
即ち、クリールローラ71及びリフターローラ72を介して供給されたスライバー70aを、ドラフトパート73において、5〜10倍に牽伸して繊維を真っ直ぐにしながら、ボトムローラ74a及びトップローラ74bからなる一対のフロントローラ74から送り出す。このドラフトパート73に、6〜8本が並行状態で供給されたスライバー70aは、それぞれの境界が曖昧となってフリース状態のフリース70bとなる。そのフリース70bは、ギャザラー75により両端部を内側に丸め込まれるようにされた後、コイラートランペット76及び一対のコイラーカレンダーローラ77を通されることにより、集束圧縮されて練条スライバー70cとなる。そして、コイラホイール78に設けられたスライバー導管79を介して、その練条スライバー70cをサイクロイド状に配置しながらケンス80内に収納することにより、練条機の工程は完了する。以下、練条スライバー70cを単にスライバー70と称するものとする。
【0004】
上記ドラフトパート73において牽伸されて、1000m/minに達するほどの高速でギャザラー75に送り出されるフリース70bには随伴気流が伴う。そして、その随伴気流を伴ったフリース70bがギャザラー75で集束される時、随伴気流を効果的に排出できない場合、或いは随伴気流が乱流となる場合等において、フリース70bから繊維が分離する等の不具合が起こることがある。
【0005】
また、ギャザラー75に送り込まれるフリース70bは、全体として横に広がる帯状となっているが、このフリース70bの両端部を内側に包み込むように集束させなければ、ケンス80内に収容されたスライバー70の両端が開いたり、毛羽立ったりしてスライバー70の品質を落とすことになる。そして、これらの問題を解決するものとして種々提案がなされている。
【0006】
特許文献1に開示されている「紡機に装着されるフリースギャザラー」は、図11及び図12に示すように、フリースが衝突する面を長手方向に沿って緩やかに湾曲した湾曲面86とすると共に、その湾曲面86を上下方向に傾斜させて傾斜面87としている。このような構成とすることにより随伴気流88が効率よく排出され、フリースの両端部を中深く包み込んで、その形状が移送時においても保たれるように集束してスライバーとすることができる。
【0007】
特許文献2に開示されている「フリースホッパー」は、繊維フリースが衝突する衝突面を中窪みの湾曲とし、その湾曲の最低位置に繊維フリースを進入させて集束するためのホッパー管路を設けている。また、衝突面に送り込まれる繊維フリースの方向とホッパー管路の縦軸との間が、15〜19度の衝突角となるようになっている。このような構成により、スライバーの品質に影響を与えず、スライバーの搬送に障害をもたらすことなく、スライバーを950m/minよりも速い速度で送り出すことが保証されている。
【0008】
特許文献3に開示されている「特に練条フレーム、フラット・カードなどのスライバ形成用繊維機械に対するウエブ案内部材を備えた装置」は、ウエブ案内部材の形状を変更可能としたり、位置を移動可能としたり、或いは摩擦抵抗を変更可能としたりして、繊維スライバーが粗く波状になることを防止できる。
【特許文献1】実開平5−37978号公報([要約]を参照)
【特許文献2】特開平10−46436号公報([要約][特許請求の範囲]を参照)
【特許文献3】特開2005−350845号公報([要約]を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1〜3に開示されているギャザラーにおいて、フリースに及ぼす随伴気流の影響を排除し、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束させることが実現されるようになっているが、なお、フリースが安定して両端部を内側に包み込むように集束されない問題が残っている。従って、フリースの両端が開いたり、毛羽立ったりして、スライバーの品質を落とす問題が解決されているとはいえない。また、送り込まれた帯状のフリースの一部がドラフト工程のフロントローラ側に巻き上がるトラブルも起きている。
【0010】
そこで、本発明者等は、高速度撮影した映像により、高速でギャザラーに送り込まれるフリースの挙動を観察した。その結果、集束孔に向かって送り込まれるフリースはそのまま集束孔に進入するが、衝突面と案内面とで進む方向を変更されて集束孔に進入するフリースは、その進入姿勢が定まらずに変化する挙動を示すことが分かった。特に、帯状のフリースの両端部が、案内面で方向を変更されて集束孔に進入する時、その進入路は一定しない。両端部のそれぞれが集束孔の前後に分かれて進入したり、その前後の進入経路が入れ替わったり、また、互いにぶつかり合った後に進入したりする現象が起きているのである。従って、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束することが安定して行われず、繊維の毛羽立ち等の問題が解決されず、時には、ぶつかり合ったフリースの一部がフロントローラ側に跳ね上がる現象に繋がっていることが見出された。
【0011】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、高速でギャザラーに送り込まれた帯状のフリースが、互いに干渉することなく集束孔に進入することが可能なギャザラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題を解決するために請求項1に記載のギャザラーの発明は、フリースが進入して衝突する衝突面と、その衝突面で進入姿勢が変更された前記フリースを案内する案内面と、前記衝突面において前記フリースを集束するための集束孔とが形成されたブロック体よりなり、そのブロック体の基準面が、ドラフト工程の一対のフロントローラの軸線に対して平行に配置されたギャザラーにおいて、前記集束孔を境に左右に位置する前記フリースのそれぞれの進入姿勢が、前記集束孔に対して互いに非対称となって前記集束孔に進入するように、非対称進入姿勢生成手段を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、帯状のフリースが進入する時、集束孔の左側において衝突面に衝突し案内面に方向を変更されるフリースの進入姿勢と、右側において衝突面に衝突し案内面に方向を変更されるフリースの進入姿勢とが、集束孔に対して非対称となるように、非対称進入姿勢生成手段がギャザラーに設けられている。そのため、随伴気流がフリースの進入姿勢を乱すことが起こり難くなる。また、左右に位置するそれぞれのフリースが互いに衝突することなく集束孔に進入することができるので、並行するフリースの両端部を、内側に包み込むように集束することが安定して行われる。従って、フリースに毛羽立ち等の不具合が発生することを未然に防止することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のギャザラーにおいて、前記非対称進入姿勢生成手段は、前記基準面に対して傾斜して配置された平面部からなる前記案内面であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、非対称進入姿勢生成手段として、ブロック体の基準面に対して平面部からなる案内面を傾斜して配置した。そのため、並行状態で送り込まれ、集束孔の左側において衝突面に衝突し案内面に方向を変更されたフリースは、集束孔の一端側から集束孔に進入し、右側において衝突面に衝突し案内面に方向を変更されたフリースは、集束孔の他端側から集束孔に進入する。従って、左右に位置するそれぞれのフリースが互いに衝突することがないので、並行するフリースの両端部を内側に包み込むように集束することを安定して行うことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のギャザラーにおいて、前記非対称進入姿勢生成手段は、前記ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に配置された前記集束孔であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、非対称進入姿勢生成手段として、ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に集束孔を配置した。そのため、帯状のフリースが進入する時、集束孔の左側において衝突面に衝突したフリースと、右側において衝突面に衝突したフリースとは、それぞれの方向が集束孔に対して非対称となる。特に、衝突面が凹の曲面部となっている時、集束孔及び最低面部の外側の衝突面に衝突したフリースは、衝突面の曲面に衝突した後に案内面で方向を変更されて集束孔に進入する方向を特定される。従って、左右それぞれのフリースは、集束孔に対して非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔に進入することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のギャザラーにおいて、前記非対称進入姿勢生成手段は、前記基準面に対して直交する方向の中心軸を有する凹の曲面部であって、前記ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に最低面部が配置された前記衝突面であることを特徴とするものである。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、非対称進入姿勢生成手段として、ブロック体の基準面に対して直交する方向の中心軸を有し、凹の曲面部として形成された衝突面を、その最低面部が前記ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置となるように配置した。そして、ブロック体の長手方向の中心部に集束孔を形成すれば、その集束孔に対する左右のフリースは、非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔に進入することができる。
【0020】
請求項5に記載のギャザラーの発明は、請求項2ないし4のうちいずれかに記載の非対称進入姿勢生成手段としての前記案内面、前記集束孔及び前記衝突面のうち、二つ又は三つの組み合わせからなる非対称進入姿勢生成手段を設けたことを特徴とするものである。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、ブロック体の基準面に対して傾斜する案内面と、ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に配置された集束孔と、ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に最低面部を有する衝突面との、いずれか二つ又は三つを組み合わせて非対称進入姿勢生成手段とした。そのため、進入する帯状のフリースは、集束孔の左右で、それぞれが非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔に進入することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載のギャザラーにおいて、前記フロントローラと前記衝突面との位置関係は、前記並行する複数のフリースが前記基準面に対して傾斜する方向に送り込まれて前記衝突面に衝突するように配置されたことを特徴とするものである。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、帯状のフリースが、ブロック体の基準面に対して傾斜する方向に送り込まれ、衝突面に傾斜して衝突するようにした。そのためフリースは、衝突面に衝突する時、その衝突位置により進む方向が特定され、また、衝突面で進路を変更された後に案内面に案内されるとき、その案内面により方向が特定されるように、二度の進入姿勢の変更機会を有することになる。従って、フリースが傾斜して衝突面に衝突するので、非対称進入姿勢生成手段が効果的に作用して、帯状のフリースは、互いに衝突することなく集束孔に進入することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、帯状のフリースの、集束孔を境に左右に位置するそれぞれの部分が、集束孔に対して互いに非対称の進入姿勢をとって集束孔に進入するように、非対称進入姿勢生成手段を設けたので、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束することを安定して行うことができるギャザラーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜6を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態のギャザラー1は、本体が略三角柱状のブロック体よりなり、その外面は、背面に位置する基準面2と、左右の左側面8a及び右側面8bと、斜面6と、前端面9とにより構成されている。この基準面2は、ギャザラー1が練条機に装置された状態において、垂直方向を向くように配置される。斜面6には、基準面2に対して直交する方向の中心軸を有し凹の曲面部としての円柱面部よりなり、進入した帯状のフリースが衝突する衝突面4と、基準面2に対して所定の角度Kで傾斜した平面部よりなり、フリースの方向を変更する案内面3と、内側面7とから凹部が形成されている。衝突面4の中央部には、断面円形の集束孔5が下方に貫通して形成して形成されている。本実施形態では、図2に示すように、基準面2と案内面3との間の角度Kは2度20分となっており、この案内面3が、集束孔5に進入する帯状のフリースの進入姿勢を集束孔5に対して非対称となるように変更する非対称進入姿勢形成手段となっている。衝突面4と斜面6とで形成される稜線6aが曲線状となっている。
【0026】
図3に示すように、衝突面4の最低面部4aは、ギャザラー1の長手(基準面2に沿った)方向の中心CBに配置されている。即ち、中心CBに対して衝突面4は左右対称である。そして、集束孔5の中心CSとギャザラー1の中心CBとは、同一位置にある。また、この集束孔5は、図3、4に示すように、円柱面状の底面部4bにおいて下方に延出し、テーパー部12aを有する筒状体12の中心部を貫通している。なお、集束孔5の中心CSの方向は、ギャザラー1の使用状態において垂直方向となる。
【0027】
ギャザラー1の本体の前側において下方に延出している前側下部10は、ギャザラー1の補強部である。また、図3に示すように、基準面2の左右端に近い部分に形成されている一対のねじ孔13は、ギャザラー1を、図示しない練条機のフレームにボルトを用いて取り付けるために形成されている。
【0028】
次に、図5、6を用いて、ギャザラー1に進入する帯状のフリースの、集束孔5を境に左右に位置するそれぞれの部分が、案内面3により案内されて、集束孔5に対して互いに非対称の進入姿勢をとって集束孔5に進入する作用を説明する。なお、実際のフリースは横に広がった帯状となっているが、理解を容易にするために、複数のフリースが互いに隣接してギャザラー1に進入するものとして説明する。
【0029】
図5、6に示すように、図示しないドラフトパートの一対のフロントローラから並行して送り込まれる複数(図では8本)のフリースは、横に広がった帯状となって、垂直方向に配置された基準面2に対して傾斜する方向で、衝突面4に衝突する。この時、集束孔5の左側に送り込まれた、内側から外側に向かって並ぶ4本のフリースL1、L2、L3及びL4は、円柱面部からなる衝突面4の母線に対して傾斜する方向で衝突した後、それぞれが集束孔5の側に傾いて進入姿勢が変更される。そして、その進入姿勢が変更されたフリースL1〜L4のそれぞれが、案内面3に衝突して方向を変更されて、基準面2側から集束孔5に互いの進入姿勢に干渉することなく進入する。同様に、集束孔5の右側に送り込まれた、内側から外側に向かって並ぶ4本のフリースR1、R2、R3及びR4は、円柱面部からなる衝突面4の母線に対して傾斜する方向で衝突した後、それぞれが集束孔5の側に傾いて進入姿勢が変更される。そして、その進入姿勢が変更されたフリースR1〜R4のそれぞれが、案内面3に衝突して方向を変更されて、前端面9側から集束孔5に互いの進入姿勢に干渉することなく進入する。
【0030】
本発明者等は、高速度撮影された映像により、基準面2側から集束孔5に進入する4本のフリースL1〜L4と、前端面9側から集束孔5に進入する4本のフリースR1〜R4とが、集束孔5に対して互いに非対称となる進入姿勢をとって集束孔に進入するので、左右のそれぞれの衝突がないことを確認している。この時、随伴気流の挙動が、基準面2に対して傾斜している案内面3の作用により、集束孔5の左側の随伴気流と右側の随伴気流とが互いに干渉していないことも確認されている。また、4本のフリースL1〜L4が基準面2側から集束孔5に進入し、4本のフリースR1〜R4が前端面9側から集束孔5に進入しているが、その進入位置の入れ替えが行われないことも、発明者等によって確認されている。
【0031】
このように、複数のフリースが互いに衝突することなく集束孔5に進入することができるので、横に広がった帯状状態で送り込まれたフリースの端部を内側に丸め込むように集束して、次の図示しないコイラートランペットへ送り出すことができる。すると、集束されたスライバーは、繊維が毛羽立つことがない。また、フリースがフロントローラ側へ飛び跳ねることもない。
【0032】
なお、図5に模式的に示す例においては、集束孔5の左側のフリースL1及び右側のフリースR1は、衝突面4に衝突した後、案内面3に方向を変更されて集束孔5に進入している。しかし、フリースL1及びフリースR1のいずれか又は両方が、衝突面4に衝突することなく、集束孔5に進入する場合もある。その時、他のフリースL2、L3、R2及びR3は、互いに干渉することなく、それぞれが衝突することなく、よりスムーズに集束孔5に進入することができる。
【0033】
従って、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、集束孔5の左側において衝突面4に衝突し案内面3に方向を変更されるフリースL1〜L4の進入姿勢と、右側において衝突面4に衝突し案内面3に方向を変更されるフリースR1〜R4の進入姿勢とが、集束孔5に対して非対称となるように、非対称進入姿勢生成手段を設けた。そのため、左右に位置するそれぞれのフリースL1〜L4及びフリースR1〜R4が互いに衝突することなく集束孔5に進入することができるので、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束することを安定して行うことができる。従って、集束されたスライバーに繊維の毛羽立ち等の不具合が発生することを未然に防止するギャザラー1を提供することができる。
【0034】
(2)上記実施形態では、非対称進入姿勢生成手段として、基準面2に対して傾斜する平面部からなる案内面3を形成した。そのため、集束孔5の左側において衝突面4に衝突し案内面3に方向を変更されたフリースL1〜L4は、集束孔5の基準面2側から集束孔5に進入し、右側において衝突面4に衝突し案内面3に方向を変更されたフリースR1〜R4は、集束孔5の前端面9側から集束孔5に進入する。従って、左右に位置するそれぞれのフリースL1〜L4及びフリースR1〜R4が互いに衝突することがないので、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束することを安定して行うことができる。
【0035】
(3)上記実施形態では、帯状のフリースL1〜L4及びフリースR1〜R4が、基準面2に対して傾斜する方向に送り込まれ、円柱面部からなる衝突面4の母線に対して傾斜する方向で衝突するようにした。そのため、それぞれのフリースL1〜L4及びR1〜R4は、衝突面4の円柱面に衝突する時、その衝突位置により集束孔5の側へ傾いて進路が変更されるそれぞれの方向が異なり、また、衝突面4で進路を変更された後に案内面3に案内されるとき、その案内面3の傾斜により方向付けが行われるように、二度の進入姿勢の変更機会を有することになる。従って、フリースL1〜L4及びR1〜R4は、傾斜する方向で衝突面4に衝突するので、非対称進入姿勢生成手段である案内面3の作用により、それぞれが互いに衝突することなく集束孔5に進入することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を、第1実施形態と異なる部分を中心に図7、8を用いて説明する。
【0037】
図7に示すように、本実施形態のギャザラー11においては、その長手方向の中心CBと円柱面部からなる衝突面4の最低面部4aとが同一位置にある点は第1の実施形態と同一であるが、中心CBとは異なる位置に、中心CSが位置するように集束孔5が形成されている点が第1実施形態とは異なる。また、案内面31は、基準面2と平行な平面部として形成されており、第1の実施形態の案内面3が基準面2に対して傾斜する平面部からなる点と異なる。この中心CBとは異なる位置に配置された集束孔5が非対称進入姿勢生成手段となる。
【0038】
このように、集束孔5を中心CBとは異なる位置に配置したので、帯状のフリースが進入する時、集束孔5の左側において衝突面4に衝突したフリースと、右側において衝突面4に衝突したフリースとは、それぞれの進入姿勢が集束孔5に対して非対称となる。特に、集束孔5及び最低面部4aの外側(図7の右側)のフリースが衝突する衝突面4の曲面(円柱面)の接線方向の傾きは、集束孔5の左側の衝突面4の曲面の傾きよりも大きいので、フリースは、衝突面4に衝突後に集束孔5側(図7に左側)に傾く度合いが大きくなり、案内面3に至る時の進入姿勢がその度合いに応じて変更される。そのため、集束孔5の反対側の衝突面4に衝突するフリースが集束孔5に進入する進入姿勢と、上記のように集束孔5の外側の衝突面4に衝突するフリースが集束孔5に進入する進入姿勢とは非対称となる。従って、左右それぞれのフリースは、集束孔5に対して非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔5に進入する。
【0039】
なお、本実施形態では、ギャザラー11に対して送り込まれる帯状のフリース70bの中心と、ギャザラー11の中心CBとを一致させたが、フリース70bが送り込まれる位置をずらせて、フリース70bの中心と、集束孔5の中心CSとを一致させるようにしてもよい。
【0040】
そして、この第2実施形態においては、第1の実施形態における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(4)上記実施形態では、ギャザラー11の長手方向の中心CBとは異なる位置の衝突面4に集束孔5を形成した。そのため、中心CBの側と反対の側の集束孔5の外側の衝突面4に衝突したフリースは、衝突後に集束孔5側に傾いて案内面3に至る時の進入姿勢が衝突面4の曲面の接線方向の傾きにより変更される。従って、集束孔5の中心CB側の衝突面4に衝突するフリースが集束孔5に進入する進入姿勢と、その反対側の集束孔5の外側の衝突面4に衝突するフリースが集束孔5に進入する進入姿勢とは非対称となるため、左右それぞれのフリースは、集束孔5に対して非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔5に進入することができる。そして、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束することを安定して行うことができるので、集束されたスライバーに繊維の毛羽立ち等の不具合が発生することを未然に防止するギャザラー11を提供することができる。
【0041】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態を、第1及び第2の実施形態と異なる部分を中心に図9を用いて説明する。
【0042】
図9に示すように、本実施形態のギャザラー21では、ギャザラー21の長手方向の中心CBと集束孔5の中心CSとは同一位置にあるが、円柱面部からなる衝突面41の最低面部41aは、中心CBとは異なる位置に配置されている。この衝突面41においては、集束孔5に対して、最低面部41aとは反対側の衝突面41bの曲面は、最低面部41aがある側の衝突面41cの曲面よりも接線方向の傾きが大きい。また、この衝突面41は、中心CBとは異なる位置に最低面部41aが位置するように配置されて、非対称進入姿勢生成手段となる。
【0043】
従って、並行状態で送り込まれた帯状のフリースが衝突面41に衝突するとき、衝突面41bに衝突するフリースが案内面3に案内されて集束孔5に進入する時の進入姿勢と、衝突面41cに衝突するフリースが案内面3に案内されて集束孔5に進入する時の進入姿勢とは、集束孔5に対して非対称となる。そのため、衝突面41bに衝突したフリースと、衝突面41cに衝突したフリースとは、集束孔5に対して非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔5に進入することができる。
【0044】
(5)上記実施形態では、ギャザラー21の長手方向の中心CBとは異なる位置に最低面部41aが位置するように衝突面41を配置した。従って、集束孔5に対して、最低面部41aがある側の衝突面41cの曲面よりも、その衝突面41cとは反対側の衝突面41bの曲面の方が大きな接線方向の傾きを有する。そのため、衝突面41bに衝突したフリースと、衝突面41cに衝突したフリースとは、互いに衝突することなく集束孔5に進入することができる。そして、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束することを安定して行うことができるので、集束されたスライバーに繊維の毛羽立ち等の不具合が発生することを未然に防止するギャザラー21を提供することができる。
【0045】
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施形態を説明する。本実施形態は、第1ないし第3実施形態において説明した非対称進入姿勢生成手段である案内面3、集束孔5及び衝突面41のうち、二つ又は三つの組み合わせからなる実施形態であるので、それぞれの詳細な説明は省くものとする。
【0046】
非対称進入姿勢生成手段としての案内面3と集束孔5との組み合わせの場合、ギャザラー11の長手方向の中心CBとは異なる位置において、集束孔5の位置を適宜選択することにより、集束孔5の左右から集束孔5に進入するフリースが互いに衝突することなく集束孔5に進入することができる。
【0047】
非対称進入姿勢生成手段としての案内面3と衝突面41との組み合わせの場合、衝突面41bに衝突して案内面3により方向を変更されるフリースと、衝突面41cに衝突して案内面3により方向を変更されるフリースとは、それらがより確実に非対称となる進入姿勢をとって集束孔5に進入することができる。
【0048】
非対称進入姿勢生成手段としての衝突面41と集束孔5との組み合わせの場合、衝突面41b側に中心CSが位置するように集束孔5を配置することが好ましい。即ち、案内面3が基準面2に対して平行な平面部からなるとしても、衝突面41bに衝突して案内面3により方向を変更されるフリースと、衝突面41cに衝突して案内面3により方向を変更されるフリースとは、それらがより確実に非対称となる進入姿勢をとって集束孔5に進入することができる。
【0049】
また、非対称進入姿勢生成手段としての案内面3、集束孔5及び衝突面41の三つの組み合わせの場合は、上記3種類の二つの組み合わせの作用にもう一つの非対称進入姿勢生成手段が加わるので、集束孔5の左右から集束孔5に進入するそれぞれのフリースが、集束孔5に対して更に確実な非対称進入姿勢をとることができる。
【0050】
(6)上記実施形態によれば、基準面2に対して傾斜する案内面3と、ギャザラー11の長手方向の中心CBとは異なる位置に配置された集束孔5と、同じく中心CBとは異なる位置に最低面部41aを有する衝突面41との、いずれか二つ又は三つを組み合わせて非対称進入姿勢生成手段とした。そのため、進入する帯状のフリースは、集束孔5の左右で、それぞれがより確実に非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔5に進入することができる。
【0051】
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 衝突面4、41の曲面を円柱面部としたが、中心軸を有する円柱面以外の曲面の柱状体とすること。
・ 基準面2と案内面3との角度Kを2度20分としたが、その他の角度とすること。或いは、角度Kを−2度20分を含むマイナス角度とすること。
・ 基準面2に対して直交する方向の中心軸を有し凹の曲面部としての円柱面部よりなる衝突面4、41としたが、衝突面4、41の中心軸の方向を基準面2に対して傾斜するように配置すること。
・ 衝突面4、41を凹の曲面部としたが、互いがV字状の位置関係となる2面の平面部からなる衝突面4、41とすること。そして、左右のそれぞれの平面部の傾きを異なるようにすれば、それぞれの平面部に衝突したフリースは、集束孔5に対して非対称の進入姿勢をとって集束孔5に進入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態のギャザラーを示す斜視図。
【図2】第1の実施形態のギャザラーを示す平面図。
【図3】第1の実施形態のギャザラーを示す背面図。
【図4】第1の実施形態のギャザラーを示す側面図。
【図5】第1の実施形態のギャザラーに送り込まれるフリースの挙動を模式的に示す斜視図。
【図6】第1の実施形態のギャザラーに送り込まれるフリースの挙動を模式的に示す平面図。
【図7】第2の実施形態のギャザラーを示す背面図。
【図8】第2の実施形態のギャザラーを示す平面図。
【図9】第3の実施形態のギャザラーを示す背面図。
【図10】従来技術の練条機の工程を示す工程図。
【図11】従来技術のギャザラーを示す平面図。
【図12】図11のAA矢視断面図。
【符号の説明】
【0053】
L1,L2,L3,L4,R1,R2,R3,R4,70b…フリース、1,11,21…ギャザラー、2…基準面、3,31…案内面、4,41,41b,41c…衝突面、4a,41a…最低面部、5…集束孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラフト工程から一対のフロントローラを介して帯状の形で送り込まれるフリースを集束するギャザラーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に練条機の工程は、図10に示すように、前工程のカードやコーマで紡出されてケンスに収容されたスライバーの6〜8本を並列状態として、それらを5〜10倍に牽伸して斑を少なくし、繊維が並行に引き揃えられたスライバーを形成する。
【0003】
即ち、クリールローラ71及びリフターローラ72を介して供給されたスライバー70aを、ドラフトパート73において、5〜10倍に牽伸して繊維を真っ直ぐにしながら、ボトムローラ74a及びトップローラ74bからなる一対のフロントローラ74から送り出す。このドラフトパート73に、6〜8本が並行状態で供給されたスライバー70aは、それぞれの境界が曖昧となってフリース状態のフリース70bとなる。そのフリース70bは、ギャザラー75により両端部を内側に丸め込まれるようにされた後、コイラートランペット76及び一対のコイラーカレンダーローラ77を通されることにより、集束圧縮されて練条スライバー70cとなる。そして、コイラホイール78に設けられたスライバー導管79を介して、その練条スライバー70cをサイクロイド状に配置しながらケンス80内に収納することにより、練条機の工程は完了する。以下、練条スライバー70cを単にスライバー70と称するものとする。
【0004】
上記ドラフトパート73において牽伸されて、1000m/minに達するほどの高速でギャザラー75に送り出されるフリース70bには随伴気流が伴う。そして、その随伴気流を伴ったフリース70bがギャザラー75で集束される時、随伴気流を効果的に排出できない場合、或いは随伴気流が乱流となる場合等において、フリース70bから繊維が分離する等の不具合が起こることがある。
【0005】
また、ギャザラー75に送り込まれるフリース70bは、全体として横に広がる帯状となっているが、このフリース70bの両端部を内側に包み込むように集束させなければ、ケンス80内に収容されたスライバー70の両端が開いたり、毛羽立ったりしてスライバー70の品質を落とすことになる。そして、これらの問題を解決するものとして種々提案がなされている。
【0006】
特許文献1に開示されている「紡機に装着されるフリースギャザラー」は、図11及び図12に示すように、フリースが衝突する面を長手方向に沿って緩やかに湾曲した湾曲面86とすると共に、その湾曲面86を上下方向に傾斜させて傾斜面87としている。このような構成とすることにより随伴気流88が効率よく排出され、フリースの両端部を中深く包み込んで、その形状が移送時においても保たれるように集束してスライバーとすることができる。
【0007】
特許文献2に開示されている「フリースホッパー」は、繊維フリースが衝突する衝突面を中窪みの湾曲とし、その湾曲の最低位置に繊維フリースを進入させて集束するためのホッパー管路を設けている。また、衝突面に送り込まれる繊維フリースの方向とホッパー管路の縦軸との間が、15〜19度の衝突角となるようになっている。このような構成により、スライバーの品質に影響を与えず、スライバーの搬送に障害をもたらすことなく、スライバーを950m/minよりも速い速度で送り出すことが保証されている。
【0008】
特許文献3に開示されている「特に練条フレーム、フラット・カードなどのスライバ形成用繊維機械に対するウエブ案内部材を備えた装置」は、ウエブ案内部材の形状を変更可能としたり、位置を移動可能としたり、或いは摩擦抵抗を変更可能としたりして、繊維スライバーが粗く波状になることを防止できる。
【特許文献1】実開平5−37978号公報([要約]を参照)
【特許文献2】特開平10−46436号公報([要約][特許請求の範囲]を参照)
【特許文献3】特開2005−350845号公報([要約]を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1〜3に開示されているギャザラーにおいて、フリースに及ぼす随伴気流の影響を排除し、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束させることが実現されるようになっているが、なお、フリースが安定して両端部を内側に包み込むように集束されない問題が残っている。従って、フリースの両端が開いたり、毛羽立ったりして、スライバーの品質を落とす問題が解決されているとはいえない。また、送り込まれた帯状のフリースの一部がドラフト工程のフロントローラ側に巻き上がるトラブルも起きている。
【0010】
そこで、本発明者等は、高速度撮影した映像により、高速でギャザラーに送り込まれるフリースの挙動を観察した。その結果、集束孔に向かって送り込まれるフリースはそのまま集束孔に進入するが、衝突面と案内面とで進む方向を変更されて集束孔に進入するフリースは、その進入姿勢が定まらずに変化する挙動を示すことが分かった。特に、帯状のフリースの両端部が、案内面で方向を変更されて集束孔に進入する時、その進入路は一定しない。両端部のそれぞれが集束孔の前後に分かれて進入したり、その前後の進入経路が入れ替わったり、また、互いにぶつかり合った後に進入したりする現象が起きているのである。従って、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束することが安定して行われず、繊維の毛羽立ち等の問題が解決されず、時には、ぶつかり合ったフリースの一部がフロントローラ側に跳ね上がる現象に繋がっていることが見出された。
【0011】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、高速でギャザラーに送り込まれた帯状のフリースが、互いに干渉することなく集束孔に進入することが可能なギャザラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題を解決するために請求項1に記載のギャザラーの発明は、フリースが進入して衝突する衝突面と、その衝突面で進入姿勢が変更された前記フリースを案内する案内面と、前記衝突面において前記フリースを集束するための集束孔とが形成されたブロック体よりなり、そのブロック体の基準面が、ドラフト工程の一対のフロントローラの軸線に対して平行に配置されたギャザラーにおいて、前記集束孔を境に左右に位置する前記フリースのそれぞれの進入姿勢が、前記集束孔に対して互いに非対称となって前記集束孔に進入するように、非対称進入姿勢生成手段を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、帯状のフリースが進入する時、集束孔の左側において衝突面に衝突し案内面に方向を変更されるフリースの進入姿勢と、右側において衝突面に衝突し案内面に方向を変更されるフリースの進入姿勢とが、集束孔に対して非対称となるように、非対称進入姿勢生成手段がギャザラーに設けられている。そのため、随伴気流がフリースの進入姿勢を乱すことが起こり難くなる。また、左右に位置するそれぞれのフリースが互いに衝突することなく集束孔に進入することができるので、並行するフリースの両端部を、内側に包み込むように集束することが安定して行われる。従って、フリースに毛羽立ち等の不具合が発生することを未然に防止することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のギャザラーにおいて、前記非対称進入姿勢生成手段は、前記基準面に対して傾斜して配置された平面部からなる前記案内面であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、非対称進入姿勢生成手段として、ブロック体の基準面に対して平面部からなる案内面を傾斜して配置した。そのため、並行状態で送り込まれ、集束孔の左側において衝突面に衝突し案内面に方向を変更されたフリースは、集束孔の一端側から集束孔に進入し、右側において衝突面に衝突し案内面に方向を変更されたフリースは、集束孔の他端側から集束孔に進入する。従って、左右に位置するそれぞれのフリースが互いに衝突することがないので、並行するフリースの両端部を内側に包み込むように集束することを安定して行うことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のギャザラーにおいて、前記非対称進入姿勢生成手段は、前記ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に配置された前記集束孔であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、非対称進入姿勢生成手段として、ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に集束孔を配置した。そのため、帯状のフリースが進入する時、集束孔の左側において衝突面に衝突したフリースと、右側において衝突面に衝突したフリースとは、それぞれの方向が集束孔に対して非対称となる。特に、衝突面が凹の曲面部となっている時、集束孔及び最低面部の外側の衝突面に衝突したフリースは、衝突面の曲面に衝突した後に案内面で方向を変更されて集束孔に進入する方向を特定される。従って、左右それぞれのフリースは、集束孔に対して非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔に進入することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のギャザラーにおいて、前記非対称進入姿勢生成手段は、前記基準面に対して直交する方向の中心軸を有する凹の曲面部であって、前記ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に最低面部が配置された前記衝突面であることを特徴とするものである。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、非対称進入姿勢生成手段として、ブロック体の基準面に対して直交する方向の中心軸を有し、凹の曲面部として形成された衝突面を、その最低面部が前記ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置となるように配置した。そして、ブロック体の長手方向の中心部に集束孔を形成すれば、その集束孔に対する左右のフリースは、非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔に進入することができる。
【0020】
請求項5に記載のギャザラーの発明は、請求項2ないし4のうちいずれかに記載の非対称進入姿勢生成手段としての前記案内面、前記集束孔及び前記衝突面のうち、二つ又は三つの組み合わせからなる非対称進入姿勢生成手段を設けたことを特徴とするものである。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、ブロック体の基準面に対して傾斜する案内面と、ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に配置された集束孔と、ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に最低面部を有する衝突面との、いずれか二つ又は三つを組み合わせて非対称進入姿勢生成手段とした。そのため、進入する帯状のフリースは、集束孔の左右で、それぞれが非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔に進入することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載のギャザラーにおいて、前記フロントローラと前記衝突面との位置関係は、前記並行する複数のフリースが前記基準面に対して傾斜する方向に送り込まれて前記衝突面に衝突するように配置されたことを特徴とするものである。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、帯状のフリースが、ブロック体の基準面に対して傾斜する方向に送り込まれ、衝突面に傾斜して衝突するようにした。そのためフリースは、衝突面に衝突する時、その衝突位置により進む方向が特定され、また、衝突面で進路を変更された後に案内面に案内されるとき、その案内面により方向が特定されるように、二度の進入姿勢の変更機会を有することになる。従って、フリースが傾斜して衝突面に衝突するので、非対称進入姿勢生成手段が効果的に作用して、帯状のフリースは、互いに衝突することなく集束孔に進入することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、帯状のフリースの、集束孔を境に左右に位置するそれぞれの部分が、集束孔に対して互いに非対称の進入姿勢をとって集束孔に進入するように、非対称進入姿勢生成手段を設けたので、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束することを安定して行うことができるギャザラーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜6を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態のギャザラー1は、本体が略三角柱状のブロック体よりなり、その外面は、背面に位置する基準面2と、左右の左側面8a及び右側面8bと、斜面6と、前端面9とにより構成されている。この基準面2は、ギャザラー1が練条機に装置された状態において、垂直方向を向くように配置される。斜面6には、基準面2に対して直交する方向の中心軸を有し凹の曲面部としての円柱面部よりなり、進入した帯状のフリースが衝突する衝突面4と、基準面2に対して所定の角度Kで傾斜した平面部よりなり、フリースの方向を変更する案内面3と、内側面7とから凹部が形成されている。衝突面4の中央部には、断面円形の集束孔5が下方に貫通して形成して形成されている。本実施形態では、図2に示すように、基準面2と案内面3との間の角度Kは2度20分となっており、この案内面3が、集束孔5に進入する帯状のフリースの進入姿勢を集束孔5に対して非対称となるように変更する非対称進入姿勢形成手段となっている。衝突面4と斜面6とで形成される稜線6aが曲線状となっている。
【0026】
図3に示すように、衝突面4の最低面部4aは、ギャザラー1の長手(基準面2に沿った)方向の中心CBに配置されている。即ち、中心CBに対して衝突面4は左右対称である。そして、集束孔5の中心CSとギャザラー1の中心CBとは、同一位置にある。また、この集束孔5は、図3、4に示すように、円柱面状の底面部4bにおいて下方に延出し、テーパー部12aを有する筒状体12の中心部を貫通している。なお、集束孔5の中心CSの方向は、ギャザラー1の使用状態において垂直方向となる。
【0027】
ギャザラー1の本体の前側において下方に延出している前側下部10は、ギャザラー1の補強部である。また、図3に示すように、基準面2の左右端に近い部分に形成されている一対のねじ孔13は、ギャザラー1を、図示しない練条機のフレームにボルトを用いて取り付けるために形成されている。
【0028】
次に、図5、6を用いて、ギャザラー1に進入する帯状のフリースの、集束孔5を境に左右に位置するそれぞれの部分が、案内面3により案内されて、集束孔5に対して互いに非対称の進入姿勢をとって集束孔5に進入する作用を説明する。なお、実際のフリースは横に広がった帯状となっているが、理解を容易にするために、複数のフリースが互いに隣接してギャザラー1に進入するものとして説明する。
【0029】
図5、6に示すように、図示しないドラフトパートの一対のフロントローラから並行して送り込まれる複数(図では8本)のフリースは、横に広がった帯状となって、垂直方向に配置された基準面2に対して傾斜する方向で、衝突面4に衝突する。この時、集束孔5の左側に送り込まれた、内側から外側に向かって並ぶ4本のフリースL1、L2、L3及びL4は、円柱面部からなる衝突面4の母線に対して傾斜する方向で衝突した後、それぞれが集束孔5の側に傾いて進入姿勢が変更される。そして、その進入姿勢が変更されたフリースL1〜L4のそれぞれが、案内面3に衝突して方向を変更されて、基準面2側から集束孔5に互いの進入姿勢に干渉することなく進入する。同様に、集束孔5の右側に送り込まれた、内側から外側に向かって並ぶ4本のフリースR1、R2、R3及びR4は、円柱面部からなる衝突面4の母線に対して傾斜する方向で衝突した後、それぞれが集束孔5の側に傾いて進入姿勢が変更される。そして、その進入姿勢が変更されたフリースR1〜R4のそれぞれが、案内面3に衝突して方向を変更されて、前端面9側から集束孔5に互いの進入姿勢に干渉することなく進入する。
【0030】
本発明者等は、高速度撮影された映像により、基準面2側から集束孔5に進入する4本のフリースL1〜L4と、前端面9側から集束孔5に進入する4本のフリースR1〜R4とが、集束孔5に対して互いに非対称となる進入姿勢をとって集束孔に進入するので、左右のそれぞれの衝突がないことを確認している。この時、随伴気流の挙動が、基準面2に対して傾斜している案内面3の作用により、集束孔5の左側の随伴気流と右側の随伴気流とが互いに干渉していないことも確認されている。また、4本のフリースL1〜L4が基準面2側から集束孔5に進入し、4本のフリースR1〜R4が前端面9側から集束孔5に進入しているが、その進入位置の入れ替えが行われないことも、発明者等によって確認されている。
【0031】
このように、複数のフリースが互いに衝突することなく集束孔5に進入することができるので、横に広がった帯状状態で送り込まれたフリースの端部を内側に丸め込むように集束して、次の図示しないコイラートランペットへ送り出すことができる。すると、集束されたスライバーは、繊維が毛羽立つことがない。また、フリースがフロントローラ側へ飛び跳ねることもない。
【0032】
なお、図5に模式的に示す例においては、集束孔5の左側のフリースL1及び右側のフリースR1は、衝突面4に衝突した後、案内面3に方向を変更されて集束孔5に進入している。しかし、フリースL1及びフリースR1のいずれか又は両方が、衝突面4に衝突することなく、集束孔5に進入する場合もある。その時、他のフリースL2、L3、R2及びR3は、互いに干渉することなく、それぞれが衝突することなく、よりスムーズに集束孔5に進入することができる。
【0033】
従って、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、集束孔5の左側において衝突面4に衝突し案内面3に方向を変更されるフリースL1〜L4の進入姿勢と、右側において衝突面4に衝突し案内面3に方向を変更されるフリースR1〜R4の進入姿勢とが、集束孔5に対して非対称となるように、非対称進入姿勢生成手段を設けた。そのため、左右に位置するそれぞれのフリースL1〜L4及びフリースR1〜R4が互いに衝突することなく集束孔5に進入することができるので、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束することを安定して行うことができる。従って、集束されたスライバーに繊維の毛羽立ち等の不具合が発生することを未然に防止するギャザラー1を提供することができる。
【0034】
(2)上記実施形態では、非対称進入姿勢生成手段として、基準面2に対して傾斜する平面部からなる案内面3を形成した。そのため、集束孔5の左側において衝突面4に衝突し案内面3に方向を変更されたフリースL1〜L4は、集束孔5の基準面2側から集束孔5に進入し、右側において衝突面4に衝突し案内面3に方向を変更されたフリースR1〜R4は、集束孔5の前端面9側から集束孔5に進入する。従って、左右に位置するそれぞれのフリースL1〜L4及びフリースR1〜R4が互いに衝突することがないので、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束することを安定して行うことができる。
【0035】
(3)上記実施形態では、帯状のフリースL1〜L4及びフリースR1〜R4が、基準面2に対して傾斜する方向に送り込まれ、円柱面部からなる衝突面4の母線に対して傾斜する方向で衝突するようにした。そのため、それぞれのフリースL1〜L4及びR1〜R4は、衝突面4の円柱面に衝突する時、その衝突位置により集束孔5の側へ傾いて進路が変更されるそれぞれの方向が異なり、また、衝突面4で進路を変更された後に案内面3に案内されるとき、その案内面3の傾斜により方向付けが行われるように、二度の進入姿勢の変更機会を有することになる。従って、フリースL1〜L4及びR1〜R4は、傾斜する方向で衝突面4に衝突するので、非対称進入姿勢生成手段である案内面3の作用により、それぞれが互いに衝突することなく集束孔5に進入することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を、第1実施形態と異なる部分を中心に図7、8を用いて説明する。
【0037】
図7に示すように、本実施形態のギャザラー11においては、その長手方向の中心CBと円柱面部からなる衝突面4の最低面部4aとが同一位置にある点は第1の実施形態と同一であるが、中心CBとは異なる位置に、中心CSが位置するように集束孔5が形成されている点が第1実施形態とは異なる。また、案内面31は、基準面2と平行な平面部として形成されており、第1の実施形態の案内面3が基準面2に対して傾斜する平面部からなる点と異なる。この中心CBとは異なる位置に配置された集束孔5が非対称進入姿勢生成手段となる。
【0038】
このように、集束孔5を中心CBとは異なる位置に配置したので、帯状のフリースが進入する時、集束孔5の左側において衝突面4に衝突したフリースと、右側において衝突面4に衝突したフリースとは、それぞれの進入姿勢が集束孔5に対して非対称となる。特に、集束孔5及び最低面部4aの外側(図7の右側)のフリースが衝突する衝突面4の曲面(円柱面)の接線方向の傾きは、集束孔5の左側の衝突面4の曲面の傾きよりも大きいので、フリースは、衝突面4に衝突後に集束孔5側(図7に左側)に傾く度合いが大きくなり、案内面3に至る時の進入姿勢がその度合いに応じて変更される。そのため、集束孔5の反対側の衝突面4に衝突するフリースが集束孔5に進入する進入姿勢と、上記のように集束孔5の外側の衝突面4に衝突するフリースが集束孔5に進入する進入姿勢とは非対称となる。従って、左右それぞれのフリースは、集束孔5に対して非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔5に進入する。
【0039】
なお、本実施形態では、ギャザラー11に対して送り込まれる帯状のフリース70bの中心と、ギャザラー11の中心CBとを一致させたが、フリース70bが送り込まれる位置をずらせて、フリース70bの中心と、集束孔5の中心CSとを一致させるようにしてもよい。
【0040】
そして、この第2実施形態においては、第1の実施形態における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(4)上記実施形態では、ギャザラー11の長手方向の中心CBとは異なる位置の衝突面4に集束孔5を形成した。そのため、中心CBの側と反対の側の集束孔5の外側の衝突面4に衝突したフリースは、衝突後に集束孔5側に傾いて案内面3に至る時の進入姿勢が衝突面4の曲面の接線方向の傾きにより変更される。従って、集束孔5の中心CB側の衝突面4に衝突するフリースが集束孔5に進入する進入姿勢と、その反対側の集束孔5の外側の衝突面4に衝突するフリースが集束孔5に進入する進入姿勢とは非対称となるため、左右それぞれのフリースは、集束孔5に対して非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔5に進入することができる。そして、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束することを安定して行うことができるので、集束されたスライバーに繊維の毛羽立ち等の不具合が発生することを未然に防止するギャザラー11を提供することができる。
【0041】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態を、第1及び第2の実施形態と異なる部分を中心に図9を用いて説明する。
【0042】
図9に示すように、本実施形態のギャザラー21では、ギャザラー21の長手方向の中心CBと集束孔5の中心CSとは同一位置にあるが、円柱面部からなる衝突面41の最低面部41aは、中心CBとは異なる位置に配置されている。この衝突面41においては、集束孔5に対して、最低面部41aとは反対側の衝突面41bの曲面は、最低面部41aがある側の衝突面41cの曲面よりも接線方向の傾きが大きい。また、この衝突面41は、中心CBとは異なる位置に最低面部41aが位置するように配置されて、非対称進入姿勢生成手段となる。
【0043】
従って、並行状態で送り込まれた帯状のフリースが衝突面41に衝突するとき、衝突面41bに衝突するフリースが案内面3に案内されて集束孔5に進入する時の進入姿勢と、衝突面41cに衝突するフリースが案内面3に案内されて集束孔5に進入する時の進入姿勢とは、集束孔5に対して非対称となる。そのため、衝突面41bに衝突したフリースと、衝突面41cに衝突したフリースとは、集束孔5に対して非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔5に進入することができる。
【0044】
(5)上記実施形態では、ギャザラー21の長手方向の中心CBとは異なる位置に最低面部41aが位置するように衝突面41を配置した。従って、集束孔5に対して、最低面部41aがある側の衝突面41cの曲面よりも、その衝突面41cとは反対側の衝突面41bの曲面の方が大きな接線方向の傾きを有する。そのため、衝突面41bに衝突したフリースと、衝突面41cに衝突したフリースとは、互いに衝突することなく集束孔5に進入することができる。そして、帯状のフリースの両端部を内側に包み込むように集束することを安定して行うことができるので、集束されたスライバーに繊維の毛羽立ち等の不具合が発生することを未然に防止するギャザラー21を提供することができる。
【0045】
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施形態を説明する。本実施形態は、第1ないし第3実施形態において説明した非対称進入姿勢生成手段である案内面3、集束孔5及び衝突面41のうち、二つ又は三つの組み合わせからなる実施形態であるので、それぞれの詳細な説明は省くものとする。
【0046】
非対称進入姿勢生成手段としての案内面3と集束孔5との組み合わせの場合、ギャザラー11の長手方向の中心CBとは異なる位置において、集束孔5の位置を適宜選択することにより、集束孔5の左右から集束孔5に進入するフリースが互いに衝突することなく集束孔5に進入することができる。
【0047】
非対称進入姿勢生成手段としての案内面3と衝突面41との組み合わせの場合、衝突面41bに衝突して案内面3により方向を変更されるフリースと、衝突面41cに衝突して案内面3により方向を変更されるフリースとは、それらがより確実に非対称となる進入姿勢をとって集束孔5に進入することができる。
【0048】
非対称進入姿勢生成手段としての衝突面41と集束孔5との組み合わせの場合、衝突面41b側に中心CSが位置するように集束孔5を配置することが好ましい。即ち、案内面3が基準面2に対して平行な平面部からなるとしても、衝突面41bに衝突して案内面3により方向を変更されるフリースと、衝突面41cに衝突して案内面3により方向を変更されるフリースとは、それらがより確実に非対称となる進入姿勢をとって集束孔5に進入することができる。
【0049】
また、非対称進入姿勢生成手段としての案内面3、集束孔5及び衝突面41の三つの組み合わせの場合は、上記3種類の二つの組み合わせの作用にもう一つの非対称進入姿勢生成手段が加わるので、集束孔5の左右から集束孔5に進入するそれぞれのフリースが、集束孔5に対して更に確実な非対称進入姿勢をとることができる。
【0050】
(6)上記実施形態によれば、基準面2に対して傾斜する案内面3と、ギャザラー11の長手方向の中心CBとは異なる位置に配置された集束孔5と、同じく中心CBとは異なる位置に最低面部41aを有する衝突面41との、いずれか二つ又は三つを組み合わせて非対称進入姿勢生成手段とした。そのため、進入する帯状のフリースは、集束孔5の左右で、それぞれがより確実に非対称の進入姿勢をとって、互いに衝突することなく集束孔5に進入することができる。
【0051】
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 衝突面4、41の曲面を円柱面部としたが、中心軸を有する円柱面以外の曲面の柱状体とすること。
・ 基準面2と案内面3との角度Kを2度20分としたが、その他の角度とすること。或いは、角度Kを−2度20分を含むマイナス角度とすること。
・ 基準面2に対して直交する方向の中心軸を有し凹の曲面部としての円柱面部よりなる衝突面4、41としたが、衝突面4、41の中心軸の方向を基準面2に対して傾斜するように配置すること。
・ 衝突面4、41を凹の曲面部としたが、互いがV字状の位置関係となる2面の平面部からなる衝突面4、41とすること。そして、左右のそれぞれの平面部の傾きを異なるようにすれば、それぞれの平面部に衝突したフリースは、集束孔5に対して非対称の進入姿勢をとって集束孔5に進入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態のギャザラーを示す斜視図。
【図2】第1の実施形態のギャザラーを示す平面図。
【図3】第1の実施形態のギャザラーを示す背面図。
【図4】第1の実施形態のギャザラーを示す側面図。
【図5】第1の実施形態のギャザラーに送り込まれるフリースの挙動を模式的に示す斜視図。
【図6】第1の実施形態のギャザラーに送り込まれるフリースの挙動を模式的に示す平面図。
【図7】第2の実施形態のギャザラーを示す背面図。
【図8】第2の実施形態のギャザラーを示す平面図。
【図9】第3の実施形態のギャザラーを示す背面図。
【図10】従来技術の練条機の工程を示す工程図。
【図11】従来技術のギャザラーを示す平面図。
【図12】図11のAA矢視断面図。
【符号の説明】
【0053】
L1,L2,L3,L4,R1,R2,R3,R4,70b…フリース、1,11,21…ギャザラー、2…基準面、3,31…案内面、4,41,41b,41c…衝突面、4a,41a…最低面部、5…集束孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリースが進入して衝突する衝突面と、その衝突面で進入姿勢が変更された前記フリースを案内する案内面と、前記衝突面において前記フリースを集束するための集束孔とが形成されたブロック体よりなり、そのブロック体の基準面が、ドラフト工程の一対のフロントローラの軸線に対して平行に配置されたギャザラーにおいて、前記集束孔を境に左右に位置する前記フリースのそれぞれの進入姿勢が、前記集束孔に対して互いに非対称となって前記集束孔に進入するように、非対称進入姿勢生成手段を設けたことを特徴とするギャザラー。
【請求項2】
前記非対称進入姿勢生成手段は、前記基準面に対して傾斜して配置された平面部からなる前記案内面であることを特徴とする請求項1に記載のギャザラー。
【請求項3】
前記非対称進入姿勢生成手段は、前記ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に配置された前記集束孔であることを特徴とする請求項1に記載のギャザラー。
【請求項4】
前記非対称進入姿勢生成手段は、前記基準面に対して直交する方向の中心軸を有する凹の曲面部であって、前記ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に最低面部が配置された前記衝突面であることを特徴とする請求項1に記載のギャザラー。
【請求項5】
請求項2ないし4のうちいずれか一項に記載の非対称進入姿勢生成手段としての前記案内面、前記集束孔及び前記衝突面のうち、二つ又は三つの組み合わせからなる非対称進入姿勢生成手段を設けたことを特徴とするギャザラー。
【請求項6】
前記フロントローラと前記衝突面との位置関係は、前記フリースが前記基準面に対して傾斜する方向に送り込まれて前記衝突面に衝突するように配置されたことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載のギャザラー。
【請求項1】
フリースが進入して衝突する衝突面と、その衝突面で進入姿勢が変更された前記フリースを案内する案内面と、前記衝突面において前記フリースを集束するための集束孔とが形成されたブロック体よりなり、そのブロック体の基準面が、ドラフト工程の一対のフロントローラの軸線に対して平行に配置されたギャザラーにおいて、前記集束孔を境に左右に位置する前記フリースのそれぞれの進入姿勢が、前記集束孔に対して互いに非対称となって前記集束孔に進入するように、非対称進入姿勢生成手段を設けたことを特徴とするギャザラー。
【請求項2】
前記非対称進入姿勢生成手段は、前記基準面に対して傾斜して配置された平面部からなる前記案内面であることを特徴とする請求項1に記載のギャザラー。
【請求項3】
前記非対称進入姿勢生成手段は、前記ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に配置された前記集束孔であることを特徴とする請求項1に記載のギャザラー。
【請求項4】
前記非対称進入姿勢生成手段は、前記基準面に対して直交する方向の中心軸を有する凹の曲面部であって、前記ブロック体の長手方向の中心部とは異なる位置に最低面部が配置された前記衝突面であることを特徴とする請求項1に記載のギャザラー。
【請求項5】
請求項2ないし4のうちいずれか一項に記載の非対称進入姿勢生成手段としての前記案内面、前記集束孔及び前記衝突面のうち、二つ又は三つの組み合わせからなる非対称進入姿勢生成手段を設けたことを特徴とするギャザラー。
【請求項6】
前記フロントローラと前記衝突面との位置関係は、前記フリースが前記基準面に対して傾斜する方向に送り込まれて前記衝突面に衝突するように配置されたことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載のギャザラー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−150713(P2010−150713A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331526(P2008−331526)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000142805)株式会社原織機製作所 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000142805)株式会社原織機製作所 (8)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]