説明

クズ澱粉を含有する化粧料

【課題】保湿効果やエモリエント効果に優れ、ベタつきや油っぽさが抑えられたスキンケア化粧品を開発することを、本発明の課題とする。
【解決手段】化粧料にクズ澱粉を配合することによって、上記課題は解決された。好ましくは、クズ澱粉は、糊化澱粉である。さらに、本発明は、エモリエント成分の油っぽさを軽減した触感改良剤を提供する。また、本発明は、保湿剤のベタツキを軽減した化粧料、および、優れた保湿作用を有する保湿剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紫外線や乾燥、酸化、寒冷や物理的、化学的刺激などの外的要因や、加齢、精神的ストレスなどの内的要因により肌の水分と油分は減少し、皮膚表面のきめの乱れ、皮膚の乾燥、肌荒れなどの原因となる。一般的にクリームや乳液、化粧水などのスキンケア用化粧品は、失われた油分や保湿成分を補い、肌の油分と水分のバランスを整える。一般的に保湿剤や油分の配合量が増えれば増えるほど、保水作用や油分の補給効果(エモリエント効果)の優れたスキンケア化粧品を提供することができる。しかしながら、保湿剤や油分は配合量が増えれば増えるほど、使用時のベタつきや油っぽさは増し、使用時の感触が損なわれる。また、クレンジングや洗顔フォーム、入浴剤、メーク用化粧品のような皮膚外用剤にも、同じ目的で保湿剤や油分が配合されており、これらの化粧品も同じように保湿剤や油分の配合量が増えれば増えるほど使用時のベタつきや油っぽさは増加し、使用時の感触が損なわれる。
【0003】
一般的にザラツキがなく滑らかでコクがあり、保湿作用やエモリエント効果に優れ、油っぽさやベタつきが抑えられたスキンケア化粧品が好まれる。
【0004】
クズは日本の他、世界各地に自生しているマメ科植物の1種である。このクズの根を乾燥・切断後に熱水で抽出されるカッコンエキスは漢方薬や和漢薬の素材として使用される他、化粧品の成分としても使用されている。クズ澱粉はクズの根を乾燥させて何度も水で晒して精製を繰り返すことで得られる澱粉であり、製造方法、製品の性質とともにカッコンエキスとは全く異なる。このクズ澱粉の糊化澱粉は灰色がかった澱粉で加熱した溶液は糊化澱粉と呼ばれ、粘性の高い溶液となる。糊化澱粉は透明性と安定性に優れ老化しにくく水分保持能力が高い。このような性質から高級菓子の素材として使用されてきた。また、クズ澱粉の粉末は白色度が高く、100年以上前には白粉の素材として使用されてきたとの記載もある。しかしながら、白粉以外にクズ澱粉が化粧品に配合された先行技術はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保湿効果やエモリエント効果に優れ、ベタつきや油っぽさが抑えられたスキンケア化粧品を開発することが、本発明の解決すべき課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
化粧料にクズ澱粉を配合することによって、上記課題は解決された。さらに、本発明は、エモリエント成分の油っぽさを軽減した触感改良剤を提供する。また、本発明は、保湿剤のベタツキを軽減した化粧料,および、優れた保湿作用を有する保湿剤を提供する。
【0007】
本発明は以下を提供する。
(項目1) クズ澱粉を含有する化粧料。
(項目2) 前記化粧料が、化粧水、クリーム、軟膏、乳液、美容液、パック、洗顔料、クレンジング剤、ヘアケア剤、石鹸、浴用剤、シャンプー、リンス、リップスティック、口紅、ファンデーション、および、紫外線ケア用化粧品からなる群から選択される、項目1に記載の化粧料。
(項目3) クズ澱粉およびエモリント成分を含有する触感改良剤。
(項目4) 前記エモリント成分が、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、つばき油、ごま油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、コーン油、なたね油、キョウニン油、パーシック油、桃仁油、ひまし油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ココナッツ油、小麦胚芽油、米胚芽油、月見草油、ハイブリッドヒマワリ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、へーゼルナッツ油、パーム核油、パーム油、やし油、カカオ脂、シア脂、木ろう、ミンク油、タートル油、卵黄油、牛脂、乳脂、豚脂、馬油、ホホバ油、カルナウバろう、キャンデラろう、米ぬかろう、オレンジラフィー油、みつろう、セラック、ラノリン、モンタンろう、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、軟質流動イソパラフィン、水添ポリイソブチレン、オゾケライト、セレシン、α−オレインフィンオリゴマー、ポリブテン、ポリエチレン等の炭化水素類、または、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソノナン酸、ペンタデカン酸、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、イソコレステロール、シトステロール、スチグマステロール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、トリカプリン、トリミリスチン、トリオクタノイン、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスチル、トリイソステアリン酸ペンタエリスリル、イソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、クエン酸トリオクチルドデシル、および、リンゴ酸ジイソステアリルからなる群から選択される、項目3に記載の触感改良剤。
(項目5) クズ澱粉を含有する保湿剤。
(項目6) さらに追加の保湿成分を含有する、項目5に記載の保湿剤。
(項目7) 前記追加の保湿成分が、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン 、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、トレオース、キシロース、アラビノース、フコース、リボース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース 、ラクトース、ラフィノース、グルコン酸、グルクロン酸、シクロデキストリン、β−グルカン、キチン、キトサン、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、エチルグルコシド、メタクリル酸グルコシルエチル重合物、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ムコイチン硫酸、カロニン硫酸、ケラト硫酸、デルマタン硫酸、シロキクラゲ抽出物、シロキクラゲ多糖体、チューベロース多糖体、クエン酸、酒石酸、尿素、2−ピロリドン−5−カルボン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸の塩、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、ヒスチジン、タウリン、コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド、パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド、乳酸菌培養液、酵母抽出液、卵殻膜タンパク、牛顎下腺ムチン、ヒポタウリン、ゴマリグナン配糖体、グルタチオン、アルブミン、乳清、塩化コリン、ホスホリルコリン、胎盤抽出液、エアラスチン、コラーゲン、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス、コンフリーエキス、シルクエキス、イザヨイバラエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ユーカリエキス、メリロートエキス、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、および、スフィンゴ糖脂質からなる群から選択される、項目6に記載の保湿剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、エモリエント成分の油っぽさ、若しくは、保湿成分のベタツキを軽減した化粧料もしくは保湿剤、触感改良剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を説明する。本発明の全体にわたり、単数形表現は、特に言及されない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(用語の定義)
本明細書で使用する場合、「クズ澱粉」とはクズの根を水で晒し不純物を取り除くという製造工程を繰り返して得られる澱粉をいう。
【0010】
本明細書で使用する場合、「クズ」は代表的には、Pueraria lobataであるが、これに限定されない。
【0011】
本発明に使用するクズ澱粉は、特に限定されることはない。国内および海外の製造会社のいずれにおいて製造されたものであっても使用することができる。また、クズ澱粉の製造に使用するクズの根の産地や種類も特に限定されることはない。日本国内だけでなく世界各地いずれにおいて自生しているクズの根、もしくは、栽培されたクズの根から製造されたクズ澱粉を本発明に使用することができる。
【0012】
本発明のクズ澱粉を配合した化粧品の形状は特に問わない。その投与方法に応じて如何なる形状も選択することができる。例えば、液状、ゲル状、クリーム状、顆粒状、個体、エアロゾルのような気体などの形態で使用することができる。またクズ澱粉は、化粧水、クリーム、軟膏、乳液、美容液、パック、洗顔料、クレンジング剤、ヘアケア剤、石鹸、浴用剤、シャンプー、リンス、リップスティック、口紅、ファンデーション,紫外線ケア用化粧品等の化粧品に配合することができる。
【0013】
クズ澱粉の配合量は化粧料に含まれるその他の保湿成分やエモリエント成分によって異なり特定することができないが、クズ澱粉の保湿剤および触感改良剤としての機能性を重視すると、化粧料に全体に対してクズ澱粉の配合量は0.001〜60重量%、好ましくは0.01〜30重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%、配合するのが適当である。
【0014】
また、本発明において、クズ澱粉を糊化させるため必要な加熱温度と加熱時間はともに限定されないが、加熱温度は常圧で60〜100℃が好ましく、70〜100℃がより好ましく、加熱時間は1分以上が好ましく、5分以上がより好ましい。
【0015】
本発明のクズ澱粉を配合した化粧料は、油脂類、ロウ類、炭化水素類、シリコーン類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、増粘剤、粉末等の化粧品基材の他、医薬品、および、医薬部外品の有効成分、pH調整剤、防腐剤、色素、香料、酸化防止剤、天然由来エキス等も必要に応じて配合することができる。
【0016】
本明細書で使用する場合、「エモリエント成分」とは皮膚や髪からの水分の蒸散を防ぎ乾燥を防ぐために使用する油溶性の成分をいう。
【0017】
本明細書で使用する場合、「保湿成分」とは皮膚や毛髪に水分を与え乾燥を防止する目的で用いる吸湿性の高い水溶性の高い成分をいう。
【0018】
本発明の化粧料に配合する「エモリエント成分」としては、例えば、以下からなる群から選択される物質が挙げられるが、これに限定されない:
アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、つばき油、ごま油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、コーン油、なたね油、キョウニン油、パーシック油、桃仁油、ひまし油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ココナッツ油、小麦胚芽油、米胚芽油、月見草油、ハイブリッドヒマワリ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、へーゼルナッツ油、パーム核油、パーム油、やし油、カカオ脂、シア脂、木ろう、ミンク油、タートル油、卵黄油、牛脂、乳脂、豚脂、馬油等の油脂類、または、ホホバ油、カルナウバろう、キャンデラろう、米ぬかろう、オレンジラフィー油、みつろう、セラック、ラノリン、モンタンろう等のロウ類、または、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、軟質流動イソパラフィン、水添ポリイソブチレン、オゾケライト、セレシン、α−オレインフィンオリゴマー、ポリブテン、ポリエチレン等の炭化水素類、または、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソノナン酸、ペンタデカン酸等の高級脂肪酸類、または、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、イソコレステロール、シトステロール、スチグマステロール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール等の高級アルコール類、または、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、トリカプリン、トリミリスチン、トリオクタノイン、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスチル、トリイソステアリン酸ペンタエリスリル、イソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類、ならびにこれらを2種以上含む混合物。
【0019】
本発明の化粧料に配合する「保湿成分」としては、例えば、以下からなる群から選択される物質が挙げられるが、これに限定されない:
グリセリン 、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン 、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、トレオース、キシロース、アラビノース、フコース、リボース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース 、ラクトース、ラフィノース、グルコン酸、グルクロン酸、シクロデキストリン、β−グルカン、キチン、キトサン、ヘパリン及びその誘導体、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、エチルグルコシド、メタクリル酸グルコシルエチル重合物、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ムコイチン硫酸、カロニン硫酸、ケラト硫酸、デルマタン硫酸、シロキクラゲ抽出物、シロキクラゲ多糖体、チューベロース多糖体、クエン酸、酒石酸、尿素、2−ピロリドン−5−カルボン酸及びそのナトリウム等の塩、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、ヒスチジン、タウリン、コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド等の蛋白ペプチド類及びその誘導体;パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド、乳酸菌培養液、酵母抽出液、卵殻膜タンパク、牛顎下腺ムチン、ヒポタウリン、ゴマリグナン配糖体、グルタチオン、アルブミン、乳清;塩化コリン、ホスホリルコリン;胎盤抽出液、エアラスチン、コラーゲン、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス、コンフリーエキス、シルクエキス、イザヨイバラエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ユーカリエキス、メリロートエキス、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、スフィンゴ糖脂質。
【0020】
エモリエント成分の油性感と保湿成分のベタつきを改善効果(触感改良効果)が期待できる化粧品としては、化粧水、クリーム、乳液、美容液、パック、クレンジング、ヘアケア、浴用剤、シャンプー、リンス、リップスティック、ファンデーション、紫外線ケア用化粧品が挙げられるが、これに限定されない。好ましくは、化粧水、クリーム、乳液、美容液、パック、ファンデーション、紫外線ケア用化粧品である。
【0021】
(クズの製法)
クズは地下に塊根という大型の根を作るため、この塊根を掘り出し、細かく切り刻んだ後、冷水中で揉み出すことで得られる不純物を含む澱粉を数回晒すことで、白色のクズ澱粉を生産することができる。
【0022】
クズ澱粉は馬鈴薯澱粉やトウモロコシ由来のコーンスターチとは異なり、加熱して得られる糊化澱粉は透明度が高く、滑らかな粘度特性を有し、また離水が少なく老化しにくく安定性が高いという特徴がある。また、他の澱粉には含まれないプエラリンやダイズイン、ダイゼインなどのイソフラボン化合物を含有することもクズ澱粉の大きな特徴である。イソフラボンは食品では大豆以外ではクズ澱粉のみに含まれる。クズ澱粉は、女性ホルモン用作用を示し、美白作用や抗酸化作用なども期待される成分である。
【0023】
以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、以下の実施例は、例示の目的のみに提供される。従って、本発明の範囲は、上記発明の詳細な説明にも下記実施例にも限定されるものではなく、請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例】
【0024】
(実施例1:クズ澱粉の化粧品としての使用効果の確認試験(1))
下記の溶液A、溶液B、溶液C、溶液Dを調整し、肌に同量、塗布し、その時の使用感を評価した。
溶液A:精製水
溶液B:2%クズ澱粉を80℃で5分間攪拌後冷却した溶液
溶液C: グリセリン2%配合水溶液
溶液D:2%クズ澱粉とグリセリン2%配合し80℃で5分間攪拌後冷却した溶液
(評価基準)
保湿:溶液を肌に塗布したときの保湿性を判断する。
◎:溶液の保湿性が非常に高い。○:溶液の保湿性が高い。△:溶液の保湿性は普通である。×:溶液の保湿性は悪い。
肌荒れ:溶液を肌に塗布したときの肌荒れ改善効果を判断する。
◎:溶液に肌荒れ改善効果を強く感じる。○:溶液に肌荒れ改善効果を感じる。△:溶液に肌荒れ改善効果をほとんど感じない。×:溶液に肌荒れ改善効果を全く感じない。
伸びの良さ:溶液を肌に塗布した時のノビの良さを判断する。
◎:溶液の塗布時のノビは非常に良い。○:溶液の塗布時のノビは良い。△:溶液の塗布時のノビは悪い。×:溶液の塗布時のノビは非常に悪い。
刺激性:溶液を肌に塗布したときの刺激性を判断する。
◎:溶液に刺激を強く感じる。○:溶液に刺激を感じる。△:溶液に刺激をほとんど感じない。×:溶液に刺激を全く感じない。
ベタつき:溶液を肌に塗布したときのベタつきを判断する。
◎:溶液にベタつきを強く感じる。○:溶液にベタつきを感じる。△:溶液にベタつきを感じない。×:溶液にベタつきを全く感じない。
試験結果を以下の表1に示す。
【0025】
【表1】

クズ澱粉を配合した水溶液はグリセリンの水溶液よりも優れた保湿作用、肌荒れ改善作用、ノビの良さがあるとともに、クズ澱粉を配合した水溶液はグセリン水溶液に認められた刺激性が認められない。さらには、グリセリンとクズ澱粉の両方を配合した水溶液はグリセリンを含むにも関わらず、グリセリン水溶液に認められたベタつきと刺激性を完全に解消するとともに、保湿性と肌荒れ改善効果、塗布時のノビの良さを大幅に上昇させた。したがって、クズ澱粉は優れた保湿剤だけでなく、グリセリンなどの保湿剤のベタつきや刺激性も緩和する触感改良剤としても使用できる。
(実施例2:クズ澱粉の化粧品としての使用効果の確認試験(2))
下記のクリームA、クリームBを調整して、肌に同量、塗布した。その時の使用感を評価した。
(クリームAの調整処方)
(A)セタノール:3.5(重量%)
(B)ステアリン酸:5(重量%)
(C)ステアリン酸ソルビタン:0.7(重量%)
(D)ポリソルベート60:0.8(重量%)
(E)ジステアリン酸PEG−150:0.2(重量%)
(F)スクワラン:10(重量%)
(G)ジメチコン:0.5(重量%)
(H)グリセリン:2(重量%)
(I)メチルパラベン:0.2(重量%)
(J)水酸化カリウム:0.075(重量%)
(K)上記の残部として、全量100%になるように精製水を添加した。
(クリームAの製造方法)
(A)〜(H)と、(H)(I)(K)を別々に加熱調整し、80℃で混合した。その後、(K)の10%水溶液を加えて、ホモミキサーで攪拌し、冷却を開始した。このようにして試験用のクリームAを調整することができる。
(クリームBの調整処方)
(A)セタノール:3.5(重量%)
(B)ステアリン酸:5(重量%)
(C)ステアリン酸ソルビタン:0.7(重量%)
(D)ポリソルベート60:0.8(重量%)
(E)ジステアリン酸PEG−150:0.2(重量%)
(F)スクワラン:10(重量%)
(G)ジメチコン:0.5(重量%)
(H)グリセリン:2(重量%)
(I)メチルパラベン:0.2(重量%)
(J)クズ澱粉:2(重量%)
(K)水酸化カリウム:0.075(重量%)
(L)上記の残部として、全量100%になるように精製水を添加した。
(クリームBの製造方法)
(A)〜(H)と、(H)(I)(J)(L)を別々に加熱調整し、80℃で混合した。その後、(K)の10%水溶液を加えて、ホモミキサーで攪拌し、冷却を開始した。このようにして試験用のクリームBを調整することができる。
(評価基準)
保湿:クリームを肌に塗布したときの保湿性を判断する。
◎:クリームの保湿性が非常に高い。○:クリームの保湿性が高い。△:クリームの保湿性は普通である。×:クリームの保湿性は悪い。
肌荒れ:クリームを肌に塗布したときの肌荒れ改善効果を判断する。
◎:クリームに肌荒れ改善効果を強く感じる。○:クリームに肌荒れ改善効果を感じる。△:クリームに肌荒れ改善効果をほとんど感じない。×:クリームに肌荒れ改善効果を全く感じない。
エモリエント効果:クリームを肌に塗布した時のエモリエント効果を判断する。
◎:クリームにエモリエント効果を強く感じる。○:クリームにエモリエント効果を感じる。△:クリームにエモリエント効果を感じない。×:クリームにエモリエント効果を感じない。
伸びの良さ:クリームを肌に塗布した時のノビの良さを判断する。
◎:クリームの塗布時のノビは非常に良い。○:クリームの塗布時のノビは良い。△:クリームの塗布時のノビは悪い。×:クリームの塗布時のノビは非常に悪い。
刺激性:クリームを肌に塗布したときの刺激性を判断する。
◎:クリームに刺激を強く感じる。○:クリームに刺激を感じる。△:クリームに刺激をほとんど感じない。×:クリームに刺激を全く感じない。
ベタつき:クリームを肌に塗布したときのベタつきを判断する。
◎:クリームにベタつきを強く感じる。○:クリームにベタつきを感じる。△:クリームにベタつきを感じない。×:クリームにベタつきを全く感じない。
試験結果を以下の表2に示す。
【0026】
【表2】

クリームにクズ澱粉を配合することで、肌荒れ改善効果、エモリエント効果、伸びの良さ、ベタつきを大幅に改善するとともに、保湿効果、刺激性も改善した。
【0027】
従って、クズ澱粉を配合することで保湿作用や肌荒れ改善効果、伸びの良さに優れた化粧料を提供するとともに、クズ澱粉は化粧料に含まれるエモリエント成分の油っぽさを抑え、ベタつきや刺激性も緩和する触感改良剤としても使用できる。
【0028】
このように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明はこの実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってその範囲が解釈されるべきことが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することが理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
クズ澱粉の糊化澱粉を化粧料になどに配合することで、使用性に優れた化粧料を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クズ澱粉を含有する化粧料。
【請求項2】
前記化粧料が、化粧水、クリーム、軟膏、乳液、美容液、パック、洗顔料、クレンジング剤、ヘアケア剤、石鹸、浴用剤、シャンプー、リンス、リップスティック、口紅、ファンデーション、および、紫外線ケア用化粧品からなる群から選択される、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
クズ澱粉およびエモリント成分を含有する触感改良剤。
【請求項4】
前記エモリント成分が、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、つばき油、ごま油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、コーン油、なたね油、キョウニン油、パーシック油、桃仁油、ひまし油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ココナッツ油、小麦胚芽油、米胚芽油、月見草油、ハイブリッドヒマワリ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、へーゼルナッツ油、パーム核油、パーム油、やし油、カカオ脂、シア脂、木ろう、ミンク油、タートル油、卵黄油、牛脂、乳脂、豚脂、馬油、ホホバ油、カルナウバろう、キャンデラろう、米ぬかろう、オレンジラフィー油、みつろう、セラック、ラノリン、モンタンろう、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、軟質流動イソパラフィン、水添ポリイソブチレン、オゾケライト、セレシン、α−オレインフィンオリゴマー、ポリブテン、ポリエチレン等の炭化水素類、または、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソノナン酸、ペンタデカン酸、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、イソコレステロール、シトステロール、スチグマステロール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、トリカプリン、トリミリスチン、トリオクタノイン、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスチル、トリイソステアリン酸ペンタエリスリル、イソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、クエン酸トリオクチルドデシル、および、リンゴ酸ジイソステアリルからなる群から選択される、請求項3に記載の触感改良剤。
【請求項5】
クズ澱粉を含有する保湿剤。
【請求項6】
さらに追加の保湿成分を含有する、請求項5に記載の保湿剤。
【請求項7】
前記追加の保湿成分が、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン 、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、トレオース、キシロース、アラビノース、フコース、リボース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース 、ラクトース、ラフィノース、グルコン酸、グルクロン酸、シクロデキストリン、β−グルカン、キチン、キトサン、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、エチルグルコシド、メタクリル酸グルコシルエチル重合物、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ムコイチン硫酸、カロニン硫酸、ケラト硫酸、デルマタン硫酸、シロキクラゲ抽出物、シロキクラゲ多糖体、チューベロース多糖体、クエン酸、酒石酸、尿素、2−ピロリドン−5−カルボン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸の塩、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、ヒスチジン、タウリン、コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド、パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド、乳酸菌培養液、酵母抽出液、卵殻膜タンパク、牛顎下腺ムチン、ヒポタウリン、ゴマリグナン配糖体、グルタチオン、アルブミン、乳清、塩化コリン、ホスホリルコリン、胎盤抽出液、エアラスチン、コラーゲン、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス、コンフリーエキス、シルクエキス、イザヨイバラエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ユーカリエキス、メリロートエキス、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、および、スフィンゴ糖脂質からなる群から選択される、請求項6に記載の保湿剤。

【公開番号】特開2010−105980(P2010−105980A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281427(P2008−281427)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(300029569)ゲオール化学株式会社 (12)
【Fターム(参考)】