説明

クリアーアニオン電着塗料組成物及び塗膜形成方法

【課題】 優れた耐食性、耐薬品性、密着性を有する薄膜の塗膜を得ることができ、かつ、アニオン電着塗装時において、塗料液温度の影響を受けにくく、均一な膜厚の塗膜を安定して形成することができるクリアーアニオン電着塗料組成物及びそれを用いた塗膜形成方法を提供する。
【解決手段】 側鎖にカルボキシル基及び水酸基を有するアクリル樹脂、並びに、硬化剤を含有するクリアーアニオン電着塗料組成物であって、上記アクリル樹脂は、SP値10.0〜11.0、Tg値35〜55℃のものであることを特徴とするクリアーアニオン電着塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリアーアニオン電着塗料組成物及びそれを用いた塗膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からアルミニウム材等の金属素材が種々の用途に使用されており、これらの金属素材のうち、陽極酸化処理したアルミニウム材は、軽量で強度が強いこと、耐食性に優れていること等の性能を有するため、サッシ等の建材関係に多く使用されている。一般的に、このようなアルミニウム材には、耐モルタル性、耐汚染性、耐食性、耐薬品性、所望の外観等の性能を付与するため、アルミニウム材表面にアニオン電着塗料を電着塗装して電着塗膜が被覆されている。
【0003】
アニオン電着塗料を用いて塗装を行う場合、塗膜形成時にはジュール熱が発生する。このため、複数の基材や大型の基材を電着浴に浸漬して電着塗装を行う場合、基材の部位によって塗膜形成過程で発生するジュール熱の拡散状態が異なり、電着浴内に塗料液温度の分布が生じるので、基材の各部位で形成される電着塗膜の膜厚がばらついてしまう。
【0004】
アニオン電着塗料を使用して電着塗膜を形成する場合、耐食性、耐薬品性等の塗膜性能を満足した塗膜を提供するため、従来からJIS H 8602において電着塗膜の膜厚が7μm以上と定められている。しかし、上述したように、実際のアニオン電着塗装では、得られる膜厚にばらつきが生じるため、10μm程度の膜厚が得られるように制御して電着塗装を行い、全体として7μm以上の膜厚を確保していた。
【0005】
このように、アニオン電着塗装では、通常10μm程度の膜厚の塗膜を形成しているが、近年環境面等の観点から、省資源化、省エネルギー化が望まれているため、塗料分野においても塗料使用量の少量化等が要求されている。また、上述したJIS H 8602に関しても最低膜厚を保証することから、要求性能を保証することへと移行しようとする動きがある。
【0006】
現在では、上述したように、膜厚が7μm以上と定められているため、薄膜で所望の性能を有するアニオン電着塗膜を形成しようとする検討は充分に行われて来なかったが、上述したような事情から、アニオン電着塗料を用いて塗膜を形成する場合、薄い膜厚の塗膜であっても所望の性能を有する塗膜を形成することが望まれるようになってきている。また、薄膜塗装の場合には、塗膜厚のバラツキによる性能への影響が大きくなるため、塗装温度が変動しても均一な塗膜を安定して得ることができる塗料及び塗装方法を提供することが望まれている。
【0007】
特許文献1には、(A)特定の酸価、水酸基価及び溶解性パラメーターを有する水分散性樹脂と、(B)特定の酸価、水酸基価及び溶解性パラメーターを有し、樹脂(B)の溶解性パラメーターの値が樹脂(A)の溶解性パラメーターの値よりも0.1〜1.5大きい樹脂と、(C)架橋剤とを含有する艶消しアニオン型電着塗料組成物が開示されている。
【0008】
しかしながら、ここで開示されている電着塗料組成物は、良好な艶消し外観を得るために溶解性パラメーター(SP値)が用いられており、塗膜物性を向上させる指標としては用いられていない。
【0009】
特許文献2には、側鎖にカルボキシル基及び水酸基を有するビニル共重合体、アミノ樹脂、及び、ブロックイソシアネートを含有するアニオン型艶有り電着塗料が開示されている。また、特許文献3には、水酸基及びカルボキシル基含有樹脂、架橋剤、沸点が130〜180℃の範囲のアルカノールアミンを含む塩基性中和剤及び水を含有するアニオン系熱硬化型電着塗料が開示され、電着塗料として艶有り電着塗料が記載されている。
【0010】
しかしながら、これらの文献では、10μmの塗膜が形成されているため、省資源化、省エネルギー化に寄与するものではない。また、使用するビニル重合体のSP値、Tg値を制御していないため、電着塗装時において、基材の各部位における膜厚のばらつきを防止することが困難であり、優れた耐食性、耐薬品性等の性能を有する薄膜の塗膜を得ることも困難である。
【0011】
【特許文献1】特開2000−144022号公報
【特許文献2】特開2002−317146号公報
【特許文献3】特開2000−186235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記現状に鑑み、優れた耐食性、耐薬品性、密着性を有する薄膜の塗膜を得ることができ、かつ、アニオン電着塗装時において、塗料液温度の影響を受けにくく、均一な膜厚の塗膜を安定して形成することができるクリアーアニオン電着塗料組成物及びそれを用いた塗膜形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、側鎖にカルボキシル基及び水酸基を有するアクリル樹脂、並びに、硬化剤を含有するクリアーアニオン電着塗料組成物であって、上記アクリル樹脂は、SP値10.0〜11.0、Tg値35〜55℃のものであることを特徴とするクリアーアニオン電着塗料組成物である。
【0014】
上記硬化剤は、アミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネート化合物であることが好ましい。
上記アクリル樹脂は、重量平均分子量5000〜100000、分散度が6未満であることが好ましい。
上記アクリル樹脂は、酸価15〜150mgKOH/g、水酸基価30〜200mgKOH/gのものであることが好ましい。
【0015】
上記アクリル樹脂は、ラジカル重合性単量体1を10〜60質量%、ラジカル重合性単量体2を10〜65質量%、ラジカル重合性単量体3を0〜30質量%、ラジカル重合性単量体4を1.5〜25質量%及びラジカル重合性単量体5を5〜50質量%からなる単量体組成物(合計100質量%)を共重合することにより得られるものであり、上記ラジカル重合性単量体1は、カルボキシル基及び水酸基を有さないδ値10.6以下かつTg値65℃未満である炭素数4〜20の炭素数4〜20の直鎖若しくは分岐型炭化水素基、又は、脂環式炭化水素基を有する単量体であり、上記ラジカル重合性単量体2は、カルボキシル基及び水酸基を有さないδ値10.6以下かつTg値65℃以上である炭素数4以下の直鎖若しくは分岐型炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は、芳香族基を有する単量体であり、上記ラジカル重合性単量体3は、カルボキシル基及び水酸基を有さない単量体であって、上記ラジカル重合性単量体1及び2以外の単量体であり、上記ラジカル重合性単量体4は、カルボキシル基を有し、水酸基を有さない単量体であり、上記ラジカル重合性単量体5は、水酸基を有し、カルボキシル基を有さない単量体であることが好ましい。
【0016】
上記クリアーアニオン電着塗料組成物は、アルミニウム基材に適用するものであることが好ましい。
上記クリアーアニオン電着塗料組成物は、艶を有する塗料であることが好ましい。
本発明はまた、上述のクリアーアニオン電着塗料組成物を金属基材に電着塗装することを特徴とする塗膜形成方法でもある。
上記塗膜形成方法において、上記金属基材は、アルミニウム基材であることが好ましい。
【0017】
上記塗膜形成方法は、乾燥膜厚5〜7μmの塗膜を形成するものであることが好ましい。
上記塗膜形成方法は、艶を有する塗膜を形成するものであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明のクリアーアニオン電着塗料組成物(以下、「電着塗料組成物」ともいう)は、側鎖にカルボキシル基及び水酸基を有し、SP値10.0〜11.0、Tg値35〜55℃のアクリル樹脂と、硬化剤とを含有するものである。上記電着塗料組成物をアルミニウム基材等の金属基材に電着塗装を行うことによって、基材上に、優れた塗膜性能を有する薄膜の塗膜を形成することができる。
【0019】
本発明の電着塗料組成物では、特定のアクリル樹脂と、硬化剤とを使用しているため、電着塗装時において、上述したような電着浴内の塗料液温度の分布が生じても、塗料液温度の変動による膜厚への影響が少ない。この理由は、アクリル樹脂のTgを、一般に設定されている塗装温度よりも高い範囲、すなわち35〜55℃にすることにより、析出塗膜のTgも向上し、その塗装温度より高くなるため、塗装温度が多少変動しても、当該塗膜のTg以下のため、当該塗膜の物性値、特にそれに起因する塗膜抵抗値があまり変動せず、その結果、電着での塗膜の膜厚が均一となるからである。よって、塗料液温度が変動しても、得られる膜厚の変動を極めて少なく抑えることができるので、複数の基材や大型の基材に電着塗装する場合においても、基材の各部位に均一な膜厚の塗膜を形成することができる。また、上述した特定のアクリル樹脂を使用するため、例えば、5〜7μmのような薄膜の塗膜を形成した場合であっても、優れた耐酸性、耐アルカリ性等の耐薬品性、耐食性、密着性等の塗膜性能を有する塗膜を得ることができる。
【0020】
よって、本発明の電着塗料組成物を用いて電着塗装を行う場合、塗料液温度が変動しても、優れた塗膜性能を有する薄膜の塗膜を、金属基材上に均一な膜厚で形成することができる。従って、従来の電着塗装では、得られる膜厚がばらついても、耐食性、耐薬品性等の塗膜性能を有する塗膜を形成するため、10μm程度の比較的厚い膜厚の塗膜を形成することが必要であったが、本発明の電着塗料組成物を使用する場合には、このような問題を防止することができる。このため、上記電着塗料組成物を用いることにより、省資源化、省エネルギー化を実現することができる。また、塗料液温度の変動による膜厚への影響が少ないため、優れたライン安定性、塗装作業性を得ることができる。
【0021】
上記電着塗料組成物に含まれるアクリル樹脂は、溶解性パラメーター(SP値)が10.0〜11.0であり、かつ、ガラス転移温度(Tg値)が35〜55℃である。上記SP値及びTg値を有するアクリル樹脂を使用することにより、現在使用されている塗料の膜厚を単純に薄くするだけでは達成できなかった耐食性、耐酸性等の塗膜性能を5〜7μmのような薄膜でも良好な性能を維持することが可能となる。更に、上記アクリル樹脂を使用した場合、電着塗装時に発生するジュール熱等で塗料温度が変化し、一定の膜厚が得られないという問題点について、塗料温度5〜10℃程度変化しても一定の膜厚を得ることができる。このため、ライン安定性に優れ、塗装作業性に優れた塗料となる。
【0022】
上記アクリル樹脂において、SP値が10.0未満であると、アクリル樹脂の水分散性が低下するため、塗料製造が困難となる。SP値が11.0を超えると、耐酸性、耐アルカリ性等の耐薬品性や耐食性が低下するおそれがある。上記SP値は、10.4〜11.0であることが好ましく、10.5〜10.9であることがより好ましい。
【0023】
上記アクリル樹脂において、Tg値が35℃未満であると、塗膜硬度が低下するおそれがあり、また、塗料液温度の変動によって形成される塗膜の膜厚にばらつきが生じるおそれがある。55℃を超えると、フロー性が低下し、塗膜外観を悪化させるおそれがある。上記Tg値は、35〜50℃であることが好ましく、35〜45℃であることがより好ましい。
【0024】
上記アクリル樹脂のSP値、Tg値は、以下方法により算出した値である。
(1)アクリル樹脂の溶解性パラメーター(SP値)の算出方法
次式に基づき、使用単量体のδ値を求める。
このδ値は、ポリマーどうしの溶解性を見積もるための指標となるFedorsの溶解性パラメーター算出式(R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14[2]147(1974)具体的な数値は、例えば、材料技術研究協会編「実用版プラスチックのコーティング技術総覧」第97〜138頁に記載されている。)により得られる計算値である。
δ=(ΔE/V)1/2=(ΣΔe/ΣΔv1/2
ΔE:凝集エネルギー密度
V:モル体積
Δe:原子又は原子団の蒸発エネルギー
Δv:原子又は原子団のモル体積
【0025】
次いで、次式によりSP値を算出した。
アクリル樹脂のSP値=δ1×w1+δ2×w2+・・・・・・+δn×wn
上式中、δ1、δ2、・・・δnは算出された各モノマーのδ値、w1、w2、・・・wnは各モノマーのモノマー総量に対する質量分率を表す。
【0026】
(2)アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg値)の算出方法
使用モノマーのTg値は、例えば、北岡協三著、新高分子文庫7 塗料用合成樹脂入門(高分子刊行会)p168等の成書に記載されている値を用い、次式によりTg値を算出した。
アクリル樹脂の1/Tg値=1/Tg1×w1+1/Tg2×w2+・・・・・・+1/Tgn×wn
上式中、Tg1、Tg2、・・・Tgnは成書記載の各モノマーのTg値、w1、w2、・・・wnは各モノマーのモノマー総量に対する質量分率を表わす。
【0027】
上記アクリル樹脂は、側鎖にカルボキシル基及び水酸基を有するものである。
上記アクリル樹脂は、酸価15〜150mgKOH/gであることが好ましい。15mgKOH/g未満であると、樹脂の水分散性が劣り、均一な塗料を製造することができないおそれがある。150mgKOH/gを超えると、塗膜の耐食性、耐酸性等が不良となるおそれがある。上記酸価は、40〜80mgKOH/gであることがより好ましい。
【0028】
上記アクリル樹脂は、水酸酸基価30〜200mgKOH/gであることが好ましい。30mgKOH/g未満であると、硬化反応が充分に起こらず、本来の塗膜性能が得られないおそれがある。200mgKOH/gを超えると、未反応の水酸基が塗膜に残存し、耐食性、耐酸性等が不良となるおそれがある。上記水酸基価は、50〜150mgKOH/gであることがより好ましい。
【0029】
上記アクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が5000〜100000であることが好ましい。5000未満であると、塗膜性能が低下するおそれがある。100000を超えると、電着塗膜のフロー性が悪くなるため、塗膜外観を損なうおそれがある。より好ましくは10000〜50000である。
【0030】
上記アクリル樹脂は、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が6未満のものであることが好ましい。6以上であると、電着塗膜のフロー性が悪くなるため、塗膜外観を損なうおそれがある。より好ましくは3以下である。
なお、本明細書では、上記重量平均分子量Mw、上記数平均分子量Mnは、スチレンポリマーを標準とするGPC法において決定される値である。
【0031】
上記アクリル樹脂は、上記ラジカル重合性単量体1を10〜60質量%、上記ラジカル重合性単量体2を10〜65質量%、上記ラジカル重合性単量体3を0〜30質量%、上記ラジカル重合性単量体4を1.5〜25質量%及び上記ラジカル重合性単量体5を5〜50質量%からなる単量体組成物(単量体の合計が100質量%)を共重合することにより得られるものであることが好ましい。上記特定モノマーを特定配合で含むモノマー組成物を使用すると、塗料液温度が変化した場合の塗膜の均一性をより向上させることができる。また、優れた塗膜外観、付着性、耐食性、耐酸性、耐アルカリ性を得ることもできる。
【0032】
上記ラジカル重合性単量体1は、カルボキシル基及び水酸基を有さないδ値10.6以下かつTg値65℃未満である炭素数4〜20の炭素数4〜20の直鎖若しくは分岐型炭化水素基、又は、脂環式炭化水素基を有する単量体である。この単量体1の配合量が10質量%を下回ると塗膜が親水化され、耐酸性、耐アルカリ性等の耐薬品性や耐食性が低下するおそれがあり、また、60質量%を上回ると塗膜Tgが低下し塗料液温度の変動によって形成される塗膜の膜厚にばらつきが生じるおそれがある。本明細書において、ラジカル重合性単量体のδ値は、上述したFedorsの溶解性パラメーター算出式により得られる計算値である。また、ラジカル重合性単量体のTg値は、上述した塗料用合成樹脂入門等の成書記載の値である。
【0033】
上記ラジカル重合性単量体1としては、例えば、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロへキシルアクリレート等を挙げることができる。
【0034】
上記ラジカル重合性単量体2は、カルボキシル基及び水酸基を有さないδ値10.6以下かつTg値65℃以上である炭素数4以下の直鎖若しくは分岐型炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は、芳香族基を有する単量体である。この単量体2の配合量が10質量%以下の場合、塗膜Tgが低下し、塗料液温度の変動によって形成される塗膜の膜厚にばらつきが生じるおそれがある。また、配合量が65質量%を上回ると塗膜Tgが上昇しすぎて塗膜外観が不良となる。
【0035】
上記ラジカル重合性単量体2としては、例えば、イソプロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、α−メチルステレン、スチレン等を挙げることができる。
【0036】
上記ラジカル重合性単量体3は、カルボキシル基及び水酸基を有さない単量体であって、上記ラジカル重合性単量体1及び2以外の単量体である。即ち、上記ラジカル重合性単量体3とは、カルボキシル基及び水酸基を有さない単量体であって、かつ、上述した重合性単量体1及び2に属さない単量体を意味する。
【0037】
上記ラジカル重合性単量体3としては、例えば、エチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノブロビルメタクリルアミド、アクリロニトリル、グリシジルメタクリレート、塩化ビニル、リン酸エステルモノマー、スルフォン酸基含有モノマー等の上記ラジカル重合性単量体1、2に属さないモノマー、ヘテロ原子含有又はカルボン酸、水酸基以外の官能基を有するラジカル重合性単量体を挙げることができる。アミド系モノマーを共重合させた場合、アクリル樹脂同士で架橋反応が起こるため、架橋密度が高くなり、耐水性、耐薬品性等を改善することができる。
【0038】
上記アミド系モノマーの含有量は、上記アクリル樹脂を構成する全モノマー100質量%中に、20質量%以下であることが好ましい。20質量%を超えて共重合させても、更なる効果の改善が認められないおそれがあり、コスト高となるおそれがある。より好ましくは、10質量%以下である。
【0039】
上記ラジカル重合性単量体4は、カルボキシル基を有し、水酸基を有さない単量体である。上記ラジカル重合性単量体4は、アクリル樹脂の側鎖に、カルボキシル基を導入するための重合性モノマーであり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、クロトン酸、シトラコン酸等のビニル重合可能なα,β−不飽和脂肪酸、これらの混合物等を使用することができる。なかでも、アクリル酸、メタクリル酸を用いることが好ましい。
【0040】
上記ラジカル重合性単量体5は、水酸基を有し、カルボキシル基を有さない単量体である。上記ラジカル重合性単量体5は、アクリル樹脂の側鎖に水酸基を導入するための重合性モノマーであり、これを使用するのは、硬化剤との硬化膜を得るためである。具体的には、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、商標プラクセルFM1〜5及びFA1〜5(ダイセル化学)、これらの混合物等を使用することができる。なかでも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0041】
上記ラジカル重合性単量体1〜5は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明においては、上記ラジカル重合性単量体1〜5のそれぞれの含有量が、上記単量体組成物100質量%(固形分)中、上記範囲内であることにより、本発明の効果をより良好に得ることができる。上記ラジカル重合性単量体1〜5のそれぞれの含有量は、20〜60質量%(単量体1)、10〜50質量%(単量体2)、0〜20質量%(単量体3)、5〜20質量%(単量体4)、10〜30質量%(単量体5)であることがより好ましい。
【0042】
上記アクリル樹脂は、上述した重合性モノマーを用いて共重合することにより得ることができる。重合方法としては、特に限定されず、溶液重合、エマルジョン重合、懸濁重合等の公知の方法のいずれによって製造してもよい。なかでも、各モノマーと開始剤を添加して重合する溶液重合法により製造したものが好ましい。
【0043】
上記アクリル樹脂を調製する際に用いる開始剤としては、通常の合成に用いられるものがいずれも好適に用いられ、例えば、アゾ系化合物、ジスルフィド系化合物、スルフィド系化合物、スルフィン系化合物、ジアゾ系化合物、ニトロソ化合物、パーオキサイド系化合物等を挙げることができる。
【0044】
本発明の電着塗料組成物において、上記アクリル樹脂は、カルボキシル基をアルカリ性物質、例えば、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、アンモニア等で中和して水溶性の樹脂として用いればよい。中和した水溶性アクリル樹脂において、中和率は、30〜100%であることが好ましく、50〜80%であることがより好ましい。上記範囲である場合には、樹脂の水分散性が良好であり、得られる塗膜の光沢ムラが生じることを防止することができる。
【0045】
本発明の電着塗料組成物において、上記アクリル樹脂の含有量は、上記アクリル樹脂及び硬化剤の合計樹脂固形分100質量%中に、50〜80質量%であることが好ましい。50質量%未満であると、耐酸性、耐アルカリ性等の耐薬品性や耐食性が低下するおそれがあり、また、塗料液温度の変動によって形成される塗膜の膜厚にばらつきが生じるおそれがある。80質量%を超えると、硬化が不充分となり、塗膜性能が低下するおそれがある。
【0046】
上記電着塗料組成物に含まれる硬化剤としては特に限定されず、例えば、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物、これらの混合物等を挙げることができる。上記硬化剤として用いられるアミノ樹脂とは、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン等のアミノ化合物とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド化合物との縮合体にメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールを変性させて得た縮合体である。
【0047】
上記アミノ樹脂は、分子量が500〜2000のものが好ましい。水に溶解した際に溶けやすいものは、電着時の移行性が悪いため、好ましくない。従って、メタノール、エタノールのみで変性したものは水に溶けやすいため好ましくなく、通常メチル/ブチル混合エーテル変性タイプのメラミン樹脂が好適に用いられる。これらの例としては、商標サイメル235、238、285、232(三井サイテック株式会社製)の名前で販売されているメラミン樹脂等を挙げることができる。
【0048】
上記硬化剤として用いられるブロックイソシアネート化合物としては、1)トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、2)上記ジイソシアネート類とエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペントール等の多価アルコール類とを反応させて得られる2官能性以上のポリイソシアネート、3)上記1)のジイソシアネート類3モルを反応させて得られるイソシアヌレート結合含有3官能性イソシアネート、にブロック剤としてメチルエチルケトオキシム、アセトキシム等のオキシム系化合物、ε−カプロラクタム等のラクタム系化合物を反応させたものが好適に用いられる。更に反応性を改善するために必要に応じてジブチル錫ジラウレート等の錫系化合物を少量併用してもよい。また、硬化剤としては上記アミノ樹脂とブロックイソシアネート化合物の混合物を使用してもよい。上述した硬化剤のなかでも、本発明の効果を効果的に得られる点から、アミノ樹脂を用いることが好ましい。
【0049】
上記電着塗料組成物において、上記硬化剤の含有量は、上記アクリル樹脂及び硬化剤の合計樹脂固形分100質量%中に、20〜50質量%であることが好ましい。20質量%未満であると、充分な硬化反応が起こらないおそれがある。50質量%を超えると、塗膜が硬くなり過ぎ、密着性や柔軟性が低下するおそれがある。また、耐酸性、耐アルカリ性等の耐薬品性や耐食性が低下するおそれがあり、更に、塗料液温度の変動によって形成される塗膜の膜厚にばらつきが生じるおそれがある。
【0050】
本発明の電着塗料組成物は、必要に応じて一般に電着塗料に用いられるブチルセロソルブ等の溶剤、界面活性剤を添加することが出来る。
本発明の電着塗料組成物の調製方法は特に限定されず、従来公知の方法により調製することができ、例えば、アクリル樹脂をアルカリ性物質によって中和し、そこに硬化剤を加え、更に必要に応じて、有機溶剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤等の添加剤を添加し、混合した後、水分散することにより調製することができる。
【0051】
上記クリアーアニオン電着塗料組成物は、艶を有する塗料であることが好ましい。このような艶を有する塗料を用いて電着塗装を行うと、光沢を有する塗膜を得ることができる。
【0052】
本発明の電着塗料組成物は、様々な導電性の金属材料(鉄系基材、亜鉛系基材等)の電着塗装に用いることができる。特にアルミニウム、アルミニウム合金のアルミニウム基材の電着塗装に好適に適用することができる。このような基材に電着塗装を行った場合、本発明の効果を効果的に得ることができる。
【0053】
上述したクリアーアニオン電着塗料組成物を金属基材に電着塗装することによって塗膜を形成することができる。これにより、形成される塗膜は、薄膜であっても耐食性、耐薬品性、密着性に優れているものである。また、電着塗装において、電着浴内に塗料液温度の分布が存在しても均一な塗膜を形成することができる。このような塗膜形成方法もまた、本発明の1つである。
【0054】
上記塗膜形成方法において、上述したクリアーアニオン電着塗料組成物を用いた電着塗装には、従来行われている条件を用いればよく、特に限定されない。上記電着塗装は、塗料液の温度設定を15〜25℃の範囲内で変化させても塗膜厚にほとんど変化がなく、均一な膜厚の塗膜を安定して得ることができる。
【0055】
電着塗装の具体的な方法としては、例えば、塗料の温度を15〜25℃に保ち、50〜250Vの直流電圧を1〜5分間印加し、その後150〜180℃で焼き付け乾燥し、電着塗膜を完成させることができる。このような条件の場合には、優れた耐食性、耐薬品性、密着性を有し、均一な膜厚の塗膜を安定して得ることができる。
【0056】
上記塗膜形成方法において、金属基材は、上述したアルミニウム基材であることが好ましい。アルミニウム基材を用いた場合、上述した本発明の効果をより効果的に得ることができる。
【0057】
上記塗膜形成方法により形成される電着塗膜の乾燥膜厚は、5〜7μmであることが好ましい。上記塗膜形成方法により形成される電着塗膜は、薄膜であっても優れた耐食性、耐薬品性、密着性等の性能を有するものであるため、省資源化、省エネルギー化に寄与することができる。5μm未満であると、耐食性、耐薬品性、密着性等の性能が低下するおそれがある。7μmを超えても、耐食性、耐薬品性、密着性等の性能が大きく向上することはなく、省資源化、省エネルギー化に寄与することができないおそれがある。
【0058】
上記塗膜形成方法により形成される塗膜は、艶を有する塗膜(光沢を有する塗膜)であることが好ましい。
上記艶を有する塗膜が形成される場合において、その電着塗膜(艶を有する塗膜)の60度鏡面光沢度は、80以上であることが好ましい。これにより、艶を有する塗膜として好適に用いることができる。80未満であると、所望の外観が得られないおそれがある。より好ましくは、85以上である。上記範囲の60度鏡面光沢度を有する電着塗膜は、使用するクリアーアニオン電着塗料組成物、電着塗装条件を適切に選択することによって得ることができる。
【0059】
上記60度鏡面光沢度(Gs(60゜))とは、塗膜面に入射角60度の光源からの光を照射してその鏡面反射光束(ψs)を測定し、同一条件における屈折率n=1.567のガラス面の鏡面反射光束(ψos)を基準として、その比で表わした数値[Gs(60゜)=ψs/ψos×100(%)]であり、JIS Z8741の方法3に制定された方法で測定される値である。
上記60度鏡面光沢度は、Uni−Gross 60(ミノルタ社製)を用いて測定することができる。
【0060】
上記塗膜形成方法は、電着塗装時の塗料液温度の変化をΔT、ΔTの間における電着塗装により得られる塗膜の乾燥膜厚の変化をΔXとした場合、同一塗装条件において、|ΔX/ΔT|≦0.2となるように調整して行うことが好ましい。|ΔX/ΔT|>0.2である場合には、塗料液温度の変化に応じて膜厚が大きく変化するため、複数の基材や大型の基材を電着塗装した場合に、均一な膜厚を得ることができないおそれがある。|ΔX/ΔT|≦0.15となるように調整して行うことがより好ましい。使用するクリアーアニオン電着塗料組成物、電着塗装条件を適切に選択することによって、|ΔX/ΔT|≦0.2となるように調整して電着塗装を行うことができる。なお、上記同一塗装条件とは、塗料液温度以外の条件(印加電圧、電圧の印加時間、焼き付け・乾燥温度、焼き付け・乾燥時間等)が同一であることである。
【0061】
上記塗膜形成方法を|ΔX/ΔT|≦0.2となるように調整して行う場合、塗料液温度は15〜25℃であることが好ましい。また、50〜250Vの直流電圧を1〜5分間印加することが好ましい。更に、焼き付け、乾燥温度は150〜180℃であることが好ましい。このような条件の場合には、優れた耐食性、耐薬品性、密着性を有し、均一な膜厚の塗膜を安定して得ることができる。
【0062】
本発明のクリアーアニオン電着塗料組成物は、側鎖にカルボキシル基及び水酸基を有し、かつ、SP値10.0〜11.0、Tg値35〜55℃のアクリル樹脂と、硬化剤とを含有するものである。このため、上記電着塗料組成物を用いて電着塗装し、薄膜の電着塗膜を得た場合であっても、優れた耐食性、耐薬品性、密着性を有する塗膜を得ることができる。また、電着塗装の際に、塗料液温度が変化しても、得られる塗膜の膜厚のばらつきを極めて少なく抑えることができるため、電着浴中に塗料液温度の分布が存在する場合であっても均一な膜厚の電着塗膜を形成することができる。このため、優れた塗膜性能を有し、かつ、5〜7μmのような薄膜の電着塗膜をアルミニウム基材等の基材に均一に形成することができる。従って、上記電着塗料組成物を用いる場合には、塗料使用量を削減することができ、省資源化、省エネルギー化に寄与することができる。
【発明の効果】
【0063】
本発明のクリアーアニオン電着塗料組成物は、上述した構成よりなるので、優れた耐食性、耐薬品性、密着性を有する薄膜の塗膜を得ることができ、また、均一な膜厚の塗膜を得ることができる。更に、省資源化、省エネルギー化に寄与することができる。
【実施例】
【0064】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
【0065】
製造例 アクリル樹脂の合成
表1に示す配合で、以下に示す方法にてアクリル樹脂を合成した。
溶剤であるイソプロピルアルコール及びブチルセロソルブの所定量を反応容器に仕込み、90〜100℃に加熱し、緩やかに還流させながらモノマー、開始剤混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後1時間反応させた後、開始剤であるアゾイソプチロニトリル及びイソプロピルアルコールを1.5時間かけて滴下し、更に、2時間反応させた。得られたアクリルワニスの不揮発分、SP値、Tg値、水酸基価、酸価、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を表1に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
実施例1〜5及び比較例1〜5 水分散液(塗料)の調製
製造例で調製したアクリル樹脂ワニスとアミノ樹脂として商標サイメル235の名前で販売されているメラミン樹脂(三井サイテック社製、メチル/ブチル変性)を用いて実施例及び比較例の塗料を調製した。
【0068】
塗料の調製は、表2の配合に基づき、以下の手順で行った。
アクリル樹脂ワニス35.0質量部にトリエチルアミンを中和率が60%、すなわちカルボキシル基に対して0.6当量分となるよう添加し、10分間攪拌して均一に混合した。この中に、表2に記載した配合量のメラミン樹脂を加え、10分間攪拌した。攪拌を続けながら脱イオン水を徐々に加えて固形分10%の水分散液を調製し、電着塗装用塗料とした。
【0069】
【表2】

【0070】
電着塗装
6063Sアルミニウム合金板にアルマイト処理(アルマイト皮膜厚9μm)封孔処理(85℃の熱水に3分間浸漬)を施した板を、上記で調製した実施例及び比較例の塗料中へ浸け、100〜200Vの直流電圧を3分間印加して電着塗装した。その後180℃にて30分間焼付け、乾燥を行った。
【0071】
(塗膜性能試験)
上記電着塗装により得られたものについて、塗膜厚(μm、乾燥膜厚)、光沢値、塗膜の外観、付着性、耐食性、耐酸性及び耐アルカリ性(以上、電着時の塗料液温度20℃)を評価した。また、電着温度の違いによるを塗膜厚(μm)を評価した(電着時の塗料液温度15℃、20℃、25℃)。結果を表3に示した。
【0072】
塗膜の膜厚は、ミニテスト900N(エレクトロ・フィジック社製)により測定した。
塗膜の光沢値は、Uni−Gloss60(ミノルタ製)によって得られた塗膜の60度鏡面光沢度を測定した。
塗膜の外観は、目視により、以下の基準に従って判定した。
表面の凹凸なし;〇、表面に僅かに凹凸あり;△、表面にかなりの凹凸あり;×
塗膜の付着性、耐食性、耐酸性、耐アルカリ性試験はJIS H 8602、JIS K 5600に準じて行い、塗膜表面の状態を調べた。
【0073】
〔付着性〕
JIS H 8602 5.8に従い、試験片の塗膜面にカッターナイフの刃を用いて1mm間隔で縦横11本ずつの皮膜に達する線を引き、100個の碁盤目を作る。この上にJIS Z 1522に規定する幅12mmのテープを指で強く押し、はり付けてからすぐ真上の方向に強く引きはがす。このとき塗膜にはがれが認められないものを100/100とする。
【0074】
〔耐食性〕
JIS H 8602 5.10に従い、CASS耐食試験(使用溶液;5%塩化ナトリウム溶液、試験温度;50℃)を実施し、120時間後の塗膜状態を評価する。
〔耐アルカリ性〕
JIS H 8602 5.11に従い、20℃にて0.5%水酸化ナトリウム水溶液に塗膜を120時間接触後の状態を評価する。
〔耐酸性〕
JIS K 5600 6.1に従い、20℃にて5%硫酸水溶液に塗膜を120時間接触後の状態を評価する。
【0075】
【表3】

【0076】
実施例では、塗膜外観、付着性、耐食性、耐酸性、耐アルカリ性に優れた薄膜の塗膜を得ることができた。また、塗装時の塗料液温度が15〜25℃に変化しても得られる塗膜の膜厚のばらつきが極めて少なかった。この結果から、実施例の塗料は、優れた塗膜性能を有する均一な薄膜を形成することができるものであり、省資源化、省エネルギー化に寄与できるものであることが明らかとなった。一方、比較例では、耐食性、耐酸性、耐アルカリ性の性能に劣る塗膜が得られた。また、塗装時の塗料液温度が変化すると、得られる塗膜の膜厚のばらつきが大きかった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のクリアーアニオン電着塗料組成物は、アルミニウム基材等の金属基材に好適に適用することができるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側鎖にカルボキシル基及び水酸基を有するアクリル樹脂、並びに、硬化剤を含有するクリアーアニオン電着塗料組成物であって、
前記アクリル樹脂は、SP値10.0〜11.0、Tg値35〜55℃のものである
ことを特徴とするクリアーアニオン電着塗料組成物。
【請求項2】
硬化剤は、アミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネート化合物である請求項1記載のクリアーアニオン電着塗料組成物。
【請求項3】
アクリル樹脂は、重量平均分子量5000〜100000、分散度が6未満である請求項1又は2記載のクリアーアニオン電着塗料組成物。
【請求項4】
アクリル樹脂は、酸価15〜150mgKOH/g、水酸基価30〜200mgKOH/gのものである請求項1、2又は3記載のクリアーアニオン電着塗料組成物。
【請求項5】
アクリル樹脂は、ラジカル重合性単量体1を10〜60質量%、ラジカル重合性単量体2を10〜65質量%、ラジカル重合性単量体3を0〜30質量%、ラジカル重合性単量体4を1.5〜25質量%及びラジカル重合性単量体5を5〜50質量%からなる単量体組成物(合計100質量%)を共重合することにより得られるものであり、
前記ラジカル重合性単量体1は、カルボキシル基及び水酸基を有さないδ値10.6以下かつTg値65℃未満である炭素数4〜20の直鎖若しくは分岐型炭化水素基、又は、脂環式炭化水素基を有する単量体であり、
前記ラジカル重合性単量体2は、カルボキシル基及び水酸基を有さないδ値10.6以下かつTg値65℃以上である炭素数4以下の直鎖若しくは分岐型炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は、芳香族基を有する単量体であり、
前記ラジカル重合性単量体3は、カルボキシル基及び水酸基を有さない単量体であって、前記ラジカル重合性単量体1及び2以外の単量体であり、
前記ラジカル重合性単量体4は、カルボキシル基を有し、水酸基を有さない単量体であり、
前記ラジカル重合性単量体5は、水酸基を有し、カルボキシル基を有さない単量体である
請求項1、2、3又は4記載のクリアーアニオン電着塗料組成物。
【請求項6】
クリアーアニオン電着塗料組成物は、アルミニウム基材に適用するものである請求項1、2、3、4又は5記載のクリアーアニオン電着塗料組成物。
【請求項7】
クリアーアニオン電着塗料組成物は、艶を有する塗料である請求項1、2、3、4、5又は6記載のクリアーアニオン電着塗料組成物。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のクリアーアニオン電着塗料組成物を金属基材に電着塗装することを特徴とする塗膜形成方法。
【請求項9】
金属基材は、アルミニウム基材である請求項8記載の塗膜形成方法。
【請求項10】
乾燥膜厚5〜7μmの塗膜を形成する請求項8又は9記載の塗膜形成方法。
【請求項11】
艶を有する塗膜を形成する請求項8、9又は10記載の塗膜形成方法。

【公開番号】特開2006−348282(P2006−348282A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137947(P2006−137947)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【出願人】(504095379)STプロダクツ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】