説明

クランプ

【課題】被取付部材に予め配設され動かすことの困難な長尺物であっても、その状態で長尺物を保持して被取付部材の取付孔に固定できるようにしたクランプを提供する。
【解決手段】このクランプ10は、略U字状に屈曲され、屈曲部内周が長尺物5の保持部30をなし、両端部が被取付部材1の取付孔3への係止脚部50をなす本体20と、長尺物5が保持部30に配置されたとき、該長尺物5の係止脚部側の両側を押さえるように、保持部30から出没可能に突出された弾性保持片41と、被取付部材1の取付孔3に挿入されたとき、該取付孔3の裏面側に係合するように、係止脚部50から出没可能に突出された弾性係合片57と、被取付部材1の取付孔3に挿入されたとき、該取付孔3の表面側に係合するように、係止脚部50から突設された係合部59とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車等の所定箇所に配置されるパイプ、チューブ、ホース等の長尺物を保持固定するためのクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の内部や外部には、燃料系や冷却系等で用いられるパイプ、チューブ、ホースや、電装部品で用いられるケーブルやワイヤハーネスなどの、線状、管状又は棒状をなす複数の長尺物が配置されている。
【0003】
これらの長尺物がスペースに制限のある車内で乱雑に配置されると、他部材に干渉したり破損したりする虞れがある。そのため、クランプを用いて長尺物を車両の所定位置に保持させるようにしている。
【0004】
従来のこの種のクランプとして、下記特許文献1には、径方向に弾性を有し且つホースを支持する支持部と、車体に係止する車体側係止部を備えたクランプが開示されている。前記支持部は、周方向所定箇所に開口を有する断面円形状をなしており、同支持部の開口端部から前記車体側係止部が延設されている。そして、支持部の内径をわずかに広げて、その内部にホースを挿通させた後、車体側係止部を、車体の取付孔に係合させることにより、車内でホースを保持固定させることができるようになっている。
【0005】
一方、金属板からなり、長尺物を保持するC字状の保持部と、その両端から外方に突出した一対の取付片とから構成された、略Ω状のクランプも用いられている。そして、保持部内に長尺物を挿入保持した後、一対の取付片を車体パネル等の被取付部材に対してネジ止めすることにより、Ω状クランプを介して長尺物が固定されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平4−95186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、燃料系等に用いられる金属パイプ等は、車体等の所定箇所に、予め配管されることが多く、その状態で金属パイプ等をクランプで車体パネル等に保持させなければならないことがある。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のクランプでは、支持部の構造上、支持部内に長尺物をホースを始めに挿通させる必要があるので、上述したような車体に予め配管され、動かすことの困難な金属パイプ等を保持することができない。
【0009】
一方、Ω状クランプでは、保持部両端から外方に突出した一対の取付片を、車体パネル等の被取付部材にネジ止め固定するので、取付片の分だけ取付スペースが必要で、取付スペースが限られている箇所には取付けできない場合がある。また、取付片のネジ止め固定が煩雑で、作業性に問題がある。
【0010】
したがって、本発明の目的は、被取付部材に予め配設され動かすことの困難な長尺物であっても、その状態で長尺物を保持して被取付部材の取付孔に固定できるようにしたクランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、管状、線状又は棒状の長尺物を保持して、被取付部材に設けられた取付孔に固定するためのクランプであって、略U字状に屈曲され、屈曲部内周が前記長尺物の保持部をなし、両端部が前記被取付部材の取付孔への係止脚部をなす本体と、前記長尺物が前記保持部に配置されたとき、該長尺物の前記係止脚部側の両側を押さえるように、前記保持部から出没可能に突出された弾性保持片と、前記被取付部材の取付孔に挿入されたとき、該取付孔の裏面側に係合するように、前記係止脚部から出没可能に突出された弾性係合片と、前記被取付部材の取付孔に挿入されたとき、該取付孔の表面側に係合するように、前記係止脚部から突設された係合部とを有することを特徴とするクランプを提供する。
【0012】
本発明においては、前記本体の前記保持部の係止脚部側には、前記長尺物の外径よりも小さい間隔とされた抜け止め部が設けられていることが好ましい。
【0013】
本発明においては、前記各係止脚部の外側面には、先端に向けて次第に幅狭となるテーパ状のガイド面が形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明においては、前記保持部の弾性保持片よりも奥方の内周には、該保持部に対して出没可能に突出された弾性押え片が設けられていることが好ましい。
【0015】
本発明においては、前記保持部の両側には、前記係止脚部側に位置する第1開口部と、それよりも奥方に位置する第2開口部とが形成されており、両開口部の間の中間リブから前記第1開口部側に向けて舌片状に前記弾性保持片が延設され、同中間リブから前記第2開口部側に向けて舌片状に前記弾性押え片が延設されていることが好ましい。
【0016】
本発明においては、前記保持部の両側には、前記係止脚部側に位置する第1開口部と、それよりも奥方に位置する第2開口部とが形成されており、前記第1開口部の前記係止脚部側の内面から舌片状に前記弾性保持片が延設され、両開口部の間の中間リブから前記第2開口部側に向けて舌片状に前記弾性押え片が延設されていることが好ましい。
【0017】
本発明においては、前記弾性係合片は、前記係止脚部の内方に向けて突出していることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば被取付部材に対して長尺物が予め配設されている場合であっても、クランプの略U字状をなす本体を開いて係止脚部側から長尺物を挿入し、保持部内に導入することができる。そして、本体を開くと、係止脚部が広がって取付け孔に挿入しにくくなるが、長尺物の係止脚部側の両側を押さえる弾性保持片を本体側に引き込ませることにより、係止脚部を閉じることができるため、係止脚部の先端を取付孔に挿入することができる。そして、クランプの係止脚部を取付孔に押し込むと共に、本体の保持部に長尺物を押し込んでいくことにより、弾性保持片が外側に撓みつつ長尺物の最大径部を乗り越えて長尺物の係止脚部側の両側面に係合する。また、係止脚部の弾性係合片が取付孔周縁に圧接されて取付孔内方に撓みつつ取付孔を通過し、取付孔の裏面側周縁に係合する。その結果、長尺物は、U字状をなす本体部の保持部に配置されて弾性保持片によって保持され、係止脚部は、弾性係合片が取付孔の裏面周縁に係合すると共に、係合部が取付孔の表面周縁に係合して固定される。
【0019】
したがって、このクランプによれば、被取付部材に予め配設された長尺物を浮かせたりすることなく、本体を開いて係止脚部側から長尺部を挿入し、係止脚部の先端を取付孔に挿入して押し込むだけでの簡単な作業で、被取付部材に対して長尺物をしっかりと固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のクランプの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同クランプを示しており、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】同クランプの使用状態を示しており、(a)は第1工程における断面説明図、(b)は第2工程における断面説明図である。
【図4】同クランプの使用状態を示しており、(a)は第3工程における断面説明図、(b)は第4工程(取付孔への固定状態)における断面説明図である。
【図5】被取付部材に配置された長尺物が、外力等によって被取付部材側に押し付けられた状態での断面説明図である。
【図6】本発明のクランプの他の実施形態を示す斜視図である。
【図7】同クランプを示しており、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図8】同クランプを取付孔に固定した状態を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1〜6を参照して、本発明のクランプの一実施形態について説明する。
【0022】
図1に示すように、このクランプ10は、自動車の燃料系や冷却系等で用いられるパイプやチューブ、或いは、電装部品等で用いられるケーブルやワイヤハーネスなどの、線状、管状又は棒状をなす長尺物5を保持して、車体パネル等の被取付部材1に設けられた取付孔3に固定するためのもので、略U字状に屈曲された本体20を備えている。
【0023】
略U字状に屈曲された本体20は、その屈曲部内周が前記長尺物5の保持部30をなし、両端部が前記被取付部材1の取付孔3への係止脚部50,50をなしている。
【0024】
図2(a)に示すように、前記保持部30は、係止脚部50側の内周が互いに平行な平行面31,31をなし、それよりも奥方の内周が円弧状面33をなしている。また、前記保持部30の両側には、係止脚部50側に位置する第1開口部35と、それよりも奥方に位置する第2開口部37とがそれぞれ設けられており、両開口部35,37の間には、中間リブ39が形成されている。
【0025】
図1及び図2(b)に示すように、中間リブ39の第1開口部35側の内周から、同第1開口部35に向けて舌片状をなし、外方に撓み可能とされた弾性保持片41が延設されている。各弾性保持片41は、その内周が円弧状に屈曲すると共に(図3(a)参照)、先端部41aが前記平行面31よりも保持部内方に突出している(図2(a)参照)。更に、先端部41a,41aどうしの間隔W1(図2(a)参照)は、前記長尺物5の外径よりも小さくなるように設定されている。したがって、保持部30内に長尺物5が押し込まれると、同長尺物5により先端部41aが押圧されて、弾性保持片41,41が外側に撓み変形し(図3(b)参照)、長尺物5の最大径部が通過すると、内側に弾性復帰して長尺物5の係止脚部側の両側に係合するようになっている(図4(a),(b)参照)。
【0026】
一方、保持部30の弾性保持片41よりも奥方の内周、すなわち、前記中間リブ39の第2開口部37側の内周から、第2開口部37に向けて舌片状をなし、外方に撓み可能とされた弾性押え片43が延設されている(図1,図2(b),図3参照)。この弾性押え片43は、前記保持部30の周方向に沿って伸び、その内周が円弧状に屈曲した形状をなしている(図3(a)参照)。また、弾性押え片43の先端から、保持部30内方に向けて押え突起43aが突設されている。そして、この弾性押え片43は、保持部30内に長尺物5が最大限押し込まれたときに、長尺物5の保持部奥方側の外周に圧接されるようになっている(図4(b)参照)。
【0027】
また、前記保持部30の両側であって、各弾性保持片41よりも係止脚部50側の内周には、前記平行面31よりも保持部内方に突出した抜け止め部45,45がそれぞれ突設されている。両抜け止め部45,45どうしの間隔W2(図2(a)参照)は、前記長尺物5の外径よりも小さくなるように設定されており、保持部30内に配置された長尺物5を抜け止め保持するようになっている(図4(b),図5参照)。
【0028】
一方、本体20の両端部に設けられた係止脚部50,50は、保持部30の両側先端から互いに平行に突出した形状をなしている。各係止脚部50の幅方向(延出方向に直交する方向)両側には、一対の枠状壁51,51が立設されている。各枠状壁51の外側面には、先端に向けて次第に幅狭となるテーパ状のガイド面51aが形成されており、前記被取付部材1の取付孔3に係止脚部50が挿入される際のガイドとなっている(図3(b)参照)。また、係止脚部50の先端部53は、前記枠状壁51よりも先端側にやや長く突出している(図2参照)。
【0029】
更に、この係止脚部50には、前記被取付部材1の取付孔3に挿入されたとき、該取付孔3の裏面側に係合するように、係止脚部50から出没可能に突出された弾性係合片57が設けられている。すなわち、枠状壁51,51の内側に沿って一対の縦スリット54,54が形成され、縦スリット54,54の保持部30側の端部どうしが横スリット55で連結され、これらのスリット54,55を介して、撓み可能で係止脚部50から出没可能とされた弾性係合片57が形成されている。各弾性係合片57は、その外面が平坦な面をなす一方(図2(b)参照)、本体20の内方に向けて突出した係合突部57aを有しており、この係合突部57aが取付孔3の裏面側に係合するようになっている(図4(b)参照)。
【0030】
また、図1,図2(b)に示すように、係止脚部50の各枠状壁51の、基部側(保持部30側)外面からは、同係止脚部50の延出方向に直交する方向に向けて、撓み可能な薄肉フランジ状の係合部59がそれぞれ突設されている。これらの係合部59,59は、前記被取付部材1の取付孔3に係止脚部50が挿入されたとき、取付孔3の表面側に係合するようになっている。なお、係合部59は突起状等をなしていてもよく、取付孔3の表面側に係合する構造であればよい。
【0031】
以上説明したクランプ10は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂により一体的に成形されている。
【0032】
また、前記本体20について、略U字状をなしていると規定したが、パイプやチューブ等の長尺物5を受け入れて、長尺物5の両側部外周を挟み込む形状であればよく、例えば、本体20の両側部を所定角度で外側に拡開させてV字状等をなしていてもよく、あるいは全体としてコ字状等をなしていてもよい。
【0033】
次にこのクランプの使用方法及び作用効果について説明する。
【0034】
図1に示すように、車体パネル等の被取付部材1には、長孔状の一対の取付孔3,3が形成されており、同被取付部材1の表面上には、金属パイプ等の長尺物5が予め配置されている。
【0035】
そして、図3(a)に示すように、クランプ10の係止脚部50,50を、取付孔3,3にそれぞれ整合させて、クランプ10を被取付部材1に向けて押し込んでいく。すると、各係止脚部50の先端部53,53が、長尺物5の外周に圧接されて、略U字状の本体20が押し開かれ、係合突部57aが長尺物5に圧接されて、弾性係合片57が係止脚部50の外方に撓みつつ、保持部30内に長尺物5が挿入されていく。
【0036】
そして、長尺物5が弾性係合片57を乗り越え、更に抜け止め部45を乗り越えると、図3(b)に示すように、弾性保持片41の先端部41aに当接する。このとき、本体20が開くことにより、一対の係止脚部50が広がり、その先端部53を取付3に挿入しにくくなるが、同図に示すように、弾性保持片41の先端部41aが長尺物5の両側面に圧接されて、弾性保持片41が保持部30外方に撓み変形するので、係止脚部50をすぼめさせてその先端部53を取付孔3に挿入することができる。こうして、係止脚部50を取付孔3に挿入すると、取付孔3の外側の内周縁に係止脚部50のガイド面51aが摺接して、本体20が次第に閉じる方向にガイドされていく。
【0037】
更にクランプ10が押し込まれ、弾性保持片41の先端部41aが、長尺物5の最大径の部分を乗り越えると、図4(a)に示すように、弾性保持片41が弾性復帰して保持部30内方に押し出されて、長尺物5の係止脚部50側の両側に圧接される。また、取付孔3内に挿入された弾性係合片57の係合突部57aが取付孔3の内周縁に圧接されて、弾性係合片57が係止脚部50の外方に撓み変形して、取付孔3の通過を可能にする(図4(a)参照)。
【0038】
上記状態からクランプ10が更に押し込まれて、弾性係合片57の係合突部57aが取付孔3を通過すると、同弾性係合片57が弾性復帰して、係合突部57aが取付孔3の裏側周縁に係合すると共に、薄肉フランジ状の係合部59が取付孔3の表側周縁に係合する。また、長尺物5が保持部30内に押し込まれると、長尺物5の保持部30奥方側の外周に、弾性押え片41,41の押え突起43a,43aが圧接される。
【0039】
その結果、保持部30内に押し込まれた長尺物5は、その係止脚部50側の両側が弾性保持片41に押えられると共に、保持部30奥方の外周が弾性押え片43,43に支持されて、保持部30内に保持され、一方、係止脚部50は、弾性係合片57が取付孔3の裏面側周縁に係合すると共に、係合部59が取付孔3の表側周縁に係合して、取付孔3に固定される。
【0040】
以上のように、このクランプ10によれば、被取付部材1に予め配設されて、動かすことの困難な長尺物5を浮かせたりすることなく、係止脚部50の先端部53を取付孔3,3に整合させて、クランプ10を被取付部材1に向けて押し込むだけの簡単な作業で、被取付部材1に対して長尺物5をしっかりと固定することができる。
【0041】
図5には、被取付部材1の表面に配置された金属パイプ等の長尺物が、外力等によって被取付部材1側に押し付けられた状態が示されている。このとき、撓み可能とされた弾性保持片41,41は保持部外方に撓み変形するため、保持部30内から長尺物5が抜け外れる虞れが生じる。しかしながら、この実施形態では、保持部30の係止脚部50側には、長尺物5の外径よりも小さくなるように設定された抜け止め部45,45が設けられているので、この抜け止め部45によって長尺物5のそれ以上の移動が防止されて、保持部30内に長尺物5を確実に抜け止め保持することができる。
【0042】
また、この実施形態では、上述のように、各係止脚部50の外側面に先端に向けて次第に幅狭となるテーパ状のガイド面51aを形成したことにより、係止脚部50を取付孔3に挿入する際に、取付孔内周にガイド面51aが摺接して、本体20が次第に閉じる方向にガイドされるようになっている。したがって、保持部30内に長尺物5が挿入されていくときに、図3(b)に示すように、弾性保持片41,41が長尺物5に圧接されて本体20を開かせようとする力が働いても、その力に対抗して弾性保持片41,41を保持部30内方に引き込ませることができるので、長尺物5が弾性保持片41,41の間を通過しやすくすることができ、作業性を向上させることができる。
【0043】
更に、この実施形態では、保持部30の弾性保持片41よりも奥方の内周には、保持部30に対して出没可能に突出された弾性押え片43が設けられている。そのため、弾性保持片41,41が、長尺物5の被取付部材1側の両側外周に係合するのに加えて、長尺物5の、保持部30の奥方に配置された外周に弾性押え片43,43が圧接されるので(図4(b)参照)、長尺物5をガタ付きなく、より安定して保持させることができる。
【0044】
また、前記弾性押え片43及び弾性保持片41を形成するのに際し、この実施形態では、保持部30の両側に第1開口部35及び第2開口部37を設け、両開口部35,37の間の中間リブ39から第1開口部35側に向けて舌片状に弾性保持片41が延設されていると共に、同中間リブ39から第2開口部37側に向けて舌片状に弾性押え片43が延設されている(図1,図2(b),図3参照)。そのため、特に外径の大きな長尺物5を保持させる場合に、両片41,43の長さをできるだけ長く確保することができ、両片41,43の弾性力を高めて保持部30内での長尺物5のガタ付きをより効果的に防止することができる。
【0045】
更に、この実施形態では、前記弾性係合片43は、前記係止脚部50の内方に向けて突出しているので(係合突部57a)、被取付部材1に配設された長尺物5に向けてクランプ10を挟み込むように押し込んでいくときに、本体20内に入り込んだ長尺物5によって弾性係合片43,43が押圧されるため(図3(a)参照)、本体20を開きやすくさせることができると共に、取付孔3の外側の内周縁に当接して弾性係合片43,43が外方に撓むので(図4(a)参照)、被取付部材1に対する長尺物5の保持作業をスムーズに行うことができる。更に、弾性係合片43が係止脚部50内方に突出しているので、係止脚部50の外方へ出っ張る部分を少なくすることができ、クランプ10の取付スペースを小さくすることができる。
【0046】
図6〜8には、本発明のクランプの他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0047】
この実施形態のクランプ10aは、保持部30aの形状が前記実施形態と異なっている。この保持部30aは、その平行面31,31の間隔が、前記実施形態の保持部30のものよりも幅狭に形成され(図7(a)参照)、また、その幅方向両側の壁部34,34は、前記実施形態のものと比べて幅広とされて、斜め外方に延出した形状をなしている。
【0048】
この保持部30aの両側には、係止脚部50側に位置する第1開口部35と、それよりも奥方に位置する第2開口部37とがそれぞれ設けられており、両開口部35,37の間には、中間リブ39が形成されている。
【0049】
図6,図7(b),図8に示すように、前記第1開口部35の係止脚部50側の内周から、舌片状をなし撓み可能とされた弾性保持片44が延設されている。図8に示すように、この弾性保持片44は、保持部内方に向けて斜め内方に延出した基部44aと、保持部30への長尺物5の挿入方向に沿って伸びる先端部44bとからなり、この先端部44bが、長尺物5の係止脚部50側の両側を押える部分となっている。一方、前記中間リブ39の第2開口部37側の端面中央から、第2開口部37側に向けて舌片状をなし、撓み可能とされた弾性押え片43が延設されている。
【0050】
この実施形態によれば、第1開口部35の係止脚部50側の内面から舌片状に弾性保持片44が延設されていると共に、中間リブ39から第2開口部37側に向けて舌片状に弾性押え片43が延設されているので、特に外径の小さな長尺物5を保持させる場合に、両片44,43の長さをできるだけ長く確保することができ、両片44,43の弾性力を高めて保持部30内での長尺物5のガタ付きをより効果的に防止することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 被取付部材
3 取付孔
5 長尺物
10,10a クランプ
20 本体
30,30a 保持部
35 第1開口部
37 第2開口部
39 中間リブ
41,44 弾性保持片
43 弾性押え片
45 抜け止め部
50 係止脚部
51a ガイド面
53 先端部
57 弾性係合片
59 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状、線状又は棒状の長尺物を保持して、被取付部材に設けられた取付孔に固定するためのクランプであって、
略U字状に屈曲され、屈曲部内周が前記長尺物の保持部をなし、両端部が前記被取付部材の取付孔への係止脚部をなす本体と、
前記長尺物が前記保持部に配置されたとき、該長尺物の前記係止脚部側の両側を押さえるように、前記保持部から出没可能に突出された弾性保持片と、
前記被取付部材の取付孔に挿入されたとき、該取付孔の裏面側に係合するように、前記係止脚部から出没可能に突出された弾性係合片と、
前記被取付部材の取付孔に挿入されたとき、該取付孔の表面側に係合するように、前記係止脚部から突設された係合部とを有することを特徴とするクランプ。
【請求項2】
前記本体の前記保持部の係止脚部側には、前記長尺物の外径よりも小さい間隔とされた抜け止め部が設けられている請求項1記載のクランプ。
【請求項3】
前記各係止脚部の外側面には、先端に向けて次第に幅狭となるテーパ状のガイド面が形成されている請求項1又は2記載のクランプ。
【請求項4】
前記保持部の弾性保持片よりも奥方の内周には、該保持部に対して出没可能に突出された弾性押え片が設けられている請求項1〜3のいずれか1つに記載のクランプ。
【請求項5】
前記保持部の両側には、前記係止脚部側に位置する第1開口部と、それよりも奥方に位置する第2開口部とが形成されており、両開口部の間の中間リブから前記第1開口部側に向けて舌片状に前記弾性保持片が延設され、同中間リブから前記第2開口部側に向けて舌片状に前記弾性押え片が延設されている請求項4記載のクランプ。
【請求項6】
前記保持部の両側には、前記係止脚部側に位置する第1開口部と、それよりも奥方に位置する第2開口部とが形成されており、前記第1開口部の前記係止脚部側の内面から舌片状に前記弾性保持片が延設され、両開口部の間の中間リブから前記第2開口部側に向けて舌片状に前記弾性押え片が延設されている請求項4記載のクランプ。
【請求項7】
前記弾性係合片は、前記係止脚部の内方に向けて突出している請求項1〜6のいずれか1つに記載のクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−190904(P2011−190904A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59216(P2010−59216)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】