説明

クラスターボロンの調製方法

本発明はクラスターボロン(B1822)を合成するための新規方法を提供する。好ましい本発明の方法は、B1822を高収率かつ高純度で生産するための、B20182−の共役酸の生成および溶液中の酸の変性を含む。本発明はさらに、同位体が濃縮されたボラン、特に同位体が濃縮された101822および111822を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書中に参照として全体が援用される、2007年11月2日に出願した米国仮出願第61/001633号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、クラスターボロン(登録商標)(ClusterBoron)として一般的に市販されている、シンおよびアンチ異性体の混合物としてのB1822を合成する方法を提供する。本発明はさらに、上記の方法によって調製された、同位体が濃縮されたB1822を提供する。特に本発明は、天然に存在するB182210Bが濃縮されたB182211Bが濃縮されたB1822に関する。
【背景技術】
【0003】
大きな水素化ホウ素化合物は、半導体製造におけるホウ素をドープしたP型不純物領域の重要な供給原料になってきている。特に、例えば少なくとも5個のホウ素原子クラスターを含む水素化ホウ素化合物などの、高分子量の水素化ホウ素化合物は、分子ホウ素注入用の好ましいホウ素原子供給原料である。
【0004】
現在の半導体工学において重要な側面は、より小さくかつより速いデバイスの継続的な開発である。この工程はスケーリングと呼ばれている。スケーリングは、集積回路を含む半導体基板におけるより小さなフィーチャーの規定を可能にする、リソグラフ加工法の継続的な進歩によって促進される。一般に認められているスケーリング理論が、半導体装置設計のすべての面の同時の適切なサイズ変更、すなわち各々のテクノロジーまたはスケーリングノードにおいて、チップ生産者を導くために開発された。イオン注入工程におけるスケーリングの大きな影響は接合深さのスケーリングであり、デバイス面積が減るにつれてより浅い接合が必要とされる。集積回路工学の規模での、このより浅い接合への要求は、イオン注入エネルギーを、各スケーリングステップにおいて減少していかなくてはならないという、要求につながる。現在のサブ0.13ミクロンデバイスにより必要とされる極端に浅い接合は、「超浅接合」またはUSJと呼ばれる。
【0005】
ホウ素ドープP型接合を作成する方法は、ホウ素を使用するイオン注入工程の制御困難によって妨害されている。軽量(分子量10.8)である単一ホウ素原子は、シリコン基板中に非常に深く拡散することができ、かつアニーリングまたは他の昇温工程の間、基板格子のいたるところに迅速に拡散することができる。
【0006】
ボランなどのホウ素クラスターまたはケージは、浸透が少ない分子状ホウ素種を半導体基板へ供給する供給原料として研究されている。PCT/US03/20197を参照されたい。
【0007】
大きな水素化ホウ素化合物、すなわち5〜約100個のホウ素原子を有するホウ素化合物は、ホウ素原子を半導体基板に供給する分子イオン注入法での使用に好ましい。典型的には、水素化ホウ素化合物の異性体が存在し得る。それは、例えば構造異性体または立体異性体などの、異なる化学的特性を有する、同じ数のホウ素原子と水素原子とを有する水素化ホウ素である。加えて、同じ数のホウ素原子を有するが、異なる数の水素原子を有する、2またはそれ以上の関連する水素化ホウ素化合物が、様々なサイズのホウ素クラスター用に単離されている。例えば、ペンタボラン(9)およびペンタボラン(11)はそれぞれBおよびB11の化学式を有する。このような化合物はしばしばcloso (B), nido(Bn+2),arachno(Bn+4),hypho (Bn+6),conjuncto (Bn+8)等として分類される。このように、様々な量の水素を含む異性体および化合物を包含する、様々な水素化ホウ素種は、しばしばn個のホウ素原子を有する水素化ホウ素として知られている。Jemmis等は、様々な大きさの多角体ボラン、ならびにn個のホウ素原子と様々な量の水素を有する既知の化合物についての総説を提供している。
【0008】
異性体の混合物およびn個のホウ素原子を含む水素化ホウ素の混合物は、上記の注入法における使用に適している。水素化ホウ素混合物のイオン化工程によって生成された分子イオンは、均一かつ狭い分子量分布を有するであろう。
【0009】
大きな水素化ホウ素分子、例えば12個以上のホウ素を有する水素化ホウ素分子の調製のための現在の合成技術は、しばしば複雑な合成工程、低い単離収量、および/または一貫性のない再現性に悩まされる。
【0010】
異性体の混合物としてB1822を調製するための、文献で報告されているいくつかの合成ルートが存在しているが、これらは冗長で、しばしば著しく低い収率であり、信用性が低く、かつ合成に伴う安全性の問題を有する。
【0011】
したがって、B1822を調製するための新しい方法が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者等は、オクタデカボラン(B1822)を調製するための新規方法を発見した。本発明は、大量のB1822の合成および精製に特に有用である。本発明は、同位体が濃縮されたB1822にも関する。ここで、定義として、「濃縮された」はホウ素同位体の天然存在比を変更することを意味する。原料に依存して、10B同位体の天然存在比19.10%〜20.31%の範囲であり、および11B同位体の天然存在比は80.90%〜79.69%の範囲である。
【0013】
一般的なB1822分子のイオンビームは、2つの天然同位体による質量の差だけでなく、分子イオンからの水素損失数の変化により、広範囲のイオン質量を含む。半導体製造において使用する注入デバイスにおいて質量選択が可能であるので、B1822中の同位体が濃縮されたホウ素は、質量の分散を劇的に減少することができ、所望の注入種の増加したビーム電流を提供する。したがって、11Bおよび10B同位体を濃縮したB1822も大変興味深い。
【0014】
一態様では、本発明はオクタデカボラン(B1822)を合成する方法を提供し、該方法は(a)ボランアニオンB20182−の塩を酸と接触させて、H2018・xHOを生成するステップと、その後好ましくは(b)系において本質的に化学的に不活性であるB1822を溶解する溶媒の存在下で、反応槽から水を除去するステップとを含む。
【0015】
本発明の任意の態様では、
(a)溶媒中のボランアニオンB20182−を酸性イオン交換樹脂と接触させて、H2018・xHOの溶液を生成するステップと、
(b)H2018・xHOを含む前記混合物を濃縮するステップと、
(c)系において本質的に化学的に不活性である、B1822を溶解する溶媒の存在下で、反応槽から水を除去するステップと、
(d)(i)濾過および/または(ii)反応溶媒の濃縮、B1822の脂肪族溶媒への溶解、そして副生成物の濾過により、反応混合物から不溶性副生成物を分離するステップと、
(e)溶媒を除去して、B1822を単離するステップ。
とを含む、B1822の合成方法を提供する。
【0016】
このような好ましい工程は、フローチャート中に概略的に表されている(図2)。本発明の好ましい方法は、同位体的に純粋なB1822およびB1822の構造異性体の混合物を調製するのに適している。すなわち、本発明の方法は、イオン注入用の、適切な分子イオンビームを生成することが可能なB1822、および他の用途に使用する高純度B1822を提供する。
【0017】
本発明のいくつかの態様では、B20182−陰イオンのB20182−塩の溶液は、酸性イオン交換樹脂と接触した後、得られたH2018・xHOの溶液は、溶媒の大部分を除去することで濃縮される。好ましい溶媒または溶媒混合物は、B20182−塩およびH2018・xHOの両方を溶解するが、破壊しないものである。これらの溶媒および溶媒混合物は水、アルコール、ニトリル、エーテル、環状エーテル、スルホンなどを含み得る。
【0018】
本発明のいくつかの態様では、ボランアニオンのカチオンをプロトンに交換することができる所望の酸性イオン交換樹脂は、本発明によって提供されるB1822の合成方法への使用に適している。好ましい酸性イオン交換樹脂は、ボラン塩のカチオンをプロトンに交換することができる複数の酸性官能基を有する、架橋した、溶媒不溶性樹脂を含む。任意の好ましい酸性イオン交換樹脂は、複数のスルホン酸残基を含む芳香族ポリマーまたは部分的芳香族ポリマーを含み、より好ましくは架橋しているこのような芳香族ポリマーまたは部分的芳香族ポリマーを含む。
【0019】
1822は濃縮物を化学的に安定な溶媒と同時に水を系から除去することで生成される。理論に束縛されることは望まないが、水和ヒドロニウムイオン塩である、H2018・xHO(xは正の実数)からの水および結晶の他の溶媒の除去をもたらす条件もまた、部分的なヒドロニウムイオンの分解に適している。一般的には、好ましい分解条件はディーン・スタークトラップ、水分トラップ、水分除去剤の使用、または水和ヒドロニウム塩の1以上の乾燥剤との接触を含む。乾燥剤は、モレキュラーシーブ、五酸化リン、アルミナ、シリカ、シリケート等、またはこれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。 反応溶媒はB1822もしくは任意の出発原料、または反応の過程において生成された中間体の分解を引き起こしてはならない。これらは、芳香族およびアレーン溶媒、アルカン溶媒、エーテル、スルホン等を含み得るが、これらに限定されない。系からの水分の除去を促進するための反応温度は、0℃〜約250℃の範囲である。
【0020】
好ましい態様では、本発明は、
(a)ボランアニオンB20182−をアセトニトル:水混合溶媒において、アンバーライト(登録商標)酸性イオン交換樹脂と接触させて、H2018・xHOの溶液を生産するステップと、
(b)H2018・xHOを含む前記混合物を濃縮するステップと、
(c)加温したトルエン(90℃〜120℃)の存在下で、ディーン・スターク水分トラップ(例えば図2を参照)を使用して、反応槽より水を除去するステップと、
(d)濾過により、反応混合物から不溶性副生成物を分離するステップと、
(e)トルエンを除去または濃縮して、ホウ酸とホウ酸塩で汚染されている粗製B1822を残すステップと、
(f)粗製B1822をヘキサン中に溶解し、そして不溶物を濾過するステップと、
(g)ヘキサンを除去して、B1822を単離するステップ。
とを含む、B1822の合成方法を提供する。本発明の好ましい方法は、イオン注入用の適切な分子イオンビームを生成可能なB1822、および他の適用に使用する高純度B1822の提供に適している。
【0021】
わずかな合成操作で高い単離収率(50%を超える)のB1822を提供する合成の方法は、例えば10Bまたは11Bの同位体濃度が天然存在比よりも高い、同位体が濃縮されたB1822の調製への使用に適している。本発明の合成方法を使用する10Bまたは11Bの、同位体が濃縮されたB1822の調製は、限られた数の合成ステップ、質量(マス)の効率、および高い全体的な合成収量(B20182−からの65%を超える収率)により、実用的である。
【0022】
本発明の他の態様は以下に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好ましい工程の概略図である。
【図2】本発明の好ましい工程による反応設定の使用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明の特に好ましい工程を示す。
【0025】
上記で述べたように、上記の方法において、様々な方法、例えば水分トラップ、水分除去剤、またはさらにモレキュラーシーブ、五酸化二リン、アルミナ、シリカ、シリケート等の乾燥剤もしくはこれらの組み合わせの使用により、水は反応混合物より除去され得る。図2に示すようなディーン・スタークトラップが好まれる。
【0026】
本発明の方法において、適切には10B原子の同位体濃度は天然存在比よりも多く、例えばB1822産物中の少なくとも50%のホウ素原子が10Bであり、またはB1822産物中の少なくとも80%のホウ素原子が10Bであり、またはB1822産物中の少なくとも90%のホウ素原子が10Bであり、またはB1822産物中の少なくとも95%のホウ素原子が10Bであり、またはB1822産物中の少なくとも99%のホウ素原子が10Bである。
【0027】
本発明の方法において、適切には11B原子の同位体濃度は天然存在比よりも多く、例えばB1822産物中の少なくとも90%のホウ素原子が11Bであり、またはB1822産物中の少なくとも95%のホウ素原子が11Bであり、またはB1822産物中の少なくとも99%のホウ素原子が11Bである。
【0028】
以下の実施例への言及によってより容易に理解されるであろうが、それらの実施例は、本発明を広く説明してきたが、本発明の或る態様と実施態様を単に例示する目的のために含まれ、かつ発明を制限することが企図されているわけではない。
【実施例1】
【0029】
(HNEt1010(333.0 g,1.03 mol)から調製した、再結晶したが乾燥していない(HNEt2018・xHOを、3Lのアセトニトリルおよび500mlの水に溶解させた。前記溶液を、10kgのアンバーライト(登録商標)IR−120酸イオン交換カラムに接触させた。H2018・xHO溶液は、さらに3Lのアセトニトリルで溶出され、溶出液と洗浄液とを混合した。混合物を粘性のある黄色い油状物になるように濃縮した後、混合物を図3に示すフラスコに移した。1.5Lのトルエンを加え、さらにディーン・スタークトラップもトルエンで満たした。アルゴンで45分間パージした後、溶液を急速攪拌しながら還流した。反応系からの大部分の水の除去に続いて、水素放出が顕著に増加し、沈殿物の形成が始まった。水素放出が終了した時点で、反応系を冷却した後、不溶物を濾過で除去した。トルエン溶液を乾燥するまで濃縮し、4Lのヘキサンで抽出される明るい黄色の粉末を得た。何らかの不溶物は濾過によって除去された。ヘキサン溶液を除去したところ、白色または準白色のB1822(77.4g,69.1%)が残った。
【実施例2】
【0030】
(HNEt111010(5.00g,15.4mmol)から調製した、再結晶したが乾燥していない(HNEt112018・xHOを、200mlのアセトニトリルおよび25mlの水に溶解させた。前記溶液を、500gのアンバーライト(登録商標)IR−120酸イオン交換カラムに接触させた。H112018・xHO溶液は、さらに300mLのアセトニトリルで溶出され、溶出液と洗浄液とを混合した。混合物を粘性のある黄色い油状物になるように濃縮した後、混合物を図3に示すフラスコに移した。150mLのトルエンを加え、ディーン・スタークトラップもさらにトルエンで満たした。アルゴンで45分間パージした後、溶液を急速攪拌しながら還流した。反応系からの大部分の水の除去に続いて、水素放出が顕著に増加し、沈殿物の形成が始まった。水素放出が終了した時点で、反応系を冷却した後、不溶物を濾過で除去した。トルエン溶液を乾燥するまで濃縮して、200mLのヘキサンで抽出される明るい黄色の粉末を得た。何らかの不溶物は濾過によって除去された。ヘキサン溶液を除去したところ、白色または準白色の111822(1.17g,69.0%)が残った。11Bの濃縮は出発物質より特定された (>98.6% 11B同位体濃縮)
【0031】
本発明を好ましい態様を参照して、詳細に記載した。しかしながら、当然のことながら、当業者は開示を考慮して、発明の精神および範囲内で、修正と改善をもたらし得ることが認められるであろう。
【0032】
参考文献

【0033】
本明細書で引用する特許及び刊行物は、引用によりその全体が含まれる。
【0034】
当業者は、単なる通常の実験を用いて、本明細書中に記載されている特定の態様の多くの等価物を認識し、または解明することができるだろう。このような等価物は以下の特許請求の範囲において包含されることを意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オクタデカボラン(B1822)を合成する方法であって、
(a)ボランアニオンB20182−の塩を酸と接触させて、H2018・xHOを生成するステップと、
(b)系において本質的に化学的に不活性である、B1822を溶解する溶媒の存在下で反応槽から水を除去するステップ
とを含む、方法。
【請求項2】
オクタデカボラン(B1822)を合成する方法であって、
(a)溶媒中のボランアニオンB20182−を酸と接触させて、H2018・xHOの溶液を生成するステップと、
(b)所望により、H2018・xHOを含む混合物を濃縮するステップと、
(c)系において本質的に化学的に不活性である、B1822を溶解する溶媒の存在下で反応槽から水を除去するステップと、
(d)所望により、(i)濾過および/または(ii)反応溶媒の濃縮、B1822の脂肪族溶媒への溶解、そして副生成物の濾過により、反応混合物から不溶性副生成物を分離するステップと、
とを含む、方法。
【請求項3】
溶媒を除去して、B1822を単離するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記B20182−塩が[NRの化学式のカチオンとのアルキルアンモニウム塩であって、
前記R、R、およびRは、水素、C1−20アルキル、C6−10アリール、C7−10アラルキルからなる群より独立して選択され、または前記R、R、およびRのうちの任意の2つが組み合わさって複素環を形成し、および、
前記Rが水素、C1−20アルキル、C6−10アリールより選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記酸はpKaが約2未満の有機酸である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記酸はpKaが約2未満の無機酸である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記酸は酸性イオン交換樹脂である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記酸性イオン交換樹脂は、複数のスルホン酸残基を含む、芳香族ポリマーまたは部分的な芳香族ポリマーである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸性イオン交換樹脂は、架橋されたスルホン化ポリスチレンである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記溶解する溶媒が水性および非水性溶媒の混合物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記非水性溶媒は、アルコール、ニトリル、エーテル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記非水性溶媒は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記非水性溶媒は、体積の約1%〜約99%のアセトニトリルを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記非水性溶媒は、体積の約80%〜約95%のアセトニトリルを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記非水性溶媒はアセトニトリルである、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒は、体積の約1%〜約99%の水を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記溶媒は、体積比で約6:1のアセトニトリル:水の混合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記水が水分トラップ、水分除去剤、もしくはモレキュラーシーブ、五酸化二リン、アルミナ、シリカ、シリケートなどの乾燥剤、またはこれらの組み合わせである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項19】
前記水はディーン・スタークトラップを用いて除去される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項20】
前記反応の溶媒は、アレーン、アルカン、エーテル、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項21】
前記反応の溶媒は、トルエンまたはキシレンを含み、トルエンまたはキシレンから実質的になり、またはトルエンまたはキシレンからなる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記反応の温度は約0℃〜約200℃である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項23】
前記反応の温度は約50℃〜約150℃である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項24】
前記反応溶媒は、ヘキサンを含み、ヘキサンから実質的になり、またはヘキサンからなる、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記溶解する溶媒は、アルカン、エーテル及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記溶解する溶媒は、ヘキサンを含み、ヘキサンから実質的になり、またはヘキサンからなる、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
オクタデカボラン(B1822)を合成する方法であって、
(a)溶媒中のボランアニオンB20182−を酸性イオン交換樹脂と接触させて、H2018・xHOの溶液を生成するステップと、
(b)H2018・xHOを含む混合物を濃縮するステップと、
(c)系において本質的に化学的に不活性である、B1822を溶解する溶媒の存在下で、反応槽から水を除去するステップと、
(d)(i)濾過および/または(ii)反応溶媒の濃縮、B1822の脂肪族溶媒への溶解、そして副生成物の濾過により、反応混合物から不溶性副生成物を分離するステップと、
(e)溶媒を除去して、B1822を単離するステップ
とを含む、方法。
【請求項28】
オクタデカボラン(B1822)を合成する方法であって、
(a)体積比で6:1のアセトニトリル:水の混合溶媒中のボランアニオンB20182−をアンバーライト酸性イオン交換樹脂と接触させて、H2018・xHOの溶液を生成するステップと、
(b)H2018・xHOを含む混合物を濃縮するステップと、
(c)加温したトルエン(90℃〜120℃)の存在下で、ディーン・スターク水分トラップ(図3を参照)を用いて、反応槽から水を除去するステップと、
(d)濾過により、反応混合物から不溶性副生成物を分離するステップと、
(e)トルエンを除去または濃縮して、ホウ酸及びホウ酸塩で汚染されている粗製B1822を残すステップと、
(f)前記粗製B1822をヘキサンに溶解し、そして不溶物を濾過するステップと、
(g)ヘキサンを除去して、B1822を単離するステップ
とを含む、方法。
【請求項29】
10B原子の同位体濃度が天然存在比よりも高い、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
1822生成物中に存在する少なくとも約50%のホウ素原子が10Bである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
1822生成物中に存在する少なくとも約80%のホウ素原子が10Bである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
1822生成物中に存在する少なくとも約90%のホウ素原子が10Bである、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
1822生成物中に存在する少なくとも約95%のホウ素原子が10Bである、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
1822生成物中に存在する少なくとも約99%のホウ素原子が10Bである、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
11B原子の同位体濃度が天然存在比よりも高い、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
1822生成物中に存在する少なくとも約90%のホウ素原子が11Bである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
1822生成物中に存在する少なくとも約95%のホウ素原子が11Bである、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
1822生成物中に存在する少なくとも約99%のホウ素原子が11Bである、請求項35に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−502924(P2011−502924A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532074(P2010−532074)
【出願日】平成20年11月3日(2008.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/012473
【国際公開番号】WO2009/058408
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(502213379)セメクイップ, インコーポレイテッド (12)