説明

クラッチ機構、及び画像形成装置

【課題】下流側に設けられた駆動ユニットの双方向回転に対応可能な、遊星歯車機構を用いたクラッチ機構を提供する。
【解決手段】太陽歯車111と一体に設けられたラチェット部112と、ラチェット部112の被規制部突起113と面で噛み合う噛み合い状態で太陽歯車111を固定状態にする規制レバー121を備えた。この規制レバー121には、ラチェット部112の被規制部突起113と面で噛み合う正回転規制突起126や逆回転規制突起127を有している。そして、規制レバー121がラチェット部112の被規制部突起113と噛み合わない非噛み合い状態では、太陽歯車111を固定解除状態になる。また、規制レバー121のラチェット部112の被規制部突起113との噛み合い状態と、非噛み合い状態とを切換える動作を与えるアクチュエータ131も備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファックス、複写機等の画像形成装置に用いるクラッチ機構、及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタ、ファックス、複写機等の画像形成装置においては、コストダウン、小型化、及び省エネルギー化が要求されてきた。コストダウンと小型化のため、装置に用いる駆動源であるモータ等の個数を減らして、体積を小さくすることや、小スペースでモータ等の駆動源からの減速を行うため、遊星歯車減速機構が様々な装置で採用されている。また、省エネルギー化の要求により、より効率的な駆動伝達機構を提供するため、様々な遊星歯車機構を用いたクラッチ機構(以下、遊星歯車クラッチ機構という)の提案がなされている。
【0003】
具体的には、複数の駆動伝達先の駆動ユニットのいずれかを、遊星歯車クラッチ機構により、駆動と停止とに切替えることで、複数の駆動ユニットでの駆動源の共有化を可能とする。このように駆動源を共有化することで、遊星歯車クラッチ機構を備えていない構成よりも、駆動源の数を減らす。そして、遊星歯車クラッチ機構により、各駆動伝達先の駆動ユニットは、最低限必要な時間のみ駆動させるように構成する。このように構成することで、遊星歯車クラッチ機構を備えておらず、単に共有可能な駆動源のみ共有して駆動源の数を減らす従来の構成よりも、回転駆動時の駆動源の負荷を減らすことができる。したがって、従来の遊星歯車クラッチ機構を備えていない構成よりも、回転駆動時の駆動源の負荷を減らすことで、電力消費を低減し、用いる装置の省エネルギー化を図るというものである。
【0004】
例えば、特許文献1には、装置の小型化を達成するための遊星歯車減速機構と正逆転切替動作を行うための遊星歯車クラッチ機構(遊星クラッチ機構)とを併用させたものとして、次のような構成が記載されている。入力側の内歯歯車と、内歯歯車に噛み合う遊星歯車と、遊星歯車に噛み合う太陽歯車と、遊星歯車を保持する部材とを有している。また、3つの回転要素である、内歯歯車の回転に入力を割り当て、遊星歯車を保持する部材の回転に出力を割り当て、太陽歯車の回転に固定を割り当てている。すなわち、内歯歯車は回転に入力を割り当てられた入力側伝達部材、太陽歯車は回転に固定を割り当てられた固定側伝達部材、及び遊星歯車を保持する部材は回転に出力を割り当てられた出力側伝達部材でもある。そして、太陽歯車を回転しない状態にすることで、内歯歯車に入力された回転駆動力を、遊星歯車を保持する部材を介して出力する遊星歯車クラッチ機構を2つ備えている。
【0005】
各遊星歯車クラッチ機構の内歯歯車には同軸の外歯歯車が接続され、遊星歯車を支持する部材の外周には同軸の外歯歯車が一体に形成されている。そして、駆動歯車(駆動入力ギア)に噛み合う駆動力伝達方向上流側(以下、上流側という)及び駆動力伝達方向下流側(以下、下流側という)の遊星歯車クラッチ機構の内歯歯車に接続された各外歯歯車は、アイドラ歯車を介して接続されている。また、上流側の遊星歯車クラッチ機構の遊星歯車を保持する部材の外周に形成された外歯歯車と、下流側の遊星歯車クラッチ機構の遊星歯車を保持する部材の外周に形成された外歯歯車とは直接噛み合っている。この下流側の遊星歯車を保持する部材に形成された外歯歯車が、さらに下流側の駆動ユニットに回転駆動力を伝達する駆動出力歯車に噛み合っている。
【0006】
また、各遊星歯車クラッチ機構の太陽歯車には、被回転規制部(拘束部)が一体に設けられており、その回転を規制することで太陽歯車を回転しない状態になる。具体的には、被回転規制部の突起にアクチュエータとして用いるソレノイドにより回動する回転規制部材の突起(拘束手段)が噛み合うことで、太陽歯車が回転しない固定状態に規制される。そして、遊星歯車クラッチ機構が遊星歯車機構の駆動伝達機能を獲得して、遊星歯車を保持する部材に形成された外歯歯車が回転し、下流側の駆動ユニットに回転駆動力を伝達する駆動伝達状態となる。また、被回転規制部の突起とソレノイドにより回動する回転規制部材の突起との噛み合いが解除された非噛み合い状態で、太陽歯車が回転自在な固定解除状態になる。そして、遊星歯車クラッチ機構が遊星歯車機構の駆動伝達機能を失い、遊星歯車を保持する部材に形成された外歯歯車が回転せず、下流側の駆動ユニットに回転駆動力を伝達しない遮断状態となる。ここで、特許文献1の構成では、ソレノイドに通電しない状態で駆動伝達状態となり、ソレノイドに通電した状態で遮断状態となるように構成されている。
【0007】
そして、駆動出力歯車を、一方向に回転駆動される駆動歯車と同方向(正方向)に回転させる場合には、上流側の遊星歯車クラッチ機構を遮断状態とし、下流側の遊星歯車クラッチ機構を駆動伝達状態とする。すなわち、上流側の遊星歯車クラッチ機構のソレノイドに通電した状態とし、下流側の遊星歯車クラッチ機構のソレノイドに通電しない状態とする。一方、駆動出力歯車を逆方向に回転させる場合には、上流側の遊星歯車クラッチ機構を駆動伝達状態とし、下流側の遊星歯車クラッチ機構を遮断状態とする。すなわち、上流側の遊星歯車クラッチ機構のソレノイドに通電しない状態とし、下流側の遊星歯車クラッチ機構のソレノイドに通電した状態とする。また、上流側及び下流側、両方の遊星歯車クラッチ機構のソレノイドを通電状態とすることで、各遊星歯車クラッチ機構の太陽歯車は回転自在な状態となり、駆動歯車の回転駆動力は、駆動出力歯車に伝達されない状態となる。このように各遊星歯車クラッチ機構のソレノイドの通電状態を制御することで、一方向に回転駆動される駆動歯車の回転駆動力を、正逆回転方向のいずれかに駆動力伝達する状態と、駆動力伝達しない状態とを選択できるというものである。
【0008】
ここで、各遊星歯車クラッチ機構の回転規制部材の突起は、板状部材の先端部をL字状に折り曲げ加工したL字状の突起(以下、L字状突起という)であり、その両側面は互いに平行である。このL字状突起の一方の側面は、被回転規制部の突起の一方の側面に噛み合った際に、被回転規制部の回転中心を通過する直線に略平行になるように形成されている。そして、被回転規制部の突起の一方の側面は、被回転規制部が駆動歯車と同方向に回転するのを規制する回転規制部材のL字状突起の側面に噛み合う際に、L字状突起の両側面に対し略平行に形成されている。また、他方の側面は、被回転規制部が反対方向に回転してL字状突起が接触した際に受け流すように、L字状突起の側面に対し傾斜を持って形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された駆動力伝達機構では、各遊星歯車クラッチ機構の被回転規制部の突起に、回転規制部材のL字状突起の側面に対して平行な側面と、傾斜を持った側面とを有している。平行な側面はL字状突起の側面と面で噛み合うことができるので、噛み合う際の衝撃が生じてもスライドして解除され難い。しかし、傾斜を持った側面は、傾斜しているとともにL字状突起の側面の端部と点で接触することになり、噛み合う際の衝撃が生じると容易に固定解除状態となる。
【0010】
このように特許文献1に記載された各遊星歯車クラッチ機構は、その機構上、回転規制部材による被回転規制部の回転規制が駆動源の片方向回転に対してのみ対応している。したがって、画像形成装置内で遊星歯車クラッチ機構の動力伝達方向下流に設けられた駆動ユニットを、双方向回転が可能な駆動源の回転方向に応じて双方向回転させる必要があるものには使用できない。つまり、1つの遊星歯車クラッチ機構では動力伝達方向下流に設けられたユニットの双方向回転に対応できない。このため使用用途が限られ、用いる装置の電力消費を低減するために組み込める範囲が限られ、遊星歯車クラッチ機構を用いて駆動源を共有化して減らせる駆動源の数も限られてしまう。
【0011】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、下流側に設けられた駆動ユニットの双方向回転に対応可能な、遊星歯車機構を用いたクラッチ機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、太陽歯車と、該太陽歯車に噛み合う遊星歯車と、該遊星歯車に噛み合う内歯歯車と、前記遊星歯車を保持する部材とを有し、3つの回転要素である前記太陽歯車の回転、前記遊星歯車を保持する部材の回転、及び前記内歯歯車の回転に、入力、出力、及び固定のいずれかを択一的に割り当てられて駆動伝達機能を得る遊星歯車機構を備えたクラッチ機構において、入力を割り当てられた部材である入力側伝達部材に入力された回転駆動力を、固定を割り当てられた部材である固定側伝達部材が回転しないように支持された固定状態で、前記遊星歯車機構の駆動伝達機能を獲得して出力を割り当てられた部材である出力側伝達部材を介して出力し、前記固定側伝達部材が回転可能に支持される固定解除状態で、前記遊星歯車機構の駆動伝達機能を失う機構であり、前記固定側伝達部材と一体に設けられ、複数の突起を有した被回転規制部と、該被回転規制部の突起と噛み合う噛み合い状態で前記固定側伝達部材を固定状態にし、前記被回転規制部の突起と噛み合わない非噛み合い状態で前記固定側伝達部材を固定解除状態にする突起を複数有した回転規制部材と、該回転規制部材の噛み合い状態と、非噛み合い状態とを切換える動作を与えるアクチュエータを有した切替え部と、を備え、前記被回転規制部の複数の突起の両側面は、該被回転規制部がいずれの方向に回転しても前記回転規制部材の突起と噛み合う際に、前記回転規制部材の突起の側面に面接触して噛み合うように形成されていることを特徴とするものである。
本発明は、被回転規制部の複数の突起の両側面は、被回転規制部がいずれの方向に回転しても回転規制部材の突起と噛み合う際に、回転規制部材の突起の側面に面接触できる。このように面接触できるので、特許文献1に記載の構成のように被回転規制部が逆方向にした場合に、回転規制部材のL字状突起の側面の端部と、被回転規制部の突起の傾斜した側面とが点接触して、噛み合う際の衝撃で容易に固定解除状態になることはない。
したがって、クラッチ機構の下流側に設けられた駆動ユニットを双方向回転させるために、入力側伝達部材に入力される回転駆動力が、逆方向の回転であったとしても、固定状態、及び固定解除状態のいずれにも切替えることができる。
よって、このクラッチ機構の下流側に設けられた駆動ユニットの双方向回転に対応できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、下流側に設けられた駆動ユニットの双方向回転に対応可能な、遊星歯車機構を用いたクラッチ機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係る画像形成装置であるプリンタの全体概要説明図。
【図2】ブラックに対応した作像ユニットの正回転時における、感光体及び現像ローラの駆動歯車列の説明図。
【図3】ブラックに対応した作像ユニットの逆回転時における、感光体及び現像ローラの駆動歯車列の説明図。
【図4】遊星歯車クラッチ機構の斜視説明図。
【図5】遊星歯車クラッチ機構の動作原理の説明図。
【図6】遊星歯車クラッチ機構の太陽歯車の固定状態と固定解除状態との切替方法についての説明図。
【図7】ラチェットと規制レバーの突起が双方向で噛み合う際の説明図。
【図8】ラチェットと規制レバーの噛み合いの説明図。
【図9】ラチェットと規制レバーの噛み合いの拡大説明図。
【図10】遊星歯車クラッチ機構の回転方向の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を画像形成装置に適用した一実施形態の例として、中間転写方式のタンデム型のカラープリンタ(以下、プリンタ200という)に適用した例について、図を用いて説明する。図1は、一実施形態に係る画像形成装置であるプリンタ200の全体概要説明図である。図2は、ブラックに対応した作像ユニット10Kの正回転時における、感光体1K及び現像ローラ4Kの駆動歯車列70の説明図であり、(a)が遊星歯車クラッチ機構100が駆動伝達状態時の説明図、(b)が遮断状態時の説明図である。図3は、ブラックに対応した作像ユニット10Kの逆回転時における、感光体1K及び現像ローラ4Kの駆動歯車列70の説明図であり、(a)が遊星歯車クラッチ機構100が駆動伝達状態時の説明図、(b)が遮断状態時の説明図である。ここで、図2(a),(b)及び図3(a),(b)では、図中、遊星歯車クラッチ機構100については、太陽歯車111に一体に設けたラチェット部112から内歯歯車101側を視た断面を示している。そして、図中、手前側に配置される出力歯車116、駆動ローラ22、感光体1K、及び現像ローラ4Kの外形も破線で示している。
【0016】
また、図4は、遊星歯車クラッチ機構100の斜視説明図、図5は、遊星歯車クラッチ機構100の動作原理の説明図、図6は、遊星歯車クラッチ機構100の太陽歯車111の固定状態と固定解除状態との切替方法についての説明図。図7は、ラチェットと規制レバーの突起が双方向で噛み合う際の説明図であり、(a)が正回転時の突起の噛み合い説明図、(b)が逆回転時の突起の噛み合い説明図である。図8は、ラチェットと規制レバーの噛み合いの説明図、図9は、ラチェットと規制レバーの噛み合いの拡大説明図である。図10は、遊星歯車クラッチ機構の回転方向の説明図であり、(a)正回転時の説明図、(b)が逆回転時の説明図である。ここで、上記各図の歯車部については、歯形は省略し、基準ピッチ円を記載するに留めている。また、以下の説明では、特に記載しない限り、各歯車及び中間転写ベルト24等の回転体の回転方向については、画像形成時の回転方向への回転方向を正回転方向、画像形成時とは逆方向への回転を逆回転方向という。また、このように相対的な回転方向でなく、絶対的な回転方向を示す必要が有る場合には、図3の斜視図で示す回転方向を除き、各図中時計回り又は反時計回りを、単に時計回り又は反時計回りという。
【0017】
まず、本実施形態のプリンタ200の全体構成及び動作について説明する。図1に示すように、このプリンタ200には、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色のトナーに、それぞれ対応した作像ユニット10K、10M、10C、10Yを設けている。各作像ユニット10は、2次転写ローラ25の対応ローラでもある駆動ローラ22、従動ローラ23、及び複数の架張ローラに架け渡された中間転写ベルト24に、下方から接触するように配置されている。また、中間転写ベルト24の無端移動方向上流側(従動ローラ23側)から、作像ユニット10Y、10C、10M、10Kの順で配置されている。各作像ユニット10には、各色に対応した像担持体であるドラム状の感光体1K、1M、1C、1Yをそれぞれ設けている。そして、各感光体1の回りには、それぞれ帯電装置2、現像装置3、感光体クリーニング装置7等が設けられている。そして、パソコン等から画像情報が送信されてくると、各感光体1を回転駆動させるとともに、各帯電装置2で、それぞれ各感光体1上を一様帯電する。その後、各感光体1の下方に配置された、光書き込み装置30が、パソコン等から送信された画像情報に基づいて、各感光体1表面上にレーザー光を照射して静電潜像を形成する。この静電潜像を、それぞれに設けられた現像装置3でトナー付着させてトナー画像として顕像化する。
【0018】
各感光体1表面上にそれぞれ形成された各色のトナー画像は、各感光体1の図1図中、反時計回りの回転にともない、時計回りに無端移動する中間転写ベルト24を介した対向位置に設けられた1次転写ローラ21の位置まで搬送される。そして、1次転写ローラ21に印加される1次転写バイアスにより、各感光体1表面上から中間転写ベルト24上に、順次、重ね合わせられるよう1次転写され、中間転写ベルト24上にカラーのトナー画像が形成される。中間転写ベルト24上に1次転写されたカラーのトナー画像は、中間転写ベルト24の無端移動により、2次転写ローラ25が中間転写ベルト24を介して駆動ローラ22に対向配置された2次転写位置まで搬送される。また、転写紙Pが、カラーのトナー画像が2次転写位置に搬送されるタイミングに合わせて、光書き込み装置30の下方に設けられた給紙装置40から図1中、実線で示す搬送経路41に沿って給紙される。そして、レジストローラ対42により2次転写位置に搬送された転写紙P上に、カラーのトナー画像が2次転写ローラ25に印加される2次転写バイアスにより一括転写される。
【0019】
カラーのトナー画像が一括転写された転写紙Pは、搬送経路41に沿って2次転写位置の転写紙搬送方向下流側に設けられた、定着装置11まで搬送されて転写紙P上にカラーのトナー画像が定着される。そして、定着後の転写紙Pは、排紙口43から排紙されて、排紙トレイ44上にスタックされる。また、1次転写位置で各感光体1上から中間転写ベルト24上に1次転写し切れなかった転写残トナーは、各感光体1における1次転写位置の感光体回転方向下流側に設けられた感光体クリーニング装置7によりクリーニングされる。そして、2次転写位置で中間転写ベルト24上から転写紙P上に2次転写しきれなかった転写残トナーも、中間転写ベルトクリーニング装置26によりクリーニングされ、再度の画像形成に備える。
【0020】
ここで、各作像ユニット10の感光体1、及び現像装置3に有した現像ローラ4や現像剤攪拌搬送スクリュ5,6を回転駆動する際に、個々に駆動源である駆動モータを設けても良い。しかし、本実施形態のプリンタ200では、コストや消費するエネルギーなどを考慮して、1つの駆動モータから複数の作像ユニット10に回転駆動力を伝達するように構成している。具体的には、カラーの画像形成時に稼動させる作像ユニット10Y、10C、10Mで1つの駆動モータを共用し、利用頻度が高いブラックに対応した作像ユニット10Kで1つの駆動モータを利用している。そして各作像ユニット10内では、感光体1、及び現像装置3に有した現像ローラ4や現像剤攪拌搬送スクリュ5,6は駆動歯車列により、それぞれ回転駆動力を伝達するように構成している。なお、ブラックに対応した作像ユニット10K用に設けた駆動モータでは、中間転写ベルト24を回転駆動する駆動ローラ22へも回転駆動力を伝達できるように駆動歯車列を構成している。このように、回転駆動系を構成することで、プリンタ200を、低コスト化、及び省エネルギー化している。
【0021】
また、本実施形態の各作像ユニット10ように、感光体1や現像装置3内の現像ローラ4、現像剤攪拌搬送スクリュ5,6等の回転部材を設けた構成では、感光体1よりも現像ローラ4の稼動時間にともなう劣化の方が早く進む傾向にある。このため、現像ローラ4の回転駆動は、必要最小限にとどめることが望ましい。また、各作像ユニット10で画像形成を行った後には、現像剤が現像ローラ4と同時に駆動させている現像剤攪拌搬送スクリュ5,6の現像剤の上面から露出している部分に複数の小さな現像剤塊が点在して残ってしまう場合がある。このような現像剤塊は、現像剤の上面から露出していない現像剤よりも凝縮しやすく、この現像剤塊を放置したまま画像形成を繰り返すと、当初、小さかった現像剤塊が凝縮と成長を繰り返すことになる。その結果、白スジ(画像のあるべき箇所に、白い線を描いたような)等の現象が発生し、画像品質が劣化してしまう。このような白スジ等の現像の発生を抑制するには、画像形成後に現像装置3内の現像剤攪拌搬送スクリュ5,6を画像形成時とは逆方向に少し回転させて、現像剤の上面から露出した部分の現像剤塊を落とすことが有効である。これは現像剤塊の凝縮と成長とを抑制することができるためである。
【0022】
そこで、本実施形態のプリンタ200では、各作像ユニット10において、感光体1と、現像装置3内の現像ローラ4及び現像剤攪拌搬送スクリュ5,6との駆動歯車列を分岐した。そして、現像装置3内の現像ローラ4及び現像剤攪拌搬送スクリュ5,6に回転駆動力を伝達する駆動歯車列に、双方向回転駆動に対応したクラッチ機構として遊星歯車クラッチ機構100を設けた。このように構成することで、現像ローラ4の回転駆動を最小限の回転駆動にとどめるとともに、現像装置3内の現像剤攪拌搬送スクリュ5,6への現像剤塊の付着と現像剤凝縮を抑制するための双方向回転も行える駆動制御を可能にした。次に、本実施形態のプリンタ200に備える各作像ユニット10の駆動歯車列、及び遊星歯車クラッチ機構100の構成について説明する。ここで、各作像ユニット10に設ける遊星歯車クラッチ機構100の構成は同様であるので、以下の説明では作像ユニット10Kについて説明するとともに、特に必要がない限り各色に対応した符合K、M、C、Yは適宜省略して説明する。
【0023】
また、遊星歯車クラッチ機構100は、遊星歯車機構の3つの回転要素である、内歯歯車101の回転に入力を割り当て、遊星歯車105を保持するキャリア104の回転に出力を割り当て、太陽歯車111の回転に固定を割り当てた例について説明する。すなわち、入力を割り当てられた部材である入力側伝達部材を内歯歯車101、固定を割り当てられた部材である固定側伝達部材を太陽歯車111、出力を割り当てられた部材である出力側伝達部材をキャリア104とした例について説明する。しかし、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、内歯歯車101の回転に入力を割り当て、太陽歯車111の回転に出力を割り当て、遊星歯車105を保持するキャリア104の回転に固定を割り当てた構成でも良い。すなわち、入力を割り当てられた部材である入力側伝達部材を内歯歯車101、固定を割り当てられた部材である固定側伝達部材を遊星歯車105を保持するキャリア104、出力を割り当てられた部材である出力側伝達部材を太陽歯車111としても良い。
【0024】
まず、作像ユニット10Kの駆動歯車列70について、図2、図3を用いて説明する。駆動歯車列70は、駆動モータ(不図示)の出力軸に直接形成された駆動歯車71の図中左側の感光体1を回転駆動する感光体駆動歯車列80と、図中右側の現像ローラ4を回転駆動する現像ローラ駆動歯車列90とに分岐されている。そして、感光体駆動歯車列80には、中間転写ベルト24を回転駆動させる駆動ローラ22に接続された駆動ローラ歯車84に、回転駆動力を伝達する複数のアイドラ歯車により構成されたアイドラ歯車列83も備えている。また、現像ローラ駆動歯車列90内には、遊星歯車クラッチ機構100を設けている。そして、現像ローラ4を回転駆動させる現像ローラ駆動歯車94の駆動力伝達方向下流には、現像剤攪拌搬送スクリュ5,6(不図示)をそれぞれ回転駆動させるスクリュ歯車(不図示)を設けている。
【0025】
ここで、他の色に対応する作像ユニット10Y、10C、10Mでは、感光体駆動歯車列80にアイドラ歯車列83及び駆動ローラ歯車84を備えていない点が異なる。また、感光体駆動歯車列80と現像ローラ駆動歯車列90とに駆動力を伝達する駆動歯車が、作像ユニット10Y、10C、10Mのモータ駆動歯車列(不図示)に接続された各作像ユニット用の駆動歯車(不図示)である点が異なる。しかし、上記相違点を除く、作像ユニット10Y、10C、10Mの各感光体1に回転駆動力を伝達する感光体駆動歯車列80、及び現像ローラ駆動歯車列90の構成は同様である。
【0026】
作像ユニット10Kの感光体駆動歯車列80は、駆動歯車71に図中左側から噛み合う第1感光体歯車81、第1感光体歯車81に図中左斜め下方から噛み合う感光体駆動歯車82を備えている。そして、第1感光体歯車81に図中左斜め上方から噛み合うアイドラ歯車列83も備えている。また、現像ローラ駆動歯車列90は、駆動歯車71に図中右側から噛み合う第1現像ローラ歯車91、及び第1現像ローラ歯車91に噛み合う入力歯車部を有した遊星歯車クラッチ機構100を備えている。そして、遊星歯車クラッチ機構100に有した出力歯車116と噛み合う第2現像ローラ歯車92、第2現像ローラ歯車92と噛み合う第3現像ローラ歯車93も備えている。さらに、第3現像ローラ歯車93と噛み合い現像ローラ4を回転駆動する現像ローラ駆動歯車94も備えている。ここで、遊星歯車クラッチ機構100の入力歯車である内歯歯車101の外周に形成された外歯歯車部103と外歯の出力歯車116は、駆動伝達状態の場合には、いずれの方向に回転駆動されても同方向に回転するように構成されている。
【0027】
図2(a)に示すように、遊星歯車クラッチ機構100を駆動伝達状態で、画像形成時の回転方向である正回転方向に感光体1及び現像ローラ4を回転させる場合には、駆動歯車71は反時計回りに回転する。駆動歯車71が反時計回りに回転すると、感光体駆動歯車列80では、第1感光体歯車81及びアイドラ歯車列83を介して、駆動ローラ22を回転駆動させる駆動ローラ歯車84が正回転方向である時計回りに回転する。そして、第1感光体歯車81を介して感光体駆動歯車82も正回転方向である反時計回りに回転する。また、現像ローラ駆動歯車列90では、第1現像ローラ歯車91が時計回りに回転し、遊星歯車クラッチ機構100の入力歯車である内歯歯車101は反時計回りに回転する。そして、遊星歯車クラッチ機構100の出力歯車116が正回転方向である反時計回りに回転する。この出力歯車116の反時計回りの回転が、第2現像ローラ歯車92及び第3現像ローラ歯車93を介して伝達され、現像ローラ駆動歯車94が正回転方向の時計回りに回転する。
【0028】
また、図2(b)に示すように、遊星歯車クラッチ機構100が遮断状態の場合には、遊星歯車クラッチ機構100の出力歯車116に内歯歯車101の反時計回りの回転駆動力は伝達されない。したがって、出力歯車116はいずれの方向にも回転しない。すなわち、遊星歯車クラッチ機構100が遮断状態の場合に駆動モータが正回転方向に回転駆動されると、中間転写ベルト24及び感光体1は、それぞれ正回転方向に回転駆動される。しかし、現像装置3内の現像ローラ4及び現像剤攪拌搬送スクリュ5,6はいずれの方向にも回転しない。
【0029】
また、図3(a)に示すように、遊星歯車クラッチ機構100を駆動伝達状態で、画像形成時の回転方向とは逆方向である逆回転方向に感光体1及び現像ローラ4を回転させる場合には、駆動歯車71は時計回りに回転する。駆動歯車71が時計回りに回転すると、感光体駆動歯車列80では、第1感光体歯車81及びアイドラ歯車列83を介して、駆動ローラ22を回転駆動させる駆動ローラ歯車84が反時計回りに回転する。そして、第1感光体歯車81を介して感光体駆動歯車82も逆回転方向である時計回りに回転する。また、現像ローラ駆動歯車列90では、第1現像ローラ歯車91が反時計回りに回転し、遊星歯車クラッチ機構100の入力歯車である内歯歯車101は時計回りに回転する。そして、遊星歯車クラッチ機構100の出力歯車116が逆回転方向である時計回りに回転する。この出力歯車116の時計回りの回転が、第2現像ローラ歯車92及び第3現像ローラ歯車93を介して伝達され、現像ローラ駆動歯車94が逆回転方向の反時計回りに回転する。
【0030】
また、図3(b)に示すように、遊星歯車クラッチ機構100が遮断状態の場合には、遊星歯車クラッチ機構100の出力歯車116に内歯歯車101の時計回りの回転駆動力は伝達されない。したがって、出力歯車116は、いずれの方向にも回転しない。すなわち、遊星歯車クラッチ機構100が遮断状態の場合に駆動モータが逆回転方向に回転駆動されると、中間転写ベルト24及び感光体1は、それぞれ逆回転方向に回転駆動される。しかし、現像装置3内の現像ローラ4及び現像剤攪拌搬送スクリュ5,6はいずれの方向にも回転しない。
【0031】
次に、本発明の特徴である双方向回転に1つの遊星歯車クラッチ機構で対応できる遊星歯車クラッチ機構100について詳細に説明する。図4に示すように、本実施形態のプリンタ200に用いる遊星歯車クラッチ機構100は、遊星歯車機構、出力歯車116、及び被回転規制部であるラジェット部を有した遊星歯車部110を備えている。また、回転規制部材である規制レバー121を有した回転規制部120と、規制レバー121の噛み合い状態と非噛み合い状態とを切換える動作を与えるアクチュエータ131及び弾性体140を有した切替え部130も備えている。
【0032】
遊星歯車クラッチ機構100の遊星歯車部110は、入力歯車である内歯歯車101と、3つの遊星歯車105と、各遊星歯車105を回転自在、かつ公転自在に保持する部材であるキャリア104とを備えている。そして、各遊星歯車105に噛み合う太陽歯車111も備えている。また、各遊星歯車105を保持しているキャリア104とはキャリア104と、キャリア104の回転を下流側の駆動ユニットに伝達する出力歯車116とが、一体で動作するように接続する出力軸109も備えている。また、太陽歯車111には、被回転規制部であるラチェット部112が一体にで動作するよう設けられている。そして、内歯歯車101、キャリア104、太陽歯車111、ラチェット部112、出力軸109、及び出力歯車116は同軸上に配置されている。
【0033】
ここで、遊星歯車部110では、次のような回転運動を行う。第1現像ローラ歯車91(図4には不図示)を介して内歯歯車101の外周に形成された外歯歯車部103に回転駆動力が伝達されている間は、内歯歯車101の内歯歯車部102に噛み合っている各遊星歯車105は常に回転運動を行う。しかし、各遊星歯車105を保持しているキャリア104は一定の条件の場合のみ回転運動を行う。遊星歯車クラッチ機構100は、一定の条件下での遊星歯車部110の下流側駆動ユニットへの回転駆動力を伝達する遊星歯車機構の駆動伝達機能と、他の条件下での下流側駆動ユニットへの駆動伝達を遮断する遮断機能とを備えている。このため、出力歯車116も一定の条件の場合のみ回転運動を行うこととなる。次に、この遊星歯車クラッチ機構100の遊星歯車機構の駆動伝達機能と遮断機能について説明する。
【0034】
まず、遊星歯車部110の駆動伝達方法について説明する。図5に示すように、この遊星歯車部110の駆動伝達部は、主に3種類の歯車、つまり、内歯歯車101の内歯歯車部102、遊星歯車105、及び太陽歯車111を備えている。また、内歯歯車101の回転軸と同軸で回転可能な要素としては、内歯歯車101、遊星歯車105を自転可能、かつ公転可能に保持したキャリア104、及び太陽歯車111を備えている。そして、遊星歯車部110は、3つの回転可能な要素に、それぞれ回転可能な入力、出力、及び回転が規制される固定に割り振ることで、初めてその駆動伝達機能が有効となる。そこで、本実施形態の遊星歯車部110では、内歯歯車101に入力、キャリア104に出力、太陽歯車111に固定に割り振ることで、遊星歯車機構の駆動伝達機能を有効にすることとしている。そして、固定に割り振った太陽歯車111を、回転が規制された固定状態に切換えることで、遊星歯車部110を下流側の駆動ユニットに回転駆動力を伝達できる駆動伝達状態にする。また、回転自在な固定解除状態に切換えることで、遊星歯車機構の駆動伝達機能を失う状態、すなわち、キャリア104の回転が停止し、下流側の駆動ユニットに回転駆動力を伝達しない遮断状態にする。
【0035】
なお、内歯歯車101の外周には、外歯歯車部103が同軸で形成され、第1現像ローラ歯車91に噛み合って回転駆動力が内歯歯車101に伝達される。また、キャリア104には出力歯車116から離れた側の基準側板106と、基準側板106に支持され遊星歯車105を回転自在に保持するピン108と、ピン108の他端側を支持する端部側板107(図5には不図示)を有している。そして、基準側板106には、出力歯車116に回転駆動力を伝達する出力軸109が接続されている。この出力軸109の出力歯車116に嵌め合わせる部分の断面は、出力歯車116に確実に回転駆動力を伝達できるように、回り止め加工が施されている。また、端部側板107には、太陽歯車111を回転自在な状態で向かい入れるための孔が設けられている。そして、太陽歯車111及び太陽歯車111と同軸で一体に設けられたラチェット部112(図5には不図示)には、出力軸109を回転自在な状態で通す孔が形成されている。次に、太陽歯車111を、回転が規制された固定状態と回転自在な固定解除状態とに切換える具体的な構成について説明する。
【0036】
図6に示すように、太陽歯車111と同軸で一体に設けられた被回転規制部であるラチェット部112には、規制レバー121に設けられた突起と噛み合う突起である複数の被規制部突起113を全周に渡り等間隔に備えている。また、ラチェット部112、つまり太陽歯車111の回転を規制する回転規制部120は、被規制部突起113に噛み合う2つの突起を設けた規制レバー121と規制レバー121を回動可能に支持する支持軸123から構成されている。そして、規制レバー121は、支持軸123から突起を設けた先端側のレバー出力部122と、支持軸123から突起とは反対側のレバー入力部124を有している。また、回転規制部120のレバー出力部122に設けた突起をラチェット部112の被規制部突起113に噛み合う固定状態と、離間した固定解除状態とに切換える切替え部130にはアクチュエータ131及び弾性体135を備えている。
【0037】
アクチュエータ131には電源のオン・オフにより図6図中略水平に移動する円柱状の部材であるプランジャ132を設けている。プランジャ132の先端には規制レバー121のレバー入力部124に設けた長孔(不図示)に通る係合ピン133が設けられており、その略水平方向の移動により、規制レバー121を支持軸123を回動中心として回動させる。また、規制レバー121のレバー入力部124の支持軸123から離れた側の先端には、弾性体135を直接支持するための切り欠き部125が形成されている。この端部切り欠き部125に、一端部を支持された弾性体135の他端側は、弾性体保持部材137に形成された切り欠き部125に支持されている。そして、レバー入力部124の切り欠き部125を図6図中右方向(矢印A方向)に、引っ張るように構成されている。
【0038】
このように切替え部130を構成することで、アクチュエータ131の電源がオフされた状態では、弾性体135の作用によりプランジャ132は図6図中右方向に移動する。この移動にともない、規制レバー121は支持軸123を中心に回動し、図中反時計方向(矢印C方向)に回動する。そして、レバー出力部122の先端に設けられた突起のいずれかの側面が、ラチェット部112の被規制部突起113のいずれかの側面に面接触して固定状態となる。また、アクチュエータ131の電源がオンされると、プランジャ132は図6図中左方向(矢印B方向)に移動する。この移動にともない、規制レバー121は支持軸123を中心に回動し、図中時計方向(矢印D方向)に回動し、レバー出力部122の先端に設けられた突起は、ラチェット部112の被規制部突起113から離間して固定解除状態となる。
【0039】
ここで、図2(a)に示したように、現像ローラ4を正回転方向である時計回りに回転させる場合には、図7(a)に示すように、太陽歯車111、つまりラチェット部112の反時計回りの回転を規制して固定状態にする。この規制は、ラチェット部112の被規制部突起113における、時計回り回転方向上流側の上流側面114と、規制レバー121のレバー出力部122先端側の正回転規制突起126の正回転規制側面128との噛み合わせで行われる。また、図3(a)に示したように、現像ローラ4を逆回転方向である反時計回りに回転させる場合には、図7(b)に示すように、太陽歯車111、つまりラチェット部112の時計回りの回転を規制して固定状態にする。この規制は、ラチェット部112の被規制部突起113における、時計回り回転方向下流側の下流側面115と、規制レバー121のレバー出力部122先端から離れた側の逆回転規制突起127の逆回転規制側面129との噛み合わせで行われる。
【0040】
ここで、下流側の駆動ユニットである、遊星歯車クラッチ機構100の下流側の現像ローラ駆動歯車列90を双方向回転に対応させるためには、次の側面形状を最適化する必要がある。ラチェット部112の被規制部突起113の側面形状と、規制レバー121のレバー出力部122に設けた各回転規制突起の対応するそれぞれの側面形状である。これは、次の理由による。被規制部突起113の各側面と、噛み合う規制レバー121の各突起の側面が、太陽歯車111と一体に設けられたラチェット部112を点接触で完全停止させる場合には、非常に大きい力(摩擦力)を与え続けることが必要なためである。
【0041】
本実施形態では弾性体によって、規制レバー121の対応する突起の側面を、ラチェット部112の被規制部突起113のいずれかの側面に嵌め合わせて、ラチェット部112の回転規制(停止)を行っている。しかし、低コスト化のため、低出力のアクチュエータ131を用いることとしている。さらに、この低出力のアクチュエータ131の引き込む力で、弾性体135を引き伸ばして規制レバー121を動作させなければならない。弾性体135の弾性係数が大きければ、低出力のアクチュエータ131では引き込むことができないため、弾性体135の弾性係数は小さいものとせざるを得ない。このため、弾性体135では点接触にて円板物体を停止させ続ける一定の力を与えることは困難である。このため、ラチェット部112を停止させるには、ラチェット部112の被規制部突起113と規制レバー121の対応する各突起とを、それぞれの側面で面接触するように噛み合わせ、ラチェット部112を回転規制しなければならない。
【0042】
具体的な形状としては、次のように各側面を構成する。図8に示すように、まず、固定状態時に、ラチェット部112の回転中心から図中水平な方向に延ばした直線を引く。次に、この直線と、規制レバー121の回動中心からラチェット部112の突起の側面と規制レバー121の突起の側面とが噛み合う部分の中心を結ぶ線とがθ3=90[deg]で噛み合う場合、図9(a)、(b)に示すように規定する。図9(a)に示すように、ラチェット部112では、被規制部突起113の上流側面114及び下流側面115を、次ぎのように規定する。ラチェット部112の回転中心から各側面の歯先の先端を結んだ線L1,L2と平行な線L1',L2'を、各側面の直線部分の歯底側の端部から引き、この線L1',L2'と各側面とがなす角度をθ1とする。また、図9(b)に示すように、規制レバー121では、正回転規制突起126の正回転規制側面128及び逆回転規制突起127の逆回転規制側面129を、次ぎのように規定する。水平線を0[deg]としたとき、水平線と各側面の直線部分とがなす角度をθ2とする。
【0043】
上記のように規定し、θ1=θ2となるように構成する。このようにラチェット部112及び規制レバー121の各側面を構成することで、図7に示すように、双方向回転時に、ラチェット部112及び規制レバー121の各突起の側面が点接触ではなく、面接触して互いに噛み合うようにできる。すなわち、ラチェット部112の各突起の側面は、ラチェット部112がいずれの方向に回転しても規制レバー121の各突起の側面と噛み合う際に、規制レバー121の各突起に面接触して噛み合うことができる。また、噛み合う各側面に等しい角度:θ1=θ2を付けることによって、規制レバー121がラチェット部112に噛み込んだ瞬間から、よりスムースにラチェット部112の中心に向かい、面接触するようにしている。よって、遊星歯車クラッチ機構100が下流側の駆動ユニットの双方向回転に対応可能となる。
【0044】
また、図7に示すように、ラチェット部112の突起と噛み合う突起を、規制レバー121に複数以上(2箇所以上)持ち、ラチェット部112の回転方向によって、噛み合う側面(接触箇所)を異なる。このように異なることで、従来の噛み合う側面を異ならせない構成に比べ、ラチェット部112との衝突に対しての耐磨耗性及び耐久性を向上させた。すなわち、規制レバー121の噛み合う際の接触箇所を、ラチェット部112の回転方向により、正回転規制突起126か逆回転規制突起127に異ならせ、高耐久性を実現できる遊星歯車クラッチ機構100を提供できる。
【0045】
このように遊星歯車クラッチ機構100を下流側の駆動ユニットの双方向回転に対応可能とすることで、図3(a)に示す正回転時には、遊星歯車クラッチ機構100の遊星歯車部110及び出力歯車116は次のように回転する。図10(a)に示すように、内歯歯車101は図中左奥から手前側へ向かう方向(矢印E方向)に回転し、遊星歯車105の公転によりキャリア104も同じ方向に回転する。そして、キャリア104に出力軸109で接続された出力歯車116も同方向に回転する。また、図4(a)に示す逆回転時には、遊星歯車クラッチ機構100の遊星歯車部110及び出力歯車116は次のように回転する。図10(b)に示すように、内歯歯車101は図中右奥から手前側へ向かう方向(矢印F方向)に回転し、遊星歯車105の公転によりキャリア104も同じ方向に回転する。そして、キャリア104に出力軸109で接続された出力歯車116も同方向に回転することとなる。
【0046】
また、本実施形態では、アクチュエータ131としてソレノイドを用い、弾性体135としてバネを用いている。弾性体135としてのバネは、上述したように規制レバー121のレバー入力部124に設けた切り欠き部125に直接かけるか、アクチュエータ131としてのソレノイドに備えるプランジャ132の外周に配置ことが可能である。そして、太陽歯車111の固定状態と固定解除状態の実動作時間を考慮し、実動作時間が短い方の状態でアクチュエータ131としてのソレノイドに通電し、実動作時間が長い方の状態を弾性体135としてのバネで行うように構成する。このように構成することで、アクチュエータ131としてのソレノイドの使用時間を短くし、遊星歯車クラッチ機構100自体の省エネルギー化を実現できる。また、弾性体135としてのバネの配置に自由度を持たせることで、汎用性を高めることができる遊星歯車クラッチ機構100を提供できる。
【0047】
このように、本実施形態のプリンタ200では、現像ローラ駆動歯車列90に、双方向回転駆動に対応した遊星歯車クラッチ機構100を設けた。したがって、現像装置3内の現像ローラ4及び現像剤攪拌搬送スクリュ5,6のは双方向の回転と停止の動作を自由に行うことができる。そして、切替動作を行うためのアクチュエータ131は、太陽歯車111の固定状態と固定解除状態との動作時間の短い方の動作を行うため、消費電力を低減し、省エネルギー化を実現することができる。
【0048】
また、上述したようにラチェット部112の複数の被規制部突起113の両側面は、ラチェット部112がいずれの方向に回転しても規制レバー121のいずれかの突起と噛み合う際に、規制レバー121いずれかの突起の側面に面接触できる。このように面接触できるので、特許文献1に記載の構成のように被回転規制部が逆方向にした場合に、回転規制部材のL字状突起の側面の端部と、被回転規制部の突起の傾斜した側面とが点接触して、噛み合う際の衝撃で容易に固定解除状態になることはない。したがって、遊星歯車クラッチ機構100の下流側に設けられた駆動ユニットを双方向回転させるために、内歯歯車101に入力される回転駆動力が、いすれも方向の回転であったとしても、固定状態、及び固定解除状態のいずれにも切替えることができる。
よって、この遊星歯車クラッチ機構100の下流側に設けられた駆動ユニットの双方向回転に対応できる。
【0049】
また、規制レバー121及びラチェット部112の突起の各側面は、噛み合った際に、次ぎのようになるように形成することができる。ラチェット部112の各側面の先端部とラチェット部112の回転中心とを通る直線よりも、規制レバー121の噛み合った側面が、ラチェット部112の突起の歯底側にスライドするように傾斜を持たせて形成することもできる。したがって、内歯歯車101に入力された回転駆動力の回転方向がいずれの方向でも、ラチェット部112の回転規制を確実に行い太陽歯車111を固定状態にできる。
【0050】
また、一組のアクチュエータ131及び弾性体135で規制レバー121の噛み合い状態と非噛み合い状態とを切換える動作を与えている。このように動作を与えているので、内歯歯車101に入力された回転駆動力の回転方向がいずれの方向でも、ラチェット部112の非噛み合い状態、つまり、太陽歯車を固定解除状態にも確実に切換えることができる。したがって、遊星歯車クラッチ機構100の下流側に設けられた駆動ユニットの双方向回転に対応できる。このように双方向回転に対応でき、特許文献1に記載の遊星歯車クラッチ機構のように使用用途が狭い範囲に限定されず、用いる装置の電力消費を低減するために組み込める範囲が広い。
【0051】
さらに、アクチュエータ131及び弾性体135を用いて規制レバー121の噛み合い状態と非噛み合い状態とを切換えている。このような構成で切換えているので、太陽歯車111の固定状態及び固定解除状態での実動作時間を考慮して、実動作時間が短い方の状態に切換える場合に、アクチュエータ131に通電するように構成することができる。そして、実動作時間が長い方の状態に切換えるのに弾性体135の弾性力を用いるように構成することができる。このように切換えを行うことで、この遊星歯車クラッチ機構100の動作に要する電力自体も削減することができる。よって、下流側に設けられた駆動ユニットの双方向回転に対応し、用いる装置の省エネルギー化を効率的に行える遊星歯車機構を用いたクラッチ機構を提供できる。
【0052】
なお、本実施形態では、現像装置3内の現像ローラ4及び現像剤攪拌搬送スクリュ5,6を回転駆動させる現像ローラ駆動歯車列90に、遊星歯車クラッチ機構100を用いた例について説明した。しかし、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、下流側に設けた駆動ユニットの双方向回転に対応させる必要がある駆動伝達系に広く用いることができる。
【0053】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
太陽歯車111などの太陽歯車と、該太陽歯車に噛み合う遊星歯車105などの遊星歯車と、該遊星歯車に噛み合う内歯歯車101などの内歯歯車と、キャリア104などの前記遊星歯車を保持する部材とを有し、3つの回転要素である前記太陽歯車の回転、前記遊星歯車を保持する部材の回転、及び前記内歯歯車の回転に、入力、出力、及び固定のいずれかを択一的に割り当てられて駆動伝達機能を得る遊星歯車部110などの遊星歯車機構を備えた遊星歯車クラッチ機構100などのクラッチ機構において、入力を割り当てられた部材である内歯歯車101などの入力側伝達部材に入力された回転駆動力を、固定を割り当てられた部材である太陽歯車111などの固定側伝達部材が回転しないように支持された固定状態で、前記遊星歯車機構の駆動伝達機能を獲得して出力を割り当てられた部材であるキャリア104などの出力側伝達部材を介して出力し、前記固定側伝達部材が回転可能に支持される固定解除状態で、前記遊星歯車機構の駆動伝達機能を失う機構であり、前記固定側伝達部材と一体に設けられ、複数の被規制部突起113などの突起を有したラチェット部112などの被回転規制部と、該被回転規制部の突起と噛み合う噛み合い状態で前記固定側伝達部材を固定状態にし、前記被回転規制部の突起と噛み合わない非噛み合い状態で前記固定側伝達部材を固定解除状態にする正回転規制突起126や逆回転規制突起127などの突起を複数有した規制レバー121などの回転規制部材と、該回転規制部材の噛み合い状態と、非噛み合い状態とを切換える動作を与えるアクチュエータ131などのアクチュエータを有した切替え部130などの切替え部と、を備え、前記被回転規制部の複数の突起の上流側面114や下流側面115などの両側面は、該被回転規制部がいずれの方向に回転しても前記回転規制部材の突起と噛み合う際に、前記回転規制部材の突起の正回転規制側面128や逆回転規制側面129などの側面に面接触して噛み合うように形成されていることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、下流側に設けられた駆動ユニットの双方向回転に対応可能な、遊星歯車部110などの遊星歯車機構を用いた遊星歯車クラッチ機構100などのクラッチ機構を提供できる。
(態様B)
(態様A)において、切替え部130などの前記切替え部は、アクチュエータ131などの前記アクチュエータの動作に抗する弾性体135などの弾性体を有していることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、遊星歯車クラッチ機構100などのクラッチ機構の動作に要する電力自体も削減することができる。
(態様C)
(態様A)又は(態様B)において、ラチェット部112などの前記被回転規制部の回転方向により、前記被回転規制部の被規制部突起113などの突起と噛み合う規制レバー121などの前記回転規制部材の正回転規制突起126や逆回転規制突起127などの突起が異なることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、高耐久性を実現できる遊星歯車部110などの遊星歯車機構を用いた遊星歯車クラッチ機構100などのクラッチ機構を提供できる。
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)のいずれかにおいて、切替え部130などの前記切替え部では、ラチェット部112などの前記回転規制部材に動作を与えるアクチュエータ131などの前記アクチュエータにはソレノイドを、前記アクチュエータの動作に抗する弾性体135などの前記弾性体にはバネを用いるとともに、前記バネを前記ソレノイドに備えるプランジャ132などのプランジャの外周に配置するか、回転規制部材に直接取り付けていることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、弾性体135などの前記弾性体であるバネの配置に自由度を持たせることで、汎用性を高めることができる遊星歯車部110などの遊星歯車機構を用いた遊星歯車クラッチ機構100などのクラッチ機構を提供できる。
(態様E)
感光体1などの像担持体と、現像ローラ4などの現像剤担持体と、前記像担持体と前記現像剤担持体を駆動する駆動モータなどの駆動源と、前記駆動源から前記像担持体及び前記現像剤担持体まで駆動力を伝達する駆動歯車列70などの駆動伝達機構を備えたプリンタ200などの画像形成装置において、前記駆動伝達機構内に(態様A)乃至(態様D)のいずれかの遊星歯車クラッチ機構100などのクラッチ機構を備えたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、駆動歯車列70などの前記駆動伝達機構内に(態様A)乃至(態様D)のいずれかの遊星歯車クラッチ機構100などのクラッチ機構を備えることで、(態様A)乃至(態様D)のいずれかのクラッチ機構の効果を奏することができるプリンタ200などの画像形成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0054】
1 感光体
2 帯電装置
3 現像装置
4 現像ローラ
5、6 現像剤攪拌搬送スクリュ
7 感光体クリーニング装置
10 作像ユニット
11 定着装置
21 1次転写ローラ21
22 駆動ローラ
23 従動ローラ
24 中間転写ベルト
25 2次転写ローラ
26 中間転写ベルトクリーニング装置
30 光書き込み装置
40 給紙装置
41 搬送経路
42 レジストローラ対
43 排紙口
44 排紙トレイ
70 駆動歯車列
71 駆動歯車
80 感光体駆動歯車列
81 感光体歯車
82 感光体駆動歯車
83 アイドラ歯車列
84 駆動ローラ歯車
90 現像ローラ駆動歯車列
91 第1現像ローラ歯車
92 第2現像ローラ歯車
93 第3現像ローラ歯車
94 現像ローラ駆動歯車
100 遊星歯車クラッチ機構
101 内歯歯車
102 内歯歯車部
103 外歯歯車部
104 キャリア
105 遊星歯車
106 基準側板
107 端部側板
108 ピン
109 出力軸
110 遊星歯車部
111 太陽歯車
112 ラチェット部
113 被規制部突起
114 上流側面
115 下流側面
116 出力歯車
120 回転規制部
121 規制レバー
122 レバー出力部
123 支持軸
124 レバー入力部
125 切り欠き部
126 正回転規制突起
127 逆回転規制突起
128 正回転規制側面
129 逆回転規制側面
130 切替え部
131 アクチュエータ
132 プランジャ
133 係合ピン
135 弾性体
137 弾性体保持部材
140 弾性体
200 プリンタ
P 転写紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開2009―073648号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽歯車と、該太陽歯車に噛み合う遊星歯車と、該遊星歯車に噛み合う内歯歯車と、前記遊星歯車を保持する部材とを有し、3つの回転要素である前記太陽歯車の回転、前記遊星歯車を保持する部材の回転、及び前記内歯歯車の回転に、入力、出力、及び固定のいずれかを択一的に割り当てられて駆動伝達機能を得る遊星歯車機構を備えたクラッチ機構において、
入力を割り当てられた部材である入力側伝達部材に入力された回転駆動力を、固定を割り当てられた部材である固定側伝達部材が回転しないように支持された固定状態で、前記遊星歯車機構の駆動伝達機能を獲得して出力を割り当てられた部材である出力側伝達部材を介して出力し、
前記固定側伝達部材が回転可能に支持される固定解除状態で、前記遊星歯車機構の駆動伝達機能を失う機構であり、
前記固定側伝達部材と一体に設けられ、複数の突起を有した被回転規制部と、
該被回転規制部の突起と噛み合う噛み合い状態で前記固定側伝達部材を固定状態にし、
前記被回転規制部の突起と噛み合わない非噛み合い状態で前記固定側伝達部材を固定解除状態にする突起を複数有した回転規制部材と、
該回転規制部材の噛み合い状態と、非噛み合い状態とを切換える動作を与えるアクチュエータを有した切替え部と、
を備え、
前記被回転規制部の複数の突起の両側面は、該被回転規制部がいずれの方向に回転しても前記回転規制部材の突起と噛み合う際に、前記回転規制部材の突起の側面に面接触して噛み合うように形成されていることを特徴とするクラッチ機構。
【請求項2】
請求項1に記載のクラッチ機構において、
前記切替え部は、前記アクチュエータの動作に抗する弾性体を有していることを特徴とするクラッチ機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクラッチ機構において、
前記被回転規制部の回転方向により、前記被回転規制部の突起と噛み合う前記回転規制部材の突起が異なることを特徴とするクラッチ機構。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載のクラッチ機構において、
前記切替え部では、前記回転規制部材に動作を与える前記アクチュエータにはソレノイドを、前記アクチュエータの動作に抗する前記弾性体にはバネを用いるとともに、前記バネを前記ソレノイドに備えるプランジャの外周に配置するか、回転規制部材に直接取り付けていることを特徴とするクラッチ機構。
【請求項5】
像担持体と、現像剤担持体と、前記像担持体と前記現像剤担持体を駆動する駆動源と、前記駆動源から前記像担持体及び前記現像剤担持体まで駆動力を伝達する駆動伝達機構を備えた画像形成装置において、
前記駆動伝達機構内に請求項1乃至4のいずれか一に記載のクラッチ機構を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−100896(P2013−100896A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−139239(P2012−139239)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】