説明

クリアーコートペイント組成物

1種以上のカルバマート官能性モノマー及び幾つかがカルボン酸官能性を有する(メタ)アクリルモノマーを含むモノマーの混合物の共重合生成物を含む被覆組成物。前記モノマー混合物は実質的にヒドロキシルモノマー不含である。前記被覆組成物は、溶媒性クリアーコート被覆組成物、有利には自動車のクリアーコート被覆組成物であることができ、前記組成物は、水性ベースコート被覆組成物上に設けられることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2004年10月1日に提出されたU.S通し番号10/957,568の一部継続出願であり、これは、2002年10月31日に提出されたU.S通し番号10/285,214の一部継続出願である。
【0002】
発明の背景
本発明は、熱硬化性クリアーコート組成物、特に、自動車のトップコートコーティングに関する。
【0003】
発明の背景
硬化可能な、又は熱硬化可能な、被覆組成物は、コーティング分野において幅広く使用され、特に自動車の及び工業的なコーティング産業におけるトップコートのために使用されている。ベースコート−クリアーコート複合コーティングは、ひときわ優れた光沢、色の深さ、画像識別性、又は特殊なメタリック効果が望まれているトップコートとして特に有用である。自動車産業は、自動車車体のパネルのために前記被覆を広範囲に使用している。自動車のクリアーコートは、多くの性能要求を満たさなくてはならない。前記クリアーコートは、所望の美的魅力を提供すべく平滑であってかつ光沢を有しなくてはならない。前記クリアーコートはまた、このコーティング外観の保持、及び、この鋼基材の保護の両方の目的のために、引掻及び擦傷、そしてまた日光中のUV光による分解、環境によるエッチング、そして熱に対して抵抗することで、耐久性を有しなくてはならない。
【0004】
カルバマート官能性材料は、架橋可能な樹脂として、被覆組成物中で特に利用性があることが見出されている。カルバマート官能性アクリルポリマーを含有するクリアーコート組成物は、他の被覆組成物、例えばヒドロキシ官能性アクリル/メラミン被覆組成物に対して、環境によるエッチングの問題に対する解決策として、顕著な利点を提供することができる。環境によるエッチング、又は、酸エッチングは、コーティング上又は中での斑点又はあとを生じ、これはしばしばこすりとることができない。
【0005】
カルバマート官能性材料を含有するかかるポリマー及び組成物が先行技術に対して顕著な改善を提供する一方で、いくつかの分野での改善はいまだ望まれている。特に、溶媒性ベースコートペイントにも同様に水性ベースコートペイントにも適用できる(go over)能力を示し、その一方でカルバマート官能性ポリアクリラートのこの有利な環境エッチング及び性能特性をもまだなお有するポリマーを提供することが有利である。
【0006】
従って、溶媒性の及び水性の能力の両方を有し、かつ、プラント中の、より典型的なコーティング技術を扱うべく形成された、存在する装置を用いて適用されることができる被覆組成物に関する必要性がいまだ存在する。このような被覆組成物は、それでも、所望の物理的特性を有する硬化されたコーティングを提供するべきである。
【0007】
本発明の要約
本発明の被覆組成物は、ヒドロキシルモノマーを実質的に含まないモノマー混合物の共重合生成物を含有する、クリアーコート被覆組成物、有利には自動車のクリアーコート被覆組成物である。有利な実施態様において、前記モノマー混合物は、1種以上のカルバマート官能性モノマー及び1種以上のカルボン酸官能性モノマーを含む。特定の実施態様において、前記共重合組成物は、重合可能なエステル又はエーテルとネオデカン酸との縮合生成物の1種以上のモノマー単位を含む。
【0008】
別の実施態様において、本発明は、クリアーコート組成物を製造する方法を提供する。前記方法は、1種以上のカルバマート官能性モノマーを、1種以上のカルボン酸官能性モノマーと一緒に含有するモノマー混合物を共重合させることを含み、その際この混合物は、実質的にヒドロキシルモノマー不含である。このクリアーコート被覆組成物は、ベースコートを有する基材に設けられる。前記組成物は次いで、複合層を形成すべく硬化される。
【0009】
更なる実施態様において、本発明は、溶媒性クリアーコートを用いて水性ベースコートを被覆するための方法を提供する。この方法は、基材に水性ベースコート被覆組成物を設けることを含む。溶媒性クリアーコート被覆組成物は、前記ベースコート組成物上に設けられる。この設けられたベースコート及びクリアーコート被覆組成物を次いで硬化させ、複合コーティング層を形成させる。有利な実施態様において、前記クリアーコート組成物は、1種以上のカルバマート官能性モノマー及び1種以上のカルボン酸官能性モノマーを含有するモノマー混合物と共重合させた、カルバマート官能性を有する(メタ)アクリラートモノマーの共重合生成物を含む。このモノマー混合物は、実質的に、ヒドロキシルモノマー不含である。
【0010】
本発明は更に、物品、例えば自動車両であって、本発明の被覆組成物に由来するコーティング、特に、ベースコート層及びクリアーコート層を有する複合コーティングで被覆された表面を有する自動車両、及び、基材上にかかるコーティング、とりわけベースコート/クリアーコート複合コーティングとしてのコーティングを製造する方法を提供し、その際本発明の被覆組成物は有利には、前記複合コーティングのクリアーコート少なくとも1種を形成する。
【0011】
発明の詳細な説明
有利な実施態様の以下の説明は、その性質において単に例示的なものであり、かつ、本発明、本出願、又はその使用を限定する意図はない。
【0012】
本願明細書において使用される場合に単数形は、この項目の「少なくとも1つ」が存在することを意味し、この項目の複数は、可能な場合には存在することができる。「約」は、数値に対して適用される場合には、計算又は測定により、値においていくらかのささいな不正確性が生じる可能性があることを意味する(前記値における正確さに幾らか近づいて;おおよそ又はこの数値にかなり近い;ほぼ)。幾つかの理由のために、「約」により提供されるこの不正確性がこの通常の意味合いで理解されない場合には、本願明細書において使用される場合の「約」は、この値中での5%までの可能性のある変動を示す。
【0013】
本発明のクリアーコート組成物は、カルバマート官能性を有する(メタ)アクリラートモノマーのコポリマーを含み、これは、他のアクリルモノマー又はメタクリルモノマー、有利にはカルボン酸官能性を有する他のアクリルモノマー又はメタクリルモノマーの混合物と共重合されたものである。このモノマー混合物は、実質的にヒドロキシル官能性不含である。「(メタ)アクリラート」との用語は、本願明細書において、アクリラート及びメタクリラートの両者を指す。ポリマーは、比較的低い分子量のオリゴマー及び比較的高い分子量のポリマーの両方を含む。「コポリマー」との用語は、1種より多くの種類のモノマーから重合されるオリゴマー及びポリマーを含むものと考慮される。
【0014】
「官能性」との用語は、本願明細書中で使用される場合には、ポリマー状エマルションの形成の後に、外部の架橋剤と架橋が生じるための潜在性を指すと理解される。
【0015】
本発明によるカルバマート基は、
【化1】

[式中、R′はH又はアルキルである]の構造により示されることができる。有利にはR′はH又は、1個〜約4個の炭素原子のアルキル、より有利にはR′はHである(第一級カルバマート)。
【0016】
有利な一実施態様において、本発明の被覆組成物のコポリマーは、エチレン性不飽和カルボン酸基、及び、9〜11個の炭素原子を有し、α炭素に少なくとも1つのメチル基を有する第三級酸の混合物のグリシジルエステルの縮合生成物を含む少なくとも1種のモノマー単位を有する。代わりの有利な一実施態様において、少なくとも1種のモノマー単位は、重合可能なグリシジルエステル又はエーテルと、9〜11個の炭素原子を有する、少なくとも1つのメチル基をα炭素に有する第三級酸の混合物との縮合生成物の重合生成物を含む。9〜11個の炭素原子を有する、少なくとも1つのメチル基をα炭素に有する第三級酸の混合物は、商標VERSATICTM 酸で入手可能であり、かつ、VERSATICTM 酸のグリシジルエステル(一般的にはネオデカン酸と呼ばれる)は、Shell Oil Companyからの商標名CARDURA(R) Resin E-10 で入手可能である。重合可能な酸の例は、限定することなしに、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、及びイタコン酸、及び、この二官能性酸の無水物及びモノアルキルエステルを含む。重合可能なグリシジルエステル及びエーテルの例は、限定すること無しに、グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、及びアリルグリシジルエーテルを含む。
【0017】
有利なアクリルポリマーに関して特に言及すると、このカルバマート官能性は、カルバマート基を有するモノマーの重合により適当に導入されていてよい。重合後に反応してカルバマート基を供給することができる官能性を有するモノマーと重合することも可能である。カルバマート官能性を有する付加重合可能なモノマーの例は、限定すること無しに、カルバマートプロピルアクリラート(CPA)、カルバマートプロピルメタクリラート(CPMA)及びカルバマートエチルメタクリラート(CEMA)を含む。カルバマート官能性は、数々の反応によりアクリルポリマーに導入されることができ、この反応は、限定すること無しに、ヒドロキシル基をカルバマート基へと他の方法により変換させることを含み、例えばこの方法は、Ohrbom et al, U.S.特許公報6,160,058号及びMcGee et al., U.S.特許公報5,726,244号中に示され、これらの両者は、参照することにより、本願明細書中に組み込まれる。ヒドロキシル基は、グリシジル官能性とカルボン酸との反応又はカルボン酸基とグリシジル化合物との反応から生じてよい。
【0018】
有利な一実施態様において、前記アクリルポリマーは、約650g/当量までの、より有利には約520g/当量までの、更により有利には約435g/当量までの、より有利には約370g/当量までの、最も有利には約350g/当量までの、当量質量(カルバマート官能性に関して)を有する。アクリルポリマーは有利には、少なくとも約260g/当量、より有利には少なくとも約290g/当量、そしてより有利には少なくとも約310g/当量の当量質量(カルバマート官能性に関して)を有する。アクリルポリマーは有利には、260〜650g/当量、より有利には290〜520g/当量、更により有利には290〜435g/当量、更によりいっそう有利には290〜370g/当量、最も有利には310〜350g/当量の範囲内の当量質量を有する。
【0019】
様々な実施態様において、本発明は、少なくとも1種のカルボン酸官能性モノマー、又は、重合後に酸基に変換される基、例えば無水物基を有する少なくとも1種のモノマーを含むモノマー混合物の重合を提供する。酸官能性又は無水物官能性モノマーの例は、限定すること無しに、3〜5個の炭素原子を含有するα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、及び場合により、これらの酸のエステル;4〜6個の炭素原子を含有するα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸、及びこの無水物、モノエステル、例えば無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、及びフマル酸、及び場合により、これらの酸のジエステル;カルボキシル基を含有するモノマー:ソルビン酸、ケイ皮酸、ビニルフロ酸、α−クロロソルビン酸、p−ビニル安息香酸、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、アトロパ酸、及びイタコン酸;及び共重合可能なモノマーの酸官能性誘導体、例えば、無水物、例えばコハク酸のヒドロキシエチルアクリラート半エステルを含む。他の有利な半エステルは、1〜6個の炭素原子を含有する低級アルキルエステル、例えばイタコン酸モノメチルエステル、ブチル酸イタコナート、メチル酸フマラート、ブチル酸フマラート、メチル酸マレアート及びブチル酸マレアートを含む。
【0020】
様々な実施態様において、酸官能性モノマーは有利には、重合されるモノマーの質量に対して約5%〜約25%、有利には重合されるモノマーの質量に対して約12%〜約25%の量で含有される。
【0021】
酸官能性はまた、他の公知の手段により、例えばヒドロキシル基と環式無水物との反応又はエステルの加水分解により、例えばtert−ブチルメタクリラートモノマー単位の加水分解により供給されてもよい。代わりに、酸官能性モノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、又はクロトン酸、又は、無水物モノマー、例えば無水マレイン酸又は無水イタコン酸(これらは酸基を生じるべく重合後に水和化されてよい)が含有されることが有利であってよい。
【0022】
アクリルポリマーは、更なるコモノマーを用いて重合されてよい。アクリル酸、メタクリル酸及びクロトン酸の適したエステルの更なる代表的な例は、限定すること無しに、1〜20個の炭素原子を有する飽和された脂肪族及び脂環式アルコールとの反応からのエステル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、テトラヒドロフルフリル、ステアリル、スルホエチル、及びイソボルニルアクリラート、メタクリラート、及びクロトナートを含む。他のエチレン性不飽和の重合可能なモノマーの代表的な例は、限定すること無しに、化合物、例えばフマル酸無水物、マレイン酸無水物及びイタコン酸無水物、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノート、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及びtert−ブタノールとのモノエステル、及びジエステルを含む。ビニルモノマーの重合の代表的な例は、限定すること無しに、化合物、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、例えばビニルエチルエーテル、ビニル−及びビニリデンハロゲン化物、及びビニルエチルケトンを含む。芳香族又は複素環式の脂肪族のビニル化合物の代表的な例は、限定すること無しに、化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、tert−ブチルスチレン、及び2−ビニルピロリドンを含む。前記コモノマーは、任意の組み合わせにおいて使用されてよい。
【0023】
アクリルポリマー又はポリマー類は、慣用の技術を用いて、例えば、重合開始剤及び場合により連鎖移動剤の存在下での前記モノマーの加熱により調整されてよい。重合は有利には、溶液中で実施されるが、前記アクリルポリマーを塊状重合することも可能である。
【0024】
溶媒又は溶媒混合物は一般的には、反応温度に加熱され、かつ、前記モノマー及び開始剤及び場合により連鎖移動剤は、制御された速度で一定期間、典型的には約2時間から約6時間にわたり添加される。この重合反応は通常は、約20℃〜約200℃の温度で実施される。この反応は、溶媒又は溶媒混合物が還流する温度で適当に実施されてよいが、この還流を下回る温度が適した制御により維持されてよい。開始剤は、反応が実施される温度と適合するように選択されるべきであり、この結果、この温度での開始剤の半減期は有利には、約30分間より長くなく、より有利には約5分間より長くない。付加的な溶媒が並行して添加されてよい。この混合物は通常は、この添加が完了した後にこの反応温度に、この重合の終了のための間維持される。場合により、更なる開始剤は、モノマーのポリマーへの完全な変換を保証するために添加されてよい。
【0025】
典型的な開始剤は、有機過酸化物、例えばジアルキルペルオキシド、例えばジ−t−ブチルペルオキシド、ペルオキシエステル、例えばt−ブチルペルオクトアート及びt−ブチルペルアセタート、ペルオキシジカルボナート、ジアシルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、及びペルオキシケタール;アゾ化合物、例えば2,2′−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)及び1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボンニトリル);及びこれらの組み合わせである。典型的な連鎖移動剤は、メルカプタン類、例えばオクチルメルカプタン、n−又はtert−ドデシルメルカプタン;ハロゲン化化合物、チオサリチル酸、メルカプト酢酸、メルカプトエタノール、及びダイマーのα−メチルスチレンである。
【0026】
アクリルポリマー又はポリマー類は、少なくとも約2400、有利には少なくとも約3000、より有利には少なくとも約3500、特に有利には少なくとも約4000の質量平均分子量を有することが望ましい。質量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィにより決定されてよい。更に、質量平均分子量は有利には約5000まで、より有利には約4750まで、更により有利には約4500までである。
【0027】
制御された揮発性有機化合物(VOCs)不含である水性被覆組成物が有利であるものの、溶媒は場合により、本発明の実施において使用される被覆組成物中で利用されてよい。一般に、溶媒は、任意の有機溶媒及び/又は水であることができる。1つの好ましい実施態様において、溶媒は、極性の有機溶媒を含む。よりいっそう好ましくは、溶媒は、極性の脂肪族溶媒又は極性の芳香族溶媒から選択された1つ以上の有機溶媒を含む。なおよりいっそう好ましくは、溶媒は、ケトン、エステル、アセテート、非プロトン性アミド、非プロトン性スルホキシド又は前記の任意の組合せを含む。有用な溶媒の例は、制限なしに、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセテート、エチレングリコールブチルエーテル−アセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、N−メチルピロリドン、芳香族炭化水素のブレンド、及びこれらの混合物を含む。別の好ましい実施態様において、溶媒は、水又は水と少量の補助溶媒との混合物である。
【0028】
一般的に、前記補助溶媒は、揮発性材料の全量(即ち、水足す有機溶媒)に対して約50質量%までであることができる水混合性有機溶媒である。有利な一実施態様において、水は、揮発性材料の全量に対して、少なくとも約10質量%、より有利には少なくとも約15質量%、より有利には少なくとも約20質量%、更にいっそう有利には少なくとも約25質量%である。
【0029】
前記被覆組成物の有機相は、十分な量のカルボン酸及びカルバマート官能性を有するポリマー及び、水のコロイド状エマルションを形成すべく十分な量の水混合性有機溶媒を含有する。この有機相は更に、低く水素結合する酸素添加された溶媒を含み、これは有利には、前記被覆組成物の粘度を減少させる。
【0030】
有利な一実施態様において、前記被覆組成物は、200センチポワズ以下の粘度を有する。この粘度の被覆組成物は、典型的な高い固形物コーティング技術で使用されるものと同じ適用装置を用いて、設けられることができる。これに応じて、アクリルポリマー又は他のポリマーを調整すべく使用されるモノマーは、所望の粘度を達成すべく選択及び配分され、かつ、これとの関連において、前記ポリマー及び水混合性溶媒又は溶媒ブレンドの分子量は同様に、所望の粘度を達成すべく選択される。
【0031】
この被覆組成物の揮発性有機含分(VOC)は、EPA法24に応じて測定した場合に、有利には約3.5Ibs./gal.又はそれ未満、より有利には約3.2Ibs./gal.又はそれ未満、より更に有利には約3.0Ibs./gal.又はそれ未満(水無しで)である(ここで使用されるVOC値は、水無しで計算されたものである)。VOCは、最小限の量の有機溶媒を、所望の粘度を得るための最大限の量の水と一緒に使用することにより、可能な限り最小限にされる。
【0032】
前記被覆組成物は有利には、硬化されたコーティングを形成すべく被覆組成物が設けられた後にアクリルポリマーと反応する架橋剤1種以上を含有する。前記組成物は有利には、カルバマート官能性と反応性である少なくとも1種の架橋剤を含有する。前記架橋剤は、ポリマーと反応性である2つ以上の基を有し、かつ前記架橋剤は有利には、水に対して親和性を有する。即ち、前記架橋剤は有利には、1つ以上の極性基を有する。水のための親和性の無い特定の量の架橋剤が含有されてもよい。
【0033】
架橋剤は、モノマー状、オリゴマー状、又はポリマー状であってよい。適した架橋剤の例は、限定すること無しに、アミノプラスト架橋剤を含む。前記アミノプラスト架橋剤は有利には、モノマー状であり、有利には部分的にアルキル化された、特に有利には部分的にメチル化された、メラミンホルムアルデヒド樹脂である。イミノ含分を有するメラミンホルムアルデヒド樹脂も有利である。
【0034】
前記クリアーコート組成物は有利には、架橋剤を、非揮発性ビヒクルに対して少なくとも約10質量%、より有利には少なくとも約15質量%含有する。「非揮発性のビヒクル」は、被膜形成成分を指す。好ましい実施態様において、架橋剤は、非揮発性のビヒクル少なくとも約5%、よりいっそう好ましくは少なくとも約10%である。また、架橋剤は、非揮発性のビヒクルの質量に対して、約40%まで、よりいっそう好ましくは約30%までが好ましい。架橋剤は、好ましくは非揮発性のビヒクルの質量に対して、約5%〜約40%、よりいっそう好ましくは約10%〜約35%、なおよりいっそう好ましくは約15%〜約35%である。
【0035】
前記クリアーコート被覆組成物は、硬化反応を促進するために1種以上の触媒を含有してよく、かつ有利には、少なくとも1種のアミノプラスト硬化剤反応のための触媒及び1種のポリイソシアナート硬化剤反応のための触媒を含有してよい。アミノプラスト硬化剤反応のための適した触媒は、限定すること無しに、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、及びアルキルアリールスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸;リン酸及びそのエステル、例えばフェニル酸ホスファート、ブチルホスファート、及びヒドロキシホスファートエステル;モノブチルマレアート、三フッ化ホウ素エチラート、トリメリット酸及びトリフルオロメタンスルホン酸(triflic acid)を含む。強酸触媒は、しばしば、例えばアミンでブロック化されている。
【0036】
更なる剤、例えば界面活性剤、安定剤、湿潤剤、レオロジー制御剤、充填剤、顔料、着色剤、殺微生物剤、分散剤、接着促進剤、UV吸収剤、立体障害アミン光安定剤、及び、コーティング処方の分野での当業者に公知の類似の剤は、含有されてよく、かつ、本発明の範囲内として考慮されてよい。かかる添加剤が先行技術において良く知られている一方で、使用される量は、このコーティング特性に負に作用することを回避すべく制御されなくてはならない。
【0037】
有利な一実施態様において、本発明の被覆組成物は、自動車両のための被覆組成物である。自動車の被覆組成物の種類のうち、プライマー及びプライマーサーフェーサー、トップコート、ベースコート及びクリアーコートである。クリアーコートが特に有利である。
【0038】
塗料は、この分野でよく知られた数多くの任意の技術によって物品上に被覆されてよい。この技術は、例えば噴霧塗布、浸漬塗布、ロール塗布、流し塗等を含む。自動車車体のパネルには、噴霧塗布が好ましい。
【0039】
様々な態様において、前記被覆組成物は、複合体のカラープラスクリアーコーティングのクリアーコートとして使用される。クリアーコートがその上に塗布される顔料着色されたベースコート組成物は、任意の数多くの、この分野でよく知られた種類であることができ、本明細書中で詳細な説明は不要である。ベースコート組成物中で有用である、この分野で公知のポリマーは、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキド及びポリシロキサンを含む。好ましいポリマーは、アクリル樹脂及びポリウレタンを含む。本発明の1つの好ましい実施態様において、ベースコート組成物もカルバマート官能性アクリルポリマーを利用している。ベースコートポリマーは、熱可塑性であってよいが、しかし、好ましくは架橋性であり、1つ以上の種類の架橋性官能基を有する。かかる基は、例えばヒドロキシ、イソシアナート、アミン、エポキシ、アクリラート、ビニル、シラン、及びアセトアセタート基を含む。これらの基は、所望の硬化条件下、一般的には高められた温度で、ブロック解除され、架橋反応のために使用可能となるように、マスク又はブロックされていてよい。有用な架橋性官能基は、エポキシ基、酸基、無水物基、シラン基及びアセトアセテート基を含む。好ましい架橋性官能基は、ヒドロキシ官能基、酸官能基及びアミノ官能基を含む。
【0040】
ベースコートポリマーは、自己架橋性であってもよいし、ポリマーの官能基と反応する別個の架橋剤を必要としてもよい。ポリマーがヒドロキシ官能基を有する場合には、例えば架橋剤は、アミノプラスト樹脂、イソシアネート及びブロック化されたイソシアネート(イソシアヌレートを含む)、ならびに酸又は無水物官能性架橋剤であることができる。
【0041】
クリアーコート被覆組成物は、一般に工業界で広範囲に行なわれているようにベースコート塗膜上にウェット・オン・ウェット塗布される。有利な一実施態様において、本発明は、溶媒性クリアーコートで水性ベースコートを被覆するための方法を提供する。様々な実施態様において、基材は最初にプライマー、例えば、この分野で公知の導電性プライマーコーティングで被覆される。水性ベースコート被覆組成物は、このプライマー処理された基材上に設けられ、かつ、短期間フラッシュされてよい。溶媒性クリアーコート被覆組成物は、次いで、前記ベースコート組成物上に設けられる。前記クリアーコートコーティングは、複合コーティング層を形成するための焼付け及び硬化前に、短期間フラッシュされることができる。
【0042】
本願明細書中に記載された被覆組成物は、好ましくは塗料層を硬化させるような条件に晒される。種々の硬化方法が使用されてよいけれども、熱硬化が好ましい。一般に、熱硬化は、塗布された物品を、主に放射熱源によって提供される高められた温度に晒すことによって行なわれる。硬化温度は、架橋剤中で使用される特定のブロッキング基に依存して変動するが、一般的にはこの温度は90〜180℃の範囲にある。有利な一実施態様において、硬化温度は、ブロックされた酸触媒系のために有利には、115〜150℃、より有利には115℃〜140℃の温度にある。ブロックされていない酸触媒系のためには、この硬化温度は有利には80〜100℃である。この硬化時間は、使用される特定の成分及び、物理的パラメーター、例えば層厚に依存して変動し、しかしながら、典型的な硬化時間は、ブロック化された酸触媒系のために15〜60分間、有利には15〜25分間、そして、ブロック化されていない酸触媒系のために10〜20分間の範囲にある。硬化時間は、金属時間が焼付温度(「金属温度」)に到達した後の時間として表現されてもよい。例えば、硬化時間は、5〜30分間、好ましくは10〜20分間であってよい。
【0043】
硬化されると、本発明の、水性ベースコート上の溶媒性クリアーコート複合体は、高いエッチング性能及び補修接着を有する皮膜を生じる。先行技術における類似の処方物とは異なり、本発明は、最小限の曇りを有し、かつ、しわを実質的に有しない、組み合わされた水性ベースコート−溶媒性クリアーコート配合物を提供する。
【0044】
前記クリアーコート被覆組成物は、更なるカルバマート官能性化合物を含んでよい。かかるカルバマート官能性化合物は、限定すること無しに、 U.S.特許公報 No. 6,160,058, 6,084,038, 6,080,825, 5,994,479中に説明された任意のものを含み、これらの公報の開示は参照により組み込まれる。特に、前記組成物は、少なくとも2つの官能基を含有する、カルバマート官能性又は尿素官能性の材料を含んでよく、これらの基のうち少なくとも1つは、カルバマート又は尿素基であり、これらは(1)エポキシ基を有する化合物と有機酸基を有する化合物との間での開環反応の結果である第1の化合物のヒドロキシル基と(2)シアン酸又はカルバマート又は尿素基含有化合物との反応生成物である。
【0045】
前記被覆組成物は、更なる樹脂性材料を含有してよく、例えば、Ohrbom et al., U.S.特許公報6,165,618号; Green et al., U.S.特許公報5,872,195号; McGee et al., U.S.特許公報5,854,385号; Green et al., U.S.特許公報5,852,136号; Ohrbom et al., U.S.特許公報5,827,930号; Menovcik et al., U.S.特許公報5,792,810号; McGee et al., U.S.特許公報5,770,650号; Ohrbom et al., U.S.特許公報5,766,769号; Bammel et al., U.S.特許公報5,760,127号; Menovcik et al., U.S.特許公報5,744,550号; Rehfuss et al., U.S.特許公報5,719,237号; Green, U.S.特許公報5,693,724号; Green, U.S.特許公報5,693,723号; Menovcik, U.S.特許公報5,659,003号; Briggs, U.S.特許公報5,639,828号; Rehfuss et al., U.S.特許公報5,336,566号; Ohrbom et al., U.S.特許公報6,541 ,594号; 及びOhrbom et al., U.S.特許公報6,362,285号中に説明されたカルバマート官能性材料の1種以上であり、この各材料は、参照により本願明細書に組み込まれる。カルバマート官能性材料は、化合物又はオリゴマーであることができる(即ち、10個程度までの繰り返しモノマー単位を有する)。有利には、カルバマート官能性材料は、分子量(化合物のため)、又は、数平均分子量(オリゴマーのため)約2000まで、有利には約1800までを有する。
【0046】
プライマー及びプライマーサーフェサー組成物は、更に、1種以上の顔料及び典型的には1種以上の充填剤を含んでよい。ベースコート及び一層トップコート組成物は更に、1種以上の着色顔料及び/又は1種以上の特殊効果顔料(メタリックフレーク顔料及び真珠泊顔料を含む)を含む。クリアーコート組成物は、着色されていてよい。
【0047】
本発明を以下の実施例において更に説明する。実施例は単に例証するものであって、記載し請求した本発明の範囲を限定するものではない。
【0048】
カルバマートモノマーを有するアクリルポリマー(溶媒性):
ポリマー1
【表1】

1 Cardura(R) Eは、分枝した脂肪族グリシジルエーテルであり、Shell Oil Companyから購入。
第1表
140℃に維持した、Cardura(R) E74.1g及びAromatic 100溶媒37gを含有する反応器に、キシレン33,3g中の、メタクリル酸24.7g、シクロヘキシルメタクリラート17.8g、カルバマートプロピルアクリラート(CPA)87g、及びVazo(R) 67(E.I. DuPont de Nemoursから)17.3g及びトルエン10gを3時間かけて添加した。添加後、この反応器を、更なる2時間140℃に維持し、この反応を終了させた。この反応器を次いで120℃に冷却し、溶媒を真空下でストリッピングした。この99+固形の樹脂に対して、プロプレングリコールメチルエーテル78gを添加し、49℃の理論Tg(Foxの方程式を用いて決定)を有する固形物67.3%の樹脂溶液を形成した。この分子量(ポリスチレン標準に対して測定)は、多分散性2.1を有する、おおよそMn2195、Mw4620であることが見出された。滴定により、50%のこの酸及びエポキシドが反応したことが判明した。
【0049】
酸官能性を有するカルバマート化ポリアクリラートは、Cardura(R) Eと、これと架橋剤及び添加剤とのブレンド前に反応されていることができること、又は、Cardura(R) Eは、この組成物の硬化の間に酸官能性でもって反応する添加剤として添加されていることができることが理解されるべきである。
【0050】
ポリマー2
【表2】

第2表
アミルアセタート75gを含有する反応器に100℃で、アミルアセタート25g中のカルバマートプロピルアクリラート(CPA)91.6g、2−エチルヘキシルアクリラート73.3g、アクリル酸87.5g、スチレン76g、n−ブチルアクリラート75gの混合物、及び、アミルアセタート75g中のtert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノアート75gの混合物を3時間にわたり添加した。添加後、この反応器を、更なる2時間100℃に維持し、この反応を終了させた。この混合物を次いで80℃に冷却し、そして、更なるアミルアセタート250gを添加し、22.8℃の理論Tg(Foxの方程式を用いて決定)を有する、332g/酸の当量を有する、固形物46.5%での樹脂溶液を形成した。この分子量(ポリスチレン標準に対して測定)は、多分散性1.7を有する、おおよそMn3240、Mw5640であることが見出された。
【0051】
クリアーコート例1:Cardura(R) Eを含有するHPC樹脂
【表3】

第3表
クリアーコート例2:HPCアクリル樹脂
【表4】

第4表
クリアーコート処方物
第3表及び第4表は、2種のクリアーコート組成物を提供する。クリアーコート例1(第3表)は、Cardura(R) Eを含有するHPCアクリル樹脂を提供する;クリアーコート例2(第4表)は、Cardura(R) Eの添加無しのHPCアクリル樹脂を提供する。これらの高い固形物カルバマートクリアーコートは、以下のとおり処方された。このカルバマート官能性アクリル樹脂は、空気混合機を備えた、適した容器中で、メラミン及びレオロジ−分散剤と組み合わせられた。UV吸収剤、立体障害アミン光安定剤、流動助剤、及び酸触媒を撹拌下で添加した。この試料を、80°Fで#4 Ford Viscosity Cupで35秒間の噴霧粘度に減少させ、非揮発性物質の質量をASTM D2369に応じて決定した(110°で1時間)。
【0052】
第5表は、比較による、クリアーコート例1及び2と対照としてのUreGloss(R)カルバマートクリアーコート(BASF Corporationから入手可能)を用いて得られる、様々なペイント試験結果の比較を提供する。各試験の詳細は以下のとおりである。この結果により示されるとおり、本発明のクリアーコート組成物は、要求される硬度及びエッチング特性を、傑出して少ない黄色化と共に有するクリアーコート皮膜を提供する。
【0053】
比較ペイント試験結果
【表5】

第5表
パネル調整
クリアーコート試料は全て、空気霧吹きスプレーガンを介して、慣用の黒色の水ベースのベースコート上にウェット・オン・ウェット式に設けられ、これは4×12インチにわたり電着かつプライマー処理された鋼パネルに吹付けられている。この水ベースのベースコートを、クリアーコートが設けられる前に、5分間140°Fでフラッシュさせた。このベースコート皮膜厚は、約0.7ミル(18ミクロン)、そしてクリアーコート皮膜塗り厚は約1.8〜2.0ミル(46〜51ミクロン)である。設けた後に、このパネルを雰囲気温度で10分間フラッシュさせ、次いでガスを燃料とする対流炉中で20分間、275°F(129°)の金属温度で焼き付けた。
【0054】
140°QCT
クリーブランド凝縮湿度(Cleveland Condensing Humidity)のためのパネルを140°Fの温度及び相対湿分100%に24時間、標準的なQCTキャビネット中でかけた。このキャビネットから取り出した直後に、これらを、白化又は白色化及びふくれの徴候について評価した。この皮膜から水を逃がすための4時間の回収後に、このパネルを再度評価した。第8表において使用されるとおり、目盛りは1〜5であり、1を最良とする。
【0055】
補修接着(Repair Adhesion)
各クリアーコートの2つのOEMパネルを、4×18電着鋼パネル上に吹付けた。この水性ベースコートを、約0.7ミルで、そしてクリアーコートは、上部から下部に0〜2.5ミルのくさびに設けた。1つのパネルを15分間260°Fで、そして第2のパネルを90分間300°Fで焼き付けた。補修コーティングを次いで、約0.7ミルのベースコート及び1.8〜2ミルのクリアーコートからなる各パネルに設けた。前記パネルを次いで20分間275°Fで焼き付けした。このくさびの完全長に斜交平行線をつけ、3M 610を設けかつ剥離した。接着した補修コートのパーセンテージを記録した。
【0056】
ナノスクラッチ
ナノスクラッチ試験を、ASTM D01 Nanoscratch WK2220(評価下)に規定されるとおり実施した。13より大きい破壊負荷及び0.35より少ない塑性変形は、クラス1の引掻及び擦傷抵抗性コーティングを意味する。
【0057】
クロックメーター
クロックメーター方法は、各4×12の被覆されたパネルの3点での初期光沢を決定する。このパネルを引き続き、この領域で、3Mの9μmの研磨紙を用い、機械的に駆動されたAATCC Atlas Crockmeterを使用して擦傷させた。20°の光沢(ASTM D523)を、光沢計を用いて、このパネルの非擦傷部位及びこのパネルの擦傷部位の両者で測定した。光沢における相違は、擦傷抵抗性の尺度である。この相違が小さいほど、擦傷抵抗性はより大きい。光沢維持のパーセンテージを、以下の式により計算した:光沢維持パーセント=[(光沢における相違)/(初期光沢)]×100。このパーセントの光沢維持率が大きいほど、擦傷抵抗性はより大きい。
【0058】
黄色化
各クリアーコートの2つのプラックを、正確に2ミルの皮膜塗り厚で4×12パネルに吹付け、前記パネルは、プライマー処理され、かつ、標準的な1ミル層厚での白色水性ベースコートで被覆されている。1つのパネルを25分間275°Fで焼き付け、かつ他方を90分間300°Fで焼き付けた。各パネルのためのこの黄色化(b値)を、比色計で測定し、通常の焼き付けのものとオーバーベーキングのパネルとの間での相違を記録した。相違が少ないほど好ましい。
【0059】
本発明は、この有利な実施態様を参照して詳細に説明されてきた。しかしながら、変動及び修飾が、本発明の意図及び範囲内において為されることができるが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のカルバマート官能性モノマー及び1種以上のカルボン酸官能性モノマーを含有するモノマー混合物の共重合生成物を含有し、その際前記混合物は実質的にヒドロキシモノマー不含である、被覆組成物。
【請求項2】
更に、カルバマート官能性と反応性である少なくとも1種の架橋剤を含有する、請求項1記載の被覆組成物。
【請求項3】
前記架橋剤が、アミノプラスト樹脂を含む、請求項2記載の被覆組成物。
【請求項4】
前記共重合生成物が更に、重合可能なエステル又はエーテルと、ネオデカン酸との縮合生成物のモノマー単位1種以上を含有する、請求項1記載の被覆組成物。
【請求項5】
前記の重合可能なエステル又はエーテルが、少なくとも1種のグリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、アリルグリシジルエーテル、及びこれらの混合物を含む、請求項4記載の被覆組成物。
【請求項6】
基材上にクリアーコート層を製造する方法において、
1種以上のカルバマート官能性モノマーを1種以上のカルボン酸官能性モノマーと一緒に含有するモノマー混合物を共重合させることによりポリマーを製造する工程、その際前記混合物は実質的にヒドロキシルモノマー不含である、
前記ポリマー及びアミノプラスト架橋剤を含有するクリアーコート被覆組成物を調整する工程、
前記クリアーコート被覆組成物をベースコートを有する基材に設ける工程、及び
この組成物を硬化させる工程を含む、基材上にクリアーコート層を製造する方法。
【請求項7】
前記モノマー混合物が更に、重合可能なグリジジルエステル又はエーテルと第三級酸の混合物との縮合生成物を含有する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第三級酸が、9〜11個の炭素原子を有し、α−炭素に少なくとも1つのメチル基を有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記の重合可能なグリシジルエステル又はエーテルが、少なくとも1種のグリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、アリルグリシジルエーテル、及びその混合物を含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
重合可能なグリシジルエステル又はエーテルと第三級酸の混合物との縮合生成物が、架橋剤の添加前に存在する、請求項7記載の方法。
【請求項11】
重合可能なエステル又はエーテルと第三級酸の混合物との縮合生成物が、硬化の間に形成される、請求項7記載の方法。
【請求項12】
水性ベースコートを溶媒性クリアーコートで被覆する方法であって、
水性ベースコート被覆組成物を基材上に設ける工程、
溶媒性クリアーコート被覆組成物を前記ベースコート被覆組成物上に設ける工程、その際前記クリアーコート被覆組成物は、1種以上のカルバマート官能性モノマー及び1種以上のカルボン酸官能性モノマーを含有するモノマー混合物の共重合生成物を含有し、前記モノマー混合物は実質的にヒドロキシルモノマー不含である、及び
この設けられたベースコート及びクリアーコート被覆組成物を硬化させて、複合コーティング層を形成する工程、を含む
水性ベースコートを溶媒性クリアーコートで被覆する方法。
【請求項13】
前記モノマー混合物が更に、スチレンを含有する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記モノマー混合物が更に、カルバマート化ヒドロキシプロピルアクリラートを含有する、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記カルバマート官能性が、第一級カルバマート官能性である、請求項12記載の方法。

【公表番号】特表2009−514992(P2009−514992A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531136(P2008−531136)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/033042
【国際公開番号】WO2007/037860
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【住所又は居所原語表記】100 Campus Drive, Florham Park, New Jersey 07932, USA
【Fターム(参考)】