説明

クラウドシステム及びクラウドシステムの制御方法

【課題】 装置や回線の負荷を増加させることなく、機場の増加に対して容易に対応できるクラウドシステムを提供する。
【解決手段】 プラントのフィールド情報を受益者装置30へ提供する情報処理エンジン装置20を有するクラウドシステム100であって、情報処理装置20は、前記プラントを管理するフィールドサーバー装置11Aから機場10で発生したフィールド情報を、電子メールを介して受信して蓄積し、蓄積された電子メールに含まれるフィールド情報を所定の順序で処理して加工情報を生成し、前記処理した加工情報を所定の形式で記憶し、前記記憶された加工情報に基づいて前記フィールド情報を受益者装置30へ提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラウドシステム及びクラウドシステムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々なプラントが稼働しており、このプラントは各種法令や自ら定めた保安に関する規定により設備の安全性、健全性維持が図られている。従来、このようなプラントの運転状況を管理する管理装置が提案されている(特許文献1および特許文献2)。
【0003】
特許文献1および特許文献2の管理装置では、プラントを管理するためのコンピュータを設け、このコンピュータに各種プラントで発生した情報を入力し、入力されたプラント情報を基づいて各種の管理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−156653号公報
【特許文献2】特開2009− 20787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現在、機場に設けられたプラントを遠隔地にある遠隔管理装置で管理する場合、機場単位に遠隔管理装置を単独で設置している。近年、市町村合併、広域事業体の運用の必要性から、機場単位の維持管理から複数の機場の管理を総括した統合的な維持管理が必要となっている。
【0006】
しかしながら、統合的な維持管理を実現しようとした場合、複数の機場で使用しているシステムが違うため、多様なインターフェース開発が必要となる。また、遠隔地にある装置間の情報の取り合いにおいて、プラント側にある装置が冗長化されると遠隔管理装置は冗長化を処理する機能を追加する必要がある。この場合、遠隔管理装置は、プラント側にある装置を正常監視する必要があり、遠隔管理装置および回線の負荷が増加してしまう。また、プラント側にある装置から遠隔管理装置に情報を配信する場合、装置間の密結合接続が必要となり、それを仲介する例えばDHCP等の装置及び回線占有が必要となり、システム全体のコスト、パフォーマンスに影響する。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、装置や回線の負荷を増加させることなく、機場の増加に対して容易に対応できるクラウドシステムおよびクラウドシステムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のクラウドシステムは、プラントのフィールド情報を受益者装置へ提供する情報処理装置を有するクラウドシステムであって、前記情報処理装置は、前記プラントを管理するフィールドサーバー装置から前記機場で発生したフィールド情報を、電子メールを介して受信して蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積された電子メールに含まれるフィールド情報を所定の順序で処理して加工情報を生成する処理手段と、前記処理手段で処理した加工情報を所定の形式で記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された加工情報に基づいて前記フィールド情報を前記受益者装置へ提供する提供手段とを有する。
【0009】
本発明によれば、電子メールを使用することにより、情報処理エンジン装置は、フィールドサーバー装置の監視が不要となり、送られてきた電子メールを処理するのみで済む。これによって、インターフェースの統一化を図ることができ、機場の増加に対し容易になる。また、電子メールを使用するとフィールドサーバー装置から仮想化の情報処理エンジン装置は、メールサーバーを介して行うため、疎結合接続のため、接続のための装置が不要となり、回線も占有しないため、システム全体のコスト、パフォーマンスに影響ない。また電子メールを利用することによりその安全機能を利用することで、情報の安全性と確実性を確保することができる。
【0010】
上記発明において、前記処理手段は、前記蓄積手段に蓄積された電子メールに含まれるフィールド情報を処理して検索用の検索インデックスを前記加工情報として生成し、前記提供手段は、前記生成した検索インデックスの中から前記受益者装置から受け付けた検索情報に対応する検索インデックスを決定し、前記決定した検索インデックスに対応するフィールド情報を、前記検索情報を受け付けた受益者装置へ提供するよう処理を実行する。本発明によれば、電子メールで収集された情報から検索インデックスを生成することにより、受益者装置は検索キーを利用して依頼することにより、検索キーに該当する情報を提供される。これにより、従来固定的なソフトウエアを開発せず、必要な時に必要な情報を得られる環境となる。
【0011】
上記発明において、前記フィールドサーバー装置は、前記フィールドサーバー装置が管理するプラントのフィールド情報をリアルタイムに取得しており、前記提供手段は、前記加工情報に含まれるフィールド情報に基づいて前記リアルタイムにフィールド情報を取得しているフィールドサーバー装置の中から対応するフィールドサーバー装置を決定する。本発明によれば、受益者装置にリアルタイムのフィールド情報を提供することができる。
【0012】
上記発明において、前記プラントに設けられた機器および/または部品の完成図書データを管理する完成図書サーバー装置をさらに有し、前記完成図書サーバー装置は、前記加工情報と前記完成図書データを比較し、前記完成図書データを変更する場合に前記受益者装置に確認して更新する処理を実行する。本発明によれば、自動的にかつ有用な完成地図を更新することができる。
【0013】
上記発明において、前記蓄積手段は、前記フィールドサーバー装置に対する指令を電子メールを介して受信して蓄積し、前記処理手段は、前記蓄積手段に蓄積された電子メールを処理して前記フィールサーバー装置に対する指令を抽出し、前記抽出されたフィールドサーバー装置に対する指令を対応するフィールドサーバー装置が行うよう処理を実行する。本発明によれば、受益者装置からの指令は、電子メールを使用することにより情報処理装置は、特別なハードウエア及び専用ソフトウエアを使用せずに、日常業務端末を使用可能となる。
【0014】
上記発明において、前記フィールドサーバー装置は、前記情報処理装置から送られてくる同一内容の操作指令を処理する少なくとも2つのサーバー装置によって構成され、前記2つのサーバー装置は、前記情報処理装置から送られてくる同一内容の操作指令の照合をそれぞれ行って前記両方のサーバー装置による照合結果が許可された場合に、前記2つのサーバー装置のうち一のサーバー装置によって前記操作指令を処理する。本発明によれば、重要なプラント指令でのセキュリティが図られる。
【0015】
上記発明において、前記フィールドサーバー装置は、冗長化処理を実行する少なくとも2つのサーバー装置を含み、通常運転時、第1サーバー装置が稼働し、第2サーバー装置が待機し、前記可動している第1サーバー装置が故障時、前記第2サーバー装置が稼働する。本発明によれば、機場単位に設置する、フィールドサーバー装置間で冗長化の構成、構造が単純化され、性能・コスト改善される。
【0016】
本発明のクラウドシステムは、前記検索情報として検索項目キーと検索成立条件を入力する画面を表示する受益者装置をさらに有し、前記処理手段は、前記検索項目キーと前記検索成立条件との組み合わせに応じた検索結果を生成し、前記生成した検索結果を前記受益者装置へ提供する処理を実行する。
【0017】
上記発明において、前記情報処理装置と前記フィールドサーバー装置は、同一の内容の処理を実行可能な複数の装置をそれぞれ含み、前記情報処理装置又は前記フィールドサーバー装置は、依頼先の装置の可動状態に応じて依頼する前記情報処理装置又は前記フィールドサーバー装置を選択的に切り替える。本発明によれば、フィールドサーバー装置から情報処理エンジン装置を経由して利用者までの情報の冗長化が計れ、高信頼性の情報サービスが提供可能となる。
【0018】
上記発明において、前記フィールドサーバー装置は、入力されたフィールド情報を順番に蓄積する第1処理と、前記第1処理によって順番に蓄積したフィールド情報の特徴量を抽出し、前記抽出した特徴量に基づいて前記第1処理によって蓄積したフィールド情報を復元情報に置き換える第2処理とを実行する。本発明によれば、蓄積情報の最適化を持って過去のフィールド情報の再生を可能とすることができる。これにより、過去のプラント状態の復元は、復元要求レベルに応じて最適区分から使用して行う。よって、フィールド情報を長期的に管理可能となり、フィールド情報を使用する各種システムに安定した情報を提供することができる。
【0019】
本発明のクラウドシステムの制御方法は、プラントのフィールド情報を受益者装置へ提供するクラウドシステムの制御方法であって、前記プラントを管理するフィールドサーバー装置から前記機場で発生したフィールド情報を、電子メールを介して受信して蓄積手段に蓄積する蓄積ステップと、前記蓄積ステップで蓄積された電子メールに含まれるフィールド情報を所定の順序で処理して加工情報を生成する処理ステップと、前記処理ステップで処理した加工情報に基づいて前記フィールド情報を前記受益者装置へ提供する提供ステップとを有する。
【0020】
上記発明において、前記処理ステップは、前記蓄積手段に蓄積された電子メールに含まれるフィールド情報を処理して検索用の検索インデックスを前記加工情報として生成し、前記提供ステップは、前記生成した検索インデックスの中から前記受益者装置から受け付けた検索情報に対応する検索インデックスを決定し、前記決定した検索インデックスに対応するフィールド情報を、前記検索情報を受け付けた受益者装置へ提供するよう処理を実行する。
【0021】
上記発明において、前記フィールドサーバー装置が前記プラントのフィールド情報をリアルタイムに取得するステップをさらに有し、前記提供ステップは、前記加工情報に含まれるフィールド情報に基づいて前記リアルタイムにフィールド情報を取得しているフィールドサーバー装置の中から対応するフィールドサーバー装置を決定するステップをさらに有する。
【0022】
上記発明において、前記フィールドサーバー装置に対する指令を電子メールを介して受信して前記蓄積手段に蓄積するステップと、前記蓄積手段に蓄積された電子メールを処理して前記フィールサーバー装置に対する指令を抽出し、前記抽出されたフィールドサーバー装置に対する指令を対応するフィールドサーバー装置が行うよう処理を実行するステップとを有する。
【0023】
上記発明において、前記情報処理装置から送られてくる同一内容の操作指令の照合を、2つのサーバー装置で行って前記両方のサーバー装置による照合結果が許可された場合に、前記2つのサーバー装置のうち一のサーバー装置が前記操作指令を処理するステップをさらに有する。
【0024】
上記発明において、通常運転時、第1フィールドサーバー装置が稼働し、第2フィールドサーバー装置が待機し、前記可動している第1フィールドサーバー装置が故障時、前記第2フィールドサーバー装置が稼働するステップをさらに有する。
【0025】
上記発明において、前記情報処理装置と前記フィールドサーバー装置は、同一の内容の処理を実行可能な複数の装置をそれぞれ含み、依頼先の装置の可動状態に応じて依頼する前記情報処理装置及び前記フィールドサーバー装置を選択的に切り替えるステップをさらに有する。
【0026】
上記発明において、入力されたフィールド情報を順番に蓄積する第1処理ステップと、前記第1処理ステップによって順番に蓄積したフィールド情報の特徴量を抽出し、前記抽出した特徴量に基づいて前記第1処理によって蓄積したフィールド情報を復元情報に置き換える第2処理ステップとをさらに有する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、装置や回線の負荷を増加させることなく、機場の増加に対して容易に対応できるクラウドシステムおよびクラウドシステムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係るクラウドシステムの構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態に係るクラウドシステムの詳細構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るクラウドシステムの上り系の処理フローチャートである。
【図4】情報提供サーバー内の記憶装置に格納されるテーブルを説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に係るクラウドシステムの上り系の処理フローチャートである。
【図6】インデックスサーバー内の記憶装置に格納されるテーブルを説明する図である。
【図7】完成図書サーバー内の記憶装置に格納されるテーブルを説明する図である。
【図8】本発明の実施形態に係るクラウドシステムのインテリジェント検索の処理フローチャートである。
【図9】情報提供サーバーのインテリジェント検索処理について説明する図である。
【図10】本発明の実施形態に係るクラウドシステムの下り系の処理フローチャートである。
【図11】本発明の実施形態に係るクラウドシステムによる可用性の確保について説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態に係るフィールドサーバー装置の冗長化処理について説明するための図である。
【図13】本発明の実施形態に係るフィールドサーバーの情報蓄積の最適化について説明するための図である。
【図14】フィールドサーバーの情報蓄積の最適化について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係るクラウドシステム(クラウドコンピュータシステム)の構成を説明するための図である。クラウドシステム100は、プラントの保守・維持管理業務を支援するシステムである。このクラウドシステム100は、複数の遠方の機場の情報を統合管理し、利用者が要求する情報に加工し、複数の利用者へ提供する等の機能を有する。図1に示すように、このクラウドシステム100は、機場10A〜10C、情報処理エンジン装置20、受益者装置30A〜30Cを備えている。
【0031】
機場10A〜10Cにはそれぞれ、プラント12A〜12C、フィールドサーバー装置11A〜11Cが設けられている。情報処理エンジン装置20は、プラントのフィールド情報を機場10A〜10Cから電子メールを介して収集し、また収集したフィールド情報を自動的又は受益者装置30の要求に応じて受益者装置30A〜30Cへ電子メールを介して提供する。また、情報処理エンジン装置20は、受益者装置30A〜30Cからの指令に応じて指令を機場10A〜10Cに送る機能を有する。電子メールを利用することで定常的な機能アップを電子メールを介して自動的に行うこともできる。受益者装置30A〜30Cは、受益者によって使用されるものであって、情報提供を受ける機能と、プラントに対する指令を送る機能とを有する。
【0032】
尚、フィールドサーバー装置11、情報処理エンジン装置20内のサーバー及び受益者装置30は、例えば、CPU(CentralProcessing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、ハードディスク等の記憶装置、ディスプレイ装置等を含んで構成されている。
【0033】
次に、クラウドシステムの詳細構成について具体的に説明する。図2は、本発明の実施形態に係るクラウドシステムの詳細構成を示す図である。図2に示すように、機場10Aには、プラント12A、2つのフィールドサーバー装置が設けられており、これらはシリアルインターフェースのネットワークを介して接続されている。プラント12Aは、コンポーネント12A1と汎用機器12A2を有する。二つのフィールドサーバー装置11A1、11A2は同一内容の処理を実行できるように構成されている。同様に、機場10Bには、プラント(マルチメディア)12B2、二つのフィールドサーバー装置11B1、11B2が設けられ、Ethernet(登録商標)を介して接続されている。また機場10Cには、プラント(汎用機器)12C2、二つのフィールドサーバー装置11C1、11C2を介して接続されている。
【0034】
情報処理エンジン装置20は、メールサーバー21、情報提供サーバー22、インデックスサーバー23、SNS(SocialNetworking Service)サーバー24、システム管理サーバー25、完成図書サーバー26を有し、これらはネットワークを介して接続されている。メールサーバー21は、フィールドサーバー装置11、受益者装置30から送られてきた電子メールを受信して記憶するメール受信サーバー機能と、情報処理エンジン装置20からフィールドサーバー装置11、受益者装置30へ電子メールを送信するメール送信サーバー機能とを有する。
【0035】
情報提供サーバー22は、機場10A〜10Cで発生したフィールド情報やこのフィールド情報を加工した加工情報を受益者装置30A〜30Cに提供するものである。この情報提供サーバー22は、機場10A〜10Cの情報を複数のファイルを一つのファイルにまとめたアーカイブによって蓄積する。関連するファイルをひとまとめにすることで、ネットワークを通じた送受信の手間を軽減したり、ディスクの管理を容易にしたりことができる。情報提供サーバー22は、ファイルをまとめる際に圧縮を施すことにより情報量を少なくする。
【0036】
インデックスサーバー23は、フィールドサーバー装置11A〜11Cから収集したフィールド情報から検索インデックスを生成し、生成した検索インデックスと検索インデックスを生成する際に使用したフィールド情報の実アドレス情報を関連付けて記憶する。この実アドレス情報は、フィールドサーバー装置(ステーション)11A〜11Cを識別する識別情報とフィールド情報の相対位置情報とを含む。
【0037】
SNSサーバー24は、人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニティ型のWebサイトを運営するサーバーである。このSNSサーバー24は、受益者装置30A〜30Cを操作するユーザー同士のつながりを促進・サポートする。システム管理サーバー25は、情報処理エンジン装置20全体を管理する。完成図書サーバー26は、プラントに設けられた機器および/または部品の完成図書データを管理し、完成図書データを自動的に更新する。
【0038】
次に、クラウドシステムの配信処理について説明する。メールサーバー21は、プラントを管理するフィールドサーバー装置11から機場10で発生したフィールド情報を電子メールを介して受信して電子メールを蓄積する。情報提供サーバー22は、メールサーバー21に蓄積された電子メールに含まれるフィールド情報を所定の順序で処理する。情報提供サーバー22は、処理した加工情報をアーカイブ情報(所定の形式)で記憶する。情報提供サーバー22は、処理したフィールド情報の加工情報を受益者装置30A〜30Cへ送信する。
【0039】
次に、クラウドシステムの検索インデックス処理について説明する。受益者装置30から情報の問い合わせがあった場合、情報処理エンジン装置20は、全フィールドサーバー装置11A〜11Cに同報通知し、その回答の中に該当情報があった場合に、フィールドサーバー装置からのフィールド情報に基づいて検索インデックスを生成し、生成した検索インデックスを利用者が操作する受益者装置30に情報提供する。
【0040】
次に、クラウドシステムのコマンド指令処理について説明する。受益者装置30A〜30Cはプラント10A〜10Cのフィールドサーバー装置11A〜11Cに対する指令を電子メールを介して情報処理エンジン装置20へ送信する。メールサーバー21は、フィールドサーバー装置11A〜11Cに対する指令を電子メールを介して受信して電子メールを蓄積する。情報提供サーバー22は、メールサーバー21に蓄積された電子メールを処理してフィールサーバー装置に対する指令を抽出する。次に、情報提供サーバー22は、抽出したフィールドサーバー装置に対する指令を対応するフィールドサーバー装置11A〜11Cが行うよう処理を依頼する。対応するフィールドサーバー装置11A〜11Cは、この指令に応じた処理結果を情報処理エンジン装置20を介して指令を出した受益者装置30へ回答する。
【0041】
図3は、本発明の実施形態に係るクラウドシステムの上り系の処理フローチャートである。図3に示すように、フィールドサーバー装置11A1は、イベント発生機能部15、処理機能部16、蓄積機能部17を有する。
【0042】
イベント発生機能部15は、定義指定を受けつけるものであって、例えば時間情報、時刻情報、プラント状態変更情報等を定義指定として受け付ける。イベント発生機能部15によって受け付けた定義指定は処理機能部16に入力される。処理機能部16は、リアルタイム情報となるプラント状態情報を受け付ける。ここで、フィールド情報のうちプラントで発生したリアルタイムの情報をプラントの状態を示すことからプラント状態情報という。したがってフィールド情報には、プラント状態情報が含まれる。このプラント状態情報は例えばアナログデータAI、デジタルデータDI、パルスデータPIの形式となっている。蓄積機能部17は、プラント状態情報を指定された時間で例えばアナログデータAI、デジタルデータDI、パルスデータPIの形式で蓄積する。蓄積機能部17にはフィールド情報が順次蓄積される。処理機能部16は、蓄積機能部17に蓄積されたフィールド情報を電子メールによって暗号化して情報処理エンジン装置20に送る。
【0043】
メール受信サーバー21Aは、プラントを管理するフィールドサーバー装置11A1から機場10Aで発生したフィールド情報を電子メールを介して受信して電子メールを復号化して蓄積する。情報提供サーバー22は、メールサーバー21に蓄積された電子メールに含まれるフィールド情報を所定の順序で処理し、時刻情報、データの状態情報など必要な情報を抽出して加工情報(アーカイブ情報)を生成し内部の記憶装置に記憶する。この加工情報にはメニュー情報、実体情報等が含まれる。
【0044】
図4は、情報提供サーバー内の記憶装置に格納されるテーブルを説明する図である。テーブル項目は、タイムスタンプ、値(実データ)、データ状態、項目名称、ベース値、フルスケール値、単位、データタイプ等から構成されている。タイムスタンプは、西暦、月、日、時間、分、秒等の情報を含む。値(実データ)は、リアルタイムのプロセス値等の情報を含む。データ状態は、使用可、使用不可、保守状態、異常状態値(実データ)等の正当性、妥当性を示すデータを含む。項目名称は、日本語の項目名称を含む。ベース値、フルスケール値は数値を含む。単位は、例えば%、Mpa、m3/h等を含む。データタイプは、Bool、REAL、int等の形式を持つ。ここで、タイムスタンプ、値(実データ)は変動するダイナミック情報であり、他の項目の値は、固定情報となる。
【0045】
情報提供サーバー22は、記憶装置に記憶されたプラント情報の加工情報に基づいてプラント情報を電子メールを介して受益者装置30Aへ送信する。受益者装置30Aは、情報処理エンジン装置20から送信されたプラント情報に基づいて表示領域に実体データとメニュー画面を表示する。受益者装置30Aは、ユーザーによってメニュー画面の中から項目が選択されると、選択された項目に対応するプラント情報の実体データを表示する。これによって利用者はプラント情報を見ることができる。
【0046】
図5は、本発明の実施形態に係るクラウドシステムの他の上り系の処理フローチャートである。フィールドサーバー装置11A1の処理機能部16には、図中左下に示すようにプラントのフィールド情報が入力される。処理機能部16は、入力されたフィールド情報とプラント定義指定が一致した場合に、フィールド情報を暗号化して電子メールを介して情報処理エンジン装置20に送信する。メール受信サーバー21Aは、フィールドサーバー装置11A1から送信された電子メールを復号化して蓄積する。
【0047】
情報提供サーバー22は、所定のタイミングで必要な情報を抽出して内部の蓄積手段へ蓄積する。インデックスサーバー23は、情報提供サーバー22の内部の蓄積手段に蓄積されたフィールド情報を処理して検索用の検索インデックス(検索キー)を生成する。この検索インデックスは上記加工情報となる。この検索インデックスは、検索インデックスを生成する際に処理したフィールド情報を発生したフィールドサーバー装置の識別情報(ステーション)とフィールド情報の相対位置からなる実アドレスと関連付けられて、インデックスサーバー23内に記憶される。
【0048】
図6はインデックスサーバー内の記憶装置に格納されるテーブルを説明する図である。図6に示すように、テーブル項目は、タイムスタンプ、検索インデックスとなる項目名称、実アドレス、タイトル、情報の大きさ、ランキング等を含む。ライムスタンプは、検索キー(項目)が自動生成された、西暦、月、日、時間、分、秒等の情報を含む。項目名称は、検索語を含み、この検索語は例えば日本語名称からなる。実アドレスは、ステーション+相対位置情報を含む。タイトルは、検索語の補足説明の内容となり、設備名称またはステーション名称等を含む。情報の大きさは、データ形式を示す。ランキングは、数値からなり、情報の使用頻度、後日情報の重要度から他のシステム(イベントレコーダ、インタロック)の自動収集対象として使用する。
【0049】
次に、検索インデックスを用いた処理について説明すると、受益者装置30Aは、受益者からユーザーインターフェースを介して検索キー入力と要求を受け付けて、情報処理エンジン装置20へ電子メールを介して問い合わせ情報を送る。インデックスサーバー23は、受益者装置30Aから検索情報を受け付ける。次に、インデックスサーバー23は、生成した検索インデックスの中から受け付けた検索情報に対応する検索インデックスを決定する。インデックスサーバー23は、決定した検索インデックスに対応する実アドレスを利用して、検索インデックスに対応するプラント状態情報を、問い合わせを受けた受益者装置30へ送信するようフィールドサーバー装置11A1へ処理を依頼する。
【0050】
図中右下に示すように、フィールドサーバー装置11A1の処理機能部16には、フィールドサーバー装置11A1が管理するプラントのプラント状態情報がリアルタイムに入力されている。フィールドサーバー装置11A1は、プラント状態情報を指定を受けた受益者装置30Aに電子メールを介して送信する。受益者装置30Aは、電子メールを介して送られてきたプラント状態情報を検索結果として所定のディスプレイ装置に表示する。これによってユーザーはリアルタイムのフィールド情報を見ることができる。
【0051】
次に、図5を利用して完成図書処理について説明する。図7は、完成図書サーバー内の記憶装置に格納されるテーブルを説明する図である。図7に示すように、テーブル項目は、タイムスタンプ、設備名称、信号名称、ベース値、フルスケール値、単位、使用先等を含む。タイムスタンプは、西暦、月、日、時間、分、秒等を含む。設備名称は、検索インデックスに対応するものであって、設備区分、ステーション等の日本語による名称等を含む。信号名称は、日本語の名称からなる。ベース値は、数値を含む。フルスケール値は、数値を含む。単位は、例えば%、Mpa、m3/h等を含む。使用先は、信号(情報)の使用する用途の内容となる。
【0052】
完成図書サーバー26は、インデックスサーバー23の検索インデックス(検索キー)を周期的にチェックし、新たに生成された検索インデックスと完成図書データの設備名称を比較し、新たに生成された検索インデックスが完成図書データに登録されていない場合には、未登録の新しい検索インデックスを完成図書データとして登録するかどうかの問い合わせデータを受益者装置30Aへ送信して確認する処理を行う。受益者装置30Aは、表示された画面を見ながら未登録の新しい検索インデックスを完成図書データに登録するかどうかの指示を入力する。受益者装置30Aは、ユーザーの入力指示に応じて、未登録の新しい検索インデックスの完成図書データへの登録の可否データを完成図書サーバー26へ送信する。
【0053】
完成図書サーバー26は、未登録の新しい検索インデックスを完成図書データに登録する指示を受益者装置30Aから受け付けた場合には、新たに生成された検索インデックス情報を完成図書データに登録する。一方、完成図書サーバー26は、未登録の新しい検索インデックスを完成図書データに登録しない旨の指示を受益者装置30Aから受け付けた場合には、新たに生成された検索インデックスは登録しないように処理を行う。
【0054】
次に、情報提供サーバー22の相関検索処理について説明する。図8は、本発明の実施形態に係るクラウドシステムのインテリジェント検索の処理フローチャートである。図8において処理1系はフィールド情報のうち現在のリアルタイム情報を対象としている場合の系、処理2系はフィールド情報のうち過去のヒストリカルな情報を対象としている場合の系である。受益者装置30Aは、フィールド情報を取得する際に検索項目キーと検索成立条件を検索情報として入力する画面を表示する。ここでは、検索項目キーとして1項目、2項目、N項目という形式で複数の検索キーを入力できる。また、検索成立条件として、判定条件キーと処理キーとを入力できる。判定条件キーは、検索項目キーとして指定した検索項目の関係性を判定するために入力するものである。例えば検索項目キーとして複数の項目間の関係や、それぞれの項目の関係を例えば大小関係等を用いて入力できる。処理キーは、検索項目キーと判定条件キーを処理する期間や時期を条件として入力するものである。
【0055】
インデックスサーバー23の記憶装置内には、フィールド情報に対する項目名と実アドレスが記憶されている。図8の例では、項目Aには実アドレスAが、項目Bには実アドレスBが、項目Cには実アドレスCがそれぞれ対応付けられて記憶されている。情報提供サーバー22は、検索項目キーと検索成立条件との組み合わせに応じた検索結果を生成し、生成した検索結果を受益者装置30へ提供する処理を実行する。
【0056】
図8に示す例では、情報提供サーバー22は、フィールド情報の項目A、項目B等がリアルタイム情報の処理1系の場合は現時点から指定時間(例えば24時間後)を検索対象とする。一方、情報提供サーバー22は、フィールド情報の項目A、項目B等がヒストリカル情報の処理2系の場合は現時点から指定時間(例えば24時間前)を検索対象とする。情報提供サーバー22はインテリジェント処理結果を内部の記憶装置に格納する。情報提供サーバー22は、指定時間の経過後に検索結果を受益者装置30Aへ電子メールを介して送信する。受益者装置30Aは、電子メールアドレスを介して受信した検索結果をディスプレイ装置に表示する。
【0057】
図9は、情報提供サーバー22のインテリジェント検索処理について具体的に説明する。ここでは、受益者が受益者装置30Aにて、検索キー入力として検索項目キー、判定条件キー及び処理キーを利用した場合の例について説明する。
【0058】
ここでは、受益者装置30Aのユーザーインターフェースを利用してユーザーは、フィールド情報の検索項目キーとして「プラント状態情報A〜G」を入力している。また、判定条件キーとして、処理1系(ケース1)の場合、「プラント状態情報A+プラント状態情報B>プラント状態情報C」を入力し、処理2系(ケース2)の場合、「プラント状態情報<65」を入力している。さらに、処理キーとして、処理1系(ケース1)の場合に「24時間」、処理2(ケース2)の場合に「10月3日まで」と入力している。情報処理エンジン装置20の情報提供サーバー22は、受益者装置30Aからの検索キーの入力を受け付けて、フィールド情報の中から検索項目キーの検索結果X1、判定検索キーの検索結果X2、処理キーの検索結果X3のアンド条件を最終的な検索結果とし、最終結果を依頼先の受益者装置30Aに送る。受益者装置30Aは、情報提供サーバー22からの検索結果を表示する。これにより、ユーザーは相関検索を利用したインテリジェントな検索結果を得ることができる。
【0059】
図10は、本発明の実施形態に係るクラウドシステムの下り系の処理フローチャートである。図10の下段に示すように、フィールドサーバー装置11Aは、情報処理エンジン装置20から送られてくる同一内容のコマンド指令を処理する2つのサーバー装置11A1、11A2によって構成されている。
【0060】
受益者装置30Aは、ユーザーインターフェースを介してメール送信による操作指令を受益者から受け付ける。例えば、受益者は、ステーション+相対位置、検索キー、コマンド、所定の値等を操作指令として受益者装置30Aに入力する。次に、受益者装置30Aは、同一内容の2つの電子メールによって操作指令を情報処理エンジン装置20へ送る。例えば、受益者装置30Aは、メールソフトの送信アドレスを入力する箇所(TO)と、同一内容のメールを送る送信アドレスを入力する箇所(CC)とを利用して2つの電子メールによって同一の操作指令を情報処理エンジン装置20に送る。
【0061】
情報処理エンジン装置20のメール受信サーバー21Aは、二つの電子メールを受信することによって同一の操作指令を二つ受け付ける。次に、メール送信サーバー21Bは、同一内容の電子メールをフィールドサーバー装置11A1とフィールドサーバー装置11A2にそれぞれ配信する。
【0062】
2つのフィールドサーバー装置11A1、11A2は、情報処理エンジン装置20から送られてくる同一内容のコマンド指令の照合を行って両方のサーバー装置11A1、11A2による照合結果が許可された場合に、2つのサーバー装置11A1、11A2のうち一のサーバー装置によってコマンド指令を処理してプラント12Aを制御する。また、フィールドサーバー装置11A1、11A2は、プラント12Aからプラントアンサーを受け付ける。この例では、フィールドサーバー装置11A2がプラント12Aからのプラントアンサーを蓄積している。
【0063】
受益者装置30Aは、メール送信の情報(ステーション+相対位置・検索キー)を使用して、上述したインデックスサーバー23に検索依頼を行って、送信結果(プラントアンサー)を確認するために必要となるプラントアンサーの実体アドレス(ステーション+相対位置+N)を求める。インデックスサーバー23は、検索キーからNを抽出して受益者装置30Aに回答データを送信する。受益者装置30Aは、求めたプラントアンサーの実体アドレスに基づいてフィールドサーバー装置11A2から送られてきたプラントアンサーを受信して、検索結果を表示する。また、受益者装置30Aは、インデックスサーバー23への依頼タイミングをメール送信後ただちに行うのではなく、プラント12Aの応答時間を加味するためにメール送信後からある時間を待って、検索結果の表示を実行する。これにより、操作が確実に行われたか、失敗に終わったかを判断することが可能となる。受益者装置30Aは、メール送信から上記の手順で検索結果の表示確認を自動的に行う自動検索起動と失敗かの再確認時に使用する手動検索起動を選択することができる。
【0064】
図11は、一貫した統一された可用性の確保について説明するための図である。図11に示すクラウドシステムでは、一つの機場10Aに対して複数の情報処理エンジン装置20A〜20Cが設けられている。情報処理エンジン装置20A〜20Cは図2に示した構成のものと同様とする。また、上述と同様に、フィールドサーバー装置11Aは、同一の内容の処理を実行可能な複数のフィールドサーバー11A1、11A2によって構成されている。
【0065】
情報処理エンジン装置20A〜20Cは、依頼先の装置の可動状態に応じて依頼するフィールドサーバー装置11A1、11A2を選択的に切り替えて処理を実行する。また、フィールドサーバー装置11A1、11A2は、情報処理エンジン装置20A〜20Cの可動状態に応じて依頼する情報処理エンジン装置20A〜20Cを選択的に切り替えて処理を実行する。これにより、
【0066】
次に、フィールドサーバー装置の冗長化処理について説明する。図12は、フィールドサーバー装置の冗長化処理について説明するための図である。フィールドサーバー装置11は、冗長化処理を実行する少なくとも2つのフィールドサーバー装置11A1、11A2を含んで構成されている。
【0067】
通常運転時、第1フィールドサーバー装置11A1が稼働し、第2フィールドサーバー装置11A2が待機している。可動している第1フィールドサーバー装置11A1に異常が発生している場合は、第1フィールドサーバー装置11A1に代わって第2フィールドサーバー装置11A2が稼働する。フィールドサーバー装置11Aの異常対象としては、フィールドサーバー装置11Aのハードウエア、ファームウエア、プラットフォーム、アプリケーション等がある。
【0068】
フィールドサーバー装置11Aは、故障警告を電子メールを介して受益者装置30へ送る。第1フィールドサーバー装置11A1が故障してしまった場合、第1フィールドサーバー装置11A1に代わって第2フィールドサーバー装置11A2が処理を実行する。第1フィールドサーバー装置11A1が故障して自動復帰が不可能な場合には人が故障を修理して復帰させる。
【0069】
次に、フィールドサーバー装置の情報蓄積の最適化処理について説明する。図13及び図14は、フィールドサーバー装置の情報蓄積の最適化について説明するための図である。フィールドサーバー装置11は現場に設置するため環境的な制限から、フィールドでの情報蓄積量は有限である。フィールド蓄積情報はリモートへのアーカイブを前提としているが、アーカイブ段階で各種のトラブル(通信不能、リモートサーバ不具合)にて、フィールドの蓄積情報が喪失する危険が生じる。このリスクを最小限に防止する方式として、情報蓄積の最適化を行う。
【0070】
図13に示すように、従来の情報蓄積は蓄積空間(ストレージ空間)の制限を越えた場合、蓄積情報の一番古い情報を破棄し、最新情報y1を取り込む方式が一般的である。最新情報y1を蓄積する場合は、1番目から順次情報蓄積の移動を行う。この結果、蓄積空間では最新情報y1を取り込むタイミング(時間、時刻、プラント状態変化等)で蓄積空間の最下位の一番古い蓄積情報は抹消される。しかし、一度喪失した過去のプラント情報を再生することは不可能となる。
【0071】
そこで、図14に示すように、最新情報y1を取り込む段階で、一番古い情報を単純に喪失するのでなく、蓄積情報の最適化を持って過去のプラント情報の再生を可能とする。過去のプラント状態の復元は、復元要求レベルに応じて、最適化区間Aから最適化区間Cを使用して行う。これにより、フィールド情報を長期的に管理可能となり、フィールド情報を使用する各種システムに安定した情報を提供する。
【0072】
図14に示す例では、フィールドサーバー装置11は、一般区間では、入力されたフィールド情報を1分毎の蓄積情報として順番に蓄積する第1処理を実行する。次に、フィールドサーバー装置11は、最適化区間Aの情報蓄積に対しては、第1処理によって順番に蓄積した1分毎の蓄積情報から任意の蓄積情報に変化させるために1分毎の蓄積情報から特徴量を抽出する。次に、フィールドサーバー装置11は、抽出した特徴量に基づいて第1処理によって蓄積したフィールド情報を復元情報に置き換える第2処理を実行する。
例えば、最適化区間Aでは、1時間平均、最大、最小等を特徴量データとして蓄積する。
【0073】
フィールドサーバー装置11は、最適化区間Bの情報蓄積に対しては、1時間の蓄積情報から最適化区間Aの情報の特徴量を抽出する。例えば、最適化区間Bでは8時間平均、最大、最小等を特徴量データとして蓄積する。フィールドサーバー装置11は、最適化区間Cの情報蓄積に対しては、8時間の蓄積情報から最適化区間Bの情報の特徴量を抽出する。例えば、24時間平均、最大、最小等を特徴量データとして蓄積する。フィールドサーバー装置11は、最適化区間A〜Cで蓄積した特徴量データを使用して過去のプラント情報を再生することができる。この構成によって同じ蓄積空間でより多くの情報を蓄積することができる。
【0074】
本実施形態のクラウドシステムによれば、フィールドサーバー装置11から電子メールによる配信のためフィールドサーバー装置11の故障の場合でも復帰後に自動再送され、情報欠落が防げる。また電子メールは国際標準化された形式で、オープン化されており、容易に構築ができる。さらに、電子メールは双方の認証機能を有し、更に情報の暗号化が行われているので、汎用の低速デジタル回線が使用可能となる。従来のシステムより、単純、汎用的なハードウエアの使用が可能となる。プラント維持管理システムのための長期維持が汎用を使用することにより容易に可能となる。汎用技術の進化に容易に追従でき、常に最新技術が使用可能となる。
【0075】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0076】
尚、本発明のクラウドシステムの制御方法の各ステップは、クラウドシステム100により実行される。情報処理装置は情報処理エンジン装置20に対応する。また、蓄積手段、処理手段、記憶手段、提供手段は情報処理エンジン装置20の各サーバーの機能によって実現される。
【符号の説明】
【0077】
100 クラウドシステム
10A〜10C 機場
11A〜11C フィールドサーバー装置
12A〜12C プラント
20 情報処理エンジン装置
21 メールサーバー
22 情報提供サーバー
23 インデックスサーバー
24 SNSサーバー
25 システム管理サーバー
26 完成図書サーバー
30A〜30C 受益者装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントのフィールド情報を受益者装置へ提供する情報処理装置を有するクラウドシステムであって、
前記情報処理装置は、
前記プラントを管理するフィールドサーバー装置から前記機場で発生したフィールド情報を、電子メールを介して受信して蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積された電子メールに含まれるフィールド情報を所定の順序で処理して加工情報を生成する処理手段と、
前記処理手段で処理した加工情報を所定の形式で記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された加工情報に基づいて前記フィールド情報を前記受益者装置へ提供する提供手段と、
を有することを特徴とするクラウドシステム。
【請求項2】
前記処理手段は、前記蓄積手段に蓄積された電子メールに含まれるフィールド情報を処理して検索用の検索インデックスを前記加工情報として生成し、
前記提供手段は、前記生成した検索インデックスの中から前記受益者装置から受け付けた検索情報に対応する検索インデックスを決定し、前記決定した検索インデックスに対応するフィールド情報を、前記検索情報を受け付けた受益者装置へ提供するよう処理を実行することを特徴とする請求項1に記載のクラウドシステム。
【請求項3】
前記フィールドサーバー装置は、前記フィールドサーバー装置が管理するプラントのフィールド情報をリアルタイムに取得しており、
前記提供手段は、前記加工情報に含まれるフィールド情報に基づいて前記リアルタイムにフィールド情報を取得しているフィールドサーバー装置の中から対応するフィールドサーバー装置を決定することを特徴とする請求項2に記載のクラウドシステム。
【請求項4】
前記プラントに設けられた機器および/または部品の完成図書データを管理する完成図書サーバー装置をさらに有し、
前記完成図書サーバー装置は、前記加工情報と前記完成図書データを比較し、前記完成図書データを変更する場合に前記受益者装置に確認する処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のクラウドシステム。
【請求項5】
前記蓄積手段は、前記フィールドサーバー装置に対する指令を電子メールを介して受信して蓄積し、
前記処理手段は、前記蓄積手段に蓄積された電子メールを処理して前記フィールサーバー装置に対する指令を抽出し、前記抽出されたフィールドサーバー装置に対する指令を対応するフィールドサーバー装置が行うよう処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のクラウドシステム。
【請求項6】
前記フィールドサーバー装置は、前記情報処理装置から送られてくる同一内容の操作指令を処理する少なくとも2つのサーバー装置によって構成され、
前記2つのサーバー装置は、前記情報処理装置から送られてくる同一内容の操作指令の照合をそれぞれ行って前記両方のサーバー装置による照合結果が許可された場合に、前記2つのサーバー装置のうち一のサーバー装置によって前記操作指令を処理することを特徴とする請求項5に記載のクライドシステム。
【請求項7】
前記フィールドサーバー装置は、冗長化処理を実行する少なくとも2つのサーバー装置を含み、
通常運転時、第1サーバー装置が稼働し、第2サーバー装置が待機し、前記可動している第1サーバー装置が故障時、前記第2サーバー装置が稼働することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のクラウドシステム。
【請求項8】
前記クラウドシステムは、前記検索情報として検索項目キーと検索成立条件を入力する画面を表示する受益者装置をさらに有し、
前記処理手段は、前記検索項目キーと前記検索成立条件との組み合わせに応じた検索結果を生成し、前記生成した検索結果を前記受益者装置へ提供する処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のクラウドシステム。
【請求項9】
前記情報処理装置と前記フィールドサーバー装置は、同一の内容の処理を実行可能な複数の装置をそれぞれ含み、
前記情報処理装置又は前記フィールドサーバー装置は、依頼先の装置の可動状態に応じて依頼する前記情報処理装置又は前記フィールドサーバー装置を選択的に切り替えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のクラウドシステム。
【請求項10】
前記フィールドサーバー装置は、入力されたフィールド情報を順番に蓄積する第1処理と、前記第1処理によって順番に蓄積したフィールド情報の特徴量を抽出し、前記抽出した特徴量に基づいて前記第1処理によって蓄積したフィールド情報を復元情報に置き換える第2処理とを実行することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のクラウドシステム。
【請求項11】
プラントのフィールド情報を受益者装置へ提供するクラウドシステムの制御方法であって、
前記プラントを管理するフィールドサーバー装置から前記機場で発生したフィールド情報を、電子メールを介して受信して蓄積手段に蓄積する蓄積ステップと、
前記蓄積ステップで蓄積された電子メールに含まれるフィールド情報を所定の順序で処理して加工情報を生成する処理ステップと、
前記処理ステップで処理した加工情報に基づいて前記フィールド情報を前記受益者装置へ提供する提供ステップと、
を有することを特徴とするクラウドシステムの制御方法。
【請求項12】
前記処理ステップは、前記蓄積手段に蓄積された電子メールに含まれるフィールド情報を処理して検索用の検索インデックスを前記加工情報として生成し、
前記提供ステップは、前記生成した検索インデックスの中から前記受益者装置から受け付けた検索情報に対応する検索インデックスを決定し、前記決定した検索インデックスに対応するフィールド情報を、前記検索情報を受け付けた受益者装置へ提供するよう処理を実行することを特徴とする請求項11に記載のクラウドシステムの制御方法。
【請求項13】
前記フィールドサーバー装置が前記プラントのフィールド情報をリアルタイムに取得するステップをさらに有し、
前記提供ステップは、前記加工情報に含まれるフィールド情報に基づいて前記リアルタイムにフィールド情報を取得しているフィールドサーバー装置の中から対応するフィールドサーバー装置を決定するステップをさらに有することを特徴とする請求項2に記載のクラウドシステムの制御方法。
【請求項14】
前記フィールドサーバー装置に対する指令を電子メールを介して受信して前記蓄積手段に蓄積するステップと、
前記蓄積手段に蓄積された電子メールを処理して前記フィールサーバー装置に対する指令を抽出し、前記抽出されたフィールドサーバー装置に対する指令を対応するフィールドサーバー装置が行うよう処理を実行するステップと、を有することを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のクラウドシステムの運転方法。
【請求項15】
前記情報処理装置から送られてくる同一内容の操作指令の照合を、2つのサーバー装置で行って前記両方のサーバー装置による照合結果が許可された場合に、前記2つのサーバー装置のうち一のサーバー装置が前記操作指令を処理するステップをさらに有することを特徴とする請求項14に記載のクライドシステムの制御方法。
【請求項16】
通常運転時、第1フィールドサーバー装置が稼働し、第2フィールドサーバー装置が待機し、前記可動している第1フィールドサーバー装置が故障時、前記第2フィールドサーバー装置が稼働するステップをさらに有することを特徴とする請求項11から請求項15のいずれかに記載のクラウドシステムの運転方法。
【請求項17】
前記情報処理装置と前記フィールドサーバー装置は、同一の内容の処理を実行可能な複数の装置をそれぞれ含み、
依頼先の装置の可動状態に応じて依頼する前記情報処理装置及び前記フィールドサーバー装置を選択的に切り替えるステップをさらに有することを特徴とする請求項11から請求項16のいずれか一項に記載のクラウドシステムの運転方法。
【請求項18】
入力されたフィールド情報を順番に蓄積する第1処理ステップと、
前記第1処理ステップによって順番に蓄積したフィールド情報の特徴量を抽出し、前記抽出した特徴量に基づいて前記第1処理によって蓄積したフィールド情報を復元情報に置き換える第2処理ステップと、をさらに有することを特徴とする請求項11から請求項17のいずれか一項に記載のクラウドシステムの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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