説明

クリアファイル、及びその製造方法

【課題】例えば鞄に収納した場合における鞄の内面の傷つきを抑えるようなクリアファイルを提供する。
【解決手段】クリアファイルは、矩形の透明なシート1を、向かい合う一組の辺の中心線同士を結ぶ中心線を境に折り曲げて形成された矩形の折り曲げシートの、折り曲げにより形成された辺11と接する辺12に沿う領域Xの部分で、重なりあった上下のシート1同士を接続して形成される。そして、クリアファイルは、折り曲げシートの4つの角15、16、17、18のすべてが丸められた形状となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、書類を挟むために用いられるクリアファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
書類を挟むためのクリアファイルが文房具の1つとして汎用されている。クリアファイルは、一般に、矩形のシートの向かいあう一組の辺の中心同士を結ぶ中心線を境に折り曲げて形成された矩形の折り曲げシートの、折り曲げにより形成された辺と接する辺のうちの一方の辺に沿う所定の範囲で重なりあったシート同士を接続して作られる。
クリアファイルは、また、矩形シートの折り曲げにより形成された辺に対向する辺の両端の角が、面取り又は丸められた形状とされていることが多い。これは、クリアファイルをラックなどに立て入れた場合に、人が手に取る側となる辺の角を丸めておくことにより、人がクリアファイルの角により痛みを感じることがないようにするためである。また、クリアファイルの角を面取りし又は丸めるのは、、クリアファイルの角で目を突く等の危険性を減じる意味もある。
【0003】
しかしながら、従来のクリアファイルは、矩形のシートの折り曲げにより形成された辺の両端の角は、相変わらず直角のままである。このようなクリアファイルでも、クリファイルをラックなどに同じ向きで収納するような場合には、人が手に痛みを感じることがないようにするという所期の目的は達成される。
しかし、クリアファイルはラックなどに立て入れるだけでなく、例えば鞄の中に収納される場合がある。このような場合、従来のクリアファイルは、それが有する直角を保っているその2つの角により、鞄の内面などを傷つける場合があるし、またクリアファイルの直角を保っている角が鞄の開口側に位置しているときは、不用意に鞄の中に手を入れた人の手に痛みを生じさせる場合もあり、安全性が十分とは必ずしもいえない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、クリアファイルを、例えば鞄に収納した場合であっても、鞄の内面などを傷つけず、また不用意に鞄の中に手を入れた人の手に痛みを生じさせないように改良することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するために本願発明者が提案するクリアファイルは以下のようなものである。
本願発明者が提案するクリアファイルは、矩形のシートの向かいあう一組の辺の中心同士を結ぶ中心線を境に折り曲げて形成された矩形の折り曲げシートの前記折り曲げにより形成された辺と接する辺のうちの一方の辺に沿う所定の範囲で重なりあったシート同士を接続してなるクリアファイルである。そして、このクリアファイルは、折り曲げシートの4つの角のすべてが面取りされたか、又は丸められた形状となっている。
このクリアファイルには、従来のクリアファイルにあった直角を保っている角がない。したがって、このクリアファイルは、それを鞄などの中に収納した場合における向きの如何によらず、鞄の内面などを傷つけず、また、不用意に鞄の中に手を入れた人の手に痛みを生じさせることもないため、安全性が高い。
なお、本願において、「面取り」とは、シート又は折り曲げシートの角を直線状に切り欠くか又は複数の直線にて丸めたと同様の状態を作ることをいい、「丸め」は、シート又は折り曲げシートの角を曲線状に丸めることをいう。
【0006】
本願発明のクリアファイルは、例えば以下の方法によって製造することができる。
その方法は、矩形のシートの向かいあう一組の辺の中心同士を結ぶ中心線を境に折り曲げて矩形の折り曲げシートを形成し、形成された折り曲げシートの前記折り曲げにより形成された辺と接する辺のうちの一方の辺に沿う所定の範囲で重なりあったシート同士を接続し、それにより、クリアファイルを製造するクリアファイルの製造方法である。そしてこの製造方法では、前記シートを前記折り曲げシートとする前に、前記シートの4つの角のすべてに、前記折り曲げを行なった後に、重なりあった前記折り曲げにより形成された辺に対向する辺の両端の2つの角が面取りされたか、又は丸められた形状となるように加工を行うとともに、前記シートの前記中心線を挟む前記中心線の両端部分に、前記折り曲げを行なった後に、前記折り曲げにより形成された辺の両端の2つの角が面取りされたか、又は丸められた形状となるように加工を行なう。
折り曲げシートとする前のシートの4つの角のすべてと、折り曲げシートとする前のシートの中心線を挟む中心線の両端部分とに予め上述の如き加工をしておくことで、シートを折り曲げシートとした場合に既に、折り曲げシートの4つの角が面取りされたか丸められた形状となる。
このクリアファイルの製造方法では、前記シートを前記折り曲げシートとする前に、前記シートの4つの角と、前記シートの前記中心線を挟む前記中心線の両端部分とに対して行なう前記加工を、前記シートの4つの角と、前記シートの前記中心線を挟む前記中心線の両端部分の切断により行なうことができる。この切断は、複数枚のシートを重ねた状態で行うことも可能であり、そうするのがクリアファイルの製造効率の面で有利であろう。
【0007】
本願発明のクリアファイルは、また、以下の方法によっても製造することができる。
その製造方法は、矩形のシートの向かいあう一組の辺の中心同士を結ぶ中心線を境に折り曲げて矩形の折り曲げシートを形成し、形成された折り曲げシートの前記折り曲げにより形成された辺と接する辺のうちの一方の辺に沿う所定の範囲で重なりあったシート同士を接続し、シート同士の前記接続がなされた前記折り曲げシートの4つの角のすべてに、当該4つの角のすべてが面取りされたか、又は丸められた形状となるような加工を行なう、クリアファイルの製造方法である。
この製造方法では、シートを折り曲げて折り曲げシートとした後に、折り曲げシートの4つの角に対して加工を行なう。先に述べた製造方法では、折り曲げシートとする前のシートの4つの角のすべてと、折り曲げシートとする前のシートの中心線を挟む中心線の両端部分とに予め加工をしてからシートの折り曲げを行なう。そうすると、シートの折り曲げを行なう場合、折り曲げの加工の精度が高くないと、折り曲げシートの、特に折り曲げにより形成される辺の両端の角の部分においてシートの形状が揃わず、クリアファイルの見栄え、或いは強度に問題が出るおそれがある。シートを折り曲げて折り曲げシートとした後に、折り曲げシートの4つの角に対して加工を行なうクリアファイルの製造方法では、そのような不具合が発生し難い。
このクリアファイルの製造方法では、シート同士の前記接続がなされた前記折り曲げシートの4つの角のすべてに行なう、当該4つの角のすべてが面取りされたか、又は丸められた形状となるような前記加工を、折り曲げシートの4つの角の切断により行なうことができる。この切断は、複数枚のシートを重ねた状態で行うことも可能であり、そうするのがクリアファイルの製造効率の面で有利であろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態によるクリアファイルの平面図。
【図2】図1に示したクリアファイルの製造方法を示す図。
【図3】図1に示したクリアファイルの他の製造方法を示す図。
【図4】図1に示したクリアファイルの変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のクリアファイルの好適な一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1に本願の一実施形態によるクリアファイルを示す。
クリアファイルは、一枚のシート1を折り曲げた構成をその基本とし、略矩形の形状となっている。シート1は、この実施形態では、透明又は半透明である。シート1は、この実施形態では樹脂製であり、その素材、厚さなどは従来のクリアファイルに用いられている汎用的なものを流用できる。
クリアファイルの4つの辺のうち辺11は、シート1を折り曲げることによって形成された辺である。
辺11では、図1の手前側と奥側のシート1は当然に連なっている。残り3辺のうちの1辺、図1では、図1における下側に位置する辺12の付近では、図1の手前側と奥側のシート1が互いに接続されている。かかる接続は、溶着、融着、或いは接着剤を用いての接着など、適宜の周知技術を用いて行うことができる。この実施形態では、辺12に沿う一定の領域で、より詳細には、図1のグレーに網掛けされた領域(X)で、図1の手前側と奥側のシート1が互いに接続されている。かかる領域は、図1に示したように、一連である必要はなく、断続的なものであっても構わない。
クリアファイルの辺11、辺12以外の残りの2辺(辺13、14)は、図1の手前側と奥側のシート1が互いに接続されていない。つまり、このクリアファイルは、辺13と辺14の部分で、図1の手前側と奥側のシート1を互いに離反させることができ、そうすることにより開くことができる。このクリアファイルは、図1の手前側と奥側のシート1の間に、書類などの所定の紙を挟み込むことができる。
クリアファイルの4つの角15、16、17、18はいずれも、この実施形態では、丸められた形状となっている。
【0011】
以上で説明したクリアファイルの製造方法の一例を、図2を用いて説明する。なお、図2(A)〜(C)における符号11〜18及びXが指す各部分は、図1における同一の符号が指している各部分に一致する。
【0012】
クリアファイルは、図2(A)に示した矩形のシート1を用いて製造される。
シート1は、上述したようなものであり、矩形で、樹脂製で、透明又は半透明である。
この製造方法では、シート1の4つの角と、シート1を折り曲げた後に辺11となる部分(矩形のシートの向かいあう一組の辺の中心同士を結ぶ線である、破線で示された中心線)を挟む所定の部分を、シート1を折り曲げる前に、図2(B)に示したように加工する。この実施形態では、この加工は、図2(A)のシートから、図2(B)のシートを差し引いた部分を切除することにより行なう。なお、この実施形態ではかかる切除を、複数のシート1を重ね合わせた状態でまとめて行なうが、図2では、簡単のため、シート1を一枚だけの状態で示している。
図2(B)で示した状態は、中心線11を境にシート1を折り曲げた後に、辺11に対向する辺13の両端の2つの角(17、18)が丸められた形状となり、且つ中心線11を境にシート1を折り曲げた後に、辺11の両端の2つの角(15、16)が丸められた形状となるような、ものとなっている。図2(B)における2つの角17についての加工は、加工後の2つの角17が中心線11を境に線対称となるように、図2(B)における2つの角18についての加工は、加工後の2つの角18が中心線11を境に線対称となるように行なわれる。また、図2(B)における中心線11を跨ぐ追って角15となる部分の加工は、中心線11を境に線対称となるように、図2(B)における中心線11を跨ぐ追って角16となる部分の加工は、中心線11を境に線対称となるように行なわれる。
次いで、図2(B)のように加工されたシート1を、図2(B)の矢印で示されたように2つ折りし、図2(C)に示された如き折り曲げシートとする。折り曲げシートにおいて、辺12、13、14と、角15、16、17、18は、ぴったりと重なり合う。
次いで、折り曲げシートの辺12に沿う領域Xで、重なり合った上下のシート1同士を接続して、図1に示したものと同様のクリアファイルが完成する。
【0013】
図1で説明したクリアファイルの製造方法の他の例を、図3を用いて説明する。なお、図3(A)〜(C)における符号11〜18及びXが指す各部分は、図1における同一の符号が指している各部分に一致する。
【0014】
クリアファイルは、図3(A)に示した矩形のシート1を用いて製造される。このシート1は、図2(A)で示したものと同様である。
この製造方法では、シート1を、図3(A)における中心線11を境にまず2つ折りして、図3(B)の折り曲げシートを形成する。この状態では、折り曲げシートの4つの角はいずれも、直角を保っている。
次に、折り曲げシートの4つの角(15、16、17、18)を、それら4つの角(15、16、17、18)の形状が丸められた形状となるように加工する。この加工は、この実施形態では、図3(B)の折り曲げシートから、図3(C)の折り曲げシートを差し引いた部分を切除することにより行なう。なお、この実施形態ではかかる切除を、複数の折り曲げシートを重ね合わせた状態でまとめて行なうが、図3では、簡単のため、折り曲げシートを一枚だけの状態で示している。
次いで、図3(C)で示したように4つの角を切除された折り曲げシートの辺12に沿う領域Xで、重なり合った上下のシート1同士を接続して、図1に示したものと同様のクリアファイルが完成する。なお、4つの角の切除の前に、領域Xの接続を行なうことも可能である。
【0015】
以上で説明したクリアファイルでは、クリアファイルの4つの角15、16、17、18は丸められていた形状とされていた。
しかしながら、4つの角は、例えば、図4で示したような面取りされたような形状となるようにされていても構わない。
このようなクリアファイルを製造する場合、図2(B)で説明したシート1の加工、又は図3(C)で説明した折り曲げシートの加工の仕方が異なるものとなるが、当業者であればその加工の仕方については自明であろうから、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0016】
1 シート
11 辺(中心線)
12 辺
13 辺
14 辺
15 角
16 角
17 角
18 角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形のシートの向かいあう一組の辺の中心同士を結ぶ中心線を境に折り曲げて形成された矩形の折り曲げシートの前記折り曲げにより形成された辺と接する辺のうちの一方の辺に沿う所定の範囲で重なりあったシート同士を接続してなるクリアファイルであって、
折り曲げシートの4つの角のすべてが面取りされたか、又は丸められた形状となっている、
クリアファイル。
【請求項2】
矩形のシートの向かいあう一組の辺の中心同士を結ぶ中心線を境に折り曲げて矩形の折り曲げシートを形成し、
形成された折り曲げシートの前記折り曲げにより形成された辺と接する辺のうちの一方の辺に沿う所定の範囲で重なりあったシート同士を接続し、
それにより、クリアファイルを製造するクリアファイルの製造方法であって、
前記シートを前記折り曲げシートとする前に、
前記シートの4つの角のすべてに、前記折り曲げを行なった後に、重なりあった前記折り曲げにより形成された辺に対向する辺の両端の2つの角が面取りされたか、又は丸められた形状となるように加工を行うとともに、前記シートの前記中心線を挟む前記中心線の両端部分に、前記折り曲げを行なった後に、前記折り曲げにより形成された辺の両端の2つの角が面取りされたか、又は丸められた形状となるように加工を行なう、
クリアファイルの製造方法。
【請求項3】
前記シートを前記折り曲げシートとする前に、前記シートの4つの角と、前記シートの前記中心線を挟む前記中心線の両端部分とに対して行なう前記加工を、
前記シートの4つの角と、前記シートの前記中心線を挟む前記中心線の両端部分の切断により行なう、
請求項2記載のクリアファイルの製造方法。
【請求項4】
矩形のシートの向かいあう一組の辺の中心同士を結ぶ中心線を境に折り曲げて矩形の折り曲げシートを形成し、
形成された折り曲げシートの前記折り曲げにより形成された辺と接する辺のうちの一方の辺に沿う所定の範囲で重なりあったシート同士を接続し、
シート同士の前記接続がなされた前記折り曲げシートの4つの角のすべてに、当該4つの角のすべてが面取りされたか、又は丸められた形状となるような加工を行なう、
クリアファイルの製造方法。
【請求項5】
シート同士の前記接続がなされた前記折り曲げシートの4つの角のすべてに行なう、当該4つの角のすべてが面取りされたか、又は丸められた形状となるような前記加工を、
折り曲げシートの4つの角の切断により行なう、
請求項4記載のクリアファイルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−56815(P2011−56815A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209717(P2009−209717)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(508165401)リプラ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】