説明

クランプ

【課題】サニタリー配管と隣接するサニタリー配管とがヘルール間のガスケットを介在してクランプで締め付ける際、ガスケットが円周上で均等に締め付けられているかどうかを、現物で目視確認できるようにするクランプを提供する。
【解決手段】ガスケット6をヘルール2F,3Fで挟み、クランプ1で締め付けて組み立てられるサニタリー配管用クランプユニオン継手において、円弧形状のクランプバンド11,12,13の円弧部外周上に、覗き窓11H,12H,13Hをそれぞれ設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等のサニタリー配管の継手として使用するクランプユニオン継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管用継手のクランプは、クランプ作業にミスが生じにくいようにした種々のクランプが提案されてきた。(特許文献1及び2参照)
【0003】
特許文献1は、押さえリング(6)(特許文献1の図中の記号で、本段落においては括弧書きで表示する。)には、その端部に押さえリング(6)の周壁に沿って複数の覗き穴(8)が穿設されていて、該覗き穴(8)はプラスチック管(9)をインナーコア部(3)の外周表面に沿って所定の位置に摺動させる際に、インナーコア部(3)の外周表面によって強制的に拡大されたプラスチック管(9)を保持すると共に、接続作業を終了した時点で、完全施工ができたか否かを目視観察する穴として機能させるとしている。
【0004】
また、特許文献2は、継手本体1(特許文献2の図中の記号で、本段落においては括弧書きで表示する。)には貫通穴(15)が設けられていて、接続管(5)の挿入が確実に行われたかどうかを、貫通穴(15)に装着したチェックピン(4)の突出により確認するとしている。
【特許文献1】特許第3650209号公報(図1、図2)
【特許文献2】実開平5−42877号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、このような覗き穴では、工具でプラスチック管を装着時に、覗き穴の内部を覗けず、単に装着後の装着状態を覗くというだけであり、また、完全施工ができたか否かの確認としては確実な方法ではない。特許文献2のような構成では、チェックピンという部品が余分に必要であり、コスト高になると共にチェックピンを装着するという手間がかかる。さらに、チェックピンの突出での確認は「多分大丈夫であろう」という極めて不確実な方法である。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みて提案されたもので、ガスケットをヘルールで挟み、クランプで締め付けて組み立てられるサニタリー配管用クランプユニオン継手において、サニタリー配管と隣接するサニタリー配管とがヘルール間のガスケットを介在してクランプで締め付ける際、ガスケットが円周上で均等に締め付けられているかどうかを、また、ガスケットを必要以上に締め付け過ぎていないかどうかを現物で目視確認できるようにするクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点に対し、本発明は以下の手段により課題の解決を図る。
(1)第1の手段のクランプは、ガスケットをヘルールで挟み、クランプで締め付けて組み立てられるサニタリー配管用クランプユニオン継手において、サニタリー配管と隣接するサニタリー配管とがヘルール間のガスケットを介在してクランプで締め付けられる際、ガスケットがヘルールの溝に確実に嵌っていて、しかも、ガスケットが円周上均等に締め付けられているかどうかを、また、ガスケットを必要以上に締め付けすぎていないかどうかを現物で目視確認できるように、円弧状のクランプバンドの円弧部外周上の1箇所または複数箇所に覗き穴を設けたことを特徴とする。
【0008】
(2)第2の手段のクランプは、上記第1の手段のクランプにおいて、前記クランプバンドが2個以上に分割されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項に係わる本発明は、上記手段のクランプユニオン継手用クランプであり、円弧状のクランプバンドの円弧部外周上の1箇所または複数箇所に覗き穴を設けてあるので、ガスケットを介してサニタリー配管のヘルールと隣接するサニタリー配管のヘルールとをクランプで締め付ける際、ガスケットがヘルール溝に確実に嵌っていて、しかも、ガスケットが円周上を均等に締め付けられているかどうかを、また、ガスケットを必要以上に締め付け過ぎていないかどうかを現物で目視確認しつつ締め付け作業ができるので、効率的に、かつ、適正に作業を行えるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のクランプを、図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係わるクランプユニオン継手の実施の形態を図1〜図3に示す。本実施の形態は食品工場に於ける飲料用サニタリー配管に応用したものである。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1はサニタリー配管のクランプユニオン継手を一部断面図で示している。図2はサニタリー配管のヘルール継手、ガスケットおよびクランプを斜視図で分りやすく示している。
【0012】
同図に示すように、サニタリー配管2およびサニタリー配管3は、継手部のヘルール2Fおよびヘルール3Fがガスケット6を介して、クランプ1で締め付けられるようになっている。
【0013】
クランプ1は、図2に示すように、クランプバンド11,12,13が、11と12はピン14を介して、12と13はピン15を介して回動できるようになっている。クランプバンド11はピン14と反対側に挟持部16が、クランプバンド13はピン15と反対側に軸支部17が構成されていて、先端に螺子部を持つ軸体19が軸支部17に取り付けられているピン18を支点にして回動し、締め付けナット20により挟持部16と係合してクランプとしての締め付けができるようになっている。
【0014】
ガスケット6は、ヘルール2Fおよびヘルール3Fの継ぎ部に挟まれ、該ガスケット6の円弧状突起がヘルール2Fおよびヘルール3Fの円弧状溝22および32に嵌合されて、ヘルール2Fおよびヘルール3Fの締め付け用傾斜部21および31がクランプバンド11,12,13の対応する傾斜部で締め付けられるようになっている。
【0015】
クランプバンド11,12,13には円弧部外周上に、それぞれ覗き穴11H,12H,13Hが設けられている。覗き穴は各クランプバンド11,12,13にそれぞれ1箇所を設けた例を示したが、2箇所以上を設けてもよく、使用目的に適した覗き穴個数とすればよい。
【0016】
(第2の実施の形態)
図3のクランプ110は第2の実施の形態で、クランプバンド111および112からなり、それぞれ両端に挟持部111Rおよび112Rが構成されていて、該挟持部を締結ボルト118とナット119で締め付けることによりクランプとしての締め付けができるようになっているものである。
【0017】
図3のクランプバンド111および112には円弧部外周上に、それぞれ覗き穴111Hおよび112Hが設けられている。この覗き穴はクランプバンド111および112にそれぞれ1箇所を設けた例を示したが、それぞれに2箇所以上設けてもよい。また、覗き穴をクランプバンド111にのみ設けて、クランプバンド112に設けないとしてもよく、使用目的に適した覗き穴個数とすればよい。
前記構成のサニタリー配管用クランプユニオン継手は、次のようにして使用される。先ず、図1および図2に示した第1の実施の形態で説明する。
【0018】
クランプユニオン継手は、サニタリー配管2および3のヘルール2Fおよび3Fの継ぎ部内側にガスケット6を、その円弧状突起部がヘルール2Fおよび3Fの該当する円弧状溝22および32に適合するように嵌め合わせた上、クランプバンド11,12,13をヘルール2Fおよびヘルール3Fの円弧状外周部に嵌め合わせて、軸体19が挟持部16に係合するように締め付けナット20で締めていく。
【0019】
この際、覗き穴11H,12H,13Hを覗きながら、ガスケット6が確実に円弧状溝22および32に嵌め合わされていることを、また、ガスケット6が円周上で均等に締め付けられていることを確認しつつ、しかも締め付け過ぎないことを確認しながら締め付け作業をしていく。
【0020】
図3に示した第2の実施の形態も同様に、クランプバンド111および112の覗き穴111Hおよび112Hを覗きながら、ガスケット6が確実に溝部に嵌め合わされていることを、また、ガスケット6が円周上で均等に締め付けられていることを確認しつつ、しかも締め付け過ぎないことを確認しつつ、締結ボルト118およびナット119でしめていく。
【0021】
以上、各実施の形態に基づいて具体的に説明したように、本発明のクランプユニオン継手は、ガスケットをヘルールで挟み、クランプで締め付ける際、クランプバンドの覗き穴からガスケットの締め付け具合を覗きながら作業ができるので、ガスケットとヘルールとの不適正な嵌め合わせによる飲料等の漏れを防止できるとともに、ガスケットが締め付けられ過ぎて、図1に示すD部からはみ出して、状況によっては千切れてしまい、飲料の異物となってしまうという不具合を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わるサニタリー配管のクランプユニオン継手の一部断面図である。
【図2】本発明に係わるサニタリー配管のヘルール継手、ガスケットおよびクランプの斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係わるサニタリー配管のクランプユニオン継手の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1,110…クランプ、
2F,3F…ヘルール、
6…ガスケット、
11,12,13,11,112…クランプバンド、
11H,12H,13H,111H,112H…覗き穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスケットをヘルールで挟み、クランプで締め付けて組み立てられるサニタリー配管用クランプユニオン継手において、円弧形状のクランプバンドの円弧部外周上の1箇所又は複数箇所に覗き窓を設けたことを特徴とするクランプ。
【請求項2】
請求項1のクランプにおいて、前記クランプバンドが2個以上に分割されていることを特徴とするクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−115167(P2009−115167A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287643(P2007−287643)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】