説明

クッション体金型に使用するための雄形面ファスナー部材とその製造方法

【課題】発泡樹脂成形体の表面へ成形される雄形面ファスナーにおいて、テープ状に連続的に成形でき、平坦面上で長さ方向に簡単に湾曲可能で、発泡樹脂材料の係合部への侵入を簡単に防ぐことの出来る雄形面ファスナーの提供。
【解決手段】発泡樹脂成形体の表面へ成形されるように構成された雄形面ファスナー部材10は、少なくともその端部に一体的に形成された接続部を介して端部同士をつき合わせた関係で相互に接続された複数の雄形面ファスナーストリップ1を含む。各雄形面ファスナーストリップは、複数の係合要素3が上向きに延出する第1表面2aを有する基材2と、第1および第2縦方向樹脂侵入阻止壁5の間において基材の幅方向に第1表面から上向きに延出する第1および第2略横方向樹脂侵入阻止壁とを含む。横方向樹脂侵入阻止壁の各々は、第1表面の幅方向において直列に配設された複数の係合要素を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄形面ファスナー部材とクッション体を形成するための製造方法に関し、より詳細には発泡樹脂成形体の成形と同時に発泡樹脂成形体の表面に一体化されるように構成された雄形面ファスナー部材と、一体的に成形された雄形面ファスナー部材を少なくとも一つ有するクッション体を形成するための製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、列車、様々なソファ、事務用チェアーなどのシートにはクッション体が設けられ、クッション体の上には表皮材料が配置されている。このクッション体は、剛性の繊維(椰子繊維、麻繊維、太い合成繊維など)を交絡させてゴムなどによりこれを確実に固定することによって作られるいわゆる「ロックウール」から製造されている。あるいはこのクッション体は、様々なタイプの発泡樹脂材料から成形される。
【0003】
一般的にクッション体は、人間工学的に満足できる凹凸形状を持つ湾曲面を有する。例えば、クッション体の形状により、乗客が長時間着座している場合でも乗客は比較的快適な着座姿勢を維持できる。
【0004】
ロックウールを用いて大量生産体制でクッション体を効率的に製造するのは困難である。一方、(単一の製造工程によるものなど)発泡樹脂製のクッション体の製造は簡単で、これらのクッション体が様々な形状を持つようにするのも容易である。例えば、所望の形状を画定する金型に発泡樹脂材料(ウレタンフォーム樹脂など)が注入され、発泡と同時に発泡樹脂材料が所望の形状に成形されるという方法で、発泡樹脂製のクッション体を得ることができる。
【0005】
クッション体が成形された時には、表皮材料(様々な繊維布帛、天然または人工皮革など)がクッション体の表面に一体的に結合される。この一体的な取り付けを実施するため、発泡樹脂材料が表皮材料に注入されて、成形と同時に表皮材料の内面にクッション体を一体化する。あるいは、クッション体が成形された後で、表皮材料がクッション体の外面に被されて確実に固定されてもよい。
【0006】
表皮材料の中に発泡樹脂材料を一体的に成形するため、金型の内面に沿って表皮材料が用意され、吸引手段を用いることで表皮材料が金型の内面に沿って吸着される。しかし、上述した湾曲面を持つクッション体の表面に合わせて表皮材料を変形させるには、表皮材料が優れた弾性を持つ材料であることが必要である。しかし、材料に応じて弾性が制限されるため、一般的にはこのプロセスの結果、特にシート面と周縁面との間に非常に多数のしわが生じる。
【0007】
またこの一体成形プロセスでは、クッション体と表皮材料とがクッション体の全面で一体化される。ゆえに、例えばクッション体に対して表皮材料がずれる結果となる方向に強い力が与えられる時には、表皮材料とクッション体との間に剪断力が働く。多くの場合、この剪断力はクッション体を部分的に裂断させるとともに表皮材料を剥離させる。また、しわの発生を減少させることのできる、表皮材料としての使用が可能な材料は限定される。さらに、表皮材料とクッション体との間には少量の動きが予測されるため、この少量の動きを許容する材料が好ましい。クッション体の成形と同時に表皮材料を一体的に成形する際のこのような制限および短所を考慮すると、多くの場合、予め成形されたクッション体に表皮材料を取り付ける方法が採用されている。
【0008】
発泡樹脂材料製のこのようなクッション体に表皮材料を被せるという一般的な方法によれば、クッション体の表面の特定領域に雄形面ファスナー部分が一体的かつ確実に固定される。雄形面ファスナー部材は幅の狭い平板状の基材を有し、基材の一面から多数のフック形係合要素が延出する。雄形面ファスナー部材は、フック形係合要素が露出する(つまりクッション体の表面と反対向きになる)ように、クッション体の表面に一体的に固定される。表皮材料は、その内面の所定部分に形成された雌形ファスナー部材としてのループ材料を含む。したがって、表皮材料がクッション体に被されると、表皮材料の内面のループ材料がクッション体の雄形面ファスナー部材に押圧されて、表皮材料をクッション体に確実に固定する。
【0009】
表皮材料は、パイル編みニット生地、天然皮革、人工皮革など様々な材料で製作され、この材料は、クッション体の外観を持つ袋状の形に予め形成される。表皮材料がクッション体に被され、表皮材料の内面に配設された雌形係合要素がクッション体の外面に固定された係合要素に押圧される。表皮材料はクッション体の凹面に結合されてこれに確実に固定され、クッション体からの表皮材料の浮き上がりが阻止される。
【0010】
雄形面ファスナー部材をクッション体に一体的かつ確実に固定するため、雄形面ファスナー部材の面に形成された係合要素は、クッション体の凹面を成形するための金型の突出面の形にしたがって該突出面に面するように配置される。クッション体を発泡および成形するように発泡樹脂材料が金型の内側に注入され、同時に、雄形面ファスナー部材の係合要素がクッション体の外側に露出した状態で、雄形面ファスナー部材がクッション体の面に部分的に埋設される。クッション体を発泡および成形する時には、係合要素が形成された区域へ発泡樹脂材料が注入されるのを阻止することが望ましい。
【0011】
クッション体の成形中に、面ファスナーの係合要素が形成された区域へ発泡樹脂材料300が侵入するのを阻止するため、面ファスナー110の縦縁部に沿って係合要素103を包囲するように、図21および22に示された中実壁104,105が面ファスナー110の基材102の周縁部に沿って一体的に形成されている。図21に示された中実横壁104は、面ファスナーの幅方向に長形であって、隣接する面ファスナーの区分またはグループの間に配置される。中実横壁104は、発泡樹脂300がファスナー要素の間へ縦方向に侵入するのを阻止する。発泡樹脂300が係合要素区域へ侵入するのを阻止するため、壁104,105の高さは、壁104,105により包囲される係合要素の高さよりも若干高い。このようなタイプの中実壁を有する面ファスナーの例は、特許文献1および2に開示されている。
【0012】
特許文献1には、金型150の底面の凸面部分の所定領域に係合要素を確実に載置固定する方法が記載されている。特許文献1では、面ファスナーが載置される部分に隣接する金型150の領域に、永久磁石108(図22に示されている)が埋設され、面ファスナーの基材には磁性材料109が形成されるか装着されている。こうして、磁石108を有する金型150の領域の近くに面ファスナーが配置されると、磁石108が面ファスナーの磁性材料109を磁石108に誘引する。
【0013】
磁性材料109と永久磁石108とは湾曲した形状でも真っ直ぐな形状でもよい。例えば、フェライト磁石および磁性粉末が混合された合成樹脂などの可撓性材料で永久磁石108が形成されて、磁性体109は薄いテープ材料と鋼製の線材とで形成されてもよい。また、磁性体109は、面ファスナーの成形と同時に基材に一体的に埋設されてもよい。
【0014】
上述したように、面ファスナーの中実縦壁105は特許文献1および特許文献2に記載され、係合要素103が形成される基材の面において基材の二つの縦縁部に沿って縦壁105を幅方向に形成することが、これらの特許に記載されている。係合要素はグループに分割されて係合要素の区域を画定し、これらの係合要素のグループの間に横壁104が配置される。こうして、それぞれ中実横壁および縦壁104,105のため、発泡樹脂材料が縦および横方向から侵入することが阻止される。
【0015】
近年、上記のように、一方向に回転駆動されるダイホイールの周面に溶融樹脂を射出成形または押出成形することにより、係合要素および中実壁を基材の表面に連続的および同時に一体成形することは一般的である。周面は、係合要素および中実壁を成形するための多くのキャビティを有する。しかし、成形面ファスナーが長尺である場合には、中実横壁の成形間隔は、中実壁の間に配設される係合要素の列の数とダイホイールの外径とによって決定される。こうして、所定間隔の繰り返しになることは避けられない。
【0016】
他方、人間工学の観点から最適な姿勢と見なされる着座姿勢を得るため、例えば自動車のシートの表面には、適度な湾曲面により設けられる凹凸面が形成される。凹凸面の形状、特にその長さは、一定でなく変化する。また、シートの表面形状の安定性と着座姿勢の安定性とを得るため、シートの臀部、背面部、肩部の周辺を包囲するように、複数の線状凹部が形成される。また、線状凹部に沿ってクッション体と表皮材料とが結合されて一体化される。凹凸面と線状凹部とを有するシートクッション体のシートの凹面部に沿って、雄形面ファスナー部材がシートクッション体と一体化される。表皮材料をクッション体に被せる際には、表皮材料の内面の雌形面ファスナー区域を面ファスナーに形成された雄形係合要素と係合させるため、圧力が印加される。
【0017】
したがって雄形面ファスナー要素はクッション体の凹面部の長さに対応する長さを持つ必要があり、様々なサイズのクッション体の線状凹部は長さが異なっていてもよい。ゆえに、クッション体の凹状部または線状凹部の長さに応じて必要な長さに、長尺の雄形面ファスナーを切断する必要がある。その結果、長尺の雄形面ファスナーが雄形面ファスナーの係合要素区域内の、中実横壁104の一つと隣接しないところで切断されることがある。これが行われると、切断された係合要素形成区域に発泡樹脂材料が侵入して、結果的にこの露出エリアの係合要素が発泡樹脂材料に埋没し、表皮材料の雌型係合材料と係合するためのこの区域の係合要素の能力が失われるか低下する。
【0018】
すなわち、上述した特許文献1および特許文献2に開示されて、図21に示された従来の面ファスナーでは、中実横壁104の間の間隔は、上記のように、基材102の表面に形成された係合要素103のグループの間の間隔と、ダイホイールの直径とによって制限されている。ゆえに、多様な長さを持つ線状凹部にファスナーを使用できるように中実横壁104の間隔を調節するのは困難である。また、中実横壁104のエリアの基材102には係合要素103が形成されないため、また壁104のあまりに近くに係合要素が形成されると対応の雌形係合要素との効果的な係合が不可能であるため、中実横壁104の厚さと、中実横壁104とこの壁104の隣りに形成される係合要素103の列との間の適切な量の間隔とによって、面ファスナー110の有効係合表面積が減少する。ゆえに、中実横壁104がさらに緊密に配置されたとすると、ファスナー部材110の係合力は減少するだろう。
【0019】
また、多くの場合、クッション体を形成するための金型の表面の線状凹部は、金型の平坦面上で、クッション体の表面と概ね平行な方向に湾曲している。先行技術による雄形面ファスナー部材は真っ直ぐであり、線状凹部をなぞるように基材の表面に垂直な方向に湾曲させるのは容易である。しかし、金型の表面の凹部が幅方向に湾曲している場合には、先行技術の雄形面ファスナー部材を湾曲凹部に嵌着するように基材の幅方向に曲げるのは不可能である。
【0020】
そのため、例えば特許文献3によれば、長さ方向に可撓性を持つヒンジ部品を介して、短尺の面ファスナーストリップが相互に接続され、上述した湾曲線状凹部に使用するため面ファスナーストリップが水平方向に相対的に屈曲するように、面ファスナーストリップは相互に隣接している。さらに、特許文献3に記載された雄形面ファスナー部材では、面ファスナーストリップの係合要素形成区域の面の周縁に形成されたガスケットにより、または面ファスナーストリップの係合要素形成区域を被覆するようにカバーを設けることにより、発泡樹脂が係合要素形成区域へ侵入することが阻止される。
【0021】
特許文献3に開示された成形面ファスナー部材は、周面に様々なキャビティが画定された回転ダイホイールを用いることにより製造される。キャビティは、係合要素、ガスケット、そしてヒンジの形状を画定する。回転ダイホイールの周面に溶融樹脂が押出成形されるか、連続的に射出成形される。これら多数のキャビティは、回転ダイホイールの周方向およびその軸方向に所定の間隔で配設されるが、これは比較的複雑なプロセスであって、結果的に製造コストの上昇を伴う。
【0022】
また、一部の先行技術の面ファスナーでは、係合要素の間のエリアへの発泡樹脂の侵入を阻止するため、面ファスナーの係合要素にカバーが設けられる。このタイプの面ファスナーは、クッション体が形成された後で係合要素を露出するため作業者がカバーを取り除かなければならないという余分な工程を必要とし、製造プロセスの効率を低下させるとともに、敷設コストの上昇、敷設スペースや廃棄物の増加につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第5,061,540号明細書
【特許文献2】米国特許第5,766,723号明細書
【特許文献3】米国特許第6,656,563号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の様々な実施形態は、これらの様々な問題を解決する。すなわち、様々な実施形態では、略テープ形状に連続的に成形することができ、平板状の基材の平坦面において長さ方向に容易に湾曲させることができ、基材の幅方向および縦方向から係合要素形成区域への発泡樹脂材料の侵入を効果的に阻止することができ、雌形面ファスナー部材に対して最大の結合力を達成できる、普通の成形面ファスナーを含む雄形面ファスナーが提供される。
【0025】
発明の様々な実施形態は、発泡樹脂成形体の成形と同時に発泡樹脂成形体の表面に一体化されるように構成された雄形面ファスナー部材に関する。雄形面ファスナー部材は、(1)隣接する端部がその縦軸に沿って相互に対向するように、相互に接続された複数の雄形面ファスナーストリップであって、その各々が平板状基材と、基材の第1面に一体的に形成されてこれから上向きに延出する複数の係合要素とを有する複数の雄形面ファスナーストリップと、(2)雄形面ファスナーストリップの幅よりも狭い幅を有する接続部であって、少なくとも二つの雄形面ファスナーストリップの少なくとも端部と一体的に形成される接続部とを有する。ストリップの基材は第1材料で形成されて接続部は第2材料で形成され、第1材料は第2材料と異なる。様々な実施形態では、雄形面ファスナーストリップの端部は、接続部を中心として少なくとも平板状の基材の幅方向に相対回転が可能である。
【0026】
ある実施形態では、各雄形面ファスナーストリップはさらに、(1)第1表面の縦方向側縁部に隣接して配設された第1および第2の縦方向樹脂侵入阻止壁と、(2)第1および第2縦方向樹脂侵入阻止壁の間において基材の幅方向に沿って基材の第1表面から上向きに延出する第1および第2略横方向樹脂侵入阻止壁とを有する。また、横方向樹脂侵入阻止壁の各々は、第1表面の幅方向において直列に配設された複数の係合要素を有し、横方向樹脂侵入阻止壁は、基材の第1表面に沿って縦方向に離間している。
【0027】
別の実施形態では、縦方向樹脂侵入阻止壁の各々は、横方向に相互に隣接して配置された少なくとも2列の分割壁部を有する。各分割壁部の各々は複数の壁部を有し、複数の壁部の各々は、縦方向においてその間に間隙を画定する。少なくとも1列の分割壁部の複数の壁部の間の間隙には、発泡樹脂成形体が少なくとも部分的に浸透している。また、少なくとも2列の分割壁部の複数の壁部の間の間隙は、横方向に隣接する分割壁部間において千鳥状に配置されている。
【0028】
特定の実施形態では、各係合要素は、(1)第1表面から立ち上がる立上り部と、立上り部の上端から成形方向に延出する係合頭部とを有する少なくとも一つの要素本体と、(2)基材の幅方向において要素本体に隣接して一体的に成形された柱状部とを有する。柱状部は、基材の第1表面から測定して係合頭部の頂点の高さと概ね等しい高さを有する。また、基材の幅方向において各係合要素の側面が隣接する係合要素の側面と近接状態で離間するように、係合要素は少なくとも部分的に整列されている。
【0029】
様々な実施形態では、接続部は可撓性を有する連続線状体の一部であり、線状体は平板状の基材の幅方向において概ね中心部分に配置され、基材に一体的に埋設され、基材の縦方向に延在する。特定の一実施形態では、線状体は、複数の雄形面ファスナーストリップを縦方向に接続するのに充分な長さを有する。さらに一実施形態では、線状体はモノフィラメントであり、別の実施形態では線状体はフィルムである。
【0030】
様々な実施形態によれば、発泡樹脂成形体の成形と同時に発泡樹脂成形体の表面に一体化されるように構成された雄形面ファスナー部材は、(1)隣接する端部がその縦軸に沿って相互に対向するように、相互に接続された複数の雄形面ファスナーストリップであって、その各々が平板状基材と、基材の第1表面に一体的に成形されてこれから上向きに延出する複数の係合要素とを有する複数の雄形面ファスナーと、(2)雄形面ファスナーストリップの幅より短い幅を持つ接続部とを有する。接続部は、少なくとも二つの雄形面ファスナーストリップの少なくとも端部を繋ぎ、複数の雄形面ファスナーストリップの各々は、第1および第2の略横方向樹脂侵入阻止壁を有し、第1および第2の略横方向樹脂侵入阻止壁は、基材の幅方向に沿って第1表面から上向きに延出し、横方向樹脂侵入阻止壁の各々は、第1表面の幅方向に直列に配設された複数の係合要素を有する。
【0031】
発明の他の様々な実施形態では、発泡樹脂成形体の成形と同時に発泡樹脂成形体の表面に一体化されるように構成された雄形面ファスナー部材は、(1)隣接する端部がその縦軸に沿って相互に対向するように相互に接続された複数の雄形面ファスナーストリップであって、その各々が平板状基材と、基材の第1表面に一体的に成形されてこれから上向きに延出する複数の係合要素を有する複数の雄形面ファスナー部材と、(2)雄形面ファスナーストリップの幅より短い幅を有する接続部とを有する。雄形面ファスナー部材の長さにわたって接続部が延在するように、接続部は雄形面ファスナーストリップと一体的に形成される。
【0032】
他の様々な実施形態によれば、一体的に成形された雄形面ファスナー部材を少なくとも一つ有するクッション体を形成するための製造方法が提案され、この製造方法は、(1)略テープ形状に形成された連続雄形面ファスナーを成形する工程と、(2)連続雄形面ファスナーから雄形面ファスナー部材を形成する工程であって、雄形面ファスナー部材が、連続雄形面ファスナーから所定の間隔で切断された複数の雄形面ファスナーストリップを有し、複数の雄形面ファスナーストリップが、隣接する雄形面ファスナーストリップの端部がストリップの縦軸に沿って対向するように、一体的に形成された接続部を介して相互に接続され、雄形面ファスナーストリップの各々が、平板状の基材と、基材の第1表面と一体的に形成されてこれから上向きに延出する複数の係合要素とを有する工程と、(3)雄形面ファスナー部材の第1表面が金型の内面と対向してこれと接触するように配置されて、クッション体を形成するための金型に雄形面ファスナー部材を配設する工程と、(4)クッション体を形成するための金型へ発泡樹脂を流入させる工程と、(5)クッション体を形成するための金型から発泡樹脂を取り出す工程とを有する。接続部は、雄形面ファスナーストリップの幅より短い幅を有し、基材は第1材料で形成されて接続部は第2材料で形成され、第1材料は第2材料と異なる。
【0033】
また、他の様々な実施形態によれば、一体的に成形された雄形面ファスナー部材を少なくとも一つ有するクッション体を形成するための他の製造方法が提案され、この製造方法は、(1)略テープ形状に形成された連続雄形面ファスナーを成形する工程と、(2)連続雄形面ファスナーから雄形面ファスナー部材を形成する工程であって、雄形面ファスナー部材が、連続雄形面ファスナーから切断された複数の雄形面ファスナーストリップを有し、雄形面ファスナーストリップが、隣接する雄形面ファスナーストリップの端部がストリップの縦軸に沿って相互に対向するように、雄形面ファスナーストリップの幅より短い幅を有する接続部によって相互に接続され、雄形面ファスナーストリップの各々が、平板状基材と、基材の第1表面に一体的に形成されて基材の第1表面から上向きに延出する複数の係合要素とを有する工程と、(3)雄形面ファスナー部材の第1表面が金型の内面と対向および接触するように配置されて、クッション体を形成するための金型に雄形ファスナー部材を配設する工程と、(4)クッション体を形成するための金型へ発泡樹脂を流入させる工程と、(5)クッション体を形成するための金型から発泡樹脂を除去する工程と、を有する。また、接続部は、隣接する雄形面ファスナーストリップの端部間を接続し、該端部に一体的に設けられた熱可塑性樹脂製のモノフィラメントである。
【0034】
さらに、他の様々な実施形態によれば、一体的に成形された雄形面ファスナー部材を少なくとも一つ有するクッション体を形成するためのさらに他の製造方法が提案され、この製造方法は、(1)略テープ形状に形成された連続雄形面ファスナーを成形する工程と、(2)連続雄形面ファスナーから雄形面ファスナー部材を形成する工程であって、雄形面ファスナー部材が、所定の間隔ごとに連続雄形面ファスナーの中央部分を残しながら、中央部分の幅方向において両側にある切除部分を切断することで複数の雄形面ファスナーストリップを有し、雄形面ファスナーストリップの各々が、平板状基材と、基材の第1表面に一体的に形成されて基材の第1表面から上向きに延出する複数の係合要素とを有する工程と、(3)雄形面ファスナー部材の第1表面が金型の内面と対向および接触するように配置されて、クッション体を形成するための金型に雄形ファスナー部材を配設する工程と、(4)クッション体を形成するための金型へ発泡樹脂を流入させる工程と、(5)クッション体を形成するための金型から発泡樹脂を除去する工程と、を有する。
【0035】
様々な実施形態では、略テープ形状に形成された連続雄形面ファスナーを成形する工程は、(1)ダイホイールを一方向に回転させる工程であって、周面の周方向に形成された係合要素を成形するための多くのキャビティをダイホイールが有する工程と、(2)ダイホイールの周面へ溶融樹脂材料を押出成形または射出成形する工程と、(3)押出成形または射出成形された溶融樹脂材料を、係合要素を成形するためのキャビティへ圧入して、略テープ形状に形成された連続雄形面ファスナーを成形する工程であって、連続雄形面ファスナーが、連続する平板状の基材と、平板状基材から上向きに延出する係合要素とを有する工程と、(4)雄形面ファスナーがダイホイールに搬送されている間に雄形面ファスナーを取り外す工程とを有する。
【発明の効果】
【0036】
本発明の様々な実施形態によれば、略テープ形状に連続的に成形することができ、平板状の基材の平坦面において長さ方向に容易に湾曲させることができ、基材の幅方向および縦方向から係合要素形成区域への発泡樹脂材料の侵入を効果的に阻止することができ、雌形面ファスナー部材に対して好適な結合力を達成できる、普通の成形面ファスナーを含む雄形面ファスナーを提供することができる。
【0037】
さらに、本発明の様々な実施形態を典型的な例とともに以下に説明するが、発明の実施形態は以下に説明するこれらの実施形態には限定されない。設計変更など様々な変形例は、発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】発明の一実施形態による雄形面ファスナー部材を部分的に示す平面図である。
【図2】図1のII‐II線における断面図である。
【図3】図1のIII‐III線における断面図である。
【図4】図1のIV‐IV線における断面図である。
【図5A】図2のVA‐VA線から見た、図1に示された雄形面ファスナー部材の分割壁部の側面図である。
【図5B】図2のVB‐VB線から見た、図1に示された雄形面ファスナー部材の分割壁部の側面図である。
【図5C】図3のVC‐VCから見た、図1に示された雄形面ファスナー部材の係合要素の側面図である。
【図5D】図3のVD‐VDから見た、図1に示された雄形面ファスナー部材の係合要素の側面図である。
【図5E】図3のVE‐VEから見た、図1に示された雄形面ファスナー部材の係合要素の側面図である。
【図5F】図3のVF‐VFから見た、図1に示された雄形面ファスナー部材の断面図である。
【図6】一実施形態による雄形面ファスナー部材を形成するための例示的な製造プロセスの概略図である。
【図7】一実施形態による発泡樹脂成形体を成形するための金型に載置固定された雄形面ファスナー部材を示す断面図である。
【図8】一実施形態による発泡樹脂成形体の一例である、クッション体の部分的表面図である。
【図9】一実施形態により発泡樹脂成形体を成形するための金型の内面を示す部分的斜視図である。
【図10】一実施形態により発泡樹脂成形体に部分的に埋設された雄形面ファスナーを示す部分的平面図である。
【図11】発明の第二実施形態による雄形面ファスナー部材の平面図である。
【図12】第二実施形態の変形例による雄形面ファスナー部材の平面図である。
【図13】発明の第三実施形態による雄形面ファスナー部材を部分的に示す平面図である。
【図14】図13に示された雄形面ファスナー部材および接続部の部分的分解図である。
【図15】図13に示された雄形面ファスナーストリップおよび接続部のXV‐XV線における部分的縦断面図である。
【図16】図13に示された雄形面ファスナーストリップおよび接続部のXVI‐XVI線における部分的横断面図である。
【図17】発明の第四実施形態による雄形面ファスナー部材および接続部の部分的斜視図である。
【図18】別の実施形態による雄形面ファスナー部材の部分的平面図である。
【図19】図18に示された接続部材を示す斜視図である。
【図20】発明の第五実施形態による雄形面ファスナー部材の模式図である。
【図21】先行技術による面ファスナーの部分的斜視図である。
【図22】発泡および成形プロセス中の先行技術による面ファスナーの部分的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して、発明の様々な実施例を詳しく説明する。
【0040】
図1乃至4は、発明の第一実施例を示す。図1は、雄形面ファスナーの一部に切欠きを設けた、第一実形態による雄形面ファスナーの一部を示す部分的平面図である。図2は、図1のII‐II線における断面図である。図3は、図1のIII‐III線における断面図である。図4は、図1のIV‐IV線における断面図である。また図5Aは、雄形面ファスナーの第1樹脂侵入阻止壁の一部である第1および第3壁部の部分的側面図である。図5Bは、第2壁部の部分的断面図である。図5Cは、係合要素の構成部品の一部である柱状部の側面図である。図5Dは、係合要素の柱状部と本体との間に密接状態で配置されたスペース部の側面図である。図5Eは、係合要素の本体の側面図である。図5Fは、図3のVF‐VF線における断面図である。
【0041】
<雄形面ファスナー部材>
図1乃至5Fに示されたように、この実施形態による雄形面ファスナー部材10は、接続部4を介して複数の雄形面ファスナーストリップ1の端部を縦方向に接続することによって構成される。雄形面ファスナーストリップ1は、多くの係合要素3が形成される係合要素区域を有する。係合要素3は、平板状の基材2の幅方向および縦方向の列として、基材2の第1表面2aから上向きに延出し、基材2の左右側の(縦方向)縁部から係合要素3の区域へ発泡樹脂が侵入するのを阻止するための縦方向樹脂侵入阻止壁5が配設される。第1縦方向樹脂侵入阻止壁5は、第1縦方向縁部に隣接して第1表面2aから上向きに延出し、第2縦方向樹脂侵入阻止壁5は、第1表面2aの第2縦方向縁部に隣接して第1表面2aから上向きに延出する。
【0042】
図1の実施形態によれば、各係合要素3は、要素本体3aと柱状部3bとを有する。要素本体3aは、図5Eに示された、立上り部3a−2と、立上り部3a−2の上端部から横方向に伸長する係合頭部3a−1とを有する。図5Cに示されたように、柱状部3bは要素本体3aと概ね同じ高さを有し、要素本体3aと一体化されて要素本体3aの側面と密着するように配置される。すなわち、図2および5Dに示されているように、スペース部分3cは高さが低くて厚さが薄く、スペース部分3cは、隣接する各柱状部3bと要素本体3aとの間に密接状態で配設されているのである。
【0043】
図1〜5Fに示された実施形態によれば、接続部4は、線状体8を含み、長尺の可撓性合成樹脂材料で製作されたモノフィラメントであり、これについては後でさらに詳細に説明する。線状体8は、基材2と一体的に形成されたブロック形状の突出部2dを貫通するように、縦方向に一体的に埋設されている。ブロック形状の突出部2dは、基材2の第1表面2aから上向きに、そして平板状の基材2の幅方向において中央部分に隣接して縦方向に延出する。接続部4は、雄形面ファスナーストリップ1の縦軸に沿って端部同士をつき合わせた関係で配設された複数の雄形面ファスナーストリップ1を接続するのに充分な長さを有する。図1に示された実施形態では、それぞれの雄形面ファスナーストリップ1の端部の間に接続部4が露出している。
【0044】
しかし、接続部4は、上述したように合成樹脂製の長尺モノフィラメントに限定されるわけではない。後述するように、接続部4は、隣接する二つの雄形面ファスナーストリップ1の端部を接続するのに充分な長さを有する合成樹脂製の短尺モノフィラメントであってもよく、または接続部4は、ストリップ1よりも幅が狭くて隣接の雄形面ファスナーストリップ1と一体的に形成される、雄形面ファスナーストリップ1と同じ材料および形態で製作されたストリップでもよい。あるいは、接続部4は、隣接の雄形面ファスナーストリップ1の端部を相互に接続するための金属または合成樹脂製の小型板状ストリップであってもよい。他の代替実施形態では、合成樹脂製のモノフィラメントの代わりに、磁性材料(鉄粉末、ニッケル粉末、コバルト粉末、磁石粉末など)を含む合成樹脂製のモノフィラメントと、磁性を持つ金属線材(Fe,Ni,Coなど)を使用できる。金属線材は、単一の金属線材または金属線材の組合せを含む。
【0045】
各縦方向樹脂侵入阻止壁5は、雄形面ファスナーストリップ1の左右の縦方向側縁部に沿って縦方向に延在する複数列の侵入阻止壁5を含む。縦方向樹脂侵入阻止壁5の各々は、縦方向に所定のピッチで分割された複数の分割壁部5aを含む。図1に示された本実施形態によれば、縦方向樹脂侵入阻止壁5は左側および右側の縁部に沿って配設され、各壁5は、幅方向に離間した隣接の三つの列を含む。3列の縦方向樹脂侵入阻止壁5の各々のそれぞれの分割壁部5aは、長さ方向に相互に隣接し、幅方向に隣接する分割壁部5aの列の間の間隙を密封するようにジグザグ状態、即ち千鳥状に配設されている。すなわち、最も外側の列の分割壁部5aは壁部5aの間に間隙を含み、隣接する分割壁部5aの列は、最も外側の列の間隙から縦方向にオフセットした間隙を含むのである。また、基板2から測定した縦方向樹脂侵入阻止壁5の高さは、基板2から測定した係合要素3の頂点の高さと概ね等しい。
【0046】
上記のように、第1樹脂侵入阻止壁5の隣接列の間に形成される縦方向間隙と、隣接の分割壁部5aの間に形成される幅方向間隙とによって、金型(不図示)の内側に射出される発泡樹脂材料の通路が形成される。発泡樹脂材料は、分割壁部5aの間の幅方向間隙を抜けた後で壁5の間の縦方向間隙を通って、雄形面ファスナー部材10の幅方向から係合要素3形成区域へ向かってゆっくりと侵入する。しかし、隣接の列とオフセット関係で配置された多数の列の分割壁部5aが存在するため、最も内側の縦方向樹脂侵入阻止壁5(つまり係合要素形成区域に最も近い壁)を通過する前に発泡樹脂材料が硬化する。したがって、発泡樹脂材料は、係合要素形成区域に達することなく、分割壁部5aを部分的に包囲、結合、確実固定する。言い換えると、発泡樹脂材料が基材2の第2(下)表面2bから基材2の第1表面2aへ、(幅方向に)最も外側の縦方向樹脂侵入阻止壁5の分割壁部5aの間の間隙に浸透すると、基材2の下表面2bと第1(上)表面2aの一部分とが発泡樹脂成形品に埋設されるのである。この、壁5の一部への発泡樹脂材料の浸透によって、雄形面ファスナー部材10は発泡樹脂材料に一層確実に固定されるのである。
【0047】
さらに、平板状基材2と同じ材料で製作された壁とは無関係に、例えば他の代替実施形態では、第1侵入阻止壁5は米国特許第6,939,596号に記載された紐状体によって製作された壁であってもよく、PCT/JP2008/070207およびPCT/JP2008/064154に記載された左右の侵入阻止壁部の上端の付近に沿って基材2の長さ方向に線状磁性体または紐状体を連続させることにより、第1侵入阻止壁5の密閉性を向上させてもよい。
【0048】
係合要素形成区域は、基材2から上向きに延出するとともに基材2の幅方向および縦方向に多くの列を形成するように垂直方向に配設された多数の係合要素3を含む。図1の実施形態によれば、係合要素の横列を画定するように、特定列の係合要素の側面は基材2の幅方向に相互に近接して配設され、横列は基材2の縦方向に相互に離間している。様々な実施形態によれば、横列は幅方向に延在し、隣接する係合要素3の間の間隙が、発泡樹脂の流れを阻止すべく形成されるように、多数の係合要素3が相互に近接して配置される。例えば様々な実施形態では、柱状部3bの側面と隣接の要素本体3aの側面との間の間隙は約0.01mmから約1.0mmであり、図1に示された特定実施形態では間隙は約0.1mmである。発明の様々な実施形態によれば、近接状態で離間した上記の係合要素3の列は、発泡樹脂材料が雄形面ファスナーストリップ1の縦方向に係合要素形成区域へ侵入するのを阻止する第2樹脂侵入阻止壁6となる。
【0049】
図2乃至4に示されているように、様々な実施形態による第2樹脂侵入阻止壁6は、列状に近接して配設された多数の係合要素3を含む。係合要素3の列は左右の第1樹脂侵入阻止壁5の間において幅方向に延在し、第2樹脂侵入阻止壁6の両端は第1樹脂侵入阻止壁5の最も内側の列に隣接して配設される。一実施形態によれば、この構成により、係合要素3の数と係合要素3の密度とを従来の面ファスナーと比較して上昇させることができる。したがって、雄形面ファスナー部材10と表皮材料の雌型面ファスナーとの間の結合力が、従来の面ファスナーの結合力よりも上昇するのである。さらに、例えば雄形面ファスナー部材10が縦方向において雄形面ファスナー部材10の端縁部の付近で任意の長さに切断される時でも、第2樹脂侵入阻止壁6で構成される係合要素3の横列は、発泡樹脂材料が縦方向に侵入するのを阻止する。そのため、係合要素3区域への発泡樹脂の侵入に抵抗する雄形面ファスナー部材10の能力を大幅に犠牲にすることなく、雄形面ファスナー部材10の長さに沿ったいかなる点でも雄形面ファスナー部材10をいかなる形状にも切断することが可能となる。
【0050】
図1に示された実施形態では、第2樹脂侵入阻止壁6は幅方向において部分的に分割され、分割された間隙は、発泡樹脂の侵入を許容するのに充分なほど広くない間隔で設けられる。しかし他の様々な実施形態では、第2樹脂侵入阻止壁6が分割されることは必ずしも必要ではない。例えば、第2樹脂侵入阻止壁6は、基材2の全表面2aを概ね被覆する連続壁であってもよい。また、様々な代替実施形態では、第2樹脂侵入阻止壁6の製作に使用される材料が基材2の製作に使用される材料と同じである必要はない。例えば、紐またはエラストマなど基材よりも軟質の部材を第2樹脂侵入阻止壁6の上面に沿って配設することにより、第2樹脂侵入阻止壁6の密閉性が向上する。
【0051】
図5Eの実施形態による要素本体3aの係合頭部3a−1は、立上り部3a−2から上向きに延出して湾曲し、立上り部3a−2の上端から縦方向に延出する二裂フック形状に形成される。さらに、様々な実施形態によれば、係合頭部の形状は上述の形状に限定されず、例えばキノコ形状または単フック形状など係合要素に適当な形状が採用されてもよい。
【0052】
さらに、様々な実施形態によれば、雄形面ファスナー部材10は一つ以上の線状磁性体7を含み、図1に示された実施形態は二つの線状磁性体7を含む。線状磁性体7は縦方向に長形であって、基材2に一体的に溶融接着されている。第1線状磁性体7は、平板状基材2の右側縁部の近くで係合要素3の形成区域に配置され、第2線状磁性体7は、平板状基材2の左側縁部の近くで係合要素3の形成区域に配置されている。線状磁性体7は、鉄、コバルト、ニッケルなどから選択された少なくとも一つの金属、またはこれらの金属の一つの合金で製作された磁性粉末を有する合成樹脂材料で製作されたモノフィラメントを含む。この実施形態によれば、上述したように発泡樹脂成形体に磁石が取り付けられる場合には、線状磁性体7が磁石に隣接して発泡樹脂成形体に配置される。しかし、様々な代替実施形態によれば、幅の狭いテープ形状の金属箔が線状磁性体7の代わりに使用されてもよい。
【0053】
発泡樹脂成形体に磁石が取り付けられない時には、線状磁性体7を誘引するため成形体に磁性体は設けられない。ゆえに、雄形面ファスナー部材10の基材2に直接、線状またはテープ形状の磁石が固定されてもよい。また、後述する他の様々な実施形態によれば、磁性粉末が混合されたモノフィラメントまたは磁性を持つ金属線材を接続部4として使用することにより、上述した線状磁性体7を省くことができる。
【0054】
図1および2に示された実施形態によれば、線状磁性体7が一体化された基材2の区域には、肉厚部分が縦方向に断続的に形成される。この構成により、基材2の厚みを垂直方向に一様にし、線状磁性体7の一部を基材2の表面から露出させ、基材2に強度を付与する。ゆえに、雄形面ファスナー部材10が若干の外力を受けた場合でも、線状磁性体7は容易に切断されて基材2から分離される。
【0055】
図2に示された基材の肉厚部を形成するための特定方法によれば、雄形面ファスナー部材10の成形時に、ブロック形状の突出部2cが、基材2の左右の側縁部の各々で係合要素3の縦列に沿って断続的に成形される。線状磁性体7は、突出部2cの縦方向に貫通することができ、線状磁性体7は断続的に埋設されて、線状磁性体7の上面の一部が断続的に外側に露出する。このようにして基材2に取り付けられる線状磁性体7は、金型の所定位置への雄形面ファスナー部材10の位置決めおよび固定をさらに正確で信頼できるものにする。発泡樹脂成形体の金型(不図示)に取り付けられる磁石(不図示)により発揮される磁気誘引力を用いることにより、この位置決めおよび固定が容易になる。
【0056】
この実施形態による線状磁性体7は、円形断面を持つ線状磁性体ばかりでなく、例えばテープ状、薄い金属プレートを含んでもよく、あるいは磁性体は別に取り付けられてもよい。さらに、磁力により磁性体を誘引する代わりに、磁力を有する磁性体が利用可能である。また、樹脂接着剤または磁性粉末を持つ樹脂塗料などの磁性樹脂を基材2の下面に塗布して磁性コーティング層を形成することにより、磁性体または磁石が雄形面ファスナー部材10を誘引することも可能である。あるいは、基材2、係合要素3、第1樹脂侵入阻止壁5、または第2樹脂侵入阻止壁6として作用する横方向壁部(係合要素列)のいずれかに磁性粉末が混合されてもよい。別の代替実施形態では、磁性粉末を有する樹脂層が、第1樹脂侵入阻止壁5の上面または横壁部の上面へのラミネート処理を受ける。また、上述したように、プロセスの適用は磁性体に限定されず、同じプロセスが磁石本体に施されてもよい。
【0057】
また、合成樹脂製の線状体8の単体であるモノフィラメントが、幅方向において基材2の中心に概ね隣接して基材2に連続的に埋設される。垂直方向の厚さが制限される基材2に線状体8を完全に埋設するため、線状体8の厚さは基材2の厚さよりも狭い。そのため、図1に示された実施形態によれば、線状体8を基材2に一体的に埋設するため、突出紐部2dが縦方向に連続的に成形され、図1および図2乃至5に示されているように、突出紐部2dの内側を線状体8が貫通する。したがって、線状体8は基材2に一体的に埋設される。
【0058】
さらに、図1に示された実施形態によれば、フィン状ストリップ9が断続的に成形されて、基材2の左右の側縁部に沿って縦方向に一体化されている。また、図2乃至4に示されているように、基材2の第2表面2bには、凹凸または波状の面2eが形成されている。フィン状ストリップ9および凹凸面2eは、発泡樹脂成形体の成形時に発泡樹脂材料を収容してこれと接合するための表面積を増大するように形成され、こうして発泡樹脂成形体に埋設されることによりアンカー効果を提供する。
【0059】
<製造プロセス>
上述した構造を持つ雄形面ファスナー部材10は、様々な製造プロセスにより製造される。一実施形態では、雄形面ファスナー部材10を製造するのに米国特許第5,620,769号に開示された基本的方法が採用される。米国特許第5,620,769号は、参考としてその全体が取り入れられている。発明者らは、同特許の開示を再掲することなく、ここに記載された様々な実施形態による雄形面ファスナー部材10を製造するための装置および方法の例を簡単に説明する。
【0060】
すなわち、様々な実施形態による雄形面ファスナー部材10を製造するには、米国特許第5,620,769号に記載されたのと同じ装置および方法が使用される。ゆえに、雄形面ファスナー10’は最初に、長尺の連続した略テープ形状に製造される。続いて雄形面ファスナー10’は、雄形面ファスナーストリップ1を製造するための各長さに切断される。様々な実施形態では、雄形面ファスナーストリップ1の各々は、ストリップ1が相互に完全に分離されるように切断される。他の実施形態では、隣接の雄形面ファスナーストリップ1の間に接続部4が残るように雄形面ファスナーストリップ1が切断される。即ち、雄形面ファスナー部材10が、所定の間隔ごとに連続した雄形面ファスナー10’の中央部分を残しながら、中央部分の幅方向において両側にある切除部分を切断することで複数の雄形面ファスナーストリップ1を形成する。例えば一実施形態によれば、図1に示された雄形面ファスナー部材10は長尺で連続した略テープ形状に形成され、雄形面ファスナー10’は次に横方向に一定の長さ間隔で切断されて、接続部4がそのまま残り、切断工程により分離された隣接の雄形面ファスナーストリップ1をつなぐ。最初の雄形面ファスナーストリップ1の縦方向外側縁部から最後の雄形ファスナーストリップ1の縦方向外側縁部まで所定の全長を持つ雄形面ファスナー部材10が得られるように、雄形面ファスナー部材10の接続部4は完全に切断されてもよい。
【0061】
図6は、図1で上述した雄形面ファスナー部材10を製造する方法例を示す。すなわち、一方向に駆動および回転されるダイホイール30の周面へ溶融樹脂を供与するための連続射出ノズル31を配置することによって、方法が開始される。ダイホイール30の周面の中央区域には、係合要素3を成形するための多数のキャビティ30aが形成され、周面の左右縁部の各々に沿って、複数列(3列など)の分割壁部5aを成形するためのキャビティが形成される。分割壁部5aを成形するためのこれらのキャビティは、周方向に断続的に延在する(図は省略)。他方、射出ノズルと対向する位置に相当するダイホイール30の周面領域の回転方向の上流側には、線状磁性体7と合成樹脂製の線状体8とを供給するための連続供給部32,33が設けられている。連続供給部32から、2本の線状磁性体7が係合要素形成区域の第1部分と第2部分とに連続的に供給され、第1部分は右縁部と中心との間にあり、第2部分は左縁部と中心との間にある。連続供給部33は、幅方向において概ね区域の中心である係合要素区域の一部に合成樹脂製の1本の線状体8を連続的に供給する。連続供給部32,33は、ダイホイール30の射出ノズル31に対する対向位置に線状磁性体7と線状体8をそれぞれ供給する。
【0062】
ダイホイール30を冷却するため、冷却液がダイホイール30の内側を通過する。さらに、下に配設された冷却液タンク(不図示)にダイホイール30の下半分が浸漬される。また、雄形面ファスナー10’の巻取りロール34が設けられ、その下流側には、成形された雄形面ファスナー10’を各所定間隔で切断するための切断ブレード35が配設されている。切断ブレード35は、作動装置(不図示)を介して断続的に起動される。
【0063】
上述の構造を備える雄形面ファスナー部材10の連続製造装置では、連続射出ノズル31からダイホイール30の周面へ溶融樹脂材料100が連続的に噴射される。この場合、ダイホイール30は一方向に駆動および回転され、周面に射出される溶融樹脂材料100は、射出ノズル31とダイホイール30との間の間隙で面ファスナーの基材2を連続的に成形し、同時に、溶融樹脂材料100は、上述の連続キャビティの各々に係合要素3、第1樹脂侵入阻止壁5、分割壁部5aを成形する。成形工程中、線状磁性体7と合成樹脂製の線状体8とは、溶融樹脂材料100の射出位置よりもダイホイール30の回転方向の上流側に近い位置から導入される。
【0064】
様々な実施形態によれば、基材2を形成するのに使用される溶融樹脂材料100は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、その共重合体など、いかなる熱可塑性ポリマー材料でもよい。また、線状体8の様々な実施形態は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、PBT、その共重合体など、いかなる熱可塑性ポリマー材料で形成されてもよい。
【0065】
ある実施形態では、基材2は第1材料で製作され、線状体8は第1材料と異なる第2材料で製作される。例えば特定の一実施形態では、溶融樹脂材料100に利用される樹脂はPBTであり、線状体8に利用される樹脂はポリエステルである。しかし、他の様々な実施形態では、線状体8と基材2とが同じ材料で形成されてもよい。
【0066】
一実施形態では、線状磁性体7の断面の概ね三分の一をダイホイール30の表面から基材の表面に露出させるため、ダイホイール30の周面に、2本の線状磁性体案内溝(不図示)が断続的に形成される。また、線状体8を収容するため、1本の線状体案内溝(不図示)が周方向に連続的に形成される。
【0067】
したがって、上述して図6に示したように、ダイホイール30の周面に成形される連続した略テープ形状に形成される雄形面ファスナー10’は、ダイホイール30の周面に保持され、ホイール30の回転にしたがって直径の約半分だけ搬送される。この搬送中に、雄形面ファスナー10’が冷却されて凝固する。次に、巻取りロール34などにより、雄形面ファスナー10’がダイホイール30の周面から剥離され、雄形面ファスナー10’は切断工程およびその後の巻取り工程(不図示)へ送られる。結果的に、図1に示された実施形態などの長尺の完成品である雄形面ファスナー部材10は、接続部4を介して一緒に接続された複数の雄形面ファスナーストリップ1を有する。図1に示された実施形態によれば、基材2の幅方向において概ね中心に埋設される線状体8である合成樹脂モノフィラメントの一部が、接続部4として使用される。こうして、複数の雄形面ファスナーストリップ1の基材2に接続部4が一体的に形成される。
【0068】
また、図1に示された実施形態によれば、係合要素3が形成される上面側2aと反対である基材の下面2bは、図2〜4に示された凹凸面2eに成形される。しかし、他の様々な実施形態では、下面2bは平坦面に形成される。
【0069】
雄形ファスナー面ファスナーストリップ1が接続部4により接続されたままとなるように連続雄形面ファスナー10’を切断するため、切断ブレード35が断続的に上下動して基材の幅方向の左右区域を二等辺三角形に切断して、隣接の雄形面ファスナーストリップ1の間に所定長さの合成樹脂製の線状体8(モノフィラメント)の一部としての接続部4を残す。接続部4を形成するモノフィラメント部分を被覆する基材部分を除去するように、上述した基材部分を同時に切断して、切断ブレード35と対向する一連の連続雄形面ファスナー10’の下部に線状体8の一部を残すため、連続雄形面ファスナー10’の切断形状を有するダイ(不図示)が設けられる。
【0070】
<使用方法>
図1に示された実施形態によりこのようにして製造された雄形面ファスナー部材10を、例えば図7に示されたような発泡樹脂材料(不図示)で製作されたクッション体に一体的に成形するため、雄形面ファスナー部材10の係合要素形成面がクッション体成形金型50の一部と対向した状態で、上方金型51と下方金型52とを備えるクッション体成形金型50に雄形面ファスナー部材10が載置固定される。この実施形態によれば、クッション体のシートに形成される凹面を形成するための突出面52aが下方金型52の中央に形成され、雄形面ファスナー部材10が突出面52aに載置固定される。雄形面ファスナー部材10を突出面52aに載置固定するため、一実施形態によれば、下方金型52の突出面52aの区域に磁石53が埋設され、突出面52aの所定位置に雄形面ファスナー部材10を位置決め(整合)して固定するように、雄形面ファスナー部材10に埋設された線状磁性体7が磁石53に誘引される。
【0071】
次に、発泡樹脂材料が金型50の内側に射出されて、金型50の内側全体に分散される。発泡樹脂材料は、雄形面ファスナー部材10の第2表面2b、フィン状ストリップ9の周囲、そして複数列の係合要素3の周囲、縦方向樹脂侵入阻止壁5、雄形面ファスナー部材10の外側横方向樹脂侵入阻止壁6へ流れる。こうして流れている間に発泡が開始される。この場合、雄形面ファスナー部材10は金型50の磁石53の引力により位置決めおよび固定され、発泡樹脂材料の流れの圧力および発泡の圧力に関係なく、磁石53に対する雄形面ファスナー部材10の位置は概ね同じままである。また、上述のように流れる発泡樹脂材料は、配設された複数列の第1樹脂侵入阻止壁5の間に形成された間隙と各分割壁部5aの間に形成された間隙とを通って、雄形面ファスナー部材10の幅方向から係合要素3の形成区域へ侵入しようとする。しかし、発泡樹脂材料は、配設された複数列の第1樹脂侵入阻止壁5と縦方向樹脂侵入阻止壁5の各分割壁部5aとにより妨害され、係合要素形成区域に到達する前に発泡および凝固する。そのため、発泡樹脂材料は係合要素形成区域に到達できない。
【0072】
さらに、上述したように雄形面ファスナー10’はファスナー10’の使用目的に基づいて切断され、様々な場合には、図10に示されたように係合要素3の横列の一部が切断されることがある。しかし、図10に示された実施形態によれば、係合要素3の横列6は係合要素3の通常の横列の形成間隔で成形されるので、係合要素3の側面が相互に近接していて横方向樹脂侵入阻止壁6を形成するため、図10に示されたように発泡樹脂材料30はせいぜい1、2列の係合要素に到達するに過ぎない。
【0073】
こうして、表皮材料は面ファスナー10を有するクッション体を被覆し、面ファスナー10を有するクッション体部分に一体的に固定される。各面ファスナー10の装着部を押圧して面ファスナー10を表皮材料の内面の雌形係合要素と係合させることにより、表皮材料はクッション体に密着され、クッション体から浮き上がらずに湾曲面と密接する。
【0074】
発明の様々な実施形態によれば、横壁部6を形成する係合要素3の横列は平坦でなく、雄形面ファスナー部材10のほぼ全面にわたって、表皮材料の内面に形成された雌形係合要素に係合要素の横列6が締結されるように、通常の係合要素列と概ね同じ数の係合要素3を含む。この構成は、係合要素の横列の係合強度を劇的に上昇させる。結果的に、表皮材料の着座部分にずれ方向の力が印加された場合でも、係合要素の横列は容易に外れず、さらに、高い強度を持つ紐およびテープによる結合と異なり、係合が表皮材料とクッション体との間の若干の移動を抑制するため、雄形面ファスナー部材10と表皮材料の雌形係合要素との係合によってクッション体が損傷を受けることはない。
【0075】
上述したように、上述のクッション体の場合には、着座面およびその背面部などの表面に多くの線状凹部が形成される。さらに、線状凹部は真っ直ぐな線であることに限定されず、多くの場合、クッション体の表面に沿って湾曲していてもよい。成形された面ファスナー部材10が線状凹部に配設される。凹部が直線で囲まれている場合には、クッション体成形金型50の突出面52aも直線で囲まれており、凹部が湾曲している場合には、突出面52aも湾曲している。図8は、このようなクッション体200の表面に形成される線状凹部101の形状と、線状凹部101に一体化される面ファスナー部材10の状態とを概略的に示す。図9は、面ファスナー部材10を線状凹部101に一体化するため金型50に形成される湾曲突出面52aと、湾曲突出面52aに取り付けられた時の面ファスナー部材10との状態を概略的に示す。
【0076】
図8に示されたように線状凹部101が直線で囲まれている場合には、例えば、真っ直ぐな直線形状に形成された連続雄形面ファスナー10’が凹部に取り付けられて固定される。しかし、図8に示されたように、直線で囲まれた雄形面ファスナー10’は幅方向に屈曲できない。したがって、この連続雄形面ファスナー10’は湾曲凹部101にうまく嵌着しない。上述したように、接続部4を介して縦軸に沿って複数の短尺の雄形面ファスナーストリップ1を接続することにより、様々な実施形態による雄形面ファスナー部材10が形成されるので、隣接の雄形面ファスナーストリップ1は、(接続部4を介して基材2の平坦面に沿って)幅方向に相対回転できる。そのため、図9に示されたようにクッション成形金型50の突出面52aが湾曲していると仮定すると、湾曲した突出面52aの上面に雄形面ファスナー部材10が取り付けられ、図8に示されたように、雄形面ファスナーストリップ1はクッション体200の湾曲した線状凹部101に沿って一体的に成形される。湾曲凹部に適応するように切断された雄形面ファスナー部材10は直線で囲まれた凹部にも使用できることを記しておく。
【0077】
<雄形面ファスナーの代替実施形態>
図11は、第二実施形態の雄形面ファスナー部材を示す。この主な構造は、図1に関連して上述した実施形態と実質的には異ならないので、この実施形態に対応する同じ部品には、図1に示された実施形態と同じ名称、そして同じ参照番号および数字が付けられている。
【0078】
基材を分割するため基材2の部分が幅方向に切断される時に線状体8を被覆する係合要素3の部分がそのまま残されるという点で、第二実施形態は、図1に示された実施形態と異なる。こうして、接続部4は、埋設される線状体8と、線状体8に隣接して垂直方向に配置される係合要素3とを含む。図11に示され第二実施形態では、二つの三角形の頂点が線状体8に隣接して相互に対向するように、基材2の切除部は概ね三角形の形状に切断される。
【0079】
第二実施形態によれば、切断ストリップの処理が単純化され、面ファスナー部分の係合要素3が接続部4に残って、発泡樹脂成形体に埋設されることによりアンカー効果の実現を可能にする。この構成により、雄形面ファスナー部材10はクッション体200に強力に固定される。図12は、上述した第二実施形態の変形例を示す。変形例によれば、雄形面ファスナー10’は、図11に関連して上述したように三角形に切断されるのではない。代わりに、切除部分は弓形と矩形に交互に切断される。例えば、雄形面ファスナー10’の各側から楕円形の半分を切除することにより弓形が形成される。フィン状ストリップ9の一部分が切除部の一部として除去されてもよい。図12に記された雄形面ファスナー10’の機能は、他の実施形態に関連して説明されたものと実質的に異ならない。
【0080】
図13乃至16は、発明の第三実施形態を示す。やはりこの実施形態によれば、雄形面ファスナーストリップ1の主な構成は、上述した実施形態と実質的には異なっていない。したがって、他の実施形態に対応する部品には、他の実施形態と同じ名称、そして同じ参照番号および数字が付けられている。
【0081】
第三実施形態によれば、最初に、略テープ形状に形成された連続雄形面ファスナー部材10’が切断されて個々のストリップに分離される。この場合の分離形状は、縦軸に沿った両端部の頂点が基材2の幅方向の中心を通る三角形の形状である。この場合、基材2に埋設された線状磁性体7が同時に切断される。この実施形態によれば、接続部4は雄形面ファスナーストリップ1と別々製造される。
【0082】
図14に示されたように、上述した雄形面ファスナーストリップ1の接続端部は、第1の長さを持つ第1スリット1aと、第2の長さを持つ第2スリット1bとを有し、第2の長さは第1の長さより短い。第1スリット1aはストリップ1の縦軸に沿ってストリップ1の端部から延出し、第2スリット1bはストリップ1の縦軸に沿って第1スリット1aの内側に画定される。上述した接続部4は、合成樹脂製の雄形面ファスナーストリップ1の幅より短い幅を有するプレート状のバーストリップ4aを含み、バーストリップ4aは概ね矩形の断面形状を有する。一実施形態によるバーストリップ4aは、ストリップ1とは別に形成される。バーストリップ4aは隣接のストリップ1と係合してこれを端部同士をつき合わせた関係で固定し、雄形面ファスナー部材10を形成する。代替実施形態では、狭いプレート状のバーストリップ4aは金属製としてもよい。
【0083】
図14に示されているように、狭いプレート状のバーストリップ4aは、雄形面ファスナーストリップ1の第1および第2スリット1a,1bに嵌着および締結される第1および第2締結ストリップ4a−1,4a−2を有する。この実施形態によれば、第1締結ストリップ4a−1は狭い矩形に形成され、第1締結ストリップ4a−1は二つの隣接ストリップ1の第1スリット1aと係合する。第2締結ストリップ4a−2は矢じり形状に形成され、第2締結ストリップ4a−2は個々のストリップ1の第2スリット1bと係合する。第2締結ストリップ4a−2の矢じり形状のヘッド部分の左右幅は、第2スリット1bの長さよりも長い。
【0084】
図15および16に示されているように、上述の構成を備える雄形面ファスナーストリップ1の間の接続は、狭いプレート状のバーストリップ4aの第1締結ストリップ4a−1が隣接の雄形面ファスナーストリップ1の接続端の第1スリット1aの各々に嵌着されて、狭いプレート状のバーストリップ4aの第2締結ストリップ4a−2の矢じり部を雄形面ファスナーストリップ1の第2スリット1bに挿入することにより、狭いプレート状のバーストリップ4aの第2締結ストリップ4a−2の矢じり形部分が第2スリット1bに締結されるようにして行われる。この実施形態による接続部の断面は変形断面に形成され、その厚さ方向は雄形面ファスナー部材10の幅方向よりも長い。このようにして接続部の断面を形成することにより、雄形面ファスナー部材10は幅方向に容易に湾曲するが、厚さ方向にはほとんど湾曲しない。そのため、雄形面ファスナー部材10の敷設作業の実施が容易である。このタイプの接続部4aの構造の様々な実施形態は、参考として取り入れられている2008年6月5日出願の米国特許出願第12/133,572号に記載されている。
【0085】
図17は、第四実施形態による雄形面ファスナー部材10の分解斜視図である。この実施形態による雄形面ファスナー部材10は、雄形面ファスナーストリップ1と、接続部4としての小型ストリップ4bとを含む。
【0086】
この実施形態では、雄形面ファスナーストリップ1と接続部4としての小型ストリップ4bとは独立して製造される。図17に示された雄形面ファスナーストリップ1は、上述した実施形態に関連して上述した雄形面ファスナーストリップ1と実質的には異なっていない。しかし図17に示された実施形態では、各雄形面ファスナーストリップ1は、基材2の上下表面を貫通する円形締結穴25を画定し、円形締結穴25は雄形面ファスナーストリップ1の各端部に隣接して配置される。小型ストリップ4bは、本体4b−1から延出する2本の脚部の各端に平板状フランジ4b−2を有し、脚部と本体4b−1とは概ねU形状を形成する。各脚部はさらに、末端に締結部4b−3を含み、締結部4b−3は略半球体部を含む。各脚部の平板状フランジ4b−2は締結部4b−3と本体4b−1との間に配置され、半球体部の幅広部分はフランジ4b−2と反対側にあってこれと対向する。
【0087】
小型ストリップ4bを用いて隣接の雄形面ファスナーストリップ1の端部を接続するには、小型ストリップ4bの各半球体締結部4b−3が、雄形面ファスナーストリップ1の下面2bから隣接の雄形面ファスナーストリップ1の各々の締結穴25へ係合する。この場合、直径が小さくなるように半球体締結部4b−3が弾性変形してから、締結穴25に半球体締結部4b−3が圧入される。締結穴25に圧入された後で、半球体締結部4b−3は原型を回復するため締結穴25から再び抜けることはない。一緒に締結されると、小型ストリップ4bと雄形面ファスナーストリップ1とは、雄形面ファスナーストリップ1がフランジ4b−2と半球体締結部4b−3との間に挟まれた状態で小型ストリップ4bの脚部を中心として比較的自由に回転できる。この実施形態により、雄形面ファスナー部材10は、発泡樹脂成形体(不図示)の表面の湾曲した線状凹部に沿って確実に位置決めされ、固定される。
【0088】
図18および19は第四実施形態の変形例を示し、変形例は、小型ストリップ4bの形状および構造において第四実施形態と異なる。変形例による小型ストリップ4bでは、図19に示されているように、キノコのような形状に形成された二つの締結部が、小型プレート状の楕円形ストリップの縦軸に沿って楕円形ストリップの一面に直立し、各締結部の球体締結頭部4b−4は第2表面側2bから雄形面ファスナーストリップ1の締結穴25に圧入される。押圧のため、締結頭部4b−4は弾性により原型を回復して締結穴25に固定される。やはり変形例によれば、上述した第四実施形態と同じように、隣接の雄形面ファスナーストリップ1の間の接続部である小型ストリップ4bを介して、隣接の雄形面ファスナーストリップ1は比較的自由に回転できる。
【0089】
図20は、第五実施形態の雄形面ファスナー部材を模式的に示す。この雄形面ファスナー部材10は、線状体8が幅方向に蛇行してジグザグ状に基材2に埋設されている点において、第一実施形態のものと異なる。このため、雄形面ファスナー部材を製造する際には、ジグザグ状に形成された線状体8が連続供給部33からダイホイール30に供給される。
このようにジグザグ状に形成された線状体8が基材2に埋設されることで、線状体8が雄形面ファスナーストリップ1に強固に固定される。また、雄形面ファスナー部材10は、ジグザグ状に形成された線状体8によって、幅方向に曲がりやすくなる一方、表裏方向には曲がり難い構成となる。
【0090】
本発明の様々な実施形態について上に説明した。しかし、本発明は挙げられた例に限定されない。例えば、底面から係合要素を立ち上がらせるように基材の表面に凹部を形成し、面ファスナーの可撓性を確保し、面ファスナーの全体的厚さを薄くする場合には係合要素、分割壁部、横壁部の高さを低くするという従来周知である様々な種類の形態を、係合要素の形態として採用することが可能である。また、隣接の雄形面ファスナーストリップ1の相対回転を許容しながら隣接の雄形面ファスナーストリップ1を相互に接続するのであれば、上述した例に限定されずにいかなる接続部も任意で採用してよい。
【符号の説明】
【0091】
1 雄形面ファスナーストリップ
1a 第1スリット
1b 第2スリット
2 基材
2a 第1表面
2b 第2表面
2c,2d 突出部
3 係合要素
3a 要素本体
3a−1 係合頭部
3a−2 立上り部
3b 柱状部
3c スペース部
4 接続部
4a バーストリップ
4a−1 第1締結ストリップ
4a−2 第2締結ストリップ
4b 小型ストリップ
4b−1 本体
4b−2フランジ
4b−3 締結部
4b−4 締結頭部
5 侵入阻止壁
5a 分割壁部
6 第2樹脂侵入阻止壁
7 線状磁性体
8 線状体
9 フィン状ストリップ
10 雄形面ファスナー部材
25 円形締結穴
30 ダイホイール
30a キャビティ
31 連続射出ノズル
32,33 供給部
34 巻取りロール
35 切断ブレード
50 クッション体成形金型
51 上方金型
52 下方金型
52a 突出面
53 磁石
100 樹脂材料
101 線状凹部
200 クッション体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂成形体の成形と同時に前記発泡樹脂成形体の表面に一体化されるように構成された雄形面ファスナー部材であって、
隣接する端部がその縦軸に沿って相互に対向するように、相互に接続された複数の雄形面ファスナーストリップであって、その各々が、平板状基材と、前記基材の第1表面に一体的に成形されて前記基材の前記第1表面から上向きに延出する複数の係合要素とを有する、複数の雄形面ファスナーストリップと、
前記雄形面ファスナーストリップの幅より短い幅を有する接続部であって、少なくとも二つの雄形面ファスナーストリップの少なくとも前記端部に一体的に形成される接続部と、を有し、
前記ストリップの前記基材が第1材料で形成されて前記接続部が第2材料で形成され、前記第1材料が前記第2材料と異なることを特徴とする雄形面ファスナー部材。
【請求項2】
発泡樹脂成形体の成形と同時に前記発泡樹脂成形体の表面に一体化されるように構成された雄形面ファスナー部材であって、
隣接する端部がその縦軸に沿って相互に対向するように、相互に接続された複数の雄形面ファスナーストリップであって、その各々が、平板状基材と、前記基材の第1表面に一体的に成形されて前記基材の前記第1表面から上向きに延出する複数の係合要素とを有する、複数の雄形面ファスナーストリップと、
前記雄形面ファスナーストリップの幅より短い幅を有する接続部であって、前記接続部が前記雄形面ファスナー部材の長さにわたって延在するように、前記雄形面ファスナーストリップと一体的に形成される接続部と、
を有することを特徴とする雄形面ファスナー部材。
【請求項3】
各雄形面ファスナーストリップがさらに、
前記第1表面の縦方向側縁部に隣接して配設された第1および第2の縦方向樹脂侵入阻止壁と、
前記第1および第2の縦方向樹脂侵入阻止壁の間において前記基材の幅方向に沿って、前記第1表面から上向きに延出する第1および第2の略横方向樹脂侵入阻止壁と、
を有し、
前記横方向樹脂侵入阻止壁の各々が、前記第1表面の幅方向に直列に配設された複数の係合要素を有することを特徴とする請求項1または2に記載の雄形面ファスナー部材。
【請求項4】
前記第1略横方向樹脂侵入阻止壁が前記基材の前記第1表面に沿って縦方向に離間しており、前記第2略横方向樹脂侵入阻止壁が、前記基材の前記第1表面に沿って縦方向に離間していることを特徴とする請求項3に記載の雄形面ファスナー部材。
【請求項5】
発泡樹脂成形体の成形と同時に前記発泡樹脂成形体の表面に一体化されるように構成された雄形面ファスナー部材であって、
隣接する端部がその縦軸に沿って相互に対向するように、相互に接続された複数の雄形面ファスナーストリップであって、その各々が、平板状基材と、前記基材の第1表面に一体的に形成されて前記基材の前記第1表面から上向きに延出する複数の係合要素とを有する、複数の雄形面ファスナーストリップと、
前記雄形面ファスナーストリップの幅より短い幅を有する接続部であって、少なくとも二つの雄形面ファスナーストリップの少なくとも前記端部を繋ぐ接続部と、を有し、
前記複数の雄形面ファスナーストリップの各々が、前記基材の幅方向に沿って、前記第1表面から上向きに延出する第1および第2の略横方向樹脂侵入阻止壁を有し、前記横方向樹脂侵入阻止壁の各々が、前記第1表面の幅方向において直列に配設された複数の係合要素を有することを特徴とする雄形面ファスナー部材。
【請求項6】
各雄形面ファスナーストリップがさらに、前記第1表面の縦方向側縁部に隣接して配設される第1および第2の縦方向樹脂侵入阻止壁を有することを特徴とする請求項5に記載の雄形面ファスナー部材。
【請求項7】
前記ストリップの前記基材が第1材料で形成されて前記接続部が第2材料で形成され、前記第1材料が前記第2材料と異なることを特徴とする請求項2または5に記載の雄形面ファスナー部材。
【請求項8】
前記縦方向樹脂侵入阻止壁の各々が、前記横方向に相互に隣接して配置された少なくとも2列の分割壁部を有し、
前記各分割壁部の各々が複数の壁部を有し、前記複数の壁部の各々が前記縦方向においてその間に間隙を画定し、
少なくとも1列の前記分割壁部の前記複数の壁部の間の前記間隙には、前記発泡樹脂成形体が少なくとも部分的に浸透していることを特徴とする請求項3または6に記載の雄形面ファスナー部材。
【請求項9】
前記少なくとも2列の分割壁部の前記複数の壁部の間の前記間隙は、前記横方向に隣接する前記分割壁部間において千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の雄形面ファスナー部材。
【請求項10】
前記雄形面ファスナーストリップの前記端部が、少なくとも前記平板状基材の前記幅方向において前記接続部を中心として相対回転が可能であることを特徴とする請求項1,2,5のいずれかに記載の雄形面ファスナー部材。
【請求項11】
各係合要素が、
前記第1表面から立上がる立上り部と、前記立上り部の上端から成形方向に延出する係合頭部とを有する少なくとも一つの要素本体と、
前記基材の前記幅方向において前記要素本体に隣接して一体的に形成された柱状部であって、前記基材の前記第1表面から測定して前記係合頭部の頂点の高さと概ね等しい高さを有する柱状部と、
を有する
ことを特徴とする請求項1,2,5のいずれかに記載の雄形面ファスナー部材。
【請求項12】
前記接続部が、可撓性を有する連続線状体の一部であり、前記線状体が、前記平板状基材の前記幅方向において概ね中心部分に配置されるとともに、前記基材に一体的に埋設され、前記基材の前記縦方向に延在することを特徴とする請求項1,2,5のいずれかに記載の雄形面ファスナー部材。
【請求項13】
前記線状体が、前記複数の雄形面ファスナーストリップを縦方向に接続するのに充分な長さを有することを特徴とする請求項12に記載の雄形面ファスナー部材。
【請求項14】
前記線状体がモノフィラメントであることを特徴とする請求項13に記載の雄形面ファスナー部材。
【請求項15】
一体的に成形された雄形面ファスナー部材を少なくとも一つ有するクッション体を形成するための製造方法であって、
略テープ形状に形成された連続雄形面ファスナーを成形する工程と、
前記連続雄形面ファスナーから雄形面ファスナー部材を形成する工程であって、前記雄形面ファスナー部材が、前記連続雄形面ファスナーから所定間隔で切断された複数の雄形面ファスナーストリップを有し、前記雄形面ファスナーストリップが、隣接する雄形面ファスナーストリップの端部が前記ストリップの縦軸に沿って相互に対向するように、一体的に形成された接続部を介して相互に接続され、前記雄形面ファスナーストリップの各々が、平板状基材と、前記基材の第1表面に一体的に形成されて前記基材の前記第1表面から上向きに延出する複数の係合要素とを有する工程と、
前記雄形面ファスナー部材の前記第1表面が前記金型の内面と対向および接触するように配置されて、前記クッション体を形成するための金型に前記雄形ファスナー部材を配設する工程と、
前記クッション体を形成するための前記金型へ発泡樹脂を流入させる工程と、
前記クッション体を形成するための前記金型から前記発泡樹脂を除去する工程と、を有し、
前記接続部が前記雄形面ファスナーストリップの幅より短い幅を有し、
前記基材が第1材料で形成されて前記接続部が第2材料で形成され、前記第1材料が前記第2材料と異なることを特徴とする製造方法。
【請求項16】
一体的に成形された雄形面ファスナー部材を少なくとも一つ有するクッション体を形成するための製造方法であって、
略テープ形状に形成された連続雄形面ファスナーを成形する工程と、
前記連続雄形面ファスナーから雄形面ファスナー部材を形成する工程であって、前記雄形面ファスナー部材が、前記連続雄形面ファスナーから切断された複数の雄形面ファスナーストリップを有し、前記雄形面ファスナーストリップが、隣接する雄形面ファスナーストリップの端部が前記ストリップの縦軸に沿って相互に対向するように、前記雄形面ファスナーストリップの幅より短い幅を有する接続部によって相互に接続され、前記雄形面ファスナーストリップの各々が、平板状基材と、前記基材の第1表面に一体的に形成されて前記基材の前記第1表面から上向きに延出する複数の係合要素とを有する工程と、
前記雄形面ファスナー部材の前記第1表面が前記金型の内面と対向および接触するように配置されて、前記クッション体を形成するための金型に前記雄形ファスナー部材を配設する工程と、
前記クッション体を形成するための前記金型へ発泡樹脂を流入させる工程と、
前記クッション体を形成するための前記金型から前記発泡樹脂を除去する工程と、を有することを特徴とする製造方法。
【請求項17】
前記接続部は、前記隣接する雄形面ファスナーストリップの端部間を接続し、該端部に一体的に設けられた熱可塑性樹脂製のモノフィラメントであることを特徴とする請求項15または16に記載の製造方法。
【請求項18】
一体的に成形された雄形面ファスナー部材を少なくとも一つ有するクッション体を形成するための製造方法であって、
略テープ形状に形成された連続雄形面ファスナーを成形する工程と、
前記連続雄形面ファスナーから雄形面ファスナー部材を形成する工程であって、前記雄形面ファスナー部材が、所定の間隔ごとに前記連続雄形面ファスナーの中央部分を残しながら、前記中央部分の幅方向において両側にある切除部分を切断することで複数の雄形面ファスナーストリップを有し、前記雄形面ファスナーストリップの各々が、平板状基材と、前記基材の第1表面に一体的に形成されて前記基材の前記第1表面から上向きに延出する複数の係合要素とを有する工程と、
前記雄形面ファスナー部材の前記第1表面が前記金型の内面と対向および接触するように配置されて、前記クッション体を形成するための金型に前記雄形ファスナー部材を配設する工程と、
前記クッション体を形成するための前記金型へ発泡樹脂を流入させる工程と、
前記クッション体を形成するための前記金型から前記発泡樹脂を除去する工程と、を有することを特徴とする製造方法。
【請求項19】
各雄形面ファスナーストリップがさらに、前記第1表面の縦方向側縁部に隣接して配設される第1および第2縦方向樹脂侵入阻止壁と、前記第1および第2縦方向樹脂侵入阻止壁の間において前記基材の幅方向に沿って、前記第1表面から上向きに延出する第1および第2略横方向樹脂侵入阻止壁であって、前記第1略横方向樹脂侵入阻止壁と前記第2略横方向樹脂侵入阻止壁とが、前記基材の前記第1表面に沿って縦方向に離間し、前記横方向樹脂侵入阻止壁の各々が、前記第1表面の幅方向において直列に配設された複数の係合要素を有する第1および第2略横方向樹脂侵入阻止壁と、を有することを特徴とする請求項15〜18のいずれかに記載の製造方法。
【請求項20】
略テープ形状に形成された前記連続雄形面ファスナーを成形する前記工程が、
ダイホイールを一方向に回転させる工程であって、周面の周方向に形成される係合要素を成形するための多数のキャビティを前記ダイホイールが有する工程と、
溶融樹脂材料を前記ダイホイールの前記周面に押出成形または射出成形する工程と、
押出成形または射出成形された溶融樹脂材料を、係合要素を成形するための前記キャビティへ圧入して、前記略テープ形状に形成された前記連続雄形面ファスナーを成形する工程であって、前記連続雄形面ファスナーが、連続する平板状基材と、前記平板状基材から上向きに延出する係合要素とを有する工程と、
前記雄形面ファスナーが前記ダイホイールに搬送されている間に前記雄形面ファスナーを取り外す工程と、
を有することを特徴とする請求項15〜18のいずれかに記載の製造方法。
【請求項21】
発泡樹脂成形体の成形と同時に前記発泡樹脂成形体の表面に一体化されるように構成された雄形面ファスナー部材の製造方法であって、
略テープ形状に形成された連続雄形面ファスナーを成形する工程と、
前記連続雄形面ファスナーから雄形面ファスナー部材を形成する工程であって、前記雄形面ファスナー部材が、前記連続雄形面ファスナーから所定間隔で切断された複数の雄形面ファスナーストリップを有し、前記雄形面ファスナーストリップが、隣接する雄形面ファスナーストリップの端部が前記ストリップの縦軸に沿って相互に対向するように、接続部を介して相互に接続され、前記雄形面ファスナーストリップの各々が、平板状基材と、前記基材の第1表面に一体的に形成されて前記基材の前記第1表面から上向きに延出する複数の係合要素とを有する工程と、
を有することを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−162339(P2010−162339A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280908(P2009−280908)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】