説明

クッションデバイス

【課題】クッションデバイスの提供。
【解決手段】本発明は、感圧性接着剤を備えるクッションデバイスに関する。特に、本発明は、柔らかいゲルクッションデバイスの保持を改善するための、感圧性接着材料の使用に関する。粘着性表面を備えるクッションデバイスは、熱可塑性フィルム材料に結合したゲル材料を備え、この熱可塑性フィルム材料は、このゲル材料と適合性である極性を有し、この熱可塑性フィルム材料は、感圧性接着剤をさらに備え、この感圧性接着剤は、このゲル材料に結合された表面とは反対側の、このフィルム材料の表面に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、感圧性接着剤を備えるクッションデバイスに関する。特に、本発明は、柔らかいゲルクッションデバイスの保持を改善するための、感圧性接着材料の使用に関する。履物クッションの主要な特質の1つは、この履物が皮膚の敏感な領域(特に、踵領域)を擦ることを防止することである。しかし、クッションの全ての所望の特質を達成する目的で、このクッションは、履物の通常の使用に付随する動きの間、しっかりと適所に留まる必要がある。柔らかいゲルから作製されたクッションデバイスは、当該分野において公知であり、そしてその快適さ、可撓性、耐久性および外観のために望ましい。本発明の譲受人であるSchering−Plough Healthcare Products,Inc.は、商標名Dr.Scholl’s(登録商標)Gel Heel Linerのもとでクッションデバイスを販売しており、このクッションデバイスは、ポリウレタン(PU)ゲルに結合した熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムを備え、このPUゲルは、粘着性表面を有するように製造される。しかし、この製品において、さらなる接着剤は使用されない。Heel Linerは、剥離フィルムを用いて包装されて、このPUゲルの粘着性表面のべとつきを防止し、次いで、このPUゲルの粘着性表面は、靴に付けられて、そのライナーを適所に保持する。このTPUフィルムは、この粘着性表面の反対側に非粘着性表面を提供し、この非粘着性表面は、着用者の足、靴下(sock)、または靴下類(hosiery)に接触する。
【0002】
しかし、粘着性PUゲルは、クッション要素のために望まれ得るような長期間の使用にわたりライナーを適所に保持しないことが確認された。感圧性接着材料が、当該分野において使用されている。しかし、粘着性PUゲルと感圧性接着剤との直接の改変は、より強い保持力を有するクッション要素を生じなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、ゲルの利点を提供し、かつ配置される靴内での長期間の保持を提供するクッションデバイスが望ましい。さらに、感圧性接着剤を有するゲルクッションデバイスを製造する方法もまた望ましい。これらおよび他の利点は、本願で説明および特許請求される本発明の結果である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、クッションデバイスを提供し、このクッションデバイスは、頂表面および底表面を備える1層のポリウレタンゲル材料、このポリウレタンゲル材料の頂表面と底表面とのうちの一方または両方に結合した少なくとも1層の熱可塑性ポリウレタンフィルム材料、ならびにこの少なくとも1層の熱可塑性ポリウレタンフィルム材料のうちの少なくとも1つに結合した1層の感圧性接着剤を備え、この感圧性接着剤は、このポリウレタンゲル材料の底表面に接触する表面とは反対側の、この熱可塑性ポリウレタンフィルムの表面に位置する。
【0005】
本発明はまた、粘着性表面を備えるゲルクッションデバイスを提供し、このデバイスは、熱可塑性フィルム材料に結合したゲル材料を備え、この熱可塑性フィルム材料は、このゲル材料との良好な適合性を有し、この熱可塑性フィルム材料は、感圧性接着剤をさらに備え、この感圧性接着剤は、このゲル材料に結合する表面とは反対側の、このフィルム材料の表面に位置する。
【0006】
本発明はさらに、粘着性表面を備えるゲルクッションデバイスを提供し、このデバイスは、上表面および下表面を有する1層のゲル材料、ならびに2層の熱可塑性フィルム材料を備え、各フィルム材料は、上表面および下表面を備え、このゲル材料の上表面は、このフィルム材料の層のうちの一方の下表面に結合し、そしてこのゲル材料の下表面は、このフィルム材料の層のうちの他方の上表面と結合し、これらのフィルム材料の層のうちの少なくとも1つは、このゲル材料に結合している表面とは反対側の表面に感圧性接着剤を備え、これによって、このデバイスの粘着性表面を提供する。
【0007】
本発明はまた、粘着性表面を備えるゲルクッションデバイスを構築する方法を提供し、この方法は、少なくとも1層の熱可塑性フィルム材料を含む鋳型空洞にゲル材料を充填する工程であって、この少なくとも1層の熱可塑性フィルム材料が、上表面および下表面を備える、工程、ならびに硬化したゲル材料がこのフィルム材料と結合するように、このゲル材料を硬化させて固体ゲルを形成する工程を包含し、そしてこれらの熱可塑性フィルム材料の層のうちの少なくとも1つが、感圧性接着剤を、このゲル材料に結合している表面とは反対側の表面に備え、これによって、このデバイスの粘着性表面を提供する。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
クッションデバイスであって、該クッションデバイスは、頂表面および底表面を備える1層のポリウレタンゲル材料、該ポリウレタンゲル材料の該頂表面および該底表面のうちの一方または両方に結合された少なくとも1層の熱可塑性ポリウレタンフィルム材料、ならびに該少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタンフィルム材料のうちの1つに結合された1層の感圧性接着剤を備え、該感圧性接着剤は、該ポリウレタンゲル材料の該底表面と接触する表面とは反対側の、該熱可塑性ポリウレタンフィルムの表面に位置する、クッションデバイス。
(項目2)
前記感圧性接着剤が、アクリル接着剤、メタクリレート接着剤、ゴムベースの接着剤を含有する、項目1に記載のクッションデバイス。
(項目3)
前記感圧性接着剤が、スチレンコポリマーベースの接着剤またはシリコーンベースの接着剤、およびこれらの組み合わせである、項目1に記載のクッションデバイス。
(項目4)
前記スチレンコポリマーが、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)コポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)コポリマー、少なくとも1つの粘着性付与剤を含むスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含有する、項目3に記載のクッションデバイス。
(項目5)
前記アクリル接着剤が、エチレンアクリル酸エチル(EEA)コポリマー、エチレンアクリル酸メチル(EMA)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含有する、項目2に記載のクッションデバイス。
(項目6)
前記感圧性接着剤の層が、約0.0125mm〜約0.25mmの厚さを有する、項目1に記載のクッションデバイス。
(項目7)
前記ポリウレタンゲル材料が、約10〜約80のShore00硬度を有する、項目1に記載のクッションデバイス。
(項目8)
前記ポリウレタンゲル材料が、約30〜約60のShore00硬度を有する、項目1に記載のクッションデバイス。
(項目9)
前記ポリウレタンゲル材料が、約50のShore00硬度を有する、項目1に記載のクッションデバイス。
(項目10)
前記ポリウレタンゲル材料が、0.3mm〜3mmの厚さを有する、項目1に記載のクッションデバイス。
(項目11)
前記熱可塑性ポリウレタンフィルム材料が、約40〜約95のShore A硬度を有する、項目1に記載のクッションデバイス。
(項目12)
前記熱可塑性ポリウレタンフィルム材料が、0.025mm〜0.25mmの厚さを有する、項目1に記載のクッションデバイス。
(項目13)
1層の熱可塑性ポリウレタンフィルム材料が、前記ポリウレタンゲル材料の前記頂表面と前記底表面との両方に結合されている、項目1に記載のクッションデバイス。
(項目14)
前記熱可塑性ポリウレタンフィルムの個々の層が同じ厚さを有する、項目13に記載のクッションデバイス。
(項目15)
前記熱可塑性ポリウレタンフィルムの個々の層が異なる厚さを有する、項目13に記載のクッションデバイス。
(項目16)
前記少なくとも1層の熱可塑性ポリウレタンフィルムが少なくとも0.025mmの厚さを有する、項目1に記載のクッションデバイス。
(項目17)
粘着性表面を備えるゲルクッションデバイスであって、該デバイスは、熱可塑性フィルム材料に結合したゲル材料を備え、該熱可塑性フィルム材料は、該ゲル材料との良好な適合性を有し、該熱可塑性フィルム材料は、該ゲル材料に結合している表面とは反対側の該フィルム材料の表面に位置する感圧性接着剤をさらに備える、ゲルクッションデバイス。
(項目18)
前記ゲル材料がポリウレタンゲル材料である、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目19)
前記熱可塑性フィルム材料がポリウレタン材料である、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目20)
前記ゲル材料がSEBSゲル材料である、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目21)
前記熱可塑性フィルム材料がSEBS材料である、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目22)
前記感圧性接着剤が、アクリル接着剤、メタクリレート接着剤、ゴムベースの接着剤を含有する、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目23)
前記感圧性接着剤が、スチレンコポリマーベースの接着剤またはシリコーンベースの接着剤、およびこれらの組み合わせである、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目24)
前記スチレンコポリマーが、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)コポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)コポリマー、少なくとも1つの粘着性付与剤を含むスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含有する、項目23に記載のクッションデバイス。
(項目25)
前記アクリル接着剤が、エチレンアクリル酸エチル(EEA)コポリマー、エチレンアクリル酸メチル(EMA)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含有する、項目23に記載のクッションデバイス。
(項目26)
前記感圧性接着剤が、約0.0125mm〜約0.25mmの厚さを有する、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目27)
前記ゲル材料が、約10〜約80のShore00硬度を有する、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目28)
前記材料が、約30〜約60のShore00硬度を有する、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目29)
前記材料が、約50のShore00硬度を有する、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目30)
前記ゲル材料が、0.3mm〜3mmの厚さを有する、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目31)
前記熱可塑性フィルム材料が、約40〜約95のShore A硬度を有する、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目32)
前記熱可塑性フィルム材料が、0.025mm〜0.25mmの厚さを有する、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目33)
前記熱可塑性フィルム材料が少なくとも0.025mmの厚さを有する、項目17に記載のクッションデバイス。
(項目34)
粘着性表面を備えるゲルクッションデバイスであって、該デバイスは、上表面および下表面を有する1層のゲル材料、ならびに2層の熱可塑性フィルム材料を備え、各フィルム材料が上表面および下表面を備え、該ゲル材料の該上表面は、該フィルム材料の層のうちの1つの該下表面と結合し、そして該ゲル材料の該下表面は、該フィルム材料の層のうちの他方の該上表面と結合し、該フィルム材料の層のうちの少なくとも1つが、該ゲル材料の結合している表面とは反対側の表面に感圧性接着剤を備え、これによって、該デバイスの該粘着性表面を提供する、ゲルクッションデバイス。
(項目35)
前記ゲル材料がポリウレタンゲル材料である、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目36)
前記熱可塑性フィルム材料がポリウレタン材料である、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目37)
前記ゲル材料がSEBSゲル材料である、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目38)
前記熱可塑性フィルム材料がSEBS材料である、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目39)
前記感圧性接着剤が、アクリル接着剤、メタクリレート接着剤、ゴムベースの接着剤を含有する、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目40)
前記感圧性接着剤が、スチレンコポリマーベースの接着剤またはシリコーンベースの接着剤、およびこれらの組み合わせである、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目41)
前記スチレンコポリマーが、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)コポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)コポリマー、少なくとも1つの粘着性付与剤を含むスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含有する、項目40に記載のクッションデバイス。
(項目42)
前記アクリル接着剤が、エチレンアクリル酸エチル(EEA)コポリマー、エチレンアクリル酸メチル(EMA)コポリマー、またはこれらの組み合わせを含有する、項目40に記載のクッションデバイス。
(項目43)
前記感圧性接着剤が、約0.0125mm〜約0.25mmの厚さを有する、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目44)
前記ゲル材料が、約10〜約80のShore00硬度を有する、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目45)
前記ゲル材料が、約30〜約60のShore00硬度を有する、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目46)
前記ゲル材料が、約50のShore00硬度を有する、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目47)
前記ゲル材料が、0.3mm〜3mmの厚さを有する、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目48)
前記熱可塑性フィルム材料が、約40〜約95のShore A硬度を有する、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目49)
前記熱可塑性フィルム材料が、0.025mm〜0.25mmの厚さを有する、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目50)
前記熱可塑性フィルム材料が少なくとも0.025mmの厚さを有する、項目34に記載のクッションデバイス。
(項目51)
粘着性表面を備えるゲルクッションデバイスを構築する方法であって、該方法は、ゲル材料を、少なくとも1層の熱可塑性フィルム材料を含む鋳型空洞に充填する工程であって、該少なくとも1層の熱可塑性フィルム材料が、上表面および下表面を備える、工程、ならびに硬化したゲル材料が該フィルム材料と結合するように該ゲル材料を硬化させて固体ゲルを形成する工程を包含し、そして該熱可塑性フィルム材料の層のうちの少なくとも1つが、該ゲル材料に結合している表面とは反対側の表面に感圧性接着剤を備え、これによって、該デバイスの該粘着性表面を提供する、方法。
(項目52)
前記鋳型空洞が2層の熱可塑性フィルム材料を含み、その結果、前記硬化したゲル材料が、該フィルム材料の層のうちの一方の前記下表面、および該フィルム材料の層のうちの他方の前記上表面と結合する、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記充填する工程が、前記熱可塑性フィルム材料を含む鋳型空洞にゲル材料を注入する工程を包含し、該熱可塑性フィルム材料のうちの少なくとも1つが、該注入されるゲル材料と接触する表面とは反対側の表面に感圧性接着剤を備える、項目51に記載の方法。
(項目54)
前記鋳型空洞が、前記感圧性接着剤と鋳型形状との間に配置された剥離ライナー材料をさらに含む、項目51に記載の方法。
(項目55)
前記鋳型形状が、該鋳型形状への前記感圧性接着剤の結合を防ぐ表面処理をさらに含む、項目51に記載の方法。
(項目56)
前記ゲル材料がポリウレタンゲル材料である、項目51に記載の方法。
(項目57)
前記ゲル材料がSEBSゲル材料である、項目51に記載の方法。
(項目58)
前記硬化したゲル材料を前記鋳型空洞から取り出す工程、および該材料を所望の形状にダイカットする工程をさらに包含する、項目51に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】図1Aは、先行技術のクッション要素の断面を図示する。
【図1B】図1Bは、本発明のクッション要素の例示的な実施形態の断面を図示する。
【図2】図2は、本発明のクッション要素の第二の例示的な実施形態の断面を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(詳細な説明)
図1に図示されるように、本発明の製品は、感圧性接着剤をゲル材料に付着させて余剰の保持能力を提供するための手段を提供する点で、先行技術のTPU/PU成型クッション要素より優れた利点を有する。図1Aは、フィルム材料(102)に結合したゲル材料(104)を備える、先行技術の材料の断面を示す。このフィルム材料は、摩擦を防ぐ外側表面を提供して、皮膚または衣類との滑らかな接触を可能にする。図1Bは、本発明の例示的な実施形態の断面を示し、この実施形態において、頂表面および底表面を有する1層のゲル材料は、このゲル材料の各表面に結合した2層のフィルム材料(102、103)を備える。本発明の実施において、ゲル材料としては、例えば、ポリウレタンゲル、スチレンベースのゲル、またはシリコーンゲルが挙げられ得る。本発明において有用なゲル材料は、代表的に、約10〜約80、好ましくは、約30〜約60のShore00硬度を有し得る。本発明の特定の実施形態において、ポリウレタンゲル材料が使用され、そして約50のShore00硬度を有し得る。このゲル材料は、代表的に、0.3mm〜3mmの厚さを有し得る。このフィルム材料は、このクッションにおいて使用されるゲル材料と適合性である、熱可塑性ポリマーフィルム材料を備え得る。例えば、ポリウレタンゲル材料がこのクッションにおいて使用される場合、このフィルム材料はおそらく、熱可塑性ポリウレタンフィルム材料を含有する。同様に、SEBSゲル材料がこのクッションにおいて使用される場合、このフィルム材料はおそらく、SEBS熱可塑性フィルムを含有する。これらのフィルム材料は、代表的に、約40〜約95のShore A硬度を有し得、そして代表的に、0.025mm〜0.25mmの厚さを有し得る。1層より多くのフィルムが使用される本発明による特定の実施形態において、フィルムの個々の層は、同じ厚さを有する。本発明による特定のさらなる実施形態において、フィルムの個々の層は、異なる厚さを有する。実際には、フィルムの厚さを変えることは、そのフィルムの柔軟性および可撓性に影響を与え、そして同様に、最終的なゲルクッション製品の柔軟性および可撓性に影響を与える。特定の実施形態において、熱可塑性ポリウレタンフィルムが使用され、そして少なくとも0.025mmの厚さであり得る。
【0010】
本明細書中で使用される場合、ポリウレタン材料とは、複数のウレタン結合を含み、そして脂肪族イソシアネートプレポリマーまたは芳香族イソシアネートプレポリマーのうちのいずれかおよびこれらの組み合わせと、二官能性ポリオールまたは三官能性ポリオールのポリマーまたはプレポリマーのうちのいずれかとの両方からなるポリマーを包含すると理解される。このポリウレタン材料は、必要に応じてまた、ポリイソシアネートの反応から形成される他の種類の化学結合(尿素結合、イソシアヌレート結合、オキサゾリドン結合、ビウレット結合、アロファネート結合、これらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない)を含み得る。ポリウレタンゲル材料は、代表的に、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させることにより形成される。ポリイソシアネートの例としては、脂肪族イソシアネートプレポリマーまたは芳香族イソシアネートプレポリマー、あるいはこれらの組み合わせから形成されたものが挙げられる。ポリオールの例としては、二官能性ポリオールまたは三官能性ポリオールの、ポリマーまたはプレポリマーが挙げられる。使用されるポリオールの例としては、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(プロピレンオキシド))、修飾ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、縮合ポリエステルポリオール(ジカルボン酸とジオールとを反応させることにより生成される)、ラクトン型ポリエステルポリオール(ε−カプロラクトンなどの開環重合により生成される)、ならびにポリカーボネートポリオール、ヒドロキシル基が導入されたビニルポリマー(例えば、主鎖としてポリイソブチレンを有するポリオール)が挙げられる。
【0011】
ゲル層はまた、非発泡体エラストマー(例えば、粘弾性ポリマーまたはシリコーンゲルとして公知であり、−50℃〜100℃の範囲で実施される動的機械分析により試験される場合に、高レベルの減衰を示す、材料のクラス)から作製され得る。ゲル材料としては、Kratonファミリーのスチレン−オレフィン−ゴムブロックコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレア、ポリエステル、および温度の関数として可逆的に軟化する他のポリマー材料が挙げられ得るが、これらに限定されない。好ましいエラストマーは、スチレン/エチレン−co−ブチレン/スチレン(SEBS)のKratonブロックコポリマー、または可塑剤として鉱油がマトリックスに組み込まれたスチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)である。
【0012】
本明細書中で使用される場合、感圧性接着剤(コンタクト接着剤としてもまた公知)とは、攻撃的かつ永続的に粘着性である粘弾性結合を形成し、わずかな圧力のみを必要として接着し、そして水、溶媒または熱による活性化を必要としない、接着剤である。感圧性接着剤は、代表的に、溶媒およびラテックスベース、または水ベースの形態で入手可能であり、そしてしばしば、非架橋ゴム接着剤、アクリルまたはポリウレタンをベースとする。
【0013】
本発明の特定の実施形態において、感圧性接着剤は、アクリル接着剤およびメタクリレート接着剤、ゴムベースの感圧性接着剤、少なくとも1つの粘着性付与剤を含むスチレンコポリマー(例えば、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)コポリマーおよびスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)コポリマー)、ならびにシリコーンを含み得る。アクリル接着剤はしばしば、アクリレート系(例えば、エチレンアクリル酸エチル(EEA)コポリマーまたはエチレンアクリル酸メチル(EMA)コポリマー)を使用し、これらの系は、ホットメルトPSA接着剤を形成するために使用される。天然ゴム、合成ゴムまたはエラストマー接着剤は、代表的に、種々の材料(例えば、シリコーン、ポリウレタン、クロロプレン、ブチル、ポリブタジエン、イソプレンまたはネオプレン)を含有し得る。ゴムおよびエラストマーは、その高度な可撓性および弾力性により特徴付けられる。
【0014】
特定の実施形態において、感圧性接着材料は、アクリレートベースの接着材料を含有し得る。感圧性接着剤材料の層の厚さは、使用される接着材料および所望の粘着性に従って、当業者により変えられ得る。本発明の特定の例示的な実施形態の実施において、感圧性接着剤は、約0.0125mm〜約0.25mmの厚さを有し得る。
【0015】
本発明のさらなる局面は、ポリウレタンゲル材料を含有するクッション要素を製造する方法を包含し、この方法は、ポリウレタンゲルと熱可塑性フィルム材料とを結合させる工程を包含し、この熱可塑性フィルム材料は、感圧性接着剤を含有する。本発明の1つの実施形態の調製において、感圧性接着剤の層は、成形プロセス中に柔らかいポリウレタンゲルに直接結合し得ないことが発見された。この制限を克服するために、感圧性接着剤層を備える熱可塑性フィルム材料の層を鋳型に加え、そしてポリウレタンゲルに結合させた。
【0016】
本発明の特定の実施形態において、クッション要素は、直接成型プロセスにより調製され、このプロセスにおいて、ゲル材料が鋳型に直接塗布される(例えば、ゲルプレポリマーを鋳型空洞に注入することによる)。直接成形プロセス中に、このゲル材料が注入される前に、感圧性接着剤を含有するフィルム材料層が、この接着剤がこの鋳型に最も近いフィルム材料の面にくるようにして、この鋳型空洞に塗布され、次いで、PUゲル材料がこのフィルム材料を覆うように、この鋳型に注入される。この鋳型は、感圧性接着剤の結合を防ぐように処理され得るか、または剥離ライナー材料がこの鋳型に最初に、フィルム材料がこの鋳型に塗布される前に塗布され得る。本発明の特定の実施形態において、この鋳型は、ゲル材料を注入する前に所望の硬化温度まで予熱され得るか、または全ての材料がこの鋳型内に充填された後に加熱され得る。例えば、本発明によりポリウレタンゲル材料を使用する場合、この鋳型の温度は、代表的に、85℃〜95℃であり、そしてサイクル時間は、約8分間である。圧力は、代表的に低く、そしてこの型の操作については重要ではない。ただし、この圧力は、空洞鋳型をポリウレタンプレポリマーで充たすために充分に高い。
【0017】
図2に図示されるように、剥離ライナー106が、図1Bに図示されるPSA層の露出表面に接触していることが示されている。本発明のこの例示的な実施形態において、このゲルクッションは、直接成形プロセスにより製造され得る。この様式で、この薄い剥離ライナー積層体は、ゲルクッション要素の底層アセンブリを構成し、そしてまた、形成されたゲルクッション要素を鋳型から取り出すことを容易にすることを補助する。頂部の熱可塑性フィルムは、成形プロセス中に、ライナーのカバー層を構成する。この剥離ライナーは、販売のために包装される場合にこの製品上に維持され得、そしてこのゲルクッション要素を表面(例えば、靴または他の履物類)に付ける前に、処分され得る。特定の実施形態において、このクッションデバイスは、合成ゴム発泡体、織られた綿布、合成繊維、編地、ポリ塩化ビニルフィルム、および/または合成不織布をさらに備え得る。
【0018】
本発明の製品は、クッションデバイスとして使用するため(例えば、履物に挿入して敏感な皮膚と履物の硬い表面または露出表面との間のこすれを防止するため)に適切な任意の形状に形成され得る。このクッション要素はまた、他の衣類(例えば、帽子、ヘルメット、保護用スポーツギア(例えば、肘パッドおよび膝パッド)ならびに快適さ、サイズ変更および/または安全性のために余剰の詰め物を必要とする他の衣類)に付けられ得る。本発明によるクッション要素はまた、身体部分に接触する表面(例えば、とりわけ、椅子、机、箪笥、テーブル、ドアおよびドア枠)に付けられて損傷からの保護を提供し得る。クッション要素が付けられる物体のサイズおよび形状に依存して、特定の形状は、身体の様々な領域を、その物体との接触からより良好に保護する。特定の例示的な実施形態において、これらの製品は、例えば、とりわけ、円形、放物線、星型、正方形、矩形、丸みを帯びた矩形、半月型の形状に成型される。クッション要素の適切な形状は、このクッション要素が付けられる物体のサイズおよび表面に基づいて決定され得る。代替の例示的な実施形態において、クッション要素は、使用者が所望の形状に切断し得る材料のシートとして提供され得る。この材料のシートはまた、物体との接触からの適切な保護のために望まれる場合に除去され得る、予め形成された形状で提供され得る。
【実施例】
【0019】
(実験)
人による着用試験を実施して、粘着性ゲル表面を備える未改変ポリウレタンゲルクッションを、感圧性接着剤を含む本発明の改変ポリウレタンゲルクッションと比較した。この試験を、本発明に従うクッションデバイスが未改変ポリウレタンゲル踵ライナーと比較される場合に、適切な接着性能を提供するか否かを決定するために実施した。着用試験の前に、プローブ粘着力試験を、両方のデバイスに対して、ASTM D 2979−01に従って実施し、接着剤と接着物とが既知の持続時間および特定の温度における規定された負荷下で接触させられた短時間後に、この接着剤とこの接着物とを分離するために必要とされる力を測定した。これらのデバイスをまた、PSTC−107Aに従って、剪断保持力について試験した。PSTC−107Aは、接着材料が、材料および基材の表面に対して平行に付与される一定の負荷下で接着状態を維持する能力を測定し、特に、垂直な標準鋼パネルに付与される場合の剪断接着を測定する。これらの2つのデバイスは、以下の接着粘着力および剪断保持力を有することが決定された:
【0020】
【表1】

プローブ粘着力試験および剪断保持力試験の結果に基づいて、当業者は、これらの2つの踵ライナーデバイスが、本質的に同じ接着粘着力および剪断保持力を有し、そして使用において同じ接着性能(すなわち、通常の着用中の靴内で適所に留まる能力)を有すると予測されることを認識する。
【0021】
次いで、本発明に従って形成された踵ライナークッションの接着性能を、これらのデバイスを靴に挿入して通常使用で3日間着用した志願者による着用試験において、評価した。これらの試験被験体を、23人の被験体が未改変踵ライナーを評価し、一方で22人の被験体がPSAで改変された踵ライナーを評価するように、分割した。未改変踵ライナーと改変踵ライナーとの両方は、外観が類似していたので、試験被験体は、どちらのデバイスを自分が着用しているかを知らなかった。3日後、試験被験体に、7点スケールに従う等級付けで、通常の使用中にクッションが適所に留まったか否かに関する同意または非同意を等級付けるよう依頼した。
【0022】
【表2】

上から3つの等級付けの回答の合計は、踵ライナークッション接着の性能のポジティブな意見を示し、そして下から3つの等級付け回答の合計は、踵ライナークッションの性能に対するネガティブな意見を示した。これらの結果は以下のとおりであった:
【0023】
【表3】

示されるように、本発明に従って製造された、PSAを含有する改変踵ライナーは、使用者から決定的にポジティブな意見を得た。逆に、未改変踵ライナーは、ポジティブな意見とネガティブな意見とのあいまいな結果を示した。着用試験結果の統計学的分析(0.0041のp)は、本発明によるPSAで改変されたライナーが、未改変バージョンよりも良好な接着性能を着用中に提供することを示した。この結果は、クッションに対するプローブ粘着力試験および剪断保持力試験に基づいては、予測不可能であった。
【0024】
本発明の数個の実施形態が本明細書中に具体的に記載される。しかし、本発明の改変物およびバリエーションは、本発明の趣旨および意図される範囲から逸脱することなく、上記教示により網羅され、そして添付の特許請求の範囲の範囲内であることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−224868(P2012−224868A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−181689(P2012−181689)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【分割の表示】特願2011−516695(P2011−516695)の分割
【原出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(398029706)エムエスディー コンシューマー ケア, インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】