説明

ギンナン加工食品の製造方法及びそのギンナン加工食品

【課題】ギンナンをペースト状に加工した練りギンナンおよびこれを利用した加工ギンナン食品を提供する。
【解決手段】ギンナンの実を洗浄してから果肉を除去し、果肉を除去したギンナンを1次乾燥し、大中小の粒に選別してボイルした後に2次乾燥し、乾燥させた殻付きギンナンの殻を破砕して殻割し、薄皮を除去してギンナン加工食品とする。さらに、ギンナンを零下80℃から零下100℃で冷凍後に粗砕して、加水した後に磨砕して練りギンナンを製造する。前記練りギンナンをレンコンに形成されている空洞に充填してギンナンレンコン、前記練りギンナンを使用してギンナン味噌、前記練りギンナンを使用してギンナンヨーグルト、さらに前記練りギンナンを使用してギンナンかまぼこを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イチョウの実を加工してギンナンの加工食品を製造する方法及び前記製造方法で得られたギンナン加工食品に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
図5に示した断面模式図のように、イチョウの実10は、最内部に位置する発芽したとき芽となる子葉10eと芽の成長時の養分となる胚乳10d(主可食部)と胚乳10dを覆う薄皮10cと薄皮10cの外を覆う硬い殻10bと殻10bを覆う果肉10aとから構成される。イチョウの実10は、熟すと果肉10aの腐敗に起因する悪臭を発する。イチョウの実10において、食用とするのは子葉10eと胚乳10dであり、ときとして薄皮10cも含む。
【0003】
イチョウの実10もギンナンと呼ぶこともあるが、以下、子葉10e、胚乳10dを「ギンナン13」といい、また薄皮10c付きのギンナン13を「薄皮付ギンナン12」といい、さらに、果肉10aを除き殻10bに覆われた薄皮付ギンナン12を「殻付ギンナン11」という。
【0004】
従来からギンナン13の回収は、イチョウの木から熟して落ちたイチョウの実10を拾い、収穫した後、果肉10aを除き、乾燥させて、殻10bをペンチ、金槌を使用して殻を割り、薄皮付ギンナン12を得ること、さらに薄皮10cを除いてギンナン13回収していた。そして水煮或いは煎って食していた。或いは殻付ギンナン11のまま煎って、殻10bを割り、ギンナン13を食していた。ときとして薄皮付ギンナン12として食していた。
【0005】
他方、ギンナンの回収を機械化する発明も幾つか提案されている。特許文献1〜4には、イチョウの実10の果肉を取り除く装置が公開されている。特許文献5には、殻割り装置が公開されている。特許文献6には、生のギンナンのペーストが記載されている。また、非特許文献1には、ギンナン利用食品としてギンナン豆腐が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−155156号公報
【特許文献2】特開平07−155157号公報
【特許文献3】特開平09−9941号公報
【特許文献4】特開2002−136280号公報
【特許文献5】特開2007−6805号公報
【特許文献6】特開2004−236578号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】http://www.nwn.jp/index/2003524/nimen/nimen.html(ギンナン豆腐)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来から手作業で、複数の工程を行わなければギンナンを食することができず、手間で大量生産に向かなかった。また、図5、図6、図7及び図8に示すように果肉10a、殻10b等が除去されたギンナン13単独に加工されたり、大量生産されていなかった。
【0009】
また、図8に示したギンナン13自体は、ペースト状に加工されたギンナンとして工業的大量生産されておらず殆ど流通していない。従って、ギンナン13がペースト状に加工されたものは無く又はペースト状に加工された所謂練りギンナンを利用したギンナン加工食品も出回っていない。
【0010】
そこで、本発明は、図8に示したギンナン13のみを連続ライン化し低コストで大量生産すること、また主に前記ギンナン13をペースト状に加工した練りギンナンを大量に製造するとともに前記練りギンナンを利用したギンナン利用食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、収穫したギンナンの実を洗浄してから果肉を除去し、果肉を除去したギンナンから不良品を取り除いて1次乾燥した殻付きギンナンを大中小の粒に選別してボイルした後に2次乾燥し、乾燥させた殻付きギンナンの殻を破砕して殻割し、殻割りされた殻が付着している殻を取り除いてから薄皮を取り除いてから振り分けして粒揃いギンナンと粒不揃いギンナンとを製造することを特徴とするギンナン加工食品の製造方法、粒揃いギンナンを使用して串刺しギンナン、水煮ギンナン、乾燥ギンナン、冷凍串刺しギンナン、焼き串刺しギンナンのいずれかを製造することを特徴とするギンナン加工食品、請求項1に記載のギンナン加工食品の製造方法に加え、再度洗浄した粒揃いギンナン及び粒不揃いギンナンからなる練り用ギンナンを冷凍庫内で零下80℃から零下100℃で急速に冷凍後に粗砕して粗砕ギンナンとし、前記粗砕ギンナンに加水した後に磨砕して練りギンナンを製造することを特徴とするギンナン加工食品の製造方法、練りギンナンをレンコンに形成されている空洞に充填してギンナンレンコンを製造することを特徴とするギンナン加工食品、練りギンナンを使用してギンナン味噌を製造することを特徴とするギンナン加工食品、練りギンナンを使用してギンナンヨーグルトを製造することを特徴とするギンナン加工食品及び練りギンナンを使用してギンナンかまぼこを製造することを特徴とするギンナン加工食品の構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記構成であるので以下の効果を奏する。図8に示したギンナン13のみの大量生産、また図2に示したペースト状に加工した練りギンナン(8)、図1に示した粉末ギンナン、冷凍にしたギンナン加工食品を提供することができる。そして、それらを使用した種々のギンナン加工食品である串刺しギンナン(1)、冷凍串刺しギンナン(1a)、焼き串刺しギンナン(1b)、水煮ギンナン(2)、乾燥ギンナン(3)、練りギンナン(8)、ギンナンレンコン(9)、ギンナン味噌(9a)、ギンナンヨーグルト(9b)、ギンナンかまぼこ(9c)を開発し提供することができる。またギンナンの芳醇な香りを利用した種々の食品を製造することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明であるギンナン加工食品の製造方法の第1実施例である串刺しギンナン、水煮ギンナン、乾燥ギンナンの製造工程を示した図である。
【図2】本発明であるギンナン加工食品の製造方法の第2実施例である練りギンナンの製造工程を示した図である。
【図3】本発明であるギンナン加工食品の製造方法の第2実施例を示し、練りギンナンを使用したギンナンレンコン、ギンナン味噌、ギンナンヨーグルト、ギンナンかまぼこ等を示した図である。
【図4】本発明であるギンナン加工食品の製造方法の第2実施例の一つである輪切りにしたギンナンレンコンの斜視図である。
【図5】イチョウの実の断面図である。
【図6】殻付ギンナンの断面図である。
【図7】薄皮付ギンナンの断面図である。
【図8】果肉、殻、薄皮を取り除いたギンナンを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明であるギンナン加工食品の製造方法及びギンナン加工食品について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明である加工ギンナンの製造方法の第1実施例である串刺しギンナン、水煮ギンナン、乾燥ギンナンの製造工程を示した図である。前記商品は、各工程を順次行うことで得られる。
【0016】
収穫工程aは、イチョウの実10が熟した後に果肉10a付きのイチョウの実10をイチョウの木から振り落としたり、或いは熟して自然に落下したものを拾って収穫する工程である。
【0017】
1次洗浄工程bとは、前記収穫したイチョウの実10を籠に入れ、水圧を利用してイチョウの実10の外周面に付着しているごみ、塵等を水圧で流し落とす工程である。
【0018】
果肉除去工程cとは、1次洗浄工程bで洗浄された状態のイチョウの実10には外周に果肉10aがあるのでこの果肉10aを除去するための工程である。この工程cにより果肉10aが取り除かれて殻付ギンナン11となる。
【0019】
不良品除去工程dとは、果肉10aが除去され殻付ギンナン11には種々の殻付ギンナン11がある。例えば、殻付ギンナン11の内部にあるべき胚乳10dが極めて少なかったり、または全く無かったりする殻付ギンナン11がある。このような不良品を取り除く工程である。
【0020】
除去する方法としては、目視によって除去する方法、受水槽に水或いは塩水に殻付ギンナン11投入し、殻片、内部空洞の殻10bを浮かせて除去する方法等がある。
本発明では、前記受水槽内に1.14%の塩水を入れて塩水の中に殻付ギンナン11を投入させ、浮き上がった殻付ギンナン11を取り除く方法である。
【0021】
1次乾燥工程eとは、前記不良品除去工程dによりイチョウの実10の果肉10aが除去された殻付ギンナン11の外周面に存在する水分を除去する工程である。この工程により殻付ギンナン11の外周面に存在する水分を80%〜90%除去するのが良い。
【0022】
選別工程fとは、一次乾燥工程eにより乾燥処理された殻付ギンナン11には大粒殻付ギンナン11a、中粒殻付ギンナン11b及び小粒殻付ギンナン11c等の種々の殻付ギンナン11が存在するので、大粒殻付ギンナン11aと中粒殻付ギンナン11bと小粒殻付ギンナン11cの3段階に篩分けして容器に入れる工程である。
【0023】
この選別方法は、左ローラーと右ローラーとの間に間隙を設けて設置され、しかも一端の左右ローラー間の間隙は狭く設置されていて、他端部の左右ローラー間の間隙は大きく配置された装置である。
【0024】
このように、回転している左右ローラー上を殻付ギンナン11が間隙の幅が狭い一端から幅広の左右ローラー上を移動して行くに従って先ず小粒殻付ギンナン11aが落下し、次に中粒殻付ギンナン11bが落下し、最後に左右ローラーの間隙の幅が大きい間隙から大粒殻付ギンナン11cが落下する。このようにして、殻付ギンナン11は、大粒殻付ギンナン11a、中粒殻付ギンナン11b、小粒殻付ギンナン11cに選別されてそれぞれ容器に入れられる。
【0025】
1次ボイル工程gとは、選別工程fで篩い分けされた大粒殻付ギンナン11a、中粒殻付ギンナン11b、小粒殻付ギンナン11cに篩い分け選別された殻付ギンナン11を温水でボイルする工程である。この場合のボイルは、大粒殻付ギンナン11a、中粒殻付ギンナン11b、小粒殻付ギンナン11c毎にボイルする。
【0026】
このように、1次ボイル工程gは、ギンナン13を食することができるように加熱する工程であるが、ボイルする温度は温水100℃〜200℃の範囲で、8分〜13分間ボイルするのが良い。本工程gでは不良品を除去することもでき、温水に浮いた不要物を取り除くことができる。
【0027】
殻10b付きのままでボイルすることにより、殻10bを取り除いた後のギンナン13が変形すること無く、極めて形が良いものになるからである。また、ギンナン13中に含まれている水分が含水率がコントロールされ美味しいギンナン13となるのである。
【0028】
2次乾燥工程hは、1次ボイル工程gによりボイルされて各容器に収納されている大粒殻付ギンナン11a、中粒殻付ギンナン11b、小粒殻付ギンナン11cをそのまま乾燥させる工程である。
【0029】
乾燥方法は、夏の場合には半日程度容器に入れた状態で乾燥させる。また冬の場合には1日程度容器に入れた状態で置いて乾燥させる。乾燥し過ぎても次の工程である殻割りがうまくできなくなってしまう欠点があるので注意して乾燥させる必要がある。
それ故、乾燥の程度は、70%〜80%である。
【0030】
殻割り工程iは、殻10b内部にあるギンナン13を損傷しないように殻10bのみを割る工程である。回転する左右のローラーに挟着し押圧するようにして殻10bを割っていく。
【0031】
前記左右ローラーの外周面には先端が尖っている三角形状の突起が多数突設されている。突起が突設し回転する左右ローラーの間の間隙に殻付ギンナン11が引き込まれるように入り込み左右ローラーの圧力により殻付ギンナン11の殻10bが割れる。
【0032】
殻除去工程jは、前記殻割り工程iにより割られた大小の殻は、薄皮付ギンナン12の外周面に付着している。そこでこれらの付着している大小の殻を除去する必要がある。
【0033】
これらの殻を除去する方法は、回転する容器の中に割られた殻10bが付着している薄皮付ギンナン12を入れ、容器に入れられた薄皮付ギンナン12は容器の遠心力により容器に形成されている側壁面内に衝突することにより薄皮付ギンナン12に付着している殻が取り除かれる。
【0034】
また、割られた殻10b及び割れた殻10bが付着している薄皮付ギンナン12の混合物を網目状のコンベアーベルト上を振動させながら移動させて割られて付着している殻10bを網目から篩い落とす方法でもよい。その他の手段であっても良い。
【0035】
甘皮除去工程kは、薄皮付ギンナン12の外周面にある皮にノズルを向けて風を吹きかけ、薄皮10cを吹き飛ばしながら薄皮付ギンナン12の表面を覆っている薄皮を風圧により除去する工程である。この方法によって甘皮(薄皮10c)を取り除くとギンナン13の表面に傷を付けることない。この風圧は、3.5気圧前後の風圧で吹きかけるのが良い。
【0036】
振り分け工程lは、殻割り工程i、殻除去工程j、甘皮除去工程kにより加工処理されたギンナンでギンナンの表面に傷が付いたギンナン、真っ二つに割れてしまったギンナン、一部が欠けてしまったギンナン、薄皮10cが十分に剥離されていないギンナン(以下粒不揃いギンナンという。)等を取り除いて振り分ける工程である。
【0037】
この振り分け工程lにより取り除かれた粒不揃いギンナン2であってもギンナンの品質は粒揃いギンナン1と同一であるからその後加工されてペースト状の練りギンナン(8)となる。
【0038】
そして、振り分けされて形が揃っていて粒揃いギンナン1は、当該ギンナン1を5個〜10個程度を串に刺して串刺しギンナン(1)として製品化して販売することができる。この串刺しギンナン(1)は、冷凍して冷凍串刺しギンナン(1a)として市販することもできる。また、オーブン、ガスバーナー等で加熱、焦げ目を付けた焼き串刺しギンナン(1b)として流通させ販売しても良い。更に、前記焼き串刺しギンナン(1b)を冷凍した焼き串刺しギンナンとして販売してもよい。
【0039】
このように、串刺しギンナン(1)は解凍して酒の肴やおでんの具に利用できる。
また、振り分け残った形状が揃っている粒揃いギンナン1は、蒸留水を入れた瓶に入れ蓋を密閉した状態にして水煮ギンナン(2)として製品化して販売することができる。
【0040】
乾燥ギンナン(3)は、振り分け工程lで振り分けされた形の良いギンナンを加熱又は天日干して水分を蒸発させたギンナンであり、所定の袋詰めして保存性に優れている食品として販売できる。
【実施例2】
【0041】
練りギンナン製造工程mは、 振り分け工程lにより振り分けされた粒不揃いギンナン2と振り分けされずに残された粒揃いギンナン1(以下双方のギンナンを共に練り用ギンナン(4)という。)とをペースト状の容器入り練りギンナン(5)にする工程である。
【0042】
練り用ギンナン(4)は、振り分けされた粒揃いギンナン1と粒不揃いギンナン2は形状が異なるだけであってギンナンのそのものの品質は全く同じなので、以下の練り工程mでは振り分けされた粒揃いギンナン1及び粒不揃いギンナン2は再度洗浄した上で使用する。
【0043】
振り分け工程lを経て得られた練り用ギンナン(4)は、以下の工程によりペースト状の練りギンナン(8)に加工される。
(a)冷凍工程
先ず、冷凍工程(a)とは、再度洗浄された粒揃いギンナン1及び粒不揃いギンナン2からなる練り用ギンナン(4)を冷凍庫内で零下80℃から零下100℃で急速に冷凍する。このように冷凍されたギンナンを以下冷凍ギンナン(6)という。
(b)粗砕工程
次に、前記冷凍行程(a)により冷凍された冷凍ギンナン(6)を粗砕する。ここで粗砕とは、径が3ミリメートルから5ミリメートル程度の大きさの粒(以下粗砕ギンナン(7)という。)に砕くことである。
(c)加水工程
加水行程(c)とは、粗砕ギンナン(7)を容器内に一定の量を入れてから水を入れる行程である。粗砕ギンナン(7)の量の全量に対し50%から70%の水を入れる。即ち、粗砕ギンナン100重量部に対して、水50〜70重量部を加水する。
(d)磨砕工程
磨砕工程(d)とは、1テスラマグネット・20メッシュトレーナーの装置を使用して擦り砕く行程である。この工程を経て所望の練りギンナン(8)ができる。
また、練りギンナン(8)は、以下の方法により製造することも可能である。即ち、ステファン社、ユニバーサルマシン(UMシリーズ)によるペースト化もできる。UMシリーズは、温水循環機とボールをダブルジャケットにすることによりボール内の練り用ギンナンを間接的に冷却・加熱が可能で、2枚の回転するナイフにより均一にカットしながら、ペースト化する。
エアーを含ませることもでき、フワッとした仕上げにすることができる。また、減圧環境下においてもペースト化できるため酸化を抑制することもでき、風味豊な練りギンナンになる。
(e)計量・充填工程
計量・充填工程(e)とは、製造された練りギンナン(8)を所定の量に計量するとともに区分けし、所定の量に区分けされた練りギンナン(8a)を所望の袋、容器等に充填する。
(f)凍結工程
凍結工程(f)では、計量されて袋、容器等に充填された練りギンナン(8a)を再度凍結する工程である。このように、袋、容器に入れた状態で練りギンナン(8a)を凍結させることにより長期に保存することができる。
(g)検査行程
この検査行程(g)は、袋、容器等に入れられた区分けされた練りギンナン(8a)の量が定められた量が入っているかをウェイトチェッカーにより検査した後、区分けされた練りギンナン(8a)中に金属類が混入しているかを金属探知機で検査をする行程である。
(h)包装工程
包装工程(h)とは、検査工程(g)の後に段ボール箱や出荷用ビニール袋等に入れて販売する。
【0044】
保管行程nとは、上記の行程で練りギンナン(8a)が入れられた段ボール箱や出荷用ビニール袋等のままで、長時間使用されない場合に冷蔵又は冷凍にて一時保管する工程である。連続作業により直ぐに練りギンナン(8a)を使用される場合は特に必要な工程ではない。
【0045】
図2に示すように、練りギンナン(8)を更に加工してギンナンレンコン(9)、ギンナン味噌(9a)、ギンナンヨーグルト(9b)、ギンナンかまぼこ(9c)、乾燥ギンナン(9d)、その他練りギンナンを使用した食品(9e)等を製造することが出来る。
以下に、これらの加工製品の製造工程について説明する。
【0046】
ギンナンレンコン(9)は、図3に示すように、レンコン14に形成されている空洞15に練りギンナン(8)を空洞15に充填して製造する食品である。
【0047】
1本のレンコンを所定の長さ、例えば、30cm位の長さに輪切りにし、レンコン14内に複数形成されている円筒状の空洞15に練りギンナン(8)を充填する。この状態のものをギンナンレンコンとして販売することもできる。
【0048】
また、レンコン14内に形成されている複数の空洞15内に充分に注入した後に5mmから1cm程度厚さに輪切りにしてギンナンレンコンの製品として販売しても良い。更に、5mmから1cm程度厚さに輪切りにしてギンナンレンコンをフライにしてフライしたギンナンレンコンとして販売することもできる。
【0049】
このように、種々に加工されたギンナンレンコン(9)は、ギンナンが有する芳醇な香りを醸し出すとともにまろやかな味で歯ごたえのある食品として販売することができる。
【0050】
ギンナン味噌(9a)は、練りギンナン(8)を添加して製造した味噌である。味噌を製造する工程に練りギンナン(8)を添加使用することにより、従来になかった香りが極めて良くしかも絶妙な味を有する味噌を提供することができる。
【0051】
ギンナンヨーグルト(9b)は、練りギンナン(8)をヨーグルトに混入してギンナン入りのヨーグルトである。練りギンナン(8)を添加使用することにより、従来になかったギンナンの香りがあるとともに絶妙な味を醸し出す味噌を提供することができる。
【0052】
ギンナンかまぼこ(9c)は、かまぼこを製造する工程中に練りギンナン(8)を使用したギンナン入りのかまぼこである。このように、かまぼこに練りギンナンを入れることにより、かまぼこに従来になかったギンナンの香りがあるとともに絶妙な味を醸し出すことができる。
【0053】
乾燥ギンナン(9d)は、練りギンナン(8)から大多数の水分を除去した食品であり、使用する際に水又はお湯を加えることにより練りギンナン(8)に戻すことができるギンナンである。このように、乾燥ギンナンは購入者があらゆる食品に自由に添加して使用することができる。
【0054】
その他、練りギンナン(8)を使用した食品(9e)には、ギンナン入りコロッケ、ギンナン入りハンバーグ等がある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明である加工ギンナンの製造方法で製造された、練りギンナン(8)、串刺しギンナン(1)、水煮ギンナン(2)、乾燥ギンナン(3)、ギンナンレンコン(9)、ギンナン味噌(9a)、ギンナンヨーグルト(9b)、ギンナンかまぼこ(9c)等は冷凍流通が可能であるから飲食店で容易に利用でき客に提供することができる。飲食業界にとっては有意義な商品となり来客が増加し益々発展することが考えられる。
【符号の説明】
【0056】
a 収穫工程
b 1次洗浄工程
c 果肉除去工程
d 不良品除去工程
e 1次乾燥工程
f 選別工程
g 1次ボイル工程
h 2次乾燥工程
i 殻割り工程
j 殻除去工程
k 甘皮除去工程
l 振り分け工程
m 練りギンナン製造工程
n 保管工程
(a) 冷凍工程
(b) 粗砕工程
(c) 加水工程
(d) 磨砕工程
(e) 計量・充填工程
(f) 凍結工程
(g) 検査工程
(h) 包装工程
1 粒揃いギンナン
2 粒不揃いギンナン
(1) 串刺しギンナン
(1a) 冷凍串刺しギンナン
(1b) 焼き串刺しギンナン
(2) 水煮ギンナン
(3) 乾燥ギンナン
(4) 練り用ギンナン
(5) 容器入り練りギンナン
(6) 冷凍ギンナン
(7) 粗砕ギンナン
(8) 練りギンナン
(8a) 区分けされた練りギンナン
(9) ギンナンレンコン
(9a) ギンナン味噌
(9b) ギンナンヨーグルト
(9c) ギンナンかまぼこ
(9d) 乾燥ギンナン
(9e) 練りギンナンを使用した食品
10 イチョウの実
10a 果肉
10b 殻
10c 薄皮
10d 胚乳
10e 子葉
11 殻付ギンナン
11a 大粒殻付ギンナン
11b 中粒殻付ギンナン
11c 小粒殻付ギンナン
12 薄皮付ギンナン
13 ギンナン
14 レンコン
15 空洞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫したギンナンの実を洗浄してから果肉を除去し、果肉を除去したギンナンから不良品を取り除いて1次乾燥した殻付きギンナンを大中小の粒に選別してボイルした後に2次乾燥し、乾燥させた殻付きギンナンの殻を破砕して殻割し、殻割りされた殻が付着している殻を取り除いてから薄皮を取り除いてから振り分けして粒揃いギンナンと粒不揃いギンナンとを製造することを特徴とするギンナン加工食品の製造方法。
【請求項2】
粒揃いギンナンを使用して串刺しギンナン、水煮ギンナン、乾燥ギンナン、冷凍串刺しギンナン、焼き串刺しギンナンのいずれかを製造することを特徴とするギンナン加工食品。
【請求項3】
請求項1に記載のギンナン加工食品の製造方法に加え、再度洗浄した粒揃いギンナン及び粒不揃いギンナンからなる練り用ギンナンを冷凍庫内で零下80℃から零下100℃で急速に冷凍後に粗砕して粗砕ギンナンとし、前記粗砕ギンナンに加水した後に磨砕して練りギンナンを製造することを特徴とするギンナン加工食品の製造方法。
【請求項4】
請求項3により製造した練りギンナンをレンコンに形成されている空洞に充填してギンナンレンコンを製造することを特徴とするギンナン加工食品。
【請求項5】
請求項3により製造した練りギンナンを使用してギンナン味噌を製造することを特徴とするギンナン加工食品。
【請求項6】
請求項3により製造した練りギンナンを使用してギンナンヨーグルトを製造することを特徴とするギンナン加工食品。
【請求項7】
請求項3により製造した練りギンナンを使用してギンナンかまぼこを製造することを特徴とするギンナン加工食品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−167120(P2011−167120A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33628(P2010−33628)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(509085456)
【Fターム(参考)】