説明

クランプ固定構造及びクランプ固定方法

【課題】クランプやテープ(帯状部材)の材質に関わらず、クランプをワイヤハーネスに強固に固定することが可能なクランプ固定構造及びクランプ固定方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るクランプ固定構造は、一又は複数本の電線からなるワイヤハーネス10に装着される本体部110と、本体部110と連なり、ワイヤハーネス10に取り付けられる取付部120とを備えるクランプ100を、テープ50によってワイヤハーネス10に固定する構造である。取付部120は、ワイヤハーネス10に接触する接触面121と、接触面121の裏面側に位置する外表面122とを有する。外表面122には、テープ50が引っ掛かる突部122A(引掛部)が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプを所定のテープ(帯状部材)によってワイヤハーネスに固定するクランプ固定構造及びクランプ固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車などの車体の外周部(例えば、車体床下などの外部露出部位)に、一又は複数本の電線からなるワイヤハーネスを配索する場合、クランプが用いられる。このクランプは、ワイヤハーネスに装着される本体部と、本体部と連なり且つワイヤハーネスに取り付けられる取付部とを備えている。
【0003】
このようなクランプ(取付部)を所定のテープ(帯状部材)によってワイヤハーネスに固定し、その後、車体の外周部にクランプに取り付けることによって、車体の外周部にワイヤハーネスが配索される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−364779号公報(第2〜第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、クランプがオレフィン系樹脂等によって形成されている場合やテープの粘着力が弱い場合、テープとクランプ(取付部)との接着力が弱いため、クランプをワイヤハーネスに強固に固定することが難しかった。従って、クランプやテープの材質に関わらず、クランプをワイヤハーネスに強固に固定する技術が求められているのが現状である。
【0006】
そこで、本発明は、クランプやテープ(帯状部材)の材質に関わらず、クランプをワイヤハーネスに強固に固定することが可能なクランプ固定構造及びクランプ固定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、一又は複数本の電線からなるワイヤハーネス(ワイヤハーネス10)に装着される本体部(本体部110)と、前記本体部と連なり、前記ワイヤハーネスに取り付けられる取付部(取付部120)とを備えるクランプ(クランプ100)を、所定の帯状部材(テープ50)によって前記ワイヤハーネスに固定するクランプ固定構造であって、前記取付部は、前記ワイヤハーネスに接触する接触面(接触面121)と、前記接触面の裏面側に位置する外表面(外表面122)とを有し、前記外表面には、前記帯状部材が引っ掛かる引掛部(例えば、突部122A)が形成されることを要旨とする。
【0008】
かかる特徴によれば、外表面には、帯状部材が引っ掛かる引掛部が形成される。これにより、外表面が平坦である場合と比較して、引掛部から帯状部材がすれることなく、クランプをワイヤハーネスに強固に固定することが可能となる。特に、クランプがオレフィン系樹脂等によって形成されている場合や帯状部材の粘着力が弱い場合に有効となり、該クランプや帯状部材の材質に関わらず、クランプをワイヤハーネスに強固に固定することが可能となる。
【0009】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記引掛部は、前記外表面から外方に向かって突出する突部(突部122A)によって構成されることを要旨とする。
【0010】
かかる特徴によれば、引掛部が突部によって構成されることによって、帯状部材が突部に引っ掛かり易くなり、突部から帯状部材がすれることを確実に防止できる。
【0011】
本発明の第3の特徴は、本発明の第2の特徴に係り、前記突部は、前記外表面から外方に向かって先細状に形成されることを要旨とする。
【0012】
かかる特徴によれば、突部が外表面から外方に向かって先細状に形成されることによって、帯状部材が突部にさらに引っ掛かり易くなり、突部から帯状部材がすれることを確実に防止できる。
【0013】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1乃至第3の特徴に係り、前記接触面には、前記接触面から外方に向かって突出するリブ(リブ121A)が形成されることを要旨とする。
【0014】
かかる特徴によれば、接触面にリブが形成されることによって、リブがワイヤハーネスに噛み込むため、ワイヤハーネスからクランプがすれることを防止できる。このため、クランプをワイヤハーネスにより強固に固定することが可能となる。
【0015】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至第4の特徴に係り、取付部の先端縁には、取付部から外方に向けて屈曲する屈曲リブ(屈曲リブ120A)が形成されることを要旨とする。
【0016】
かかる特徴によれば、取付部の先端縁に屈曲リブが形成されることによって、取付部上(外表面上)でテープがワイヤハーネスの長手方向に対してすれることを防止できる。このため、クランプをワイヤハーネスにより強固に固定することが可能となる。
【0017】
本発明の第6の特徴は、一又は複数本の電線からなるワイヤハーネスに装着される本体部と、前記本体部と連なり、前記電線に取り付けられる取付部とを備えるクランプを、所定の帯状部材によって前記ワイヤハーネスに固定するクランプ固定方法であって、前記本体部をワイヤハーネスに装着した状態で、前記取付部の接触面を前記ワイヤハーネスの外周に接触させるステップA(クランプ取付工程)と、前記取付部の外表面に設けられた突部に前記帯状部材を引っ掛け、前記ワイヤハーネスと前記取付部とに前記帯状部材を巻き付けるにより、前記ワイヤハーネスの外周に前記取付部を固定するステップB(テープ巻付工程)とを含むことを要旨とする。
【0018】
本発明の第7の特徴は、本発明の第6の特徴に係り、前記ステップAの前に、前記ワイヤハーネスの外周に前記帯状部材を巻き付けるステップC(ハーネステープ巻付工程)をさらに含み、前記ステップBでは、前記突部に前記帯状部材を引っ掛け、前記帯状部材を巻き付けられた前記ワイヤハーネスの外周に前記取付部を固定することを要旨とする。
【0019】
本発明の第8の特徴は、本発明の第6又は第7の特徴に係り、前記ステップBでは、前記突部に前記帯状部材の先端部を引っ掛けることを要旨とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の特徴によれば、クランプやテープ(帯状部材)の材質に関わらず、クランプをワイヤハーネスに強固に固定することが可能なクランプ固定構造及びクランプ固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本実施形態に係るクランプを介してワイヤハーネスが配索される車体1を示す模式図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るクランプ固定構造を示す斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るクランプ100を示す分解斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るクランプ100の取付部120を示す拡大斜視図である。
【図5】図5は、図2のA−A断面図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るクランプ100及びワイヤハーネス10を示す拡大斜視図である(その1)。
【図7】図7は、本実施形態に係るクランプ100及びワイヤハーネス10を示す拡大斜視図である(その2)。
【図8】図8は、変更例1に係るクランプ100Aの取付部120を示す拡大斜視図である。
【図9】図9は、変更例2に係るクランプ100Bの取付部120を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係るクランプ固定構造及びクランプ固定方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)車体1の概略構成、(2)クランプ固定構造の説明、(3)クランプ固定方法の説明、(4)作用・効果、(5)変更例、(6)その他の実施形態について説明する。
【0023】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0024】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0025】
(1)車体1の概略構成
まず、本実施形態に係るクランプ100を介してワイヤハーネス10が配索される車体1の概略構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るクランプを介してワイヤハーネスが配索される車体1を示す模式図である。なお、本実施形態では、車体1として、ハイブリッド自動車であるものとして説明するが、これに限定されるものではなく、電気自動車などの他の自動車であってもよい。
【0026】
図1に示すように、車体1は、エンジン2及びモータユニット3の二つの動力をミックスして駆動するものである。モータユニット3には、インバータユニット4を介してバッテリー5(電池パック)からの電力が供給される。
【0027】
本実施形態では、エンジン2、モータユニット3及びインバータユニット4は、前輪等が位置するエンジンルーム6に搭載されている。また、バッテリー5は、後輪等が位置する自動車後部7に搭載されている。なお、バッテリー5は、エンジンルーム6の後方に存在する自動車室内に搭載されもよい。
【0028】
モータユニット3及びインバータユニット4は、公知の高圧ワイヤハーネス8により接続されている。また、インバータユニット4及びバッテリー5は、公知のワイヤハーネス10により接続されている。
【0029】
このワイヤハーネス10は、高圧用のものとして構成され、一又は複数本の電線が管体(例えば、外周面に凹凸を有する樹脂製のコルゲートチューブ)で覆われることによって形成されている。ワイヤハーネス10は、この中間部10Mが車体床下11の地面側において、後述するクランプ100を介して配索される。車体床下11は、公知のボディであるとともに所謂パネル部材であって、車体床下11には、クランプ100を取り付け可能な筒状の取付部材11A(図2参照)が設けられている。
【0030】
ワイヤハーネス10及びバッテリー5は、該バッテリー5に設けられるジャンクションブロック12を介して接続されている。ジャンクションブロック12には、ワイヤハーネス10の後端10Rがコネクタ接続されている。ワイヤハーネス10の後端10R側は、車体1の室内側となる床上に配索されている。該床上には、ワイヤハーネス10の前端10F側も配索されている。ワイヤハーネス10の前端10F側は、インバータユニット4にコネクタ接続されている。
【0031】
ここで、本実施形態での補足説明をすると、モータユニット3は、モータ及びジェネレータを構成に含む。また、インバータユニット4は、インバータ及びコンバータを構成に含む。モータユニット3及びインバータユニット4は、シールドケースを含むモータアッセンブリとして形成される。また、バッテリー5は、Ni−MH系やLi−ion系のものであって、モジュール化してなる。なお、バッテリー5は、例えば、キャパシタのような蓄電装置を使用することも可能である。バッテリー5は、ハイブリッド自動車である車体1や電気自動車に使用可能であれば特に限定されるものではない。
【0032】
(2)クランプ固定構造の説明
次に、本実施形態に係るクランプ固定構造について、図2〜図5を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係るクランプ固定構造を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係るクランプ100を示す分解斜視図である。図4は、本実施形態に係るクランプ100の取付部120を示す拡大斜視図である。図5は、図2のA−A断面図である。
【0033】
図2に示すように、クランプ固定構造は、クランプ100をテープ50(所定の帯状部材)によってワイヤハーネス10に固定する構造である。
【0034】
クランプ100は、ワイヤハーネス10を車体床下11(取付部材11A)に取り付ける際に用いられる。クランプ100は、合成樹脂等の一体成形によって形成される。このクランプ100は、図3〜図5に示すように、ワイヤハーネス10に装着される本体部110と、ワイヤハーネス10に取り付けられる取付部120とを備えている。
【0035】
本体部110は、ワイヤハーネス10を覆う環状部分111と、車体床下11(取付部材11A)に固定される固定部分112とを有している。
【0036】
環状部分111は、ワイヤハーネス10の外周に沿った環状をなしている。この環状部分111は、半円状の上側部材111Aと、上側部材111Aが嵌合する半円状の下側部材111Bとによって形成される。このような環状部分111(下側部材111B)は、固定部分112と一体に形成されている。
【0037】
固定部分112は、略箱状をなしている。この固定部分112には、車体床下11に設けられる取付部材11Aの突起11B(図2参照)が挿通可能な孔部112Aが形成されている。このような本体部110(環状部分111)には、取付部120が連なっている。
【0038】
取付部120は、板状をなしている。また、取付部120は、環状部分111における上方及び下方のそれぞれに一対設けられている。すなわち、取付部120は、上側部材111Aに2つ設けられ、下側部材111Bにも2つ設けられる。
【0039】
取付部120における先端縁(前記ワイヤハーネスの長手方向先端縁)には、取付部120から外方に向けて屈曲する屈曲リブ120Aが形成されている。また、取付部120が本体部110に連結する部分には、該部分から外方に向けて突出する壁面120Bが形成されている。
【0040】
このような取付部120は、図4に示すように、ワイヤハーネス10に接触する接触面121と、接触面121の裏面側に位置する外表面122とを有している。
【0041】
接触面121には、図5に示すように、接触面121から外方(ワイヤハーネス10側)に向かって突出するリブ121Aが複数形成される。このリブ121Aは、矩形状をなしている(図3参照)。このような接触面121の裏面側には、外表面122が設けられる。
【0042】
外表面122には、図4及び図5に示すように、テープ50が引っ掛かる引掛部が形成されている。本実施形態では、引掛部は、外表面122から外方(ワイヤハーネス10の反対側)に向かって突出する突部122Aによって構成されている。
【0043】
この突部122Aは、外表面122から外方に向かって先細状に形成される。また、突部122Aは、外表面122の平面視において、ワイヤハーネス10の長手方向及び該長手方向に直交する方向に沿って配置されている。
【0044】
なお、突部122Aは、外表面122の平面視において、必ずしもワイヤハーネス10の長手方向及び該長手方向に直交する方向に沿って配置される必要はなく、格子状に配置されていてもよい。
【0045】
このような取付部120(外表面122)に、上述したテープ50(図2参照)が巻きつけられることによって、取付部120がワイヤハーネス10の外周に固定される。なお、テープ50は、水(例えば、水分の噴射・滴下等や水中への浸漬)、又は、光(例えば、可視光や専用の照明)で硬化する材料によって形成される。例えば、テープ50は、水硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物によって形成される。具体的には、テープ50の表面材としては、水硬化性ウレタン樹脂などが挙げられる。また、テープ50の裏面材としては、ガラスウール、ガラスクロス、ポリエステルクロス、不織布などが挙げられる。
【0046】
(3)クランプ固定方法の説明
次に、上述したクランプ100をテープ50によってワイヤハーネス10に固定するクランプ固定方法について、図2、図6及び図7を参照しながら説明する。図6及び図7は、本実施形態に係るクランプ100及びワイヤハーネス10を示す拡大斜視図である。
【0047】
図2に示すように、クランプ固定方法は、クランプ取付工程(ステップA)と、テープ巻付工程(ステップB)とを少なくとも含む。
【0048】
まず、クランプ取付工程では、本体部110をワイヤハーネス10に装着した状態で、取付部120の接触面121をワイヤハーネス10の外周に接触させる。
【0049】
次に、テープ巻付工程では、取付部120の外表面122に設けられた突部122Aにテープ50を引っ掛け、ワイヤハーネス10及び取付部120にテープ50を巻き付けることにより、ワイヤハーネス10の外周に取付部120を固定する。なお、テープ巻付工程では、図6に示すように、突部122Aにテープ50の先端部を引っ掛けることによって、巻き始めの仮固定をすることも可能である。
【0050】
ここで、クランプ固定方法では、クランプ取付工程の前に、ハーネステープ巻付工程(ステップC)を行ってもよい。このハーネステープ巻付工程では、図7に示すように、ワイヤハーネスの外周に予めテープ50を巻き付ける。その後、クランプ取付工程では、突部122Aにテープ50以外のテープ60を引っ掛け、テープ50を巻き付けられたワイヤハーネス10の外周に取付部120を固定してもよい。なお、テープ60は、テープ50と同じ材質のテープであってもよく、テープ50と異なる材質のテープであってもよい。
【0051】
このようなクランプ固定方法によって、ワイヤハーネス10の外周にクランプ100(取付部120)が固定された後、例えば、自動車メーカー等に搬送され、クランプ100を介して車体床下11に固定されることとなる。
【0052】
(4)作用・効果
以上説明した本実施形態では、外表面122には、テープ50が引っ掛かる突部122A(引掛部)が形成される。これにより、外表面122が平坦である場合と比較して、突部122Aからテープ50がすれることなく、クランプ100をワイヤハーネス10に強固に固定することが可能となる。特に、クランプ100がオレフィン系樹脂等によって形成されている場合やテープ50の粘着力が弱い場合に有効となり、該クランプ100やテープ50の材質に関わらず、クランプ100をワイヤハーネス10に強固に固定することが可能となる。
【0053】
本実施形態では、引掛部が突部122Aによって構成されることや、突部122Aが外表面122から外方に向かって先細状に形成されることによって、テープ50が突部122Aに引っ掛かり易くなり、突部122Aからテープ50がすれることを確実に防止できる。
【0054】
本実施形態では、接触面121にリブ121Aが形成されることによって、リブ121Aがワイヤハーネス10(管体)に噛み込むため、ワイヤハーネス10からクランプ100がすれることを防止できる。このため、クランプ100をワイヤハーネス10により強固に固定することが可能となる。
【0055】
本実施形態では、取付部120の先端縁に屈曲リブ120Aが形成されることや、取付部120が本体部110に連結する部分に壁面120Bが形成されることによって、取付部120上(外表面122上)でテープ50がワイヤハーネス10の長手方向に対してすれることを防止できる。このため、クランプ100をワイヤハーネス10により強固に固定することが可能となる。
【0056】
本実施形態では、テープ50は、水又は光で硬化する材料によって形成されることによって、テープ50が硬化しない材料によって形成される場合と比較して、クランプ100をワイヤハーネス10により強固に固定することができる。
【0057】
本実施形態では、テープ巻付工程において、突部122Aにテープ50の先端部を引っ掛けることによって、巻き始めの仮固定をすることも可能であるため、巻き付け作業などを容易に行うことができる。
【0058】
本実施形態では、クランプ取付工程の前にハーネステープ巻付工程が行われてもよい。この場合、テープ50の硬化作用によりワイヤハーネス10を予め任意の形状に保持した状態で、クランプ100をワイヤハーネス10に取り付けることができる。
【0059】
(5)変更例
次に、上述した実施形態に係るクランプ100の変更例について、図面を参照しながら説明する。なお、上述した実施形態に係るクランプ100と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0060】
(5−1)変更例1
まず、変更例1に係るクランプ100Aの構成について、図面を参照しながら説明する。図8は、変更例1に係るクランプ100Aの取付部120を示す拡大斜視図である。
【0061】
上述した実施形態では、クランプ100の外表面122に設けられた突部122Aは、外表面122から外方に向かって先細状に形成される。これに対して、変更例1では、図8に示すように、突部122Aは、半円球状(シボ状)に形成されている。
【0062】
このような変更例1においても、上述した実施形態と同様に、クランプ100Aやテープ50の材質に関わらず、クランプ100Aをワイヤハーネス10に強固に固定することが可能となる。
【0063】
(5−2)変更例2
次に、変更例2に係るクランプ100Bの構成について、図面を参照しながら説明する。図9は、変更例2に係るクランプ100Bの取付部120を示す拡大斜視図である。
【0064】
上述した実施形態では、クランプ100の外表面122に設けられた突部122Aは、外表面122から外方に向かって先細状に形成される。これに対して、変更例2では、図9に示すように、突部122Aは、取付部120の側面視においてノコギリ状(段差形状)に形成されている。この突部122Aの先端は、鋭利(鋭角状)に形成されることが好ましい。
【0065】
このような変更例2においても、上述した実施形態や変更例1と同様に、クランプ100Bやテープ50の材質に関わらず、クランプ100Bをワイヤハーネス10に強固に固定することが可能となる。
【0066】
(6)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0067】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、クランプ100は、ワイヤハーネス10を車体床下11に配索される際に用いられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、ワイヤハーネス10を車体床下11以外に配索する際に用いられてもよい。
【0068】
また、取付部120は、板状をなしているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、取付部120がワイヤハーネス10の外周形状に合わせて湾曲状に形成されていてもよく、また、接触面121のみがワイヤハーネス10の外周形状に合わせて湾曲状に形成されていてもよく、さらに、接触面121及び外表面122がワイヤハーネス10の外周形状に合わせて湾曲状に形成されていてもよい。これにより、取付部120がワイヤハーネス10に強固に固定され易くなる。
【0069】
また、引掛部は、外表面122から外方に向かって突出する突部122Aによって構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、テープ50(帯状部材)が引っ掛かるものであればよく、例えば、外表面122からへこむ凹部や、テープ50との間で抵抗を発生させる部材(例えば、ゴム)などによって構成されていてもよい。
【0070】
また、突部122Aの形状については、上述した実施形態や変更例で説明した形状に限定されるものではなく、その他の形状(例えば、断面台形状)であってもよく、テープ50,60が引っ掛かることが可能な形状であればよいことは勿論である。同様に、リブ121Aの形状についても、ワイヤハーネス10に噛み込む形状であればよい。
【0071】
また、リブ121Aは、矩形状をなしているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、円筒状や、突部122Aのように外方に向かって先細状に形成される形状(円錐状、三角錐状、四角錐状)に形成されていてもよく、また、半円球状(シボ状)やノコギリ状(段差形状)に形成されていてもよい。
【0072】
また、クランプ固定方法については、必ずしも製造現場で行われる必要はなく、例えば、自動車メーカーで行われてもよい。これにより、自動車の形状や大きさなど様々なサイズの自動車に合わせて、テープ50の硬化性質を用いてワイヤハーネス10(管体)を所望の形状に成形することもできる。
【0073】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0074】
10…ワイヤハーネス
50,60…テープ(帯状部材)
100,100A,100B…クランプ
110…本体部
120…取付部
120A…屈曲リブ
121…接触面
121A…リブ
122…外表面
122A…突部(引掛部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数本の電線からなるワイヤハーネスに装着される本体部と、前記本体部と連なり、前記ワイヤハーネスに取り付けられる取付部とを備えるクランプを、所定の帯状部材によって前記ワイヤハーネスに固定するクランプ固定構造であって、
前記取付部は、
前記ワイヤハーネスに接触する接触面と、
前記接触面の裏面側に位置する外表面と
を有し、
前記外表面には、前記帯状部材が引っ掛かる引掛部が形成されることを特徴とするクランプ固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載のクランプ固定構造であって、
前記引掛部は、前記外表面から外方に向かって突出する突部によって構成されることを特徴とするクランプ固定構造。
【請求項3】
請求項2に記載のクランプ固定構造であって、
前記突部は、前記外表面から外方に向かって先細状に形成されることを特徴とするクランプ固定構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のクランプ固定構造であって、
前記接触面には、前記接触面から外方に向かって突出するリブが形成されることを特徴とするクランプ固定構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のクランプ固定構造であって、
前記取付部の先端縁には、該取付部から外方に向けて屈曲する屈曲リブが形成されることを特徴とするクランプ固定構造。
【請求項6】
一又は複数本の電線からなるワイヤハーネスに装着される本体部と、前記本体部と連なり、前記電線に取り付けられる取付部とを備えるクランプを、所定の帯状部材によって前記ワイヤハーネスに固定するクランプ固定方法であって、
前記本体部をワイヤハーネスに装着した状態で、前記取付部の接触面を前記ワイヤハーネスの外周に接触させるステップAと、
前記取付部の外表面に設けられた突部に前記帯状部材を引っ掛け、前記ワイヤハーネスと前記取付部とに前記帯状部材を巻き付けるにより、前記ワイヤハーネスの外周に前記取付部を固定するステップBと
を含むことを特徴とするクランプ固定方法。
【請求項7】
請求項6に記載のクランプ固定方法であって、
前記ステップAの前に、前記ワイヤハーネスの外周に前記帯状部材を巻き付けるステップCをさらに含み、
前記ステップBでは、前記突部に前記帯状部材を引っ掛け、前記帯状部材を巻き付けられた前記ワイヤハーネスの外周に前記取付部を固定することを特徴とするクランプ固定方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のクランプ固定方法であって、
前記ステップBでは、前記突部に前記帯状部材の先端部を引っ掛けることを特徴とするクランプ固定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−217289(P2012−217289A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81711(P2011−81711)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】