説明

クッション体張設用弾性織物

【課題】枠材13が取り付けられる弾性シートの端縁18からの糸条の解れを防ぐと共に、クッション体11のフレーム19に張設するための準備作業に格別手間取らず、ファッション性と耐久性に優れたクッション体張設用弾性織物を効率的に得る。
【解決手段】単糸繊度300detx以上の非扁平断面形状モノフィラメイト弾性糸条を緯糸に用いて織成される弾性織物の緯糸の長さ方向Qに20〜70cmの間隔Lをおいて熱融着性糸条を経糸として配置し、織成後加熱して熱融着性糸条と弾性糸条を融着する。その融着箇所をクッション体11のフレーム19に張設するために裁断された弾性織物の端縁18とし、その端縁18に沿って枠材13を取り付ける。熱融着性糸条(経糸)は、単糸繊度100dtex以下の多数の繊維によって構成されたマルチフイラメント糸または紡績糸とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、向き合う2本の枠材13・13の間に張設してクッション体11のクッション面12を構成するために使用される弾性シート16に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、クッション体に使用する弾性シートとして、熱収縮性弾性糸条を用いた弾性織物を特許出願している(例えば、特許文献1参照)。その特許出願に係る弾性織物には、袋状に二重に織成されたものと、平織によって織成されたものとがあり、袋状に二重に織成されたものでは、その袋状空洞にクッション体のフレーム19を差し込み、熱収縮してフレーム19の2本の枠材13・13の間で緊張されるようになっており、平織によって織成されたものでは、熱収縮性弾性糸条の長さ方向Qにおいて向き合う左右の端縁18を折り返して袋状空洞20を縫製し、その袋状空洞20に枠材13を差し込んでクッション体のフレーム19に取り付け、熱収縮してフレーム19の2本の枠材13・13の間で緊張されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−333839号公報(特許請求の範囲、0010、0020、図1、図2)
【0003】
端縁18を折り返して縫製した袋状空洞20に差し込んだ枠材13は、フック等の接合部材21によってフレーム19に連結することも出来、その場合、接合部材21を差し込むための孔や切れ目が、端縁18の長さ方向に飛び飛びに袋状空洞20に設けられる。弾性糸条としては、鞘成分を熱融着性ポリマーとする熱融着性芯鞘複合糸条も使用され、その熱融着性ポリマーを介して経糸と緯糸が接着されるので、経糸と緯糸の間に目ズレが生じず、使用時にクッション面12に加わる押圧荷重が弾性織物16の四方八方に均等に分散される。
【0004】
弾性糸条は、経糸には使用されず、専ら緯糸に使用されている。何故なら、弾性糸条を経糸に使用しようとしても、製織過程で経糸(弾性糸条)が伸縮して経糸テンションが一定せず、緯糸密度(緯糸打込密度)に大きなバラツキが生じ、品質が安定した弾性織物は得られない。又、弾性糸条は、他の繊維糸条に比して滑り難く、綜絖や筬羽をスムーズに通過せず、経糸(弾性糸条)に擦れ合う綜絖が折れ曲がり易く、経糸(弾性糸条)も綜絖や筬羽に擦られて損傷し易い。
【0005】
一般に、クッション体のクッション面の縦横の寸法は、概して50cm以下である。このため、先願弾性織物を袋状に二重に織成しようとする場合は、そのクッション面12の寸法に応じた織幅50cm以下の小幅の織機が必要となる。しかし、小幅の織機は、和装帯地や手芸織物の分野では使用されているものの一般には広く使用されておらず、一般に使用されている広幅織機に比して製織効率が著しく低い。このため、弾性織物は、織幅1m以上の広幅織機によって製織し、クッション面の寸法に応じて裁断し、弾性糸条(緯糸)の長さ方向Qにおいて向き合う左右の端縁18を折り返して縫合し、その端縁18に形成される袋状空洞20に枠材13を差し込んで使用されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
弾性糸条(緯糸14)が、弾性織物の接結点において、経糸15に押圧されてエンボスが施されたかのように曲折変形すると、使用時にクッション面12に作用する初期荷重によって弾性糸条が曲折状態から緊張されて直線状態になるまでクッション面12が大きく沈み、その後、クッション面12に作用する押圧荷重に対する反力が弾性糸条14から作用することになる。その弾性糸条(緯糸14)が直線状態になるまでのクッション面の初期の沈みは、クッション面の窪みに落ち込んだかのような不快感を与える。
【0007】
そのような不快感をなくすために、経糸15には、曲折し易いマルチフィラメント糸や紡績糸を使用し、弾性糸条(緯糸14)には、曲折し難い太手のモノフィラメント弾性糸条が使用され、経糸15にモノフィラメント糸を使用する場合には、その経糸15よりも太いモノフィラメント弾性糸条が緯糸14に使用される。このため、従来の弾性織物16は、簾のように経糸15の長さ方向Rには折り畳み易く、緯糸14の長さ方向Qには折り畳み難く、端縁18に枠材13を差し込むための袋状空洞20の縫製に手間取る。
【0008】
更に、従来の弾性織物16をクッション体のクッション面12として長期使用するとき、弾性糸条(緯糸14)が曲折せず真っ直ぐになって織り込まれているので、クッション面に作用する押圧荷重が、弾性糸条(緯糸14)の長さ方向Qに引っ張る引張荷重となって、袋状空洞の外側の経糸15と枠材13の間に繰り返し作用する。このため、その外側の経糸15は、枠材13によって端縁18へと次第に押し出され、ついには、弾性糸条(緯糸)の端末17から解れ出し、その経糸15と一緒に枠材13も袋状空洞20から外れてしまうと言う不都合が生じる。つまり、見方を変えて言えば、弾性糸条(緯糸)の端末17が、枠材13に梳られるように、経糸間(15)から抜き取られた恰好になる。
【0009】
そこで本発明は、枠材13が取り付けられる弾性シート16の端縁18からの糸条の解れを防ぎ、耐久性のあるクッション体を得ることを目的とする。本発明の他の目的は、クッション体11のフレーム19に張設するための準備作業に手間取らない弾性シート16を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るクッション体張設用弾性織物は、繊度300dtex以上の非扁平断面形状モノフィラメイト弾性糸条を緯糸に用いて織成され、熱融着性糸条が、経糸として、緯糸の長さ方向Qに20〜70cmの間隔Lをおいて配置されており、その熱融着性糸条(経糸)が、単糸繊度100dtex以下の繊維によって構成された熱融着性マルチフィラメント糸、又は、紡績糸、若しくは、厚みが100μm以下の熱融着性シートをテープ状に裁断して構成された熱融着性扁平糸条であり、その熱融着性糸条(経糸)の熱融着性成分が、弾性糸条(緯糸)に融着しており、その熱融着性糸条(経糸)の内部の繊維と繊維が、その熱融着性糸条(経糸)の熱融着性成分を介して融着していることを第1の特徴とする。
【0011】
本発明に係るクッション体張設用弾性織物の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、緯糸の長さ方向Qに20〜70cmの間隔Lをおいて配置され、熱融着性糸条の配置箇所30において、非熱融着性糸条が、熱融着性糸条に交互して配列されており、その熱融着性糸条の配置箇所30が、経糸の長さ方向Rに帯状に続く融着帯を形成しており、その融着帯によって、弾性織物が、緯糸の長さ方向Qにおいて仕切られている点にある。
【0012】
本発明に係るクッション体張設用弾性織物の第3の特徴は、上記第1および第2の何れかの特徴に加えて、非弾性糸条が、緯糸として、弾性糸条に交互して織り込まれており、その非弾性糸条が、単糸繊度100dtex以下の多数の繊維によって構成されている点にある。
【0013】
本発明に係るクッション体張設用弾性織物の第4の特徴は、上記第1、第2および第3の何れかの特徴に加えて、緯糸の長さ方向Qに20〜70cmの間隔Lをおいて配置され熱融着性糸条の配置箇所30の左右に、経糸の長さ方向Rに一直線状に続く左右合計2条の袋状空洞20・20が、袋織組織によって形成されている点にある。
【0014】
本発明に係るクッション体張設用弾性織物の第5の特徴は、上記第4の特徴に加えて、袋状空洞20の表裏を構成する裏地と表地の中の少なくとも何れか一方の織地の一部において、経糸と緯糸が接結することなく袋状空洞20の内側と外側に分かれて浮き出たポーラス部33が、経糸の長さ方向Rに所要の間隔Pをおいて袋状空洞20に飛び飛びに形成されている点にある。
【0015】
本発明に係るクッション体張設用弾性織物の第6の特徴は、上記第1、第2、第3、第4および第5の何れかの特徴に加えて、弾性糸条が、熱融着性ポリマーを鞘成分とし、弾性ポリマーを芯成分とする芯鞘複合モノフィラメント弾性糸条である点にある。
【発明の効果】
【0016】
熱融着性ポリマーを鞘成分とし、弾性ポリマーを芯成分とする芯鞘複合モノフィラメント弾性糸条を経糸と緯糸の双方に用いて熱融着した弾性織物では、経糸と緯糸との融着状態は点接着となる。そのような融着状態(点接着)は、経糸と緯糸の間での目ズレ防止には有効であっても、枠材から強い応力が作用するクッション面の端縁18での解れ止めには有効に作用しない。又、熱融着性芯鞘複合モノフィラメント弾性糸条を緯糸とし、多数の繊維の集合体として構成されていて柔軟可撓な非熱融着性マルチフィラメント糸条や非熱融着性紡績糸条を経糸とする弾性織物では、可撓性で断面が変形自在な経糸が弓形に彎曲して緯糸の周面に密着し、経糸と緯糸との融着状態は面接着となる。
しかし、熱融着性芯鞘複合モノフィラメント弾性糸条は、単に、多数の繊維の集合体であるマルチフィラメント糸条や紡績糸条の周面に露出している極一部の繊維に融着しているだけであり、マルチフィラメント糸条や紡績糸条の内部に介在する余りにも多くの繊維とは未融着状態になっており、又、その内部に介在する全ての繊維と繊維の間は滑動自在なフリーの状態になっているので、砂上の樓郭の如く緯糸(熱融着性芯鞘複合モノフィラメント弾性糸条)と経糸(マルチフィラメントまたは紡績糸条)の間がズレ動き、その間の融着状態は、経糸と緯糸の間での目ズレ防止には有効であっても、クッション面の端縁18での解れ止めには有効に作用しない。
【0017】
この点、本発明では、単糸繊度が300dtexを超える太いモノフィラメント弾性糸条(緯糸34)に交叉する熱融着性糸条(経糸)が、単糸繊度が弾性糸条(緯糸34)よりも細い100dtex以下の繊維によって構成され、断面形状が変形自在な多数の繊維の集合体(多繊糸条・マルチフィラメント・紡績糸)であるため、接結点における経糸と緯糸との融着状態が面接着になると共に、その融着状態においては、経糸(熱融着性糸条)の融着成分によって、その構成する全ての繊維間が接着され、その内部に介在する繊維と繊維がズレ動くことなく、その内部の構造からして、繊維の集合体(多繊糸条・マルチフィラメント・紡績糸)が熱融着性モノフィラメント糸条と同様のものとなり、接結点において経糸と緯糸が融合一体化し、その融着状態は、クッション面の端縁での解れ止めに有効に作用し、経糸と緯糸の間で剥離することはない。
【0018】
熱融着性糸条(経糸)に熱融着性扁平糸条を使用したものでは、それが弾性糸条(緯糸34)よりも薄くて可撓な厚み100μm以下のフィルムやシートであり、又、それが元々弾性糸条(緯糸34)に融着した上記熱融着性多繊糸条(マルチフィラメント・紡績糸条)と同様に、内部に介在する素材と素材が接合されて一体化しているので、クッション面の端縁18での解れ止めに有効に作用する。
【0019】
緯糸(弾性糸条)は、経糸(多繊糸条・マルチフィラメント・紡績糸)が可撓性に富み、接結点において緯糸の断面形状に応じて曲折変形するので、接結点において曲折することなく真っ直ぐに連続した直線形状を保持する。このため、本発明によると、クッション面12に作用する押圧荷重に対する反力が、弾性糸条の曲折した弾性形状によらず、弾性糸条固有の弾性に起因して生じ、クッション面12に押圧荷重が作用する初期の沈みが少なく、クッション面の窪みに落ち込んだかの如き不快感を与えることがない。
かくして、本発明によると、クッション面の端縁で弾性織物36が解れることなく、耐久性に富み、程よい感触を与えるクッション体11が得られる。
【0020】
熱融着性糸条(経糸)が弾性糸条(緯糸)に融着して帯状に続く融着帯30に仕切られている弾性織物は、その融着帯30に沿って裁断して使用される。その融着帯30に、非熱融着性糸条が熱融着性糸条(経糸)と交互に配置されていると、隣合う熱融着性糸条同士が融着して融着帯30がフイルム状になることなく、その融着帯30の可撓性が保たれ、裁断時に融着帯30が亀裂することはない。裁断後、その融着帯30がクッション面の端縁18を構成することになるが、その端縁18は、熱融着性糸条(経糸)が弾性糸条(緯糸)に融着して形状安定がよく、弾性織物36がクッション体11のフレーム19や枠材13に取り付け易くなり、その取付過程で端縁18が亀裂することがない。
【0021】
単糸繊度100dtex以下の多数の繊維によって構成されて可撓な非弾性糸条を、緯糸として弾性糸条(緯糸)に交互して織り込まれた弾性織物では、弾性糸条(緯糸)が一直線状になっていても、その可撓な非弾性糸条(緯糸)が経糸との接結点において曲折した形状になるので、経糸と緯糸の間に目ズレが生ぜず、弾性織物36のクッション面12での織組織構造が安定になり、端縁18においては非弾性糸条(緯糸)が熱融着性糸条(経糸)に良く馴染んで絡合し融着するので、端縁18での弾性織物36の解れが効果的に回避される。そして、単糸繊度100dtex以下の多数の繊維に成る非弾性糸条(緯糸)は、概して伸度が5%前後になる範囲では伸縮自在である一方、300dtex以上の太い弾性糸条(緯糸)が弾性伸縮するとしても、弾性織物36のクッション面12が5%前後を超えて大きく伸縮することはなく、従って、非弾性糸条(緯糸)が、弾性織物36を構成している弾性糸条(緯糸)の弾性特性を阻害することにはならない。
【0022】
本発明では、緯糸の長さ方向Qに20〜70cmの間隔Lをおいて配置され熱融着性糸条の配置箇所30の左右に、経糸の長さ方向Rに一直線状に続く左右合計2条の袋状空洞20・20を、袋織組織によって織成したので、端縁18を折り返して袋状空洞20を縫製する手間が省かれる。又、本発明では、袋状空洞20の内部に続くポーラス部33を経糸の長さ方向Rに飛び飛びに設けたので、そのポーラス部33に浮き出た経糸や緯糸を掻き分けて、袋状空洞20に差し込んだ枠材13を露出させ、それに接合部材21を接合することが出来、その結果、枠材13に接合部材21を連結するために接合部材差込孔や接合部材差込隙間を袋状空洞20に設ける手間も省ける。
【0023】
熱融着性ポリマーを鞘成分とし、弾性ポリマーを芯成分とする熱融着性芯鞘複合モノフィラメント弾性糸条を緯糸に使用したものでは、端縁18(融着帯30)における経糸と緯糸との接着強度が高まり、端縁18での弾性織物36の解れが一層効果的に防止される。かくして本発明によると、クッション面の寸法の数倍もの広幅織機によって広幅の弾性織物を織成し、融着帯においてクッション面の寸法に応じた小幅の弾性織物36に裁断し、そのままクッション体のフレーム19に張設することが出来、クッション体用弾性織物を効率的に得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
弾性糸条には、破断伸度が60%以上であり、15%伸長後の弾性回復率が90%以上の非扁平断面形状モノフィラメイト弾性糸条、例えば、ポリエーテル系エステルを芯成分ポリマーとし、その芯成分ポリマーよりも低融点の熱融着性ポリマーを鞘成分ポリマーとする熱融着性芯鞘複合ポリエーテル系エステル弾性糸条(500dtex−1f、東洋紡績株式会社製品名:ダイヤフローラ)を使用するとよい。弾性糸条の織込密度(緯糸密度)は、弾性糸条(緯糸)の長さ方向Qにおける弾性織物の10%伸長時の応力F(単位:N/5cm)が150≦F≦600になるように設定するとよい。
【0025】
融着帯30に使用する熱融着性糸条(経糸)が、接結点において弾性糸条(緯糸)に交叉して弓形に変形し易くなると共に、接結点において弾性糸条(緯糸)に接して扁平に広がり、弾性糸条(緯糸)との接触面積が広がるようにするために、熱融着性糸条(経糸)を構成する繊維の単糸繊度を好ましくは30dtex以下、より好ましくは10dtex以下とし、又、その熱融着性糸条(経糸)を、繊維間がフリーで収束されていない無撚りのマルチフイラメント糸とすることが推奨される。
その融着帯30に使用する熱融着性糸条(経糸)は、熱融着性繊維と非熱融着性繊維との混紡糸や混繊糸であってもよい。熱融着性繊維には、熱融着性ポリマーを鞘成分とする芯鞘複合繊維を用いるとよい。融着帯30(端縁18)において、熱融着性糸条と非熱融着性糸条は、1本おきに、或いは、2〜3本おきに交互してもよい。
【0026】
端縁18(融着部30)に使用する熱融着性扁平糸条は、厚みが100μm以下であり、その断面の扁平率(断面の幅÷断面の厚み)が4以上となるのであれば、熱融着性フイルムをテープ状に裁断して成るもの、非熱融着性フイルムや不織布、紙等の非熱融着性シートの表面に熱融着性繊維ウエブや熱融着性樹脂を積層した熱融着性シートをテープ状に裁断して成るもののほか、スプリットヤーンのように縦長の切れ目のあるものであってもよい。広幅の弾性織物を小幅の弾性織物36に裁断出来るのであれば、融着帯30の幅Mは10〜20mmでもよい。
又、その非熱融着性シートの厚みが100μm以下であれば、裁断されてテープ状を成す熱融着性扁平糸条を、その扁平な断面の幅方向に折り畳まれて、S字形断面やC字形断面、或いは、Z字形断面やΣ字形断面形状を成すものとすることが出来る。
【0027】
融着帯30と融着帯30の間の間隔Lは、即ち、熱融着性糸条(経糸)が、緯糸の長さ方向Qに配置される間隔Lは、概して20〜70cmとするが、具体的には、クッション面12の寸法に応じて設定される。クッション面12を構成することになる弾性織物36の広い部分には、必ずしも熱融着性糸条を使用する必要はない。
【0028】
袋状空洞20の寸法N(幅)は、そこに差し込む枠材13の太さに応じて設定される。ポーラス部の間隔Pは、枠材13をフレーム19に連結するために必要とされる接合部材21の数に応じて設定される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るクッション体張設用弾性織物の斜視図であり、一部を円で囲んで拡大して図示している。
【図2】従来技術に係る弾性織物の斜視図であり、一部を円で囲んで拡大して図示している。
【符号の説明】
【0030】
11:クッション体
12:クッション面
13:枠材
14:弾性糸条(緯糸)
15:経糸
16:弾性織物(弾性シート)
17:弾性糸条(緯糸)の端末
18:端縁
19:フレーム
20:袋状空洞
21:接合部材
30:融着帯(熱融着性糸条配置箇所)
33:ポーラス部
36:弾性織物
L:熱融着性糸条の配置間隔
M:融着帯の幅
N:袋状空洞の寸法
P:ポーラス部の間隔
Q:弾性糸条(緯糸)の長さ方向
R:経糸の長さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 繊度300dtex以上の非扁平断面形状モノフィラメイト弾性糸条を緯糸に用いて織成された弾性織物において、
(b) 熱融着性糸条が、経糸として、緯糸の長さ方向(Q)に20〜70cmの間隔(L)をおいて配置されており、
(c) その熱融着性糸条(経糸)が、繊度100dtex以下の繊維によって構成された熱融着性マルチフィラメント糸、又は、紡績糸、若しくは、厚みが100μm以下の熱融着性シートをテープ状に裁断して構成された熱融着性扁平糸条であり、
(d) その熱融着性糸条(経糸)の熱融着性成分が、弾性糸条(緯糸)に融着しており、
(e) その熱融着性糸条(経糸)の繊維と繊維が、その熱融着性糸条(経糸)の熱融着性成分を介して融着しているクッション体張設用弾性織物。
【請求項2】
(f) 緯糸の長さ方向(Q)に20〜70cmの間隔(L)をおいて配置され熱融着性糸条の配置箇所(30)において、非熱融着性糸条が、熱融着性糸条に交互して配列されており、
(g) その熱融着性糸条の配置箇所(30)が、経糸の長さ方向(R)に帯状に続く融着帯を形成しており、
(h) その融着帯によって、弾性織物が、緯糸の長さ方向(Q)において仕切られている前掲請求項1に記載のクッション体張設用弾性織物。
【請求項3】
(i) 非弾性糸条が、緯糸として、弾性糸条に交互して織り込まれており、
(j) その非弾性糸条が、単糸繊度100dtex以下の多数の繊維によって構成されている前掲請求項1と請求項2の何れかに記載のクッション体張設用弾性織物。
【請求項4】
緯糸の長さ方向(Q)に20〜70cmの間隔Lをおいて配置され熱融着性糸条の配置箇所(30)の左右に、経糸の長さ方向(R)に一直線状に続く左右合計2条の袋状空洞(20・20)が、袋織組織によって形成されている前掲請求項1と請求項2と請求項3の何れかに記載のクッション体張設用弾性織物。
【請求項5】
袋状空洞(20)の表裏を構成する裏地と表地の中の少なくとも何れか一方の織地の一部において、経糸と緯糸が接結することなく袋状空洞(20)の内側と外側に分かれて浮き出たポーラス部(33)が、経糸の長さ方向(R)に所要の間隔(P)をおいて袋状空洞(20)に飛び飛びに形成されている前掲請求項4に記載のクッション体張設用弾性織物。
【請求項6】
弾性糸条が、熱融着性ポリマーを鞘成分とし、弾性ポリマーを芯成分とする芯鞘複合モノフィラメント弾性糸条である前掲請求項1と請求項2と請求項3と請求項4と請求項5の何れかに記載のクッション体張設用弾性織物。

【図1】
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【図2】
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