説明

クラッチ付きプーリ用グリース劣化検出方法

【課題】クラッチ付きプーリのグリース劣化判定を簡単に行えるようにする。
【解決手段】回転軸30と、この回転軸30の外周に回転可能に軸支されるプーリ部35と、回転軸30とプーリ部35間に配置され、プーリ部35に対し回転軸30の一方向の回転を許容し、他方向の回転を阻止する一方向クラッチ40とを備え、回転軸30とプーリ部35間にグリースを封入したクラッチ付きプーリ14を対象としたクラッチ付きプーリ用グリース劣化検出方法において、前記プーリ部35とともに回転軸30を単位時間当り所定の回転数で回転させる回転工程71と、プーリ部35を停止させ、回転軸30を空転させる空転工程71と、プーリ部35と回転軸30の相対回転量を測定する測定工程と、相対回転量とグリース劣化判定基準とを比較してグリース状態を判定する判定工程74を備え、上記順に行う

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチ付きプーリのグリースの劣化状態を検出するようにしたクラッチ付きプーリ用グリース劣化検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のグリース劣化検出装置として、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1の概要を図7に基づいて説明する。ハウジング100にアンギュラ軸受101を介して回転軸102が回転可能に軸支され、アンギュラ軸受101の両側にハウジング100に固定される蓋部材103、104を配置し、蓋部材103,104とアンギュラ軸受101間にグリースポケット105,106を設け、グリースポケット105にグリース劣化検出センサ110を配置し、グリースポケット105、106とアンギュラ軸受101へグリースを封入している。
【0004】
グリース劣化検出装置は、グリース劣化検出センサ110と図略の判定回路を有し、グリース劣化検出センサ110は、図略の発光素子と受光素子を有する。発光素子と受光素子にてこの間に存在するグリースに対する光の通過光量を検出し、判定回路にて通過光量に対するグリースの劣化状態を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2008−134136公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動車のオルタネータに取付けられるクラッチ付きプーリのグリース劣化を検出したい要望がある。しかし、自動車に使われるクラッチ付きプーリは、非常にコンパクトであるため、グリース劣化検出センサをクラッチ付きプーリ内に挿入取付けすること自体が困難であり、手間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、回転軸と、前記回転軸の外周に回転可能に軸支されるプーリ部と、前記回転軸と前記プーリ部間に配置され、前記プーリ部に対し前記回転軸の一方向の回転を許容し、他方向の回転を阻止する一方向クラッチとを備え、回転軸とプーリ部間にグリースを封入したクラッチ付きプーリを対象としたクラッチ付きプーリ用グリース劣化検出方法において、前記プーリ部とともに前記回転軸を単位時間当り所定の回転数で回転させる回転工程と、前記プーリ部を停止させ、前記回転軸を空転させる空転工程と、前記プーリ部と前記回転軸の相対回転量を測定する測定工程と、測定工程で得られた相対回転量と、前記相対回転量に対するグリース劣化状態の関係を示すグリース劣化判定基準とを比較することによりグリース状態を判定する判定工程と、を備え、上記順に行う。
【0008】
この方法によれば、グリースの劣化がプーリ部停止後の回転軸の空転回転量(相対回転量)の減少となって現れるため、プーリ部と回転軸の相対回転量を測定し、グリース劣化判定基準と比較するだけで、簡単にグリース劣化検出できる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1のクラッチ付きプーリ用グリース劣化検出方法において、前記回転工程の前に前記クラッチ付きプーリに相対回転量検出装置を取付ける準備工程を備え、前記測定工程は前記相対回転量検出装置から相対回転量数を読み取ることである。
【0010】
この方法によれば、相対回転量検出装置をクラッチ付きプーリに外付けするだけで良いため、非常に簡単ですばやくグリース劣化検出できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のグリース劣化検出方法において、前記準備工程において前記相対回転量検出装置の外側回転体をプーリ部に着脱可能に取付けるとともに、前記相対回転量検出装置の内側回転体を回転軸に対し軸方向移動可能に回転係合させ、前記空転工程で外側回転体に対し内側回転体を螺進させ、読み取り工程で外側回転体に対する内側回転体の螺進量からプーリ部と回転軸の相対回転量を読み取る
【0012】
この方法によれば、簡単に相対回転量を測ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2、3に記載のグリース劣化検出方法において、前記判定工程に使用されるグリース劣化判定基準は、グリース状態が異なるクラッチ付きプーリの相対回転量のデータを収集することによって作られた。
【0014】
この方法によれば、相対回転量からより正確にグリース劣化を判定できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、非常に簡単で手軽にグリース劣化検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態における相対回転量検出装置を適用した自動車エンジンの正面図である。
【図2】本発明の実施形態における図1のA−A線で断面したクラッチ付きプーリと相対回転装置の断面図である。
【図3】本発明の実施形態における図2のB矢視図である。
【図4】本発明の実施形態における図2のD−D線断面図である。
【図5】本発明の実施形態におけるグリース劣化検出方法の流れ図である。
【図6】本発明の実施形態におけるグリース劣化判定基準を示したグラフである。
【図7】従来のグリース劣化検出装置の適用例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について、図1乃至図6を参酌しつつ説明する。図1は相対回転量検出装置をクラッチ付きプーリに取付けた自動車エンジンの正面図であり、図2は図1のA−A線で断面したクラッチ付きプーリと相対回転量検出装置の断面図であり、図3は図2のB矢視図であり、図4は図2のD−D線断面図であり、図5はグリース劣化検出方法の流れ図であり、図6はグリース劣化判定基準を明記したグラフである。
【0018】
図1において、自動車エンジン10は例えばピストンとシリンダを使った4気筒の4サイクルエンジンであり、この自動車エンジン10はエンジンブロック11を有し、このエンジンブロック11に図略のクランクシャフトが回転可能に軸支されている。クランクシャフトの一端にはダンパプーリ12が取付けられ、このダンパプーリ12にベルト13がかけられている。このベルト13は、オルタネータ用クラッチ付きプーリ14とアイドラプーリ15とスタータ用プーリ16にもかけられている。
【0019】
オルタネータ用クラッチ付きプーリ14はオルタネータ20の図略の発電軸に取付けられ、オルタネータ20はエンジンブロック11の側壁に取付けられている。アイドラプーリ15はエンジンブロック11の側壁に回転可能に取付けられている。スタータ用プーリ16はスタータ21の図略の起動軸に取付けられ、スタータ21はエンジンブロック11の側壁に取付けられている。オルタネータ20はエンジン10によって回転駆動され、電気を発生させる発電機の役割を持っている。スタータ21はエンジン10の始動時にクランクシャフトを強制回転させる始動機の役割を持っており、エンジン10が起動されると、スタータ21内部で回転が切り離され、スタータ用プーリ16はフリー回転するようになっている。
【0020】
イグニッションキースイッチ22は、一側にOFF端子、IG端子、ST端子を有し、他側にE端子を有し、キーを回すことによりE端子はOFF端子、IG端子、ST端子のいずれかへ選択的に接続されるようになっている。オルタネータ20は、イグニッションキースイッチ22のIG端子とバッテリィ23の+端子に電気的に接続され、オルタネータ20はIG端子からの電気信号が入力されるとバッテリィ23に電気を送るようになっている。スタータ21は、イグニッションキースイッチ22のIG端子とST端子とバッテリィ23の+端子に電気的に接続され、スタータ21はIG端子から電気信号が入力されるとスタータ21内部で回転が切り離され、スタータ用プーリ16はフリー回転するようになっている。スタータ21はST端子から電気信号が入力されるとバッテリィ23の電気を使ってスタータ21が回転起動され、クランクシャフトを強制回転させるようになっている。
【0021】
図2乃至図4において、オルタネータ20の発電軸20aにオルタネータ用クラッチ付きプーリ14の回転軸30がネジ結合されている。回転軸30は軸方向中間にネジ部31を有し、前側に六角穴32を有する。回転軸30の外周にはコロ軸受33と玉軸受34を介してプーリ部35が回転可能に軸支され、軸方向のコロ軸受33と玉軸受34間でしかも半径方向の回転軸30とプーリ部35間で一方向クラッチ40が介挿されている。
【0022】
一方向クラッチ40は、円周方向に等間隔に複数の窓41aを有する保持器41と、各窓41aに周方向に移動可能に案内される円筒コロ42と、窓41aと円筒コロ42間に配置され円筒コロ42を周方向の一方向に付勢するコイルバネ43とからなっている。プーリ部35の内周は、一方向クラッチ40の外輪を兼ねており、断面円形に形成されている。回転軸30の外周は、一方向クラッチ40に対応する軸方向位置において、一方向クラッチ40の内輪を兼ねており、断面8角形状に形成されている。つまり、断面8角形状の外周は円筒コロ42の転動面44となる。
【0023】
プーリ部35が図4の時計方向に回転すると、円筒コロ42は回転軸30に対し時計方向へ移動し、プーリ部35の時計方向の回転が円筒コロ42を介して回転軸30に伝達される。プーリ部35の回転停止状態で、回転軸30を図4の時計方向に回転させると、円筒コロ42はコイルバネ43に打ち勝って回転軸30に対して反時計方向へ移動し、回転軸30の回転はプーリ部35に伝達されない。
【0024】
図2において、軸方向の前側で半径方向の回転軸30とプーリ部35間で第1のシール部50と第2のシール部51が設けられ、軸方向の後側で半径方向の回転軸30とプーリ部35間で第3のシール部52が設けられている。第1のシール部50は内周側が回転軸30の外周に嵌合固定され、外周側がプーリ部35に摺接している。第2のシール部51は外周側がプーリ部35の内周に嵌合固定され、内周側が回転軸30に摺接している。第3のシール部52は外周側がプーリ部35の内周に嵌合固定され、内周側が回転軸30に摺接している。軸方向の第2のシール部51と第3のシール部52間で半径方向のプーリ部35と回転軸30間でグリースが充填されている。プーリ部35の外周には断面V字形状のV溝35aが軸方向に等間隔に多数形成され、V溝35aにベルト13が係合している。プーリ部35の軸方向前後に半径方向外方へ突出した鍔部35b、35cが形成されている。
【0025】
オルタネータ用クラッチ付きプーリ14の前側に相対回転量検出装置60が着脱可能に取付けられている。相対回転量検出装置60は、円盤状の外側回転体61と、軸状の内側回転体62と、3個のセットネジ63とからなっている。内側回転体62の外周には、軸方向中間を境にして、前側におねじ62aが形成され、後側に六角頭62bが形成されている。六角頭62bは回転軸30の六角穴32に対して軸方向に摺動可能にかつ回転方向に係合可能に嵌合されている。
【0026】
外側回転体61の内周には、内側回転体62のおねじ62aに螺合するめねじ61aが形成されている。外側回転体61には、軸方向においてオルタネータ用クラッチ付きプーリ14側へ突出した軸方向突出部61bが形成され、軸方向突出部61bの内周はプーリ部35の鍔部35bの外周よりも大きく形成されている。軸方向突出部61bには半径方向にネジ穴61cが形成され、このネジ穴61cは円周方向に等間隔に3つ設けられている。各ネジ穴61cにセットネジ63が螺合されている。内側回転体62のおねじ62aには回転量表示塗膜62cが形成されており、この回転量表示塗膜62cは1回転毎に色を変えている。つまり、おねじ62aの1ピッチ毎に色を変えている。
【0027】
次に、以上説明した構成に基づいて全体の動作を図5を使って説明する。
【0028】
準備工程70でオルタネータ用クラッチ付きプーリ14の前側に相対回転量検出装置60を取付ける。このときにまず、外側回転体60の前面61dと内側回転体の前面62dが同一の面となるよう外側回転体60に対する内側回転体62の位置を調整し、続いて内側回転体62の六角頭62bを回転軸30の六角穴32に嵌合させ、セットネジ63を回して外側回転体61をプーリ部35の鍔部35bの外周に固定する。
【0029】
回転工程71でイグニッションキースイッチ22をST端子とE端子が電気的に接続する位置へ回し、スタータ21によってクランクシャフトを強制回転させ、自動車エンジン10を起動させる。続いてイグニッションキースイッチ22をIG端子とE端子が電気的に接続する位置へ回し、スタータ21内部で回転を切り離し、スタータ用プーリ16をフリー回転させる。自動車エンジン10は、安定したアイドル回転数(単位時間当りの所定回転数)で持ってクランクシャフト、ダンパープーリを回す。ベルト13を介してオルタネータ用クラッチ付きプーリ14も回転する。
【0030】
空転工程72でイグニッションキースイッチ22をOFF端子とE端子が電気的に接続する位置へ回し、自動車エンジン10を停止させる。クランクシャフト、ダンパープーリが停止し、ベルト13を介してオルタネータ用クラッチ付きプーリ14のプーリ35が停止する。しかし、オルタネータ20の発電軸20aと回転軸30は、それ自体の慣性力で持って回転する。つまり、プーリ35に対し回転軸30が空転した状態となり、内側回転体62は外側回転体61に対し螺進し、内側回転体62は六角穴32から抜ける方向へ軸動する。
【0031】
読み取り工程73で回転軸30の回転停止、内側回転体62の螺進停止を確認し、外側回転体61の前面61dより内側回転体62の前面62dがどれだけ出ているかを回転量表示塗膜62cから読み取る。回転量表示塗膜62cから例えば2色の色が確認できれば、相対回転量は2回転以上3回転未満であると判断できる。
【0032】
判定工程74で図5のグリース劣化判定基準を明記したグラフを使用する。内側回転体62とオルタネータ20の発電軸20aとを足し合わせたイナーシャは予め分かっており、自動車エンジン10がアイドル回転しているときのオルタネータ用クラッチ付きプーリ14の単位時間当りの回転数も予め分かっており、イナーシャと単位時間当りの回転数を掛け算した値から上へ線を伸ばし、回転表示塗膜62cから読み取った相対回転量の値から右へ線を伸ばし、交差した点Pを求める。交差した点Pが2つの線L1、L2よりも上にあればホワイトゾーン、交差した点が2つの線L1、L2間にあればグレーゾーン、交差した点Pが2つの線L1、L2よりも下にあればレッドゾーンと判定する。
【0033】
判定結果を記録紙に記録するとともに、ホワイトゾーンに該当するクラッチ付きプーリは継続使用し、グレーゾーンに該当するクラッチ付きプーリは数ヶ月後に再検査することを自動車所有のユーザに連絡し、レッドゾーンに該当するクラッチ付きプーリは新しいクラッチ付きプーリに交換する。
【0034】
このように、自動車整備士は相対回転装置60をオルタネータ用クラッチ付きプーリ14を取付け、図5のグリース劣化判定方法の流れ図に従って作業を実施し、図6のグリース劣化判定基準のグラフを使って判定するだけで、グリースの劣化状態が分かる。
【0035】
グリース劣化判定基準は、グリース劣化状態が異なり、イナーシャが異なるオルタネータ用クラッチ付きプーリ14を複数用意し、これらをオルタネータ20の発電軸20aに取付け、相対回転量検出装置60をオルタネータ用クラッチ付きプーリ14に取付け、回転工程71、空転工程72、読み取り工程73を実施し、イナーシャと単位時間当りの回転数を掛け算した値、相対回転量からグラフ上に交差点Pを求め、この交差点Pにグリース状態を記入し、これらの動作をオルタネータ用クラッチ付きプーリ14を交換する度に繰り返し行うことによって作られる。
【0036】
グリース状態として、少なくとも「交換要」「様子見」「交換不要」の3つを交差点Pに記入する。「様子見」に変わる一歩手前の「交換不要」の交差点Pを結ぶことによって、直線L1が作られる。「交換要」に変わる一歩手前の「様子見」の交差点Pを結ぶことによって、直線L2が作られる。相対回転量は、単位時間当りの回転数が増えるに従い増加する比例傾向にある。また、相対回転量は、イナーシャが大きくなるに従い増加する比例傾向にある。
【0037】
本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0038】
上述した実施形態は、相対回転量検出装置60をオルタネータ用クラッチ付きプーリ14に取付けてプーリ部35に対する回転軸30の相対回転量を読み取ったが、回転軸30が1分間に60回程度にゆっくり回転するものであれば、相対回転量検出装置60が不要となり、回転軸30の端面にマークを付け、このマークを使って回転軸30の相対回転量を目視でカウントしても良い。この場合、準備工程70が不要となり、読み取り工程73が相対回転量をカウントする測定工程に置き換わる。
【0039】
また、上述した実施形態は、相対回転量検出装置60をオルタネータ用クラッチ付きプーリ14に取付けてプーリ部35に対する回転軸30の相対回転量を読み取ったが、プーリ部35の前面、回転軸30の前面にそれぞれ反射板を取付け、反射板に対応する位置に光電カウンターを設置し、光電カウンターからプーリ部35の回転量と回転軸30の回転量をそれぞれ測定し、2つの回転量の差で持って相対回転量を算出しても良い。この場合、反射板、光電カウンターの設置が準備工程72に置き換わる新たな準備工程となり、2つの回転量から相対回転量の算出が、読み取り工程73に置き換わる新たな測定工程となる。
【符号の説明】
【0040】
14:オルタネータ用クラッチ付きプーリ、30:回転軸、33:コロ軸受、34:玉軸受、35:プーリ部、40:一方向クラッチ、60:相対回転量検出装置、61:外側回転体、61a:めねじ、62:内側回転体、62a:おねじ、62c:回転量表示塗膜、63:セットネジ、70:準備工程、71:回転工程、72:空転工程、73:読み取り工程、74:判定工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、前記回転軸の外周に回転可能に軸支されるプーリ部と、前記回転軸と前記プーリ部間に配置され、前記プーリ部に対し前記回転軸の一方向の回転を許容し、他方向の回転を阻止する一方向クラッチとを備え、回転軸とプーリ部間にグリースを封入したクラッチ付きプーリを対象としたクラッチ付きプーリ用グリース劣化検出方法において、前記プーリ部とともに前記回転軸を単位時間当り所定の回転数で回転させる回転工程と、前記プーリ部を停止させ、前記回転軸を空転させる空転工程と、前記プーリ部と前記回転軸の相対回転量を測定する測定工程と、測定工程で得られた相対回転量と、前記相対回転量に対するグリース劣化状態の関係を示すグリース劣化判定基準とを比較することによりグリース状態を判定する判定工程と、を備え、上記順に行うことを特徴とするクラッチ付きプーリ用グリース劣化検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載のクラッチ付きプーリ用グリース劣化検出方法において、
前記回転工程の前に前記クラッチ付きプーリに相対回転量検出装置を取付ける準備工程を備え、前記測定工程は前記相対回転量検出装置から相対回転量数を読み取ることであることを特徴とするクラッチ付きプーリ用グリース劣化検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載のグリース劣化検出方法において、
前記準備工程において前記相対回転量検出装置の外側回転体をプーリ部に着脱可能に取付けるとともに、前記相対回転量検出装置の内側回転体を回転軸に対し軸方向移動可能に回転係合させ、前記空転工程で外側回転体に対し内側回転体を螺進させ、読み取り工程で外側回転体に対する内側回転体の螺進量からプーリ部と回転軸の相対回転量を読み取ることを特徴とするクラッチ付きプーリ用グリース劣化検出方法。
【請求項4】
請求項1、2、3に記載のグリース劣化検出方法において、
前記判定工程に使用されるグリース劣化判定基準は、グリース状態が異なるクラッチ付きプーリの相対回転量のデータを収集することによって作られたことを特徴とするクラッチ付きプーリ用グリース劣化検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−8063(P2012−8063A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145841(P2010−145841)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】