説明

クラフトパルプ製造工程消泡剤

【課題】消泡性に優れ、対象となる発泡液の性状や発泡状態の変化に大きく左右されない消泡剤を提供することである。
【解決手段】
脂肪酸アミド(A)及び25℃で液体である基油(B)を含有してなり、体積基準による粒子径分布において、1×10−2〜1μmの領域と、2〜1×10μmの領域とにそれぞれ少なくとも1つのピークを有する消泡剤を用いる。体積基準による粒子径分布において、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の1〜90%であることが好ましい。さらに疎水性シリカ(C)を含有することがこのましい。さらに界面活性剤(D)を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクラフトパルプ製造工程用消泡剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アミドを油に分散させた消泡剤を加熱処理し、アミド結晶をβ型化した消泡剤組成物(特許文献1)や、脂肪酸のアミド誘導体と金属石鹸を炭化水素油中で熱融解させたのち、冷却して微粒子を析出させる消泡剤組成物(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開59−36509号公報
【特許文献2】特開2002−143606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の消泡剤組成物では、発泡液の状態(温度、pH、濃度、粘度、有機分、硬度、シェア等)により、消泡持続性が低下することがある。持続性が低下すると、消泡剤の使用量が増えたり、添加場所から離れた場所で効果が低下するため、ユーザーの経済的負担や環境への負担が大きくなることから、より優れた消泡持続性を持つ消泡剤が望まれている。
本発明の目的は消泡性(初期破泡性、消泡持続性)に優れ、対象となる発泡液の性状や発泡状態の変化に大きく左右されない消泡剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のクラフトパルプ製造工程用消泡剤の特徴は、脂肪酸アミド(A)及び25℃で液体である基油(B)を含有してなり、体積基準による粒子径分布において、1×10−2〜1μmの領域と、2〜1×10μmの領域とにそれぞれ少なくとも1つのピークを有する点を要旨とする。
【0006】
本発明のクラフトパルプの製造方法の特徴は、蒸解工程、洗浄工程、漂白工程、黒液濃縮ソーダ回収工程及び/又は排水処理工程において、上記のクラフトパルプ製造工程用消泡剤を添加してクラフトパルプを製造する点を要旨とする。
【0007】
本発明のクラフトパルプ製造工程用消泡剤の製造方法の特徴は、上記のクラフトパルプ製造工程用消泡剤を製造する方法であって、
【0008】
1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(1S)を製造し、一方で、2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(1L)を製造し、分散体(1S)と分散体(1L)とを混合する方法(100);
【0009】
1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(2S)を製造し、引き続き、分散体(2S)中で2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(2L)を製造する方法(200);
【0010】
2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(3L)を製造し、引き続き、分散体(3L)中で1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(3S)を製造する方法(300);
【0011】
1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(4S)を製造し、1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(4S)の一部を取り出し、一方を加熱処理することにより2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(4L)にして、この分散体(4L)と分散体(4S)とを混合する方法(400);
【0012】
2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(5L)を製造し、2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(5L)の一部を取り出し、一方を1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(5S)にして、分散体(5S)と分散体(5L)とを混合する方法(500);又は
【0013】
1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(6S)を製造し、これと、2〜1×10μmの領域にピークを有する粉体(P6L)とを混合する方法(600)
を含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の消泡剤は、著しく優れた消泡性(初期破泡性、消泡持続性)を発揮する。また、対象となる発泡液の性状や発泡状態の変化に大きく左右されずに十分な効果が発揮できる。
【0015】
本発明のクラフトパルプの製造方法を適用すると、著しく優れた消泡性(初期破泡性、消泡持続性)を発揮する消泡剤を使用するため、発泡液(蒸解液、黒液、さらし液等)の性状や発泡状態の変化に大きく左右されずに、効率よく安定に処理でき、効率よくクラフトパルプを製造できる。
【0016】
本発明のクラフトパルプ製造工程用消泡剤の製造方法によると、上記のクラフトパルプ製造工程用消泡剤を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例において消泡性を評価するための消泡性試験装置を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
脂肪酸アミド(A)としては、炭素数1〜6のアルキレンジアミンと炭素数10〜22の脂肪酸との反応物及び炭素数10〜22の脂肪酸アミドが含まれる。
【0019】
炭素数1〜6のアルキレンジアミンと炭素数10〜22の脂肪酸との反応物としては、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスパルミチルアミド、エチレンビスミリスチルアミド、エチレンビスラウリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、プロピレンビスステアリルアミド、プロピレンビスパルミチルアミド、プロピレンビスミリスチルアミド、プロピレンビスラウリルアミド、プロピレンビスオレイルアミド、ブチレンビスステアリルアミド、ブチレンビスパルミチルアミド、ブチレンビスミリスチルアミド、ブチレンビスラウリルアミド、ブチレンビスオレイルアミド、メチレンビスラウリルアミド、メチレンビスステアリルアミド、ヘキサメチレンビスステアリルアミド、エチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド及びヘキサメチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド等が挙げられる。
【0020】
炭素数10〜22の脂肪酸アミドとしては、ステアリルアミド、N−ステアリルステアリルアミド及びN−メチルステアリルアミド等が挙げられる。
【0021】
これらのうち、消泡性等の観点から、炭素数1〜6のアルキレンジアミンと炭素数10〜22の脂肪酸との反応物が好ましく、さらに好ましくはエチレンビスステアリルアミド、エチレンビスパルミチルアミド、エチレンビスラウリルアミド、メチレンビスステアリルアミド及びヘキサメチレンビスステアリルアミド、特に好ましくはエチレンビスステアリルアミド、エチレンビスパルミチルアミド及びエチレンビスミリスチルアミドである。これらのアミドは、2種以上の混合物であってもよく、混合物の場合、上記の好ましいものが主成分として含まれていることが好ましい。
【0022】
なお、主成分とは、脂肪酸アミド(A)の重量に基づいて、少なくとも40重量%を含まれる成分を意味し、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%以上含まれることである。
【0023】
脂肪酸アミド(A)中の副成分(主成分以外に含まれる成分)としては、上記の好ましい範囲以外のアミドの他に、未反応アミン、モノアミド及び未反応カルボン酸等が含まれる。副成分の含有量(重量%)は、脂肪酸アミド(A)の重量に基づいて、60未満が好ましく、さらに好ましくは50未満、特に好ましくは40未満、次に好ましくは30未満、最も好ましくは20未満である。
【0024】
脂肪酸アミド(A)の含有量(重量%)は、脂肪酸アミド(A)及び25℃で液状である基油(B)の重量に基づいて、0.1〜20が好ましく、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜5である。
【0025】
25℃で液状である基油(B)としては、鉱油、イソパラフィン油、油脂、高級カルボン酸及び高級アルコールが含まれる。
【0026】
鉱油としては、40℃における動粘度が4〜146(4〜40が好ましく、さらに好ましくは10〜28)mm/s、芳香族炭素の含有量(個数%)が20以下(15以下が好ましく、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下)の鉱油が含まれる。鉱油としては、商品名として、コスモピュアスピンG、コスモピュアスピンE、コスモSP−10、コスモSP−32及びコスモSC22(以上、コスモ石油株式会社、「コスモ」及び「ピュアスピン」は同社の登録商標である。)、並びにスタノール40(エクソンモービルコーポレーション)等が挙げられる。
【0027】
芳香族炭素の含有量は、環分析(n−d−M)法{ASTM D3238−74(Reapproved 1979)}に準拠して測定される。
【0028】
イソパラフィン油としては、25℃における動粘度が1〜20(1〜15が好ましく、さらに好ましくは1〜10)mm/sのイソパラフィン油が含まれ、商品名として、NAS−5H(日油株式会社)等が挙げられる。
【0029】
油脂としては、炭素数6〜22の脂肪酸又はこの混合物とグリセリンとのエステルが含まれ、植物油(菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糖油、トウモロコシ油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油及びヒマシ油等)、中鎖脂肪酸グリセライド(商品名として、たとえば、パナセート875;日油株式会社、「パナセート」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0030】
高級カルボン酸としては、炭素数6〜22の高級カルボン酸及びその混合物が含まれ、ヘキサン酸、オクタン酸、ヘキサデセン酸及びオクタデセン酸等が挙げられる。
【0031】
高級アルコールとしては、炭素数6〜22の高級アルコールが含まれ、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、オクタデセノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−ブチル−1−オクタノール、2−ブチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノール、2−オクチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−ドデカノール、2−オクチル−1−ドデカノール及び2−デシル−1−テトラデカノール等が挙げられる。
【0032】
これらの基油(B)のうち、鉱油及び植物油が好ましく、さらに好ましくは鉱油である。
【0033】
25℃で液状である基油(B)の含有量(重量%)は、脂肪酸アミド(A)及び25℃で液状である基油(B)の重量に基づいて、80〜99.9が好ましく、さらに好ましくは90〜99、特に好ましくは95〜98である。
【0034】
本発明の消泡剤は、体積基準による粒子径分布において、1×10−2〜1μmの領域と、2〜1×10μmの領域とにそれぞれ少なくとも1つのピークを有するが、好ましくは0.1〜0.7μmの領域と3〜30μmの領域とにそれぞれ少なくとも1つのピークを有すること、さらに好ましくは0.2〜0.5μmの領域と5〜10μmの領域とにそれぞれ少なくとも1つのピークを有することである。これらの領域にそれぞれ少なくとも1つのピークを有すると消泡性がさらに良好となる。このような領域にそれぞれ少なくとも1つのピークを有する消泡剤は、後記の製造方法によって容易に得ることができる。
【0035】
本発明の消泡剤は、上記の領域にそれぞれ少なくとも1つのピークを有するが、それぞれのピークは脂肪酸アミド(A)及び脂肪酸アミド(A)以外の成分{たとえば、含有することができる疎水性シリカ等}に由来するものであってもよいが、脂肪酸アミド(A)だけに由来することが好ましい。すなわち、上記の領域にそれぞれ少なくとも1つ有するピークは、脂肪酸アミド(A)の分散粒子の粒子径分布によるピークであることが好ましい。
【0036】
体積基準による粒子径分布は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置{たとえば、Partica LA−950V2、株式会社堀場製作所製(バッチセル式、分散質の屈折率=1.45、分散媒の屈折率=1.38(ヘキサン)、反復回数15)}を使用して次のように測定される。
【0037】
<体積基準による粒子径分布の測定方法>
ヘキサンをバッチセルに入れてブランク測定を行い、引き続き、このヘキサンに測定試料を適量加えて均一になるまで混合し、真空デシケーターを用いて1〜10kPaで減圧脱泡した後、泡が入らないようにバッチセルに移し、測定を行う。なお、測定値はブランク測定の値が差し引かれて算出される。
【0038】
本発明の消泡剤は、体積基準による粒子径分布において、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の1〜90%(好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜40%)であることが好ましい。この範囲であると消泡性がさらに良好となる。
【0039】
このような範囲にするには、1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(S)と2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(L)とをそれぞれ製造し、上記の範囲になるように混合する方法が含まれる。また、後記の製造方法によって、1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(S)と2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(L)との割合を調節することにより、上記の範囲にすることができる。
【0040】
本発明の消泡剤には、さらに疎水性シリカ(C)を含有することが好ましい。
疎水性シリカ(C)としては、シリカ粉末を疎水化剤で疎水化処理した疎水性シリカが含まれる。
市場から入手できる疎水性シリカとしては、商品名として、Nipsil SS−10、SS−40、SS−50及びSS−100(東ソー・シリカ株式会社、「Nipsil」は東ソー・シリカ株式会社 の登録商標である。)、AEROSIL R972、RX200及びRY200(日本アエロジル株式会社、「AEROSIL」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。 )、TS−530、TS−610、TS−720(キャボットカーボン社)、AEROSIL R202,R805及びR812(デグサジャパン株式会社)、REOLOSIL MT−10、DM−10及びDM−20S (株式会社トクヤマ、「REOLOSIL」は同社の登録商標である。)、並びにSYLOPHOBIC100、702、505及び603(富士シリシア化学株式会社、「SYLOPHOBIC」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0041】
また、疎水性シリカは、無機粉末シリカを疎水化剤で加熱処理することにより容易に得ることができる。
【0042】
無機粉末シリカとしては、(1)湿式法シリカ:無機シリカエローゲル(シリカヒドロゲル中の水分を、70℃以下の沸点を持ち、かつ水との混和性を有する溶媒(メタノール、アセトン、ギ酸メチル、酢酸メチル等)にて置換した後、加熱して溶媒を除去することにより得られるコロイドシリカ)、(2)熱
分解法シリカ:発煙シリカ(四塩化ケイ素を焼いて生じたシリカ煤からなるコロイドシリカ)、及び(3)溶融固体法シリカ:沈降法シリカ(ケイ酸ナトリウム水溶液に塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等のナトリウムイオンを滴下することにより凝集して得られるシリカ粒子)等が含まれ、いずれの方法で製造されたものでも構わない。これらのうち、消泡性の観点等から、発煙シリカ及び沈降性シリカが好ましく、さらに好ましくは沈降性シリカである。
【0043】
疎水化剤としては、シリコーンオイル及び変性シリコーンオイル等が含まれる。シリコーンオイルとしては、動粘度10〜3000(mm/s、25℃)のジメチルポリシロキサン等が挙げられ、シクロテトラジメチルシロキサン等も含まれる。変性シリコーンとしては、上記のジメチルポリシロキサンのメチル基の一部を炭素数2〜6のアルキル基、炭素数2〜4のアルコキシル基、フェニル基、水素原子、ハロゲン(塩素及び臭素等)原子及び/又は炭素数2〜6のアミノアルキル基等に置き換えたもの等が含まれる。
【0044】
疎水性シリカ(C)を含有する場合、疎水性シリカ(C)の含有量(重量%)は、脂肪酸アミド(A)及び25℃で液状である基油(B)の重量に基づいて、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは0.5〜7、特に好ましくは1〜4である。
【0045】
本発明の消泡剤には、さらに界面活性剤(D)を含有することが好ましい。
界面活性剤(D)としては、アニオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤及びこれらの混合が含まれる。
ノニオン型界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、植物油のエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物等が含まれる。
【0046】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンと炭素数12〜22の脂肪酸とのエステルが含まれ、ソルビタンモノラウレート(HLB8.6、たとえば、ノニオンLP−20R;日油株式会社)、ソルビタンモノパルミテート(HLB6.7、たとえば、ノニオンPP−40Rペレット;日油株式会社)、ソルビタンモノステアレート(HLB4.7、たとえば、ノニオンSP−60Rペレット;日油株式会社)、ソルビタンモノオレエート(HLB4.3、たとえば、ノニオンOP−80R;日油株式会社)、ソルビタントリオレエート(HLB1.8、たとえば、ノニオンOP−85R;日油株式会社)、ソルビタンモノオレエート(HLB4.3、たとえば、イオネットS−80;三洋化成工業株式会社、「イオネット」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0047】
ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物としては、ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド1〜40モル付加物が含まれ、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB16.7、たとえば、ノニオンLT−221;日油株式会社)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(HLB15.7、たとえば、ノニオンST−221;日油株式会社)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(HLB15.7、たとえば、ノニオンOT−221;日油株式会社)等が挙げられる。
【0048】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーとしては、エチレンオキシド5〜200モルとプロピレンオキシド5〜200モルとの共重合体が含まれ、ポリオキシエチレン(25モル)ポリオキシプロピレン(30モル)ブロックポリマー(たとえば、ニューポールPE−64;三洋化成工業株式会社、「ニューポール」は同社の登録商標である。)及びポリオキシエチレン(48モル)ポリオキシプロピレン(35モル)ブロックポリマー(たとえば、ニューポールPE−75;三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
【0049】
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルとしては、炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルアリールのポリオキシエチレンエーテルが含まれ、ポリオキシエチレン(4モル)ノニルフェノールエーテル(たとえば、ノニポール40;三洋化成工業株式会社、「ノニポール」は同社の登録商標である。)、ポリオキシエチレン(10モル)ノニルフェノールエーテル(たとえば、ノニポール100;三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
【0050】
植物油のエチレンオキシド付加物としては、植物油のエチレンオキシド1〜200モル付加物が含まれ、ひまし油のエチレンオキシド付加物(たとえば、ユニオックスHC−40;日油株式会社、「ユニオックス」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0051】
ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルとしては、数平均分子量200〜4000のポリオキシエチレンと炭素数6〜22の脂肪酸とのモノエステル及びジエステルが含まれ、数平均分子量600のポリオキシエチレングルコールとオレイン酸とのジエステル(たとえば、イオネットDO−600;三洋化成工業株式会社)及び数平均分子量600のポリオキシエチレングルコールとオレイン酸とのモノエステル(たとえば、イオネットMO−600;三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
【0052】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、炭素数6〜22のアルカノールのオキシエチレン1〜100モル付加物が含まれ、ナロアクティーCL−40(HLB8.9、三洋化成工業株式会社、「ナローアクティー」は同社の登録商標である。)、ナロアクティーCL−100(HLB13.3、三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
【0053】
グリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数6〜22の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルが含まれ、グリセロールモノステアレート(たとえば、モノグリMD、HLB5.5、日油株式会社)等が挙げられる。
【0054】
グリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物としては、グリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシド1〜100モル付加物が含まれ、グリセリンヤシ油脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物(たとえば、ユニグリMK−207、HLB13.0、日油株式会社、「ユニグリ」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0055】
これらのうち、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物が好ましい。
【0056】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルビフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩が含まれる。
【0057】
アルキルアリールスルホン酸塩としては、炭素数6〜18のアルキルアリールスルホン酸塩が含まれ、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
塩としては特に制限されないが、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)塩、アンモニウム塩及び炭素数1〜18のアミン塩(トリエタノールアミン、トリメチルアミン、プロピルアミン等)等が含まれる(以下同じ)。
【0058】
アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩としては、アルキル基が炭素数6〜18であるアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が含まれ、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。
【0059】
ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸エステル塩としては、炭素数6〜22のポリオキシエチレンアルキルスルホン酸エステル塩が含まれ、ポリオキシエチレンラウリルスルホン酸エステル塩等が挙げられる。
【0060】
ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩としては、炭素数6〜22のポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルが含まれ、ポリオキシエチレンステアリルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0061】
これらのうち、アルキルアリールスルホン酸塩及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が好ましく、さらに好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸塩及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、特に好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸カルシウム塩である。
【0062】
界面活性剤(D)を含有する場合、界面活性剤(D)の含有量(重量%)は、脂肪酸アミド(A)及び25℃で液状である基油(B)の重量に基づいて、0.1〜15が好ましく、さらに好ましくは0.5〜12、特に好ましくは1〜10である。
【0063】
本発明の消泡剤には、脂肪酸アミド(A)、25℃で液状である基油(B)、疎水性シリカ(C)、界面活性剤(D)以外に、水(E)、金属石鹸(F)、シリコーン油(G)及び/又はポリエーテル(H)等を含有できる。
【0064】
水(E)としては、水道水、工業用水、脱イオン水及び蒸留水等が挙げられる。
水(E)を含有する場合、水(E)の含有量(重量%)は、脂肪酸アミド(A)及び25℃で液体である基油(B)の重量に基づいて、1〜60が好ましく、さらに好ましくは1.5〜30、特に好ましくは2〜10である。
【0065】
水(E)を含有する場合、本発明の消泡剤は、脂肪酸アミド(A)及び25℃で液体である基油(B)を油相とするエマルション型消泡剤を構成してもよいし、外見上均一溶解していてもよい。エマルションを構成する場合、W/O型でもよいし、O/W型でもよい。
【0066】
金属石鹸(F)としては、炭素数12〜22の脂肪酸と金属(アルカリ土類金属、アルミニウム、マンガン、コバルト、鉛、クロム、銅、鉄及びニッケル等)との塩を含み、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛及びベヘニン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0067】
金属石鹸(F)を含有する場合、金属石鹸(F)の含有量(重量%)は、脂肪酸アミド(A)及び25℃で液体である基油(B)に基づいて、0.1〜5が好ましく、さらに好ましくは0.2〜4、特に好ましくは0.3〜3である。
【0068】
シリコーン油(G)としては、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン及び上記のシリコーンオイル等が使用できる。これらのシリコーン油は、2種以上の混合物であってもよく、混合物の場合、ジメチルポリシロキサン及び/又はポリエーテル変性シリコーンが主成分として含まれていることが好ましい。
【0069】
シリコーン油(G)を含有する場合、シリコーン油(G)の含有量(重量%)は、脂肪酸アミド(A)及び25℃で液体である基油(B)の重量に基づいて、0.1〜7が好ましく、さらに好ましくは1〜5である。
【0070】
ポリエーテル(H)としては、数平均分子量が200〜6000であるポリオキシアルキレングリコールが含まれ、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及びポリオキシブチレングリコールが挙げられる。また、炭素数4〜22のモノアルコール、炭素数1〜22のモノカルボン酸又は炭素数6〜22のモノアミンの1モルと炭素数2〜4のアルキレンオキシドの1〜100モルとの反応物や、炭素数2〜12のポリオール(多価アルコール、ポリグリセリン、蔗糖等を含む、以下同じ)の1モルと炭素数2〜4のアルキレンオキシドの1〜300モルとの反応物、炭素数2〜6のポリオール1モル及び炭素数2〜4のアルキレンオキシド1〜300モルの反応物と炭素数1〜22の脂肪酸との反応物が挙げられる。
【0071】
ポリエーテル(H)を含有する場合、ポリエーテル(H)の含有量(重量%)は、脂肪酸アミド(A)及び基油(B)の重量に基づいて、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは1〜45、特に好ましくは5〜35である。
【0072】
本発明の消泡剤は、さらに、公知の増粘剤、分散剤、防腐剤、凍結防止剤及び/又は溶剤を含んでもよい。
【0073】
増粘剤としてはザンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、カラギーナン、アルギン酸及びこの塩、トラガントガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、ベントナイト、合成含水珪酸、並びに合成高分子型増粘剤(商品名として、たとえば、SNシックナー636、SNシックナー641;サンノプコ株式会社等)等が挙げられる。
【0074】
分散剤としては、ポリアクリル酸(塩)、部分鹸化ポリビニルアルコール及び硫酸化ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0075】
凍結防止剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0076】
防腐剤としては、公知の防腐剤(防菌・防黴剤辞典、日本防菌防黴学会昭和61年第1版発行、1−32頁等)等が使用でき、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
【0077】
溶剤としては、公知の溶剤(溶剤ハンドブック、講談社 昭和51年発行、143−881頁等)が使用でき、メチルアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0078】
本発明の消泡剤は、以下の製造方法(100)〜(600)のいずれかによって製造することが好ましい。
【0079】
<消泡剤の製造方法(100)>
本発明の消泡剤は、1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(1S)を製造し、一方で、2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(1L)を製造し、分散体(1S)と分散体(1L)とを混合する方法により製造できる。
【0080】
分散体(1S)は、以下の製造方法(110)、(120)のいずれかによって製造できる。また、分散体(1L)は、以下の製造方法(130)、(140)のいずれかによって製造できる。なお、以下、説明の都合上、基油の一部とは、分散体(1S)又は分散体(1L)を製造するための基油のうち一部を意味し、本発明の消泡剤を製造するための基油全体のうち一部を意味するものではない。また、同様に、脂肪酸アミド(A)は、本発明の消泡剤の製造の観点からみるとアミド全体の一部ではあるが、以下の製造方法の説明においては分散体(1S)又は分散体(1L)を製造するために使用するアミドを意味する。
【0081】
<分散体(1S)の製造方法(110)>
分散体(1S)は、脂肪酸アミド(A)と、25℃で液状である基油(B)の一部とを加熱攪拌し、脂肪酸アミド(A)を溶解させて溶解液を得る工程(K1a)、25℃で液状である基油(B)の残部を攪拌しながら、この残部に溶解液を投入して混合物(1m1)を得る工程(K1b)を含む方法により製造できる。
【0082】
工程(K1a)において、25℃で液状である基油(B)の一部とは、加熱攪拌ができ、脂肪酸アミド(A)を溶解できる量であれば制限はないが、基油(B)の全体重量に基づいて、5〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは15〜45重量%である。
【0083】
工程(K1b)において、混合物(1m1)の温度(溶解液を投入している間の温度を含む)は、消泡性及び製造コストの観点等から、0〜40℃に保つことが好ましく、さらに好ましくは0〜30℃、特に好ましくは0〜25℃に保つことである。すなわち、工程(K1b)では、0〜40℃に冷却した25℃で液状である基油(B)の残部を攪拌しながら、この残部の温度が0〜40℃(好ましくは上記範囲)になるように保ちながら、この残部に溶解液を少量ずつ投入して混合物(1m1)を得ることが好ましい。
【0084】
さらに、混合物(1m1)を均一混合処理して混合物(1m2)を得る工程(K1c)を含むことが好ましい。
【0085】
工程(K1c)において、脂肪酸アミド(A)を均一混合処理できれば制限はないが、乳化分散機(ビーズミル、ディスパーミル、ホモジナイザー又はゴーリンホモジナイザー等)を用いて均一混合処理を行うことが好ましい(以降も同様)。
均一混合処理における混合物の温度は、0〜40℃が好ましく、さらに好ましくは0〜30℃、特に好ましくは0〜25℃に保つことである。すなわち、均一混合処理において、0〜40℃(好ましくは上記範囲)を保ちながら均一混合処理して消泡剤を得ることが好ましい(以下、特記しない限り同じである。)。
【0086】
<分散体(1S)の製造方法(120)>
分散体(1S)は、脂肪酸アミド(A)と、25℃で液状である基油(B)の一部と、界面活性剤(D)とを加熱攪拌し、脂肪酸アミド(A)を溶解させて溶解液を得る工程(K1d)、25℃で液状である基油(B)の残部を攪拌しながら、この残部に溶解液を投入して混合物(1m3)を0〜70℃(好ましくは上記と同じ温度範囲)で保ちながら得る工程(K1e)を含む方法により得ことができる。
【0087】
工程(K1e)において、基油(B)の一部については、工程(K1a)と同様の量である。
【0088】
さらに、混合物(1m3)を均一混合処理して混合物(1m4)を得る工程(K1f)を含んでもよい。
【0089】
<分散体(1L)の製造方法(130)>
分散体(1L)は、分散体(1S)の製造方法(110)のうち、工程(K1b)において、混合物(1SL1)の温度を25〜100℃(好ましくは40〜80℃、さらに好ましくは50〜70℃)に保つこと以外、分散体(1S)の製造方法(110)と同様にして得ることができる。なお、均一混合処理する場合、処理温度は、0〜70℃であればよい。
【0090】
<分散体(1L)の製造方法(140)>
分散体(1L)は、脂肪酸アミド(A)と、25℃で液状である基油(B)を加熱攪拌し、脂肪酸アミド(A)を溶解させて溶解液を得る工程(K1g)、溶解液を攪拌しながら、70℃以下に冷却し混合物(1m5)を得る工程(K1h)を含む方法により得ることができる。
【0091】
さらに、混合物(1m5)を均一混合処理して混合物(1m6)を得る工程(K1i)を含んでもよい。なお、均一混合処理する場合、処理温度は、0〜70℃であればよい。
【0092】
<消泡剤の製造方法(200)>
本発明の消泡剤は、1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(2S)を製造し、引き続き、分散体(2S)中で2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(2L)を製造する方法により製造できる。
【0093】
分散体(2S)は、分散体(1S)の製造方法(110)、(120)と同様にして調製できる。そして、分散体(2S)中で、以下のようにして分散体(2L)を調製して、本発明の消泡剤とすることができる。
【0094】
本発明の消泡剤は、脂肪酸アミド(A)と、25℃で液状である基油(B)とを加熱攪拌し、脂肪酸アミド(A)を溶解させて溶解液を得る工程(K2a)、分散体(2S)を攪拌しながら、この分散体(2S)に溶解液を投入して分散体(2S)及び分散体(2L)の混合物(2m1)を調製する工程(K2b)を含む方法により得ることができる。
【0095】
工程(K2b)において、混合物(2m1)の温度(溶解液を投入している間の温度を含む)は、消泡性及び製造コストの観点等から、25〜70℃に保つことが好ましく、さらに好ましくは40〜70℃、特に好ましくは50〜70℃である。
【0096】
さらに、混合物(2m1)を均一混合処理して混合物(2m2)を得る工程(K2c)を含むことが好ましい。
【0097】
<消泡剤の製造方法(300)>
本発明の消泡剤は、2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(3L)を製造し、引き続き、分散体(3L)中で1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(3S)を製造する方法により製造できる。
【0098】
分散体(3L)は、分散体(1L)の製造方法(130)、(140)と同様にして調製できる。そして、分散体(3L)中で、以下のようにして分散体(3S)を調製して、本発明の消泡剤とすることができる。
【0099】
<製造方法(310)>
本発明の消泡剤は、脂肪酸アミド(A)と、25℃で液状である基油(B)と、界面活性剤(D)とを加熱攪拌し、脂肪酸アミド(A)を溶解させて溶解液を得る工程(K3a)、分散体(3L)を攪拌しながら、分散体(3L)に溶解液を投入して分散体(3S)及び分散体(3L)の混合物(3m1)を調製する工程(K3b)を含む方法により得ることができる。
【0100】
工程(K3b)において、混合物(3m1)の温度(溶解液を投入している間の温度を含む)は、消泡性及び製造コストの観点等から、0〜70℃に保つことが好ましく、さらに好ましくは0〜40℃、特に好ましくは0〜30℃である。
【0101】
<製造方法(320)>
本発明の消泡剤は、脂肪酸アミド(A)と、25℃で液状である基油(B)とを加熱攪拌し、脂肪酸アミド(A)を溶解させて溶解液を得る工程(K3c)、分散体(3L)を攪拌しながら、この分散体(3L)に溶解液を投入して分散体(3S)及び分散体(3L)の混合物(3m2)を調製する工程(K3d)を含む方法により得ることができる。
【0102】
工程(K3d)において、混合物(3m2)の温度(溶解液を投入している間の温度を含む)は、消泡性及び製造コストの観点等から、0〜40℃に保つことが好ましく、さらに好ましくは0〜30℃、特に好ましくは0〜25℃である。
【0103】
さらに、混合物(3m1、3m2)をで均一混合処理して混合物(3m3)を得る工程(K3e)を含むことが好ましい。
【0104】
<消泡剤の製造方法(400)>
本発明の消泡剤は、1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(4S)を製造し、1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(4S)の一部を取り出し、一方を加熱処理することにより2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(4L)にして、この分散体(4L)と分散体(4S)とを混合する方法により製造できる。
【0105】
分散体(4S)は、分散体(1S)の製造と同様に得ることができる。
【0106】
加熱処理の方法としては、分散体(4S)の一部を連続的に(又は断続的に)取り出しながら、取り出した一部を加熱処理することにより分散体(4L)にすると共に、この分散体(4L)をそのまま分散体(4S)の残部へ連続的に(又は断続的に)投入し混合してもよいし、また、分散体(4S)の一部を取り出して、取り出した一部又は分散体(4S)の残部を加熱処理して分散体(4L)にしてから、分散体(4L)と分散体(4S)とを混合してもよい。
【0107】
加熱処理する温度(℃)は、60〜120が好ましく、さらに好ましくは60〜100、特に好ましくは60〜80である。加熱処理は攪拌下で行うことが好ましい。
【0108】
さらに、分散体(4S)及び分散体(4L)の混合物を均一混合処理して混合物(4m1)を得る工程(K4a)を含むことが好ましい。
【0109】
<消泡剤の製造方法(500)>
本発明の消泡剤は、2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(5L)を製造し、2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(5L)の一部を取り出し、一方を1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(5S)にして、分散体(5S)と分散体(5L)とを混合する方法により製造できる。
【0110】
分散体(5L)の製造は、分散体(1L)の製造と同様に得ることができる。
【0111】
一方を1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(5S)にするには、分散体(5B)を分散装置(ビーズミル、ディスパーミル、ホモジナイザー又はゴーリンホモジナイザー等)で分散処理又は粉砕処理する方法が適用できる。攪拌シェア、処理圧力、処理時間、処理回数等の条件により粒子を小さくすることができるが、たとえば、ゴーリンホモジナイザーで4500〜6000psiで処理を3回を行うことで、粒子径ピークをより小さくすることができる。
【0112】
一方を1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(5S)にする方法としては、分散体(5L)の一部を連続的に(又は断続的に)取り出しながら、取り出した一部を分散処理又は粉砕処理することにより分散体(5S)にすると共に、この分散体(5S)をそのまま分散体(5L)の残部へ連続的に(又は断続的に)投入し混合してもよいし、また、分散体(5L)の一部を取り出して、取り出した一部又は分散体(5L)の残部を分散処理又は粉砕処理して分散体(5S)にしてから、分散体(5L)と分散体(5S)とを混合してもよい。
【0113】
さらに、分散体(5S)及び分散体(5L)の混合物を均一混合処理して混合物を得る工程(K5)を含むことが好ましい。
【0114】
<消泡剤の製造方法(600)>
本発明の消泡剤は、1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(6S)を製造し、これと、2〜1×10μmの領域にピークを有する粉体(P6L)とを混合する方法により製造できる。
【0115】
分散体(6S)の製造は、分散体(1S)の製造と同様にして得ることができる。
【0116】
分散体(6S)と粉体(P6L)との混合は、0〜40℃(好ましくは0〜30℃、さらに好ましくは0〜25℃)で混合することが好ましい。また、25℃で液状である基油(B)と粉体(P6L)とを混合して、分散体(6L)を得た後、分散体(6L)と分散体(6S)とを混合してもよい(この場合、混合温度は、0〜40℃が好ましく、さらに好ましくは0〜30℃、特に好ましくは0〜25℃)。また、粉体(P6L)は、分散体(6S)を製造するとき、基油(B)の残部にあらかじめ混合してもよい(この場合、混合温度は、0〜70℃が好ましく、さらに好ましくは0〜40℃、特に好ましくは0〜30℃)。
【0117】
さらに、分散体(6S)及び分散体(6L)の混合物を均一混合処理して混合物を得る工程(K6e)を含むことが好ましい。
【0118】
上記の製造方法において、加熱攪拌温度(℃)としては、脂肪酸アミド(A)が溶解できれば制限がないが、100〜180が好ましく、さらに好ましくは110〜170、特に好ましくは120〜160である。加熱攪拌時間としては、脂肪酸アミド(A)が溶解できれば制限がないが、基油(B)の酸化や蒸発等を防ぐため、できるだけ短時間とすることが好ましい。加熱攪拌は、密閉下で行ってもよいし(加圧下でもよい)、開放下で行ってもよい。溶解液を投入している間も溶解液を加熱攪拌し、脂肪酸アミド(A)を溶解させた状態を保つことが好ましい。
【0119】
疎水性シリカ(C)を含有する場合、疎水性シリカ(C)は、上記のいずれの工程で投入してもよい。
【0120】
界面活性剤(D)を含有する場合、界面活性剤(D)は、工程(k1d)、(k3a)において使用することが好ましいが、この工程以外のいずれの工程で使用してもよい。
【0121】
金属石鹸(F)を含有する場合、脂肪酸アミド(A)を溶解する工程で投入し、脂肪酸アミド(A)と同様に溶解・析出させてもよいし、脂肪酸アミド(A)とは別に基油(B)に溶解(分散)させてから、上記のいずれかの工程又は均一混合処理工程の後で、均一混合してもよい。
【0122】
水(E)を含有する場合、5〜70℃で投入することが好ましく、さらに好ましくは均一混合処理工程の前である。
【0123】
シリコーン油(G)を含有する場合、上記のいずれの工程で投入してもよい。
【0124】
本発明の消泡剤は、水性発泡液に対して効果的であり、例えば、紙パルプ製造工程(蒸解工程、洗浄工程、漂白工程、黒液濃縮ソーダ回収工程及び/又は排水処理工程、脱墨工程)、建築工業やその抄造工程、染料工業、染色工業、発酵工業、合成樹脂製造工業、合成ゴム製造工業、インキ、塗料工業又は繊維加工工業等の各種工程で発生する気泡に対して適している。これらのうち、紙パルプ製造工程用消泡剤として適しており、さらに蒸解工程、洗浄工程、漂白工程、黒液濃縮ソーダ回収工程及び/又は排水処理工程用消泡剤として最適である。
【0125】
本発明の消泡剤は、一括添加法、連続添加方法、断続添加方法又は泡測定器と消泡剤添加装置とを連動させた方法等により、被添加液体に添加することができる。また、1カ所添加及び多点添加のいずれでもよい。また、添加に際しては適当な希釈溶媒又は水などで希釈してもよい。
【0126】
本発明の消泡剤は、公知の消泡剤{たとえば、ポリエーテル消泡剤、シリコーン消泡剤(特公昭51−35556号、特公昭52−2887号、特公昭52−19836号、特公昭55−23084号、特開平6−142410号及び特開平6−142411号各公報等)、鉱物油消泡剤(特公昭49−109276号、特開昭52−22356号、特開昭54−32187号、特開昭55−70308号及び特開昭56−136610号各公報等)及びワックスエマルション消泡剤(特開昭47−114336号、特開昭60−156516号、特開昭62−171715号、特開昭64−68595号、特開平1−210005号及び特開平4−349904号各公報等)}等と併用してもよい。
【0127】
本発明の消泡剤の添加量(ppm)は、被添加液体の発泡状態、温度、粘度などに応じて適宜設定すればよいが、被添加液体の体積に基づいて、1〜10000が好ましく、さらに好ましくは2〜1000、特に好ましくは5〜500、最も好ましくは10〜100である。添加温度は0〜100℃程度が好ましく、さらに好ましくは10〜60℃、特に好ましくは20〜50℃である。
【実施例】
【0128】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
<実施例1>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、脂肪酸アミド(a1){エチレンビスステアリルアミド、アルフロー H−50S、日油(株)、「アルフロー」は同社の登録商標である。}35部及び基油(b1){鉱物油、コスモSC22、コスモ石油ルブリカンツ(株)}200部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(1A)を得た。
【0129】
次いで、25℃に調節した基油(b1)550部を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(1A)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(1A)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(1A)の温度は25〜70℃であった。
【0130】
次いで、脂肪酸アミド(a1)15部、基油(b1)200部、界面活性剤(dn1){ポリオキシエチレンジオレート、イオネット DO−600、三洋化成工業(株)}5部、界面活性剤(dn2){ポリオキシエチレンアルキレンエーテル、ナローアクティー CL−40、三洋化成工業(株)}5部、界面活性剤(dn3){ソルビタンモノオレート、イオネット S−80、三洋化成工業(株)}5部及び界面活性剤(da1){ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、テイカパワー BC−2070M、テイカ(株)、「テイカパワー」は同社の登録商標である。}5部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(1B)を得た。
【0131】
次いで、混合物(1A)を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(1B)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(1B)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(1B)の温度は25〜75℃であった。
【0132】
25℃に冷却した混合物(1B)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、本発明の消泡剤(1)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。
【0133】
本発明の消泡剤(1)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、0.2μmと7.2μmにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の28%であった。
【0134】
なお、体積基準による粒子径分布は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置Partica LA−950V2、株式会社 堀場製作所製{バッチセル式;分散質の屈折率=1.45;分散媒の屈折率=1.38(ヘキサン);反復回数15;必要に応じて測定試料又はヘキサンを添加し青色LED光透過率が89〜91%となるようにして、測定試料ヘキサン分散液の濃度を調整した。}を使用して測定した(以降も同様)。
【0135】
<実施例2>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、脂肪酸アミド(a1)99部及び基油(b2){鉱物油、コスモピュアスピン G、コスモ石油ルブリカンツ(株)}200部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(2A)を得た。
【0136】
次いで、25℃に調節した基油(b2)500部を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(2A)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(2A)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(2A)の温度は10〜30℃であった。
【0137】
次いで、脂肪酸アミド(a1)1部、基油(b2)200部、界面活性剤(dn1)25部、界面活性剤(dn2)25部、界面活性剤(dn3)25部及び界面活性剤(da1)25部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(2B)を得た。
【0138】
次いで、混合物(2A)を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(2B)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(2B)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(2B)の温度は10〜30℃であった。
【0139】
25℃に冷却した混合物(2B)をゴーリンホモジナイザーを用いて4500psi(31.0MPa)にて均一混合処理して、本発明の消泡剤(2)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は10〜30℃であった。
【0140】
本発明の消泡剤(2)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、0.01μmと2μmにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の1%であった。
【0141】
<実施例3>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、脂肪酸アミド(a2){エチレンビスステアリルアミド、カオーワックスEB−P、花王(株)}2部及び基油(b3){鉱物油、コスモSP−10、コスモ石油ルブリカンツ(株)}780部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(3A)を得た。
【0142】
次いで、アミド溶解液(3A)を10℃まで90分かけて冷却し、混合物(3A)を得た。
【0143】
次いで、脂肪酸アミド(a2)18部及び基油(b3)200部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(3B)を得た。
【0144】
次いで、混合物(3A)を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(3B)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(3B)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(3B)の温度は10〜30℃であった。
【0145】
25℃に冷却した混合物(3B)をインペラー型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザーにて4000rpmにて15分間攪拌して均一混合処理して、本発明の消泡剤(3)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は10〜30℃であった。
【0146】
本発明の消泡剤(3)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、1μmと100μmにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の90%であった。
【0147】
<実施例4>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、脂肪酸アミド(a2)15部及び基油(b4){菜種油、菜種白絞油NS、日新オイリオ株式会社}}200部、界面活性剤(dn1)2.5部、界面活性剤(dn2)2.5部、界面活性剤(dn3)2.5部及び界面活性剤(da1)2.5部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(4A)を得た。
【0148】
次いで、25℃に調節した基油(b4)750部及び疎水性シリカ(c1){ニップシール SS−10、東ソー・シリカ(株)}40部を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(4A)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(4A)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(4A)の温度は25〜50℃であった。
【0149】
次いで、混合物(4A)に脂肪酸アミド(a3){エチレンビスステアリルアミド、アルフロー H−50TF−S、日油(株)、「アルフロー」は同社の登録商標である。}35部を混合し、混合物(4B)を得た。
【0150】
混合物(4B)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、本発明の消泡剤(4)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。
【0151】
本発明の消泡剤(4)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、0.5μmと5μmと10μmにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の20%であった。
【0152】
<実施例5>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、脂肪酸アミド(a1)15部、基油(b1)200部、界面活性剤(dn1)5部、界面活性剤(dn2)5部、界面活性剤(dn3)5部及び界面活性剤(da1)5部及び金属石鹸(f1){ステアリン酸アルミニウム、SA−1500、堺化学工業株式会社}15部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合溶解液(5A)を得た。
【0153】
次いで、25℃に調節した基油(b1)285部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(5A)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(5A)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(5A)の温度は25〜50℃であった。
【0154】
次いで、25℃に冷却した混合物(5A)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、混合物(5B)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。
【0155】
次いで、加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、脂肪酸アミド(a2)35部、基油(b2)200部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(5B)を得た。
【0156】
次いで、25℃に調節した基油(b2)265部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(5B)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(5C)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(5C)の温度は25〜50℃であった。
【0157】
次いで、混合物(5C)に疎水性シリカ(c2){ニップシールSS−100、東ソー・シリカ(株)}10部を混合し、混合物(5D)を得た。
【0158】
次いで、25℃に冷却した混合物(5D)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、混合物(5E)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。
【0159】
次いで、混合物(5B)と混合物(5E)を混合した後、65℃にて2時間攪拌し、25℃に冷却することで本発明の消泡剤(5)を得た。
【0160】
本発明の消泡剤(5)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、0.2μmと5μmにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の40%であった。
【0161】
<実施例6>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、脂肪酸アミド(a4){エチレンビスオレイルアミド、アルフロー AD−281F、日油(株)}20部及び基油(b5){植物油、ファインオイル N、ミヨシ油脂株式会社}200部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(6A)を得た。
【0162】
次いで、25℃に調節した基油(b5)550部を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(6A)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(6A)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(6A)の温度は25〜70℃であった。
【0163】
次いで、脂肪酸アミド(a4)30部、基油(b5)200部、界面活性剤(dn1)5部、界面活性剤(dn2)5部、界面活性剤(dn3)5部及び界面活性剤(da1)5部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(6B)を得た。
【0164】
次いで、混合物(6A)を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(6B)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(6B)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(6B)の温度は25〜70℃であった。
【0165】
25℃に冷却した混合物(6B)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、本発明の消泡剤(6)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。
【0166】
本発明の消泡剤(6)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、0.3μmと10μmにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の32%であった。
【0167】
<実施例7>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、脂肪酸アミド(a5){エルカ酸モノアミド、アルフロー P−10、日油(株)}40部及び基油(b2)200部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(7A)を得た。
【0168】
次いで、25℃に調節した基油(b2)550部、界面活性剤(dn3)5部及び界面活性剤(da2){ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ペレックス SS−L、花王(株)、「ペレックス」は同社の登録商標である。}5部を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(7A)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(7A)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(7A)の温度は25〜70℃であった。
【0169】
次いで、脂肪酸アミド(a5)10部、基油(b2)200部、界面活性剤(dn1)5部、界面活性剤(dn2)5部、界面活性剤(dn4){ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ノニオン OT−221、日油(株)製}5部、界面活性剤(da1)5部及びポリエーテル(h1){ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ニューポール LB−1715、三洋化成工業(株)}50部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(7B)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(7B)の温度は25〜50℃であった。
【0170】
次いで、混合物(7A)を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(7B)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(7B)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(7B)の温度は25〜50℃であった。
【0171】
次いで、水(e1)10部及びジメチルシリコーンオイル(g1){SH200−50CS、東レ・ダウコーニング株式会社}20部を加え、25℃に冷却した混合物(7B)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、本発明の消泡剤(7)(w/o型エマルション)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。
【0172】
本発明の消泡剤(7)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、0.1μmと12μmにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の24%であった。
【0173】
<実施例8>
消泡剤(2)400部に水(e1)600部を加え、ゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、本発明の消泡剤(8)(o/w型エマルション)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。
【0174】
本発明の消泡剤(8)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、0.05μmと2.5μmにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の1%であった。
【0175】
<比較例1>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、脂肪酸アミド(a1)50部及び基油(b1)200部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(H1A)を得た。
【0176】
次いで、25℃に調節した基油(b1)750部を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(H1A)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(9A)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(H1A)の温度は25〜70℃であった。
【0177】
25℃に冷却した混合物(H1A)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、比較用の消泡剤(H1)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。
【0178】
比較用の消泡剤(H1)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、8.4μmのみにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の0%であった。
【0179】
<比較例2>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、脂肪酸アミド(a2)50部及び基油(b2)200部、界面活性剤(dn1)2.5部、界面活性剤(dn2)2.5部、界面活性剤(dn3)2.5部及び界面活性剤(da1)2.5部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(H2A)を得た。
【0180】
次いで、25℃に調節した基油(b2)750部を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(H2A)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(H2A)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(H2A)の温度は25〜50℃であった。
【0181】
混合物(H2A)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、比較用の消泡剤(H2)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。
【0182】
比較用の消泡剤(H2)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、0.5μmのみにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の100%であった。
【0183】
<比較例3>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、脂肪酸アミド(a2)6部及び基油(b3)780部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(H3A)を得た。
【0184】
次いで、アミド溶解液(H3A)を10℃まで90分かけて冷却し、混合物(H3A)を得た。
【0185】
次いで、脂肪酸アミド(a2)14部及び基油(b3)200部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(H3B)を得た。
【0186】
次いで、混合物(H3A)を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(H3B)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(H3B)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(H3B)の温度は10〜30℃であった。
【0187】
25℃に冷却した混合物(H3B)をインペラー型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザーにて4000rpmにて15分間攪拌して均一混合処理して、比較用の消泡剤(H3)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は10〜30℃であった。
【0188】
比較用の消泡剤(H3)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、0.2μmと150μmにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の70%であった。
【0189】
<比較例4>
【0190】
基油(b1)1000部に疎水性シリカ(c1)30部を均一混合することで、比較用の消泡剤(H4)を得た。
【0191】
比較用の消泡剤(H4)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、4.6μmのみにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の0%であった。
【0192】
<比較例5>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、基油(b1)200部及び金属石鹸(f1)15部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて金属石鹸溶解液(H5A)を得た。
【0193】
次いで、25℃に調節した基油(b1)800部を冷却攪拌しながら、これに金属石鹸溶解液(H5A)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(H5A)を得た。金属石鹸溶解液の投入中及び投入後の混合物(H5A)の温度は25〜50℃であった。
【0194】
混合物(H2A)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、比較用の消泡剤(H5)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。
【0195】
比較用の消泡剤(H5)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、9.0μmのみにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の0%であった。
【0196】
<比較例6>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、脂肪酸アミド(a4)5部及び基油(b5)200部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(H6A)を得た。
【0197】
次いで、25℃に調節した基油(b5)500部を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(H6A)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(H6A)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(H6A)の温度は40〜90℃であった。
【0198】
次いで、脂肪酸アミド(a4)95部、基油(b5)200部、界面活性剤(dn1)5部、界面活性剤(dn2)5部、界面活性剤(dn3)5部及び界面活性剤(da1)5部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けてアミド溶解液(H6B)を得た。
【0199】
次いで、混合物(H6A)を冷却攪拌しながら、これにアミド溶解液(H6B)を少量ずつ投入し、15分間攪拌して混合物(H6B)を得た。アミド溶解液の投入中及び投入後の混合物(H6B)の温度は25〜70℃であった。
【0200】
25℃に冷却した混合物(H6B)にジメチルシリコーンオイル(g1)
20部を加え、ゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、比較用の消泡剤(H6)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。
【0201】
本発明の消泡剤(H6)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、0.3μmと20μmにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の95%であった。
【0202】
<比較例7>
消泡剤(H2)400部に水(e1)600部を加え、ゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、本発明の消泡剤(H7)(o/w型エマルション)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。
【0203】
本発明の消泡剤(H7)中の分散粒子は、体積基準による粒子径分布において、0.5μmのみにピークを持ち、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の100%であった。
【0204】
実施例及び比較用で得た消泡剤(1)〜(8)及び(H1)〜(H7)について、以下のようにして、消泡性試験及び凝集物発生性の試験を行い、これらの結果を表1に示した。
【0205】
(1)消泡性試験液の調製
某製紙工場のL材クラフトパルプ製造工程(平均パルプ生産量1000t/日)で発生した黒液(濃度8%)に、水道水を加えて濃度5%に調整し、消泡性試験液を調整した。
【0206】
(2)消泡性試験
消泡性試験装置(図1)のガラス製透明容器(10、高さ25cm、直径8cm)に80℃に温度調整した消泡性試験液500mlを入れた後、ポンプ (20)でガラス製透明容器の底部(12)から試験液を1300ml/分で循環しながら、ガラス製透明容器の上部{試験液出口(40)の高さはガラス製容器の開口部(11)から2cm}から落下させることにより試験液を発泡させ、泡高さが10cmに達したとき、消泡剤(実施例1〜8及び比較例1〜7)25μl(50ppm)を添加し、最も泡面の高さが低下した泡面の高さ(mm)(初期破泡性)及び5分後の泡面の高さ(消泡持続性)を目盛り(30)読み取った。泡面の高さが小さいほど消泡性が良好である。
【0207】
(3)消泡性自身の凝集物発生性
消泡性試験を行った直後の消泡性試験液をステンレス製金網(JIS Z8801−1:2006、公称目開き45μm)でろ過して調整した試験液500gを1000mlのステンレスビーカーに入れ、80℃に加熱保持し、消泡剤(実施例1〜8及び比較例1〜7)5gを添加した後、30分間80℃に保持しながら均一攪拌した後、再び、新たなステンレス製金網でろ過し、残った残渣を105℃×1時間乾燥して、重量(w1)を測定し、次式により残渣率を求め、この残渣率を凝集物発生量とした。なお、残渣率が少ないほど凝集物発生性が低いといえる。
【0208】

残渣率(重量%)=(w1)×100/(添加した消泡剤量(5g))
【0209】
【表1】



【0210】
本発明の消泡剤(実施例1〜8)を用いると、最低泡高さ及び5分後の泡高さは低く、優れた消泡性を示した。また残渣率も少なく、凝集物発生性が低かった。これに対して、比較例1〜7の消泡剤では5分後の泡高さは、すべて100mm以上であり、消泡不良であった。
【符号の説明】
【0211】
10 ガラス製透明容器
11 ガラス製透明容器の開口部
12 ガラス製透明容器の底部
20 ポンプ
30 目盛り
40 試験液出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸アミド(A)及び25℃で液体である基油(B)を含有してなり、
体積基準による粒子径分布において、1×10−2〜1μmの領域と、2〜1×10μmの領域とにそれぞれ少なくとも1つのピークを有することを特徴とするクラフトパルプ製造工程用消泡剤。
【請求項2】
体積基準による粒子径分布において、1μm以下の領域の面積が粒子径分布全体の合計面積の1〜90%である請求項1に記載の消泡剤。
【請求項3】
さらに疎水性シリカ(C)を含有してなる請求項1又は2に記載の消泡剤。
【請求項4】
さらに界面活性剤(D)を含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載の消泡剤。
【請求項5】
蒸解工程、洗浄工程、漂白工程、黒液濃縮ソーダ回収工程及び/又は排水処理工程において、請求項1〜4のいずれかに記載されたクラフトパルプ製造工程用消泡剤を添加してクラフトパルプを製造することを特徴とするクラフトパルプの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載されたクラフトパルプ製造工程用消泡剤を製造する方法であって、
1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(1S)を製造し、一方で、2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(1L)を製造し、分散体(1S)と分散体(1L)とを混合する方法(100);
1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(2S)を製造し、引き続き、分散体(2S)中で2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(2L)を製造する方法(200);
2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(3L)を製造し、引き続き、分散体(3L)中で1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(3S)を製造する方法(300);
1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(4S)を製造し、1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(4S)の一部を取り出し、一方を加熱処理することにより2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(4L)にして、この分散体(4L)と分散体(4S)とを混合する方法(400);
2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(5L)を製造し、2〜1×10μmの領域にピークを有する分散体(5L)の一部を取り出し、一方を1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(5S)にして、分散体(5S)と分散体(5L)とを混合する方法(500);又は
1×10−2〜1μmの領域にピークを有する分散体(6S)を製造し、これと、2〜1×10μmの領域にピークを有する粉体(P6L)とを混合する方法(600)
を含むことを特徴とするクラフトパルプ製造工程用消泡剤の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−31543(P2012−31543A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173236(P2010−173236)
【出願日】平成22年8月1日(2010.8.1)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】