クモ毒から単離した新規ペプチド及びその使用
本願記載の主題は、強力で選択的なイオンチャンネルブロッカーとして使用される単離されたクモ毒ペプチド、並びに疼痛を治療するための組成物及び方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願記載の主題は、強力で選択的なイオンチャンネルブロッカーとして使用される単離されたクモ毒ペプチド、及び神経因性疼痛の治療のための組成物と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電位依存性ナトリウム(Nav1)チャンネル及び場合によっては低電位活性化型カルシウム(Cav3)チャンネルは、ニューロンを含む興奮細胞すべてにおいて活動電位の生成と伝搬の基礎となる膜タンパク質である。Nav1チャンネルの阻害は、活動電位を興奮させることができないので情報をコードし、伝達することができないニューロンを生じる。
【0003】
神経因性疼痛は、末梢の過興奮性及び中枢性感作の双方を含む複合神経過程である。末梢の過興奮性の原因は、中枢神経系(CNS)に伝達され、疼痛として感知される損傷された後根神経節(DRG)の異所性の自然に生じる興奮なのかも知れない。末梢における損傷された感覚性侵害受容ニューロンにてNav1(又はCav3)チャンネルを特異的に阻害することによってこの現象に対処することは、神経因性疼痛を軽減する又は取り除くことにおいて有効であり得る。非特異的Navブロッカー(たとえば、局所麻酔)の局所適用、又はDRGニューロン膜におけるNav1チャンネルを特異的に認識するNav1ブロッカーの全身性適用のいずれかによってこれを達成し得る。この特異性を高める一般的アプローチの1つは、CNSを回避することによる(ほとんどのNav1アイソフォームがニューロンの活動に決定的に重要である)。他のアプローチは、発現が過興奮性DRGニューロンに限定されているNav1アイソフォームに対する選択的ブロッカーを見つけることである(Devor, 2006; Cummins et al. 2007)。Nav1ブロッカーの特異性に関する主な課題の1つは、心臓遮断活性の回避である。
【0004】
テトロドトキシン(TTX)感受性のNav1.3チャンネルは通常、胚形成期の間にCNS及び末梢神経系(PNS)で発現され、成熟と共にその発現は激しく下方調節される。しかしながら、チャンネル発現の上方調節は以下の神経損傷で報告されている。これらの所見は、Nav1.3アイソフォームを特異的に標的にすることが損傷した過興奮性DRGニューロンを専ら遮断し得ることを示唆している(Devor, 2006; Cummins et al. 2007)。
【0005】
TTX耐性のNav1.8チャンネルはほぼ専らPNSで発現され、DRGニューロンの活動電位の十分に立証されたTTX耐性成分のほとんどに介在することが示されている。最近、疼痛制御における標的としてNav1.8チャンネルの重要性を強調する論文が公表されている(Jarvis, M. F., et al. 2007; Zimmermann, K., et al. 2007)。
【0006】
末梢で特異的に発現されるタンパク質を標的とすることによって疼痛を治療することの重要性は、脊髄で発現されるASICIチャンネルの場合によって強調され、その阻害は神経因性疼痛のラットモデルで鎮痛を誘導する。しかしながら、ペプチド修飾物質の投与は、全身性投与ではペプチドが脳血管関門を交差して標的タンパク質に到達しないので、直接的であるべきである(Mazzuca, M., et al. 2007, Nat. Neurosci. 10, 943)。
【0007】
本明細書の全体を通して種々の科学出版物及び特許又は公開された特許出願が参照される。本発明が関するところの最先端をさらに完全に説明するために、これら出版物すべての開示はその全体が参照によって本明細書に組み入れられる。本明細書のこの節又はそのほかの部分における参照の引用又は特定は、そのような参照が本発明に対する従来技術として利用可能であるという承認として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
提供されるのはクモ毒から単離されたペプチドである。単離された合成クモ毒ペプチドも提供される。好適なクモには、タランチュラ種を挙げることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態では、本願記載の主題に係る精製した又は単離したペプチドは、2〜50の連続したアミノ酸、10〜50の連続したアミノ酸、20〜50の連続したアミノ酸、25〜45の連続したアミノ酸、29〜40の連続したアミノ酸、29〜35の連続したアミノ酸、少なくとも29且つ多くとも35の連続したアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む又はそれから成る。
【0010】
さらなる実施形態では、本願記載の主題に係る精製した又は単離したペプチドは、3000〜5000ダルトン、3250〜4750ダルトン、3500〜4500ダルトン、3550〜4300ダルトン、又は3600〜4250ダルトンの範囲で分子量を有する。
【0011】
一実施形態では、本願記載のペプチドは、イオンチャンネル阻害活性を示すことができる。イオンチャンネルは、ナトリウムイオンチャンネル又はカルシウムイオンチャンネルであることができる。
【0012】
その上さらなる実施形態では、本願記載の主題は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5若しくは配列番号6のいずれか1つの配列、又は(i)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5若しくは配列番号6のいずれか1つの1以上のアミノ酸残基を異なったアミノ酸残基で置き換えることによって、(ii)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5若しくは配列番号6のいずれか1つの1以上のアミノ酸残基の欠失によって、及び/又は(iii)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5若しくは配列番号6のいずれか1つの1以上のアミノ酸残基の付加によって得られる配列、又は該ペプチドの塩若しくは化学誘導体を含む、それから成る、又はその範囲内で見い出される配列を含む精製した又は単離したペプチドを提供する。欠失、置換又は付加に関する1以上は、1〜10、1〜8、1〜6、1〜4、1〜2又は1を指すことができる。一実施形態では、イオンチャンネル遮断活性が維持される。
【0013】
本願記載の主題に係る精製した又は単離したペプチドは、たとえば、DDCLGMFSSCDPDNDKCCEGRKCNKDKWCKYVL(配列番号1)、YCQEFLWTCDEERKCCGDMVCRLWCKKRL(配列番号2)、ACLGFGEKCNPSNDKCCKSSSLVCSQKHKWCKYGW(配列番号3)、ACKGLFVTCTPGKDECCPNHVCSSKHKWCKYKI(配列番号4)、DCLGFMRKCIPDNDKCCRPNLVCSRTHKWCKYVF(配列番号5)及びDCLGWFKGCDPDNDKCCEGYKCNRRDKWCKYKLW(配列番号6)を含む1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。或いは、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6によって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態を含むことができ、又はそれから成ることができる。特に、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4又は配列番号5によって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態を含むことができ、又はそれから成ることができる。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。
【0014】
別の実施形態では、本願記載の主題は、配列DCLGX1X2X3X4CX5PDNDKCC(配列番号7)を含む20〜40の連続したアミノ酸を有する精製した又は単離したペプチドを提供し、式中、X1はM又はFであり、X2はM又はFであり、X3はR又はSであり、X4はK又はSであり、X5はD又はIであり、ペプチドはイオンチャンネル阻害活性を示す。イオンチャンネルはナトリウムイオンチャンネル又はカルシウムイオンチャンネルであり得る。ペプチドはクモ毒から精製することができ、又は単離した合成クモ毒ペプチドであることができる。
【0015】
一実施形態では、本願記載の主題は、配列ACX6GX7X8X9X10CX11PX12X13DX14CC(配列番号8)を含む20〜40の連続したアミノ酸を有する精製した又は単離したペプチドを提供し、式中、X6はK又はLであり、X7はL又はFであり、X8はG又はFであり、X9はE又はVであり、X10はK又はTであり、X11はN又はTであり、X12はS又はGであり、X13はN又はKであり、X14はK又はEであり、ペプチドはイオンチャンネル阻害活性を示す。イオンチャンネルはナトリウムイオンチャンネル又はカルシウムイオンチャンネルであり得る。ペプチドはクモ毒から精製することができ、又は単離した合成クモ毒ペプチドであることができる。
【0016】
さらなる実施形態では、本願記載の主題は、配列X15VCSX16X17HKWCKY(配列番号9)を含む20〜40の連続したアミノ酸を有する精製した又は単離したペプチドを提供し、式中、X15はL又はHであり、X16はQ、S又はRであり、X17はK又はTであり、ペプチドはイオンチャンネル阻害活性を示す。イオンチャンネルはナトリウムイオンチャンネル又はカルシウムイオンチャンネルであり得る。ペプチドはクモ毒から精製することができ、又は単離した合成クモ毒ペプチドであることができる。
【0017】
その上さらなる実施形態では、本願記載の主題によれば、本願記載のペプチド又はその塩を1以上含むことができる又はそれから成ることができるイオンチャンネル阻害剤が提供される。イオンチャンネルはナトリウムイオンチャンネル又はカルシウムイオンチャンネルであり得る。
【0018】
本願記載の主題によれば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表される1以上のアミノ酸配列を含む、それから成る、又はその範囲内で見い出されるペプチドと、薬学上許容可能なキャリア又は希釈剤とを含むことができる又はそれから成ることができる医薬組成物が提供される。一実施形態では、キャリアは水性キャリアである。一実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。一実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4又は配列番号5によって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。
【0019】
一実施形態では、本願記載の主題によれば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表される1以上のアミノ酸配列を含む、それから成る、又はその範囲内で見い出されるペプチド及び/又は薬学上許容可能なその塩の治療上有効な量をそれが必要な対象に投与することを含むことができ、又はそれから成ることができる、対象において疼痛を治療する方法が提供される。一実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。別の実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4又は配列番号5によって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。さらなる実施形態では、治療上有効な量は鎮痛又は抗炎症に有効な量を含むことができる。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。
【0020】
別の実施形態では、本願記載の主題によれば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9のいずれかによって表されるアミノ酸配列を含む、それから成る、又はその範囲内で見い出されるペプチド及び/又は薬学上許容可能なその塩と薬学上許容可能なキャリア又は希釈剤を含む又はそれから成る医薬組成物の治療上有効な量をそれが必要な対象に投与することを含むことができ、又はそれから成ることができる、対象において疼痛を治療する方法が提供される。一実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。別の実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4又は配列番号5によって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。さらなる実施形態では、治療上有効な量は鎮痛又は抗炎症に有効な量を含むことができる。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。
【0021】
さらなる実施形態では、本願記載の主題は、有効量の本願記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象にてイオンチャンネル活性を阻害する方法を提供し、その際、イオンチャンネル活性は心臓機能を損傷することなく阻害ざれる。
【0022】
対象にてNavチャンネルを遮断する方法も提供される。該方法は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9のいずれかによって表されるアミノ酸配列を含む、それから成る、又はその範囲内で見い出されるペプチド及び/又は薬学上許容可能なその塩と薬学上許容可能なキャリア又は希釈剤を含む又はそれから成る医薬組成物の治療上有効な量をそれが必要な対象に投与することを含むことができ、又はそれから成ることができる。一実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。別の実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4又は配列番号5によって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。さらなる実施形態では、治療上有効な量は鎮痛又は抗炎症に有効な量を含むことができる。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。
【0023】
本願記載の主題によれば、提供されるのは、対象への局所、注射、直腸、鼻内、肺、経口、非経口又は腸内の投与のための医薬組成物である。医薬組成物は吸入又は注入によって投与することができる。医薬組成物は、注射製剤、水溶液、脂質、エマルション、ジェル、ローション、クリーム、軟膏、錠剤、カプセル剤、ゲル/カプセル剤、及び座薬を含むが、これらに限定されない剤形を含むことができる。
【0024】
さらに別の実施形態では、医薬組成物は、経口、非経口または腸内の投与のための液体製剤を含むことができる。液体製剤は水性製剤を含むことができる。
【0025】
本明細書で記載される方法によって治療される疼痛は、末梢の疼痛を含む任意の既知の型の疼痛であり得る。たとえば、治療される疼痛は、神経性の疼痛、神経因性の疼痛、癌の疼痛、手術後の疼痛、口腔又は歯の疼痛、参照される三叉神経痛に由来する疼痛、ヘルペス後神経痛に由来する疼痛、反射性交感神経性ジストロフィによる疼痛及び/又は炎症性状態に関連する疼痛として記載される1以上の疼痛であり得る。
【0026】
疼痛は、たとえば、侵害受容性疼痛、非侵害受容性疼痛、体性痛、内臓痛、神経痛として特徴付けることができる。疼痛は、損傷された細胞から放出される化学刺激と同様に熱、寒冷、振動、伸張に応答する受容体の刺激の結果であり得る。さらに疼痛は、神経細胞機能不全によって生成される疼痛の結果であり得る。本願記載の主題によれば、疼痛は、たとえば、皮膚、筋肉、関節、骨及び靭帯のような組織に関連する−筋骨格系疼痛として知られることが多い疼痛であり得る。疼痛はまた主たる体腔の内臓に関連した疼痛であり得る。この点で、疼痛は、胸部(心臓及び肺)、腹部(肝臓、腎臓、脾臓及び大腸)、及び/又は骨盤(膀胱、子宮及び卵巣)と関連し得る。さらに、本主題に係る疼痛は、神経系自体に関連する疼痛、たとえば、圧迫神経又は神経絞扼に関連する疼痛であり得る。疼痛は、末梢神経系、すなわち、組織と脊髄の間の神経、又は中枢神経系、すなわち、脊髄と脳の間の神経を起源とし得る。疼痛は、たとえば、多発性硬化症、卒中、脳出血、及び/又は酸素飢餓、神経圧迫、神経絞扼、神経炎症、椎間板損傷/椎間板ヘルニア及び/又は帯状疱疹若しくはウイルス感染のような神経感染による神経変性と関連し得る。
【0027】
本願記載の主題によれば、炎症性状態は、急性疼痛、偏頭痛、頭痛、偏頭痛の頭痛、外傷性神経傷害、神経圧迫、神経絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、慢性腰痛、幻肢痛、慢性骨盤痛、神経腫疼痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛、癌、化学療法、HIV及びHIVの治療が誘導する神経障害、過敏性腸症候群及び関連する疾患及びクローン病から成る群から選択される1以上の状態に関連し得る。
【0028】
さらに、提供されるのは、凍結乾燥した粗精製のクモ毒を遠心して遠心した毒を得ることと、遠心した毒を濾過して濾過した毒を得ることと、濾過した毒をゲル濾過カラムに負荷することと、カラムを溶出して単離されたペプチドを含有する分画を得ることを含むことができる、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表される1以上のアミノ酸配列を含む、それから成るペプチドをクモ毒から単離する方法であり、単離されたペプチドは陽イオン交換クロマトグラフィ及び/又はHPLCクロマトグラフィを用いてさらに精製することができる。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。
【0029】
さらに、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表される1以上のアミノ酸配列を含む、それから成るペプチドをクモ毒から単離する方法が提供される。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。凍結乾燥した粗精製のクモ毒を遠心して遠心した毒を得ることと、遠心した毒を濾過して濾過した毒を得ることと、濾過した毒をゲル濾過カラムに負荷することと、カラムを溶出して単離されたペプチドを含有する分画を得ることを含むことができ、単離されたペプチドが陽イオン交換クロマトグラフィ及び/又はHPLCクロマトグラフィを用いてさらに精製される方法。
【0030】
さらに別の実施形態では、ペプチドを再び折り畳む方法が提供され、該方法は、1.1mM〜24mMの濃度で粗精製のペプチドを回収することと、たとえば、0.1Mのトリス緩衝液又は2MのNH4OAC緩衝液に粗精製のペプチドを溶解することと、たとえば、20mMのDTTでペプチドを還元することと、たとえば、7〜9.5の範囲でのpHにて10〜24.8μMの最終ペプチド濃度で緩衝化した水溶液における還元された及び/又は酸化されたシステイン又はグルタチオンの系を含有する酸化還元混合物においてペプチドを折り畳むことと、たとえば、折り畳まれたペプチドを半分取C18カラムにて精製することを含む、又はそれらから成る。好適な緩衝液には、たとえば、酢酸アンモニウム緩衝液、重炭酸アンモニウム緩衝液、及び0.1MトリスHCl緩衝液が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】Pterinochilus spp. Usambaraの毒(Psp)に由来するペプチドAのクロマトグラフィ精製を示すグラフである。
【図1B】Pterinochilus spp. Usambaraの毒(Psp)に由来するペプチドAのクロマトグラフィ精製を示す追加のグラフである。
【図2A】Psp毒由来のペプチドBのクロマトグラフィ精製を示すグラフである。
【図2B】Psp毒由来のペプチドBのクロマトグラフィ精製を示す追加のグラフである。
【図2C】Psp毒由来のペプチドBのクロマトグラフィ精製を示す別のグラフである。
【図3A】Haplopelma lividumの毒(Hv)に由来するペプチドCのクロマトグラフィ精製を示すグラフである。
【図3B】Haplopelma lividumの毒(Hv)に由来するペプチドCのクロマトグラフィ精製を示す追加のグラフである。
【図3C】Haplopelma lividumの毒(Hv)に由来するペプチドCのクロマトグラフィ精製を示す別のグラフである。
【図4A】Hv由来のペプチドDのクロマトグラフィ精製を示すグラフである。
【図4B】Hv由来のペプチドDのクロマトグラフィ精製を示す追加のグラフである。
【図4C】Hv由来のペプチドDのクロマトグラフィ精製を示す別のグラフである。
【図5A】Red Morph Grammostola(RMG)の毒に由来するペプチドEのクロマトグラフィ精製を示すグラフである。
【図5B】Red Morph Grammostola(RMG)の毒に由来するペプチドEのクロマトグラフィ精製を示す追加のグラフである。
【図5C】Red Morph Grammostola(RMG)の毒に由来するペプチドEのクロマトグラフィ精製を示す別のグラフである。
【図5D】Red Morph Grammostola(RMG)の毒に由来するペプチドEのクロマトグラフィ精製を示すさらなるグラフである。
【図6A】RMGの毒に由来するペプチドFのクロマトグラフィ精製を示すグラフである。
【図6B】RMGの毒に由来するペプチドFのクロマトグラフィ精製を示す追加のグラフである。
【図6C】RMGの毒に由来するペプチドFのクロマトグラフィ精製を示す別のグラフである。
【図7A】2μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図7B】3.4μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するhNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図7C】2μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.8チャンネルの応答を示す図である。
【図7D】5.25μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前とその最中における及び実証されたhERGブロッカーの浴潅流の最中における電圧ステップ刺激に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答を示す図である。
【図7E】図7A〜図7Dに示された各チャンネルの少なくとも3回の実験を要約する用量反応曲線を示す図である。
【図7F】急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧の応答を示す図である。
【図7G】図7Fで記載した条件で実施した幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図7H】マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)で記録された膜電圧の連続的な痕跡を示す図である。活動電位は自然に且つ定期的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のチャートにプロットする。
【図7I】3.75μMのペプチドAと3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図8A】0.5μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図8B】0.5μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するhNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図8C】0.7μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.8チャンネルの応答を示す図である。
【図8D】1.5μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前とその最中における及び実証されたhERGブロッカーの浴潅流の最中における電圧ステップ刺激に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答を示す図である。
【図8E】図8A〜図8Dに示された各チャンネルの少なくとも3回の実験を要約する用量反応曲線を示す図である。
【図8F】急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧の応答を示す図である。
【図8G】図8Fで記載した条件で実施した幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図8H】マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)で記録された膜電圧の連続的な痕跡を示す図である。
【図8I】9μMのペプチドBと3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図9A】1.25μM(Hv3920)の純粋なペプチドCの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図9B】2.4μM(Hv3920)の純粋なペプチドCの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するhNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図9C】3.6μM(Hv3920)の純粋なペプチドCの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.8チャンネルの応答を示す図である。
【図9D】4Mの純粋なペプチドCの浴潅流の前とその最中における及び実証されたhERGブロッカーの浴潅流の最中における電圧ステップ刺激に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答を示す図である。
【図9E】図9A〜図9Dに示された各チャンネルの少なくとも3回の実験を要約する用量反応曲線を示す図である。見かけのIC50は表3に示す。
【図9F】急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧の応答の重ね合わせた痕跡を示す図である。
【図9G】図9Fで記載した条件で実施した幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図9H】マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)で記録された膜電圧の連続的な痕跡を示す図である。
【図9I】5μMのペプチドCと3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図10A】0.15μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図10B】0.5μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するhNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図10C】0.48μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.8チャンネルの応答を示す図である。
【図10D】1μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前とその最中における及び実証されたhERGブロッカーの浴潅流の最中における電圧ステップ刺激に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答を示す図である。
【図10E】図10A〜図10Dに示された各チャンネルの少なくとも3回の実験を要約する用量反応曲線を示す図である。
【図10F】急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧の応答の重ね合わせた痕跡を示す図である。
【図10G】図10Fで記載した条件で実施した幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図10H】マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)で記録された膜電圧の連続的な痕跡を示す図である。
【図10I】0.75μMのペプチドDと3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図11A】0.3μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図11B】0.93μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するhNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図11C】0.93μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.8チャンネルの応答を示す図である。
【図11D】0.93μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前とその最中における及び実証されたhERGブロッカーの浴潅流の最中における電圧ステップ刺激に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答を示す図である。
【図11E】図11A〜図11Dに示された各チャンネルの少なくとも3回の実験を要約する用量反応曲線を示す図である。
【図11F】急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧の応答の重ね合わせた痕跡を示す図である。
【図11G】図11Fで記載した条件で実施した幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図11H】マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)で記録された膜電圧の連続的な痕跡を示す図である。
【図11I】0.83μMのペプチドEと3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図12A】0.1μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図12B】0.52μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するhNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図12C】0.5μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.8チャンネルの応答を示す図である。
【図12D】0.92μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前とその最中における及び実証されたhERGブロッカーの浴潅流の最中における電圧ステップ刺激に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答を示す図である。
【図12E】図12A〜図12Dに示された各チャンネルの少なくとも3回の実験を要約する用量反応曲線を示す図である。
【図12F】急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧の応答の重ね合わせた痕跡を示す図である。
【図12G】図12Fで記載した条件で実施した幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図12H】マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)で記録された膜電圧の連続的な痕跡を示す図である。
【図12I】1μMのペプチドEと3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図13】天然のペプチドA(三角)、20mMのジチオスレイトール(DTT)で1時間還元した合成ペプチドA(四角)及び折り畳んだ合成ペプチドA(丸)の分析用逆相HPLCクロマト図を示す。
【図14】天然のペプチドB(三角)、20mMのジチオスレイトール(DTT)で1.5時間還元した合成ペプチドB(四角)及び折り畳んだ合成ペプチドB(丸)の分析用逆相HPLCクロマト図を示す。
【図15】天然のペプチドC(三角)、20mMのジチオスレイトール(DTT)で1時間還元した合成ペプチドC(四角)及び折り畳んだ合成ペプチドC(丸)の分析用逆相HPLCクロマト図を示す。
【図16】天然のペプチドD(三角)、20mMのジチオスレイトール(DTT)で1時間還元した合成ペプチドD(四角)及び折り畳んだ合成ペプチドD(丸)の分析用逆相HPLCクロマト図を示す。
【図17】天然のペプチドE(三角)、20mMのジチオスレイトール(DTT)で1時間還元した合成ペプチドE(四角)及び折り畳んだ合成ペプチドE(丸)の分析用逆相HPLCクロマト図を示す。
【図18】天然のペプチドF(三角)、20mMのジチオスレイトール(DTT)で1時間還元した合成ペプチドF(四角)及び折り畳んだ合成ペプチドF(丸)の分析用逆相HPLCクロマト図を示す。
【図19】ペプチドA〜Fについてペプチド濃度に対するrNav1.3チャンネルの電流の%阻害として表される天然と合成のペプチドの遮断活性の比較を示す図である。
【図20】同側及び反対側の後肢の結紮前及び結紮後の足引っ込め閾値を示す図である。
【図21】試験化合物の急性投与及び慢性投与の後、1時間及び3時間の時点での同側の足引っ込め閾値を示す図である。
【図22】試験化合物の急性投与及び慢性投与の後、1時間及び3時間の時点での反対側の足引っ込め閾値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
1.定義
以下の定義は、そのような用語を付与される範囲を含む本明細書及び特許請求の範囲の明瞭で一貫した理解を提供する役目を果たす。
【0033】
本明細書で使用されるとき、用語「投与すること」、「投与」などは、健全な医療行為において治療効果を提供するような方式で対象に組成物を送達する方法を指す。本主題の一態様は、それを必要とする患者への治療上有効な量の本主題の組成物の経口投与を提供する。
【0034】
本願記載のクモ毒のペプチドは、疼痛の治療又は鎮痛の誘導に有用である。本明細書で使用されるとき、用語「治療すること」にはまた、そのような疼痛が発生する傾向を有する患者又は対象における疼痛の予防、及びいったん定まっている発生した疼痛の改善若しくは排除、又はそのような疼痛の特徴的な症状の緩和も含まれる。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「疼痛」はあらゆる種類の疼痛を指す。特に、該用語は、神経因性疼痛及び手術後疼痛のような慢性疼痛、慢性腰痛、群発性頭痛、ヘルペス神経痛、幻肢痛、中枢性疼痛、歯痛、オピオイド耐性痛、内臓痛、手術痛、骨損傷痛、分娩中の疼痛、日焼けを含む火傷による疼痛、分娩後の疼痛、偏頭痛、狭心症の疼痛、及び膀胱炎を含む生殖泌尿器関連の疼痛を指す。加えて、神経因性疼痛は、多数の別々の病因から生じ得る。神経因性疼痛は、眼科手術、歯の修復(歯根管)、火傷、反射性交感神経ジストロフィ、ヘルペス後神経痛、糖尿病性の神経障害、関節炎などの結果、生じ得る。該用語はまた、反射性交感神経ジストロフィ及び侵害受容疼痛又は痛覚による疼痛も指す。加えて、用語「疼痛」は、関節炎;たとえば、全身性エリテマトーデス(SLE)又は狼瘡を含む自己免疫疾患;慢性前立腺症;慢性炎症;過敏症;炎症性腸疾患;再潅流損傷;血管炎;移植の拒絶;骨盤炎症性疾患;糸球体腎炎;喘息、炎症性筋疾患;全身性硬化症;皮膚筋炎;多発性筋炎;封入体筋炎;チェディアック・ヒガシ症候群;及び慢性肉芽腫性疾患に関連する疼痛を含むが、これらに限定されない炎症状態と関連する疼痛を指す。
【0036】
本発明の化合物又は薬学上許容可能なその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物は、従来の薬剤配合法に従って調製することができる。たとえば、RemingtonのPharmaceutical Sciences、第18版(1990, Mack Publishing Co., Easton, Pa.)を参照のこと。
【0037】
本明細書で使用されるとき、用語「賦形剤」又は「補助剤」は、薬剤物質ではない医薬組成物の任意の成分を指す。
【0038】
本明細書で使用されるとき、語句「薬剤製品」「医薬剤形」「最終剤形」などは、治療を必要とする患者に投与される、1以上の薬剤物質と1以上の賦形剤の組み合わせ(すなわち、医薬組成物)を指し、溶液、水溶液、エマルション、懸濁液、錠剤、カプセル剤、座薬、クリーム、ジェル、ローションなどの形態であり得る。
【0039】
本明細書で使用されるとき、用語「対象」又は「個体」又は「動物」又は「患者」又は「哺乳類」は、診断、予後又は治療が望まれる任意の対象、特に哺乳類対象、たとえば、ヒトを指す。
【0040】
本明細書で使用されるとき、疾患、障害又は状態の、用語「治療」又は「治療すること」は、その少なくとも1つの症状の緩和、その重症度の軽減又はその進行の遅延、妨害若しくは阻害を包含する。治療は、疾患、障害又は状態が完全に治癒されることを意味しなくてもよい。有効な治療であるには、本明細書で有用な組成物は、疾患、障害又は状態の重症度を軽減し、それに関連する症状の重症度を軽減し、患者又は対象の生活の質の向上を提供し、又は疾患、障害若しくは状態の発症を遅らす、防ぐ若しくは抑制することだけを必要とする。
【0041】
本明細書で使用されるとき、用語「薬学上許容可能な」キャリアは、非毒性で不活性の固体、半固体、液体の任意の種類の充填剤、希釈剤、被包材、製剤化補助剤、又は単に生理食塩水のような無菌の水性媒体を指す。薬学上許容可能なキャリアとして役立ち得る物質の一部の例は、ラクトース、グルコース及びスクロースのような糖類、コーンスターチ及びポテトスターチのようなデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及びセルロースアセテートのようなセルロース及びその誘導体;粉末化トラガカント;麦芽、ゼラチン、タルク;ココアバター及び座薬ワックスのような賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油のような油;プロピレングリコールのようなグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールのようなポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル類、寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張生理食塩水、リンガー溶液;エチルアルコール及びリン酸緩衝液、並びに医薬製剤で使用されるそのほかの非毒性で相溶性の物質である。
【0042】
活性剤は好ましくは、治療上有効な量で投与される。本明細書で使用されるとき、用語「安全で有効な量」は、本願記載の方法で使用した場合、理に適った利益/リスクの比と釣り合った、過度の有害な副作用(たとえば、毒性、刺激又はアレルギー反応)なしで望ましい治療応答を得るのに十分である成分の量を指す。語句「治療上有効な量」は本明細書で使用されるとき、望ましい治療応答を得るのに十分な、本願記載の活性剤の量を指す。たとえば、「治療上有効な量」は、任意の薬物療法に適用可能な理に適った利益/リスクの比で疼痛を治療する若しくは緩和する又は鎮痛を誘導するための活性剤の十分な量であり得る。投与される実際の量、及び投与の度合いと時間的経過は、治療される状態の性質と重症度に左右される。治療の処方、たとえば、投与量やタイミングなどの決定は一般開業医や専門家の責任の範囲内であり、通常、治療される障害、個々の患者の状態、送達の部位、投与の方法、及び開業医に既知のそのほかの因子を考慮に入れる。技法及びプロトコールの例はRemingtonのPharmaceutical Sciencesに見つけることができる。
【0043】
本明細書で使用されるとき、用語「ペプチド」は、アミノ酸1つのアミノ基と隣のアミノ酸のカルボキシル基からH2Oの分子を取り除くことによって形成される共有結合により連結される2以上のアミノ酸から構成される化合物を意味する。
【0044】
本発明の目的での用語「単離された」は、元々の環境(天然に存在する環境)から取り出されている生体材料(核酸又はタンパク質)を指す。たとえば、植物又は動物に天然の状態で存在するペプチドは単離されないが、天然に存在する隣接するアミノ酸から分離された同じペプチドは「単離された」とみなされる。
【0045】
用語「精製された」は、ほかの化合物の存在を排除して絶対的な純度を示す形態で存在する物質を要求しない。むしろ、それは相対的な定義である。ペプチドは、少なくとも1桁、好ましくは2又は3桁、好ましくは4又は5桁、出発物質又は天然物質を精製した後の「精製された」状態にある。
【0046】
本明細書で使用されるとき、用語「実質的に純粋な」は、天然の混入物質から分離されているペプチド又はそのほかの物質を説明する。通常、単量体ペプチドは試料の少なくとも60〜75%が単一のペプチド主鎖を示す場合、実質的に純粋である。軽微な変異体又は化学修飾体は通常、同一ペプチド配列を共有する。普通、実質的に純粋なペプチドは、約85〜90%を超える、特に95%を超えて純粋な、97%を超えて純粋な、又は99%を超えて純粋なペプチド試料を含む。通常、純度はポリアクリルアミドゲル上で測定され、均質性は染色によって判定される。或いは、特定の目的では、高い解像度が必要とされ、精製のためにHPLC又は類似の手段が使用される。ほとんどの目的では、単純なクロマトグラフィカラム又はポリアクリルアミドゲルを用いて純度を決定する。
【0047】
用語「天然に会合する宿主成分を実質的に含まない」は、天然の宿主状態でそれに伴う天然の混入物質から分離されるペプチド又はそのほかの物質を説明する。従って、化学的に合成された又は天然に由来する宿主細胞とは異なる細胞系で合成されたペプチドは天然に会合する宿主細胞成分を実質的に含まない。
【0048】
用語「相同性」は、2つのポリヌクレオチド間又は2つのペプチド部分間における同一性の比率を指す。1つの部分から別の部分までの配列間の対応は当該技術で既知の技法によって決定することができる。たとえば、配列情報を並べ、容易に利用できるコンピュータプログラムを用いて2つのペプチド分子間の配列情報を直接比較することにより相同性を決定することができる。
【0049】
本明細書で使用されるとき、その文法上の形態及びスペルの変異すべてにおける用語「相同の」は、スーパーファミリーのタンパク質(たとえば、免疫グロブリンスーパーファミリー)及び異なった種に由来する相同タンパク質(たとえば、ミオシン軽鎖など)を含む「共通する進化的な起源」を持つタンパク質間の関係を指す(Reeck et al., 1987, Cell 50: 667)。そのようなタンパク質(及びそれらをコードする遺伝子)は高い程度の配列類似性によって反映されるように配列相同性を有する。しかしながら、通常の用途及び本適用において、用語「相同の」は、たとえば、「高い」のような副詞で修飾された場合、配列類似性を指すことができ、共通する進化的起源を指すのではない。
【0050】
従って、その文法的形態のすべてにおける用語「配列類似性」は、共通する進化的起源を共有してもよく又はしなくてもよい核酸配列又はアミノ酸配列の間の同一性又は対応の程度を指す(Reeck et al., 1987, Cell 50: 667を参照)。
【0051】
特定の実施形態では、アミノ酸の少なくとも約50%(好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%又は95%)が配列の規定された長さにわたって一致する場合、2つのアミノ酸配列は「実質的に相同」であり、又は「実質的に類似」する。実質的に相同である配列は既知の技法を用いて配列を比較することによって特定することができる。
【0052】
用語「対応すること」は、類似性又は相同性が測定される分子と正確な位置が同一であろうと、異なっていようと、類似の配列又は相同の配列を指すように本明細書で使用される。核酸又はアミノ酸の配列配置にはスペースが含まれてもよい。従って、用語「対応すること」は、配列類似性を指し、アミノ酸残基又はヌクレオチド塩基の番号付けを指すのではない。
【0053】
用語「クモ」はTheraphosidae科のタランチュラを指す。Theraphosidae科は、100を超える属とその中の約900の種を含有する幾つかの亜科に分けられる。Theraphosidae科の亜科には以下が含まれる。
Acanthopelminae:小型、陸生の新世界タランチュラの亜科。この亜科はたった1つの属Acanthopelma及び2つの種、A.beccarriとA.Rufescensを有する。
Aviculariinae:熱帯性で木に住む新世界タランチュラの亜科。属には、Avicularia、Ephebopus、Iridopelma、Pachistopelma及びTapinaucheniusが挙げられる。
Eumenophorinae:旧世界タランチュラの亜科。属にはAnoploscelus、Batesiella、Citharischius、Encyocrates、Eumenophorus、Hysterocrates、Loxomphalia、Loxoptygus、Mascaraneus、Monocentopus、Myostola及びPhoneyusaが挙げられる。Proshapalopusはこの亜科に入れられることがある。
Harpactirinae:アフリカの旧世界タランチュラの亜科。属にはAugacephalus、Brachionopus、Ceratogyrus、Eucratoscelus、Harpactira、Idiothele、Pterinochilus及びTrichognathellaが挙げられる。
Ischnocolinae亜科は世界中のクモを含む。属には、Catumiri、Chaetopelma、Cratorrhagus、Guyruita、Hemiercus、Heterothele、Holothele、Ischnocolus、Nesiergus、Oligoxystre、Plesiophrictus及びSickiusが挙げられる。
旧世界タランチュラの群からの亜科Ornithoctoninaeのアースタイガー。属にはCitharognathus、Cyriopagopus、Haplopelma、Lampropelma、Ornithoctonus及びPhormingochilusが挙げられる。
Poecilotheriinaeはインド及びスリランカの木にいるクモである。この亜科はたった1つの属Poecilotheriaを含む。
Selenocosmiinaeは主として東アジアとオーストラリアのタランチュラから成る亜科である。属にはBaccallbrapo、Chilobrachys、Chilocosmia、Coremiocnemis、Haplocosmia、Lyrognathus、Orphnaecus、Phlogiellus、Phlogius、Psalmopoeus、Selenobrachys、Selenocosmia、Selenopelma、Selenotholus、Selenotypus、Tapinauchenius及びYamiaが挙げられる。
Selenogyrinaeは、インド及びアフリカのタランチュラの亜科である。属にはAnnandaliella、Euphrictus及びSelenogyrusが挙げられる。
Stromatopelminaeは木に住む西アフリカのタランチュラである。属にはEncyocratella、Heteroscodra及びStromatopelmaが挙げられる。
Theraphosinaeは新世界の陸生タランチュラである。属には、Acanthoscurria、Aenigmarachne、Ami、Aphonopelma、bonnetina、brachypelma、Chromatopelma、Citharacanthus、Clavopelma、Crassicrus、Cubanana、Cyclosternum、Cyriocosmus、Cyrtopholis、Euathlus、Eupalaestrus、Grammostola、Hapalopus、Hapalotremus、Hemirrhagus、Homoeomma、Kochiana、Lasiodora、Lasiodorides、Magulla、Maraca、Megaphobema、Melloleitaoina、Metriopelma、Neostenotarsus、Nesipelma、Nhandu、Ozopactus、Pamphobeteus、Paraphysa、Phormictopus、Plesiopelma、Proshapalopus、Pseudhapalopus、Reversopelma、Schismatothele、Schizopelma、Sericopelma、Sphaerobothria、Stichoplastoris、Theraphosa、Thrixopelma、Tmesiphantes、Vitalius及びXenesthisが挙げられる。
Thrigmopoeinaeはインドのタランチュラである。属にはHaploclastus及びThrigmopoeusが挙げられる。
【0054】
好適な種には、Pterinochilus alluaudi、Pterinochilus chordates、Pterinochilus leetzi、Pterinochilus lugardi、Pterinochilus murinus(すなわち、Pterinochilus spp.Usambara(Psp))、Pterinochilus simoni及びPterinochilus voraxを含むHarpactirinae亜科Pterinochilus属のタランチュラが挙げられるが、これらに限定されない。さらにそのほかの好適な種には、Haplopelma albostriatum、Haplopelma doriae、Haplopelma hainanum、Haplopelma lividum、Haplopelma longipes、Haplopelma minax、Haplopelma robustum、Haplopelma salangense、Haplopelma schmidti及びHaplopelma vonwirthiを含むOrnithoctoninae亜科Haplopelma属のタランチュラが挙げられるが、これらに限定されない。さらにそのほかの好適な種には、Grammastola actaeon、Grammastola alticeps、Grammastola andreleetzi、Grammastola pulchripes、Grammastola burzaquensis、Grammastola chalcothrix、Grammastola doeringi、Grammastola fossor、Grammastola gossei、Grammastola grossa、Grammastola iheringi、Grammastola inermis、Grammastola mendozae、Grammastola mollicoma、Grammastola monticola、Grammastola porteri Grammastola pulchra、Grammastola rosea、Grammastola schulzei、Grammastola spatulata、及びGrammastola vachoniを含むTheraphosinae亜科grammostola属のタランチュラが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
Grammostola roseaの分類に関してGrammostola roseaはたとえば、茶色又は赤色として分類されてもよいことが理解されるべきである。赤色のGrammostola roseaはPhrixotrichus auratus及びParaphysa scrofaとしても知られ、赤色Grammostola(RMG)と呼ばれてもよい。茶色のGrammostola roseaはGrammostola poteri及びGrammostola spatulataとしても知られ、茶色Grammostola(RMG)と呼ばれてもよい。また、少なくとも2つの追加の種又は色のGrammostola roseaは、一方がコンセピオンからのものであり、他方はチリ北部からのものである。
【0056】
特に好適なタランチュラの種には、Pterinochilus spp、Usambara(Psp)、Haplopelma Lividum(Hv)及びRed Morph Grammostola(RMG)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書で言及される濃度範囲、比率範囲又は比範囲は、特に指示されない限り、その範囲及び分画の範囲内の整数の濃度、比率又は比、たとえば、整数の1/3及び1/100を含むように理解されるべきである。
【0058】
たとえば、ポリマーのサブユニット、サイズ又は厚さのような物理的特徴に関する、本明細書で言及される数範囲は、特に指示されない限り、言及された範囲内の整数を含むように理解されるべきである。
【0059】
用語「a」及び「an」は本明細書の上記及びどこかで使用されるとき、「1以上の」数えられる成分を指すことが理解されるべきである。特に言及されない限り、単数の使用が複数を含むことは当業者に明らかであろう。従って、用語「a」、「an」及び「少なくとも1」は、本出願では相互交換可能に使用される。
【0060】
出願の全体を通して、種々の実施形態の記載は、言語「comprising」を使用するが、特別な場合によっては、言語「consisting essentially of」又は「consisting of」を用いて代わりに実施形態を説明することができることが当業者によって理解されるであろう。
【0061】
本教示のより良い理解の目的で及び本教示の範囲を全く限定しない目的で、特に指示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される量、比率又は割合、及びそのほかの数的な値を表す数はすべて、あらゆる場合、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。従って、反対に指示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲で言及される数的パラメータは、得られるように求められる所望の特性によって変化してもよい近似である。最低限、各数的パラメータは、報告された有意な数字の数の観点で、通常の四捨五入法を適用して少なくとも解釈されるべきである。
【0062】
他の用語は本明細書で使用されるとき、当該技術で周知の意味によって定義されることとする。
II.クモ毒ペプチドを単離する方法
【0063】
本願記載の単離されたクモ毒ペプチドは粗精製のクモ毒から単離することができる。特に、粗精製の毒を精製して本願記載の単離されたペプチドを入手する方法は、粗精製のクモ毒を遠心して遠心した毒を得ることと、遠心したクモ毒を濾過して濾過したクモ毒を得ることと、濾過したクモ毒をゲル濾過カラムに負荷することと、カラムを溶出して単離されたペプチドを含有する分画を得ることを含むことができ、又はそれらから成ることができ、単離されたペプチドは陽イオン交換クロマトグラフィ及び/又はHPLCクロマトグラフィを用いてさらに精製することができる。
粗精製の毒は、1以上の新鮮な毒、凍結保存した毒又は凍結乾燥した粗精製の毒であってもよい。粗精製の毒、たとえば、凍結乾燥した毒は、たとえば、約10,000〜約16,000rpm又は約13,000rpmにて、たとえば、約2〜約15分間、又は約7分間で、緩衝液、たとえば、pH約6.0の100mMのAmAc(緩衝液A)に溶解することができる。たとえば、膜フィルター、たとえば、0.22μmのフィルターを介して上清を任意でさらに濾過することができる。その後、予備洗浄したゲル濾過カラム、たとえば、Superdex−30に上清又は濾液を負荷することができる。カラム容量(cv)の約2倍の緩衝液Aにてカラムを予備洗浄することができ、次いで試料を注入する。実行パラメータには、たとえば、0.8ml/分、7ml/分画で2cvの緩衝液Aによって試料を流すことが含まれる。次いで分画を引き出し、膜フィルター、たとえば、0.22μmのフィルターを介して任意で再び濾過することができる。その後、逆相HPLCを用いて、たとえば、溶媒、0.1%TFA中5%ACN(A)と移動相、たとえば、0.1%TFA中60%ACN(B)を含む段階勾配によって溶出して、得られた試料をさらに任意で精製することができる。段階は、3cvについて0〜30%のB、10cvについて30〜55%のB、0.5ml/分画及び2cvについて55〜100%のBであり得る。本願記載のペプチドは2番目の段階で溶出される。実行パラメータは、緩衝液0.1%TFA中5%〜60%のCANであり得る。3区分勾配:0%−30%−55%−100%、0.5ml/分画、1ml/分。
III.クモ毒ペプチドを合成する方法
【0064】
本願記載のペプチドは化学合成によって調製することができ、又は組換えDNA技術を用いて製造してもよい。化学合成によって本発明のペプチドを調製するには、公知の方法を使用してもよく、たとえば、本発明のペプチドは、アジド、酸塩化物、酸無水物、化合物酸無水物、DCC、活性化エステル、Woodwardの試薬K、カルボニルイミダゾール、脱酸化、DCC/HONB、BOP試薬を用いる方法によって得ることができる(たとえば、Bozanszky, M and M. A. Ondetti, Peptide Synthesis, Interscience Publishers, New York (1966); Schroeder and Luebke, The Peptide, Academic Press, New York (1965); F. M. Finn and K. Hofinann, The Proteins Vol. 2, H. Nenrath, R. L. Hill ed., Academic Press Inc., New York (1976); Nobuo Izumiya et al., Peptide Gosei no Kiso to Jikken (Basics and experiments of peptide synthesis), Maruzen Co. (1985); Haruaki Yajima and Shunpei Sakakibara et al., Seikagaku Jikken Koza (Biochemical Experiment) 1, Japanese Biochemical Society ed., Tokyo Kagaku Dojin Co. (1977); Toshiya Kimura, Zoku Seikagaku Jikken Koza (Sequel to Biochemical Experiment) 2, Japanese Biochemical Society ed., Tokyo Kagaku Dojin Co. (1987)を参照)。さらに、本願記載のペプチドは、自動ペプチド合成機(たとえば、PE Applied Bio Systems Co.)を用いる化学合成によって調製することができる。本願記載のペプチドの合成及び再折り畳み手順についてBulaj,Gら(2006)Biochemistry 45,7404に記載されたもののような方法も使用することができる。
【0065】
さらに、反応の完了に続いて、本願記載のペプチドを公知の精製法によって精製し、分離することができる。たとえば、本発明のペプチドは、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、再結晶化などの組み合わせによって精製し、分離することができる。本願記載の、上記方法によって得られるペプチドが遊離の形態である場合、公知の方法を用いてそれを塩の形態に変換することができ、それに対して、ペプチドが塩の形態で得られる場合、公知の方法を用いてそれを遊離の形態に変換することができる。
【0066】
加えて、大腸菌における組換え発現系を用いて、特異的な酵素、たとえば、エンテロキナーゼやTEVの切断部位を持つ融合タンパク質(TRX又はGST)として本願記載のペプチドを発現させてもよい。次に、細菌を破壊し、遠心し、得られた液が融合タンパク質を含有する。次いで特異的なアフィニティカラム、たとえば、溶出されるNi2+カラム又はグルタチオンカラムに融合タンパク質を負荷することができる。溶出の後、精製した融合タンパク質を特異的な酵素切断反応に供する。次いで、HPLC又はイオン交換クロマトグラフィによってペプチドを精製する。
IV.ほかの生物学的な方法
【0067】
従来の及び分析的な化学的技法、分子生物学的技法及び細胞生物学的技法を含む方法を本明細書で記載する。そのような技法は一般に当該技術で既知であり、たとえば、Classics in Total Synthesis,Targets,Strategies,Methods,K.C.Nicolaou及びE.J.Sorensen,VCH,New York,1996;The Logic of Chemical Synthesis,E.J.Coney及びXue−Min Cheng,Wiley & Sons,NY,1989;並びにNMR of Proteins and Nucleic Acids,Wuthrich,K.,Wiley & Sons,New York,1986のような方法論の論文で詳細に記載されている。分子生物学的な方法及び細胞生物学的な方法は、 Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版、1〜3巻、Sambrookら編、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,2001;及びCurrent Protocols in Molecular Biology,Ausubelら編、Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York,1992(定期的に更新される)のような論文に記載されている。
V.クモ毒ペプチドを含む医薬組成物
製剤
【0068】
本願記載の医薬組成物は、非経口、局所又は直腸で投与することができる。それらは当然、各投与経路に好適な形態で提供される。たとえば、それらは、注射、吸入、軟膏、座薬など、注射、点滴又は吸入による投与、ローション又は軟膏による局所投与、及び座薬による直腸投与によって投与される。
【0069】
語句「非経口投与」及び「非経口で投与される」は、本明細書で使用されるとき、腸内投与及び局所投与以外の普通、注射による投与の方式を意味し、それには限定しないで、静脈内、筋肉内、動脈内、クモ膜下、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、関節包下、クモ膜下、髄腔内、及び胸骨内の注射及び注入が挙げられる。
【0070】
語句「全身性投与」「全身性に投与される」、「末梢性投与」及び「末梢性に投与される」は、本明細書で使用されるとき、化合物、薬剤又はそのほかの物質の中枢神経系への直接投与ではなく、それが患者の系に入るので代謝等の過程に供されるように投与すること、たとえば、皮下投与を意味する。
【0071】
追加の賦形剤に関する一般的な製剤化の手順及び情報の詳細は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版に見つけられ得る。
【0072】
治療を必要とする対象に、有効量の本明細書に記載されるペプチドを含有する組成物を投与することができる。組成物は、非経口で、静脈内に、局所で、経口で、頬内に、鼻内に、直腸内に、皮下に、筋肉内に、又は腹腔内に投与することができる。一実施では、たとえば、脳脊髄液に組成物を注射することができる。
【0073】
治療の組成物は投与経路に適合するように製剤化されてもよい。組成物は、錠剤、カプセル剤、溶液、粉剤、吸入剤、ローション、チンキ剤、トローチ、座薬、又は経皮貼付剤として製剤化することができる。たとえば、Journal of Pharmaceutical Sciences,(1963), 52:918以下参照を参照のこと。
【0074】
非経口、経皮又は皮下の投与のための溶液は、たとえば、水、生理食塩水、グリセリン、不揮発性油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール又はそのほかの合成溶媒のような無菌の希釈剤;たとえば、ベンジルアルコール及びメチルパラベンのような抗菌剤;たとえば、アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;キレート剤;たとえば、酢酸塩又はリン酸塩のような緩衝剤を含んでもよい。溶液は、アンプル、使い捨てシリンジ、又はプラスチック若しくはガラスのバイアルに保存することができる。
【0075】
注射又は静脈内投与のための製剤は、溶媒又は分散媒であるキャリアを含むことができる。好適なキャリアには、水、生理的生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,NJ)、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、エタノール、ポリオール類(たとえば、グリセロール、グリコール、プロピレングリコールなど)及びこれらの混合物が挙げられる。これらの組成物は、無菌であり、注射できる流体でなければならない。レシチン又は界面活性剤のようなコーティングによって流動性を維持することができる。たとえば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸及びチメロサールのような抗菌剤及び抗真菌剤を含めることによって微生物の混入を防ぐことができる。糖類及びマンニトールやソルビトールのような多価アルコール、塩化ナトリウムを用いて組成物における等張性を維持することができる。
溶液のフィルター無菌化によって無菌性を保証することができる。或いは、個々にフィルター無菌化した成分から溶液を製造することができる。フィルター無菌化した成分を真空乾燥し、又は凍結乾燥して無菌粉末を製造することができる。注射に先立って、無菌のキャリア溶液によってそのような粉末を再水和することができる。
【0076】
経口組成物には、たとえば、錠剤、カプセル剤、トローチ、懸濁剤及び溶液が含まれる。不活性希釈剤又は食用キャリアと共に組成物を作出してもよい。カプセル剤は、適当な希釈剤をペプチド又はその製剤と混ぜ合わせ、カプセルに混合物を充填することによって製剤化することができる。一般的な希釈剤は、たとえば、粉末化セルロースのようなデンプン又はスクロース、フルクトース若しくはマンニトールのような糖類である。錠剤は、湿式若しくは乾式の造粒によって、圧縮によって又はそのほかの既知の方法によって作製してもよい。所望のペプチド/化合物に加えて、錠剤用の組成物は、たとえば、微細結晶セルロースのような結合剤、又はゼラチン;たとえば、デンプンのような賦形剤;糖(たとえば、ラクトース、フルクトース、グルコース、メチルセルロース、エチルセルロース);ゴム(たとえば、ゴムトラガカント、アカシアゴム);崩壊剤(たとえば、アルギン酸、プリモゲル、若しくはコーンスターチ);潤滑剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、若しくはステロート);流動促進剤(たとえば、コロイド状二酸化珪素);甘味剤(たとえば、スクロース若しくはサッカリン);香味剤(たとえば、ペパーミント、サリチル酸メチル、若しくはオレンジ風味);又は類似の性質の任意の化合物を含むことができる。たとえば、ポリ−D,L−ラクチド−co−グリコリド又はポリグリコリドのような生分解性ポリマーをマトリクスとして用いて組成物の放出を遅らせることができる(たとえば、米国特許第5,417,986号、同第4,675,381号及び同第4,450,150号を参照)。
【0077】
吸入による投与については、たとえば、好適な高圧ガス、たとえば、気体を含有する加圧容器の分配器からのエアゾール噴霧の形態で、又はそのほかの既知の方法によって化合物を送達してもよい。たとえば、投与は、たとえば、鼻内スプレー若しくは座薬によって経粘膜であることができ、又はたとえば、軟膏、軟膏、ジェル若しくはクリームのような経皮手段によることもできる。そのような投与方式は、たとえば、胆汁塩及びフシジン酸誘導体を含む製剤を使用することができる。
投与方式
【0078】
本明細書に記載されるペプチドは、たとえば、ボーラス注射によって、たとえば、硬膜外領域との接触を長引かせるように持続点滴によって、又はほかの既知の方法によって投与することができる。任意の時間、ペプチドを注入することができる。特定の対象の必要性に従って、たとえば、疼痛を治療するための標準的な臨床プロトコールの枠組みの範囲内で投与の投与量及びタイミングを修正することができる。クモ膜下経路によって及び血流の中にペプチドを送達することもできる。加えて、埋め込み可能な又は生体搭載可能なポンプを用いて本明細書に記載されるペプチドを制御された速度で送達することができる。或いは、長期間投与は、技術で既知のデポー製剤又は徐放性製剤によって達成することができる。
投与量
【0079】
治療に適切な投与量を決定しなければならない。阻害剤の有効量は、対象における脊髄性筋萎縮症状を改善するのに必要とされる量又は用量である。個々の対象を治療するのに必要とされる量又は用量の決定は当業者、たとえば、内科医、薬剤師又は研究者にとって日常的なことである。
【0080】
ペプチド及び/又はペプチド製剤の毒性及び治療有効性も決定されてもよい。非ヒト動物にてLD50(集団の50%までの致死用量)及びED50(集団の50%における治療上有効な量)を決定するために日常的なプロトコールを利用することができる。LD50/ED50の比として治療指数を測定する。好適な比には、たとえば、約2、5、10、50又は100を超える比が挙げられる。そのような治療は高い有効性を提供する投与量では毒性をほとんど有さないので、高い治療指数の化合物、製剤及び投与法を決定することができる。冒されていない組織、たとえば、内皮組織への損傷をできるだけ抑える一方で、冒された組織に化合物を送達する手段が利用可能であれば、毒性効果又は望ましくない副作用を伴った化合物を使用することができる。
【0081】
ヒトでの使用について投与量範囲を定式化することにおいて、ペプチド調製物の有効用量は、以下に記載するように実験動物による試験から推定することができる。たとえば、細胞培養アッセイにおける治療上有効な投与量には、たとえば、約0.1nM、1nM、10nM、100nM、1μM又は10μMのペプチド及びその間の範囲のペプチドが含まれる。この範囲に入る阻害剤の循環血漿濃度を達成するために動物にて用量を定式化することができる。例となる用量は、細胞培養アッセイで測定するとき、IC50(すなわち、症状の最大半量の抑制を達成する試験化合物の濃度)を超える血漿濃度を生じる。たとえば、血液試料を得ることと、抗体に基づく特異的なELISAアッセイを用いて又は高速液体クロマトグラフィ若しくは質量分光分析法によって試料を解析することによって循環血漿濃度を決定することができる。
【0082】
或いは、以下に記載するような動物モデルでの試験から用量を推定することができる。少なくとも1μg/kg〜10mg/kg以上の用量でラットがペプチド又は医薬組成物を受け取った場合、症状の緩和が認められる。たとえば、用量は、10μg/kg、20μg/kg、40μg/kg、80μg/kg、120μg/kg、180μg/kg、240μg/kg、300μg/kg、360μg/kg、1mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、7mg/kg又は10mg/kgであってもよい。動物とヒトについての投与量(体表面の平方メートル当たりのミリグラムに基づく)の相互関係は、たとえば、Freireichら、Cancer Chemother.Rep.1966,50,219によって記載されている。体表面積は、患者の身長と体重から近似的に決定され得る。たとえば、Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardley,New York,1970,537を参照のこと。治療しているヒト患者の有効量は、ほぼ少なくとも3μg/kg、30μg/kg、120μg/kg、180μg/kg,240μg/kg、300μg/kg、又は500μg/kgであると推定される。対象における疼痛を軽減するのに有効な局所濃度を維持するためにペプチドをある頻度で又は連続的に投与することができる。
【0083】
投与の方法に応じて、適切な用量は、たとえば、約1μg/kg/日から約10mg/kg/日まで変化し得る。患者にとっての用量は、患者が内科医、薬剤師又は研究者のケアのもとにいる間に最適化される。たとえば、相対的に低い用量の記載されるペプチドが当初投与され得る。以下に記載されるように疼痛の症状と感覚について患者をモニターすることができる。適切な応答が得られるまで用量を高めることができる。加えて、特定の対象についての具体的な用量レベルは、対象の年齢、体重、全身状態、性別及び食生活、投与の時間、投与経路、排泄率、及び併用で提供されるそのほかの薬剤によって変化し得る。
実施例
方法
【0084】
粗精製毒のゲル濾過
Pterinochilus spp.Usambara、Haplopelma Lividum及びRed Morph Grammostolaのクモ毒は米国アリゾナ州のSpiderpharmから購入した。Spiderpharmから購入した凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによってタンパク質含量について各バッチも測定した)100mgを2.5mlの緩衝液A(100mMのAmAc、pH6.0)に溶解し、13,000rpmで7分間遠心し、0.22μmのセルロースアセテート膜フィルターを介して濾過し、次いでAKTAプライムシステム(GE HealthCare,Amersham)を用いてXKカラム26/70(コード番号:56876900:GE HealthCare)に詰めたSuperdex−30分取用ゲル濾過媒体(GE HealthCare)に負荷した。カラム容量(cv)の2倍の緩衝液Aでカラムを予備洗浄し、試料ループを用いて試料を注入した。
実行パラメータ:緩衝液A=100mMのAmAc、pH6.0、0.8ml/分にて2cv、7m/分画で試料を流した。
【0085】
そのほかのクロマトグラフィ手順
陽イオン交換法及びHPLCの手順は図1〜6の説明に詳細に記載する。
【0086】
質量分光分析
シナピン酸マトリクスを用いて製造元のプロトコールによって調製されたMALDI−TOF M.S.(Applied Biosystems,Voyager Biospectrometry−DE,Sequenom)。
【0087】
ペプチドの配列決定
精製したペプチドを次いで配列決定に供したが、それには以下が含まれた
・ドイツのProteome Factory及び/又はスイスのAtherisによって実行された天然ペプチドのEdman配列決定。
・ドイツのProteome Factory及び/又はスイスのAtherisによって実行された天然ペプチドのMS−MS解析。
・天然ペプチドの酵素的切断と断片のHPLCによる分離。
・ドイツのProteome Factory及び/又はスイスのAtherisによって実行された断片のEdman配列決定。
・米国カリフォルニア州、カリフォルニア大学デービス校で実行された天然ペプチドのアミノ酸解析。
・ドイツのProteome Factory及び/又はスイスのAtherisによって実行されたモノアイソトピックLC−MS解析。
【0088】
細胞培養
ラットのDRGニューロン:3週齢のチャールズリバーラットから、後根神経節(DRG)に由来するニューロンの一次培養物を回収した。コラゲナーゼ/ディスパーゼでの酵素消化によってDRGを調製し、トリプシンにて分離し、磨いたパスツールピペットを介して粉々にして単一細胞浮遊液にした。パーコール勾配を用いて細胞を精製し、ニューロンの培養物を濃縮した。次いで、マトリゲル(登録商標)で被覆したカバースリップ上で24穴組織培養プレートにそれらを入れ、50ng/mlのNGFと10mMのAraCの存在下でF−12培地と10%ウシ胎児血清(FCS)にて37℃で培養した。次いで、培養したDRGを調製後24時間から4日間、電気生理学的検討に用いることができる。
【0089】
マウスES細胞由来の心筋細胞:一次神経型細胞を代表し、一次心筋細胞の典型的な特性と特徴を示す遺伝子操作したマウス胚性幹細胞に由来するCor.At(登録商標)使用準備済みの心筋細胞を製造元の指示書に従って使用した。手短には、細胞を融解し、ピューロマイシンを含有するCor.At(登録商標)培地中で0.1%ゼラチン又は0.1%ゼラチン/フィブロネクチンを被覆したカバースリップに別々に48時間付着させ、次いで培地をCor.At(登録商標)培地に交換した。4日後1週間以内に細胞を電気生理学的検討に用いた。
【0090】
rNav1.3チャンネルは記載された(Cummins, T. R., et al. 2001)ようにHEK−293細胞で発現された。
【0091】
チャンネルにおけるrNav1.8は、記載された(Zhou, X., et al. 2003; John, V. H., et al. 2004; Jarvis, M. F., et al. 2007; Zimmermann, K., et al. 2007)ように従来の一過性の又は安定的な形質転換を用いてND7−23細胞にて発現された。
【0092】
Xenopus卵母細胞におけるhNav1.3。RNAを合成し、Xenopusの卵母細胞に注入し(卵母細胞当たり約10ng)、3日後、二電極電圧クランプ法(Dascal 1987)を用いて内向き電流を記録した。
【0093】
hKv11.1(hERG)は記載された(Zhou et al. 1998)ようにHEK−293細胞で発現された。
【0094】
電気生理学プロトコール
パッチクランプ法(Hamil et al. 1981)を用いて、2、3の細胞種についてイオン電流又は膜電圧を追跡し、記録した。これらには、天然の細胞又はモデル細胞と同様に組換えチャンネルを過剰発現する非相同の発現系が含まれた。活性を追跡するのに使用した溶液及び電圧プロトコールを表1に示す。パッチクランプの記録ではすべて、サンプリングレートは10〜50kHz(20〜100μs間隔)だった。設定したパッチクランプには、増幅器及びデジタイザー(Axopatch 200B,DIGDATA1322A− Axon instruments)、顕微鏡(Nikon ECLIPSE100)及び極微操作装置(MP−225−SUTTER INSTRUMENT Co)が含まれた。ホウケイ酸ガラスチューブ(SUTTER INSTRUMENT Co)からピペットを引いた。細胞は常に対照の細胞外液と共に精査され、試薬を含有する溶液への変更は、ValveLink16(Automate Scientific Inc.)とペリスタポンプ(Iismatec)潅流システムを用いて実施した。Alomone(Israel)から購入したTTX、rBeKM−1は別にして、試薬はすべてSigmaから購入した。
【0095】
Xenopus卵母細胞における電流は、浴ND96溶液、Genelamp及びDigidata1320(Axon instruments)及び手動(重力に基づく)潅流システムを用いて記録した。
【0096】
【表1】
実施例1
粗精製毒からのペプチドの精製及び化学的性状分析
【0097】
2,3の異なったクロマトグラフィ工程を用いてペプチドA、B、C、D、E及びFをPterinochilus spp、Usambara(Psp)、Haplopelma Lividum(Hv)及びRed Morph Grammostola(RMG)のクモ毒から単離した(図1〜6を参照)。
Psp毒からのペプチドAのクロマトグラフィ精製
【0098】
方法の節で記載された手順に従って、100mgの凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによる110mg)をゲル濾過カラムに負荷した。
【0099】
分画(No.32〜36)をプールし、0.22μmのセルロースアセテートフィルターを介して濾過し、次いで、HPLCシステム(AKTA purifier,GE HealthCare−Amersham)を用いた、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(5u,C18,300A,250x4.6mm,00G−4053−EO,S/No397274−10)に試料の1/4を負荷した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACN(溶媒B)を用いた一工程勾配及び1ml/分の一定流速での実行によってタンパク質を溶出した。工程は、3cv(1cvは約4.125ml)について0〜30%のB、10cvについて30〜55%のB、0.5ml/分画及び2cvについて55〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。同じ手順を試料の残りについて実施した(=4逐次実行)。実行パラメータ:緩衝液0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜30%〜55%〜100%、0.5ml/分画、1ml/分。
Psp毒からのペプチドBのクロマトグラフィ精製
【0100】
方法で記載されたような手順に従って、100mgの凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによる110mg)をゲル濾過カラムに負荷した。
【0101】
分画No.37〜40をプールし、No.41〜43をプールし、さらにプールした分画それぞれを0.22μmのフィルターで濾過し、AKTAプライムシステム(GE HealthCare−Amersham)を用いたHiTrap SP Sepharose Fast Flow5ml陽イオン交換カラム(GE−Amersham;Lot:10005383−3)に負荷した。カラムは緩衝液B(25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0)で予め活性化し、緩衝液A(25mMの酢酸アンモニウムpH6.0と10mMのNaCl)で洗浄した。1ml/分の流速、3ml/分画の一工程勾配によって分離を実施した。工程は、30cvについて0%のAと50%のB(A=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、B=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、1cv=5ml)、10cvについて50−50%B、4cvについて50−100%Bである。関連するペプチドは第1工程に溶出する。実行パラメータ:25mMのAmAc、pH6.0及び10mM〜1MのNaCl、30cvについて0〜50%Bの勾配、1ml/分、3ml/分画。
【0102】
SP−Sepharoseカラムからの関連するピークを0.22μmのフィルターで濾過し、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(5u,C18,300A,250x4.6mm,00G−4053−EO,S/No397274−10)を用いた各2回の逐次実行(AKTApurifier上で、GE HealthCare−Amersham)でのHPLCによるさらなる精製に供した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACN(溶媒B)を用いた一工程勾配及び1ml/分の一定流速での実行によってペプチドを溶出した。工程は、3cv(1cvは約4.125ml)について0〜30%のB、10cvについて30〜55%のB、0.5ml/分画及び2cvについて55〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。実行パラメータ:緩衝液:0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜30%〜55%〜100%、0.5ml/分画、1ml/分。
Hv毒からのペプチドCのクロマトグラフィ精製
【0103】
方法で記載されたような手順(上記参照)に従って、100mgの凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによる55mg)をゲル濾過カラムに負荷した。
【0104】
ゲル濾過の後の凍結乾燥したピークを二重蒸留水(DDW)に溶解し、0.22μmのフィルターで濾過し、AKTAプライムシステム(GE HealthCare−Amersham)を用いたHiTrap SP Sepharose Fast Flow 5ml陽イオン交換カラム(GE−Amersham;Lot:10005383−3)に負荷した。カラムは緩衝液B(25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0)で予め活性化し、緩衝液A(25mMの酢酸アンモニウムpH6.0と10mMのNaCl)で洗浄した。1ml/分の流速、3ml/分画での一工程勾配によって分離を実施した。工程は、30cvについて0%のAと50%のB(A=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、B=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、1cv=5ml)、10cvについて50−50%B、4cvについて50−100%Bである。実行パラメータ:25mMのAmAc、pH6.0及び10mM〜1MのNaCl、30cvについて0〜50%Bの勾配、1ml/分、3ml/分画。
【0105】
SP−Sepharoseカラムからの活性ピークを、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(5u,C18,300A,250x4.6mm,00G−4053−EO,S/No397274−10)を用いたHPLC(AKTApurifier上で、GE HealthCare−Amersham)によるさらなる精製に供した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACN(溶媒B)を用いた一工程勾配及び1ml/分の一定流速での実行によってペプチドを溶出した。工程は、2cv(1cv約20ml)について0〜28%のB、8cvについて28〜47%のB、0.5ml/分画、及び2cvについて47〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。実行パラメータ:緩衝液:0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜28%〜47%〜100%、0.5ml/分画、1ml/分。
Hv毒からのペプチドDのクロマトグラフィ精製
【0106】
100mgの凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによる55mg)をゲル濾過カラムに負荷し、方法で記載されたような手順に従って処理した。
【0107】
ゲル濾過後の凍結乾燥したピークをDDWに溶解し、0.22μmのフィルターで濾過し、AKTAプライムシステム(GE HealthCare−Amersham)を用いたHiTrap SP Sepharose Fast Flow 5ml陽イオン交換カラム(GE−Amersham;Lot:10005383−3)に負荷した。カラムは緩衝液B(25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0)で予め活性化し、緩衝液A(25mMの酢酸アンモニウムpH6.0と10mMのNaCl)で洗浄した。1ml/分の流速、3ml/分画での一工程勾配によって分離を実施した。工程は、30cvについて0%のAと50%のB(A=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、B=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、1cv=5ml)、10cvについて50−50%B、4cvについて50−100%Bである。実行パラメータ:25mMのAmAc、pH6.0及び10mM〜1MのNaCl、30cvについて0〜50%Bの勾配、1ml/分、3ml/分画。
【0108】
SP−Sepharoseカラムからの活性ピークを、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(5u,C18,300A,250x4.6mm,00G−4053−EO,S/No397274−10)を用いたHPLC(AKTApurifier上で、GE HealthCare−Amersham)によるさらなる精製に供した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACN(B)を用いた一工程勾配及び1ml/分の一定流速での実行によってペプチドを溶出した。工程は、2cv(1cv約20ml)について0〜28%のB、8cvについて28〜47%のB、0.5ml/分画、及び2cvについて47〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。実行パラメータ:緩衝液:0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜28%〜47%〜100%、0.5ml/分画、1ml/分。
RMG毒からのペプチドEのクロマトグラフィ精製
【0109】
100mgの凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによる150mg)をゲル濾過カラムに負荷し、方法で記載されたような手順に従って処理した。
【0110】
HPLCシステム(AKTA purifier,GE HealthCare−Amersham)を用いた、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(C18、10u、300A,250x10mm,00G−4055−NO,S/No.378159−1)に分画No.37〜38を負荷した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACN(緩衝液B)を用いた一工程勾配及び2.5ml/分の一定流速での実行によってタンパク質を溶出した。工程は、3cv(1cv約20ml)について0〜35%のB、6cvについて35〜38%のB、及び2cvについて38〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。最終的に、分画No.37〜38からの関連するピークをプールし、さらなる分離のために凍結乾燥した。実行パラメータ:緩衝液:0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜35%〜38%〜100%、2ml/分画、2.5ml/分。
【0111】
凍結乾燥したピークをDDWに溶解し、0.22μmのフィルターで濾過し、AKTApurifuerシステム(GE HealthCare−Amersham)を用いたHiTrap SP Sepharose Fast Flow 5ml陽イオン交換カラム(GE−Amersham;Lot:10005383−3)に負荷した。カラムは緩衝液B(25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0)で予め活性化し、緩衝液A(25mMの酢酸アンモニウムpH6.0と10mMのNaCl)で洗浄した。1ml/分の流速、0.5ml/分画での一工程勾配によって分離を実施した。工程は、30cvについて0%のAと50%のB(A=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、B=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、1cv=1ml)、10cvについて50−50%B、4cvについて50−100%Bである。関連するペプチドは第1工程で溶出する。実行パラメータ:25mMのAmAc、pH6.0及び10mM〜1MのNaCl、30cvについて0〜50%Bの勾配、1ml/分、3ml/分画。
【0112】
SP−Sepharoseカラムからの活性ピークを、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(C18、10u、300A,250x10mm,00G−4055−NO,S/No.378159−1)を用いたHPLC(AKTApurifier上で、GE HealthCare−Amersham)によるさらなる精製に供した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACNを用いた一工程勾配及び1ml/分の一定流速での実行によってペプチドを溶出した。工程は、3cv(1cv約20ml)について0〜30%のB、6cvについて30〜55%のB、0.5ml/分画、及び2cvについて55〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。実行パラメータ:緩衝液:0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜30%〜55%〜100%、0.5ml/分画、1ml/分。
RMG毒からのペプチドFのクロマトグラフィ精製
【0113】
100mgの凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによる150mg)をゲル濾過カラムに負荷し、方法で記載されたような手順に従って処理した。
【0114】
凍結乾燥したピークをDDWに溶解し、0.22μmのフィルターで濾過し、AKTApurifuerシステム(GE HealthCare−Amersham)を用いたHiTrap SP Sepharose Fast Flow 5ml陽イオン交換カラム(GE−Amersham;Lot:10005383−3)に負荷した。カラムは緩衝液B(25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0)で予め活性化し、緩衝液A(25mMの酢酸アンモニウムpH6.0と10mMのNaCl)で洗浄した。1ml/分の流速、0.5ml/分画での一工程勾配によって分離を実施した。工程は、30cvについて0%のAと50%のB(A=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、B=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、1cv=1ml)、10cvについて50−50%B、4cvについて50−100%Bである。関連するペプチドは第1工程で溶出する。実行パラメータ:25mMのAmAc、pH6.0及び10mM〜1MのNaCl、30cvについて0〜50%Bの勾配、1ml/分、3ml/分画。
【0115】
SP−Sepharoseカラムからの活性ピークを、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(C18、10u、300A,250x10mm,00G−4055−NO,S/No.378159−1)を用いたHPLC(AKTApurifier上で、GE HealthCare−Amersham)によるさらなる精製に供した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACN(緩衝液B)を用いた一工程勾配及び2.5ml/分の一定流速での実行によってペプチドを溶出した。工程は、3cv(1cv約20ml)について0〜35%のB、15cvについて35〜55%のB、1.5ml/分画、及び2cvについて55〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。実行パラメータ:緩衝液:0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜35%〜55%〜100%、1.5ml/分画、2.5ml/分。
【0116】
得られたペプチドの質量及び配列を表2に要約する
【表2】
【0117】
6種のペプチドはすべてN末端側からの外見の順に従って気付く、その配列にて6つのシステインを含有する。ペプチドすべてについての天然の試料及び還元試料のMS解析によってシステイン対間の3つのジスルフィド結合の存在が確認された。対のシステイン結合の順は、ほかの多数のタランチュラ毒素に対する類似性から推定され、おそらく以下の順:C1−C4、C2−C5及びC3−C6である(概説については、Escoubas, F. and Rash, L., 2004を参照)。加えて、ペプチドA、B、D及びEはそのC末端でアミド化されている。
実施例2
合成ペプチドの再折り畳み
【0118】
Schnolzer,Mら(1992) In situ neutralization in BOC−chemistry solid phase peptide synthesis,Int.J. Pept.Protein Res.40,180−193及びAtherton,Eら、(1989)Solid Phase Peptide Synthesis(IRL,Oxford,U.K.)に従って、BOC(t−ブチルオキシカルボニル)又はFmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)の固相ペプチド合成を用いた化学合成による固相合成法によってペプチドA、B、C、D、E及びFを合成で製造し、70〜95%の純度で凍結乾燥粉末として提供した。次いで各ペプチドを以下に記載するような様々な再折り畳み法に供し、正しい折り畳みと、毒から精製された天然ペプチドと同一の生物活性を達成した。
ペプチドAの再折り畳み
【0119】
粗精製した合成ペプチドをタンパク質濃度5mMにて0.1Mのトリス緩衝液pH8.5に溶解し、次いで室温(RT)にて1時間、20mMのDTTによって還元した。0.1Mのトリス緩衝液pH8.5及び0.5mMシステインと0.5mMシスチンの混合物を含有する折り畳み溶液に最終濃度25μMで還元ペプチドを加えた。システイン/シスチン緩衝液系を用いて4℃にて8日間、再折り畳みと正しいジスルフィド結合パターンの形成を達成した。
【0120】
0.1%TFAでの60%のCH3CNの26%〜53%の31.5分間の勾配を用いて(5ml/分)、半分取C18カラム(Phenomenex Jupiter、250x10mm、10ミクロン、300A)における逆相HPLCによって再折り畳み合成毒素を精製した。ペプチドAの再折り畳みは、MALDI−TOF質量分光分析及びバイオアッセイによって確認した。
【0121】
合成ペプチドAと元々の天然ペプチド試料のクロマトグラフィでの比較については、折り畳み還元したペプチドを分析用C18カラム(Phenomenex Kinetex、50x4.6mm、2.6ミクロン、100A)を用いた逆相HPLC(島津システム)によって精製した。逆相HPLC解析は、5%〜60%のCH3CNの10分間の線形勾配(2.5ml/分)によって達成した(図13を参照)。
ペプチドBの再折り畳み
【0122】
粗精製の合成ペプチドをタンパク質濃度1.1mMで6MのGnHCl(塩酸グアニジン)と0.1Mのトリス緩衝液pH9.5に溶解し、次いでRTにて1.5時間20mMのDTTで還元した。0.1Mのトリス緩衝液pH9.5と0.15mMのシステイン及び1.5mMのシスチンの混合物を含有する折り畳み溶液に還元したペプチドを27.5μMの最終濃度で加えた。4℃にて1日間、システイン/シスチン緩衝液系を用いて再折り畳みと正しいジスルフィド結合パターンの形成を達成した。
【0123】
0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)中60%CH3CNの30%〜55%の26.18分間の勾配を用いて(6ml/分)、半分取C18カラム(Phenomenex Jupiter、250x10mm、10ミクロン、300A)における逆相HPLCによって再折り畳み合成毒素を精製した。ペプチドBの再折り畳みは、MALDI−TOF質量分光分析及びバイオアッセイによって確認した。
【0124】
合成ペプチドBと元々の天然ペプチド試料のクロマトグラフィでの比較については、折り畳み還元したペプチドを分析用C18カラム(Phenomenex Kinetex、50x4.6mm、2.6ミクロン、100A)を用いた逆相HPLC(島津システム)によって精製した。逆相HPLC解析は、5%〜60%のCH3CNの10分間の線形勾配(2.5ml/分)によって達成した(図14を参照)。
ペプチドCの再折り畳み
【0125】
粗精製の合成ペプチドをタンパク質濃度10.6mMで6MのGnHCl(塩酸グアニジン)と0.1Mのトリス緩衝液pH9.5に溶解し、次いでRTにて1時間20mMのDTTで還元した。0.1Mのトリス緩衝液pH7.5と0.15mMのシステイン及び1.5mMのシスチンの混合物を含有する折り畳み溶液に還元したペプチドを25.5μMの最終濃度で加えた。4℃にて5日間、システイン/シスチン緩衝液系を用いて再折り畳みと正しいジスルフィド結合パターンの形成を達成した。
【0126】
0.1%のTFA中60%CH3CNの22%〜45%の26.18分間の勾配を用いて(6ml/分)、半分取C18カラム(Phenomenex Jupiter、250x10mm、10ミクロン、300A)における逆相HPLCによって再折り畳み合成毒素を精製した。ペプチドCの再折り畳みは、MALDI−TOF質量分光分析及びバイオアッセイによって確認した。
【0127】
合成ペプチドCと元々の天然ペプチド試料のクロマトグラフィでの比較については、折り畳み還元したペプチドを分析用C18カラム(Phenomenex Kinetex、50x4.6mm、2.6ミクロン、100A)を用いた逆相HPLC(島津システム)によって精製した。逆相HPLC解析は、5%〜60%のCH3CNの10分間の線形勾配(2.5ml/分)によって達成した(図15を参照)。
ペプチドDの再折り畳み
【0128】
粗精製の合成ペプチドをタンパク質濃度24mMで0.1Mのトリス緩衝液pH7.5に溶解し、次いでRTにて1時間20mMのDTTで還元した。0.1Mのトリス緩衝液pH7.5と1.5mMのシステイン及び0.15mMのシスチンの混合物を含有する折り畳み溶液に還元したペプチドを13.5μMの最終濃度で加えた。4℃にて4日間、システイン/シスチン緩衝液系を用いて再折り畳みと正しいジスルフィド結合パターンの形成を達成した。
【0129】
0.1%のTFA中60%CH3CNの25%〜55%の35分間の勾配を用いて(4.5ml/分)、半分取C18カラム(Phenomenex Jupiter、250x10mm、10ミクロン、300A)における逆相HPLCによって再折り畳み合成毒素を精製した。ペプチドDの再折り畳みは、MALDI−TOF質量分光分析及びバイオアッセイによって確認した。
【0130】
合成ペプチドDと元々の天然ペプチド試料のクロマトグラフィでの比較については、折り畳み還元したペプチドを分析用C18カラム(Phenomenex Kinetex、50x4.6mm、2.6ミクロン、100A)を用いた逆相HPLC(島津システム)によって精製した。逆相HPLC解析は、5%〜60%のCH3CNの10分間の線形勾配(2.5ml/分)によって達成した(図16を参照)。
ペプチドEの再折り畳み
【0131】
粗精製の合成ペプチドをタンパク質濃度6mMで0.1Mのトリス緩衝液pH7.5に溶解し、次いでRTにて1時間20mMのDTTで還元した。0.1Mのトリス緩衝液pH7.5と0.15mMのシステイン及び1.5mMのシスチンの混合物を含有する折り畳み溶液に還元したペプチドを24.5μMの最終濃度で加えた。4℃にて2日間、システイン/シスチン緩衝液系を用いて再折り畳みと正しいジスルフィド結合パターンの形成を達成した。
【0132】
0.1%のTFA中60%CH3CNの23%〜45%の35分間の勾配を用いて(6ml/分)、半分取用C18カラム(Phenomenex Jupiter、250x10mm、10ミクロン、300A)における逆相HPLCによって再折り畳み合成毒素を精製した。ペプチドEの再折り畳みは、MALDI−TOF質量分光分析及びバイオアッセイによって確認した。
【0133】
合成BS−07と元々の天然ペプチド試料のクロマトグラフィでの比較については、折り畳み還元したペプチドを分析用C18カラム(Phenomenex Kinetex、50x4.6mm、2.6ミクロン、100A)を用いた逆相HPLC(島津システム)によって精製した。逆相HPLC解析は、5%〜60%のCH3CNの10分間の線形勾配(2.5ml/分)によって達成した(図17を参照)。
ペプチドFの再折り畳み
【0134】
粗精製のペプチドを秤量し、水に溶解し、280nmで測定した。
【0135】
20mMの最終濃度で加え、RTで1時間インキュベートするDTTによってペプチドの還元を行った。
【0136】
1mMのグルタチオン(GSH)と0.1mMの酸化グルタチオン(GSSG)と1mMのEDTAを含有する2MのNH4OAc緩衝液(pH=7.0)における酸化的折り畳み反応に還元ペプチドFを供した。最終濃度10μMになるように6回に分けて一滴ずつ還元ペプチドを溶液に加えた。溶液を24℃にて120時間撹拌した。
【0137】
逆相HPLCとさらなるイオン交換クロマトグラフィを含む3工程精製法によって再折り畳みした物質を精製した。
【0138】
溶離液として60%CH3CNを含有する0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液を用いた40分間の線形勾配による(29〜38%)JupiterC18カラムを用いて逆相HPLC精製を行った。ピーク分画をプールし、凍結乾燥した。25%のCH3CNを含有するリン酸カリウム緩衝液(pH=2.5)における700mM塩化カリウムの25分間の線形勾配(50〜70%)によるLunaSCXカラムを用いたイオン交換クロマトグラフィによって過剰な混入物を除いた。60%CH3CNの30〜50%の20分間線形勾配を用いた脱塩用のJupiterC18カラムにピーク分画をもう一度負荷した。ピーク分画を凍結乾燥し、MS、分析用HPLC及びバイオアッセイによる分析によって性状分析した(図18を参照)。
実施例3
単離した純粋なペプチドの試験管内での生物活性
【0139】
TTX感受性Nav1.3チャンネルとTTX耐性Nav1.8チャンネルに対する遮断活性を調べた。これらのそれぞれを哺乳類細胞株で安定的に発現させ、好適な電圧刺激によってチャンネル電流を誘発した。毒素の浴潅流の前、最中(高い用量であることが多い)及び後でのこれらの電流を測定することによって毒素の活性を調べた。各毒素の用量にて阻害された電流の分画を少なくとも3回の別々の細胞で測定し、平均値±SDをプロットする。
【0140】
ペプチドAは、それぞれ1.75μMと2.5μMの見かけのIC50でNav1.3とNav1.8の双方のチャンネルを阻害した。
ペプチドBは、230nMの見かけのIC50でNav1.3チャンネルを阻害した。
ペプチドCは、1.2μMの見かけのIC50でNav1.3チャンネルを阻害した。
ペプチドDは、160nMの見かけのIC50でNav1.3チャンネルを阻害した。
ペプチドEは、310nMの見かけのIC50でNav1.3チャンネルを阻害した。
ペプチドFは、それぞれ130nMと170nMの見かけのIC50でNav1.3とNav1.8の双方のチャンネルを阻害した。
【0141】
活動電位(DRGニューロン膜におけるNavチャンネルの開放によって生成される)の形態でそれを脊髄に伝達する後根神経節(DGR)ニューロンによって末梢の疼痛刺激は感知される。末梢の神経障害では、疼痛シグナルは、多分、その膜上に発現されるNavチャンネルの異なったレパートリーが原因で、損傷されたDRGニューロンの固有の活動電位の興奮によって生成される。DRGニューロンにおいてNavを遮断することは活動電位の生成及び疼痛シグナルの伝達を阻害することが想定されている。従って、我々はラットのDRGニューロンにおける活動電位を記録し、毒素が一工程のさらなる標的確認としてそれを阻害するかどうかを調べた。ペプチドA(5μM)、B(0.7μM)、C(5μM)、D(0.75μM)、E(0.83μM)及びF(1μM)は、Nav1.3チャンネルについて見られるIC50よりも高い用量でDRGの活動電位を阻害した(図7〜12)。調べた細胞すべてにおいてペプチドの効果を600nMのTTXの効果と比較した(図7〜12パネルF、Gを参照)。
【0142】
2つの追加の試験管内の系を用いて試験管内の安全性試験の測定と同様に毒性活性の特異性を調べた。
【0143】
第1は、ヒト心臓Kv11.1(hERG)チャンネルを非相同に発現している細胞におけるK+電流の測定である。Nav1.3で測定されたIC50と、このIC50の3倍と10倍である各ペプチドの3つの用量を用いた。調べた最高の用量でもペプチドA、C、E及びFは効果を示さなかった。ペプチドBとDは双方とも、25%の阻害効果を示したが、それは調べた最高の用量のみで見られた。
【0144】
第2の系は、マウスの胚性幹(ES)細胞に由来する心筋細胞における活動電位の自然に発生する興奮であった。これらの活動電位は多数のイオンチャンネルのアンサンブル活性によって自然発生的に生成される。そのような系における毒素の効果は、少なくとも心臓の副作用に関して推定上の生体内の安全性と同様に特異性(心臓の活動電位の生成が心臓のNav1.5イオンチャンネルのアイソフォームに依存しているとき)の双方を示す。陽性対照として、調べた細胞すべてにおいてTTXを低濃度(300〜600nM)と高濃度(3μM)で潅流した。一般に、高い用量だけがこれらの細胞における活動電位の生成を阻害した(たとえば、図9H及び11Hを参照)。ペプチドA(3.8μM)、B(9μM)、C(5μM)、D(0.75μM)、E(0.83μM)及びF(1μM)は、これらの細胞における活動電位の周波数及び振幅に対して効果を有さなかった(又はペプチドB及びFについては約20%阻害の非常に軽微な効果を有した)(図7〜12、パネルH、I)。
【0145】
各ペプチドについて試験すべての結果を表3と図7〜12に要約する。
【0146】
図1A及び図1Bに示すように、ペプチドAはPterinochilus spp.Usambara venom(Psp)からクロマトグラフィ精製によって得ることができる。
【0147】
図2A,2B及び2Cに示す、ペプチドBはPsp毒からクロマトグラフィ精製によって得ることができる。
【0148】
図3A、3B及び3Cに示すように、ペプチドCは、Haplopelma lividumの毒(Hv)からクロマトグラフィ精製によって得ることができる。
【0149】
図4A,4B、及び4Cに示す、ペプチドDはHvからクロマトグラフィ精製によって得ることができる。
【0150】
図5A、5B、5C及び5Dに示すように、ペプチドEは、Red Morph Grammostola(RMG)の毒からクロマトグラフィ精製によって得ることができる。
【0151】
図6A,6B及び6Cに示す、ペプチドFはRMGの毒からクロマトグラフィ精製によって得ることができる。
【0152】
図7A〜IはペプチドAの試験管内の活性を示す。
【0153】
図7Aは、2μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.3チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図7A〜7Dのそれぞれに示すように、対照の濃度は黒線で表し、浴潅流の前に測定する。それに対して灰色の線は浴潅流の間に測定した電圧を表す。
【0154】
図7Bは、3.4μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するhNav1.3チャンネル(Xenopusの卵母細胞で発現される)の応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0155】
図7Cは、2μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.8チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0156】
図7Dは、5.25μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前及び最中の電圧ステップの刺激(方法を参照)に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図7Dはまた、確立したhERGブロッカー(200nMのBeKM−1)の浴潅流に対する応答も示す。応答は細い黒線で示される。
【0157】
図7Eは、各チャンネル(挿入における記号)についての少なくとも3回の実験を要約した用量反応曲線を示す。見かけのIC50を表3に提供する。
【0158】
図7Fは、急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。600nMのTTXの浴潅流の間、及び5μMのペプチドAの浴潅流の間、痕跡は対照の条件下にある。図7Fに示すように、太い黒線は対照条件下での応答を表し、細い黒線は600nMのTTXの浴潅流の間の応答を表し、灰色の線は5μMのペプチドAの浴潅流の間の応答を表す。
【0159】
図7Gは、図7Fに記載した条件などでの幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0160】
図7Hは、マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)において記録された膜電圧の連続痕跡の例を示す。活動電位は自然発生的に及び規則的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のグラフにプロットする。棒は示した濃度での化合物の浴潅流の期間を表す。
【0161】
図7Iは、3.75μMのペプチドA及び3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0162】
図8A〜IはペプチドBの試験管内の活性を示す。
【0163】
図8Aは、0.5μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前と最中での電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.3チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図8A〜8Dのそれぞれに示すように対照濃度は黒線で表し、浴潅流の前に測定する。それに対して灰色の線は浴潅流の間に測定した電圧を表す。
【0164】
図8Bは、0.5μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するhNav1.3チャンネル(Xenopusの卵母細胞で発現される)の応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0165】
図8Cは、0.7μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.8チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0166】
図8Dは、1.5μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前及び最中の電圧ステップの刺激(方法を参照)に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図8Dはまた、細い黒線で示されるように、確立したhERGブロッカー(200nMのBeKM−1)の浴潅流の間の応答も示す。
【0167】
図8Eは、各チャンネル(挿入における記号)についての少なくとも3回の実験を要約した用量反応曲線を示す。見かけのIC50を表3に提供する。
【0168】
図8Fは、急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。600nMのTTXの浴潅流の間、及び0.7μMのペプチドBの浴潅流の間、痕跡は対照の条件下にある。図8Fに示すように、太い黒線は対照条件下での応答を表し、細い黒線は600nMのTTXの浴潅流の間の応答を表し、灰色の線は0.7μMのペプチドBの浴潅流の間の応答を表す。
【0169】
図8Gは、図8Fに記載した条件などでの幾つかの実験を要約している棒グラフを示す。
【0170】
図8Hは、マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)において記録された膜電圧の連続痕跡の例を示す。活動電位は自然発生的に及び規則的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のグラフにプロットする。棒は示した濃度での化合物の浴潅流の期間を表す。
【0171】
図8Iは、9μMのペプチドB及び3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0172】
図9A〜IはペプチドCの試験管内の活性を示す。
【0173】
図9Aは、1.25μMの純粋なペプチドCの浴潅流の前と最中での電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.3チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図9A〜9Dのそれぞれに示すように対照濃度は黒線で表し、浴潅流の前に測定する。それに対して灰色の線は浴潅流の間に測定した電圧を表す。
【0174】
図9Bは、2.4μMの純粋なペプチドCの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するhNav1.3チャンネル(Xenopusの卵母細胞で発現される)の応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0175】
図9Cは、3.6μMの純粋なペプチドCの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.8チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0176】
図9Dは、4μMの純粋なペプチドCの浴潅流の前及び最中の電圧ステップの刺激(方法を参照)に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図9Dはまた、細い黒線で示されるように、確立したhERGブロッカー(200nMのBeKM−1)の浴潅流の間の応答も示す。
【0177】
図9Eは、各チャンネル(挿入における記号)についての少なくとも3回の実験を要約した用量反応曲線を示す。見かけのIC50を表3に提供する。
【0178】
図9Fは、急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。300nMのTTXの浴潅流の間、及び5μMのペプチドCの浴潅流の間、痕跡は対照の条件下にある。図9Fに示すように、太い黒線は対照条件下での応答を表し、細い黒線は300nMのTTXの浴潅流の間の応答を表し、灰色の線は5μMのペプチドCの浴潅流の間の応答を表す。
【0179】
図9Gは、図9Fに記載した条件などでの幾つかの実験を要約している棒グラフを示す。
【0180】
図9Hは、マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)において記録された膜電圧の連続痕跡の例を示す。活動電位は自然発生的に及び規則的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のグラフにプロットする。棒は示した濃度での化合物の浴潅流の期間を表す。示されるように、低い濃度、すなわち300nM及び高い濃度、すなわち3μM双方のTTXの効果はこの調製では完全に明らかである。
【0181】
図9Iは、5μMのペプチドC及び3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0182】
図10A〜IはペプチドDの試験管内の活性を示す。
【0183】
図10Aは、0.15μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前と最中での電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.3チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図10A〜10Dのそれぞれに示すように対照濃度は黒線で表し、浴潅流の前に測定する。それに対して灰色の線は浴潅流の間に測定した電圧を表す。
【0184】
図10Bは、0.5μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前(黒色、対照)及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するhNav1.3チャンネル(Xenopusの卵母細胞で発現される)の応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0185】
図10Cは、0.48μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.8チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0186】
図10Dは、1μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前及び最中の電圧ステップの刺激(方法を参照)に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図10Dはまた、細い黒線で示される、確立したhERGブロッカー(200nMのBeKM−1)の浴潅流の間の応答も示す。
【0187】
図10Eは、各チャンネル(挿入における記号)についての少なくとも3回の実験を要約した用量反応曲線を示す。見かけのIC50を表3に提供する。
【0188】
図10Fは、急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。600nMのTTXの浴潅流の間、及び0.75μMのペプチドDの浴潅流の間、痕跡は対照の条件下にある。図10Fに示すように、太い黒線は対照条件下での応答を表し、細い黒線は600nMのTTXの浴潅流の間の応答を表し、灰色の線は0.75μMのペプチドDの浴潅流の間の応答を表す。
【0189】
図10Gは、図10Fに記載した条件などでの幾つかの実験を要約している棒グラフを示す。
【0190】
図10Hは、マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)において記録された膜電圧の連続痕跡の例を示す。活動電位は自然発生的に及び規則的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のグラフにプロットする。棒は示した濃度での化合物の浴潅流の期間を表す。
【0191】
図10Iは、0.75μMのペプチドD及び3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0192】
図11A〜IはペプチドEの試験管内の活性を示す。
【0193】
図11Aは、0.3μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前と最中での電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.3チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図11A〜11Dのそれぞれに示すように対照濃度は黒線で表し、浴潅流の前に測定する。それに対して灰色の線は浴潅流の間に測定した電圧を表す。
【0194】
図11Bは、0.93μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するhNav1.3チャンネル(Xenopusの卵母細胞で発現される)の応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0195】
図11Cは、0.93μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.8チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0196】
図11Dは、0.93μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前及び最中の電圧ステップの刺激(方法を参照)に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図11Dはまた、細い黒線で示される、確立したhERGブロッカー(200nMのBeKM−1)の浴潅流の間の応答も示す。
【0197】
図11Eは、各チャンネル(挿入における記号)についての少なくとも3回の実験を要約した用量反応曲線を示す。見かけのIC50を表3に提供する。
【0198】
図11Fは、急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。600nMのTTXの浴潅流の間、及び0.83μMのペプチドEの浴潅流の間(灰色、示した濃度)、痕跡は対照の条件下にある。図11Fに示すように、太い黒線は対照条件下での応答を表し、細い黒線は600nMのTTXの浴潅流の間の応答を表し、灰色の線は0.83μMのペプチドEの浴潅流の間の応答を表す。
【0199】
図11Gは、図11Fに記載した条件などでの幾つかの実験を要約している棒グラフを示す。
【0200】
図11Hは、マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)において記録された膜電圧の連続痕跡の例を示す。活動電位は自然発生的に及び規則的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のグラフにプロットする。棒は示した濃度での化合物の浴潅流の期間を表す。
【0201】
図11Iは、0.83μMのペプチドE及び3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0202】
図12A〜IはペプチドFの試験管内の活性を示す。
【0203】
図12Aは、0.1μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前と最中での電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.3チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図12A〜12Dのそれぞれに示すように対照濃度は黒線で表し、浴潅流の前に測定する。それに対して灰色の線は浴潅流の間に測定した電圧を表す。
【0204】
図12Bは、0.52μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するhNav1.3チャンネル(Xenopusの卵母細胞で発現される)の応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0205】
図12Cは、0.5μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.8チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0206】
図12Dは、0.92μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前及び最中の電圧ステップの刺激(方法を参照)に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図12Dはまた、細い黒線で示される、確立したhERGブロッカー(200nMのBeKM−1)の浴潅流の間の応答も示す。
【0207】
図12Eは、各チャンネル(挿入における記号)についての少なくとも3回の実験を要約した用量反応曲線を示す。見かけのIC50を表3に提供する。
【0208】
図12Fは、急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。600nMのTTXの浴潅流の間、及び1μMのペプチドFの浴潅流の間、痕跡は対照の条件下にある。図12Fに示すように、太い黒線は対照条件下での応答を表し、細い黒線は600nMのTTXの浴潅流の間の応答を表し、灰色の線は1μMのペプチドFの浴潅流の間の応答を表す。
【0209】
図12Gは、図12Fに記載した条件などでの幾つかの実験を要約している棒グラフを示す。
【0210】
図12Hは、マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)において記録された膜電圧の連続痕跡の例を示す。活動電位は自然発生的に及び規則的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のグラフにプロットする。棒は示した濃度での化合物の浴潅流の期間を表す。
【0211】
図12Iは、1μMのペプチドF及び3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0212】
【表3】
【0213】
上記で提示したような6種のタランチュラ毒ペプチドの試験管内の活性は、神経因性疼痛の治療に対するペプチドの有効性及びそれらの推定上の心臓安全性の双方を示す。
【0214】
この適応における標的は、DRG感覚ニューロンの中での電気的活性の伝達(活動電位の形態での)の阻害である。DRGニューロン内での活動電位の生成及び伝搬は、TTX−感受性(とりわけNav1.3)のチャンネル及びTTX−耐性(主としてNav1.8)のチャンネルの活性化の双方に依存する(Devor, 2006; Cummins et al. 2007)。従って、有効性は、標的チャンネルNav1.3(図7A、B、E〜12A、B、E)及びNav1.8(図7C〜12Fを参照)の電流に向かう、及びDRGニューロンにおける誘発活動電位(図7F〜12Fを参照)に向かう阻害作用から生じる。
【0215】
ペプチドA及びFはNav1.3チャンネル及びNav1.8チャンネル双方の阻害剤である(図7E及び12E)。最良のNav1チャンネルの標的との正確な同一性が完全には解明されていないので、このことは生体内で有利であり得る(Devor, 2006; Cummins et al. 2007)。加えて、標的チャンネルを阻害することにおける最も強力なペプチドはFであり、ナノモル以下の範囲でD、B及びEが続き、マイクロモルの範囲でC及びAが続く(表3を参照)。6種のペプチドはすべてDRGニューロンにおける活動電位の生成を阻害した。各毒素について標的チャンネルに対する見かけのIC50より約3倍高い濃度にて、各細胞におけるTTXの作用に対してこれを測定した。しかしながら、ペプチドAの阻害作用は600nMのTTXの効果よりも有意に低かった(図7F、G〜12F、Gを参照)。
【0216】
アプローチは、多分脳血管関門(BBB)を交差してCNSに入ることはないペプチドによって末梢におけるNav1チャンネルを標的にすることであった。従って、推定上の安全性に関する主な懸念は心臓の機能に対する調節効果の回避である。この考えと一致して、ヒトの心臓カリウムhERG(Kv11.1)チャンネル電流に向かう(Redfern et al. 2003)(図7D、E〜12D、E)及び心筋細胞のモデルにおける自然発生的な活動電位パターンに向かう(図7H、I〜12H、Iを参照)その調節作用によってこれらペプチドの推定上の安全性に関する指示が提供される。
【0217】
hERGアッセイにて、標的チャンネルに対するそのIC50の約10倍の濃度にて、BeKM−1の作用に対して各毒素を測定した(図7D、E〜12D、Eを参照)。ペプチドB及びDだけがこれら高い濃度にてこのチャンネルに対する軽微な阻害作用を示した(図8E及び10Eを参照)。心臓活性の一体化モデル(マウスのES−CM)では、ペプチドB及びFが活動電位の周波数に影響を及ぼしたが、特に3μMのTTXの有意な作用に比べて、どのペプチドも活動電位の振幅と周波数に対する有意な阻害作用は示さなかった(図7H、I〜12H、Iを参照)。従って、どのペプチドも標的チャンネルの活性を阻害するのに有効な濃度にて有意な様態で正常であると思われる心臓の活動を遮断するとは思われなかった。
実施例4
天然と合成のペプチドの活性の比較
【0218】
実施例3の手順及び方法の節に従って合成ペプチドと天然ペプチドの遮断活性の比較を調べた。
【0219】
HEK細胞にて発現されたrNav1.3を阻害することについて天然ペプチドと合成ペプチドで類似の用量反応曲線が得られたが、各データ点は3〜5の実験の平均である。
【0220】
ペプチドA、B、C、D、E及びFの用量反応曲線は完全に重なり合うので、活性は天然ペプチドと合成ペプチドで同一である。合成ペプチドD及びEに対するチャンネルの応答は、天然ペプチドより大きいと思われるが、この差異は記録された応答の範囲内である。合成ペプチドと天然ペプチドが質量分光分析及びHPLC解析で同一に見え、Nav1.3チャンネルブロッカーとしてのそれらの活性が非常に似ているので、我々は、毒から精製したものと同一のペプチドを提供するということにおいて合成手段は成功であったと結論付けている。
実施例5
ラットモデルにおける鎮痛適応のための化合物Cの評価
【0221】
本試験は、ラットにおける神経因性疼痛のChungモデルを用いた化合物Cの鎮痛適応を評価することを目的とする。本試験は、ニューヨーク州タリタウン765 Old Saw Mill River Roadに本社のあるPsychoGenics社にて実施された。
材料及び方法
【0222】
動物
Harlan(Indianapolis,IN)のオスのスプラーグドーリーラット(100〜125g)を試験で使用した。受け取った際、独自の識別番号をラットに割り振り、微細アイソレーターフィルターの蓋が付いたポリカーボネート製のケージでケージ当たり3匹にて群飼いした。試験の開始前にすべてのラットを検査し、手で扱い、体重測定して適切な健康状態と好適性を確保した。試験の経過中、12/12の明暗サイクルを維持し、ESTの7:00amにライトを点けた。50%前後で維持した相対湿度と共に室温は20〜23℃の間で維持した。試験の期間中、餌と水は自由に提供された。
【0223】
薬剤
化合物はすべて、5ml/kgの用量体積で1日1回、5日間(手術後17〜21日目)投与した。参照化合物:ガバペンチン(100mg/kg、TRC、ロット番号1−SWN−154−1)は0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液に溶解し、経口で投与した。試験化合物:化合物C(0.25、0.625及び1.25mg/kg;ロット:該当なし)は蒸留水に溶解し、ストック濃度(20倍)にして単回使用アリコートに分け、凍結した。各試験日にアリコートを融解し、PBS(pH7.2)で20倍に希釈し、試験用量の調製でストックとして使用した。化合物Cは皮下に投与した。
方法
神経因性疼痛(脊髄神経結紮)のためのChungモデル
【0224】
イソフルランの持続吸入による全身麻酔のもとで、外科診療部にて無菌処置と共に手術を行った。ラットの下部腰椎と仙椎のレベルでの領域の皮膚の毛を剃り、ベタジンとアルコールで消毒した。無菌の眼科用軟膏を用いて眼を円滑に動かした。麻酔のレベル、尾又は足をつまむことに対する動物の反射反応についての試験、及び動物の呼吸を厳密にモニターすることに関して動物を連続的に観察した。動物が麻酔から回復する間、加熱パッドを用いて体温を37℃で維持した。脊柱に隣接するレベルで左長手切開を行い、傍脊柱筋群を分離した。L6の横突起を取り除き、隣接する結合組織を取り除いてL5とL6の脊髄神経を暴露した。神経を単離し、明瞭に見えるようにした後、4−0の絹糸を用いて左L5を結紮した。筋肉を4−0の絹糸で縫合し、ステープルで傷を閉じた。手術の直前及び6時間後、ラットすべてに鎮痛剤(ブプレノルフィン、0.05mg/kg、皮下)を与えた。覚醒し、回復室で自由に動き回るまで各ラットを監視した。次いで試験の期間中、動物を単独飼育した。試験に先立って手術後2週間ラットを回復させた。
触刺激に対する足底過敏反応の評価(Von Frey試験)
【0225】
後足(同側及び反対側)の足底面に高い曲げ力のvon Frey(VF)フィラメントを適用することによって機械的刺激からの引っ込めを測定した。陽性反応はvon Freyフィラメントからの引っ込めとして定義した。引っ込め反応の上下でのフィラメントへの反応を評価することによって足引っ込め閾値(PWT)の裏付けを調べた。
【0226】
ラットを実験室に持ち込み、試験に先立って1時間部屋に慣らせ、PWT測定を行う前15分間観察室に適応させた。
【0227】
手術前ベースライン試験:手術に先立って、VF試験を用いてラットすべてを調べた。12g未満の同側PWTを有するラットを試験から除外した(ラット1匹を除外)。
【0228】
手術後ベースライン試験:手術後14日目に、手術したラットすべてからベースライン反応を取り、4.5gより大きい同側PWTを排除基準として用いた(13匹のラットを排除)。その後、ラットを計量し、術後のPWT値に基づいて処理群(群当たりn=10)に割り振った。
【0229】
急性試験及び慢性試験:手術後17日目に、ラットにビヒクル、ガバペンチン、又は試験化合物を注射し、投与後1時間と3時間に試験した。試験化合物を5日間投与し、5日目(術後21日目)に再び調べた。
【0230】
統計的解析
反復測定又は一方向分散分析(ANOVA)とその後のFisherPLSD事後比較によってVon Freyデータを解析した。p<0.05であれば効果は有意であるとみなした。データは平均値±平均値の標準誤差(S.E.M.)として表す。
結果
【0231】
ベースラインvon Frey試験(VF)−結紮前と結紮後
有意な結紮X足相互作用効果(図20を参照)によって示されるように、脊髄神経結紮は、病変に対して反対側ではなく同側での後足にて有意に低い足引っ込め閾値を生じた。
【0232】
急性及び慢性のVF試験
表4は、薬剤投与前の同側及び反対側の足引っ込め閾値の値を示す。
【表4】
【0233】
脊髄結紮ラットにおける触覚刺激応答に対するガバペンチン及び化合物Cの急性投与と慢性投与の効果を図21に示す。鎮静及び毒性の兆候は予備処理及び試験の間に認められなかった。
【0234】
急性−同側
二方向反復測定ANOVAによって治療の有意な主効果と、17日目における時間の主効果への有意ではない傾向(p=0.09)が得られた。事後試験は、ガバペンチンと化合物C(0.625及び1.25mg/kg)の急性投与が、双方の時点に対しては重要性を失ったデータについてビヒクルに比べて同側の足引っ込め閾値を有意に高めることを示した。
【0235】
慢性−同側
21日目では、二方向反復測定ANOVAによって有意な処理X時間相互作用効果、及び処理と時間の有意な主効果が得られた。事後試験は、ガバペンチンと化合物C(0.625及び1.25mg/kg)が、慢性処理計画に従ったあらゆる時点でビヒクルに比べて同側の足引っ込め閾値を有意に高めることを示した。ガバペンチンの効果は投与後3時間に比べて1時間で有意に高かった。
【0236】
反対側
反対側の足引っ込め閾値に対する処理すべての効果を図22に示す。二方向反復測定ANOVAによって17日目(急性)又は21日目(慢性)における有意な処理X時間相互作用効果又は処理の有意な主効果は認められなかった。
【0237】
要約
ガバペンチン(100mg/kg)及び化合物C(0.625及び1.25mg/kg)の急性投与又は5日間投与は、双方の時点(投与後1時間と3時間)で同側足引っ込め閾値(PWT)を有意に高めた。反対側の足引っ込め閾値の値に対する試験化合物の有意な化合物はなかった。
【0238】
実施例6
患者は神経因性疼痛に罹っている。本明細書に記載されるような医薬組成物を患者に全身性に投与する。患者はその状態を改善する又は回復することが期待される。
実施例7
【0239】
二重盲検多施設偽薬対照試験において神経因性疼痛での有効性及び安全性を評価するために本明細書に記載されるようなペプチドのいずれかを含む医薬組成物の投与を評価する予測的臨床試験
試験設計
慢性神経因性疼痛の患者における週2回の自由な用量(50〜200μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週)又は固定用量(200μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週)の有効性及び安全性を評価する無作為、二重盲検、多施設、偽薬対照、並行群を用いた12週間の試験。試験は、数カ国での多施設で実施する。
【0240】
試験は、ヘルシンキ宣言を起源とする倫理原則を順守する。
対象
【0241】
適格な患者は、有痛性の糖尿病性末梢神経障害(DPN)(グリコシル化ヘモグロビン[HbA1c]11%の1型及び2型糖尿病で6ヵ月以上有痛性、遠位性、全身性、感覚運動性の多発性神経障害)又はヘルペス後神経痛(PHN)(帯状疱疹の皮疹の治癒後3ヵ月以上存在する疼痛)の一次診断を持つ18歳以上の男性及び非妊娠、非授乳の女性である。患者はまた、ベースライン又は無作為化にて短文型マクギル疼痛問診票(SF−MPQ)の視覚アナログ尺度で40mm以上(0mm=「疼痛なし」及び100mm=「考えられる最悪の疼痛」)のスコアを有することも求められる。
【0242】
患者が、臨床上有意な又は不安定な医学的状態又は精神状態を有する場合、除外される。過去2年以内に悪性腫瘍に罹った又は試験期間中に手術の必要性が予想される患者は、異常な心電図(FCG)、クレアチニンクリアランス160ml/分、又は異常な血液像を持つ患者と同様に除外される。過去2年以内に不法薬剤又はアルコールを乱用した患者は除外される。プレガバリンの過去の臨床試験に参加した又はスクリーニングの前30日以内に治験薬若しくは治験剤を服用した者も除外する。試験中の使用が禁止され、ベースラインの外来に先立って少なくとも7日に洗い流しが要求される薬物には、以下:神経因性疼痛を治療するのに通常使用される薬剤(たとえば、ベンゾジアゼピン、骨格筋弛緩剤、カプサイシン、局所麻酔剤、オピオイド、メマチン)、抗癲癇剤(たとえば、カルバマゼピン、クロナゼパム、フェニトイン、バルプロン酸、ラモトリジン、トピラメート、ガバペンチン)、非SSRI抗鬱剤(たとえば、三環系薬、ベンラファキシン)、及び潜在的レチノトキシン(たとえば、ヒドロキシクロロキン、デフェロキサミン、チオリダジン、ビガバトリン)が挙げられる。
【0243】
DPNの患者はまた、少なくとも1日の洗い流しなしではNSAIDS(COX−2阻害剤を含む)及びデキストロメタロファンの服用も禁止される。ガバペンチンに以前暴露されたことがある患者は用量及び治療期間に関わりなく試験に入るのを許可される。うつ病の治療のためのSSRI、心筋梗塞及び卒中の予防のためのアスピリン、不眠症のための短時間作用型ベンゾジアゼピン、及び救急薬としてのパラセタモールなどは、試験期間中の許容可能な薬物である。患者が、B型肝炎又はC型肝炎又はHIVの感染、神経障害、DPN若しくはPHNの一次診断と無関係な重度の疼痛、又は冒された皮節若しくは神経因性疼痛の評価を混乱させ得る神経障害が関与する領域における潜在的に感覚を変える皮膚の状態の既往がある場合も除外される。最終的に、DPN患者で悪性貧血、未治療の甲状腺機能低下又は足指以外の切断の既往のある患者も、PHN患者でその状態に対して神経破壊治療又は神経外科治療を受けた患者と同様に除外される。
治療
【0244】
試験は2つの相:ベースラインの疼痛スコアを確立する1週間の観察相と、患者の必要性に対応した盲検化適応が治療群の1つの適用される12週間の二重盲検治療相を有する。1:2:2の比率で偽薬(n=65)、自由用量組成(50〜200μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週)(n=135)、又は固定用量組成(200μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週)(n=140)に患者を無作為化する。
【0245】
組成自由用量の群に無作為化された患者は、応答と認容性に基づいて1週間間隔で増量する上昇用量(50、100、150及び200μgの本明細書で記載されるペプチドのいずれか/週)を受け取る。1週間後、又は2、3若しくは4週目又は2、3若しくは4週後、単一の減量用量が認められる。これが生じる場合、患者は試験の残りの間、この投与量のままである。この新しい試験設計の利点は、それが、医師が個々の患者の応答に基づいて処方薬剤の投与量を誂える治療ルーチンにさらに密接に近似することである。200μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週を含有する組成の固定用量群に無作為化された患者は、100μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週を含む組成を1週間で出発し、次いで二重盲検治療の残りの11週間、200μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週で続ける。患者はすべて活性のある薬物又は対応する偽薬のカプセルを受け取り、同一の週2回の皮下注射のスケジュールに従う(週ごとの投与量を2つの等用量に分割し、3〜4日間隔以内で投与する)。各試験外来での薬物在庫管理及び投与手順の点検によって順守を評価する。二重盲検試験中いつでも患者は自由に試験を中断することができ、非盲検の延長に入ることができる。
【0246】
評価及び評価項目
ベースライン相(積極的な治療なし)の間に、患者は、11点の(0=「疼痛なし」〜10=「考えられる最悪の疼痛」;0=「疼痛は睡眠を妨げない」〜10=「疼痛が睡眠を完全に妨げる」)数値化スケール(NRS)を用いて疼痛と疼痛関連の睡眠妨害について毎日の日記の内容を作成する。この相の終点であらゆる包含/排除の基準を満たし続ける患者を二重盲検試験投薬に無作為化し、6回の無作為化後の外来で評価する。一次有効性パラメータは、患者の毎日の日記の内容で記録されるような患者のNRSに基づく終点の平均疼痛スコアである。毎朝覚醒時、患者はNRSを用いて過去24時間の神経因性疼痛の強度を日記に記録する。二次有効性パラメータには、毎日の睡眠妨害日記(疼痛日記に類似する)、及び医学予後試験(MOS)−睡眠スケール(Hey and Stewart, 1992)、及び患者の満足度(PGIC)が挙げられた。MOS睡眠スケールは、健康関連の生活の質に対する睡眠の影響を測定するのに使用される検証された12項目の患者が完成する問診票である。
【0247】
安全性
安全性の評価には、有害事象(AEs、発生率、性質、強度、試験薬との関係)の要約、臨床検査成績、及び生理学的、神経学的検査と12誘導心電図の成績が含まれた。
【0248】
本明細書に記載されるペプチドのいずれかを含む組成物を受け取っている患者は、疼痛、炎症及び慢性の神経因性疼痛に関連する他の症状が軽減されることが期待される。
【0249】
その本質的な性質から逸脱することなく種々の改変を行うことができることは、本主題が関係する当業者によって十分に理解されるであろう。そのような改変をすべて添付の特許請求の範囲内に包含することが意図される。
【技術分野】
【0001】
本願記載の主題は、強力で選択的なイオンチャンネルブロッカーとして使用される単離されたクモ毒ペプチド、及び神経因性疼痛の治療のための組成物と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電位依存性ナトリウム(Nav1)チャンネル及び場合によっては低電位活性化型カルシウム(Cav3)チャンネルは、ニューロンを含む興奮細胞すべてにおいて活動電位の生成と伝搬の基礎となる膜タンパク質である。Nav1チャンネルの阻害は、活動電位を興奮させることができないので情報をコードし、伝達することができないニューロンを生じる。
【0003】
神経因性疼痛は、末梢の過興奮性及び中枢性感作の双方を含む複合神経過程である。末梢の過興奮性の原因は、中枢神経系(CNS)に伝達され、疼痛として感知される損傷された後根神経節(DRG)の異所性の自然に生じる興奮なのかも知れない。末梢における損傷された感覚性侵害受容ニューロンにてNav1(又はCav3)チャンネルを特異的に阻害することによってこの現象に対処することは、神経因性疼痛を軽減する又は取り除くことにおいて有効であり得る。非特異的Navブロッカー(たとえば、局所麻酔)の局所適用、又はDRGニューロン膜におけるNav1チャンネルを特異的に認識するNav1ブロッカーの全身性適用のいずれかによってこれを達成し得る。この特異性を高める一般的アプローチの1つは、CNSを回避することによる(ほとんどのNav1アイソフォームがニューロンの活動に決定的に重要である)。他のアプローチは、発現が過興奮性DRGニューロンに限定されているNav1アイソフォームに対する選択的ブロッカーを見つけることである(Devor, 2006; Cummins et al. 2007)。Nav1ブロッカーの特異性に関する主な課題の1つは、心臓遮断活性の回避である。
【0004】
テトロドトキシン(TTX)感受性のNav1.3チャンネルは通常、胚形成期の間にCNS及び末梢神経系(PNS)で発現され、成熟と共にその発現は激しく下方調節される。しかしながら、チャンネル発現の上方調節は以下の神経損傷で報告されている。これらの所見は、Nav1.3アイソフォームを特異的に標的にすることが損傷した過興奮性DRGニューロンを専ら遮断し得ることを示唆している(Devor, 2006; Cummins et al. 2007)。
【0005】
TTX耐性のNav1.8チャンネルはほぼ専らPNSで発現され、DRGニューロンの活動電位の十分に立証されたTTX耐性成分のほとんどに介在することが示されている。最近、疼痛制御における標的としてNav1.8チャンネルの重要性を強調する論文が公表されている(Jarvis, M. F., et al. 2007; Zimmermann, K., et al. 2007)。
【0006】
末梢で特異的に発現されるタンパク質を標的とすることによって疼痛を治療することの重要性は、脊髄で発現されるASICIチャンネルの場合によって強調され、その阻害は神経因性疼痛のラットモデルで鎮痛を誘導する。しかしながら、ペプチド修飾物質の投与は、全身性投与ではペプチドが脳血管関門を交差して標的タンパク質に到達しないので、直接的であるべきである(Mazzuca, M., et al. 2007, Nat. Neurosci. 10, 943)。
【0007】
本明細書の全体を通して種々の科学出版物及び特許又は公開された特許出願が参照される。本発明が関するところの最先端をさらに完全に説明するために、これら出版物すべての開示はその全体が参照によって本明細書に組み入れられる。本明細書のこの節又はそのほかの部分における参照の引用又は特定は、そのような参照が本発明に対する従来技術として利用可能であるという承認として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
提供されるのはクモ毒から単離されたペプチドである。単離された合成クモ毒ペプチドも提供される。好適なクモには、タランチュラ種を挙げることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態では、本願記載の主題に係る精製した又は単離したペプチドは、2〜50の連続したアミノ酸、10〜50の連続したアミノ酸、20〜50の連続したアミノ酸、25〜45の連続したアミノ酸、29〜40の連続したアミノ酸、29〜35の連続したアミノ酸、少なくとも29且つ多くとも35の連続したアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む又はそれから成る。
【0010】
さらなる実施形態では、本願記載の主題に係る精製した又は単離したペプチドは、3000〜5000ダルトン、3250〜4750ダルトン、3500〜4500ダルトン、3550〜4300ダルトン、又は3600〜4250ダルトンの範囲で分子量を有する。
【0011】
一実施形態では、本願記載のペプチドは、イオンチャンネル阻害活性を示すことができる。イオンチャンネルは、ナトリウムイオンチャンネル又はカルシウムイオンチャンネルであることができる。
【0012】
その上さらなる実施形態では、本願記載の主題は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5若しくは配列番号6のいずれか1つの配列、又は(i)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5若しくは配列番号6のいずれか1つの1以上のアミノ酸残基を異なったアミノ酸残基で置き換えることによって、(ii)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5若しくは配列番号6のいずれか1つの1以上のアミノ酸残基の欠失によって、及び/又は(iii)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5若しくは配列番号6のいずれか1つの1以上のアミノ酸残基の付加によって得られる配列、又は該ペプチドの塩若しくは化学誘導体を含む、それから成る、又はその範囲内で見い出される配列を含む精製した又は単離したペプチドを提供する。欠失、置換又は付加に関する1以上は、1〜10、1〜8、1〜6、1〜4、1〜2又は1を指すことができる。一実施形態では、イオンチャンネル遮断活性が維持される。
【0013】
本願記載の主題に係る精製した又は単離したペプチドは、たとえば、DDCLGMFSSCDPDNDKCCEGRKCNKDKWCKYVL(配列番号1)、YCQEFLWTCDEERKCCGDMVCRLWCKKRL(配列番号2)、ACLGFGEKCNPSNDKCCKSSSLVCSQKHKWCKYGW(配列番号3)、ACKGLFVTCTPGKDECCPNHVCSSKHKWCKYKI(配列番号4)、DCLGFMRKCIPDNDKCCRPNLVCSRTHKWCKYVF(配列番号5)及びDCLGWFKGCDPDNDKCCEGYKCNRRDKWCKYKLW(配列番号6)を含む1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。或いは、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6によって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態を含むことができ、又はそれから成ることができる。特に、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4又は配列番号5によって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態を含むことができ、又はそれから成ることができる。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。
【0014】
別の実施形態では、本願記載の主題は、配列DCLGX1X2X3X4CX5PDNDKCC(配列番号7)を含む20〜40の連続したアミノ酸を有する精製した又は単離したペプチドを提供し、式中、X1はM又はFであり、X2はM又はFであり、X3はR又はSであり、X4はK又はSであり、X5はD又はIであり、ペプチドはイオンチャンネル阻害活性を示す。イオンチャンネルはナトリウムイオンチャンネル又はカルシウムイオンチャンネルであり得る。ペプチドはクモ毒から精製することができ、又は単離した合成クモ毒ペプチドであることができる。
【0015】
一実施形態では、本願記載の主題は、配列ACX6GX7X8X9X10CX11PX12X13DX14CC(配列番号8)を含む20〜40の連続したアミノ酸を有する精製した又は単離したペプチドを提供し、式中、X6はK又はLであり、X7はL又はFであり、X8はG又はFであり、X9はE又はVであり、X10はK又はTであり、X11はN又はTであり、X12はS又はGであり、X13はN又はKであり、X14はK又はEであり、ペプチドはイオンチャンネル阻害活性を示す。イオンチャンネルはナトリウムイオンチャンネル又はカルシウムイオンチャンネルであり得る。ペプチドはクモ毒から精製することができ、又は単離した合成クモ毒ペプチドであることができる。
【0016】
さらなる実施形態では、本願記載の主題は、配列X15VCSX16X17HKWCKY(配列番号9)を含む20〜40の連続したアミノ酸を有する精製した又は単離したペプチドを提供し、式中、X15はL又はHであり、X16はQ、S又はRであり、X17はK又はTであり、ペプチドはイオンチャンネル阻害活性を示す。イオンチャンネルはナトリウムイオンチャンネル又はカルシウムイオンチャンネルであり得る。ペプチドはクモ毒から精製することができ、又は単離した合成クモ毒ペプチドであることができる。
【0017】
その上さらなる実施形態では、本願記載の主題によれば、本願記載のペプチド又はその塩を1以上含むことができる又はそれから成ることができるイオンチャンネル阻害剤が提供される。イオンチャンネルはナトリウムイオンチャンネル又はカルシウムイオンチャンネルであり得る。
【0018】
本願記載の主題によれば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表される1以上のアミノ酸配列を含む、それから成る、又はその範囲内で見い出されるペプチドと、薬学上許容可能なキャリア又は希釈剤とを含むことができる又はそれから成ることができる医薬組成物が提供される。一実施形態では、キャリアは水性キャリアである。一実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。一実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4又は配列番号5によって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。
【0019】
一実施形態では、本願記載の主題によれば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表される1以上のアミノ酸配列を含む、それから成る、又はその範囲内で見い出されるペプチド及び/又は薬学上許容可能なその塩の治療上有効な量をそれが必要な対象に投与することを含むことができ、又はそれから成ることができる、対象において疼痛を治療する方法が提供される。一実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。別の実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4又は配列番号5によって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。さらなる実施形態では、治療上有効な量は鎮痛又は抗炎症に有効な量を含むことができる。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。
【0020】
別の実施形態では、本願記載の主題によれば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9のいずれかによって表されるアミノ酸配列を含む、それから成る、又はその範囲内で見い出されるペプチド及び/又は薬学上許容可能なその塩と薬学上許容可能なキャリア又は希釈剤を含む又はそれから成る医薬組成物の治療上有効な量をそれが必要な対象に投与することを含むことができ、又はそれから成ることができる、対象において疼痛を治療する方法が提供される。一実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。別の実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4又は配列番号5によって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。さらなる実施形態では、治療上有効な量は鎮痛又は抗炎症に有効な量を含むことができる。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。
【0021】
さらなる実施形態では、本願記載の主題は、有効量の本願記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象にてイオンチャンネル活性を阻害する方法を提供し、その際、イオンチャンネル活性は心臓機能を損傷することなく阻害ざれる。
【0022】
対象にてNavチャンネルを遮断する方法も提供される。該方法は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9のいずれかによって表されるアミノ酸配列を含む、それから成る、又はその範囲内で見い出されるペプチド及び/又は薬学上許容可能なその塩と薬学上許容可能なキャリア又は希釈剤を含む又はそれから成る医薬組成物の治療上有効な量をそれが必要な対象に投与することを含むことができ、又はそれから成ることができる。一実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。別の実施形態では、ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4又は配列番号5によって表されるアミノ酸配列のC末端がアミド化された形態によって表される1以上のアミノ酸配列を含むことができ、又はそれから成ることができる。さらなる実施形態では、治療上有効な量は鎮痛又は抗炎症に有効な量を含むことができる。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。
【0023】
本願記載の主題によれば、提供されるのは、対象への局所、注射、直腸、鼻内、肺、経口、非経口又は腸内の投与のための医薬組成物である。医薬組成物は吸入又は注入によって投与することができる。医薬組成物は、注射製剤、水溶液、脂質、エマルション、ジェル、ローション、クリーム、軟膏、錠剤、カプセル剤、ゲル/カプセル剤、及び座薬を含むが、これらに限定されない剤形を含むことができる。
【0024】
さらに別の実施形態では、医薬組成物は、経口、非経口または腸内の投与のための液体製剤を含むことができる。液体製剤は水性製剤を含むことができる。
【0025】
本明細書で記載される方法によって治療される疼痛は、末梢の疼痛を含む任意の既知の型の疼痛であり得る。たとえば、治療される疼痛は、神経性の疼痛、神経因性の疼痛、癌の疼痛、手術後の疼痛、口腔又は歯の疼痛、参照される三叉神経痛に由来する疼痛、ヘルペス後神経痛に由来する疼痛、反射性交感神経性ジストロフィによる疼痛及び/又は炎症性状態に関連する疼痛として記載される1以上の疼痛であり得る。
【0026】
疼痛は、たとえば、侵害受容性疼痛、非侵害受容性疼痛、体性痛、内臓痛、神経痛として特徴付けることができる。疼痛は、損傷された細胞から放出される化学刺激と同様に熱、寒冷、振動、伸張に応答する受容体の刺激の結果であり得る。さらに疼痛は、神経細胞機能不全によって生成される疼痛の結果であり得る。本願記載の主題によれば、疼痛は、たとえば、皮膚、筋肉、関節、骨及び靭帯のような組織に関連する−筋骨格系疼痛として知られることが多い疼痛であり得る。疼痛はまた主たる体腔の内臓に関連した疼痛であり得る。この点で、疼痛は、胸部(心臓及び肺)、腹部(肝臓、腎臓、脾臓及び大腸)、及び/又は骨盤(膀胱、子宮及び卵巣)と関連し得る。さらに、本主題に係る疼痛は、神経系自体に関連する疼痛、たとえば、圧迫神経又は神経絞扼に関連する疼痛であり得る。疼痛は、末梢神経系、すなわち、組織と脊髄の間の神経、又は中枢神経系、すなわち、脊髄と脳の間の神経を起源とし得る。疼痛は、たとえば、多発性硬化症、卒中、脳出血、及び/又は酸素飢餓、神経圧迫、神経絞扼、神経炎症、椎間板損傷/椎間板ヘルニア及び/又は帯状疱疹若しくはウイルス感染のような神経感染による神経変性と関連し得る。
【0027】
本願記載の主題によれば、炎症性状態は、急性疼痛、偏頭痛、頭痛、偏頭痛の頭痛、外傷性神経傷害、神経圧迫、神経絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、慢性腰痛、幻肢痛、慢性骨盤痛、神経腫疼痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛、癌、化学療法、HIV及びHIVの治療が誘導する神経障害、過敏性腸症候群及び関連する疾患及びクローン病から成る群から選択される1以上の状態に関連し得る。
【0028】
さらに、提供されるのは、凍結乾燥した粗精製のクモ毒を遠心して遠心した毒を得ることと、遠心した毒を濾過して濾過した毒を得ることと、濾過した毒をゲル濾過カラムに負荷することと、カラムを溶出して単離されたペプチドを含有する分画を得ることを含むことができる、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表される1以上のアミノ酸配列を含む、それから成るペプチドをクモ毒から単離する方法であり、単離されたペプチドは陽イオン交換クロマトグラフィ及び/又はHPLCクロマトグラフィを用いてさらに精製することができる。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。
【0029】
さらに、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9のいずれかによって表される1以上のアミノ酸配列を含む、それから成るペプチドをクモ毒から単離する方法が提供される。ペプチドが配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから成る場合、クモ毒は、Red Morph Grammostola(RMG)の毒であり得るが、Brown Morph Grammostola(BMG)ではない。凍結乾燥した粗精製のクモ毒を遠心して遠心した毒を得ることと、遠心した毒を濾過して濾過した毒を得ることと、濾過した毒をゲル濾過カラムに負荷することと、カラムを溶出して単離されたペプチドを含有する分画を得ることを含むことができ、単離されたペプチドが陽イオン交換クロマトグラフィ及び/又はHPLCクロマトグラフィを用いてさらに精製される方法。
【0030】
さらに別の実施形態では、ペプチドを再び折り畳む方法が提供され、該方法は、1.1mM〜24mMの濃度で粗精製のペプチドを回収することと、たとえば、0.1Mのトリス緩衝液又は2MのNH4OAC緩衝液に粗精製のペプチドを溶解することと、たとえば、20mMのDTTでペプチドを還元することと、たとえば、7〜9.5の範囲でのpHにて10〜24.8μMの最終ペプチド濃度で緩衝化した水溶液における還元された及び/又は酸化されたシステイン又はグルタチオンの系を含有する酸化還元混合物においてペプチドを折り畳むことと、たとえば、折り畳まれたペプチドを半分取C18カラムにて精製することを含む、又はそれらから成る。好適な緩衝液には、たとえば、酢酸アンモニウム緩衝液、重炭酸アンモニウム緩衝液、及び0.1MトリスHCl緩衝液が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】Pterinochilus spp. Usambaraの毒(Psp)に由来するペプチドAのクロマトグラフィ精製を示すグラフである。
【図1B】Pterinochilus spp. Usambaraの毒(Psp)に由来するペプチドAのクロマトグラフィ精製を示す追加のグラフである。
【図2A】Psp毒由来のペプチドBのクロマトグラフィ精製を示すグラフである。
【図2B】Psp毒由来のペプチドBのクロマトグラフィ精製を示す追加のグラフである。
【図2C】Psp毒由来のペプチドBのクロマトグラフィ精製を示す別のグラフである。
【図3A】Haplopelma lividumの毒(Hv)に由来するペプチドCのクロマトグラフィ精製を示すグラフである。
【図3B】Haplopelma lividumの毒(Hv)に由来するペプチドCのクロマトグラフィ精製を示す追加のグラフである。
【図3C】Haplopelma lividumの毒(Hv)に由来するペプチドCのクロマトグラフィ精製を示す別のグラフである。
【図4A】Hv由来のペプチドDのクロマトグラフィ精製を示すグラフである。
【図4B】Hv由来のペプチドDのクロマトグラフィ精製を示す追加のグラフである。
【図4C】Hv由来のペプチドDのクロマトグラフィ精製を示す別のグラフである。
【図5A】Red Morph Grammostola(RMG)の毒に由来するペプチドEのクロマトグラフィ精製を示すグラフである。
【図5B】Red Morph Grammostola(RMG)の毒に由来するペプチドEのクロマトグラフィ精製を示す追加のグラフである。
【図5C】Red Morph Grammostola(RMG)の毒に由来するペプチドEのクロマトグラフィ精製を示す別のグラフである。
【図5D】Red Morph Grammostola(RMG)の毒に由来するペプチドEのクロマトグラフィ精製を示すさらなるグラフである。
【図6A】RMGの毒に由来するペプチドFのクロマトグラフィ精製を示すグラフである。
【図6B】RMGの毒に由来するペプチドFのクロマトグラフィ精製を示す追加のグラフである。
【図6C】RMGの毒に由来するペプチドFのクロマトグラフィ精製を示す別のグラフである。
【図7A】2μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図7B】3.4μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するhNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図7C】2μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.8チャンネルの応答を示す図である。
【図7D】5.25μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前とその最中における及び実証されたhERGブロッカーの浴潅流の最中における電圧ステップ刺激に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答を示す図である。
【図7E】図7A〜図7Dに示された各チャンネルの少なくとも3回の実験を要約する用量反応曲線を示す図である。
【図7F】急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧の応答を示す図である。
【図7G】図7Fで記載した条件で実施した幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図7H】マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)で記録された膜電圧の連続的な痕跡を示す図である。活動電位は自然に且つ定期的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のチャートにプロットする。
【図7I】3.75μMのペプチドAと3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図8A】0.5μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図8B】0.5μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するhNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図8C】0.7μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.8チャンネルの応答を示す図である。
【図8D】1.5μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前とその最中における及び実証されたhERGブロッカーの浴潅流の最中における電圧ステップ刺激に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答を示す図である。
【図8E】図8A〜図8Dに示された各チャンネルの少なくとも3回の実験を要約する用量反応曲線を示す図である。
【図8F】急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧の応答を示す図である。
【図8G】図8Fで記載した条件で実施した幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図8H】マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)で記録された膜電圧の連続的な痕跡を示す図である。
【図8I】9μMのペプチドBと3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図9A】1.25μM(Hv3920)の純粋なペプチドCの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図9B】2.4μM(Hv3920)の純粋なペプチドCの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するhNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図9C】3.6μM(Hv3920)の純粋なペプチドCの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.8チャンネルの応答を示す図である。
【図9D】4Mの純粋なペプチドCの浴潅流の前とその最中における及び実証されたhERGブロッカーの浴潅流の最中における電圧ステップ刺激に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答を示す図である。
【図9E】図9A〜図9Dに示された各チャンネルの少なくとも3回の実験を要約する用量反応曲線を示す図である。見かけのIC50は表3に示す。
【図9F】急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧の応答の重ね合わせた痕跡を示す図である。
【図9G】図9Fで記載した条件で実施した幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図9H】マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)で記録された膜電圧の連続的な痕跡を示す図である。
【図9I】5μMのペプチドCと3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図10A】0.15μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図10B】0.5μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するhNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図10C】0.48μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.8チャンネルの応答を示す図である。
【図10D】1μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前とその最中における及び実証されたhERGブロッカーの浴潅流の最中における電圧ステップ刺激に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答を示す図である。
【図10E】図10A〜図10Dに示された各チャンネルの少なくとも3回の実験を要約する用量反応曲線を示す図である。
【図10F】急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧の応答の重ね合わせた痕跡を示す図である。
【図10G】図10Fで記載した条件で実施した幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図10H】マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)で記録された膜電圧の連続的な痕跡を示す図である。
【図10I】0.75μMのペプチドDと3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図11A】0.3μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図11B】0.93μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するhNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図11C】0.93μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.8チャンネルの応答を示す図である。
【図11D】0.93μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前とその最中における及び実証されたhERGブロッカーの浴潅流の最中における電圧ステップ刺激に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答を示す図である。
【図11E】図11A〜図11Dに示された各チャンネルの少なくとも3回の実験を要約する用量反応曲線を示す図である。
【図11F】急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧の応答の重ね合わせた痕跡を示す図である。
【図11G】図11Fで記載した条件で実施した幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図11H】マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)で記録された膜電圧の連続的な痕跡を示す図である。
【図11I】0.83μMのペプチドEと3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図12A】0.1μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図12B】0.52μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するhNav1.3チャンネルの応答を示す図である。
【図12C】0.5μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前とその最中における電圧ランプ刺激に対するrNav1.8チャンネルの応答を示す図である。
【図12D】0.92μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前とその最中における及び実証されたhERGブロッカーの浴潅流の最中における電圧ステップ刺激に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答を示す図である。
【図12E】図12A〜図12Dに示された各チャンネルの少なくとも3回の実験を要約する用量反応曲線を示す図である。
【図12F】急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧の応答の重ね合わせた痕跡を示す図である。
【図12G】図12Fで記載した条件で実施した幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図12H】マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)で記録された膜電圧の連続的な痕跡を示す図である。
【図12I】1μMのペプチドEと3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフである。
【図13】天然のペプチドA(三角)、20mMのジチオスレイトール(DTT)で1時間還元した合成ペプチドA(四角)及び折り畳んだ合成ペプチドA(丸)の分析用逆相HPLCクロマト図を示す。
【図14】天然のペプチドB(三角)、20mMのジチオスレイトール(DTT)で1.5時間還元した合成ペプチドB(四角)及び折り畳んだ合成ペプチドB(丸)の分析用逆相HPLCクロマト図を示す。
【図15】天然のペプチドC(三角)、20mMのジチオスレイトール(DTT)で1時間還元した合成ペプチドC(四角)及び折り畳んだ合成ペプチドC(丸)の分析用逆相HPLCクロマト図を示す。
【図16】天然のペプチドD(三角)、20mMのジチオスレイトール(DTT)で1時間還元した合成ペプチドD(四角)及び折り畳んだ合成ペプチドD(丸)の分析用逆相HPLCクロマト図を示す。
【図17】天然のペプチドE(三角)、20mMのジチオスレイトール(DTT)で1時間還元した合成ペプチドE(四角)及び折り畳んだ合成ペプチドE(丸)の分析用逆相HPLCクロマト図を示す。
【図18】天然のペプチドF(三角)、20mMのジチオスレイトール(DTT)で1時間還元した合成ペプチドF(四角)及び折り畳んだ合成ペプチドF(丸)の分析用逆相HPLCクロマト図を示す。
【図19】ペプチドA〜Fについてペプチド濃度に対するrNav1.3チャンネルの電流の%阻害として表される天然と合成のペプチドの遮断活性の比較を示す図である。
【図20】同側及び反対側の後肢の結紮前及び結紮後の足引っ込め閾値を示す図である。
【図21】試験化合物の急性投与及び慢性投与の後、1時間及び3時間の時点での同側の足引っ込め閾値を示す図である。
【図22】試験化合物の急性投与及び慢性投与の後、1時間及び3時間の時点での反対側の足引っ込め閾値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
1.定義
以下の定義は、そのような用語を付与される範囲を含む本明細書及び特許請求の範囲の明瞭で一貫した理解を提供する役目を果たす。
【0033】
本明細書で使用されるとき、用語「投与すること」、「投与」などは、健全な医療行為において治療効果を提供するような方式で対象に組成物を送達する方法を指す。本主題の一態様は、それを必要とする患者への治療上有効な量の本主題の組成物の経口投与を提供する。
【0034】
本願記載のクモ毒のペプチドは、疼痛の治療又は鎮痛の誘導に有用である。本明細書で使用されるとき、用語「治療すること」にはまた、そのような疼痛が発生する傾向を有する患者又は対象における疼痛の予防、及びいったん定まっている発生した疼痛の改善若しくは排除、又はそのような疼痛の特徴的な症状の緩和も含まれる。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「疼痛」はあらゆる種類の疼痛を指す。特に、該用語は、神経因性疼痛及び手術後疼痛のような慢性疼痛、慢性腰痛、群発性頭痛、ヘルペス神経痛、幻肢痛、中枢性疼痛、歯痛、オピオイド耐性痛、内臓痛、手術痛、骨損傷痛、分娩中の疼痛、日焼けを含む火傷による疼痛、分娩後の疼痛、偏頭痛、狭心症の疼痛、及び膀胱炎を含む生殖泌尿器関連の疼痛を指す。加えて、神経因性疼痛は、多数の別々の病因から生じ得る。神経因性疼痛は、眼科手術、歯の修復(歯根管)、火傷、反射性交感神経ジストロフィ、ヘルペス後神経痛、糖尿病性の神経障害、関節炎などの結果、生じ得る。該用語はまた、反射性交感神経ジストロフィ及び侵害受容疼痛又は痛覚による疼痛も指す。加えて、用語「疼痛」は、関節炎;たとえば、全身性エリテマトーデス(SLE)又は狼瘡を含む自己免疫疾患;慢性前立腺症;慢性炎症;過敏症;炎症性腸疾患;再潅流損傷;血管炎;移植の拒絶;骨盤炎症性疾患;糸球体腎炎;喘息、炎症性筋疾患;全身性硬化症;皮膚筋炎;多発性筋炎;封入体筋炎;チェディアック・ヒガシ症候群;及び慢性肉芽腫性疾患に関連する疼痛を含むが、これらに限定されない炎症状態と関連する疼痛を指す。
【0036】
本発明の化合物又は薬学上許容可能なその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物は、従来の薬剤配合法に従って調製することができる。たとえば、RemingtonのPharmaceutical Sciences、第18版(1990, Mack Publishing Co., Easton, Pa.)を参照のこと。
【0037】
本明細書で使用されるとき、用語「賦形剤」又は「補助剤」は、薬剤物質ではない医薬組成物の任意の成分を指す。
【0038】
本明細書で使用されるとき、語句「薬剤製品」「医薬剤形」「最終剤形」などは、治療を必要とする患者に投与される、1以上の薬剤物質と1以上の賦形剤の組み合わせ(すなわち、医薬組成物)を指し、溶液、水溶液、エマルション、懸濁液、錠剤、カプセル剤、座薬、クリーム、ジェル、ローションなどの形態であり得る。
【0039】
本明細書で使用されるとき、用語「対象」又は「個体」又は「動物」又は「患者」又は「哺乳類」は、診断、予後又は治療が望まれる任意の対象、特に哺乳類対象、たとえば、ヒトを指す。
【0040】
本明細書で使用されるとき、疾患、障害又は状態の、用語「治療」又は「治療すること」は、その少なくとも1つの症状の緩和、その重症度の軽減又はその進行の遅延、妨害若しくは阻害を包含する。治療は、疾患、障害又は状態が完全に治癒されることを意味しなくてもよい。有効な治療であるには、本明細書で有用な組成物は、疾患、障害又は状態の重症度を軽減し、それに関連する症状の重症度を軽減し、患者又は対象の生活の質の向上を提供し、又は疾患、障害若しくは状態の発症を遅らす、防ぐ若しくは抑制することだけを必要とする。
【0041】
本明細書で使用されるとき、用語「薬学上許容可能な」キャリアは、非毒性で不活性の固体、半固体、液体の任意の種類の充填剤、希釈剤、被包材、製剤化補助剤、又は単に生理食塩水のような無菌の水性媒体を指す。薬学上許容可能なキャリアとして役立ち得る物質の一部の例は、ラクトース、グルコース及びスクロースのような糖類、コーンスターチ及びポテトスターチのようなデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及びセルロースアセテートのようなセルロース及びその誘導体;粉末化トラガカント;麦芽、ゼラチン、タルク;ココアバター及び座薬ワックスのような賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油のような油;プロピレングリコールのようなグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールのようなポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル類、寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張生理食塩水、リンガー溶液;エチルアルコール及びリン酸緩衝液、並びに医薬製剤で使用されるそのほかの非毒性で相溶性の物質である。
【0042】
活性剤は好ましくは、治療上有効な量で投与される。本明細書で使用されるとき、用語「安全で有効な量」は、本願記載の方法で使用した場合、理に適った利益/リスクの比と釣り合った、過度の有害な副作用(たとえば、毒性、刺激又はアレルギー反応)なしで望ましい治療応答を得るのに十分である成分の量を指す。語句「治療上有効な量」は本明細書で使用されるとき、望ましい治療応答を得るのに十分な、本願記載の活性剤の量を指す。たとえば、「治療上有効な量」は、任意の薬物療法に適用可能な理に適った利益/リスクの比で疼痛を治療する若しくは緩和する又は鎮痛を誘導するための活性剤の十分な量であり得る。投与される実際の量、及び投与の度合いと時間的経過は、治療される状態の性質と重症度に左右される。治療の処方、たとえば、投与量やタイミングなどの決定は一般開業医や専門家の責任の範囲内であり、通常、治療される障害、個々の患者の状態、送達の部位、投与の方法、及び開業医に既知のそのほかの因子を考慮に入れる。技法及びプロトコールの例はRemingtonのPharmaceutical Sciencesに見つけることができる。
【0043】
本明細書で使用されるとき、用語「ペプチド」は、アミノ酸1つのアミノ基と隣のアミノ酸のカルボキシル基からH2Oの分子を取り除くことによって形成される共有結合により連結される2以上のアミノ酸から構成される化合物を意味する。
【0044】
本発明の目的での用語「単離された」は、元々の環境(天然に存在する環境)から取り出されている生体材料(核酸又はタンパク質)を指す。たとえば、植物又は動物に天然の状態で存在するペプチドは単離されないが、天然に存在する隣接するアミノ酸から分離された同じペプチドは「単離された」とみなされる。
【0045】
用語「精製された」は、ほかの化合物の存在を排除して絶対的な純度を示す形態で存在する物質を要求しない。むしろ、それは相対的な定義である。ペプチドは、少なくとも1桁、好ましくは2又は3桁、好ましくは4又は5桁、出発物質又は天然物質を精製した後の「精製された」状態にある。
【0046】
本明細書で使用されるとき、用語「実質的に純粋な」は、天然の混入物質から分離されているペプチド又はそのほかの物質を説明する。通常、単量体ペプチドは試料の少なくとも60〜75%が単一のペプチド主鎖を示す場合、実質的に純粋である。軽微な変異体又は化学修飾体は通常、同一ペプチド配列を共有する。普通、実質的に純粋なペプチドは、約85〜90%を超える、特に95%を超えて純粋な、97%を超えて純粋な、又は99%を超えて純粋なペプチド試料を含む。通常、純度はポリアクリルアミドゲル上で測定され、均質性は染色によって判定される。或いは、特定の目的では、高い解像度が必要とされ、精製のためにHPLC又は類似の手段が使用される。ほとんどの目的では、単純なクロマトグラフィカラム又はポリアクリルアミドゲルを用いて純度を決定する。
【0047】
用語「天然に会合する宿主成分を実質的に含まない」は、天然の宿主状態でそれに伴う天然の混入物質から分離されるペプチド又はそのほかの物質を説明する。従って、化学的に合成された又は天然に由来する宿主細胞とは異なる細胞系で合成されたペプチドは天然に会合する宿主細胞成分を実質的に含まない。
【0048】
用語「相同性」は、2つのポリヌクレオチド間又は2つのペプチド部分間における同一性の比率を指す。1つの部分から別の部分までの配列間の対応は当該技術で既知の技法によって決定することができる。たとえば、配列情報を並べ、容易に利用できるコンピュータプログラムを用いて2つのペプチド分子間の配列情報を直接比較することにより相同性を決定することができる。
【0049】
本明細書で使用されるとき、その文法上の形態及びスペルの変異すべてにおける用語「相同の」は、スーパーファミリーのタンパク質(たとえば、免疫グロブリンスーパーファミリー)及び異なった種に由来する相同タンパク質(たとえば、ミオシン軽鎖など)を含む「共通する進化的な起源」を持つタンパク質間の関係を指す(Reeck et al., 1987, Cell 50: 667)。そのようなタンパク質(及びそれらをコードする遺伝子)は高い程度の配列類似性によって反映されるように配列相同性を有する。しかしながら、通常の用途及び本適用において、用語「相同の」は、たとえば、「高い」のような副詞で修飾された場合、配列類似性を指すことができ、共通する進化的起源を指すのではない。
【0050】
従って、その文法的形態のすべてにおける用語「配列類似性」は、共通する進化的起源を共有してもよく又はしなくてもよい核酸配列又はアミノ酸配列の間の同一性又は対応の程度を指す(Reeck et al., 1987, Cell 50: 667を参照)。
【0051】
特定の実施形態では、アミノ酸の少なくとも約50%(好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%又は95%)が配列の規定された長さにわたって一致する場合、2つのアミノ酸配列は「実質的に相同」であり、又は「実質的に類似」する。実質的に相同である配列は既知の技法を用いて配列を比較することによって特定することができる。
【0052】
用語「対応すること」は、類似性又は相同性が測定される分子と正確な位置が同一であろうと、異なっていようと、類似の配列又は相同の配列を指すように本明細書で使用される。核酸又はアミノ酸の配列配置にはスペースが含まれてもよい。従って、用語「対応すること」は、配列類似性を指し、アミノ酸残基又はヌクレオチド塩基の番号付けを指すのではない。
【0053】
用語「クモ」はTheraphosidae科のタランチュラを指す。Theraphosidae科は、100を超える属とその中の約900の種を含有する幾つかの亜科に分けられる。Theraphosidae科の亜科には以下が含まれる。
Acanthopelminae:小型、陸生の新世界タランチュラの亜科。この亜科はたった1つの属Acanthopelma及び2つの種、A.beccarriとA.Rufescensを有する。
Aviculariinae:熱帯性で木に住む新世界タランチュラの亜科。属には、Avicularia、Ephebopus、Iridopelma、Pachistopelma及びTapinaucheniusが挙げられる。
Eumenophorinae:旧世界タランチュラの亜科。属にはAnoploscelus、Batesiella、Citharischius、Encyocrates、Eumenophorus、Hysterocrates、Loxomphalia、Loxoptygus、Mascaraneus、Monocentopus、Myostola及びPhoneyusaが挙げられる。Proshapalopusはこの亜科に入れられることがある。
Harpactirinae:アフリカの旧世界タランチュラの亜科。属にはAugacephalus、Brachionopus、Ceratogyrus、Eucratoscelus、Harpactira、Idiothele、Pterinochilus及びTrichognathellaが挙げられる。
Ischnocolinae亜科は世界中のクモを含む。属には、Catumiri、Chaetopelma、Cratorrhagus、Guyruita、Hemiercus、Heterothele、Holothele、Ischnocolus、Nesiergus、Oligoxystre、Plesiophrictus及びSickiusが挙げられる。
旧世界タランチュラの群からの亜科Ornithoctoninaeのアースタイガー。属にはCitharognathus、Cyriopagopus、Haplopelma、Lampropelma、Ornithoctonus及びPhormingochilusが挙げられる。
Poecilotheriinaeはインド及びスリランカの木にいるクモである。この亜科はたった1つの属Poecilotheriaを含む。
Selenocosmiinaeは主として東アジアとオーストラリアのタランチュラから成る亜科である。属にはBaccallbrapo、Chilobrachys、Chilocosmia、Coremiocnemis、Haplocosmia、Lyrognathus、Orphnaecus、Phlogiellus、Phlogius、Psalmopoeus、Selenobrachys、Selenocosmia、Selenopelma、Selenotholus、Selenotypus、Tapinauchenius及びYamiaが挙げられる。
Selenogyrinaeは、インド及びアフリカのタランチュラの亜科である。属にはAnnandaliella、Euphrictus及びSelenogyrusが挙げられる。
Stromatopelminaeは木に住む西アフリカのタランチュラである。属にはEncyocratella、Heteroscodra及びStromatopelmaが挙げられる。
Theraphosinaeは新世界の陸生タランチュラである。属には、Acanthoscurria、Aenigmarachne、Ami、Aphonopelma、bonnetina、brachypelma、Chromatopelma、Citharacanthus、Clavopelma、Crassicrus、Cubanana、Cyclosternum、Cyriocosmus、Cyrtopholis、Euathlus、Eupalaestrus、Grammostola、Hapalopus、Hapalotremus、Hemirrhagus、Homoeomma、Kochiana、Lasiodora、Lasiodorides、Magulla、Maraca、Megaphobema、Melloleitaoina、Metriopelma、Neostenotarsus、Nesipelma、Nhandu、Ozopactus、Pamphobeteus、Paraphysa、Phormictopus、Plesiopelma、Proshapalopus、Pseudhapalopus、Reversopelma、Schismatothele、Schizopelma、Sericopelma、Sphaerobothria、Stichoplastoris、Theraphosa、Thrixopelma、Tmesiphantes、Vitalius及びXenesthisが挙げられる。
Thrigmopoeinaeはインドのタランチュラである。属にはHaploclastus及びThrigmopoeusが挙げられる。
【0054】
好適な種には、Pterinochilus alluaudi、Pterinochilus chordates、Pterinochilus leetzi、Pterinochilus lugardi、Pterinochilus murinus(すなわち、Pterinochilus spp.Usambara(Psp))、Pterinochilus simoni及びPterinochilus voraxを含むHarpactirinae亜科Pterinochilus属のタランチュラが挙げられるが、これらに限定されない。さらにそのほかの好適な種には、Haplopelma albostriatum、Haplopelma doriae、Haplopelma hainanum、Haplopelma lividum、Haplopelma longipes、Haplopelma minax、Haplopelma robustum、Haplopelma salangense、Haplopelma schmidti及びHaplopelma vonwirthiを含むOrnithoctoninae亜科Haplopelma属のタランチュラが挙げられるが、これらに限定されない。さらにそのほかの好適な種には、Grammastola actaeon、Grammastola alticeps、Grammastola andreleetzi、Grammastola pulchripes、Grammastola burzaquensis、Grammastola chalcothrix、Grammastola doeringi、Grammastola fossor、Grammastola gossei、Grammastola grossa、Grammastola iheringi、Grammastola inermis、Grammastola mendozae、Grammastola mollicoma、Grammastola monticola、Grammastola porteri Grammastola pulchra、Grammastola rosea、Grammastola schulzei、Grammastola spatulata、及びGrammastola vachoniを含むTheraphosinae亜科grammostola属のタランチュラが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
Grammostola roseaの分類に関してGrammostola roseaはたとえば、茶色又は赤色として分類されてもよいことが理解されるべきである。赤色のGrammostola roseaはPhrixotrichus auratus及びParaphysa scrofaとしても知られ、赤色Grammostola(RMG)と呼ばれてもよい。茶色のGrammostola roseaはGrammostola poteri及びGrammostola spatulataとしても知られ、茶色Grammostola(RMG)と呼ばれてもよい。また、少なくとも2つの追加の種又は色のGrammostola roseaは、一方がコンセピオンからのものであり、他方はチリ北部からのものである。
【0056】
特に好適なタランチュラの種には、Pterinochilus spp、Usambara(Psp)、Haplopelma Lividum(Hv)及びRed Morph Grammostola(RMG)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書で言及される濃度範囲、比率範囲又は比範囲は、特に指示されない限り、その範囲及び分画の範囲内の整数の濃度、比率又は比、たとえば、整数の1/3及び1/100を含むように理解されるべきである。
【0058】
たとえば、ポリマーのサブユニット、サイズ又は厚さのような物理的特徴に関する、本明細書で言及される数範囲は、特に指示されない限り、言及された範囲内の整数を含むように理解されるべきである。
【0059】
用語「a」及び「an」は本明細書の上記及びどこかで使用されるとき、「1以上の」数えられる成分を指すことが理解されるべきである。特に言及されない限り、単数の使用が複数を含むことは当業者に明らかであろう。従って、用語「a」、「an」及び「少なくとも1」は、本出願では相互交換可能に使用される。
【0060】
出願の全体を通して、種々の実施形態の記載は、言語「comprising」を使用するが、特別な場合によっては、言語「consisting essentially of」又は「consisting of」を用いて代わりに実施形態を説明することができることが当業者によって理解されるであろう。
【0061】
本教示のより良い理解の目的で及び本教示の範囲を全く限定しない目的で、特に指示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される量、比率又は割合、及びそのほかの数的な値を表す数はすべて、あらゆる場合、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。従って、反対に指示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲で言及される数的パラメータは、得られるように求められる所望の特性によって変化してもよい近似である。最低限、各数的パラメータは、報告された有意な数字の数の観点で、通常の四捨五入法を適用して少なくとも解釈されるべきである。
【0062】
他の用語は本明細書で使用されるとき、当該技術で周知の意味によって定義されることとする。
II.クモ毒ペプチドを単離する方法
【0063】
本願記載の単離されたクモ毒ペプチドは粗精製のクモ毒から単離することができる。特に、粗精製の毒を精製して本願記載の単離されたペプチドを入手する方法は、粗精製のクモ毒を遠心して遠心した毒を得ることと、遠心したクモ毒を濾過して濾過したクモ毒を得ることと、濾過したクモ毒をゲル濾過カラムに負荷することと、カラムを溶出して単離されたペプチドを含有する分画を得ることを含むことができ、又はそれらから成ることができ、単離されたペプチドは陽イオン交換クロマトグラフィ及び/又はHPLCクロマトグラフィを用いてさらに精製することができる。
粗精製の毒は、1以上の新鮮な毒、凍結保存した毒又は凍結乾燥した粗精製の毒であってもよい。粗精製の毒、たとえば、凍結乾燥した毒は、たとえば、約10,000〜約16,000rpm又は約13,000rpmにて、たとえば、約2〜約15分間、又は約7分間で、緩衝液、たとえば、pH約6.0の100mMのAmAc(緩衝液A)に溶解することができる。たとえば、膜フィルター、たとえば、0.22μmのフィルターを介して上清を任意でさらに濾過することができる。その後、予備洗浄したゲル濾過カラム、たとえば、Superdex−30に上清又は濾液を負荷することができる。カラム容量(cv)の約2倍の緩衝液Aにてカラムを予備洗浄することができ、次いで試料を注入する。実行パラメータには、たとえば、0.8ml/分、7ml/分画で2cvの緩衝液Aによって試料を流すことが含まれる。次いで分画を引き出し、膜フィルター、たとえば、0.22μmのフィルターを介して任意で再び濾過することができる。その後、逆相HPLCを用いて、たとえば、溶媒、0.1%TFA中5%ACN(A)と移動相、たとえば、0.1%TFA中60%ACN(B)を含む段階勾配によって溶出して、得られた試料をさらに任意で精製することができる。段階は、3cvについて0〜30%のB、10cvについて30〜55%のB、0.5ml/分画及び2cvについて55〜100%のBであり得る。本願記載のペプチドは2番目の段階で溶出される。実行パラメータは、緩衝液0.1%TFA中5%〜60%のCANであり得る。3区分勾配:0%−30%−55%−100%、0.5ml/分画、1ml/分。
III.クモ毒ペプチドを合成する方法
【0064】
本願記載のペプチドは化学合成によって調製することができ、又は組換えDNA技術を用いて製造してもよい。化学合成によって本発明のペプチドを調製するには、公知の方法を使用してもよく、たとえば、本発明のペプチドは、アジド、酸塩化物、酸無水物、化合物酸無水物、DCC、活性化エステル、Woodwardの試薬K、カルボニルイミダゾール、脱酸化、DCC/HONB、BOP試薬を用いる方法によって得ることができる(たとえば、Bozanszky, M and M. A. Ondetti, Peptide Synthesis, Interscience Publishers, New York (1966); Schroeder and Luebke, The Peptide, Academic Press, New York (1965); F. M. Finn and K. Hofinann, The Proteins Vol. 2, H. Nenrath, R. L. Hill ed., Academic Press Inc., New York (1976); Nobuo Izumiya et al., Peptide Gosei no Kiso to Jikken (Basics and experiments of peptide synthesis), Maruzen Co. (1985); Haruaki Yajima and Shunpei Sakakibara et al., Seikagaku Jikken Koza (Biochemical Experiment) 1, Japanese Biochemical Society ed., Tokyo Kagaku Dojin Co. (1977); Toshiya Kimura, Zoku Seikagaku Jikken Koza (Sequel to Biochemical Experiment) 2, Japanese Biochemical Society ed., Tokyo Kagaku Dojin Co. (1987)を参照)。さらに、本願記載のペプチドは、自動ペプチド合成機(たとえば、PE Applied Bio Systems Co.)を用いる化学合成によって調製することができる。本願記載のペプチドの合成及び再折り畳み手順についてBulaj,Gら(2006)Biochemistry 45,7404に記載されたもののような方法も使用することができる。
【0065】
さらに、反応の完了に続いて、本願記載のペプチドを公知の精製法によって精製し、分離することができる。たとえば、本発明のペプチドは、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、再結晶化などの組み合わせによって精製し、分離することができる。本願記載の、上記方法によって得られるペプチドが遊離の形態である場合、公知の方法を用いてそれを塩の形態に変換することができ、それに対して、ペプチドが塩の形態で得られる場合、公知の方法を用いてそれを遊離の形態に変換することができる。
【0066】
加えて、大腸菌における組換え発現系を用いて、特異的な酵素、たとえば、エンテロキナーゼやTEVの切断部位を持つ融合タンパク質(TRX又はGST)として本願記載のペプチドを発現させてもよい。次に、細菌を破壊し、遠心し、得られた液が融合タンパク質を含有する。次いで特異的なアフィニティカラム、たとえば、溶出されるNi2+カラム又はグルタチオンカラムに融合タンパク質を負荷することができる。溶出の後、精製した融合タンパク質を特異的な酵素切断反応に供する。次いで、HPLC又はイオン交換クロマトグラフィによってペプチドを精製する。
IV.ほかの生物学的な方法
【0067】
従来の及び分析的な化学的技法、分子生物学的技法及び細胞生物学的技法を含む方法を本明細書で記載する。そのような技法は一般に当該技術で既知であり、たとえば、Classics in Total Synthesis,Targets,Strategies,Methods,K.C.Nicolaou及びE.J.Sorensen,VCH,New York,1996;The Logic of Chemical Synthesis,E.J.Coney及びXue−Min Cheng,Wiley & Sons,NY,1989;並びにNMR of Proteins and Nucleic Acids,Wuthrich,K.,Wiley & Sons,New York,1986のような方法論の論文で詳細に記載されている。分子生物学的な方法及び細胞生物学的な方法は、 Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版、1〜3巻、Sambrookら編、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,2001;及びCurrent Protocols in Molecular Biology,Ausubelら編、Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York,1992(定期的に更新される)のような論文に記載されている。
V.クモ毒ペプチドを含む医薬組成物
製剤
【0068】
本願記載の医薬組成物は、非経口、局所又は直腸で投与することができる。それらは当然、各投与経路に好適な形態で提供される。たとえば、それらは、注射、吸入、軟膏、座薬など、注射、点滴又は吸入による投与、ローション又は軟膏による局所投与、及び座薬による直腸投与によって投与される。
【0069】
語句「非経口投与」及び「非経口で投与される」は、本明細書で使用されるとき、腸内投与及び局所投与以外の普通、注射による投与の方式を意味し、それには限定しないで、静脈内、筋肉内、動脈内、クモ膜下、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、関節包下、クモ膜下、髄腔内、及び胸骨内の注射及び注入が挙げられる。
【0070】
語句「全身性投与」「全身性に投与される」、「末梢性投与」及び「末梢性に投与される」は、本明細書で使用されるとき、化合物、薬剤又はそのほかの物質の中枢神経系への直接投与ではなく、それが患者の系に入るので代謝等の過程に供されるように投与すること、たとえば、皮下投与を意味する。
【0071】
追加の賦形剤に関する一般的な製剤化の手順及び情報の詳細は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版に見つけられ得る。
【0072】
治療を必要とする対象に、有効量の本明細書に記載されるペプチドを含有する組成物を投与することができる。組成物は、非経口で、静脈内に、局所で、経口で、頬内に、鼻内に、直腸内に、皮下に、筋肉内に、又は腹腔内に投与することができる。一実施では、たとえば、脳脊髄液に組成物を注射することができる。
【0073】
治療の組成物は投与経路に適合するように製剤化されてもよい。組成物は、錠剤、カプセル剤、溶液、粉剤、吸入剤、ローション、チンキ剤、トローチ、座薬、又は経皮貼付剤として製剤化することができる。たとえば、Journal of Pharmaceutical Sciences,(1963), 52:918以下参照を参照のこと。
【0074】
非経口、経皮又は皮下の投与のための溶液は、たとえば、水、生理食塩水、グリセリン、不揮発性油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール又はそのほかの合成溶媒のような無菌の希釈剤;たとえば、ベンジルアルコール及びメチルパラベンのような抗菌剤;たとえば、アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;キレート剤;たとえば、酢酸塩又はリン酸塩のような緩衝剤を含んでもよい。溶液は、アンプル、使い捨てシリンジ、又はプラスチック若しくはガラスのバイアルに保存することができる。
【0075】
注射又は静脈内投与のための製剤は、溶媒又は分散媒であるキャリアを含むことができる。好適なキャリアには、水、生理的生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,NJ)、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、エタノール、ポリオール類(たとえば、グリセロール、グリコール、プロピレングリコールなど)及びこれらの混合物が挙げられる。これらの組成物は、無菌であり、注射できる流体でなければならない。レシチン又は界面活性剤のようなコーティングによって流動性を維持することができる。たとえば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸及びチメロサールのような抗菌剤及び抗真菌剤を含めることによって微生物の混入を防ぐことができる。糖類及びマンニトールやソルビトールのような多価アルコール、塩化ナトリウムを用いて組成物における等張性を維持することができる。
溶液のフィルター無菌化によって無菌性を保証することができる。或いは、個々にフィルター無菌化した成分から溶液を製造することができる。フィルター無菌化した成分を真空乾燥し、又は凍結乾燥して無菌粉末を製造することができる。注射に先立って、無菌のキャリア溶液によってそのような粉末を再水和することができる。
【0076】
経口組成物には、たとえば、錠剤、カプセル剤、トローチ、懸濁剤及び溶液が含まれる。不活性希釈剤又は食用キャリアと共に組成物を作出してもよい。カプセル剤は、適当な希釈剤をペプチド又はその製剤と混ぜ合わせ、カプセルに混合物を充填することによって製剤化することができる。一般的な希釈剤は、たとえば、粉末化セルロースのようなデンプン又はスクロース、フルクトース若しくはマンニトールのような糖類である。錠剤は、湿式若しくは乾式の造粒によって、圧縮によって又はそのほかの既知の方法によって作製してもよい。所望のペプチド/化合物に加えて、錠剤用の組成物は、たとえば、微細結晶セルロースのような結合剤、又はゼラチン;たとえば、デンプンのような賦形剤;糖(たとえば、ラクトース、フルクトース、グルコース、メチルセルロース、エチルセルロース);ゴム(たとえば、ゴムトラガカント、アカシアゴム);崩壊剤(たとえば、アルギン酸、プリモゲル、若しくはコーンスターチ);潤滑剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、若しくはステロート);流動促進剤(たとえば、コロイド状二酸化珪素);甘味剤(たとえば、スクロース若しくはサッカリン);香味剤(たとえば、ペパーミント、サリチル酸メチル、若しくはオレンジ風味);又は類似の性質の任意の化合物を含むことができる。たとえば、ポリ−D,L−ラクチド−co−グリコリド又はポリグリコリドのような生分解性ポリマーをマトリクスとして用いて組成物の放出を遅らせることができる(たとえば、米国特許第5,417,986号、同第4,675,381号及び同第4,450,150号を参照)。
【0077】
吸入による投与については、たとえば、好適な高圧ガス、たとえば、気体を含有する加圧容器の分配器からのエアゾール噴霧の形態で、又はそのほかの既知の方法によって化合物を送達してもよい。たとえば、投与は、たとえば、鼻内スプレー若しくは座薬によって経粘膜であることができ、又はたとえば、軟膏、軟膏、ジェル若しくはクリームのような経皮手段によることもできる。そのような投与方式は、たとえば、胆汁塩及びフシジン酸誘導体を含む製剤を使用することができる。
投与方式
【0078】
本明細書に記載されるペプチドは、たとえば、ボーラス注射によって、たとえば、硬膜外領域との接触を長引かせるように持続点滴によって、又はほかの既知の方法によって投与することができる。任意の時間、ペプチドを注入することができる。特定の対象の必要性に従って、たとえば、疼痛を治療するための標準的な臨床プロトコールの枠組みの範囲内で投与の投与量及びタイミングを修正することができる。クモ膜下経路によって及び血流の中にペプチドを送達することもできる。加えて、埋め込み可能な又は生体搭載可能なポンプを用いて本明細書に記載されるペプチドを制御された速度で送達することができる。或いは、長期間投与は、技術で既知のデポー製剤又は徐放性製剤によって達成することができる。
投与量
【0079】
治療に適切な投与量を決定しなければならない。阻害剤の有効量は、対象における脊髄性筋萎縮症状を改善するのに必要とされる量又は用量である。個々の対象を治療するのに必要とされる量又は用量の決定は当業者、たとえば、内科医、薬剤師又は研究者にとって日常的なことである。
【0080】
ペプチド及び/又はペプチド製剤の毒性及び治療有効性も決定されてもよい。非ヒト動物にてLD50(集団の50%までの致死用量)及びED50(集団の50%における治療上有効な量)を決定するために日常的なプロトコールを利用することができる。LD50/ED50の比として治療指数を測定する。好適な比には、たとえば、約2、5、10、50又は100を超える比が挙げられる。そのような治療は高い有効性を提供する投与量では毒性をほとんど有さないので、高い治療指数の化合物、製剤及び投与法を決定することができる。冒されていない組織、たとえば、内皮組織への損傷をできるだけ抑える一方で、冒された組織に化合物を送達する手段が利用可能であれば、毒性効果又は望ましくない副作用を伴った化合物を使用することができる。
【0081】
ヒトでの使用について投与量範囲を定式化することにおいて、ペプチド調製物の有効用量は、以下に記載するように実験動物による試験から推定することができる。たとえば、細胞培養アッセイにおける治療上有効な投与量には、たとえば、約0.1nM、1nM、10nM、100nM、1μM又は10μMのペプチド及びその間の範囲のペプチドが含まれる。この範囲に入る阻害剤の循環血漿濃度を達成するために動物にて用量を定式化することができる。例となる用量は、細胞培養アッセイで測定するとき、IC50(すなわち、症状の最大半量の抑制を達成する試験化合物の濃度)を超える血漿濃度を生じる。たとえば、血液試料を得ることと、抗体に基づく特異的なELISAアッセイを用いて又は高速液体クロマトグラフィ若しくは質量分光分析法によって試料を解析することによって循環血漿濃度を決定することができる。
【0082】
或いは、以下に記載するような動物モデルでの試験から用量を推定することができる。少なくとも1μg/kg〜10mg/kg以上の用量でラットがペプチド又は医薬組成物を受け取った場合、症状の緩和が認められる。たとえば、用量は、10μg/kg、20μg/kg、40μg/kg、80μg/kg、120μg/kg、180μg/kg、240μg/kg、300μg/kg、360μg/kg、1mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、7mg/kg又は10mg/kgであってもよい。動物とヒトについての投与量(体表面の平方メートル当たりのミリグラムに基づく)の相互関係は、たとえば、Freireichら、Cancer Chemother.Rep.1966,50,219によって記載されている。体表面積は、患者の身長と体重から近似的に決定され得る。たとえば、Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardley,New York,1970,537を参照のこと。治療しているヒト患者の有効量は、ほぼ少なくとも3μg/kg、30μg/kg、120μg/kg、180μg/kg,240μg/kg、300μg/kg、又は500μg/kgであると推定される。対象における疼痛を軽減するのに有効な局所濃度を維持するためにペプチドをある頻度で又は連続的に投与することができる。
【0083】
投与の方法に応じて、適切な用量は、たとえば、約1μg/kg/日から約10mg/kg/日まで変化し得る。患者にとっての用量は、患者が内科医、薬剤師又は研究者のケアのもとにいる間に最適化される。たとえば、相対的に低い用量の記載されるペプチドが当初投与され得る。以下に記載されるように疼痛の症状と感覚について患者をモニターすることができる。適切な応答が得られるまで用量を高めることができる。加えて、特定の対象についての具体的な用量レベルは、対象の年齢、体重、全身状態、性別及び食生活、投与の時間、投与経路、排泄率、及び併用で提供されるそのほかの薬剤によって変化し得る。
実施例
方法
【0084】
粗精製毒のゲル濾過
Pterinochilus spp.Usambara、Haplopelma Lividum及びRed Morph Grammostolaのクモ毒は米国アリゾナ州のSpiderpharmから購入した。Spiderpharmから購入した凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによってタンパク質含量について各バッチも測定した)100mgを2.5mlの緩衝液A(100mMのAmAc、pH6.0)に溶解し、13,000rpmで7分間遠心し、0.22μmのセルロースアセテート膜フィルターを介して濾過し、次いでAKTAプライムシステム(GE HealthCare,Amersham)を用いてXKカラム26/70(コード番号:56876900:GE HealthCare)に詰めたSuperdex−30分取用ゲル濾過媒体(GE HealthCare)に負荷した。カラム容量(cv)の2倍の緩衝液Aでカラムを予備洗浄し、試料ループを用いて試料を注入した。
実行パラメータ:緩衝液A=100mMのAmAc、pH6.0、0.8ml/分にて2cv、7m/分画で試料を流した。
【0085】
そのほかのクロマトグラフィ手順
陽イオン交換法及びHPLCの手順は図1〜6の説明に詳細に記載する。
【0086】
質量分光分析
シナピン酸マトリクスを用いて製造元のプロトコールによって調製されたMALDI−TOF M.S.(Applied Biosystems,Voyager Biospectrometry−DE,Sequenom)。
【0087】
ペプチドの配列決定
精製したペプチドを次いで配列決定に供したが、それには以下が含まれた
・ドイツのProteome Factory及び/又はスイスのAtherisによって実行された天然ペプチドのEdman配列決定。
・ドイツのProteome Factory及び/又はスイスのAtherisによって実行された天然ペプチドのMS−MS解析。
・天然ペプチドの酵素的切断と断片のHPLCによる分離。
・ドイツのProteome Factory及び/又はスイスのAtherisによって実行された断片のEdman配列決定。
・米国カリフォルニア州、カリフォルニア大学デービス校で実行された天然ペプチドのアミノ酸解析。
・ドイツのProteome Factory及び/又はスイスのAtherisによって実行されたモノアイソトピックLC−MS解析。
【0088】
細胞培養
ラットのDRGニューロン:3週齢のチャールズリバーラットから、後根神経節(DRG)に由来するニューロンの一次培養物を回収した。コラゲナーゼ/ディスパーゼでの酵素消化によってDRGを調製し、トリプシンにて分離し、磨いたパスツールピペットを介して粉々にして単一細胞浮遊液にした。パーコール勾配を用いて細胞を精製し、ニューロンの培養物を濃縮した。次いで、マトリゲル(登録商標)で被覆したカバースリップ上で24穴組織培養プレートにそれらを入れ、50ng/mlのNGFと10mMのAraCの存在下でF−12培地と10%ウシ胎児血清(FCS)にて37℃で培養した。次いで、培養したDRGを調製後24時間から4日間、電気生理学的検討に用いることができる。
【0089】
マウスES細胞由来の心筋細胞:一次神経型細胞を代表し、一次心筋細胞の典型的な特性と特徴を示す遺伝子操作したマウス胚性幹細胞に由来するCor.At(登録商標)使用準備済みの心筋細胞を製造元の指示書に従って使用した。手短には、細胞を融解し、ピューロマイシンを含有するCor.At(登録商標)培地中で0.1%ゼラチン又は0.1%ゼラチン/フィブロネクチンを被覆したカバースリップに別々に48時間付着させ、次いで培地をCor.At(登録商標)培地に交換した。4日後1週間以内に細胞を電気生理学的検討に用いた。
【0090】
rNav1.3チャンネルは記載された(Cummins, T. R., et al. 2001)ようにHEK−293細胞で発現された。
【0091】
チャンネルにおけるrNav1.8は、記載された(Zhou, X., et al. 2003; John, V. H., et al. 2004; Jarvis, M. F., et al. 2007; Zimmermann, K., et al. 2007)ように従来の一過性の又は安定的な形質転換を用いてND7−23細胞にて発現された。
【0092】
Xenopus卵母細胞におけるhNav1.3。RNAを合成し、Xenopusの卵母細胞に注入し(卵母細胞当たり約10ng)、3日後、二電極電圧クランプ法(Dascal 1987)を用いて内向き電流を記録した。
【0093】
hKv11.1(hERG)は記載された(Zhou et al. 1998)ようにHEK−293細胞で発現された。
【0094】
電気生理学プロトコール
パッチクランプ法(Hamil et al. 1981)を用いて、2、3の細胞種についてイオン電流又は膜電圧を追跡し、記録した。これらには、天然の細胞又はモデル細胞と同様に組換えチャンネルを過剰発現する非相同の発現系が含まれた。活性を追跡するのに使用した溶液及び電圧プロトコールを表1に示す。パッチクランプの記録ではすべて、サンプリングレートは10〜50kHz(20〜100μs間隔)だった。設定したパッチクランプには、増幅器及びデジタイザー(Axopatch 200B,DIGDATA1322A− Axon instruments)、顕微鏡(Nikon ECLIPSE100)及び極微操作装置(MP−225−SUTTER INSTRUMENT Co)が含まれた。ホウケイ酸ガラスチューブ(SUTTER INSTRUMENT Co)からピペットを引いた。細胞は常に対照の細胞外液と共に精査され、試薬を含有する溶液への変更は、ValveLink16(Automate Scientific Inc.)とペリスタポンプ(Iismatec)潅流システムを用いて実施した。Alomone(Israel)から購入したTTX、rBeKM−1は別にして、試薬はすべてSigmaから購入した。
【0095】
Xenopus卵母細胞における電流は、浴ND96溶液、Genelamp及びDigidata1320(Axon instruments)及び手動(重力に基づく)潅流システムを用いて記録した。
【0096】
【表1】
実施例1
粗精製毒からのペプチドの精製及び化学的性状分析
【0097】
2,3の異なったクロマトグラフィ工程を用いてペプチドA、B、C、D、E及びFをPterinochilus spp、Usambara(Psp)、Haplopelma Lividum(Hv)及びRed Morph Grammostola(RMG)のクモ毒から単離した(図1〜6を参照)。
Psp毒からのペプチドAのクロマトグラフィ精製
【0098】
方法の節で記載された手順に従って、100mgの凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによる110mg)をゲル濾過カラムに負荷した。
【0099】
分画(No.32〜36)をプールし、0.22μmのセルロースアセテートフィルターを介して濾過し、次いで、HPLCシステム(AKTA purifier,GE HealthCare−Amersham)を用いた、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(5u,C18,300A,250x4.6mm,00G−4053−EO,S/No397274−10)に試料の1/4を負荷した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACN(溶媒B)を用いた一工程勾配及び1ml/分の一定流速での実行によってタンパク質を溶出した。工程は、3cv(1cvは約4.125ml)について0〜30%のB、10cvについて30〜55%のB、0.5ml/分画及び2cvについて55〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。同じ手順を試料の残りについて実施した(=4逐次実行)。実行パラメータ:緩衝液0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜30%〜55%〜100%、0.5ml/分画、1ml/分。
Psp毒からのペプチドBのクロマトグラフィ精製
【0100】
方法で記載されたような手順に従って、100mgの凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによる110mg)をゲル濾過カラムに負荷した。
【0101】
分画No.37〜40をプールし、No.41〜43をプールし、さらにプールした分画それぞれを0.22μmのフィルターで濾過し、AKTAプライムシステム(GE HealthCare−Amersham)を用いたHiTrap SP Sepharose Fast Flow5ml陽イオン交換カラム(GE−Amersham;Lot:10005383−3)に負荷した。カラムは緩衝液B(25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0)で予め活性化し、緩衝液A(25mMの酢酸アンモニウムpH6.0と10mMのNaCl)で洗浄した。1ml/分の流速、3ml/分画の一工程勾配によって分離を実施した。工程は、30cvについて0%のAと50%のB(A=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、B=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、1cv=5ml)、10cvについて50−50%B、4cvについて50−100%Bである。関連するペプチドは第1工程に溶出する。実行パラメータ:25mMのAmAc、pH6.0及び10mM〜1MのNaCl、30cvについて0〜50%Bの勾配、1ml/分、3ml/分画。
【0102】
SP−Sepharoseカラムからの関連するピークを0.22μmのフィルターで濾過し、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(5u,C18,300A,250x4.6mm,00G−4053−EO,S/No397274−10)を用いた各2回の逐次実行(AKTApurifier上で、GE HealthCare−Amersham)でのHPLCによるさらなる精製に供した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACN(溶媒B)を用いた一工程勾配及び1ml/分の一定流速での実行によってペプチドを溶出した。工程は、3cv(1cvは約4.125ml)について0〜30%のB、10cvについて30〜55%のB、0.5ml/分画及び2cvについて55〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。実行パラメータ:緩衝液:0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜30%〜55%〜100%、0.5ml/分画、1ml/分。
Hv毒からのペプチドCのクロマトグラフィ精製
【0103】
方法で記載されたような手順(上記参照)に従って、100mgの凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによる55mg)をゲル濾過カラムに負荷した。
【0104】
ゲル濾過の後の凍結乾燥したピークを二重蒸留水(DDW)に溶解し、0.22μmのフィルターで濾過し、AKTAプライムシステム(GE HealthCare−Amersham)を用いたHiTrap SP Sepharose Fast Flow 5ml陽イオン交換カラム(GE−Amersham;Lot:10005383−3)に負荷した。カラムは緩衝液B(25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0)で予め活性化し、緩衝液A(25mMの酢酸アンモニウムpH6.0と10mMのNaCl)で洗浄した。1ml/分の流速、3ml/分画での一工程勾配によって分離を実施した。工程は、30cvについて0%のAと50%のB(A=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、B=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、1cv=5ml)、10cvについて50−50%B、4cvについて50−100%Bである。実行パラメータ:25mMのAmAc、pH6.0及び10mM〜1MのNaCl、30cvについて0〜50%Bの勾配、1ml/分、3ml/分画。
【0105】
SP−Sepharoseカラムからの活性ピークを、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(5u,C18,300A,250x4.6mm,00G−4053−EO,S/No397274−10)を用いたHPLC(AKTApurifier上で、GE HealthCare−Amersham)によるさらなる精製に供した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACN(溶媒B)を用いた一工程勾配及び1ml/分の一定流速での実行によってペプチドを溶出した。工程は、2cv(1cv約20ml)について0〜28%のB、8cvについて28〜47%のB、0.5ml/分画、及び2cvについて47〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。実行パラメータ:緩衝液:0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜28%〜47%〜100%、0.5ml/分画、1ml/分。
Hv毒からのペプチドDのクロマトグラフィ精製
【0106】
100mgの凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによる55mg)をゲル濾過カラムに負荷し、方法で記載されたような手順に従って処理した。
【0107】
ゲル濾過後の凍結乾燥したピークをDDWに溶解し、0.22μmのフィルターで濾過し、AKTAプライムシステム(GE HealthCare−Amersham)を用いたHiTrap SP Sepharose Fast Flow 5ml陽イオン交換カラム(GE−Amersham;Lot:10005383−3)に負荷した。カラムは緩衝液B(25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0)で予め活性化し、緩衝液A(25mMの酢酸アンモニウムpH6.0と10mMのNaCl)で洗浄した。1ml/分の流速、3ml/分画での一工程勾配によって分離を実施した。工程は、30cvについて0%のAと50%のB(A=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、B=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、1cv=5ml)、10cvについて50−50%B、4cvについて50−100%Bである。実行パラメータ:25mMのAmAc、pH6.0及び10mM〜1MのNaCl、30cvについて0〜50%Bの勾配、1ml/分、3ml/分画。
【0108】
SP−Sepharoseカラムからの活性ピークを、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(5u,C18,300A,250x4.6mm,00G−4053−EO,S/No397274−10)を用いたHPLC(AKTApurifier上で、GE HealthCare−Amersham)によるさらなる精製に供した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACN(B)を用いた一工程勾配及び1ml/分の一定流速での実行によってペプチドを溶出した。工程は、2cv(1cv約20ml)について0〜28%のB、8cvについて28〜47%のB、0.5ml/分画、及び2cvについて47〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。実行パラメータ:緩衝液:0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜28%〜47%〜100%、0.5ml/分画、1ml/分。
RMG毒からのペプチドEのクロマトグラフィ精製
【0109】
100mgの凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによる150mg)をゲル濾過カラムに負荷し、方法で記載されたような手順に従って処理した。
【0110】
HPLCシステム(AKTA purifier,GE HealthCare−Amersham)を用いた、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(C18、10u、300A,250x10mm,00G−4055−NO,S/No.378159−1)に分画No.37〜38を負荷した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACN(緩衝液B)を用いた一工程勾配及び2.5ml/分の一定流速での実行によってタンパク質を溶出した。工程は、3cv(1cv約20ml)について0〜35%のB、6cvについて35〜38%のB、及び2cvについて38〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。最終的に、分画No.37〜38からの関連するピークをプールし、さらなる分離のために凍結乾燥した。実行パラメータ:緩衝液:0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜35%〜38%〜100%、2ml/分画、2.5ml/分。
【0111】
凍結乾燥したピークをDDWに溶解し、0.22μmのフィルターで濾過し、AKTApurifuerシステム(GE HealthCare−Amersham)を用いたHiTrap SP Sepharose Fast Flow 5ml陽イオン交換カラム(GE−Amersham;Lot:10005383−3)に負荷した。カラムは緩衝液B(25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0)で予め活性化し、緩衝液A(25mMの酢酸アンモニウムpH6.0と10mMのNaCl)で洗浄した。1ml/分の流速、0.5ml/分画での一工程勾配によって分離を実施した。工程は、30cvについて0%のAと50%のB(A=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、B=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、1cv=1ml)、10cvについて50−50%B、4cvについて50−100%Bである。関連するペプチドは第1工程で溶出する。実行パラメータ:25mMのAmAc、pH6.0及び10mM〜1MのNaCl、30cvについて0〜50%Bの勾配、1ml/分、3ml/分画。
【0112】
SP−Sepharoseカラムからの活性ピークを、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(C18、10u、300A,250x10mm,00G−4055−NO,S/No.378159−1)を用いたHPLC(AKTApurifier上で、GE HealthCare−Amersham)によるさらなる精製に供した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACNを用いた一工程勾配及び1ml/分の一定流速での実行によってペプチドを溶出した。工程は、3cv(1cv約20ml)について0〜30%のB、6cvについて30〜55%のB、0.5ml/分画、及び2cvについて55〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。実行パラメータ:緩衝液:0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜30%〜55%〜100%、0.5ml/分画、1ml/分。
RMG毒からのペプチドFのクロマトグラフィ精製
【0113】
100mgの凍結乾燥した粗精製毒(Nanodropによる150mg)をゲル濾過カラムに負荷し、方法で記載されたような手順に従って処理した。
【0114】
凍結乾燥したピークをDDWに溶解し、0.22μmのフィルターで濾過し、AKTApurifuerシステム(GE HealthCare−Amersham)を用いたHiTrap SP Sepharose Fast Flow 5ml陽イオン交換カラム(GE−Amersham;Lot:10005383−3)に負荷した。カラムは緩衝液B(25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0)で予め活性化し、緩衝液A(25mMの酢酸アンモニウムpH6.0と10mMのNaCl)で洗浄した。1ml/分の流速、0.5ml/分画での一工程勾配によって分離を実施した。工程は、30cvについて0%のAと50%のB(A=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、B=25mMの酢酸アンモニウムと1MのNaCl、pH6.0、1cv=1ml)、10cvについて50−50%B、4cvについて50−100%Bである。関連するペプチドは第1工程で溶出する。実行パラメータ:25mMのAmAc、pH6.0及び10mM〜1MのNaCl、30cvについて0〜50%Bの勾配、1ml/分、3ml/分画。
【0115】
SP−Sepharoseカラムからの活性ピークを、溶液A(0.1%TFA中5%ACN)で予め平衡化したPhenomenex Jupiter逆相HPLCカラム(C18、10u、300A,250x10mm,00G−4055−NO,S/No.378159−1)を用いたHPLC(AKTApurifier上で、GE HealthCare−Amersham)によるさらなる精製に供した。溶媒A(0.1%TFA中5%ACN)と移動相としての0.1%TFA中60%ACN(緩衝液B)を用いた一工程勾配及び2.5ml/分の一定流速での実行によってペプチドを溶出した。工程は、3cv(1cv約20ml)について0〜35%のB、15cvについて35〜55%のB、1.5ml/分画、及び2cvについて55〜100%のBである。関連するペプチドは第2工程で溶出する。実行パラメータ:緩衝液:0.1%TFA中の5〜60%のACN、3区分勾配:0%〜35%〜55%〜100%、1.5ml/分画、2.5ml/分。
【0116】
得られたペプチドの質量及び配列を表2に要約する
【表2】
【0117】
6種のペプチドはすべてN末端側からの外見の順に従って気付く、その配列にて6つのシステインを含有する。ペプチドすべてについての天然の試料及び還元試料のMS解析によってシステイン対間の3つのジスルフィド結合の存在が確認された。対のシステイン結合の順は、ほかの多数のタランチュラ毒素に対する類似性から推定され、おそらく以下の順:C1−C4、C2−C5及びC3−C6である(概説については、Escoubas, F. and Rash, L., 2004を参照)。加えて、ペプチドA、B、D及びEはそのC末端でアミド化されている。
実施例2
合成ペプチドの再折り畳み
【0118】
Schnolzer,Mら(1992) In situ neutralization in BOC−chemistry solid phase peptide synthesis,Int.J. Pept.Protein Res.40,180−193及びAtherton,Eら、(1989)Solid Phase Peptide Synthesis(IRL,Oxford,U.K.)に従って、BOC(t−ブチルオキシカルボニル)又はFmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)の固相ペプチド合成を用いた化学合成による固相合成法によってペプチドA、B、C、D、E及びFを合成で製造し、70〜95%の純度で凍結乾燥粉末として提供した。次いで各ペプチドを以下に記載するような様々な再折り畳み法に供し、正しい折り畳みと、毒から精製された天然ペプチドと同一の生物活性を達成した。
ペプチドAの再折り畳み
【0119】
粗精製した合成ペプチドをタンパク質濃度5mMにて0.1Mのトリス緩衝液pH8.5に溶解し、次いで室温(RT)にて1時間、20mMのDTTによって還元した。0.1Mのトリス緩衝液pH8.5及び0.5mMシステインと0.5mMシスチンの混合物を含有する折り畳み溶液に最終濃度25μMで還元ペプチドを加えた。システイン/シスチン緩衝液系を用いて4℃にて8日間、再折り畳みと正しいジスルフィド結合パターンの形成を達成した。
【0120】
0.1%TFAでの60%のCH3CNの26%〜53%の31.5分間の勾配を用いて(5ml/分)、半分取C18カラム(Phenomenex Jupiter、250x10mm、10ミクロン、300A)における逆相HPLCによって再折り畳み合成毒素を精製した。ペプチドAの再折り畳みは、MALDI−TOF質量分光分析及びバイオアッセイによって確認した。
【0121】
合成ペプチドAと元々の天然ペプチド試料のクロマトグラフィでの比較については、折り畳み還元したペプチドを分析用C18カラム(Phenomenex Kinetex、50x4.6mm、2.6ミクロン、100A)を用いた逆相HPLC(島津システム)によって精製した。逆相HPLC解析は、5%〜60%のCH3CNの10分間の線形勾配(2.5ml/分)によって達成した(図13を参照)。
ペプチドBの再折り畳み
【0122】
粗精製の合成ペプチドをタンパク質濃度1.1mMで6MのGnHCl(塩酸グアニジン)と0.1Mのトリス緩衝液pH9.5に溶解し、次いでRTにて1.5時間20mMのDTTで還元した。0.1Mのトリス緩衝液pH9.5と0.15mMのシステイン及び1.5mMのシスチンの混合物を含有する折り畳み溶液に還元したペプチドを27.5μMの最終濃度で加えた。4℃にて1日間、システイン/シスチン緩衝液系を用いて再折り畳みと正しいジスルフィド結合パターンの形成を達成した。
【0123】
0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)中60%CH3CNの30%〜55%の26.18分間の勾配を用いて(6ml/分)、半分取C18カラム(Phenomenex Jupiter、250x10mm、10ミクロン、300A)における逆相HPLCによって再折り畳み合成毒素を精製した。ペプチドBの再折り畳みは、MALDI−TOF質量分光分析及びバイオアッセイによって確認した。
【0124】
合成ペプチドBと元々の天然ペプチド試料のクロマトグラフィでの比較については、折り畳み還元したペプチドを分析用C18カラム(Phenomenex Kinetex、50x4.6mm、2.6ミクロン、100A)を用いた逆相HPLC(島津システム)によって精製した。逆相HPLC解析は、5%〜60%のCH3CNの10分間の線形勾配(2.5ml/分)によって達成した(図14を参照)。
ペプチドCの再折り畳み
【0125】
粗精製の合成ペプチドをタンパク質濃度10.6mMで6MのGnHCl(塩酸グアニジン)と0.1Mのトリス緩衝液pH9.5に溶解し、次いでRTにて1時間20mMのDTTで還元した。0.1Mのトリス緩衝液pH7.5と0.15mMのシステイン及び1.5mMのシスチンの混合物を含有する折り畳み溶液に還元したペプチドを25.5μMの最終濃度で加えた。4℃にて5日間、システイン/シスチン緩衝液系を用いて再折り畳みと正しいジスルフィド結合パターンの形成を達成した。
【0126】
0.1%のTFA中60%CH3CNの22%〜45%の26.18分間の勾配を用いて(6ml/分)、半分取C18カラム(Phenomenex Jupiter、250x10mm、10ミクロン、300A)における逆相HPLCによって再折り畳み合成毒素を精製した。ペプチドCの再折り畳みは、MALDI−TOF質量分光分析及びバイオアッセイによって確認した。
【0127】
合成ペプチドCと元々の天然ペプチド試料のクロマトグラフィでの比較については、折り畳み還元したペプチドを分析用C18カラム(Phenomenex Kinetex、50x4.6mm、2.6ミクロン、100A)を用いた逆相HPLC(島津システム)によって精製した。逆相HPLC解析は、5%〜60%のCH3CNの10分間の線形勾配(2.5ml/分)によって達成した(図15を参照)。
ペプチドDの再折り畳み
【0128】
粗精製の合成ペプチドをタンパク質濃度24mMで0.1Mのトリス緩衝液pH7.5に溶解し、次いでRTにて1時間20mMのDTTで還元した。0.1Mのトリス緩衝液pH7.5と1.5mMのシステイン及び0.15mMのシスチンの混合物を含有する折り畳み溶液に還元したペプチドを13.5μMの最終濃度で加えた。4℃にて4日間、システイン/シスチン緩衝液系を用いて再折り畳みと正しいジスルフィド結合パターンの形成を達成した。
【0129】
0.1%のTFA中60%CH3CNの25%〜55%の35分間の勾配を用いて(4.5ml/分)、半分取C18カラム(Phenomenex Jupiter、250x10mm、10ミクロン、300A)における逆相HPLCによって再折り畳み合成毒素を精製した。ペプチドDの再折り畳みは、MALDI−TOF質量分光分析及びバイオアッセイによって確認した。
【0130】
合成ペプチドDと元々の天然ペプチド試料のクロマトグラフィでの比較については、折り畳み還元したペプチドを分析用C18カラム(Phenomenex Kinetex、50x4.6mm、2.6ミクロン、100A)を用いた逆相HPLC(島津システム)によって精製した。逆相HPLC解析は、5%〜60%のCH3CNの10分間の線形勾配(2.5ml/分)によって達成した(図16を参照)。
ペプチドEの再折り畳み
【0131】
粗精製の合成ペプチドをタンパク質濃度6mMで0.1Mのトリス緩衝液pH7.5に溶解し、次いでRTにて1時間20mMのDTTで還元した。0.1Mのトリス緩衝液pH7.5と0.15mMのシステイン及び1.5mMのシスチンの混合物を含有する折り畳み溶液に還元したペプチドを24.5μMの最終濃度で加えた。4℃にて2日間、システイン/シスチン緩衝液系を用いて再折り畳みと正しいジスルフィド結合パターンの形成を達成した。
【0132】
0.1%のTFA中60%CH3CNの23%〜45%の35分間の勾配を用いて(6ml/分)、半分取用C18カラム(Phenomenex Jupiter、250x10mm、10ミクロン、300A)における逆相HPLCによって再折り畳み合成毒素を精製した。ペプチドEの再折り畳みは、MALDI−TOF質量分光分析及びバイオアッセイによって確認した。
【0133】
合成BS−07と元々の天然ペプチド試料のクロマトグラフィでの比較については、折り畳み還元したペプチドを分析用C18カラム(Phenomenex Kinetex、50x4.6mm、2.6ミクロン、100A)を用いた逆相HPLC(島津システム)によって精製した。逆相HPLC解析は、5%〜60%のCH3CNの10分間の線形勾配(2.5ml/分)によって達成した(図17を参照)。
ペプチドFの再折り畳み
【0134】
粗精製のペプチドを秤量し、水に溶解し、280nmで測定した。
【0135】
20mMの最終濃度で加え、RTで1時間インキュベートするDTTによってペプチドの還元を行った。
【0136】
1mMのグルタチオン(GSH)と0.1mMの酸化グルタチオン(GSSG)と1mMのEDTAを含有する2MのNH4OAc緩衝液(pH=7.0)における酸化的折り畳み反応に還元ペプチドFを供した。最終濃度10μMになるように6回に分けて一滴ずつ還元ペプチドを溶液に加えた。溶液を24℃にて120時間撹拌した。
【0137】
逆相HPLCとさらなるイオン交換クロマトグラフィを含む3工程精製法によって再折り畳みした物質を精製した。
【0138】
溶離液として60%CH3CNを含有する0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液を用いた40分間の線形勾配による(29〜38%)JupiterC18カラムを用いて逆相HPLC精製を行った。ピーク分画をプールし、凍結乾燥した。25%のCH3CNを含有するリン酸カリウム緩衝液(pH=2.5)における700mM塩化カリウムの25分間の線形勾配(50〜70%)によるLunaSCXカラムを用いたイオン交換クロマトグラフィによって過剰な混入物を除いた。60%CH3CNの30〜50%の20分間線形勾配を用いた脱塩用のJupiterC18カラムにピーク分画をもう一度負荷した。ピーク分画を凍結乾燥し、MS、分析用HPLC及びバイオアッセイによる分析によって性状分析した(図18を参照)。
実施例3
単離した純粋なペプチドの試験管内での生物活性
【0139】
TTX感受性Nav1.3チャンネルとTTX耐性Nav1.8チャンネルに対する遮断活性を調べた。これらのそれぞれを哺乳類細胞株で安定的に発現させ、好適な電圧刺激によってチャンネル電流を誘発した。毒素の浴潅流の前、最中(高い用量であることが多い)及び後でのこれらの電流を測定することによって毒素の活性を調べた。各毒素の用量にて阻害された電流の分画を少なくとも3回の別々の細胞で測定し、平均値±SDをプロットする。
【0140】
ペプチドAは、それぞれ1.75μMと2.5μMの見かけのIC50でNav1.3とNav1.8の双方のチャンネルを阻害した。
ペプチドBは、230nMの見かけのIC50でNav1.3チャンネルを阻害した。
ペプチドCは、1.2μMの見かけのIC50でNav1.3チャンネルを阻害した。
ペプチドDは、160nMの見かけのIC50でNav1.3チャンネルを阻害した。
ペプチドEは、310nMの見かけのIC50でNav1.3チャンネルを阻害した。
ペプチドFは、それぞれ130nMと170nMの見かけのIC50でNav1.3とNav1.8の双方のチャンネルを阻害した。
【0141】
活動電位(DRGニューロン膜におけるNavチャンネルの開放によって生成される)の形態でそれを脊髄に伝達する後根神経節(DGR)ニューロンによって末梢の疼痛刺激は感知される。末梢の神経障害では、疼痛シグナルは、多分、その膜上に発現されるNavチャンネルの異なったレパートリーが原因で、損傷されたDRGニューロンの固有の活動電位の興奮によって生成される。DRGニューロンにおいてNavを遮断することは活動電位の生成及び疼痛シグナルの伝達を阻害することが想定されている。従って、我々はラットのDRGニューロンにおける活動電位を記録し、毒素が一工程のさらなる標的確認としてそれを阻害するかどうかを調べた。ペプチドA(5μM)、B(0.7μM)、C(5μM)、D(0.75μM)、E(0.83μM)及びF(1μM)は、Nav1.3チャンネルについて見られるIC50よりも高い用量でDRGの活動電位を阻害した(図7〜12)。調べた細胞すべてにおいてペプチドの効果を600nMのTTXの効果と比較した(図7〜12パネルF、Gを参照)。
【0142】
2つの追加の試験管内の系を用いて試験管内の安全性試験の測定と同様に毒性活性の特異性を調べた。
【0143】
第1は、ヒト心臓Kv11.1(hERG)チャンネルを非相同に発現している細胞におけるK+電流の測定である。Nav1.3で測定されたIC50と、このIC50の3倍と10倍である各ペプチドの3つの用量を用いた。調べた最高の用量でもペプチドA、C、E及びFは効果を示さなかった。ペプチドBとDは双方とも、25%の阻害効果を示したが、それは調べた最高の用量のみで見られた。
【0144】
第2の系は、マウスの胚性幹(ES)細胞に由来する心筋細胞における活動電位の自然に発生する興奮であった。これらの活動電位は多数のイオンチャンネルのアンサンブル活性によって自然発生的に生成される。そのような系における毒素の効果は、少なくとも心臓の副作用に関して推定上の生体内の安全性と同様に特異性(心臓の活動電位の生成が心臓のNav1.5イオンチャンネルのアイソフォームに依存しているとき)の双方を示す。陽性対照として、調べた細胞すべてにおいてTTXを低濃度(300〜600nM)と高濃度(3μM)で潅流した。一般に、高い用量だけがこれらの細胞における活動電位の生成を阻害した(たとえば、図9H及び11Hを参照)。ペプチドA(3.8μM)、B(9μM)、C(5μM)、D(0.75μM)、E(0.83μM)及びF(1μM)は、これらの細胞における活動電位の周波数及び振幅に対して効果を有さなかった(又はペプチドB及びFについては約20%阻害の非常に軽微な効果を有した)(図7〜12、パネルH、I)。
【0145】
各ペプチドについて試験すべての結果を表3と図7〜12に要約する。
【0146】
図1A及び図1Bに示すように、ペプチドAはPterinochilus spp.Usambara venom(Psp)からクロマトグラフィ精製によって得ることができる。
【0147】
図2A,2B及び2Cに示す、ペプチドBはPsp毒からクロマトグラフィ精製によって得ることができる。
【0148】
図3A、3B及び3Cに示すように、ペプチドCは、Haplopelma lividumの毒(Hv)からクロマトグラフィ精製によって得ることができる。
【0149】
図4A,4B、及び4Cに示す、ペプチドDはHvからクロマトグラフィ精製によって得ることができる。
【0150】
図5A、5B、5C及び5Dに示すように、ペプチドEは、Red Morph Grammostola(RMG)の毒からクロマトグラフィ精製によって得ることができる。
【0151】
図6A,6B及び6Cに示す、ペプチドFはRMGの毒からクロマトグラフィ精製によって得ることができる。
【0152】
図7A〜IはペプチドAの試験管内の活性を示す。
【0153】
図7Aは、2μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.3チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図7A〜7Dのそれぞれに示すように、対照の濃度は黒線で表し、浴潅流の前に測定する。それに対して灰色の線は浴潅流の間に測定した電圧を表す。
【0154】
図7Bは、3.4μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するhNav1.3チャンネル(Xenopusの卵母細胞で発現される)の応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0155】
図7Cは、2μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.8チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0156】
図7Dは、5.25μMの純粋なペプチドAの浴潅流の前及び最中の電圧ステップの刺激(方法を参照)に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図7Dはまた、確立したhERGブロッカー(200nMのBeKM−1)の浴潅流に対する応答も示す。応答は細い黒線で示される。
【0157】
図7Eは、各チャンネル(挿入における記号)についての少なくとも3回の実験を要約した用量反応曲線を示す。見かけのIC50を表3に提供する。
【0158】
図7Fは、急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。600nMのTTXの浴潅流の間、及び5μMのペプチドAの浴潅流の間、痕跡は対照の条件下にある。図7Fに示すように、太い黒線は対照条件下での応答を表し、細い黒線は600nMのTTXの浴潅流の間の応答を表し、灰色の線は5μMのペプチドAの浴潅流の間の応答を表す。
【0159】
図7Gは、図7Fに記載した条件などでの幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0160】
図7Hは、マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)において記録された膜電圧の連続痕跡の例を示す。活動電位は自然発生的に及び規則的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のグラフにプロットする。棒は示した濃度での化合物の浴潅流の期間を表す。
【0161】
図7Iは、3.75μMのペプチドA及び3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0162】
図8A〜IはペプチドBの試験管内の活性を示す。
【0163】
図8Aは、0.5μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前と最中での電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.3チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図8A〜8Dのそれぞれに示すように対照濃度は黒線で表し、浴潅流の前に測定する。それに対して灰色の線は浴潅流の間に測定した電圧を表す。
【0164】
図8Bは、0.5μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するhNav1.3チャンネル(Xenopusの卵母細胞で発現される)の応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0165】
図8Cは、0.7μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.8チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0166】
図8Dは、1.5μMの純粋なペプチドBの浴潅流の前及び最中の電圧ステップの刺激(方法を参照)に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図8Dはまた、細い黒線で示されるように、確立したhERGブロッカー(200nMのBeKM−1)の浴潅流の間の応答も示す。
【0167】
図8Eは、各チャンネル(挿入における記号)についての少なくとも3回の実験を要約した用量反応曲線を示す。見かけのIC50を表3に提供する。
【0168】
図8Fは、急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。600nMのTTXの浴潅流の間、及び0.7μMのペプチドBの浴潅流の間、痕跡は対照の条件下にある。図8Fに示すように、太い黒線は対照条件下での応答を表し、細い黒線は600nMのTTXの浴潅流の間の応答を表し、灰色の線は0.7μMのペプチドBの浴潅流の間の応答を表す。
【0169】
図8Gは、図8Fに記載した条件などでの幾つかの実験を要約している棒グラフを示す。
【0170】
図8Hは、マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)において記録された膜電圧の連続痕跡の例を示す。活動電位は自然発生的に及び規則的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のグラフにプロットする。棒は示した濃度での化合物の浴潅流の期間を表す。
【0171】
図8Iは、9μMのペプチドB及び3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0172】
図9A〜IはペプチドCの試験管内の活性を示す。
【0173】
図9Aは、1.25μMの純粋なペプチドCの浴潅流の前と最中での電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.3チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図9A〜9Dのそれぞれに示すように対照濃度は黒線で表し、浴潅流の前に測定する。それに対して灰色の線は浴潅流の間に測定した電圧を表す。
【0174】
図9Bは、2.4μMの純粋なペプチドCの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するhNav1.3チャンネル(Xenopusの卵母細胞で発現される)の応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0175】
図9Cは、3.6μMの純粋なペプチドCの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.8チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0176】
図9Dは、4μMの純粋なペプチドCの浴潅流の前及び最中の電圧ステップの刺激(方法を参照)に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図9Dはまた、細い黒線で示されるように、確立したhERGブロッカー(200nMのBeKM−1)の浴潅流の間の応答も示す。
【0177】
図9Eは、各チャンネル(挿入における記号)についての少なくとも3回の実験を要約した用量反応曲線を示す。見かけのIC50を表3に提供する。
【0178】
図9Fは、急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。300nMのTTXの浴潅流の間、及び5μMのペプチドCの浴潅流の間、痕跡は対照の条件下にある。図9Fに示すように、太い黒線は対照条件下での応答を表し、細い黒線は300nMのTTXの浴潅流の間の応答を表し、灰色の線は5μMのペプチドCの浴潅流の間の応答を表す。
【0179】
図9Gは、図9Fに記載した条件などでの幾つかの実験を要約している棒グラフを示す。
【0180】
図9Hは、マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)において記録された膜電圧の連続痕跡の例を示す。活動電位は自然発生的に及び規則的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のグラフにプロットする。棒は示した濃度での化合物の浴潅流の期間を表す。示されるように、低い濃度、すなわち300nM及び高い濃度、すなわち3μM双方のTTXの効果はこの調製では完全に明らかである。
【0181】
図9Iは、5μMのペプチドC及び3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0182】
図10A〜IはペプチドDの試験管内の活性を示す。
【0183】
図10Aは、0.15μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前と最中での電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.3チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図10A〜10Dのそれぞれに示すように対照濃度は黒線で表し、浴潅流の前に測定する。それに対して灰色の線は浴潅流の間に測定した電圧を表す。
【0184】
図10Bは、0.5μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前(黒色、対照)及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するhNav1.3チャンネル(Xenopusの卵母細胞で発現される)の応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0185】
図10Cは、0.48μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.8チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0186】
図10Dは、1μMの純粋なペプチドDの浴潅流の前及び最中の電圧ステップの刺激(方法を参照)に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図10Dはまた、細い黒線で示される、確立したhERGブロッカー(200nMのBeKM−1)の浴潅流の間の応答も示す。
【0187】
図10Eは、各チャンネル(挿入における記号)についての少なくとも3回の実験を要約した用量反応曲線を示す。見かけのIC50を表3に提供する。
【0188】
図10Fは、急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。600nMのTTXの浴潅流の間、及び0.75μMのペプチドDの浴潅流の間、痕跡は対照の条件下にある。図10Fに示すように、太い黒線は対照条件下での応答を表し、細い黒線は600nMのTTXの浴潅流の間の応答を表し、灰色の線は0.75μMのペプチドDの浴潅流の間の応答を表す。
【0189】
図10Gは、図10Fに記載した条件などでの幾つかの実験を要約している棒グラフを示す。
【0190】
図10Hは、マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)において記録された膜電圧の連続痕跡の例を示す。活動電位は自然発生的に及び規則的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のグラフにプロットする。棒は示した濃度での化合物の浴潅流の期間を表す。
【0191】
図10Iは、0.75μMのペプチドD及び3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0192】
図11A〜IはペプチドEの試験管内の活性を示す。
【0193】
図11Aは、0.3μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前と最中での電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.3チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図11A〜11Dのそれぞれに示すように対照濃度は黒線で表し、浴潅流の前に測定する。それに対して灰色の線は浴潅流の間に測定した電圧を表す。
【0194】
図11Bは、0.93μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するhNav1.3チャンネル(Xenopusの卵母細胞で発現される)の応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0195】
図11Cは、0.93μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.8チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0196】
図11Dは、0.93μMの純粋なペプチドEの浴潅流の前及び最中の電圧ステップの刺激(方法を参照)に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図11Dはまた、細い黒線で示される、確立したhERGブロッカー(200nMのBeKM−1)の浴潅流の間の応答も示す。
【0197】
図11Eは、各チャンネル(挿入における記号)についての少なくとも3回の実験を要約した用量反応曲線を示す。見かけのIC50を表3に提供する。
【0198】
図11Fは、急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。600nMのTTXの浴潅流の間、及び0.83μMのペプチドEの浴潅流の間(灰色、示した濃度)、痕跡は対照の条件下にある。図11Fに示すように、太い黒線は対照条件下での応答を表し、細い黒線は600nMのTTXの浴潅流の間の応答を表し、灰色の線は0.83μMのペプチドEの浴潅流の間の応答を表す。
【0199】
図11Gは、図11Fに記載した条件などでの幾つかの実験を要約している棒グラフを示す。
【0200】
図11Hは、マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)において記録された膜電圧の連続痕跡の例を示す。活動電位は自然発生的に及び規則的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のグラフにプロットする。棒は示した濃度での化合物の浴潅流の期間を表す。
【0201】
図11Iは、0.83μMのペプチドE及び3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0202】
図12A〜IはペプチドFの試験管内の活性を示す。
【0203】
図12Aは、0.1μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前と最中での電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.3チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図12A〜12Dのそれぞれに示すように対照濃度は黒線で表し、浴潅流の前に測定する。それに対して灰色の線は浴潅流の間に測定した電圧を表す。
【0204】
図12Bは、0.52μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するhNav1.3チャンネル(Xenopusの卵母細胞で発現される)の応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0205】
図12Cは、0.5μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前及び最中の電圧ランプの刺激(方法を参照)に対するrNav1.8チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。
【0206】
図12Dは、0.92μMの純粋なペプチドFの浴潅流の前及び最中の電圧ステップの刺激(方法を参照)に対するhKv11.1(hERG)チャンネルの応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。図12Dはまた、細い黒線で示される、確立したhERGブロッカー(200nMのBeKM−1)の浴潅流の間の応答も示す。
【0207】
図12Eは、各チャンネル(挿入における記号)についての少なくとも3回の実験を要約した用量反応曲線を示す。見かけのIC50を表3に提供する。
【0208】
図12Fは、急性的に分離したラットのDRGニューロンにおける電流刺激に対する電圧応答の重ね合わせた痕跡の例を示す。600nMのTTXの浴潅流の間、及び1μMのペプチドFの浴潅流の間、痕跡は対照の条件下にある。図12Fに示すように、太い黒線は対照条件下での応答を表し、細い黒線は600nMのTTXの浴潅流の間の応答を表し、灰色の線は1μMのペプチドFの浴潅流の間の応答を表す。
【0209】
図12Gは、図12Fに記載した条件などでの幾つかの実験を要約している棒グラフを示す。
【0210】
図12Hは、マウス胚性幹細胞に由来する心筋細胞(mES−CM)において記録された膜電圧の連続痕跡の例を示す。活動電位は自然発生的に及び規則的に興奮させられ、その周波数及び振幅を以下のグラフにプロットする。棒は示した濃度での化合物の浴潅流の期間を表す。
【0211】
図12Iは、1μMのペプチドF及び3μMのTTXの効果がAP周波数に影響を及ぼした幾つかの実験を要約する棒グラフを示す。
【0212】
【表3】
【0213】
上記で提示したような6種のタランチュラ毒ペプチドの試験管内の活性は、神経因性疼痛の治療に対するペプチドの有効性及びそれらの推定上の心臓安全性の双方を示す。
【0214】
この適応における標的は、DRG感覚ニューロンの中での電気的活性の伝達(活動電位の形態での)の阻害である。DRGニューロン内での活動電位の生成及び伝搬は、TTX−感受性(とりわけNav1.3)のチャンネル及びTTX−耐性(主としてNav1.8)のチャンネルの活性化の双方に依存する(Devor, 2006; Cummins et al. 2007)。従って、有効性は、標的チャンネルNav1.3(図7A、B、E〜12A、B、E)及びNav1.8(図7C〜12Fを参照)の電流に向かう、及びDRGニューロンにおける誘発活動電位(図7F〜12Fを参照)に向かう阻害作用から生じる。
【0215】
ペプチドA及びFはNav1.3チャンネル及びNav1.8チャンネル双方の阻害剤である(図7E及び12E)。最良のNav1チャンネルの標的との正確な同一性が完全には解明されていないので、このことは生体内で有利であり得る(Devor, 2006; Cummins et al. 2007)。加えて、標的チャンネルを阻害することにおける最も強力なペプチドはFであり、ナノモル以下の範囲でD、B及びEが続き、マイクロモルの範囲でC及びAが続く(表3を参照)。6種のペプチドはすべてDRGニューロンにおける活動電位の生成を阻害した。各毒素について標的チャンネルに対する見かけのIC50より約3倍高い濃度にて、各細胞におけるTTXの作用に対してこれを測定した。しかしながら、ペプチドAの阻害作用は600nMのTTXの効果よりも有意に低かった(図7F、G〜12F、Gを参照)。
【0216】
アプローチは、多分脳血管関門(BBB)を交差してCNSに入ることはないペプチドによって末梢におけるNav1チャンネルを標的にすることであった。従って、推定上の安全性に関する主な懸念は心臓の機能に対する調節効果の回避である。この考えと一致して、ヒトの心臓カリウムhERG(Kv11.1)チャンネル電流に向かう(Redfern et al. 2003)(図7D、E〜12D、E)及び心筋細胞のモデルにおける自然発生的な活動電位パターンに向かう(図7H、I〜12H、Iを参照)その調節作用によってこれらペプチドの推定上の安全性に関する指示が提供される。
【0217】
hERGアッセイにて、標的チャンネルに対するそのIC50の約10倍の濃度にて、BeKM−1の作用に対して各毒素を測定した(図7D、E〜12D、Eを参照)。ペプチドB及びDだけがこれら高い濃度にてこのチャンネルに対する軽微な阻害作用を示した(図8E及び10Eを参照)。心臓活性の一体化モデル(マウスのES−CM)では、ペプチドB及びFが活動電位の周波数に影響を及ぼしたが、特に3μMのTTXの有意な作用に比べて、どのペプチドも活動電位の振幅と周波数に対する有意な阻害作用は示さなかった(図7H、I〜12H、Iを参照)。従って、どのペプチドも標的チャンネルの活性を阻害するのに有効な濃度にて有意な様態で正常であると思われる心臓の活動を遮断するとは思われなかった。
実施例4
天然と合成のペプチドの活性の比較
【0218】
実施例3の手順及び方法の節に従って合成ペプチドと天然ペプチドの遮断活性の比較を調べた。
【0219】
HEK細胞にて発現されたrNav1.3を阻害することについて天然ペプチドと合成ペプチドで類似の用量反応曲線が得られたが、各データ点は3〜5の実験の平均である。
【0220】
ペプチドA、B、C、D、E及びFの用量反応曲線は完全に重なり合うので、活性は天然ペプチドと合成ペプチドで同一である。合成ペプチドD及びEに対するチャンネルの応答は、天然ペプチドより大きいと思われるが、この差異は記録された応答の範囲内である。合成ペプチドと天然ペプチドが質量分光分析及びHPLC解析で同一に見え、Nav1.3チャンネルブロッカーとしてのそれらの活性が非常に似ているので、我々は、毒から精製したものと同一のペプチドを提供するということにおいて合成手段は成功であったと結論付けている。
実施例5
ラットモデルにおける鎮痛適応のための化合物Cの評価
【0221】
本試験は、ラットにおける神経因性疼痛のChungモデルを用いた化合物Cの鎮痛適応を評価することを目的とする。本試験は、ニューヨーク州タリタウン765 Old Saw Mill River Roadに本社のあるPsychoGenics社にて実施された。
材料及び方法
【0222】
動物
Harlan(Indianapolis,IN)のオスのスプラーグドーリーラット(100〜125g)を試験で使用した。受け取った際、独自の識別番号をラットに割り振り、微細アイソレーターフィルターの蓋が付いたポリカーボネート製のケージでケージ当たり3匹にて群飼いした。試験の開始前にすべてのラットを検査し、手で扱い、体重測定して適切な健康状態と好適性を確保した。試験の経過中、12/12の明暗サイクルを維持し、ESTの7:00amにライトを点けた。50%前後で維持した相対湿度と共に室温は20〜23℃の間で維持した。試験の期間中、餌と水は自由に提供された。
【0223】
薬剤
化合物はすべて、5ml/kgの用量体積で1日1回、5日間(手術後17〜21日目)投与した。参照化合物:ガバペンチン(100mg/kg、TRC、ロット番号1−SWN−154−1)は0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液に溶解し、経口で投与した。試験化合物:化合物C(0.25、0.625及び1.25mg/kg;ロット:該当なし)は蒸留水に溶解し、ストック濃度(20倍)にして単回使用アリコートに分け、凍結した。各試験日にアリコートを融解し、PBS(pH7.2)で20倍に希釈し、試験用量の調製でストックとして使用した。化合物Cは皮下に投与した。
方法
神経因性疼痛(脊髄神経結紮)のためのChungモデル
【0224】
イソフルランの持続吸入による全身麻酔のもとで、外科診療部にて無菌処置と共に手術を行った。ラットの下部腰椎と仙椎のレベルでの領域の皮膚の毛を剃り、ベタジンとアルコールで消毒した。無菌の眼科用軟膏を用いて眼を円滑に動かした。麻酔のレベル、尾又は足をつまむことに対する動物の反射反応についての試験、及び動物の呼吸を厳密にモニターすることに関して動物を連続的に観察した。動物が麻酔から回復する間、加熱パッドを用いて体温を37℃で維持した。脊柱に隣接するレベルで左長手切開を行い、傍脊柱筋群を分離した。L6の横突起を取り除き、隣接する結合組織を取り除いてL5とL6の脊髄神経を暴露した。神経を単離し、明瞭に見えるようにした後、4−0の絹糸を用いて左L5を結紮した。筋肉を4−0の絹糸で縫合し、ステープルで傷を閉じた。手術の直前及び6時間後、ラットすべてに鎮痛剤(ブプレノルフィン、0.05mg/kg、皮下)を与えた。覚醒し、回復室で自由に動き回るまで各ラットを監視した。次いで試験の期間中、動物を単独飼育した。試験に先立って手術後2週間ラットを回復させた。
触刺激に対する足底過敏反応の評価(Von Frey試験)
【0225】
後足(同側及び反対側)の足底面に高い曲げ力のvon Frey(VF)フィラメントを適用することによって機械的刺激からの引っ込めを測定した。陽性反応はvon Freyフィラメントからの引っ込めとして定義した。引っ込め反応の上下でのフィラメントへの反応を評価することによって足引っ込め閾値(PWT)の裏付けを調べた。
【0226】
ラットを実験室に持ち込み、試験に先立って1時間部屋に慣らせ、PWT測定を行う前15分間観察室に適応させた。
【0227】
手術前ベースライン試験:手術に先立って、VF試験を用いてラットすべてを調べた。12g未満の同側PWTを有するラットを試験から除外した(ラット1匹を除外)。
【0228】
手術後ベースライン試験:手術後14日目に、手術したラットすべてからベースライン反応を取り、4.5gより大きい同側PWTを排除基準として用いた(13匹のラットを排除)。その後、ラットを計量し、術後のPWT値に基づいて処理群(群当たりn=10)に割り振った。
【0229】
急性試験及び慢性試験:手術後17日目に、ラットにビヒクル、ガバペンチン、又は試験化合物を注射し、投与後1時間と3時間に試験した。試験化合物を5日間投与し、5日目(術後21日目)に再び調べた。
【0230】
統計的解析
反復測定又は一方向分散分析(ANOVA)とその後のFisherPLSD事後比較によってVon Freyデータを解析した。p<0.05であれば効果は有意であるとみなした。データは平均値±平均値の標準誤差(S.E.M.)として表す。
結果
【0231】
ベースラインvon Frey試験(VF)−結紮前と結紮後
有意な結紮X足相互作用効果(図20を参照)によって示されるように、脊髄神経結紮は、病変に対して反対側ではなく同側での後足にて有意に低い足引っ込め閾値を生じた。
【0232】
急性及び慢性のVF試験
表4は、薬剤投与前の同側及び反対側の足引っ込め閾値の値を示す。
【表4】
【0233】
脊髄結紮ラットにおける触覚刺激応答に対するガバペンチン及び化合物Cの急性投与と慢性投与の効果を図21に示す。鎮静及び毒性の兆候は予備処理及び試験の間に認められなかった。
【0234】
急性−同側
二方向反復測定ANOVAによって治療の有意な主効果と、17日目における時間の主効果への有意ではない傾向(p=0.09)が得られた。事後試験は、ガバペンチンと化合物C(0.625及び1.25mg/kg)の急性投与が、双方の時点に対しては重要性を失ったデータについてビヒクルに比べて同側の足引っ込め閾値を有意に高めることを示した。
【0235】
慢性−同側
21日目では、二方向反復測定ANOVAによって有意な処理X時間相互作用効果、及び処理と時間の有意な主効果が得られた。事後試験は、ガバペンチンと化合物C(0.625及び1.25mg/kg)が、慢性処理計画に従ったあらゆる時点でビヒクルに比べて同側の足引っ込め閾値を有意に高めることを示した。ガバペンチンの効果は投与後3時間に比べて1時間で有意に高かった。
【0236】
反対側
反対側の足引っ込め閾値に対する処理すべての効果を図22に示す。二方向反復測定ANOVAによって17日目(急性)又は21日目(慢性)における有意な処理X時間相互作用効果又は処理の有意な主効果は認められなかった。
【0237】
要約
ガバペンチン(100mg/kg)及び化合物C(0.625及び1.25mg/kg)の急性投与又は5日間投与は、双方の時点(投与後1時間と3時間)で同側足引っ込め閾値(PWT)を有意に高めた。反対側の足引っ込め閾値の値に対する試験化合物の有意な化合物はなかった。
【0238】
実施例6
患者は神経因性疼痛に罹っている。本明細書に記載されるような医薬組成物を患者に全身性に投与する。患者はその状態を改善する又は回復することが期待される。
実施例7
【0239】
二重盲検多施設偽薬対照試験において神経因性疼痛での有効性及び安全性を評価するために本明細書に記載されるようなペプチドのいずれかを含む医薬組成物の投与を評価する予測的臨床試験
試験設計
慢性神経因性疼痛の患者における週2回の自由な用量(50〜200μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週)又は固定用量(200μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週)の有効性及び安全性を評価する無作為、二重盲検、多施設、偽薬対照、並行群を用いた12週間の試験。試験は、数カ国での多施設で実施する。
【0240】
試験は、ヘルシンキ宣言を起源とする倫理原則を順守する。
対象
【0241】
適格な患者は、有痛性の糖尿病性末梢神経障害(DPN)(グリコシル化ヘモグロビン[HbA1c]11%の1型及び2型糖尿病で6ヵ月以上有痛性、遠位性、全身性、感覚運動性の多発性神経障害)又はヘルペス後神経痛(PHN)(帯状疱疹の皮疹の治癒後3ヵ月以上存在する疼痛)の一次診断を持つ18歳以上の男性及び非妊娠、非授乳の女性である。患者はまた、ベースライン又は無作為化にて短文型マクギル疼痛問診票(SF−MPQ)の視覚アナログ尺度で40mm以上(0mm=「疼痛なし」及び100mm=「考えられる最悪の疼痛」)のスコアを有することも求められる。
【0242】
患者が、臨床上有意な又は不安定な医学的状態又は精神状態を有する場合、除外される。過去2年以内に悪性腫瘍に罹った又は試験期間中に手術の必要性が予想される患者は、異常な心電図(FCG)、クレアチニンクリアランス160ml/分、又は異常な血液像を持つ患者と同様に除外される。過去2年以内に不法薬剤又はアルコールを乱用した患者は除外される。プレガバリンの過去の臨床試験に参加した又はスクリーニングの前30日以内に治験薬若しくは治験剤を服用した者も除外する。試験中の使用が禁止され、ベースラインの外来に先立って少なくとも7日に洗い流しが要求される薬物には、以下:神経因性疼痛を治療するのに通常使用される薬剤(たとえば、ベンゾジアゼピン、骨格筋弛緩剤、カプサイシン、局所麻酔剤、オピオイド、メマチン)、抗癲癇剤(たとえば、カルバマゼピン、クロナゼパム、フェニトイン、バルプロン酸、ラモトリジン、トピラメート、ガバペンチン)、非SSRI抗鬱剤(たとえば、三環系薬、ベンラファキシン)、及び潜在的レチノトキシン(たとえば、ヒドロキシクロロキン、デフェロキサミン、チオリダジン、ビガバトリン)が挙げられる。
【0243】
DPNの患者はまた、少なくとも1日の洗い流しなしではNSAIDS(COX−2阻害剤を含む)及びデキストロメタロファンの服用も禁止される。ガバペンチンに以前暴露されたことがある患者は用量及び治療期間に関わりなく試験に入るのを許可される。うつ病の治療のためのSSRI、心筋梗塞及び卒中の予防のためのアスピリン、不眠症のための短時間作用型ベンゾジアゼピン、及び救急薬としてのパラセタモールなどは、試験期間中の許容可能な薬物である。患者が、B型肝炎又はC型肝炎又はHIVの感染、神経障害、DPN若しくはPHNの一次診断と無関係な重度の疼痛、又は冒された皮節若しくは神経因性疼痛の評価を混乱させ得る神経障害が関与する領域における潜在的に感覚を変える皮膚の状態の既往がある場合も除外される。最終的に、DPN患者で悪性貧血、未治療の甲状腺機能低下又は足指以外の切断の既往のある患者も、PHN患者でその状態に対して神経破壊治療又は神経外科治療を受けた患者と同様に除外される。
治療
【0244】
試験は2つの相:ベースラインの疼痛スコアを確立する1週間の観察相と、患者の必要性に対応した盲検化適応が治療群の1つの適用される12週間の二重盲検治療相を有する。1:2:2の比率で偽薬(n=65)、自由用量組成(50〜200μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週)(n=135)、又は固定用量組成(200μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週)(n=140)に患者を無作為化する。
【0245】
組成自由用量の群に無作為化された患者は、応答と認容性に基づいて1週間間隔で増量する上昇用量(50、100、150及び200μgの本明細書で記載されるペプチドのいずれか/週)を受け取る。1週間後、又は2、3若しくは4週目又は2、3若しくは4週後、単一の減量用量が認められる。これが生じる場合、患者は試験の残りの間、この投与量のままである。この新しい試験設計の利点は、それが、医師が個々の患者の応答に基づいて処方薬剤の投与量を誂える治療ルーチンにさらに密接に近似することである。200μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週を含有する組成の固定用量群に無作為化された患者は、100μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週を含む組成を1週間で出発し、次いで二重盲検治療の残りの11週間、200μgの本明細書に記載されるペプチドのいずれか/週で続ける。患者はすべて活性のある薬物又は対応する偽薬のカプセルを受け取り、同一の週2回の皮下注射のスケジュールに従う(週ごとの投与量を2つの等用量に分割し、3〜4日間隔以内で投与する)。各試験外来での薬物在庫管理及び投与手順の点検によって順守を評価する。二重盲検試験中いつでも患者は自由に試験を中断することができ、非盲検の延長に入ることができる。
【0246】
評価及び評価項目
ベースライン相(積極的な治療なし)の間に、患者は、11点の(0=「疼痛なし」〜10=「考えられる最悪の疼痛」;0=「疼痛は睡眠を妨げない」〜10=「疼痛が睡眠を完全に妨げる」)数値化スケール(NRS)を用いて疼痛と疼痛関連の睡眠妨害について毎日の日記の内容を作成する。この相の終点であらゆる包含/排除の基準を満たし続ける患者を二重盲検試験投薬に無作為化し、6回の無作為化後の外来で評価する。一次有効性パラメータは、患者の毎日の日記の内容で記録されるような患者のNRSに基づく終点の平均疼痛スコアである。毎朝覚醒時、患者はNRSを用いて過去24時間の神経因性疼痛の強度を日記に記録する。二次有効性パラメータには、毎日の睡眠妨害日記(疼痛日記に類似する)、及び医学予後試験(MOS)−睡眠スケール(Hey and Stewart, 1992)、及び患者の満足度(PGIC)が挙げられた。MOS睡眠スケールは、健康関連の生活の質に対する睡眠の影響を測定するのに使用される検証された12項目の患者が完成する問診票である。
【0247】
安全性
安全性の評価には、有害事象(AEs、発生率、性質、強度、試験薬との関係)の要約、臨床検査成績、及び生理学的、神経学的検査と12誘導心電図の成績が含まれた。
【0248】
本明細書に記載されるペプチドのいずれかを含む組成物を受け取っている患者は、疼痛、炎症及び慢性の神経因性疼痛に関連する他の症状が軽減されることが期待される。
【0249】
その本質的な性質から逸脱することなく種々の改変を行うことができることは、本主題が関係する当業者によって十分に理解されるであろう。そのような改変をすべて添付の特許請求の範囲内に包含することが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5及びそれらのC末端がアミド化された形態から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む単離されたペプチド。
【請求項2】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5及びそれらのC末端がアミド化された形態から成る群から選択されるアミノ酸配列から成る単離されたペプチド。
【請求項3】
アミノ酸配列が、配列番号1のC末端がアミド化された形態、配列番号2のC末端がアミド化された形態、配列番号4のC末端がアミド化された形態、及び配列番号5のC末端がアミド化された形態から成る群から選択される配列によって表される請求項1又は2の単離されたペプチド。
【請求項4】
疼痛を治療するための請求項1又は2の単離されたペプチド。
【請求項5】
神経原性疼痛及び/又は神経因性疼痛を治療するための請求項1又は2の単離されたペプチド。
【請求項6】
癌の疼痛、手術後の疼痛、口腔又は歯の疼痛、参照される三叉神経痛に由来する疼痛、ヘルペス後神経痛に由来する疼痛、又は反射性交感神経性ジストロフィによる疼痛を治療するための請求項1又は2の単離されたペプチド。
【請求項7】
炎症状態に関連する疼痛を治療するための請求項1又は2の単離されたペプチド。
【請求項8】
急性疼痛、偏頭痛、頭痛、偏頭痛の頭痛、外傷性神経傷害、神経圧迫、神経絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、慢性腰痛、幻肢痛、慢性骨盤痛、神経腫疼痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛、癌、化学療法、HIV及びHIVの治療が誘導する神経障害、過敏性腸症候群及び関連する疾患及びクローン病に関連する疼痛から成る群から選択される1以上の状態に関連する疼痛を治療するための請求項1又は2の単離されたペプチド。
【請求項9】
疼痛を治療するための請求項1又は2の単離されたペプチドの使用。
【請求項10】
請求項1〜2のいずれか1項の単離されたペプチドと、薬学上許容可能なキャリア又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項11】
単離されたペプチドが、配列番号1のC末端がアミド化された形態、配列番号2のC末端がアミド化された形態、配列番号4のC末端がアミド化された形態、及び配列番号5のC末端がアミド化された形態から成る群から選択されるペプチドによって表される請求項10の医薬組成物。
【請求項12】
疼痛を治療するための請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物。
【請求項13】
疼痛を治療するための請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物の使用。
【請求項14】
神経原性疼痛及び/又は神経因性疼痛を治療するための請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物。
【請求項15】
癌の疼痛、手術後の疼痛、口腔又は歯の疼痛、参照される三叉神経痛に由来する疼痛、ヘルペス後神経痛に由来する疼痛、又は反射性交感神経性ジストロフィによる疼痛を治療するための請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物。
【請求項16】
炎症状態に関連する疼痛を治療するための請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物。
【請求項17】
急性疼痛、偏頭痛、頭痛、偏頭痛の頭痛、外傷性神経傷害、神経圧迫、神経絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、慢性腰痛、幻肢痛、慢性骨盤痛、神経腫疼痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛、癌、化学療法、HIV及びHIVの治療が誘導する神経障害、過敏性腸症候群及び関連する疾患及びクローン病に関連する疼痛から成る群から選択される1以上の状態に関連する疼痛を治療するための請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物。
【請求項18】
そのような治療が必要な患者に、有効な鎮痛量の、請求項1〜2のいずれか1項の単離されたペプチド又は配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む単離されたペプチドを投与することを含む疼痛を治療する方法。
【請求項19】
疼痛が神経原性疼痛及び/又は神経因性疼痛である請求項18の方法。
【請求項20】
疼痛が、癌の疼痛、手術後の疼痛、口腔又は歯の疼痛、参照される三叉神経痛に由来する疼痛、ヘルペス後神経痛に由来する疼痛、又は反射性交感神経性ジストロフィによる疼痛である請求項18の方法。
【請求項21】
疼痛が炎症状態と関連する請求項18の方法。
【請求項22】
疼痛は、炎症状態が、急性疼痛、偏頭痛、頭痛、偏頭痛の頭痛、外傷性神経傷害、神経圧迫、神経絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、慢性腰痛、幻肢痛、慢性骨盤痛、神経腫疼痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛、癌、化学療法、HIV及びHIVの治療が誘導する神経障害、過敏性腸症候群及び関連する疾患及びクローン病に関連する疼痛から成る群から選択される1以上の状態に関連するものから成る群から選択される1以上の状態と関連する請求項18の方法。
【請求項23】
それを必要とする対象に治療上有効な量の請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物を投与することを含む対象において疼痛を治療する方法。
【請求項24】
粗精製のクモ毒を遠心して遠心した毒を得ることと、遠心した毒を濾過して濾過した毒を得ることと、濾過した毒をゲル濾過カラムに負荷することと、カラムを溶出して単離されたペプチドを含有する分画を得ることを含む、請求項1又は2のペプチドを単離する方法。
【請求項25】
請求項1又は2の単離されたペプチドをコードする核酸配列。
【請求項26】
ペプチドがクモ毒から単離される請求項1又は2のいずれか1項の単離されたペプチド。
【請求項27】
ペプチドが単離された合成ペプチドである請求項1又は2のいずれか1項の単離されたペプチド。
【請求項28】
クモがタランチュラの種である請求項26の単離されたペプチド。
【請求項29】
配列DCLGX1X2X3X4CX5PDNDKCC(配列番号7)
(式中、X1はM又はFであり、X2はM又はFであり、X3はR又はSであり、X4はK又はSであり、X5はD又はIである)を含む20〜40の連続するアミノ酸を有し、ペプチドがイオンチャンネル阻害活性を示す単離されたペプチド。
【請求項30】
配列ACX6GX7X8X9X10CX11PX12X13DX14CC(配列番号8)(式中、X6はK又はLであり、X7はL又はFであり、X8はG又はFであり、X9はE又はVであり、X10はK又はTであり、X11はN又はTであり、X12はS又はGであり、X13はN又はKであり、X14はK又はEである)を含む20〜40の連続するアミノ酸を有し、ペプチドがイオンチャンネル阻害活性を示す単離されたペプチド。
【請求項31】
配列X15VCSX16X17HKWCKY(配列番号9)(式中、X15はL又はHであり、X16はQ、S又はRであり、X17はK又はTである)を含む20〜40の連続するアミノ酸を有し、ペプチドがイオンチャンネル阻害活性を示す単離されたペプチド。
【請求項32】
それを必要とする患者に、治療上有効な量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6及びそれらのC末端がアミド化された形態から成る群から選択されるアミノ酸配列によって表される単離されたペプチドを投与することを含むNavチャンネルを遮断する方法。
【請求項33】
Red Morph Grammostola(RMG)毒から配列番号6を含む配列によって表されるペプチドを単離する方法であって、粗精製のRMG毒を遠心して遠心した毒を得ることと、遠心した毒を濾過して濾過した毒を得ることと、濾過した毒をゲル濾過カラムに負荷することと、カラムを溶出して単離されたペプチドを含有する分画を得ることを含む方法。
【請求項34】
粗精製のペプチドを回収して回収したペプチドを作製することと、回収したペプチドを可溶化して可溶化したペプチドを作製することと、可溶化したペプチドを還元して還元したペプチドを作製することと、還元された及び/又は酸化されたシステイン又はグルタチオンを含む酸化還元混合物にて還元ペプチドを折り畳んで折り畳んだペプチドを作製することと、折り畳んだペプチドを精製して再折り畳みしたペプチドを作製することを含む請求項1又は2のいずれか1項のペプチドを再折り畳みする方法。
【請求項35】
Navチャンネルを遮断する組成物であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6及びそれらのC末端がアミド化された形態から成る群から選択されるアミノ酸配列によって表される単離されたペプチドを含む組成物。
【請求項1】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5及びそれらのC末端がアミド化された形態から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む単離されたペプチド。
【請求項2】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5及びそれらのC末端がアミド化された形態から成る群から選択されるアミノ酸配列から成る単離されたペプチド。
【請求項3】
アミノ酸配列が、配列番号1のC末端がアミド化された形態、配列番号2のC末端がアミド化された形態、配列番号4のC末端がアミド化された形態、及び配列番号5のC末端がアミド化された形態から成る群から選択される配列によって表される請求項1又は2の単離されたペプチド。
【請求項4】
疼痛を治療するための請求項1又は2の単離されたペプチド。
【請求項5】
神経原性疼痛及び/又は神経因性疼痛を治療するための請求項1又は2の単離されたペプチド。
【請求項6】
癌の疼痛、手術後の疼痛、口腔又は歯の疼痛、参照される三叉神経痛に由来する疼痛、ヘルペス後神経痛に由来する疼痛、又は反射性交感神経性ジストロフィによる疼痛を治療するための請求項1又は2の単離されたペプチド。
【請求項7】
炎症状態に関連する疼痛を治療するための請求項1又は2の単離されたペプチド。
【請求項8】
急性疼痛、偏頭痛、頭痛、偏頭痛の頭痛、外傷性神経傷害、神経圧迫、神経絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、慢性腰痛、幻肢痛、慢性骨盤痛、神経腫疼痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛、癌、化学療法、HIV及びHIVの治療が誘導する神経障害、過敏性腸症候群及び関連する疾患及びクローン病に関連する疼痛から成る群から選択される1以上の状態に関連する疼痛を治療するための請求項1又は2の単離されたペプチド。
【請求項9】
疼痛を治療するための請求項1又は2の単離されたペプチドの使用。
【請求項10】
請求項1〜2のいずれか1項の単離されたペプチドと、薬学上許容可能なキャリア又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項11】
単離されたペプチドが、配列番号1のC末端がアミド化された形態、配列番号2のC末端がアミド化された形態、配列番号4のC末端がアミド化された形態、及び配列番号5のC末端がアミド化された形態から成る群から選択されるペプチドによって表される請求項10の医薬組成物。
【請求項12】
疼痛を治療するための請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物。
【請求項13】
疼痛を治療するための請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物の使用。
【請求項14】
神経原性疼痛及び/又は神経因性疼痛を治療するための請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物。
【請求項15】
癌の疼痛、手術後の疼痛、口腔又は歯の疼痛、参照される三叉神経痛に由来する疼痛、ヘルペス後神経痛に由来する疼痛、又は反射性交感神経性ジストロフィによる疼痛を治療するための請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物。
【請求項16】
炎症状態に関連する疼痛を治療するための請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物。
【請求項17】
急性疼痛、偏頭痛、頭痛、偏頭痛の頭痛、外傷性神経傷害、神経圧迫、神経絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、慢性腰痛、幻肢痛、慢性骨盤痛、神経腫疼痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛、癌、化学療法、HIV及びHIVの治療が誘導する神経障害、過敏性腸症候群及び関連する疾患及びクローン病に関連する疼痛から成る群から選択される1以上の状態に関連する疼痛を治療するための請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物。
【請求項18】
そのような治療が必要な患者に、有効な鎮痛量の、請求項1〜2のいずれか1項の単離されたペプチド又は配列番号6によって表されるアミノ酸配列を含む単離されたペプチドを投与することを含む疼痛を治療する方法。
【請求項19】
疼痛が神経原性疼痛及び/又は神経因性疼痛である請求項18の方法。
【請求項20】
疼痛が、癌の疼痛、手術後の疼痛、口腔又は歯の疼痛、参照される三叉神経痛に由来する疼痛、ヘルペス後神経痛に由来する疼痛、又は反射性交感神経性ジストロフィによる疼痛である請求項18の方法。
【請求項21】
疼痛が炎症状態と関連する請求項18の方法。
【請求項22】
疼痛は、炎症状態が、急性疼痛、偏頭痛、頭痛、偏頭痛の頭痛、外傷性神経傷害、神経圧迫、神経絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、慢性腰痛、幻肢痛、慢性骨盤痛、神経腫疼痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛、癌、化学療法、HIV及びHIVの治療が誘導する神経障害、過敏性腸症候群及び関連する疾患及びクローン病に関連する疼痛から成る群から選択される1以上の状態に関連するものから成る群から選択される1以上の状態と関連する請求項18の方法。
【請求項23】
それを必要とする対象に治療上有効な量の請求項10〜11のいずれか1項の医薬組成物を投与することを含む対象において疼痛を治療する方法。
【請求項24】
粗精製のクモ毒を遠心して遠心した毒を得ることと、遠心した毒を濾過して濾過した毒を得ることと、濾過した毒をゲル濾過カラムに負荷することと、カラムを溶出して単離されたペプチドを含有する分画を得ることを含む、請求項1又は2のペプチドを単離する方法。
【請求項25】
請求項1又は2の単離されたペプチドをコードする核酸配列。
【請求項26】
ペプチドがクモ毒から単離される請求項1又は2のいずれか1項の単離されたペプチド。
【請求項27】
ペプチドが単離された合成ペプチドである請求項1又は2のいずれか1項の単離されたペプチド。
【請求項28】
クモがタランチュラの種である請求項26の単離されたペプチド。
【請求項29】
配列DCLGX1X2X3X4CX5PDNDKCC(配列番号7)
(式中、X1はM又はFであり、X2はM又はFであり、X3はR又はSであり、X4はK又はSであり、X5はD又はIである)を含む20〜40の連続するアミノ酸を有し、ペプチドがイオンチャンネル阻害活性を示す単離されたペプチド。
【請求項30】
配列ACX6GX7X8X9X10CX11PX12X13DX14CC(配列番号8)(式中、X6はK又はLであり、X7はL又はFであり、X8はG又はFであり、X9はE又はVであり、X10はK又はTであり、X11はN又はTであり、X12はS又はGであり、X13はN又はKであり、X14はK又はEである)を含む20〜40の連続するアミノ酸を有し、ペプチドがイオンチャンネル阻害活性を示す単離されたペプチド。
【請求項31】
配列X15VCSX16X17HKWCKY(配列番号9)(式中、X15はL又はHであり、X16はQ、S又はRであり、X17はK又はTである)を含む20〜40の連続するアミノ酸を有し、ペプチドがイオンチャンネル阻害活性を示す単離されたペプチド。
【請求項32】
それを必要とする患者に、治療上有効な量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6及びそれらのC末端がアミド化された形態から成る群から選択されるアミノ酸配列によって表される単離されたペプチドを投与することを含むNavチャンネルを遮断する方法。
【請求項33】
Red Morph Grammostola(RMG)毒から配列番号6を含む配列によって表されるペプチドを単離する方法であって、粗精製のRMG毒を遠心して遠心した毒を得ることと、遠心した毒を濾過して濾過した毒を得ることと、濾過した毒をゲル濾過カラムに負荷することと、カラムを溶出して単離されたペプチドを含有する分画を得ることを含む方法。
【請求項34】
粗精製のペプチドを回収して回収したペプチドを作製することと、回収したペプチドを可溶化して可溶化したペプチドを作製することと、可溶化したペプチドを還元して還元したペプチドを作製することと、還元された及び/又は酸化されたシステイン又はグルタチオンを含む酸化還元混合物にて還元ペプチドを折り畳んで折り畳んだペプチドを作製することと、折り畳んだペプチドを精製して再折り畳みしたペプチドを作製することを含む請求項1又は2のいずれか1項のペプチドを再折り畳みする方法。
【請求項35】
Navチャンネルを遮断する組成物であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6及びそれらのC末端がアミド化された形態から成る群から選択されるアミノ酸配列によって表される単離されたペプチドを含む組成物。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図7I】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図9I】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図10I】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図11I】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図12H】
【図12I】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図7I】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図9I】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図10I】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図11I】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図12H】
【図12I】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2013−504318(P2013−504318A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528465(P2012−528465)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002275
【国際公開番号】WO2011/033358
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(512055798)アロモネ プリクリニカル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002275
【国際公開番号】WO2011/033358
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(512055798)アロモネ プリクリニカル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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