説明

クラウドシステム内におけるソフトウェアの公募開発システム、公募開発方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】 開発を依頼したクラウドユーザに加え、他のクラウドユーザも開発されたソフトウェアの利用を可能とするソフトウェア公募開発システムを提供する。
【解決手段】 クラウドユーザ端末と、サーバおよびクラウドベンダ端末とは、回線を介して接続可能であり、サーバは、クラウドユーザ端末に利用可能なシステム環境を提供し、クラウドユーザ端末は、システム環境内で必要なソフトウェアの開発公募をクラウドベンダ端末に申請する申請手段と、前記ソフトウェア開発公募に応募する応募手段とを含み、クラウドベンダ端末は、申請された前記ソフトウェア開発公募の内容をクラウドユーザ端末に公開する公募内容公開手段と、応募によって開発されたソフトウェアの内容を、公募申請したクラウドユーザ端末、応募したクラウドユーザ端末および前記両端末以外のクラウドユーザ端末に利用可能なように公開する開発ソフトウェア公開手段とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラウドシステム内におけるソフトウェアの公募開発システム、公募開発方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを利用して、必要とするソフトウェアを公募により開発することが提案されている(特許文献1)。この公募システムでは、あるユーザが、ソフトウェア提供者(ベンダ)を仲介者として、ソフトウェアの開発をネットワークを介して公募し、別の一般ユーザが、前記公募に応募してソフトウェアを開発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−325479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のソフトウェアの公募システムは、開発を依頼したユーザのみが、開発したソフトウェアを使用できるだけで、他のユーザは、開発されたソフトウェアの利用ができなかった。また、近年、ITの運用コストの低減効果等の理由から、クラウドシステムが普及しているが、従来のソフトウェアの公募システムは、クラウドサービスに利用しても、開発を依頼したクラウドユーザのみが開発したソフトウェアを使用できるだけで、他のクラウドユーザは利用できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、開発を依頼したクラウドユーザに加え、他のクラウドユーザも開発されたソフトウェアの利用を可能とするソフトウェア公募開発システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のソフトウェア公募開発システムは、
クラウドサービスを受けるクラウドユーザ端末と、クラウドサービスを提供するサーバと、クラウドサービスを提供するクラウドベンダ端末とを含み、
前記クラウドユーザ端末と、前記サーバおよび前記クラウドベンダ端末とは、回線を介して接続可能であり、
前記サーバは、前記クラウドユーザ端末に利用可能なシステム環境を提供し、
前記クラウドユーザ端末は、
前記システム環境内で必要なソフトウェアの開発公募を前記クラウドベンダ端末に申請する申請手段と、
前記ソフトウェア開発公募に応募する応募手段とを含み、
前記クラウドベンダ端末は、
前記申請された前記ソフトウェア開発公募の内容を前記クラウドユーザ端末に公開する公募内容公開手段と、
前記応募によって開発された前記ソフトウェアの内容を、前記公募申請したクラウドユーザ端末、前記応募したクラウドユーザ端末および前記両端末以外のクラウドユーザ端末に利用可能なように公開する開発ソフトウェア公開手段とを含む
ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のソフトウェア公募開発方法は、
クラウドユーザ端末が、クラウドサービスを提供するサーバ上のシステム環境において必要なソフトウェアの開発公募をクラウドベンダ端末に申請する申請工程と、
前記クラウドユーザ端末が、前記ソフトウェア開発公募に応募する応募工程と、
クラウドベンダ端末が、前記申請された前記ソフトウェア開発公募の内容を前記クラウドユーザ端末に公開する公募内容公開工程と、
前記クラウドベンダ端末が、前記応募によって開発された前記ソフトウェアの内容を、前記公募申請したクラウドユーザ端末、前記応募したクラウドユーザ端末および前記両端末以外のクラウドユーザ端末に利用可能なように公開する開発ソフトウェア公開工程とを含む
ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のプログラムは、
本発明のソフトウェア公募開発方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の記録媒体は、
本発明のプログラムを記録していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、開発を依頼したクラウドユーザに加え、他のクラウドユーザも開発されたソフトウェアの利用を可能とするソフトウェア公募開発システムを提供することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明のソフトウェア公募開発システムの一例である実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、前記実施形態のログイン画面を示す図である。
【図3】図3は、前記実施形態の一次申請画面を示す図である。
【図4】図4は、前記実施形態の二次申請画面を示す図である。
【図5】図5は、前記実施形態のプログラム仕様詳細画面を示す図である。
【図6】図6は、前記実施形態の公募一覧画面を示す図である。
【図7】図7は、前記実施形態の申込画面を示す図である。
【図8】図8は、前記実施形態のプログラム検証画面を示す図である。
【図9】図9は、前記実施形態のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のソフトウェア公募公開システムの一例について、図1から図9にもとづいて説明する。
【0013】
図1に示すとおり、本実施形態のシステムは、サーバ101、102および103と、クラウドベンダ端末106と、クラウドユーザ端末107、108および109とから構成されている。なお、サーバの数およびクラウドユーザ端末の数は説明のために3つに限定しているが、この数に限られない。
【0014】
サーバ101から103は、ユーザにクラウドサービスを提供するため、クラウドベンダからユーザに対し提供されている。クラウドユーザ端末107から109は、それぞれ、回線(NW)を介してサーバ101から103と接続可能である。セキュリティ上、クラウドユーザ端末は、他のユーザのシステム環境に接続することはできない。ここで、回線とは、LANでもインターネットでもよい。
【0015】
クラウドベンダ端末106は、日常のクラウドサービス運営を行うための管理ポータル環境104を提供する。クラウドベンダ端末106は、管理ポータル環境104と、クラウドベンダ内部116とを含んでいる。クラウドベンダ内部116と管理ポータル環境104とは、回線を介して接続可能である。
【0016】
クラウドユーザ端末107から109は、クラウドベンダ端末106が提供する管理ポータル環境104と回線を介して接続可能である。クラウドユーザ端末107から109は、管理ポータル環境104にアクセスすることで、クラウドベンダ内部116とコミュニケーションを図ることが可能となる。本発明は、例えば、この既存管理ポータル環境104をコミュニケーションツールとして使用する。セキュリティ上、クラウドユーザ端末から直接クラウドベンダ内部へアクセスする事を禁止することが好ましい。
【0017】
クラウドベンダ端末106は、管理ポータル環境104のポータルサイト上に、クラウドベンダが管理するソフトウェア公募開発システムサイトを提供する。
【0018】
本実施形態において、サーバ101から103には、クラウドベンダ端末106により、クラウドユーザシステム環境が構築されている。サーバ101を例に説明すると、図1に示すように、サーバ101が、クラウドユーザ107にユーザシステム環境101を提供する。ユーザシステム環境101は、クラウドベンダからクラウド標準サービスとして提供されるクラウド標準サービス部分110と、ユーザが独自に開発した業務プログラム等を含む上位ソフトウェアを指すユーザ固有作りこみ部分111とから構成される。
【0019】
以下、本実施形態のシステムの動作を説明する。まず、ソフトウェア開発公募申請から、公募に至るまでのシステムについて説明する。ここで、公募申請するクラウドユーザをユーザAとし、ユーザAの端末がユーザ端末107、ユーザAが利用するサーバがサーバ101であるとする。
【0020】
ユーザAは、ユーザ固有作りこみ部分111における不足機能を補うためのソフトウェアの開発公募申請を、クラウドベンダ端末106に対して行う。クラウドユーザからのソフトウェア開発公募申請は、一次申請と二次申請とで構成される。
【0021】
図3に、一次申請画面を示す。ユーザ端末107において、クラウドベンダ端末106が提供する管理ポータル環境104に接続し、管理ポータル環境104のポータルサイトのソフトウェア開発依頼申請(一次申請)画面を起動して、必要事項(概要仕様)と、「作業計画情報」として「一次判定結果希望納期」及び「想定開発費用額」とを入力し、クラウドベンダ端末106にソフトウェア開発公募を申請する(図9におけるステップS1、以下図番号省略)。
【0022】
このとき、申請画面を起動する前に、ユーザ端末107において、図2に示す管理ポータル環境104のポータルサイトのログイン画面にてログインユーザ/パスワードを入力し、ポータルサイトにログインする工程を有することが、セキュリティ上好ましい。
【0023】
クラウドベンダ端末106では、管理ポータル環境104のポータルサイトを介しユーザAからの一次申請内容(概要仕様)を確認する。このとき、クラウド標準サービスとして取り込む事が可能か検討し判断した上で(S2)、ソフトウェア開発依頼申請(一次申請)画面上の「一次判定結果」項目に判定結果を入力する。このように、ソフトウェア開発の条件として、クラウド標準サービスとして取り込む事を考慮した仕様とすることにより、最終的にクラウド標準サービスとして取り込む事が可能となる。
【0024】
場合によっては、クラウド標準サービスとして取り込むために、クラウドベンダはユーザAと一部仕様変更を協議する事も可能である(S2におけるNo)。協議のためのコミュニケーションツールとしては、管理ポータル環境104のポータルサイトを利用する。協議の結果、一部仕様変更となった場合は、再度ユーザ端末107において、管理ポータル環境104のポータルサイト上の申請内容を変更し、クラウドベンダの一次申請の承認を得る。
【0025】
図4に、二次申請画面を示す。一次申請承認後(S2におけるYes)、ユーザ端末107において、前記ポータルサイト上のソフトウェア開発依頼申請(二次申請)画面から、必要事項(詳細仕様)を入力し、二次申請を行なう(S3)。
【0026】
クラウドベンダ端末106において、管理ポータル環境104上のポータルサイトを介し、ユーザAからの二次申請内容(詳細仕様)を確認する。クラウド標準サービスとして取り込む事が可能かを検討し判断した上で(S4)、クラウドベンダ端末106において、ソフトウェア開発依頼申請(二次申請)画面上の「二次判定結果」項目に判定結果が入力される。
【0027】
前記二次判定結果を入力する際、クラウドベンダが補填する想定費用額をソフトウェア開発依頼申請(二次申請)画面上の「クラウドベンダ補填費用額」項目に入力する工程を有してもよい。これにより、ソフトウェアの開発費用をクラウドベンダおよび依頼(申請)元ユーザで共同出資する際の、それぞれの費用負担額の目安を決めることができる。但し、本補填額は現時点での参考想定価格(補填予定額)であり、最終的なクラウドベンダ側の補填費用額は対象応募者の見積り額によって決定される。
【0028】
場合によっては、クラウド標準サービスとして取り込むために、クラウドベンダはユーザAと一部仕様変更を協議する事も可能とする(S4におけるNo)。協議のためのコミュニケーションツールとしては、管理ポータル環境104のポータルサイトを利用する。協議の結果、一部仕様変更となった場合は、再度公募依頼元であるユーザ端末107において管理ポータル環境104のポータルサイト上の申請内容を変更し、クラウドベンダの二次申請の承認を得る。
【0029】
二次申請承認後(S4におけるYes)、ソフトウェア開発公募の内容を公開するために、クラウドベンダ端末106において、プログラム仕様詳細画面を作成する。図5に、プログラム仕様詳細画面を示す。作成に際しては、ユーザAによって登録されたプログラム仕様内容を引用する。また、ユーザAは、ユーザ端末107からテスト仕様書をクラウドベンダ端末106に予め提出しておき、クラウドベンダ端末106は、当該資料を前記ポータルサイト上のプログラム仕様詳細画面からリンクダウンロードが可能となるよう画面を作成する。その他、プログラム開発に補足的に必要と想定される関連資料もプログラム仕様詳細画面にリンクを貼る事が可能である。
【0030】
クラウドベンダ端末106は、前記の申請内容を、図6に示す管理ポータル環境104のポータルサイト上の公募一覧画面に公開し、ソフトウェアの公募の内容を全クラウドユーザ端末に公開する(S5)。
【0031】
次に、公募に対する応募のシステムについて説明する。ここでは、公募に対する応募をするクラウドユーザをユーザBとし、ユーザBの端末がユーザ端末108、ユーザBが利用するサーバがサーバ102であるとする。なお、サーバ102においても、ユーザシステム環境102を有する仕組みであってもよい。
【0032】
本発明のソフトウェア公募に対する応募者は、クラウドサービス内のクラウド利用ユーザである。このように、公募の範囲をクラウドサービス内に限定することにより、応募者がクラウドサービス契約企業のユーザに限定されて任意のネットユーザからの応募が抑止され、成果物に対し一定以上の品質確保が期待できる。また、公募範囲をクラウドサービス内に限定する事により、利用ユーザのセキュリティ環境及び利用環境構築に際し、既存のクラウドサービス環境を使用する事が可能となり、クラウドシステムの初期構築費用の削減が期待できる。ただし、本発明はこれに限定されず、公募範囲をクラウドサービス外に拡張することもできる。
【0033】
ユーザ端末108において、公募期間中に関してのみ公募一覧画面上の「詳細」ボタンをクリックする事により、プログラム仕様詳細画面(図5)が起動され、プログラム仕様詳細内容を確認する事が可能となる。
【0034】
ユーザ端末108では、公募期間中に関してのみ公募一覧画面上の「申込」ボタンをクリックする事により、図7に示す申込画面が起動される。そして、ユーザ端末108において必要事項を登録する事により、ユーザBは、該当公募に対する対応希望者として申し込む事が可能となる(S6)。
【0035】
公募期間終了後、ユーザAが各応募者の中から対象者を選定する。ユーザAは、管理ポータル環境104を介して、ポータルサイト上で集まった応募内容を閲覧することができる。選定結果は、クラウドベンダより管理ポータル環境104上のポータルサイトを介して発表される。
【0036】
選定を行う上で、ユーザAは、必要に応じて特定の応募者と応募内容についてヒアリングを行うことが可能である。この場合、ユーザAと応募者とは、管理ポータル環境104を介してコミュニケーションを取ることができる。
【0037】
開発費用については、例えば、総額は申込画面(図7)で示される「見積り金額」になり、これに対しクラウドベンダがソフトウェア開発依頼申請(二次申請)画面(図4)で入力した「クラウドベンダ補填費用額」を補填し、残り全額を依頼元であるユーザAが出費する事としてもよい。但し、「見積り金額」に占める「クラウドベンダ補填費用額」の上限割合が予め設定されており、それを超過する場合は、クラウドベンダは上限割合額まで補填することとしてもよい。
【0038】
次に、ユーザBが対象者として選定されたとする(S7におけるYes)。ユーザBは、自身が有する既存プログラムの流用又は新規開発により対象となるソフトウェア(開発ソフトウェア)を用意する。図1において、開発ソフトウェアは、「AP」として図示されている。
【0039】
図8に、プログラム検証画面を示す。ユーザ端末108において、管理ポータル環境104のポータルサイト上のプログラム検証画面から開発ソフトウェアをクラウドベンダ端末106にアップロードする(S8)。プログラム検証画面内の「データ」、「プログラム」項目にて、開発ソフトウェアが格納されているローカルパスを入力後、「UpLoad」ボタンをクリックする事で、開発ソフトウェアがクラウドベンダ端末106にアップロードされる。
【0040】
そして、ユーザ端末108において、プログラム検証画面上の「受入審査依頼」ボタンをクリックする事により、アップロードされた開発ソフトウェアの受入検証がクラウドベンダ端末106にて実施される。
【0041】
なお本例において、クラウドベンダ端末106が、受入審査依頼を行う前にユーザBが開発ソフトウェアの検証を行うことができる検証環境105を提供しても良い。これにより、開発ソフトウェアの受入審査を依頼する前に、ユーザB自身が自由に開発ソフトウェアの検証を行うことができる。
【0042】
この場合、クラウドベンダ端末106は、クラウドベンダ内部116と、管理ポータル環境104と、検証環境105とを含んだ構成となる。検証環境105と、クラウドベンダ内部116および管理ポータル環境104とは、回線(例えばLAN)を介して接続可能である。ユーザ端末108は、管理ポータル環境104を介して、検証環境105へ接続することができる。セキュリティ上、ユーザ端末108から直接検証環境105へアクセスすることは不可とすることが好ましい。
【0043】
ユーザ端末108において、管理ポータル環境104にアクセスし、さらに管理ポータル環境104のポータルサイト上のプログラム検証画面から、検証環境105にアクセスする事が可能となる。検証環境105では、予め、プログラムをテストするためのソフトウェア環境基盤やテストデータがクラウドベンダ及び依頼元ユーザによって登録、構築されており、ユーザBが自由にテストできる環境を提供できる。
【0044】
ユーザBは、予めクラウドベンダから検証環境用システムへのログインユーザ・パスワードが提供されており、そのパスワードを利用して、ユーザ端末108から検証環境105にログインする。検証環境105では、セキュリティが考慮されており、ユーザBは検証に必要な環境、機能のみ利用可能となるよう制限することが好ましい。
【0045】
ユーザBが開発ソフトウェアのテストを実施した結果、開発ソフトウェアに不具合が存在した場合は、ユーザ端末108においてプログラム検証画面から「DownLoad」ボタンをクリックし、ローカル環境に開発ソフトウェアをダウンロードした後、改修を行う。そして、改修後の開発ソフトウェアを再度アップロードし、テストを繰り返し行なう。
【0046】
このように、検証環境105を有する場合には、ユーザBは、開発ソフトウェアのテストが全て完了した後に、開発ソフトウェア及びテスト仕様書(結果記入版)をプログラム検証画面からアップロードすることができる。ユーザBによるテストが全て完了した後、ユーザ108においてプログラム検証画面上の「受入審査依頼」ボタンをクリックする事により、アップロードされた開発ソフトウェア及びテスト仕様書(結果記入版)の受入検証がクラウドベンダ端末106にて実施される。
【0047】
クラウドベンダ端末106にて受入検証を実施した結果は、クラウドベンダ端末106から入力され、前記ポータルサイトのプログラム検証画面上の「クラウドベンダ側受入検証結果」項目に表示される。受入検証にて問題が発生した場合は、プログラム検証画面上の「クラウドベンダ側受入検証結果」項目に「差し戻し」と表示されると共に、「差し戻し理由」項目にその問題内容が表示される。
【0048】
「差し戻し」と表示された場合(S14)、ユーザBは、差し戻し結果を受け、再度開発ソフトウェアおよび仕様書をローカル環境にダウンロードした後、改修を行う(S15)。そして、任意でテストを実施し、再度アップロードの上、クラウドベンダに対し受入検証依頼を再度行なう。
【0049】
また、クラウドベンダ端末106から各種質問(プログラムの内容、運用引継ぎ等についての質問)を必要に応じてユーザBに問い合わせすることも可能である。その際のコミュニケーションツールとしては、管理ポータル環境104のポータルサイトを利用する。
【0050】
クラウドベンダ端末106での受入検証に合格した場合(S9におけるYes)は、プログラム検証画面上の「クラウドベンダ側受入検証結果」項目に「受入承認」と表示され、次のステップである「依頼元ユーザによる受入検証」作業へと移る。
【0051】
同様に依頼元であるユーザAのユーザ端末107にて開発ソフトウェアの受入検証が実施され、結果がプログラム検証画面上の「依頼元ユーザ側受入検証結果」項目に表示される。受入検証にて問題が発生した場合は、プログラム検証画面上の「依頼元ユーザ側受入検証結果」項目に「差し戻し」と表示されると共に、「差し戻し理由」項目にその問題内容が表示される(S16)。
【0052】
ユーザBは、差し戻し結果を受け、開発ソフトウェア及び仕様書をローカル環境にダウンロードした後、改修を行う(S17)。そして、必要に応じて検証環境105にてテストを実施し、再度アップロードの上、クラウドベンダ及びユーザAに対し受入検証依頼を再度行なう。
【0053】
また、ユーザAから各種質問(プログラムの内容、運用引継ぎ等についての質問)を必要に応じて、ユーザBに問い合わせすることも可能である。この場合は間にクラウドベンダを介し、問い合わせ対応が実施されるものとする。その際のコミュニケーションツールとしては、管理ポータル環境104上のポータルサイトを利用する。
【0054】
ユーザAのユーザ端末107での受入検証に合格した場合は(S10におけるYes)、プログラム検証画面上の「依頼元ユーザ側受入検証結果」項目に「受入承認」と表示される。
【0055】
クラウドベンダ端末106及びユーザ端末107での受入検証の合格をもって、開発ソフトウェア完成となる(S11)。クラウドベンダより、管理ポータル環境104を介してユーザAへ開発ソフトウェア一式が納品される。そして、対価として、開発費用がユーザBへ支払われる(S12)。支払いは、ユーザA、ユーザBともにクラウドサービス利用に際しての契約口座が存在する場合、その口座を利用して入金・支払を行ってもよい。なお、図1に破線矢印で示した開発ソフトウェア(AP)の動きは、仮想的にやりとりの流れを図示したものである。
【0056】
前記開発費用は、クラウドベンダとユーザAとの共同出資とすることができる。これにより、双方にとっての開発コスト低減をはかる事ができる。
【0057】
この後、ユーザAのユーザ端末107またはシステム環境101にて開発ソフトウェアの本番運用が開始され、一定期間の稼動確認を行なう。これにより、実運用での開発ソフトウェアの安定稼動を確認する。
【0058】
並行してクラウドベンダ端末106での運用準備を進め、全て整った後、開発ソフトウェアがクラウド標準サービスとして全ユーザに公開される(S13)。このとき、クラウドベンダ端末106が、自動的に各ユーザのサーバ上のシステム環境に開発ソフトウェアと提供する仕組みであってもよいし、あらかじめ設定された、使用を希望する第3のユーザに対してのみ提供される仕組みであってもよい。
【0059】
このように、開発ソフトウェアをクラウド標準サービスとして取り込む事により、クラウドシステムのためのソフトウェアの開発費用を依頼元ユーザとクラウドベンダとで共同出資する事ができ、双方の開発費用低減をはかる事が可能であるため、両者にとってメリットがある。また、クラウドベンダの開発費用低減は、クラウド標準サービス提供価格の低減にも繋がる事が期待でき、クラウドサービスを利用する「第三のクラウド利用ユーザ」にもメリットがある。さらに、クラウド標準サービスとして全利用ユーザに提供される事で、「依頼元」のみならず、「第三のクラウド利用ユーザ」も開発ソフトウェアを利用することができ、その恩恵を享受する事ができるため、クラウドベンダ側としては、クラウドサービス全体の機能拡張をスピーディーに対応する事が可能となる。また、利用ユーザの機能拡張要件を都度クラウド標準サービスとして取り込んでいく方針により、クラウドシステム内に利用者ごとの特異なシステムの乱立を抑止し、クラウドシステム全体として標準化されたシステム環境が構築され、クラウドベンダ側にとってシステム運用の定型化と安定性が期待できるという効果もある。ただし、本発明はこれに限定されず、公募範囲をクラウドサービス外に拡張することもできる。
【0060】
前述のとおり、本発明のプログラムは、本発明のソフトウェア公募方法をコンピュータに実行させるプログラムである。本実施形態のプログラムは、例えば、記録媒体に記録されていてもよい。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、HDD、CD−ROM(CD−R、CD−RW)、DVD、メモリーカード等があげられる。また、本実施形態のプログラムは、例えば、あらかじめ、コンピュータにインストールされていてもよいし、前記記録媒体またはインターネット等の回線網を介して、インストールされてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、クラウドサービスのように、システム提供および運用を行なうベンダと複数の利用ユーザが存在するようなシステムサービスに広く利用できる。
【符号の説明】
【0062】
101、102、103 サーバ、システム環境
106 クラウドベンダ端末
107、108、109 クラウドユーザ端末
104 管理ポータル環境
105 検証環境
110 クラウド標準サービス部分
111 ユーザ固有作りこみ部分
116 クラウドベンダ内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドサービスを受けるクラウドユーザ端末と、クラウドサービスを提供するサーバと、クラウドサービスを提供するクラウドベンダ端末とを含み、
前記クラウドユーザ端末と、前記サーバおよび前記クラウドベンダ端末とは、回線を介して接続可能であり、
前記サーバは、前記クラウドユーザ端末に利用可能なシステム環境を提供し、
前記クラウドユーザ端末は、
前記システム環境内で必要なソフトウェアの開発公募を前記クラウドベンダ端末に申請する申請手段と、
前記ソフトウェア開発公募に応募する応募手段とを含み、
前記クラウドベンダ端末は、
前記申請された前記ソフトウェア開発公募の内容を前記クラウドユーザ端末に公開する公募内容公開手段と、
前記応募によって開発された前記ソフトウェアの内容を、前記公募申請したクラウドユーザ端末、前記応募したクラウドユーザ端末および前記両端末以外のクラウドユーザ端末に利用可能なように公開する開発ソフトウェア公開手段とを含む
ことを特徴とするソフトウェア公募開発システム。
【請求項2】
さらに、
前記クラウドベンダ端末が、
前記公募申請の内容を判断する公募申請内容判断手段と、
前記応募したクラウドユーザ端末が前記ソフトウェアの動作の検証を可能にする検証手段とを含み、
前記公募申請したクラウドユーザ端末および前記クラウドベンダ端末が、
前記応募内容を判断する応募内容判断手段とを含む
ことを特徴とする、請求項1記載のソフトウェア公募開発システム。
【請求項3】
クラウドユーザ端末が、クラウドサービスを提供するサーバ上のシステム環境において必要なソフトウェアの開発公募をクラウドベンダ端末に申請する申請工程と、
前記クラウドユーザ端末が、前記ソフトウェア開発公募に応募する応募工程と、
クラウドベンダ端末が、前記申請された前記ソフトウェア開発公募の内容を前記クラウドユーザ端末に公開する公募内容公開工程と、
前記クラウドベンダ端末が、前記応募によって開発された前記ソフトウェアの内容を、前記公募申請したクラウドユーザ端末、前記応募したクラウドユーザ端末および前記両端末以外のクラウドユーザ端末に利用可能なように公開する開発ソフトウェア公開工程とを含む
ことを特徴とするソフトウェア公募開発方法。
【請求項4】
さらに、
前記クラウドベンダ端末が、前記公募申請の内容を判断する公募申請内容判断工程と、
前記クラウドベンダ端末が、前記応募したクラウドユーザ端末が前記ソフトウェアの動作の検証を可能にする検証工程とを有し、
前記公募申請したクラウドユーザ端末および前記クラウドベンダ端末が、
前記応募内容を判断する応募内容判断工程とを含む
ことを特徴とする、請求項3記載のソフトウェア公募開発方法。
【請求項5】
クラウドサービスを提供するサーバおよびクラウドベンダ端末と回線を介して接続可能であり、
前記サーバが提供するシステム環境において必要なソフトウェアの開発公募を前記クラウドベンダ端末に申請する申請手段と、
前記ソフトウェア開発公募に応募する応募手段とを
含むことを特徴とする、請求項1または2記載のソフトウェア公募開発システムに用いるクラウドユーザ端末。
【請求項6】
さらに、
前記応募内容を判断する応募内容判断手段を含むことを特徴とする、
請求項5記載のクラウドユーザ端末。
【請求項7】
クラウドサービスを利用するクラウドユーザ端末と回線を介して接続可能であり、
申請されたソフトウェア開発公募の内容を前記クラウドユーザ端末に公開する公募内容公開手段と、
前記応募によって開発された前記ソフトウェアの内容を、前記公募申請したクラウドユーザ端末、前記応募したクラウドユーザ端末および前記両端末以外のクラウドユーザ端末に利用可能なように公開する開発ソフトウェア公開手段とを
含むことを特徴とする、請求項1または2記載のソフトウェア公募開発システムに用いるクラウドベンダ端末。
【請求項8】
さらに、
公募申請の内容を判断する公募申請内容判断手段と、
応募したクラウドユーザ端末が前記ソフトウェアの動作の検証を可能にする検証手段と、
応募内容を判断する応募内容判断手段とを含むことを特徴とする、
請求項7記載のクラウドベンダ端末。
【請求項9】
請求項3または4記載のソフトウェア公募開発方法を、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項9記載のプログラムを記録していることを特徴とする記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−208747(P2012−208747A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74135(P2011−74135)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)