説明

クリアファイル

【課題】プリンタでクリアファイルの提出先の顧客名、綴じ込む書類名などを印字させる場合でも、搬送ローラなどの加圧の影響で、重ね合わされた2枚のシート基材の一部にシワが入ることを防止したクリアファイルを提供する。
【解決手段】第1のシート基材と、前記第1のシート基材の下側に重ね合わされ、前記第1のシート基材と略同じ大きさを有する第2のシート基材とからなり、前記第1のシート基材と前記第2のシート基材とが、少なくとも略四角形状を有し、前記第1のシート基材と前記第2のシート基材は、その左右側の一方の側縁部に設けられた接着剤と、その底縁部に設けられた接着剤とにより接着され、他の互いに隣接する2辺側が書類を出し入れ可能な書類出し入れ部となり、前記第1のシート基材と前記第2のシート基材は、前記書類出し入れ部となる2辺側において、接着後に剥離可能な擬似接着剤により剥離可能に接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のシート基材が重ね合わされ、その重ね合わされた一対のシート基材の隣接する左辺部分及び下辺部分で互いに接着され、書類などを挟み込んで使用するためのクリアファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、書類を挟み込んで使用するクリアファイルは、一般的に収納物が外部から見えるようにするために透明性又は半透明性を有するプラスチックシートなどの樹脂をシート状に加工したものが使用されている。(例えば、特許文献1〜4、参照)
【0003】
これらのクリアファイルは、例えば販売促進用のカタログ・キャンペーン資料、提案書、企画書、見積書、などを消費者や顧客に渡す場合に、それらの資料や書類を入れるために用いられることが多い。
また、書類の提出先として予め顧客が特定されている場合には、クリアファイルの表裏面に、予めプリンタにより、クリアファイルの提出先の顧客名、綴じ込んでいる資料や提案書などの書類名、顧客毎に異なる様々な情報などを印字させた状態にして、必要な書類を入れて渡すことも行われている。
【0004】
しかしながら、通常、クリアファイルは、重ね合わされた一対のシート基材の隣接する左辺部分及び下辺部分で互いに接着されているが、他の互いに隣接する右辺部分及び上辺部分が接着されていない構成となっていることから、プリンタでクリアファイルの表裏面に印字する際に、搬送ローラなどの加圧の影響で、重ね合わされた2枚のシート基材の一部にシワが入りやすいという問題がある。
したがって、シワの入ったクリアファイルに書類を入れた状態で、顧客に渡すことは、体裁上も好ましくないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−25778号公報
【特許文献2】特開2003−25779号公報
【特許文献3】特開2009−262516号公報
【特許文献4】実用新案登録第3153236号公報
【特許文献5】実用新案登録第3146046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、クリアファイルの表裏面に、予めプリンタにより、クリアファイルの提出先の顧客名、綴じ込んでいる資料や提案書などの書類名、顧客毎に異なる様々な情報などを印字させる場合でも、搬送ローラなどの加圧の影響で、重ね合わされた2枚のシート基材の一部にシワが入ることを防止したクリアファイルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のクリアファイルは、第1のシート基材と、前記第1のシート基材の下側に重ね合わされ、前記第1のシート基材と略同じ大きさを有する第2のシート基材とからなり、前記第1のシート基材と前記第2のシート基材とが、少なくとも略四角形状を有し、前記第1のシート基材と前記第2のシート基材は、その左右側の一方の側縁部に設けられた接着剤と、その底縁部に設けられた接着剤とにより接着され、他の互いに隣接する2辺側が書類を出し入れ可能な書類出し入れ部となっているクリアファイルであって、前記第1のシート基材と前記第2のシート基材は、前記書類出し入れ部となる2辺側において、接着後に剥離可能な擬似接着剤により剥離可能に接着されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のクリアファイルは、前記擬似接着剤が、所定間隔を空けて複数の領域に分散して設けられていることを特徴とする。
【0009】
更に、本発明のクリアファイルは、前記第1のシート基材の書類出し入れ部側には、該第1のシート基材の一部を切り取った切り欠き部が設けられ、前記切り欠き部には接着後に剥離可能な擬似接着剤が設けられていないことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のクリアファイルは、前記第1のシート基材と前記第2のシート基材の書類の出し入れ部側の角部分に、接着後に剥離可能な擬似接着剤が設けられていない領域を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
したがって、本発明のクリアファイルは、重ねられた一対のシート基材の書類出し入れ部となる2辺側において、接着後に剥離可能な擬似接着剤により剥離可能に接着されているので、クリアファイルの表裏面に、予めプリンタによりクリアファイルの提出先の顧客名、綴じ込んでいる資料や提案書などの書類名、顧客毎に異なる様々な情報、などを印字させる場合でも、搬送ローラなどの加圧の影響で重ね合わされた2枚のシート基材の一部にシワが入ることを防止することができるという効果がある。
【0012】
また、本発明のクリアファイルは、重ねられた一対のシート基材の書類出し入れ部となる2辺側に設けた接着後に剥離可能な擬似接着剤が、所定間隔を空けて複数の領域に分散して設けられているので、プリンタの搬送ローラなどの加圧の影響で重ね合わされた2枚のシート基材の一部にシワが入ることを防止することができるという効果がある。
【0013】
更に、本発明のクリアファイルは、第1のシート基材の書類出し入れ部側に切り欠き部が設けられ、切り欠き部には、接着後に剥離可能な擬似接着剤が設けられていないので、その切り欠き部に指を入れることで簡単に重ね合わされたシート基材を開くことができるという効果がある。
【0014】
また、本発明のクリアファイルは、重ねられた一対のシート基材の書類の出し入れ部側の角部分に、接着後に剥離可能な擬似接着剤が設けられていない領域が設けられているので、その角部分から簡単に重ね合わされたシート基材を開くことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第実施形態に係るクリアファイルの平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るクリアファイルの重ね合わされた一対のシート基材を分離させた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るクリアファイルの製造方法を説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るクリアファイルの重ね合わされた一対のシート基材を分離させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るクリアファイル1を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1実施形態に係るクリアファイル1aは、第1のシート基材2と第2のシート基材3が重ね合わされ、その重ね合わされた一対のシート基材2,3の左辺側及び下辺側で互いに接着剤4,5により剥離できないように強接着状態にあり、他の互いに隣接する右辺側及び上辺側が書類を出し入れ可能とする書類出し入れ部となっている。
そして、第1のシート基材2の右側辺の2箇所部分には、ファイル1を開く際に指を入れて開けられるように湾曲した形状の切り欠き部6a,6bが形成されている。
【0017】
これらの第1のシート基材2と第2のシート基材3は、透明又は半透明な紙基材から構成されていることが好ましい。
第1のシート基材2は、透明もしくは半透明性のシート基材であり、第1のシート基材2は、透過濃度0.09以下であって坪量75g/m2以上の条件を満たしているシート基材が用いられる。
また、第2のシート基材3の厚さは、第1のシート基材2の厚さと略同じかまたは、第1のシート基材2よりも厚いシート基材から構成されている。
これは、クリアファイル1に入れる用紙として、坪量60〜70g/m2のPPC用紙を入れる場合が一般的であることと、透過濃度測定の結果で透過濃度0.09以下が、透明性が良好となることから、第1のシート基材2を、透過濃度0.09以下であって坪量75g/m2以上の条件を満たしているシート基材を用いることが、シート基材を用いたクリアファイルとして最適であるからである。
また、第1のシート基材2の表面には、所望の表題7などを予め印刷しておいてもよい。
そして、第1のシート基材2と第2のシート基材3からなる一対のシート基材の前記書類出し入れ部となる2辺側である右辺側及び上辺側には、接着後に剥離可能な擬似接着剤8により剥離可能に接着されている。
但し、切り欠き部6a,6bには、接着後に剥離可能な擬似接着剤が設けられていない。
【0018】
この接着後に剥離可能な擬似接着剤8の一例としては、密着面の密着及び再剥離を容易にするように調整されており、以下に説明する粘着主剤、粘着力調整剤、添加物等が以下の割合で混合されている。
粘着主剤 100重量部
粘着力調整剤
針状物質の場合 10〜100(好ましくは10〜50)重量部
微粒状物質の場合 0〜50(好ましくは5〜30)重量部
上記両物質混合の場合 10〜100重量部
添加物
ワックス 0.01〜20重量部
紫外線吸収剤 微量
消泡剤 微量
消泡助剤 微量
エマルジョン化成分
水 100〜500(好ましくは200〜300)重量部
乳化剤 0.5〜2重量部
樹脂 1〜50重量部
【0019】
粘着主剤は、天然ゴム(NR)、エステル化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられ、または、これらの混合物が挙げられる。
これらの粘着主剤の混合にあたっては、その混合割合を適宜調整することによって、感圧粘着剤同士の自着性を保持しつつ、基材との密着性を自着性より大きくすることができる。
【0020】
好ましくは、加圧によって感圧粘着剤同士の自着性を発現する性質の高い天然ゴムに、基材との密着性、即ちアンカー効果を高める目的でポリメチルメタクリレートやスチレンブタジエンゴムを添加したものが挙げられる。
ポリメチルメタクリレートは単独で用いるより、他の粘着主剤と混合して用いるとよい。
このような粘着主剤は、通常粒径0.1μm〜3μm程度の微粒状のものが使用される。
【0021】
粘着力調整剤は、粘着主剤の粘着力を調整するために混合され、針状物質若しくは微粒状物質又はこれらの混合物が用いられる。
また、針状物質としては、無機物質、有機物質のいずれでもよく、その形状が略針状であればよく、偏平状、螺旋状、鱗片状等の様々な形態を持つものから任意に選択されるが、針状物質が特に好適である。
針状物質として、平均長さは10μm〜20μm、また平均径としては0.2μm〜0.5μm程度のものが好ましい。
針状物質は、感圧粘着剤をエマルジョンとし、塗布剤とした時の沈降性を低くするために見掛け比重が0.05〜0.6のものが好ましい。
【0022】
微粒状物質は、マイクロシリカ、合成ゼオライト、活性アルミナゲル、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、タルク、クレー、カオリン、活性白土、アクリルビーズ、澱粉、セルロース、シラスバルーン等が挙げられ、その粒径は、10μm〜30μm、好ましくは0.5μm〜10μmの範囲にあるものが好適である。
また、針状物質と共に添加することにより、微粒状物質の添加量を少なくすることができると共に微粒状物質の粉落ちを防止することができる。
【0023】
添加物として、ハンドリング性、NIPの搬送性能等の滑り性向上又は耐ブロッキング性向上のために、ポリエチレンワックス、カルナウバワックス等のワックス類、劣化防止のために、アンモニア、エタノールアミン等の紫外線吸収剤などを添加してもよい。
また、消泡剤として、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤(鉱物油系)を添加したり、さらに、消泡助剤として、シリカ等を添加してもよい。
【0024】
前述した粘着主剤、粘着力調整剤、添加物は、水等の媒体に分散してエマルジョン状態で基材に塗布される。
エマルジョン化の際には、必要に応じて乳化剤が添加される。乳化剤としては、オレイン酸石鹸、ひまし油カリウム石鹸、カゼイン、にかわ、ゼラチン等を使用できる。
また、エマルジョン化したときの粘着主剤の2次凝集防止のために、粘着主剤と親和性を有しない樹脂を添加することができる。
この樹脂としては、水分散性高分子ポリエステル、熱可塑性エラストマー、また、低密度ポリエチレン等の低分子ポリエチレン、アイオノマー、酢酸ビニル−オレフィン共重合体等が好適に使用できる。
【0025】
このような接着剤の塗布量は、乾燥後で0.1g/m2〜10g/m2、好ましくは1.0g/m2〜3.0g/m2が好ましい。
この範囲内であれば、接着剤上から印刷あるいは印字した時にインキが感圧粘着剤中を透過し、基材にまで到達させることができ、剥離した場合の印字層の転移を防止できる。
更には、ブロッキング、パイリング(粉落ち)等も防止でき、充分な密着性と印字性が得られる。
【0026】
また、接着後に剥離可能な擬似接着剤8の他の例としては、例えば天然ゴム100重量部に対して、スチレン2重量部とメタクリル酸メチル10重量部とをグラフト共重合させて得られた天然ゴムラテックスに、テルペン樹脂系粘着付与剤5重量部を添加して感圧性のベース接着剤とし、更にこのベース接着剤100重量部に対して、平均粒径5μmのシリカゲル20重量部を添加してなるものなどがあるが、この他にも種々の感圧性接着剤を用いることができる。
【0027】
本発明のクリアファイル1は、前記重ね合わされた一対のシート基材の右辺と上辺とが交わる角部分に、接着後に剥離可能な擬似接着剤が設けられていない領域が設けられている。
また、本発明のクリアファイル1aは、第1のシート基材2と第2にシート基材3が重ね合わされ、その重ね合わされた一対のシート基材2,3の右辺と上辺とが交わる角部分に、接着後に剥離可能な擬似接着剤8が設けられていない領域22を有している。
これにより、その角部分から簡単に重ね合わされたシート基材2,3を開くことができる。
【0028】
本発明のクリアファイル1aを製造する場合には、図5に示すように、クリアファイル1を構成する第1のシート基材2や第2のシート基材3は、ロール状態からなる連続用紙を搬送させて重ね合わせ、接着させて製造する。
図5には、連続状態にある第1のシート基材2と第2のシート基材3の一部分が示されているが、連続状態にある第1のシート基材2と第2のシート基材3の左右側には、それぞれ搬送用の送り穴が所定間隔で形成されているマージナルパンチ部9a,9b,10a,10bが設けられている。
また、図5において、マージナルパンチ部9a,9b,10a,10bの内側に縦方向に示されている一点鎖線の部分は、クリアファイル1aを製造する際に、連続状態にある第1のシート基材2と第2のシート基材3に対して、スリットを入れてマージナルパンチ部9a,9b,10a,10bを後で切り離す位置となるスリット予定線11a,11b,12a,12bである。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態に係るクリアファイル1bを、図6に基づいて説明する。
第2実施形態に係るクリアファイル1bでは、図6に示すように、第1のシート基材2と第2のシート基材3の右辺側及び上辺側に設けられた擬似接着剤8が、所定間隔を空けて複数の領域に分散して設けられている。
この場合、擬似接着剤8を分散して設けることで、重ね合わされたシート基材2,3を出し入れ部から開く場合でも、より簡単に開くことができる。
【符号の説明】
【0030】
1a 第1実施形態に係るクリアファイル
1b 第2実施形態に係るクリアファイル
2 第1のシート基材
3 第2のシート基材
4,5 接着剤
6a,6b 切り欠き部
7 表題
8 接着後に剥離可能な擬似接着剤
9a,9b,10a,10b マージナルパンチ部
11a,11b,12a,12b スリット予定線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシート基材と、前記第1のシート基材の下側に重ね合わされ、前記第1のシート基材と略同じ大きさを有する第2のシート基材とからなり、前記第1のシート基材と前記第2のシート基材とが、少なくとも略四角形状を有し、前記第1のシート基材と前記第2のシート基材は、その左右側の一方の側縁部に設けられた接着剤と、その底縁部に設けられた接着剤とにより接着され、他の互いに隣接する2辺側が書類を出し入れ可能な書類出し入れ部となっているクリアファイルであって、
前記第1のシート基材と前記第2のシート基材は、前記書類出し入れ部となる2辺側において、接着後に剥離可能な擬似接着剤により剥離可能に接着されていることを特徴とするクリアファイル。
【請求項2】
前記擬似接着剤が、所定間隔を空けて複数の領域に分散して設けられていることを特徴とする請求項1記載のクリアファイル。
【請求項3】
前記第1のシート基材の書類出し入れ部側には、該第1のシート基材の一部を切り取った切り欠き部が設けられ、前記切り欠き部には接着後に剥離可能な擬似接着剤が設けられていないことを特徴とする請求項1又は2項に記載のクリアファイル。
【請求項4】
前記第1のシート基材と前記第2のシート基材の書類の出し入れ部側の角部分に、接着後に剥離可能な擬似接着剤が設けられていない領域を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクリアファイル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−111056(P2012−111056A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259629(P2010−259629)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】